JP3851466B2 - 戸パネルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、デザイン性に優れたドア、引戸、収納扉等の戸パネルを生産性良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建築用や収納家具用などに用いられるドアや引戸等の戸パネルとして、パネル自体にモールディング加工等の凹凸加工を施して装飾性、高級感に富む框組の戸パネルは良く知られている。このようなパネル(B)は、例えば6図に示すように、凹凸加工を施した框部(b1)と、パネル本体部(b2)とをタボ(b3)等により接合することにより形成されている。
【0003】
しかしながら、上記従来の方法で製造される戸パネルは、加工が複雑であると共に接合に高い精度や手間を要し、この結果、連続ラインで製造する事が難しく、加工性、生産性が低くなるという欠点を有していた。
【0004】
一方、複雑な凹凸加工を施していないフラットな表面材を、パネル芯材に接着したフラッシュパネルを戸パネルとする戸パネルの製造方法も良く知られている。このような戸パネルは、連続ラインで生産性良く製造できるという利点がある反面、一律的で、装飾性に乏しく安っぽい外観になるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、デザイン性に優れた戸パネルを、生産性良く製造する事ができる製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして本願『請求項1』に係る発明によれば、『表面材を構成すべく複数に分割された表面材分割片(2a)の少なくとも一つにモールディング加工を施し、次いで各表面材分割片(2a)にそれぞれラッピング加工を施し、次いでこの複数の表面材分割片(2a)同士を組合せて表面材(2)を形成し、この表面材(2)を押圧して表面材 (2) 芯材(1)に接着する戸パネル (A) の製造方法であって、
表面材 (2) を芯材 (1) に接着する際には、クッション材を介して表面材 (2) のモールディング加工が施された面を押圧する戸パネル(A)の製造方法』が提供される。
【0007】
また、本願『請求項2』に係る発明によれば、上記請求項1の製造方法において『相隣る表面材分割片(2a1)(2a2)同士の当接側縁部の厚さを、一方(2a1)は厚く、他方(2a2)は薄くなるようにして当接部に段差(イ)を有する表面材(2)に形成したことを特徴とする戸パネル(A)の製造方法』を提供することもできる。
【0008】
本願『請求項1』に係る発明によれば、表面材(2)を構成する複数の表面材分割片(2a)の少なくとも一つにモールディング加工を施すものであるので、小幅サイズの表面材分割片(2a)に対してモールディング加工することができ、小さな加工装置で効率良く、装飾性の良い表面材(2)を製造する事ができる。
【0009】
また、各表面材分割片(2a)は、ラッピング加工によりそれぞれ予め表面化粧を施した後、所定の表面材分割片(2a)同士をテープ貼り等の手段で仕組み、この仕組まれた表面材(2)を押圧して表面材 (2) 芯材(1)に接着する際に、クッション材を介して表面材 (2) のモールディング加工が施された面を押圧するので、従来のフラッシュパネルと同様に連続的に生産性良く装飾性の高い戸パネル(A)を製造する事ができる。
【0010】
そして、モールディング加工した表面材分割片(2a)のモールディングデザインに複数のパターンを準備しておくと、それを入れ替えるだけで、多種なデザインの戸パネルを生産効率良く製造することができる。
【0011】
本願『請求項2』に係る発明によれば、表面材分割片(2a1)(2a2)同士の当接部に、互いに側縁部の厚みの差による段差(イ)が線状に生じて陰影を伴い、一層、デザイン性を向上させることとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、表面材分割片(2a)は、MDF、ハードボード等の木質繊維板や合板、LVL等を用いる事ができる。特に、MDF、ハードボード等の木質繊維板は、モールディング加工の際、ささくれ等が生じ難く、加工性が良いので好適である。
【0013】
本発明において、表面材分割片(2a)を組合せて形成される表面材(2)と接着一体化される芯材(1)は、特に限定されないが、合板、LVL、MDF、パーティクルボード、集成材、ペーパーハニカム、あるいはこれらの複合物が、加工性が良く、又タッカーなどを用いて縦横の部材同士を生産性良く止め付ける事ができる点から、好適に用いられる。
【0014】
[実施例]
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0015】
図1〜4は、本発明の戸パネルの製造方法の一例を示す説明図である。まず、図1は戸パネル(A)〔(A1)〕に用いる芯材(1)を示す。芯材(1)は上記した材料を適宜使用して芯組されて用いられる。
【0016】
また、上記芯材(1)の芯組の空間に、合成樹脂発泡体、ハニカム構造体、グラスウール、ロックウール等の断熱材を充填することもできる。
【0017】
図2は、上記図1の芯材(1)の表裏の各表面に接着一体化される表面材(2)である。各表面材(2)は、予め複数(本例では2つ)に分割された表面材分割片(2a)〔以下、説明のため(2a1)(2a2)と表記する〕から構成される。これらの表面材分割片(2a1)(2a2)は、前記した材料から適宜選択されている。また、これらの表面材分割片(2a1)(2a2)のうち、一方(2a1)には表面にモールディング加工による凹凸状の装飾加工が施され、他方(2a2)にはモールディング加工は施されていない。
【0018】
このように、表面材(2)が表面材分割片(2a)から構成されていると、分割されていない場合に比べ、小幅な表面材分割片に対してモールディング加工する事ができるので、加工効率が良い。
【0019】
そして、一方の表面材分割片(2a1)は、他方の表面材分割片(2a2)よりも厚い基板が用いられており、表面材分割片(2a1)の当接側縁部(2a11)が、表面材分割片(2a2)の当接側縁部(2a21)よりも厚くなるように形成されている。
【0020】
次に、上記各表面材分割片(2a)に対し、合成樹脂化粧シート、化粧紙、化粧単板などの化粧シート状物(3)をそれぞれ貼着してラッピングする。図2では、ポリオレフィン樹脂系の化粧シート(3)を、それぞれの表面材分割片(2a1)(2a2)にその端面まで巻き込んでラッピングしている。
【0021】
次に、これらの表面材分割片(2a1)(2a2)を、例えば裏面にテープ(4)を貼り付けることにより、図3に示すような表面材(2)に構成する。このようにして得られた表面材(2)の当接部では上述した厚さの違いにより段差(イ)が生じている(図3参照)。
【0022】
そして、上記表面材(2)を芯材(1)の表裏各面に配して、プレス装置を用いて加圧又は加熱加圧することにより、図1の芯材(1)に接着する。接着に際しては、各表面材(2)(2)とプレス装置のプレートとの間に、クッション材を介在させて、表面材のモールディング加工による凹凸をクッション材で吸収しながら接着することで、フラッシュパネルを製造する要領で、図4に示すような装飾性の良い戸パネル(A)〔(A1)〕を製造することができる。
【0023】
上記図4に示される戸パネル(A)〔(A1)〕においては、モールディング加工による凹凸に、段差(イ)のところでの陰影が加わり、非常にデザイン的に優れたものとなっている。
【0024】
次に、図5に、本発明の製造方法を用いて製造される戸パネルの別の実施例を示す。この例では、表裏の各表面材(2)をそれぞれ3つの表面材分割片(2a)〔以下、具体的には(2a3)(2a4)(2a5)と表記する〕から構成したものであり、表面材分割片(2a4)は薄くして、これと隣接する表面材分割片(2a3)との間に段差(ロ)を生じるようにしてある。
【0025】
そして、表裏の各表面材(2)において、表面材分割片(2a4)と(2a5)の間に空所(ハ)ができかつこの空所(ハ)に額縁材(5)を介してガラス(6)がはめ込まれて戸パネル(A)が形成されている。なお、(7)はガラス(6)の振動音防止のためのクッションであり、(8)と(9)は戸パネル(A)〔(A2)〕の側端面を納める縁材である。
【0026】
このように、ガラスを嵌めたり、表面材のモールディングのパターンを変えたり、モールディング加工された表面材基板の位置を変えたりすることにより、様々なデザインの戸パネルを容易且つ生産性良好に製造することができる。
【0027】
【発明の効果】
本願『請求項1』に係る発明によれば、小幅サイズの表面材分割片に対してモールディング加工を施せばよいので、小さな加工装置で効率良くすすめられ、装飾性の良い表面材を製造することができる。
【0028】
また、各表面材分割片は、ラッピング加工によりそれぞれ予め表面化粧を施した後、所定の表面材分割片同士をテープ貼り等の手段で仕組んで表面材とし、この表面材を押圧して表面材を芯材に接着する際に、クッション材を介して表面材のモールディング加工が施された面を押圧するので、従来のフラッシュパネルと同様に連続的に生産性良く装飾性の高い戸パネルを製造することができる。
【0029】
さらに、モールディング加工した表面材分割片のモールディングデザインに複数のパターンを準備しておくと、それを入れ替えるだけで、多種なデザインの戸パネルを生産効率良く製造することができる。
【0030】
本願『請求項2』に係る発明によれば、表面材分割片同士の当接部に、互いに側縁部の厚みの差による段差が線状に生じて陰影を伴い、一層デザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の戸パネルの製造に用いる芯材の一例の斜視図
【図2】本発明の戸パネルの製造に用いる表面材分割片の一例の斜視図
【図3】図2の表面材分割片を組合せて得られる表面材の斜視図
【図4】本発明の方法により製造された戸パネルの一例の平面図
【図5】本発明の方法により製造された戸パネルの他の例の平面図
【図6】従来の戸パネルの製造方法の説明図
【符号の説明】
(A)〔(A1)(A2)〕…戸パネル
(1)…芯材
(2)…表面材
(2a)〔(2a1)(2a2)(2a3)(2a4)(2a5)〕…表面材分割片
(3)…化粧シート
(4)…テープ
(5)…額縁材
(6)…ガラス
(8)(9)…縁材
(イ)(ロ)…段差

Claims (2)

  1. 表面材を構成すべく複数に分割された表面材分割片の少なくとも一つにモールディング加工を施し、次いで各表面材分割片にそれぞれラッピング加工を施し、次いでこの複数の表面材分割片同士を組合せて表面材を形成し、この表面材を押圧して表面材を芯材に接着する戸パネルの製造方法であって、
    表面材を芯材に接着する際には、クッション材を介して表面材のモールディング加工が施された面を押圧する戸パネルの製造方法。
  2. 相隣る表面材分割片同士の当接側縁部の厚さを、一方は厚く、他方は薄くなるようにして当接部に段差を有する表面材に形成したことを特徴とする請求項1記載の戸パネルの製造方法。
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