JP3851386B2 - 免震構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は免震構造体に係わり、詳しくは軽負荷である戸建て用にも好適に適用しうる免震構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地震から建物を守るために、鋼板等の剛性を有した硬質板と、粘弾性的性質を有したゴム等の軟質板とを複数個、交互に積層した免震構造体が用いられている。この免震構造体で建物を支えることにより、建物の固有振動数の長周期化を図り、地震波との共振を防いで振幅は大きいがゆっくりした振動となし、その揺れをダンパーを併設することにより短時間で収束させる方法が一般的に用いられている。併設されるダンパーとしては、金属剛棒ダンパー、摩擦ダンパー、粘性ダンパー等が挙げられる。また鉛を複合積層体の中に封入した鉛プラグ入り積層ゴムやゴム自体に高減衰性を持たせた高減衰積層ゴム等も用いられている。
【0003】
近年、高層ビルや橋梁などの重量建造物に加えて、戸建て住宅の免震化が切望されている。しかし、従来の高負荷(ビル用)免震構造体を、そのまま軽負荷である戸建て用免震構造体に適用すると、建物の重量が軽いため所望の免震性能を得るためには、直径が小さく、高さを高くした形状にならざるを得ず、非常に座屈し易くなり、実用的ではない。
【0004】
軽負荷物に適する免震効果を得るには、支持荷重に適した低弾性のゴムが必要であるが、低弾性のゴムを用いると、その低弾性のため、風揺れ現象が現れるという問題点を有していた。また、戸建て住宅に適用される免震構造体への要求として、さらに微振動(交通振動)を取り除きたいとの要求が強い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち戸建て住宅用免震構造体は、(1)耐地震、(2)風揺れ防止、(3)交通振動の防振の3項目の免震性能を満足することが望まれていたが、全ての条件を満たす免震構造体は未だ知られていない。
【0006】
従って、本発明の目的は、地震に対する免震性能、風揺れ防止、さらには、交通振動の防振の機能を備えた戸建て住宅等の軽負荷に好適な免震構造体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、免震構造体の固有振動数を、負荷される振動の領域に分けて設定することにより、地震、風、交通振動の全てに効果ある免震構造体が得られることを見出し本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の免震構造体は、上下の面板の間に、剛性を有した硬質板と粘弾性的性性質を有した軟質板とを、それぞれ複数個、交互に積層してなる複合積層体を備えた免震構造体であって、該免震構造体の横バネ定数をKH、該免震構造体に搭載される搭載物の質量をM とした時に、
【0009】
【数3】
【0010】
で算出される該免震構造体の水平方向の固有振動数fHが、水平方向振幅2mm 以下の振動入力時には、0.1Hz ≦fH≦2Hz であり、前記粘弾性的性質を有する弾性体の100 %歪に等しい水平方向振幅の振動入力時には、0.1Hz ≦fH≦0.8Hz であり、且つ、該免震構造体のヒステリシスループを測定したときの、最大変形から剪断歪10%量戻り時における固有振動数fHが、0.9Hz ≦fHの条件を満たし、且つ、前記複合積層体の内部に、該複合積層体を貫通する柱状の塑性物を封入し、該柱状の塑性物と該複合積層体との間に、保護リングを積層するか、又は、前記複合積層体の内部に、該複合積層体を貫通する孔を設け、該孔の中に粒状物を充填してなり、前記柱状の塑性物或いは粒状物及び前記保護リングが前記複合積層体を貫通する孔の内部に、押込み力5kgf/cm 2 〜150kgf/cm 2 で封入される、ことを特徴とする。
【0011】
すなわち地震に対しては、剪断歪み100%における固有振動数を0.1Hz から0.8Hz に設定する。風に対しては、ヒステリシスループの最大変形からの10%戻り勾配の固有振動数を、0.9Hz 以上に設定する。交通振動に対しては、免震構造体の絶対変形量が、2mm以下での固有振動数を2Hz以下、0.1Hz 以上に設定する。これらの条件を満たすことによって、全ての振動に対して有効な免震構造体を得ることができる。
【0012】
上記の分割された領域に於ける固有振動数を達成するための方策として、請求項1に記載の如き、(1) 複合積層体の内部に貫通孔をあけ、その中に鉛や錫のような金属とその保護のために封入金属の周囲に保護板を積層し、特定の押し込み力で封入する方法、請求項5に記載の如き、(2) 複合積層体の内部に貫通孔をあけ、その中に粒状物を特定の押し込み力で封入する方法などが好適である。これらの方法を適用して上記の各条件を満たす固有振動数を達成した本発明の免震構造体は、地震、風揺れ、交通振動、全てに効果ある免震特性を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の免震構造体に必要な固有振動数などの条件について説明する。
【0014】
交通振動においては、周波数帯域、2Hz を超えて5Hz 以下の範囲に強い振動が存在することが知られている。この交通振動を防振するには、水平方向振幅2mm 以下に於ける、免震構造体の固有振動数を0.1Hz 以上2Hz 以下、好ましくは、0.3Hz 以上1.5Hz 以下、更に好ましくは、0.5Hz 以上1Hz 以下にすることが好ましい。
【0015】
免震構造体の固有振動数fHが2Hz を越えると、交通振動と共振し、防振効果が得られない。一方、免震構造体の固有振動数を0.1Hz 未満に設計すると、複合積層体の軟質板の総厚さが厚くなり、細長く、即ち背の高い複合積層体となり、形状的に不安定となり、且つクリープ性が大きくなるため実用的ではない。
【0016】
また、地震時に免震効果を発揮するためには、剪断歪み100 %における免震構造体の固有振動数fHを0.1Hz 以上0.8Hz 以下、好ましくは、0.2Hz 以上0.8Hz 以下に、更に好ましくは、0.3Hz 以上0.8Hz 以下に設計することが好ましい。免震構造体の固有振動数を、0.8Hz を超えて設計すると、地震波と共振し免震効果が得られない。一方、0.1Hz 未満に設計するには、複合積層体の軟質板を超低弾性にするか、複合積層体の軟質板の総厚さを厚くして、低バネ剛性化をはからねばならないが、軟質板の総厚さを厚くすると細長くなり、即ち背の高い複合積層体となり、形状的に不安定となり実用的ではない。さらに、複合積層体の軟質板を超低弾性にすると、クリープ性が大きくなるため実用的ではない。
【0017】
風揺れに対する防振の考え方は、風の波は、低周波に高周波が複合されている。この高周波成分が居住者に不快感を与える。つまり風速によって発生する風圧力により免震建物は、初期状態から水平方向に移動しその準安定状態から風の高周波成分により揺れる。この高周波成分による揺れを居住者は不快に感じる。そのため免震構造体のヒステリシスループの戻り時の剛性が高ければ、非免震建物に居住している時と同程度の揺れと感じる。
【0018】
戻り時の固有振動数、具体的には、ヒステリシスループにおける最大変形から剪断歪が10%量戻る際における固有振動数が、0.9Hz 以上、好ましくは、1Hz 以上、更に好ましくは、1.1Hz 以上に設計することが好ましい。0.9Hz 未満に設計すると戻り量が大きくなり、居住者は風揺れを大きく感じて防振効果が得られない。
【0019】
次に、前記条件を満たすために本発明の免震構造体に適用される各構成要素について詳細に説明する。
【0020】
本発明の免震構造体を構成する複合積層体について説明する。複合積層体を構成する粘弾性的性質を有した軟質板に用いられる材料とは、50%モジュラスが1〜10kgf/cm2 、好ましくは1〜5kgf/cm2 、更に好ましくは1.5〜4kgf/cm2 の特性を有するものを指す。各種材料の50%モジュラスは、例えば、JIS K6301、K6394に準拠して測定することができる。
【0021】
ここで、粘弾性的性質を有する材料としては、熱可塑ゴム、ウレタンゴム、各種の加硫ゴム、未加硫ゴム、微架橋ゴム、プラスチックス等の有機材料、これらの発泡体、アスファルト、粘土等の無機材料、これらの混合材料など各種の材料であって、上記粘弾性的性質を有するものを用いることができる。
【0022】
これらの材料は、平板状に成形され、軟質板として用いられる。軟質板の形状は特に制限はないが、本発明の免震構造体においては複合積層体内に柱状の中空部を要することから、中央に中空部を有する形状であることが必要である。通常は、中央に中空部を有する所謂円柱状のものが使用され、個々の軟質板はドーナツ盤状の形状を有するが、中空部を有するものであれば四角形のものであってもよい。軟質板の厚みには特に制限はなく、使用される材料及び所望の免震性能によって選択できるが、一般には、1〜4mm程度の厚みのものが使用される。
【0023】
これらの材料は単独で用いても、複数種を混合して用いてもよく、全体が均一な材料で形成されていてもよいが、内側部分に高ダンピング材料、外側部分にクリープ性能の良くかつ柔らかい材料等と二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
また、本発明における硬質板としては、金属、セラミックス、プラスチックス、FRP、ポリウレタン、木材、紙板、スレート板、化粧板等所要の剛性を有する各種の材料を使用することができる。ここで、所要の剛性とは、設計条件により大きく変わるが、剪断変形した時、座屈現象が生じにくい剛性を意味する。
【0025】
硬質板の厚み、形状には特に制限はなく、使用される材料及び所望の免震性能によって選択できるが、その厚みは、一般には、0.5〜5mm程度の厚みのものが使用される。また、形状は、積層される軟質板と同様、中央に中空部を有することの他は任意であるが、通常は、併用する軟質板と同じ形状のものを用いる。
【0026】
前記軟質板と硬質板とを交互に複数段積層して複合積層体を構成するものである。軟質板及び硬質板、それぞれの形状、面積及び厚さは前記した如く要求される免震性能によって異なるが、複合積層体は前記した如く、その内部に該複合積層体の免震性能を改善する後述の各手段を配置するための中空部を要するため、通常は、軟質板及び硬質板両者の形状が同じドーナツ盤状又は中空部を有する四角形の板状をなし、且つ、表面積も同じであるものが利用される。
【0027】
本発明の免震構造体に用いる免震構造体に耐候性を付与するために免震構造体の外側を耐候性の優れた材料で被覆しても良い。この被覆材料としては、例えば、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR及びEPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム等、また、ハイパロン、塩素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルゴム等の熱可塑ゴム、樹脂等を用いることができる。これらの材料は単独でも、二種類以上をブレンドしても良い。また、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴムなどとブレンドしても良い。
【0028】
図1は参考例の免震構造体10の概略断面図であり、硬質板14と軟質板16とからなる複合積層体12の中央部には中空部が設けられ、中空部に摩擦板20が積層されて封入されている。複合積層体12は外皮ゴム18で被覆されている。摩擦板20の積層体の上に押さえ板23が配置され、フランジ22の中央部にメネジを切った六角穴付き押さえボルトを上ブタ24として配置し、上ブタ24を締め付けて摩擦板20積層体に封入力をかけている。
【0029】
図2は、硬質板14と軟質板16とからなる複合積層体12の中空部に柱状の鉛28を配置し、鉛の周囲に保護リング30を積層、配置した免震構造体26を示す断面図である。柱状の塑性物28としては、鉛、錫などの塑性変形する金属や高分子材料が用いられ、なかでも、鉛が好ましい。また、この柱状の塑性物に傷を与えないように、塑性物28の周囲に配置される保護リング30の材質は、金属、セラミック、高分子化合物、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維から選択される強化繊維により補強された高分子化合物、及び表面にセラミックまたは高分子化合物をコーテイングした金属板から選択して用いられる。特に、塑性物の材質より低弾性であり、且つ、塑性物を十分に拘束し得る材料で形成されることが好ましく、例えば、熱可塑性プラスチックとして、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ガラス繊維強化ポリスチレン、ポリ−P−キシレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネイト、熱可塑性ポリエステル、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、芳香族ポリアミド、ポリフェニレン、シリコーンなどを用いることができる。なかでも、材料特性及び入手の容易性の観点から、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、熱硬化性プラスチック等が好ましい。また、前記の熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチックをマトリックスとし、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維により補強されたFRP(例えば、不飽和ポリエステル樹脂のFRP)、無機物質を充填した高分子化合物、または表面にセラミックまたは高分子化合物をコーティングした金属等も用いることができる。これらの材料は単体で用いても、複数の種類を複合して用いてもよく、また、可塑剤や充填剤を添加してもよく、FRPの如く補強材を混合して用いてもよい。
【0030】
本発明の複合積層体に柱状の塑性物として用いられる鉛、錫等の金属の大きさは、横断面積が、複合積層体の横断面積の0.04%以上、25%以下で用いられる。好ましくは、0.16%以上、9 %以下、更には0.3 %以上、4 %以下である。
【0031】
鉛、錫等の塑性物に保護リングを配置した積層体の大きさは、0.1 ≦(Dout/D) ≦0.8 であり、好ましくは、0.1 ≦(Dout/D) ≦0.5 、であり更に好ましくは、0.1 ≦(Dout/D) ≦0.3 である。
【0032】
地震時などには、この保護リングは免震構造体の剪断変形に合わせて移動し、鉛に食い込む。その時の喰い込み量が柱状の塑性物の直径DL の25%以上になると柱状の塑性物に対するダメージが大きく、柱状の塑性物が切断してしまう。好ましい喰い込み量は柱状の塑性物の直径DL の15%以内、更に好ましくは10%以内である。よって、そのような喰い込み量となるように保護リングの厚さを設計することが好ましい。
【0033】
剪断歪み200%の地震の場合、変形するのは軟質板であるので軟質板の総厚さをhとしたとき、2hずれることになる。よって、保護リング1枚あたりのずれは、積層する保護リングの枚数をk、複合積層体の高さをHとしたとき、
2h/kとなり、これが柱状の塑性物の直径DL の25%以下であることが望ましい。すなわち
(2h/k)≦0.25DL
このとき、 H=ktリンク゛
であるので、 (2h/(H/tリンク゛ ))≦0.25DL
となる。よって、保護リングの厚さtリンク゛ が、
tリンク゛ ≦0.25DL H/2h
好ましくは、 tリンク゛ ≦0.15DL H/2h
更に好ましくは、 tリンク゛ ≦0.10DL H/2hとなることが望ましい。
【0034】
この保護リングの幅((DOUT −DIN)/2 DOUT :外径、DIN:内径)は、免震構造体が剪断変形した時にも、上下に隣り合う保護リングが必ず重なり合う部分を持たねばならない。そのためには、
(DOUT −DIN)/2tリンク゛ ≧2
好ましくは、 (DOUT −DIN)/2tリンク゛ ≧3
更に好ましくは (DOUT −DIN)/2tリンク゛ ≧7 である。
【0035】
また、塑性物及び保護リング積層体を封入する圧力は、面圧5kgf/cm2 以上150kgf/cm2 以下で実施される。好ましくは、面圧5kgf/cm2 以上100kgf/cm2 以下、更に好ましくは面圧10kgf/cm2 以上60kgf/cm2 以下で好適に用いられる。
【0036】
面圧5kgf/cm2 未満では保護リングを押さえる力が不足して鉛など塑性物の剪断変形が正常に行われず、十分な減衰性能が得難い。また、面圧150kgf/cm2 を超えると、中央の保護リングの部分のみが圧縮され、反対に周辺部は垂直方向に引き延ばされるという不自然な変形が生じ、免震性能に影響を与える虞がでてくることになり、150kgf/cm2 が実用上の限度である。
【0037】
この塑性物及び保護リング積層体の封入力(押込み力)は、塑性物及び保護リング積層体の上部に設けられたネジ山を有するフタのネジの締めつけトルクを調整することによってコントロールすることができる。即ち、上面板にネジを切り、そこに適合するネジ山を有するフタを設けて、そのネジの締め付けトルクを一定にすることにより塑性物及び保護リング積層体に加わる封入力を一定になるよう調整するものである。ネジの大きさは、保護リング積層体と同じかあるいはそれ以下の直径を有するものが好ましい。
【0038】
このように、複合積層体26の中空部全体に鉛等の塑性物28及び保護リング30を配置すると、低歪みにおける高弾性及び高歪みにおける低弾性と、高減衰性とを合わせ持つので、地震や風揺れなどに効果を発揮することができる。
【0039】
図3は複合積層体12の中空部に粒状物34を充填した免震構造体32の断面図を示す。免震構造体32は、硬質板14と軟質板16とからなる複合積層体12中央部に設けた中空部に、硬質粒状物であるガラスビーズ(球形)34をタッピングを行いながら充填し、その上部にネジを切ったフタ36で圧縮力を加えて中のガラスビーズ34を圧縮状態になるように充填、封入し、さらに、この積層体の外周を天然ゴム系ゴム材料を用いた外被ゴム18で被覆してなるものである。
【0040】
この免震構造体の柱状の中空部に充填される硬質粒状物としては、圧縮充填することにより、粒状物同志の摩擦力によって免震構造体の過剰な変形を防止しうるものであれば、特に制限はないが、好適な材料としては、例えば、銅、鉄、サンドブラスト用砂、ガラス、石英、プラスチック、天然物や産業廃棄物を原料に製造された粒状物等が挙げられ、さらに、十分な硬度を有する繊維強化プラスチック、各種セラミック等も使用することができる。
【0041】
粒状物の大きさは、0.01〜30mmの範囲のものが好ましく、0.01mm未満であると充填時に十分な応力をかけることができず、30mmを超えると、粒状物同志の接触面積が小さくなり、いずれも所望の摩擦力を得難いため、好ましくない。
【0042】
この硬質粒状物の具体例としては、ガラスビーズ、鉄球、銅球等の金属球、砂、石英粉、Al2 O3 を主成分とするサンドブラスト用砂等が挙げられる。
【0043】
粒状物の形状については、前記のサイズを有するものであれば特に制限はないく、球状、紡錘状、不定形等のいずれであってもよく、粒状物の表面も平滑であっても、微細な凹凸を有するものであってもよいが、変形緩和効果及び摩擦力の観点から、平板状のものよりもアスペクト比が3以下程度の球に近い形状を有するものが好ましく用いられる。
【0044】
これらの硬質粒状物を前記免震構造体の中空部に充填する際には、タッピングを行うなどして、最密充填し、さらに、蓋体等により応力が掛かるように封入することが好ましい。中空部に最密充填された硬質粒状物同志の摩擦力が減衰効果に寄与するため、硬質粒状物が互いに自由に振動しうるような空間を有する充填状態では所望の減衰効果が得られず好ましくない。
【0045】
また、粒状物を封入する圧力は、面圧5kgf/cm2 以上、150kgf/cm2 以下で実施される。好ましくは、面圧5kgf/cm2 以上、100kgf/cm2 以下、更に好ましくは面圧10kgf/cm2 以上、60kgf/cm2 以下で好適に用いられる。
【0046】
面圧5kgf/cm2 未満では粒状物を押さえる力が不足して十分な摩擦力が得られず、十分な減衰性能が得難い。また、面圧150kgf/cm2 を超えると免震構造体の中央の粒状物充填部分のみが圧縮され、反対に周辺部は垂直方向に引き延ばされるという不自然な変形が生じ、免震性能に影響を与える虞がでてくることになり、150kgf/cm2 が実用上の限度である。
【0047】
この粒状物の封入力(押込み力)は、粒状物を押さえ込む押さえ板の上部に設けられたネジ山を有するフタのネジの締めつけトルクを調整することによってコントロールすることができる。即ち、上面板にネジを切り、そこに適合するネジ山を有するフタを設けて、そのネジの締め付けトルクを一定にすることにより粒状物に加わる封入力を一定になるよう調整するものである。ネジの大きさは、粒状物の押さえ板と同じかあるいはそれ以下の直径を有するものが好ましい。
【0048】
本発明の免震構造体において、前記粒状物は柱状の中空部に配置される繊維シート、加硫ゴムシート、熱可塑性ゴムシート、熱可塑性樹脂シートなどからなる袋体内に配置されることが好ましい。この袋体は、前記硬質粒状物をその中に充填、保持するための袋体であり、柔軟で、形状追随性が良好であり、且つ、十分な強度を有することが必要である。
【0049】
この袋体を構成する繊維シートに特に制限はなく、前記の特性を有するものであれば、繊維織物であっても、編み地であっても、ネット状のシートであっても、不織布であってもよい。シートに用いる繊維素材も、綿や麻などの天然繊維、ビスコースレヨン等の再生繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル等の合成繊維、炭素繊維、ステンレス等の金属繊維等の無機繊維を任意に選択できる。なかでも、強度と耐久性の点から、綿、ポリエステル、ポリアミド等の糸からなる織布や編み地、ポリエステル、ポリプロピレン等の繊維からなる不織布等が好適に使用できる。
【0050】
この袋体は、薄い繊維シートで形成されており形状追随性が良好であるため、その形状に特に制限はないが、硬質の粒状物を保持する観点からは、前記積層複合体に形成された中空部の形状に併せて、縫製又は加熱接着等の公知の方法により成形されることが好ましい。
【0051】
これらの硬質粒状物を前記袋体に充填する際には、タッピングを行うなどして、最密充填し、さらに、その袋体を中空部に配置した後、蓋体等により応力が掛かるように封入することが好ましい。この袋体に充填された硬質粒状物に対しても、前記袋体を用いず粒状物を中空部に直接充填する場合と同様な条件で面圧が負荷されることが好ましい。
【0052】
この袋体によって中空部に配置された粒状物は、柔軟なゴム材料からなる軟質板に入り込むのを防止できるため、直接充填する場合に比較して、より高い摩擦力を実現することができる。
【0053】
中空部に袋体に充填した硬質粒状物を配置する方法としては、中空部に袋体を配置した後、硬質粒状物を充填する方法もあるが、予め袋体に硬質粒状物を充填し、その袋体を中空部に挿入することにより、製造がより簡単になる。
【0054】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
(参考例1)
図1は参考例1に係る免震構造体10の断面図を示している。
【0055】
複合積層体12として、硬質板14(内部鋼板)(外径250mm φ、内径35mmφ、厚さ1.6mm )を30枚、軟質板16(50%モジュラス:2.7Kgf/cm2 、引っ張り強度:90Kgf /cm2 :破断時の伸び:760 %のゴム材料を使い厚さ2.5mm )を31枚(総ゴム厚;78mm)用いて構成する。この複合積層体12の中空部に、摩擦板16として外径35mmφ, 厚さ1.5mm のナイロン板(6,6 ナイロン)を97枚積層、充填した。この複合積層体12を耐候性に優れたゴムを使用した外皮ゴム18で被覆した。
【0056】
この複合積層体12の片側の取り付けフランジ20の中心にM30 でネジを切り、積層した摩擦板16の上に外径35mm、厚さ5mm の鋼板22を配置して、M30 のネジを切ったフランジからM30 のボルト(フタ)24で締め付けトルク200Kgf-cm でボルトを押し込み摩擦板16を封入した。このときの締め付け力は、50Kgf /cm2 であった。
【0057】
図4は、参考例1の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
ヒステリシスループは下記の条件で測定した。
測定条件
荷重:10ton f
振動数:0.2Hz の正弦波で剪断歪100 %
また、図5はこの摩擦板35mmφを封入した時の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。これらから、実施例1の免震構造体の各特性を測定した結果を以下に示す。
【0058】
(1)剪断歪100 %から90%までの10%戻時の固有振動数は、1.14Hz( ≧0.9Hz)
(2)剪断歪100 %における固有振動数は、0.59Hz
(3)変形量2mm(剪断歪2.56%)における固有振動数は、1.43Hz
即ち、参考例1の免震構造体は本発明に係る物性値を満たしていることが確認された。
(参考例2)
複合積層体として、硬質板(内部鋼板)(外径250mm φ, 内径50mmφ, 厚さ1.6mm )を30枚、軟質板(50%モジュラス:2.7Kgf/cm2 、引っ張り強度:90Kgf /cm2 、破断時の伸び:760 %のゴム材料を使い厚さ2.5mm で硬質板と同じ平面形状)を31枚(総ゴム厚;78mm)もちいて、その中空部に、摩擦板(外径 50mmφ, 厚さ1.5mm のナイロン板(6,6 ナイロン))97枚を積層、充填した。また、参考例1と同様の外皮ゴムで被覆し、フランジの加工を行った。
【0059】
積層した摩擦板の上に外径50mm, 厚さ5mm の鋼板を配置し、前記M30 のネジを切ったフランジからM30 のボルトで締め付けトルク400Kgf-cm でボルトを押し込んで摩擦板を封入方法した。このときの締め付け力は、50Kgf /cm2 であった。
【0060】
図6は、参考例2の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
ヒステリシスループは下記の条件で測定した。
測定条件
荷重:10ton f
振動数:0.2Hz の正弦波で剪断歪100 %
また、図7はこの摩擦板50mmφを封入した時の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。これらから、実施例2の免震構造体の各特性を測定した結果を以下に示す。
(結果)
(1)剪断歪100 %から90%までの10%戻時の固有振動数は、1.48Hz( ≧0.9Hz)
(2)剪断歪100 %における固有振動数は、0.59Hz
(3)変形量2mm(剪断歪2.56%)における固有振動数は、1.89Hz
即ち、参考例2の免震構造体は本発明に係る物性値を満たしていることが確認された。
(参考例3)
複合積層体として、硬質板(内部鋼板)(外径250mm φ, 内径100mm φ, 厚さ1.6mm )を30枚、軟質板(50%モジュラス:2.7Kgf/cm2 、引っ張り強度:90Kgf /cm2 、破断時の伸び:760 %のゴム材料を使い厚さ2.5mm で硬質板と同じ平面形状)を31枚(総ゴム厚;78mm)もちいて、その中空部に、摩擦板(外径100mm φ, 厚さ1.5mm のナイロン板(6,6 ナイロン))97枚を積層、充填した。また参考例1と同様の外皮ゴムで被覆した。
【0061】
片側の取り付けフランジの中心にM44 でネジを切り、積層した摩擦板の上に外径100mm, 厚さ5mm の鋼板を配置しM44 のネジを切ったフランジからM44 のボルトで締め付けトルク600Kgf-cm でボルトを押し込んで摩擦板を封入方法した。このときの締め付け力は、8Kgf/cm2 であった。
【0062】
図8は、参考例2の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
ヒステリシスループは参考例1と同様の測定条件下で得た。
【0063】
また、図9はこの摩擦板100mm φを封入した時の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。これらから、参考例3の免震構造体の各特性を測定した結果を以下に示す。
(結果)
(1)剪断歪100 %から90%までの10%戻時の固有振動数は、2.11Hz( ≧0.9Hz)
(2)剪断歪100 %における固有振動数は、0.74Hz
(3)変形量2mm(剪断歪2.56%)における固有振動数は、1.75Hz
即ち、参考例3の免震構造体は本発明に係る物性値を満たしていることが確認された。
(比較例)
複合積層体として、中空部を有しない硬質板(内部鋼板)(外径250mm φ、厚さ1.6mm )を30枚、軟質板(50%モジュラス:2.7Kgf/cm2 、引っ張り強度:90Kgf /cm2 、破断時の伸び:760 %のゴム材料を使い厚さ2.5mm で平面形状は硬質板と同様)を31枚(総ゴム厚;78mm)交互に積層し、参考例1と同様に外皮ゴムで被覆した。
【0064】
図10は、比較例の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
ヒステリシスループは参考例1と同様の測定条件下で得た。
【0065】
また、図11はこの摩擦板を封入しない時の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。これらから、比較例の免震構造体の各特性を測定した結果を以下に示す。
(結果)
(1)剪断歪100 %から90%までの10%戻時の固有振動数は、0.8Hz(<0.9Hz) (2)剪断歪100 %における固有振動数は、0.55Hz
(3)変形量2mm(剪断歪2.56%)における固有振動数は、0.76Hz
本比較例は、交通振動の防振と地震に対する免震では効果を発揮するが、耐風揺れ性では効果を発揮できず、所望の免震性能が得られないことがわかった。
(実施例1)
図2は本発明の実施例1に係る免震構造体26の断面図を示す。
【0066】
複合積層体12として、硬質板14(内部鋼板)(外径250mm φ, 内径46mmφ, 厚さ1.6mm )を30枚、軟質板16(50%モジュラス:2.7Kgf/cm2 、引っ張り強度:90Kgf /cm2 、破断時の伸び:760 %のゴム材料を使い厚さ2.5mm で平面形状は硬質板と同様)を31枚(総ゴム厚;78mm)交互に積層して用いた。複合積層体12の中空部に、鉛の棒28(外径20mm, 高さ148mm,99.99%純度の鉛製)を充填し、その周囲に保護リング30(外径46mmφ, 内径20mm, 厚さ1.5mm のナイロン板(6,6 ナイロン)製)を97枚積層した。この複合積層体12の周囲を実施例1同様に外皮ゴム18で被覆した。鉛の棒28は約0.7tonf/cm2の圧力で押し込み、鉛の棒28と積層した保護リング30の上に外径46mm, 厚さ5mm の鋼板(押さえ板)31を配置した。また、フランジ22の中央部に設けた凹部にM30 のネジを切った鋼板23を配置してボルトで固定し、この鋼板23からM30 の押込みボルト29で締め付けトルク400Kgf-cm でボルト29を押し込んで押さえ板31を固定した。このときの締め付け力は、50Kgf /cm 2であった。
【0067】
このように、フランジ22に直接ネジを切らず、ネジを切った鋼板23を別に作成してフランジ22に固定すれば、所望の直径のネジを切った鋼板23を準備することにより、単一のフランジ22に所望の直径の押込みボルト29を容易に適用することができる。
【0068】
図12は、実施例1の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。 ヒステリシスループは参考例1と同様の測定条件下で得た。
【0069】
また、図13は鉛の棒(20φ)と保護板(46mmφ/20mmφ) を封入した時の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。これらから、実施例1の免震構造体の各特性を測定した結果を以下に示す。
【0070】
(結果)
(1)剪断歪100 %から90%までの10%戻時の固有振動数は、1.56Hz( ≧0.9Hz)
(2)剪断歪100 %における固有振動数は、0.64Hz
(3)変形量2mm(剪断歪2.56%)における固有振動数は、1.58Hz
即ち、実施例1の免震構造体は本発明の要件をすべて満たしており、各振動に対する優れた免震性能を得られることが確認された。
(実施例2)
図3は実施例2に係る免震構造体32の概略断面図を示す。
【0071】
複合積層体12として、硬質板14(内部鋼板)(外径250mm φ, 内径50mmφ, 厚さ1.6mm )を30枚、軟質板16(50%モジュラス:2.7Kgf/cm2 、引っ張り強度:90Kgf /cm2 、破断時の伸び:760 %のゴム材料を使い厚さ2.5mm で平面形状は硬質板と同様)を31枚(総ゴム厚;78mm)交互に積層して用いた。複合積層体12の中空部に硬質粒状物として直径0.1mm のガラスビーズ34を充填した。この複合積層体12の周囲を実施例1同様に外皮ゴム18で被覆した。片側の取り付けフランジ22の中心にM30 でネジを切る。複合積層体12中央の孔の中にガラスビーズ34をタッピングを実施して充填し、その上に外径50mm、厚さ5mm の鋼板35を配置しM30 のネジを切ったフランジからM30 のボルト(フタ)36で締め付けトルク400Kgf-cm でフタ36を押し込む。このときの締め付け力は、50Kgf /cm 2であった。
【0072】
図14は、実施例2の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。 ヒステリシスループは比較例1と同様の測定条件下で得た。
【0073】
また、図15はガラスビーズをタッピングして充填した時の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。これらから、実施例2の免震構造体の各特性を測定した結果を以下に示す。
【0074】
(結果)
(1)剪断歪100 %から90%までの10%戻時の固有振動数は、1.49Hz( ≧0.9Hz)
(2)剪断歪100 %における固有振動数は、0.68Hz
(3)変形量2mm(剪断歪2.56%)における固有振動数は、1.8Hz
即ち、実施例2の免震構造体は本発明の要件をすべて満たしており、各振動に対する優れた免震性能を得られることが確認された。
【0075】
これらの測定結果を下記表1に示した。
【0076】
【表1】
表1に明らかなように、本発明の要件を満たす各実施例はいずれも、耐地震、風揺れ防止、交通振動の防振の3項目の免震性能を満足することがわかった。一方、比較例は、交通振動の防振と地震に対する免震では効果を発揮するが、耐風揺れ性では効果を発揮できず、所望の免震性能が得られないことがわかった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の免震構造体は前記構成としたため、地震に対する免震性能、風揺れ防止、さらには、交通振動の防振の機能を備え、戸建て住宅等の軽負荷に好適であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の免震構造体を示す概略断面図である。
【図2】 実施例1の免震構造体を示す概略断面図である。
【図3】 実施例2の免震構造体を示す概略断面図である。
【図4】 参考例1の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
【図5】 参考例1の免震構造体の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。
【図6】 参考例2の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
【図7】 参考例2の免震構造体の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。
【図8】 参考例3の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
【図9】 参考例3の免震構造体の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。
【図10】 比較例の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
【図11】 比較例の免震構造体の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。
【図12】 実施例1の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
【図13】 実施例1の免震構造体の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。
【図14】 実施例2の免震構造体のヒステリシスループを示すグラフである。
【図15】 実施例2の免震構造体の剪断剛性〜剪断歪の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 免震構造体
12 複合積層体
14 硬質板
16 軟質板
18 外皮ゴム
20 摩擦板
22 フランジ
24 フタ
26 免震構造体
28 鉛(柱状の塑性物)
30 保護リング
32 免震構造体
34 硝子ビーズ(粒状物)
36 フタ
Claims (7)
- 上下の面板の間に、剛性を有した硬質板と粘弾性的性性質を有した軟質板とを、それぞれ複数個、交互に積層してなる複合積層体を備えた免震構造体であって、
該免震構造体の横バネ定数をKH、該免震構造体に搭載される搭載物の質量をM とした時に、下記式でで算出される該免震構造体の水平方向の固有振動数fHが、
水平方向振幅2mm 以下の振動入力時には、0.1Hz ≦fH≦2Hz であり、
前記粘弾性的性質を有する弾性体の100 %歪に等しい水平方向振幅の振動入力時には、
0.1Hz ≦fH≦0.8Hz であり
且つ、該免震構造体のヒステリシスループを測定したときの、最大変形から剪断歪10%量戻り時における固有振動数fHが、0.9Hz ≦fHの条件を満たし、且つ、前記複合積層体の内部に、該複合積層体を貫通する柱状の塑性物を封入し、該柱状の塑性物と該複合積層体との間に、保護リングを積層してなり、
前記柱状の塑性物及び前記保護リングが前記複合積層体を貫通する孔の内部に、押込み力5kgf/cm 2 〜150kgf/cm 2 で封入される、
ことを特徴とする免震構造体。
- 上下の面板の間に、剛性を有した硬質板と粘弾性的性性質を有した軟質板とを、それぞれ複数個、交互に積層してなる複合積層体を備えた免震構造体であって、
該免震構造体の横バネ定数をKH、該免震構造体に搭載される搭載物の質量をM とした時に、下記式でで算出される該免震構造体の水平方向の固有振動数fHが、
水平方向振幅2mm 以下の振動入力時には、0.1Hz ≦fH≦2Hz であり、
前記粘弾性的性質を有する弾性体の100 %歪に等しい水平方向振幅の振動入力時には、0.1Hz ≦fH≦0.8Hz であり
該免震構造体のヒステリシスループを測定したときの、最大変形から剪断歪10%量戻り時における固有振動数fHが、0.9Hz ≦fHの条件を満たし、且つ、前記複合積層体の内部に、該複合積層体を貫通する柱状の塑性物を封入し、該柱状の塑性物と該複合積層体との間に、保護リングを積層してなり、
且つ、前記保護リングの厚さを t リンク゛ 、前記硬質板の直径を D 、前記柱状の塑性物の直径を DL 、前記複合積層体の高さを H 、前記軟質板の総厚さを h 、としたときの関係が、
t リンク゛≦ 0.25DLxH/2h
であり、且つ前記保護リングの外径 Dout 、内径 Din の関係が、
(Dout-Din)/2t リンク゛ ≧2
であり、且つ 0.02 ≦( DL/D) ≦ 0.5
であり、且つ 0.1 ≦( Dout/D) ≦ 0.8
である、
ことを特徴とする免震構造体。
- 前記柱状の塑性物の材質が鉛、あるいは錫であることを特徴とする請求項1又は2に記載の免震構造体。
- 前記保護リングの材質が、セラミック、高分子化合物、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維から選択される強化繊維により補強された高分子化合物、及び表面にセラミックまたは高分子化合物をコーテイングした金属板から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の免震構造体。
- 上下の面板の間に、剛性を有した硬質板と粘弾性的性性質を有した軟質板とを、それぞれ複数個、交互に積層してなる複合積層体を備えた免震構造体であって、
該免震構造体の横バネ定数をKH、該免震構造体に搭載される搭載物の質量をM とした時に、下記式で算出される該免震構造体の水平方向の固有振動数fHが、
水平方向振幅2mm 以下の振動入力時には、0.1Hz ≦fH≦2Hz であり、
前記粘弾性的性質を有する弾性体の100 %歪に等しい水平方向振幅の振動入力時には、
0.1Hz ≦fH≦0.8Hz であり
且つ、該免震構造体のヒステリシスループを測定したときの、最大変形から剪断歪10%量戻り時における固有振動数fHが、0.9Hz ≦fHの条件を満たし、且つ、前記複合積層体の内部に、該複合積層体を貫通する孔を設け、該孔の中に粒状物を充填してなり、
前記粒状物が前記複合積層体を貫通する孔の内部に、押込み力5kgf/cm 2 〜150kgf/cm 2 で封入される、
ことを特徴とする免震構造体。
- 前記硬質板の直径D と孔の直径d との関係が
0.05≦(d/D)≦0.8
であることを特徴とする請求項5記載の免震構造体。 - 前記粒状物の平均粒径が0.01mm〜30mmであることを特徴とする請求項5又は6に記載の免震構造体。
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- 1996-10-01 JP JP26102296A patent/JP3851386B2/ja not_active Expired - Lifetime
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