JP3850701B2 - 椅子及びその背もたれ - Google Patents
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- A47C31/00—Details or accessories for chairs, beds, or the like, not provided for in other groups of this subclass, e.g. upholstery fasteners, mattress protectors, stretching devices for mattress nets
- A47C31/02—Upholstery attaching means
- A47C31/023—Upholstery attaching means connecting upholstery to frames, e.g. by hooks, clips, snap fasteners, clamping means or the like
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子及びその背もたれに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
椅子の背もたれ板にクッションを張る場合、クッションの表面を表皮材(クロス)で覆っている。
【0003】
その場合、表皮材を止める手段としては、表皮材の周縁が背もたれ板の縁部の裏面に重なるように設定し、この表皮材の周縁に筒状部を縫着形成して、この筒状部に挿入した金属線材を、背もたれ板の裏面に設けた係止部に嵌め込んだり引っ掛けたりしている。
【0004】
なお、表皮材とクッションとの関係を見ると、表皮材をクッションに接着等によって一体に貼り付ける場合と、単に重ねた場合とがあり、後者の場合は廃棄後の分別が容易である利点がある反面、表皮材に皺がよることを防止するためピンと張った状態に保持する必要性が高いという課題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、椅子を設計する場合、背もたれ板の裏面の外周寄りの部分を外側に大きく露出させるようにデザインしたい場合がある。
【0006】
しかし、従来の表皮材の張り構造では背もたれの裏面のうち周縁部の僅かしか表皮材で覆われていないため、背もたれ板と表皮材との境界が露出して体裁が悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、この問題を解消することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は背もたれに係るもので、この背もたれは、背もたれ板と、その表面に張られたクッションと、前記クッションの表面を覆う表皮材とを備えており、前記表皮材は、前記背もたれ板の裏面を大きく覆う袋状に形成されていて荷重受け板の裏側に開口していると共に、開口縁には、当該開口部を閉じた状態に保持する封止手段が設けられている。
【0009】
更に、前記背もたれ板における裏面の上部には、前記表皮材の開口部から露出する左右長手の水平片が後ろ向きに突設されている一方、前記表皮材は、前記水平片の下方に位置した左右の縦長開口縁を有していてこの縦長開口縁が封止手段で封止されており、更に、前記水平片のうち左右両端部を除いた部位にはスリットが形成されており、表皮材のうち水平片に沿って延びる上開口縁部を前記スリットに差し込んで抜けない状態に保持している。
【0010】
本発明は、請求項2に記載したように,請求項1に記載した背もたれを備えた椅子も含んでいる。
【0011】
【発明の作用・効果】
本発明によると、背もたれ板(背インナー部材)の裏面の大部分が表皮材で覆われている。
【0012】
そして、表皮材が荷重受け板を大きく覆っていることにより、表皮材がずれにくくなるため、表皮材をクッションに接着せずに重ねただけであっても、表皮材を皺のよりにくい状態に張ることが容易にできる。
【0013】
事務用等の非固定式の椅子では、背もたれ板には、当該背もたれ板を裏カバーやバックフレームに取り付けるための取り付け部のような突起部を後ろ向きに突設していることが殆どであるが、この場合は、表皮材に突起部が露出する穴を設ければ良い。これにより、背もたれ板の取付けの容易性を損なうことなく、表皮材を背もたれ板に取付けることができる。
【0014】
また、表皮材の上開口縁部は水平片のスリットに抜け不能に保持されているため、水平片の付け根箇所のラインがすっきりと延びて、体裁が良い。
なお、実施形態のように封止手段としてファスナーを使用すると、表皮材の開口部の全体がきっちりと重なり合って表皮材の全体にテンションをかけることができるため、表皮材をピンと張った状態にすることを確実に行える。
【0015】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(1).概要(図1〜図3)
先ず、図1〜図3に基づいて椅子の概要を説明する。図1は椅子(回転椅子)の右側面図、図2は正面図、図3は背面図である。
【0017】
椅子は、脚支柱(ガスシリンダ)1を立設した脚2と、座3と、肘掛け装置4と、背もたれ5と、ヘッドレスト6とを備えている。脚支柱1の上端には上向きに開口したベース7が固定されており、ベース7の上方に正面視で翼状に広がる中間部材8と、座3とが配置されている。
【0018】
詳細は省略するが、座3は、合成樹脂製の座板(座インナー部材)にクッションを張った構造になっており、詳細は省略するが、座板の左右両側部を中間部材に対して前後動自在に装着している。
【0019】
ベース7の前後略中間部には、揺動フレーム9の前部が左右長手の軸10によって連結されている。また、揺動フレーム9の前後中途部には、中間部材8の後部に軸によって連結されている。本実施形態では、座3は背もたれ5の後傾動に連動して後傾しつつ後退する(すなわちシンクロする)ようになっており、背もたれ5の後傾動と座3の後傾動及び後退動とは、ベース7に内蔵したばねで弾性的に支持される。
【0020】
背もたれ5は、揺動フレーム9に取付けたバックフレーム(背支柱)11と、バックフレーム11の手前側に配置した背もたれ板(背インナー部材)12と、バックフレーム11の裏側に配置した裏カバー(背アウター部材)13とを備えている。
【0021】
背もたれ板12の前面にはクッション14が張られており、クッション14は布等の表皮材15で覆われている。
【0022】
(2).背もたれの構造
次に、図4〜図9に基づいて、背もたれ5の構造を説明する。図4は背もたれ板12を省略した状態での背もたれ5の正面図、図5は背もたれの縦断側面図、図6はクッション23を省略した状態での縦断側面図、図7はバックフレーム11と背もたれ板12と裏カバー13との分離側断面図、図8及び図9は背もたれ板12の取付け状態を示す斜視図である。
【0023】
既述のとおり、背もたれ5は、金属製のバックフレーム11と合成樹脂製の背もたれ板12と同じく合成樹脂製の裏カバー13とを備えており、バックフレーム11にはランバーサポート機構16を上下動自在に取付けている。
【0024】
図6に示すように、バックフレーム11は左右の支柱11aを備えており、左右の支柱11aは上部横長部材11bと下部横長部材(下係合部)11cとで連結されている。バックフレーム11の左右支柱11aは、揺動フレーム9の立ち上がり部9aに嵌め込まれてねじで固定されている。
【0025】
図4に示すように、裏カバー13の上部には前向きに突出した左右長手の水平リブ17を形成しており、この水平リブ17に連設した状態で左右一対の下向き開口筒部18が形成されており、この下向き開口筒部18に、バックフレーム11の支柱11aの上端を嵌め込み、ねじで固定している。
【0026】
また、図4や図7に示すように、裏カバー13の下部には、バックフレーム11の下部横長部材11cに上方から嵌合するブラケット部19を一体に設け、ブラケット部19を下部横長部材11cにねじ20で固定している。
【0027】
背もたれ板12の上部には、裏カバー13の水平リブ17よりも上方に位置する左右長手の水平片21を後ろ向きに突設しており、水平片21の左右両端部に、円柱状の上取付け部22を下向きに突設し、これを、裏カバー13の水平リブ17に連設した円筒状の上受け部23に上方から嵌め込んでいる。
【0028】
この場合、上取付け部22と背もたれ板12とは板状部22aによって一体に接続されている一方、裏カバー13の上受け部23には、板状部22aが嵌合するスリット24を形成している。
【0029】
また、上取付け部22の先端には、上受け部23の下端面に引っ掛かり係合する係合爪25を一体に設けている。このため、上取付け部22を上受け部22に嵌め込むと、背もたれ板12は上向き抜け不能に保持される。係合爪25を外側から内側に押しやった状態で背もたれ板12を上向きに押し上げると、背もたれ板12を取り外すことができる。
【0030】
背もたれ板12の下部には、バックフレーム11の下部横長部材11cと裏カバー13との間の空間に上方から入る下取付け部27を一体に形成している。下取付け部27は、背もたれ板12が手前側に移動し得るように上下方向に長く延びており、その下端に、バックフレーム11の下部横長部材20cに引っ掛かることによって背もたれ板12の前向き移動限度を規制する爪29cを設けている。
【0031】
また、図12に示すように、背もたれ板12には下取付け部29の上部を囲うようなスリット28が形成されており、このため、下取付け部29を前後移動させるように容易に変形させることができる。
【0032】
背もたれ板12を取付ける場合は、先に下取付け部27を下部横長部材20cと裏カバー13との間に挿入してから、上部取付け部22を裏カバー13の上受け部23に弾性に抗して嵌め込むことになる。取り外しは逆の手順で行う。
【0033】
ヘッドレスト6は支柱6aを備えており、この支柱6aは、裏カバー13に設けた上下一対ずつの筒部39に上方から挿入している(下方の筒部は図面では省略している)。
【0034】
(3).ランバーサポート機構
図4に表示したランバーサポート機構16は、背もたれ板12のうち特に着座した人の腰に当たる部分を中心にして前向き突出させることにより、着座した人に、その体格に応じた正しい姿勢を採れるようにするためのものである。
【0035】
本実施形態のランバーサポート機構16は、バックフレーム11の支柱11aに上下動自在に装着したスライドケース29と、左右のスライドケース29を一体に連結する連結板30と、と、スライドケース29に設けた押圧アーム31と、左右の押圧アーム31を一緒に回動させるための連動軸32と、左右の押圧アーム31を同時に操作するハンドル33とを備えている。
【0036】
図示していないが、スライドケース29の底部には前後方向に変形自在な撓み爪を設けている一方、図7に示すように、裏カバー13には、前記撓み爪が係合する凹凸部34を形成している。従って、ある程度の力をかけるとランバーサポート機構16を自在に高さ調節することができる。
【0037】
揺動アーム31はその上端を中心にして前後回動するように取り付けられており、その下端には、背もたれ板12の裏面に当たるローラ35を設けている。詳細は省略するが、ハンドル33を手前に引くように回動させると、揺動アーム31が手前に回動し、その回動した状態が保持される。
【0038】
これにより、着座した人の体格や好みに応じて背もたれ板12を前進させて、背もたれ板12を着座した人の腰にフィットさせることができる。揺動アーム25が最も大きく回動した状態(すなわちローラ35が最も前進した状態)から更にハンドル33を回動させると、揺動アーム31は回動していない姿勢に戻ってローラ35は後退位置になる。
【0039】
ハンドル33は裏カバー13を後ろ側から覆うように形成されており、その両端部は、前記連動軸32によってスライドケース45の上端部に回動可能に軸支されている。
【0040】
(4).表皮材の取り付け
次に、図10も参照して表皮材15の取り付けを説明する。図10のうち(A)は背面図、(B)は(A)のB−B視断面図であり、(A)から理解できるように、表皮材15は背もたれ板12の裏面の全体をすっぽり覆うような袋状に形成されている。
【0041】
そして、表皮材15には、背もたれ板12の水平片21を露出させる上部水平穴15aと、下取付け部27を露出させる下部穴15bとが空いており、上下の穴15a,15bの左右中間部を繋ぐ縦長開口縁15dは、開閉具36を備えたファスナー37で開閉自在に接続されている。ファスナー37は封止具の一例である。
【0042】
このように、表皮材15は袋状になっているため、背もたれ板12の裏面が外側に大きく露出する場合であっても、美感を損なうことがない。また、ファスナー37を閉じると表皮材15に対してテンションをかけることができるため、表皮材15に皺がよることを防止できる。
【0043】
更に、表皮材15は背もたれ板13に倣った形状に形成されているため、表皮材15のずれを防止できると共に、皺の発生をより一層抑制できる。また、ファスナー37は裏カバー13で覆われているため、体裁が悪くなることもない。なお、ファスナー37は金属製には限らず、合成樹脂製などでも良い。
【0044】
背もたれ板13の水平片21のうち左右両端部を除いた部位にはスリット38が形成されており、このスリット38に、表皮材15のうち水平片21に沿って延びる上開口縁部15cを差し込んでいる。
【0045】
この場合、図15(B)に示すように、上開口縁部15cは折り返した状態に縫着しており、他の部分よりも厚くなっている。このため、上開口縁部15cをマイナスドライバーのような薄い道具40でスリット38に押し込むと、表皮材15の上開口縁15cは抜け不能に保持される。このため、水平片21の付け根箇所のラインがすっきりと延びて、体裁が良い。
【0046】
図10(C)に示すように、上開口縁部15cに縫着形成した筒状部にスポンジ状の軟質材41を挿入したり、或いは、上開口縁部15cにスポンジを縫い付けてもよく、このようにすると、表皮材15の抜けをより確実に防止できる。
【0047】
なお、図6や図10に示すように、背もたれ板12の左右両側部(ローラ35が当たる部分の周囲)には、階段状に曲がったスリット12aを多段に形成している。
【0048】
(5).参考例(図11〜図12)
図11〜図12では参考例を示しており、図11は背もたれ板12と表皮材15とを分離した背面図、図12のうち(A)は図11のA−A視断面図、(B)は図11のB−B視断面図である。
【0049】
この参考例では、封止手段として、表皮材15の縦長開口縁15dにボタン穴42を適当な間隔で複数個設ける一方、背もたれ板12には、前記ボタン穴42を嵌まる突起43を設けている。
【0050】
また、表皮材15の上開口縁部15cを筒状に形成したこれに直線状に延びる線材44を挿入し、更に、線材44の左右両端部を丸く折り曲げて、その両端部を、背もたれ板12に形成した突起に引っ掛けている。なお、単に線材44を挿入しただけでも良い。
【0051】
(6).その他
本発明は更に様々に具体化することができる。例えば、封止手段としては、表皮材の開口縁部に空けた多数の穴に、靴紐を通すような容量で紐を挿入し、この紐を引っ張ることによって開口部を絞ったり、或いは、ホックで止めたりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】椅子の右側面図である。
【図2】椅子の正面図である。
【図3】 (A)は椅子の背面図、 (B)は裏カバーの部分背面図、 (C)は (B)の C-C視断面図である。
【図4】背もたれ板を省略した状態での背もたれの正面図である。
【図5】背もたれの縦断側面図である。
【図6】クッションを省略した状態での背もたれの縦断側面図である。
【図7】背もたれの分離側断面図である。
【図8】背もたれ板の取り付け手段を示す斜視図である。
【図9】背もたれ板の取り付け手段を示す斜視図である。
【図10】(A) は背もたれ板の背面図、 (B)は (A)の B-B視断面図、(C) は別例の断面図である。
【図11】参考例の背面図である。
【図12】(A) は図11の A-A視断面図、 (B)は図11の B-B視断面図である。
【符号の簡単な説明】
3 座
5 背もたれ
11 バックフレーム
12 背もたれ板
13 裏カバー
14 クッション
15 表皮材
15a,15b 穴
15c 上開口縁部
15d 表皮材の縦長開口縁
16 ランバーサポート機構
21 水平片
37 ファスナー
38 水平片のスリット
Claims (2)
- 背もたれ板と、その表面に張られたクッションと、前記クッションの表面を覆う表皮材とを備えており、前記表皮材は、前記背もたれ板の裏面を大きく覆う袋状に形成されていて荷重受け板の裏側に開口していると共に、開口縁には、当該開口部を閉じた状態に保持する封止手段が設けられている、
という椅子の背もたれであって、
前記背もたれ板における裏面の上部には、前記表皮材の開口部から露出する左右長手の水平片が後ろ向きに突設されている一方、前記表皮材は、前記水平片の下方に位置した左右の縦長開口縁を有していてこの縦長開口縁が封止手段で封止されており、更に、前記水平片のうち左右両端部を除いた部位にはスリットが形成されており、表皮材のうち水平片に沿って延びる上開口縁部を前記スリットに差し込んで抜けない状態に保持している、
椅子の背もたれ。 - 請求項1に記載した背もたれ板を備えている椅子。
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