JP3850588B2 - 車両のサンルーフ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のルーフ開口に沿ってガイドレールを配設し、該ガイドレールにケーブルおよび、シュー部材を移動可能にそれぞれ嵌合し、前記ケーブルが前記シュー部材を介してリッドを駆動することにより、前記ルーフ開口を開閉するようにした車両のサンルーフ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両のサンルーフ装置は、例えば、図5〜図7に示すように、車両天井に開設されたルーフ開口1をリッド2にて開閉するものであり、ルーフ開口1の側縁部に沿ってガイドレール3が配され、このガイドレール3に形成されたケーブル用の案内溝3aに、モータ等を動力源として押し引き駆動されるケーブル4が内挿されている。ケーブル用の案内溝3aには、同じくケーブル4が内挿するパイプ部材6が接続され、パイプ部材6は、ルーフ開口1の側縁前部からルーフ開口の前縁部に沿って動力源側へ延設されている。
【0003】
ケーブル4には、ガイドレール3に移動可能に嵌合するシュー部材5が取り付けられ、シュー部材5の両側部に一対の被案内突起5aが外方へ凸設され、一対の被案内突起5aがガイドレール3に形成された一対の案内溝3bに摺動可能に案内されている。一対の案内溝3bの一方は、ケーブル用の案内溝3aの下方に形成されている。
【0004】
ルーフ開口1の前部には、デフレクタ7が配され、ルーフ開口1の側縁前部に沿って、デフレクタ7をリッド2に連動させるためのリンク機構8が配されている。図5(c)に示すように、ルーフ開口1が開き状態にあり、デフレクタ7が起立状態にあるとき、ケーブル4を引いて、リッド2を前方へ移動していくと、リッド2の前縁部に設けられたブロック2aが、リンク機構8のリンク9を付勢力に抗して押し込み、デフレクタ7を倒伏していき、やがて、デフレクタ7が完全に倒伏し、図5(a)に示すように、ルーフ開口1が全閉する。さらに、ケーブル4を引くと、リッド2の前縁部が下がる一方、リッド2の後縁部が跳ね上がって、図5(b)に示すように、リッド2がチルトアップ状態になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の車両のサンルーフ装置では、図5(a)に示す全閉状態または、図5(b)に示すチルトアップ状態において、リッド2の前縁部に設けられているブロック2aが、ルーフ開口1の側縁前部から延びているパイプ部材6に接近しており、ルーフとリッド2との面を合わせるシム調整の具合では、ブロック2aがパイプ部材6に干渉するおそれがあり、相互の干渉を回避すべく、シム調整の際の許容誤差を引いた分だけ下げた位置に、パイプ部材6を配置するようになるので、パイプ部材6を下げた分だけ、ガイドレール3が厚くなり、ルーフ断面の厚みが増して、天井が低くなって、乗員の頭上空間を圧迫してしまい、居住性等の商品性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に着目してなされたもので、ガイドレールの厚みが増すことなく、パイプ部材の位置を低くし、ルーフ断面を薄くして、天井を高くすることが可能になり、居住性等の商品性を向上することができる車両のサンルーフ装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]車両のルーフ開口(11)に沿ってガイドレール(22)を配設し、該ガイドレール(22)にケーブル(30)および、シュー部材(41,42)を移動可能にそれぞれ嵌合し、前記ケーブル(30)が前記シュー部材(41,42)を介してリッド(12)を駆動することにより、前記ルーフ開口(11)を開閉するようにした車両のサンルーフ装置において、
前記ガイドレール(22)は、第1ガイド部(231,232)および、第2ガイド部(26)を有しており、
前記第1ガイド部(231,232)は、前記シュー部材(41,42)にそれぞれ形成された一対の被案内部(411,412,421,422)を移動可能に案内する一対の案内部(231,232)を有しており、
前記一対の案内部(231,232)は、相互の高さが異なるようにそれぞれ配されており、
前記第2ガイド部(26)は、前記ケーブル(30)を移動可能に案内していて、前記一対の案内部(231,232)の高い方の下方に配されて、前記ケーブル(30)を前記第2ガイド部(26)まで案内するパイプ部材(51)が接続されており、
前記パイプ部材(51)は、前記ルーフ開口(11)の側縁前部から前縁部に沿って延設されており、
前記ルーフ開口(11)の側縁前部には、前記リッド(12)にデフレクタ(55)を連動させるべく連動機構(60)が配されていることを特徴とする車両のサンルーフ装置。
【0009】
]前記ガイドレール(22)は、前記シュー部材(41,42)が移動可能に嵌合した嵌合溝(23)を有しており、
前記一対の被案内部(411,412,421,422)は、前記シュー部材(41,42)の両側部から外側方へそれぞれ凸設された一対の被案内突起(411,412,421,422)であり、
前記一対の案内部(231,232)の少なくとも一方は、前記嵌合溝(23)の両側の溝壁の下壁部より上方に凹設されていることを特徴とする[1]に記載の車両のサンルーフ装置。
【0011】
次に前述した解決手段に基づく作用を説明する。
本発明の一の構成によれば、シュー部材(41,42)の一対の被案内部(411,412,421,422)を案内するための第1ガイド部の一対の案内部(231,232)に高低の差を設け、一対の案内部(231,232)の高い方の下方に、ケーブル(30)を案内するための第2ガイド部(26)を配したものである。
【0012】
したがって、ガイドレール(22)断面の厚みを変えることなく、ガイドレール(22)の低い位置に第2ガイド部(26)を設けることができ、また、第2ガイド部(26)に接続された、同じくケーブル(30)を案内するためのパイプ部材(51)の取付位置を低くすることができている。
【0013】
ルーフ開口(11)を閉じるべく、ケーブル(30)がシュー部材(41,42)を介してリッド(12)を駆動すると、リッド(12)が移動して、やがて、リッド(12)によりルーフ開口(11)が閉じる。このとき、リッド(12)の側縁前部が、ルーフ開口(11)の側縁前部に設けられるパイプ部材(51)に接近する。リッド(12)がチルトアップ状態になると、さらに、リッド(12)の側縁前部がパイプ部材(51)に接近する。
【0014】
リッド(12)の側縁前部がパイプ部材(51)に近づくとき、リッド(12)側とパイプ部材(51)との間の隙間が十分に確保されているので、リッド(12)側とパイプ部材(51)との干渉のおそれがなく、干渉を防止すべく、パイプ部材(51)の取付位置を下げる必要がなく、ガイドレール(22)断面の厚みが変わらず、ルーフ断面の厚みが増すことを抑えることができる。
【0015】
また、本発明の別の構成によれば、ガイドレール(22)に設けられる第2ガイド部(26)を、少なくとも第1ガイド部(231,232)の下方に配するようにしたものである。
したがって、第2ガイド部(26)に接続されパイプ部材(51)も第1ガイド部(231,232)の下方に取り付けられており、ガイドレール(22)断面の厚みを増やすことなく、リッド(12)側とパイプ部材(51)との間の隙間を十分に確保して、リッド(12)側とパイプ部材(51)との干渉を防止することができる。
【0016】
さらに、本発明の別の構成によれば、一対の案内部(231,232)の少なくとも一方を、嵌合溝(23)の両側の溝壁の下壁部より上方に凹設し、溝壁の下壁部より上方に凹設された案内部の下方に、第2ガイド部(26)を配したものである。
【0017】
それにより、ケーブル(30)を駆動すると、シュー部材(41,42)の一対の被案内突起の少なくとも一方が、溝壁の下壁部より上方に凹設された案内部に案内されて移動する。その一方の被案内突起は、シュー部材(41,42)の側部の下部でない部位に凸設されるので、応力集中を生じやすいシュー部材(41,42)の側部の下部に面取り部(425)を施すことができ、応力集中を緩和することができ、シュー部材(41,42)において高い強度が必要な部位を少なくし、シュー部材(41,42)の小型化や薄肉化を図ることができる。
【0018】
また、一方の案内部が溝壁の中壁部(溝壁の上下方向の中間部)に凹設されていれば、第2ガイド部(26)は、溝壁の下壁部に配され、また、一方の案内部が溝壁の上壁部に凹設されていれば、第2ガイド部(26)は、溝壁の中壁部または下壁部に配される。それにより、第2ガイド部(26)をガイドレール(22)の低い位置に配することができる。
【0019】
上記の各本発明、ルーフ開口(11)の側縁前部にリッド(12)に対してデフレクタ(55)を連動させるべく連動機構(60)が配されていこの連動機構(60)は、ルーフ開口(11)の側縁前部に設けられていることにより、リッド(12)の側縁前部の当接部が当たることで、すなわち、リッド(12)の閉動作に応じて、デフレクタ(55)を倒伏させるものである。
【0020】
したがって、リッド(12)の閉動作の際に、リッド(12)の側縁前部の当接部はルーフ開口(11)の側縁前部に沿って設けられたパイプ部材(51)に近づくようになる。しかしながら、前述したように、第2ガイド部(26)に接続されパイプ部材(51)は、低い位置に設けられているので、パイプ部材(51)とリッド(12)の側縁前部の当接部との間には十分な隙間が確保されており、リッド(12)の側縁前部の当接部がパイプ部材(51)に当たることはない。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明を代表する実施の形態を説明する。
図1〜図4は本発明の実施の形態を示している。
図2および図3に示すように、車体のルーフ10には、ルーフ開口11を開閉するためのリッド12が設けられている。
【0022】
ルーフ開口11の前縁部および、ルーフ開口11の両側縁部に沿うようにして平面から見て横向きU字形状に形成されたガイドレール22が設けられている。ガイドレール22には、嵌合溝23および、雨水等をドレンパイプへ誘導するための樋部24を一体的に形成して成る。
【0023】
また、ガイドレール22の前縁部にはサンルーフ装置20の動力源である駆動モータ21が配設され、駆動モータ21が、ガイドレール22のベース部25に取り付けられている。
【0024】
駆動モータ21によって正逆回転可能なギアには一対のケーブル30が噛合しており、各ケーブル30は、ルーフ開口11の前縁部および側縁部に沿って、車体の後方へ延ばされている。各ケーブル30により、押し引き駆動されるシュー部材41,42が、ガイドレール22の嵌合溝23にそれぞれ嵌合している。
【0025】
シュー部材41の両側部413,414には、外側方に凸設した一対の被案内突起411,412がそれぞれ形成され、同じく、シュー部材42の両側部423,424には、外側方に凸設した一対の被案内突起421,422がそれぞれ形成されている。
【0026】
図1、図2および図4に示すように、シュー部材41,42において、ルーフ開口11から近い方の被案内突起411,421は、シュー部材41の側部413の上下方向の中間部および、シュー部材42の側部423の上下方向の中間部に形成されている。また、ルーフ開口11から遠い方の被案内突起412,422は、シュー部材41の側部414の下端部および、シュー部材42の側部424の下端部に設けられている。シュー部材42の側部423の下端部には、面取り部425が施されている。すなわち、ルーフ開口11から近い方の被案内突起411,421は、ルーフ開口11から遠い方の被案内突起412,422より高い位置に配されている。
【0027】
嵌合溝23は、略U字状の断面形状の溝であり、その両側の溝壁には、一対の案内部231,232が凹設されている。前述したように、ルーフ開口11から近い方の被案内突起411,421は、ルーフ開口11から遠い方の被案内突起412,422より高い位置に配されている関係から、一対の案内部231,232において、ルーフ開口11から近い方の案内部231がルーフ開口11から遠い方の案内部232より高い位置に配されている。
【0028】
ガイドレール22において、ケーブル30を移動可能に案内するための第2ガイド部26が、案内部231の下方に形成されている。ケーブル30は、可撓性を有する軸形状に形成され、その軸周面に螺旋突起のギヤ部を有して成り、軸形状のケーブル30を移動可能に案内するための第2ガイド部26は、嵌合溝23側が開いた略円形断面形状の溝に形成されている。
【0029】
駆動モータ21からガイドレール22の第2ガイド部26までのケーブル30の誘導は、パイプ部材51によって成されている。したがって、パイプ部材51は、ルーフ開口11の前縁部および、ルーフ開口11の側縁前に沿って延ばされている。
【0030】
移動シュー41,42は、嵌合溝23に移動可能に嵌合しており、移動シュー41の上端部には、取付ブラケット417の前端部が軸支され、移動シュー42の中間部には、リンク機構のリンク部材45が軸支され、リンク部材45には取付ブラケット417の後端部が支持され、取付ブラケット417には、リッド12が支持されている。後方の移動シュー42に形成された傾斜ガイド溝によってリッド12は、その後端側を上下動させる、いわゆるチルトアップ状態、チルトダウン状態となり、また、リッド12は、駆動モータ21の正逆回転によって、ケーブル30の押し引き駆動され、それにより前方に移動してルーフ開口11を閉じた状態と、後方に移動してルーフ開口11を開いた状態とになる。
【0031】
図3において、デフレクタ55は、リッド12が開き動作に連動してヒンジピンを支点として起立し、車室内側への空気の巻き込みを防ぎ、リッド12の閉じ動作に連動してリッド12の下方位置で倒伏するものである。デフレクタ55は、中立点を境にして起立方向と倒伏方向とに付勢されている。
【0032】
デフレクタ55をリッド12に連動すべく連動機構60がルーフ開口11の側縁前部に設けられている。連動機構60は、リンク部材61を有し、リンク部材61は、一端がガイドレール22に枢着され、他端がデフレクタ55の端部に連結されている。一方、リッド12の側縁前部には、リッド12の閉じ動作に応じて、リンク部材61を押し込むためのブロック121が設けられている。
【0033】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
図4(c)に示すように、ルーフ開口11が開き状態にあるとき、リッド12によってルーフ開口11を閉じるべく、駆動モータ21を正転すると、ケーブル30によりシュー部材41,42が引かれて、リッド12を前方へ移動していく。リッド12の側縁前部に設けられたブロック121は、連動機構60のリンク部材61を付勢力に抗して押し込み、それにより、移動するリッド12の下方にデフレクタ55が倒伏するようになり、やがて、図4(a)に示すように、リッド12によってルーフ開口11が全閉される。このとき、ブロック121がルーフ開口11の側縁前部に沿って設けられたパイプ部材51に近づくようになる。
【0034】
しかしながら、パイプ部材51は第2ガイド部26に接続されていて、ガイドレール22の低い位置にあって延設されているので、パイプ部材51とブロック121との間には十分な隙間が確保され、ブロック121がパイプ部材51に当たることはない。
【0035】
ルーフ開口11が全閉状態にあるとき、ルーフ開口11をチルトアップ状態にすべく、さらに、駆動モータ21を正転すると、ケーブル30によりシュー部材41,42が引かれ、図4(b)に示すように、後方の移動シュー42の傾斜ガイド溝43に沿ってピン部材44が後方へ移動することにより、リンク部材45が立ち上がって、リッド12が前端部を中心にして後端部が跳ね上がってチルトアップ状態になる。このとき、リッド12の前縁部が下がって、ブロック121がパイプ部材51にさらに接近するが、このときにも、パイプ部材51との間の隙間が十分に確保されているので、ブロック121とパイプ部材51との干渉のおそれはない。
【0036】
ルーフ開口11が全閉状態あるいは、ルーフ開口11がチルトアップ状態にあるとき、ルーフ開口11を開くには、駆動モータ21を逆転すればよい。それにより、ケーブル30によりシュー部材41,42が押され、後方の移動シュー42の傾斜ガイド溝43に沿ってピン部材44が前方へ移動することにより、リンク部材45が倒れて、リッド12がチルトダウン状態になり、リッド12がルーフ10より下方に下がり、リッド12は、チルトダウン状態を維持しつつ、車体後方へ移動し、それにより、ルーフ開口11が開き状態になる。また、リッド12の車体後方への移動に応じて、デフレクタ55が起立する。
【0037】
リッド12は、取付ブラケット417を介してシュー部材41に支持されるとともに、取付ブラケット417およびリンク部材45を介してシュー部材42に支持されている。このとき、リッド12にかかる荷重は、取付ブラケット417を介してシュー部材41の一対の被案内突起411,412にかかり、取付ブラケット417およびリンク部材45を介してシュー部材42の一対の被案内突起421,422にかかる。
【0038】
その荷重の方向が、図1および図4において、ほぼ上下方向に沿う方向である場合には、一対の被案内突起411,412および一対の被案内突起421,422は、その荷重に十分に耐える構造になっている。
【0039】
その荷重の方向が、図1および図4において、上下方向に対して斜め方向である場合には、シュー部材41の一対の被案内突起411,412やシュー部材42の一対の被案内突起421,422にねじれが生じる。このとき、特に、シュー部材42においては、シュー部材42の下端部が、上端部(リンク部材45を軸支する上端部)から遠いため、シュー部材42の側部424の下端部に形成された被案内突起422には大きなねじれ力が生じる可能性がある。
【0040】
しかし、シュー部材42の被案内突起422とは反対側の側面423の下端部には、面取り部425が施されているので、シュー部材42の被案内突起422と面取り部425とが相互に大きくねじれ合うことがなく、シュー部材42の両側部423,424の各下端部に作用する応力集中が緩和され、被案内突起422は、その荷重に十分に耐えることができる。
【0041】
シュー部材41および、シュー部材42の上下方向の中間部に設けられる被案内突起411および、被案内突起421は、取付ブラケット417やリンク部材45を軸支する部位から近いので、前記斜め方向の荷重がかかっても、被案内突起411や被案内突起421は大きなねじれ力がかからず、十分に耐えることができる。
【0042】
なお、前記実施の形態においては、例えば、嵌合溝23の両側の溝壁に一対の案内部231,232を形成したものを示したが、嵌合溝23の両側の溝壁の一方に1個の案内部を設けたものであっても良く、嵌合溝23の両側の溝壁の一方に2個以上の案内部を設けたものであってもよい。その場合においては、2個以上の案内部の中で、最も低いものの下方に第2ガイド部26を形成すればよい。
【0043】
また、前記実施の形態においては、パイプ部材51をガイドレール22のなるべく低い位置に配したことにより、リッド12の側縁前部に設けられるブロック121とパイプ部材51との間に十分な隙間を確保することができるものを示したが、パイプ部材51を低い位置に配することによる効果は、これに限定することがなく、例えば、レイアウト性の向上や、シュー部材41,42の被案内部411,421に大きな荷重がかからないので、シュー部材41,42において、高い強度が必要となる部分が少なくなり、シュー部材の小型化、薄肉化が実現できる。
【0044】
さらに、一方の案内部231を嵌合溝23の溝壁の中壁部(上下方向の中間部)に形成し、他方の案内部232を嵌合溝23の溝壁の下壁部に形成したものを示したが、両方の案内部231,232を嵌合溝23の溝壁の中壁部あるいは、上壁部に形成してもよい。この場合には、一対の案内部231,232の一方の下方に第2ガイド部26を形成するようにすればよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の一の構成によれば、シュー部材の一対の被案内部を案内するための第1ガイド部の一対の案内部に高低の差を設け、一対の案内部の高い方の下方に、ケーブルを案内するための第2ガイド部を配したので、ガイドレール断面の厚みを変えることなく、ガイドレールの低い位置に第2ガイド部を設けることができ、また、第2ガイド部に接続され、同じくケーブルを案内するためのパイプ部材の取付位置を低くすることができているので、リッドが閉じ状態になり、リッドの側縁前部がパイプ部材に接近した場合にも、リッド側とパイプ部材との間の隙間を十分に確保することができる。
さらに、ルーフ開口の側縁前部にリッドに対してデフレクタを連動させるべく連動機構が配されているので、リッドの閉動作の際に、リッドの側縁前部の当接部がパイプ部材に近づくようになる場合にも、第2ガイド部に接続されたパイプ部材は、低い位置に設けられているから、パイプ部材とリッドの側縁前部の当接部との間には十分な隙間を確保することができる。
【0046】
また、本発明の別の構成によれば、ガイドレールに設けられる第2ガイド部を、少なくとも第1ガイド部の下方に配するようにしたので、第2ガイド部に接続されパイプ部材も下方に取り付けられており、ガイドレール断面の厚みを増やすことなく、リッド側とパイプ部材との間の隙間を十分に確保して、リッド側とパイプ部材との干渉を防止することができる。
【0047】
さらに、本発明の別の構成によれば、一対の案内部の少なくとも一方を、嵌合溝の両側の溝壁の上壁部に凹設し、溝壁の上壁部に凹設された案内部の下方に、第2ガイド部を配したので、一方の被案内突起は、シュー部材の側部の下部でない部位に凸設され、シュー部材の側部の下部には、応力集中を緩和すべく、面取りを施すことができ、シュー部材の小型化や薄肉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図のI−I線断面図である。
【図2】 本発明の一実施の形態に係る車両のサンルーフ装置の正面図である。
【図3】 本発明の一実施の形態に係る車両のサンルーフ装置の平面図である。
【図4】 図のIV−IV線断面図である。
【図5】 従来例を示す車両のサンルーフ装置の正面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 図5のVII-VII線断面図である。
【符号の説明】
11…ルーフ開口
12…リッド
21…駆動モータ
22…ガイドレール
23…嵌合溝
24…樋部
25…ベース部
26…第2ガイド部
30…ケーブル
41,42…シュー部材
43…傾斜ガイド溝
44…ピン部材
45…リンク部材
51…パイプ部材
55…デフレクタ
60…連動機構
61…リンク部材
121…ブロック
231…案内部
231,232…一対の案内部
411,412…一対の被案内突起
413,414…両側部
417…取付ブラケット
421,422…一対の被案内突起
422…被案内突起
423,424…両側部
425…面取り部

Claims (2)

  1. 車両のルーフ開口に沿ってガイドレールを配設し、該ガイドレールにケーブルおよび、シュー部材を移動可能にそれぞれ嵌合し、前記ケーブルが前記シュー部材を介してリッドを駆動することにより、前記ルーフ開口を開閉するようにした車両のサンルーフ装置において、
    前記ガイドレールは、第1ガイド部および、第2ガイド部を有しており、
    前記第1ガイド部は、前記シュー部材にそれぞれ形成された一対の被案内部を移動可能に案内する一対の案内部を有しており、
    前記一対の案内部は、相互の高さが異なるようにそれぞれ配されており、
    前記第2ガイド部は、前記ケーブルを移動可能に案内していて、前記一対の案内部の高い方の下方に配されて、前記ケーブルを前記第2ガイド部まで案内するパイプ部材が接続されており、
    前記パイプ部材は、前記ルーフ開口の側縁前部から前縁部に沿って延設されており、
    前記ルーフ開口の側縁前部には、前記リッドにデフレクタを連動させるべく連動機構が配されていることを特徴とする車両のサンルーフ装置。
  2. 前記ガイドレールは、前記シュー部材が移動可能に嵌合した嵌合溝を有しており、
    前記一対の被案内部は、前記シュー部材の両側部から外側方へそれぞれ凸設された一対の被案内突起であり、
    前記一対の案内部の少なくとも一方は、前記嵌合溝の両側の溝壁の下壁部より上方に凹設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のサンルーフ装置。
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