JP3849847B2 - カーテンウォールシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数種のカーテンウォール工法(構造)に容易に対応可能であるとともに、構成部品の在庫管理等を簡素化し得るカーテンウォールシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カーテンウォール工法によって建物の外壁を構築する場合、予め四周を分割方立および横枠からなる枠材にカーテンウォールパネルを組み込んだカーテンウォールユニットを順に取り付ける、所謂ユニット工法(以下、フルユニット方式スプリットマリオン工法ともいう。)と、施工場所において躯体に方立を取り付けたならば、これら方立間に無目を取り付けて開口枠を形成し、各開口にカーテンウォールパネルを取り付ける手順による、所謂ノックダウン方式とが知られている。
【0003】
近年は、これらユニット方式とノックダウン方式との中間的な方式として、分割方立および横枠とからなるハシゴ形カーテンウォールユニットを順に取り付けた後、カーテンウォールパネルの取付けを行う、所謂ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法と、施工場所において躯体に方立を取付けたならば、これら方立に縦枠および横枠からなる枠材にガラス、パネルなどを組み込んだ、所謂セミユニット方式バックマリオン工法とが存在する。これら2者のカーテンウォール工法は、方立を別体として躯体に先行して取付けるか否かの点から分類すると、前記ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法はユニット工法に分類され、前記セミユニット方式バックマリオン工法はノックダウン工法に分類される。また、カーテンウォールユニットとしてパネルまで組み込んで一括で施工する点から分類すると、前記セミユニット方式バックマリオン工法はユニット工法に分類され、前記ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法はノックダウン工法に分類される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ユニット工法は、予め方立および横枠を組み立てた枠材にパネルを嵌め込んだカーテンウォールユニットを順に取り付けるものであるため、施工は効率的であるけれども、各ユニット間の取り合い及び止水構造等が複雑になるなどのデメリットがある一方、後者のノックダウン工法は、構造は簡略化されるけれども、現場で方立と横枠との連結作業、パネル嵌め込み作業等を行わなければならず、かかる作業に手間と時間が掛かるため、作業が省力化かつ効率化されないなどの問題がある。
【0005】
また、メーカー側においても、仮に前述した4つのカーテンウォール工法にそれぞれ対応した商品を持つ場合、各工法毎にすべての形材、部品等を準備しておく必要があり、製作および管理が煩雑であるとともに、在庫管理品数が膨大となるなどの問題があった。
【0006】
そこで本発明の主たる課題は、複数種のカーテンウォール工法に容易に対応可能であるとともに、構成部品の在庫管理等を簡素化し得るカーテンウォールシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明は、複数種のカーテンウォール工法に対応可能としたカーテンウォールシステムであって、
前記カーテンウォール構造は、相対的に室外側に位置する方立部と、相対的に室内側に位置しパネル面を構成する窓部とに構造的に分離した構造とされ、
前記方立部を構成する代替可能な複数種の方立部材として単一断面構造の方立と、左右対の関係で組み合わされる分割方立との2種が予め用意されるとともに、前記窓部を構成する代替可能な複数種の窓部構成部材の内、縦枠構成部材として、単一断面構造の縦枠と、左右対の関係で組み合わされる分割縦枠との2種が予め用意され、
前記左右対の関係で組み合わされる分割縦枠が、前記単一断面構造の方立と前記左右対の関係で組み合わされる分割方立とに対して、カーテンウォール工法に応じた構造条件の下で組合せ可能とされることを特徴とするものである。
【0008】
この場合、前記代替可能な複数種の窓部構造部材の内、横枠構成部材として、単一断面構造の横枠と、上下対の関係で組み合わされる分割横枠との2種が用意されていることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0010】
本発明に係るカーテンウォール構造は、図1に示されるように、ノックダウン工法KD、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LU、セミユニット方式バックマリオン工法BMおよびフルユニット方式スプリットマリオン工法SMの4つの工法(構造)間において、最大限に部材の共通化を図ることにより、最小限の部材変更により、複数種のカーテンウォール工法に容易に対応可能であるとともに、構成部品の在庫管理等を簡素化したカーテンウォール構造である。
【0011】
具体的には、カーテンウォール構造は、相対的に室外側に位置する方立部と、相対的に室内側に位置しパネル面を構成する窓部とに構造的に分離した構造とされ、同図に示されるように、前記方立部に関しては、ノックダウン工法KDおよびセミユニット方式バックマリオン工法BMの方立を共通化するとともに、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LUおよびフルユニット方式スプリットマリオン工法SMの方立を共通化し、一方前記窓部では、縦枠に関し、前記ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LU、セミユニット方式バックマリオン工法BMおよびフルユニット方式スプリットマリオン工法SMの縦枠を共通化するとともに、横枠に関し、セミユニット方式バックマリオン工法BMおよびフルユニット方式スプリットマリオン工法SMの横枠を共通化したものである。これら前記複数種の方立部材と複数種の窓部構成部材とは、カーテンウォール工法に応じた構造条件の下で任意に組合せ可能とされる。
【0012】
以下、本システム構成の理解のために、具体的にセミユニット方式バックマリオン工法BM、フルユニット方式スプリットマリオン工法SM、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LU、ノックダウン工法KDの順で工法変更手順を交えながら、これらのカーテンウォール構造について詳述する。
【0013】
〔セミユニット方式バックマリオン工法〕
セミユニット方式バックマリオン工法BMに係るカーテンウォール構造は、図2に示されるように、建物壁面の外側に上下方向に間隔をおいて、水平方向に沿って配設された耐風梁(構造支持体)1、1…に対して方立支持金具によって、水平方向に間隔をおいて上下方向に沿って方立2,2…を架け渡した後、この方立2,2…を支持部材として、縦枠3A、3Bおよび上・下横枠4A、4B、図示例では中間横枠5を含んで枠状部材を構成するとともに、この枠状部材の室外面側に縦押縁6A、6Bおよび横押縁7を取付け、ガラスGを嵌め込んだパネルユニットUBMを順に取り付けるようにした構造のカーテンウォールである。
【0014】
前記方立2は、図3に示されるように、内空に隔壁を備え2つの中空室を有する断面略方形状の型材で、室内側面の両側縁部には、部材長手方向に沿って縦枠3A、3Bに連結される突片2a、2bが形成されている。
【0015】
前記方立2は、方立支持金具によって前記耐風梁1に支持されている。具体的には、同図3に示されるように、方立2の両側面位置に耐風梁1に跨る断面L字状の方立支持用ブラケット9を配設し、方立側フランジ9A、9Aおよび方立2を貫通して設けられる方立ボルト10、およびナット13により前記方立支持用ブラケット9と方立2とが連結されるとともに、耐風梁側フランジ9Bと耐風梁1とを貫通して設けられる固定ボルト11、およびナット12により前記方立支持用ブラケット9と耐風梁1とが連結される。
【0016】
前記パネルユニットUBMの上下方向連結境界部では、図5に示されるように、相対的に下段側方立2の上端中空部に下半部が嵌合されるとともに、上段側方立2の下端中空部に上半部が挿入された方立接合用内挿部材14により方立2の連続性が確保されるようになっている。
【0017】
方立2の固定が完了したならば、前記パネルユニットUBMが取り付けられる。前記パネルユニットUBMを構成する縦枠3A、3Bの内、一方の縦枠3Aは図3に示されるように、略方形断面の縦枠本体の室外側面において、その内方側にガラス支持部20を備えるとともに、外方側に室外側に延在する押縁取付け片21aを備え、前記ガラス支持部20に取り付けられるガラス支持用アタッチメント29および前記押縁取付け片21aに取り付けられる縦押縁6Aにより所定幅のガラス嵌合溝が形成され、かつ外側見込み面にはウインドバリア取付け片22aとレインバリア取付け片22bとが形成されている。
【0018】
他方の縦枠3Bも同様に、略方形断面の縦枠本体の室外側面において、その内方側にガラス支持部20を備えるとともに、外方側に室外側に延在する押縁取付け片21bを備え、前記ガラス支持部20に取り付けられるガラス支持用アタッチメント29および前記押縁取付け片21bに取り付けられる縦押縁6Bにより所定幅のガラス嵌合溝が形成されるが、外側見込み面には前記ウインドバリア取付け片22aに係止されたウインドバリア23が当接する突片24aと、前記レインバリア取付け片22bに係止されたレインバリア25が当接する突片24bとが形成されている。なお、前記押縁取付け片21a、21bの室外側面には板状突片26c、26dが設けられているとともに、後述のフルユニット方式スプリットマリオン工法SM、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LUにおいて、室外側に配置されている分割方立15と連結するために、断面L字状係止片26a、26bが設けられている。
【0019】
前記ガラス嵌合溝にはそれぞれ、ガラスGが嵌合されるとともに、室内側および室外側にそれぞれ施工されたバックアップ材・シーリング材30、30により前記ガラスGが支持されている。なお、前記縦枠3A、3BはパネルユニットUBMが隣接配置された状態で左右対の関係で組み合わされる。
【0020】
一方、前記パネルユニットUBMを構成する上・下横枠4A、4Bの内、一方の上横枠4Aは図5に示されるように、断面略方形状の横枠本体の室外側に延在して下方側に向けてガラス嵌合溝を形成するように押縁取付け用延在片31が形成され、前記横枠本体のガラス支持部34に設けられたガラス背面支持用ガスケット33と、バックアップ材・シーリング材30によってガラスGが前記ガラス嵌合溝内に支持されている。なお、横枠本体の背面側に形成された部材長手方向に沿うボルト頭部嵌合用リップ条溝32は、パネルユニットUBMの室内側に方立が存在する場合に、方立との連結を図るためのものである。この場合の構造については、特願2001-85803号公報に詳述してあるため説明は省略する。
【0021】
また、他方の下横枠4Bは、同図に示されるように、断面略方形状の横枠本体の室外側に延在するとともに、上方側に向けてガラス嵌合溝を形成するように押縁取付け用延在片35が形成されている。この押縁取付け用延在片35に取り付けられた横押縁7と、前記横枠本体のガラス支持部36に取り付けられたガラス支持用アタッチメント37とによって所定幅のガラス嵌合溝が設けられ、前記ガラス支持用アタッチメント37部に設けられたバックアップ材・シーリング材30と、前記横押縁7部に設けられたバックアップ材・シーリング材30とによりガラスGが前記ガラス嵌合溝内に支持されている。また、横枠本体の背面側に形成された部材長手方向に沿うボルト頭部嵌合用リップ条溝38が形成されている。なお、前記上横枠4A、下横枠4Bは、パネルユニットUBMが隣接配置された状態で上下対の関係で組み合わされる。
【0022】
他方、中間横枠5は、図4に示されるように、単一中空断面の横枠本体の室外側面に、上下段配置でそれぞれ上側ガラス用押縁取付け片42と、下側ガラス用押縁取付け片39とが設けられ、前記上側ガラス用押縁取付け片42に取り付けられた横押縁7と、横枠本体に設けられたガラス支持部43とによって所定幅の上側ガラス嵌合溝が形成されるとともに、前記下側ガラス用押縁取付け片36と横枠本体に設けられたガラス支持部40に取り付けられたガラス支持用アタッチメント41とにより所定幅の下側ガラス嵌合溝が形成される。上側ガラス嵌合溝ではガラスGが、ガラス支持部43に設けられたガラス背面支持用ガスケット33と、バックアップ材・シーリング材30によって支持されているとともに、下側ガラス嵌合溝ではガラスGが、室内側および室外側にそれぞれ施工されたバックアップ材・シーリング材30,30により支持されている。また、横枠本体の室内側面には、部材長手方向に沿ってボルト頭部嵌合用リップ条溝44が設けられている。
【0023】
前記構造のパネルユニットUBMは、方立2の室内側面に対して連結用リベット28,28を用いて取り付けられる。具体的には図3に示されるように、方立2の室内側面に形成された突片2a、2bと、前記押縁取付け片21a、21bの室外側面に形成された板状突片26c、26dとの間にライナー27を介在させながら重ね合わせ、これらを貫通して設けられる連結用リベット28、28…により固定される。
【0024】
前記パネルユニットUBMを隣接配置した状態では、水平方向に隣接するパネルユニットUBM間では、図3に示されるように、隣接する縦枠3A、3B間においてレインバリア25,ウインドバリア23によって気水密性が確保されるようになっているとともに、上下方向に隣接パネルユニット間UBM間では、図5に示されるように、シールパッキン45により気水密性が確保されるようになっている。
【0025】
一方、目地交点部では、隣接する上・下横枠4A、4B間においては、上横枠4Aの上面側に気密バリヤ46を一体的に備えるレインバリア47が配設され、このレインバリア47の舌片が下横枠4Bの下面に接触することにより、およびこれの室内側位置において、さらに気密バリヤ48を一体的に備えるウインドバリア49を設けることにより、目地交点部から雨水等が浸入するのを確実に防止するようになっている。前記レインバリア47、ウインドバリア49は水平方向に隣接するパネルユニットUBMの上横枠4A、4A間に跨って所定の区間長に亘って配設される。
【0026】
〔フルユニット方式スプリットマリオン工法〕
フルユニット方式スプリットマリオン工法SMに係るカーテンウォール構造は、方立を左右の分割構造とし、分割方立を一体的に備える縦枠3A、3B、上・下横枠4A、4Bおよび中間横枠5によって枠状部材を構成するとともに、この枠状部材の室外面側に縦押縁6A、6Bおよび横押縁7を取付けるとともに、ガラスGを嵌め込んだパネルユニットUSMを順に、建物壁面の外側に上下方向に間隔をおいて、水平方向に沿って配設された耐風梁1、1…に対して方立支持金具(方立支持用ブラケット9)によって取り付けるようにした構造のカーテンウォールである。
【0027】
前述のセミユニット方式バックマリオン工法BMに係るカーテンウォール構造を本フルユニット方式スプリットマリオン工法SMに係るカーテンウォール構造に変更するには、図6に示されるように、方立2の変更のみで対応できるようになっている。具体的には同図に示されるように、単一断面構造の前記方立2に代えて、左右対の分割方立15A、15Bからなり、左右の関係で組み合わされ一体を成す分割方立15が使用される。
【0028】
一方側の分割方立15Aは、略方形状の中空断面を成し、対向面の室外側位置には凹部15aが形成されているとともに、室内側の面には部材長手方向に沿って板状突片15b、L字状突片15cが夫々形成されている。他方の分割方立15Bも同様に、略方形状の中空断面を成し、対向面の室外側位置には突片15dが形成され、室内側の面には部材長手方向に沿って板状突片15f、L字状突片15eが夫々形成されている。
【0029】
前記分割方立15Aを縦枠3Aの室外側面に一体的に組み付けるには、前記分割方立15Aの室内側面に形成されたL字状突片15cを縦枠3Aの室外側面に形成された断面L字状係止片26aに係止するとともに、分割方立15Aの室内側面に形成された板状突片15bを押縁取付け片21aの室外側面に形成された板状突片26cと重ね合わせ、両者を貫通する連結リベット28,28…によって連結を図る。なお、この連結部には縦方向に沿ってカバー材50が取り付けられている。
【0030】
一方の分割方立15Bを縦枠3Bの室外側面に一体的に組み付ける場合も同様に、前記分割方立15Bの室内側面に形成されたL字状突片15eを押縁取付け片21bの室外側面に形成された断面L字状係止片26bに係止するとともに、分割方立15Bの室内側面に形成された板状突片15fを押縁取付け片21bの室外側面に形成された板状突片26dと重ね合わせ、両者を貫通する連結リベット28,28…によって連結を図る。この連結部にも縦方向に沿ってカバー材50が取り付けられる。
【0031】
前述した以外の構造部分、具体的に縦枠3A、3B、上・下横枠4A、4B、中間横枠5、縦押縁6A、6B、横押縁7等については、前記セミユニット方式バックマリオン工法BMの場合と全く同様であるため、同符号を付して説明は省略する。
【0032】
以上の、分割方立15A、15Bを含みながら構成されたパネルユニットUSMは建物壁面の耐風梁1に対して方立支持金具(方立支持用ブラケット9)により順に取り付けられる。具体的には、同図7に示されるように、分割方立15A、15Bに予めボルト軸部を外面に突出させて方立ボルト17A、17Bを固設しておき、方立2の両側面位置に耐風梁1に跨る断面L字状の方立支持用ブラケット9を配設し、方立側フランジ9Aの通孔に前記方立ボルト17A、17Bの軸部を通しナット13により締結するとともに、耐風梁側フランジ9Bと耐風梁1とを貫通して設けられる固定ボルト11、およびナット12により前記方立支持ブラケット9と耐風梁1とを連結する。
【0033】
前記パネルユニットUSMの上下方向連結境界部では、図9に示されるように、相対的に下段側方立15の上端中空部に下半部が嵌合されるとともに、上段側方立15の下端中空部に上半部が挿入された方立接合用内挿部材16A、16Bにより方立15、15の連続性が確保されるようになっている。
【0034】
〔ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法〕
ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LUに係るカーテンウォール構造は、方立を左右の分割構造とし、分割方立を一体的に備える縦枠3A、3B、上下二段の中間横枠5によって構成されるハシゴ形の面材をパネルユニットULUとして順に、建物壁面の外側に上下方向に間隔をおいて、水平方向に沿って配設された耐風梁1、1…に対して方立支持金具(方立支持用ブラケット9)によって取り付けた後、枠状部材の室外面側に縦押縁6A、6Bおよび横押縁7を取付けるとともに、ガラスGを嵌め込み固定するようにした構造のカーテンウォールである。
【0035】
前記フルユニット方式スプリットマリオン工法SMに係るカーテンウォール構造を本ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LUのカーテンウォール構造に変更するには、図10に示されるように、上・下横枠4A、4Bを単一断面構造の横枠、具体的には前記セミユニット方式バックマリオン工法BMおよびフルユニット方式スプリットマリオン工法SMに係るカーテンウォール構造において、中間横枠5として用いた横枠に変更するのみで足りる。これ以外の構造部分、具体的に分割方立15,縦枠3A、3B、縦押縁6A、6B、横押縁7等については、前記フルユニット方式スプリットマリオン工法SMの場合と同様であるため、同符号を付して説明は省略する。
【0036】
分割方立15A、15Bを含みながら構成された前記パネルユニットULUを耐風梁1に対し方立支持金具(方立支持用ブラケット9)により順に取り付けたならば、縦枠3A、3Bおよび中間横枠5,5に縦押縁6A、6Bおよび横押縁7を取付けるとともに、ガラス支持用アタッチメント29,37,43を取り付けた後、縦枠3A、3Bおよび中間横枠5,5によって囲まれた枠内に対して、ガラスGを嵌め込み、ガラスGを間に挟んで室内側および室外側にそれぞれ施工されるバックアップ材・シーリング材30またはガラス背面支持用ガスケット33により支持するようにする。
【0037】
〔ノックダウン工法〕
ノックダウン工法KDに係るカーテンウォール構造は、建物壁面の外側に配設された耐風梁1,1…に対して方立支持金具(方立支持用ブラケット9)によって、水平方向に間隔をおいて上下方向に沿って方立2,2…を架け渡した後、前記方立2,2の室内側面に縦枠18を取り付けるとともに、上下方向に所定の間隔で横枠(無目)を架け渡して窓部開口枠を構成し、この開口枠の室外側に横押縁7を取付け、ガラスGを嵌め込むようにした構造のカーテンウォールである。
【0038】
前記ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法に係るカーテンウォール構造を本ノックダウン工法に係るカーテンウォール構造に変更するには、分割方立15、縦枠3A、3Bおよび縦押縁6A、6Bを変更する。
【0039】
具体的には、図14に示されるように、前記分割方立15に代えて単一断面構造の方立2を使用するとともに、図15に示されるように、前記縦枠3A、3Bおよび縦押縁6A、6Bに代えて左右両側に夫々ガラス嵌合溝を形成するようにした縦枠18を使用する。
【0040】
より詳しく説明すると、前記方立2は、前記セミユニット方式バックマリオン工法BMにおいて使用した方立2がそのまま使用される。また、前記縦枠18は、方立2の室内側面に取り付けられる断面T字状を成す背面連結部材51、この背面連結部材51に連結リベット54,54…によって連結される断面逆T字状を成す縦枠本体52、およびこれら背面連結部材51および縦枠本体52の両側に夫々取り付けられ、ガラス背面側を支持するためのガラス支持部53a、53bを有する側枠53A、53Bとから構成されるもので、ノックダウン工法KDのために専用で使用される部材である。
【0041】
施工に当たっては、図16に示されるように、方立2、2…の室外側面に対して前記縦枠本体52を連結リベット55,55により固定するとともに、背面連結部材51を連結リベット54,54によって固定する。そして、前記縦枠本体52の中間横枠5,5配設部位の両側にそれぞれ横枠支承金具56,56を取り付け、これら横枠支承金具56,56間に横架させるようにして中間横枠5,5を取り付ける。その後、前記背面連結部材51、縦枠本体52の両側にそれぞれ側枠53A、53Bを取り付けて、ガラス嵌合溝を構成する。
【0042】
こうして、方形枠状のガラス嵌合溝が形成されたならば、横押縁7を取付け、ガラスGを嵌め込むとともに、ガラス支持用アタッチメント29,41,43を取り付けるとともに、室内側および室外側にそれぞれ施工されるバックアップ材・シーリング材30またはガラス背面支持用ガスケット33により支持するようにする。なお、本ノックダウン工法KDの施工においては、効率化のために、前記方立2、縦枠本体52,背面連結部材51を予め工場出荷時に一体組みしておき、この一体組みユニットを耐風梁1に取付けるようにしてもよい。
【0043】
以上、セミユニット方式バックマリオン工法BM、フルユニット方式スプリットマリオン工法SM、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LU、ノックダウン工法KDの順で工法変更手順を交えながら、これらのカーテンウォール構造について詳述したが、本構造に係るカーテンウォールシステムの場合には、経年後にカーテンウォールの一部を同工法のカーテンウォールはもちろんのこと、異工法のカーテンウォールにより補修または外装表面材の取替えが可能となる。このリニューアル時の便宜のために、本カーテンウォール構造では特に、図19に示されるように、横枠の室内側において、横枠に設けられた蓋板係止具60と、額縁本体61とに跨って開口自在の蓋板62が取り付けられ、前記横枠が封鎖されるようになっている構造において、前記蓋板62は額縁本体61との固定に用いられているボルト63を取り除いた後、前記蓋板係止具60を回転中心として開いたとき、横枠部分が露出するようになっており、内装仕上げ材(膳板、ブラインドボックス、腰壁等)を破壊する必要なく、容易にリニューアル工事が行えるようになっている。
【0044】
また、本カーテンウォールシステムにおいては、代替可能な複数種の方立部材と、前記窓部を構成する代替可能な複数種の窓部構成部材とが相互に嵌め合い可能であるとともに、異なる工法間で横枠同士が相互に嵌め合い可能となっているため、1つの建物の壁面内で異なる工法のユニットまたは部材を組み合わせて壁面を構成することが可能になる。具体的には、図20に示されるように、カーテンウォールの水平方向へはセミユニット方式バックマリオン工法BM、フルユニット方式スプリットマリオン工法SM、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LUの3種類の中で任意の組み合わせが可能とされる。この際、方立2を使用するセミユニット方式バックマリオン工法BMと、分割方立15を使用するフルユニット方式スプリットマリオン工法SMおよびハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LUとの境界部では、前記セミユニット方式バックマリオン工法BM側の方立として例外的に分割方立15Aを用いるようにすればよい。
【0045】
また、図21に示されるように、カーテンウォールの縦方向へはセミユニット方式バックマリオン工法BM、フルユニット方式スプリットマリオン工法SM、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LU、ノックダウン工法KDのすべての工法間で任意の組み合わせが可能とされる。この際、中間横枠5を使用するハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LUおよびノックダウン工法KDと、分割される上・下横枠4A、4Bを使用するセミユニット方式バックマリオン工法BMおよびフルユニット方式スプリットマリオン工法SMとの境界部では、ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法LU、ノックダウン工法KD側の横枠として例外的に下横枠4Bを用いるようにすればよい。
【0046】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、複数種のカーテンウォール工法に容易に対応可能であるとともに、構成部品の在庫管理等を簡素化し得るようになる。また、部材の共通化により、同一建物の中で工法変更を容易に行い得るようになるとともに、リニューアル時においても、外装表面材の貼り替えが可能となり、省力化を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本カーテンウォールのシステム構成説明図である。
【図2】 本カーテンウォールの姿図である。
【図3】 セミユニット方式バックマリオン工法BMにおける水平横断面図(図1のIII−III線矢視図)である。
【図4】 セミユニット方式バックマリオン工法BMにおける中間横枠部縦断面図(図1のIV−IV線矢視図)である。
【図5】 セミユニット方式バックマリオン工法BMにおける上・下横枠部縦断面図(図1のV−V線矢視図)である。
【図6】セミユニット方式バックマリオン工法からフルユニット方式スプリットマリオン工法へ変更する場合の部材変更図である。
【図7】 フルユニット方式スプリットマリオン工法における水平横断面図(図1のVII−VII線矢視図)である。
【図8】 フルユニット方式スプリットマリオン工法における中間横枠縦断面図(図1のVIII−VIII線矢視図)である。
【図9】 フルユニット方式スプリットマリオン工法における上・下横枠縦断面図(図1のIX−IX線矢視図)である。
【図10】 フルユニット方式スプリットマリオン工法からハシゴユニット方式スプリットマリオン工法へ変更する場合の部材変更図である。
【図11】 ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法における水平横断面図(図1のXI-XI線矢視図)である。
【図12】 ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法における中間横枠縦断面図(その1)(図1のXII-XII線矢視図)である。
【図13】 ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法における中間横枠縦断面図(その2)(図1のXIII-XIII線矢視図)である。
【図14】 ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法からノックダウン工法へ変更する場合の部材変更図(その1)である。
【図15】 ハシゴユニット方式スプリットマリオン工法からノックダウン工法へ変更する場合の部材変更図(その2)である。
【図16】 ノックダウン工法における水平横断面図(図1のXVI-XVI線矢視図)である。
【図17】 ノックダウン工法における中間横枠縦断面図(その1)(図1のXVII-XVII線矢視図)である。
【図18】 ノックダウン工法における中間横枠縦断面図(その2)(図1のXVIII-XVIII線矢視図)である。
【図19】 本カーテンウォールシステムにおける内装仕上げ状態を示す断面図である。
【図20】 水平方向への異なるカーテンウォール工法の組み合わせ要領図である。
【図21】 縦方向への異なる工法の組み合わせ要領図である。
【符号の説明】
1…耐風梁(構造支持材)、BM…セミユニット方式バックマリオン、SM…フルユニット方式スプリットマリオン、LU…ハシゴユニット方式スプリットマリオン、KD…ノックダウン、2…方立、3A・3B…縦枠、4A…上横枠、4B…下横枠、5…中間横枠、6A・6B…縦押縁、7…横押縁、9…方立支持用ブラケット、15…分割方立、18…縦枠

Claims (2)

  1. 複数種のカーテンウォール工法に対応可能としたカーテンウォールシステムであって、
    前記カーテンウォール構造は、相対的に室外側に位置する方立部と、相対的に室内側に位置しパネル面を構成する窓部とに構造的に分離した構造とされ、
    前記方立部を構成する代替可能な複数種の方立部材として単一断面構造の方立と、左右対の関係で組み合わされる分割方立との2種が予め用意されるとともに、前記窓部を構成する代替可能な複数種の窓部構成部材の内、縦枠構成部材として、単一断面構造の縦枠と、左右対の関係で組み合わされる分割縦枠との2種が予め用意され、
    前記左右対の関係で組み合わされる分割縦枠が、前記単一断面構造の方立と前記左右対の関係で組み合わされる分割方立とに対して、カーテンウォール工法に応じた構造条件の下で組合せ可能とされることを特徴とするカーテンウォールシステム。
  2. 前記代替可能な複数種の窓部構造部材の内、横枠構成部材として、単一断面構造の横枠と、上下対の関係で組み合わされる分割横枠との2種が用意されている請求項1記載のカーテンウォールシステム。
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