JP3849823B2 - 免疫学的測定用試薬 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固相担体、特に多孔性膜上にて生体試料成分を免疫学的に測定する法において、測定値に悪影響を及ぼす、生体試料中の非特異反応を生じる物質の影響を抑制し、より正確な測定を可能にする方法およびそのための洗浄用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、生体試料中の様々な成分を測定する方法として、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定法がある。このような免疫学的測定法の中には、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、蛍光免疫測定法(FIA)等、検出系に西洋ワサビペルオキシダーゼやアルカリ性ホスファターゼ等の酵素、ヨウ素125 等の放射性同位元素(RI)、アクリジニウム化合物等の発光物質あるいはフルオレセインイソチオシアネート等の蛍光物質などを標識した抗体または抗原を用いる測定法などがあり、それらの感度の高いことから現在、広く用いられている。これらの測定法としては、固相担体を利用する免疫学的測定法が広く使用されている。
【0003】
しかしながら、これら免疫学的測定法は生体試料中の極微量の成分でも測定可能である反面、生体試料中に含まれる非測定対象成分による非特異反応も生じることがあり、微量の測定対象成分を測定する場合には、測定結果に大きな影響を与える。
【0004】
例えば、検出系に用いる酵素等の標識物質と同様の活性をもつ物質が生体試料中に存在し、その物質が検出反応の段階で反応系に残っていると、特異的な免疫反応とは無関係の非特異的な反応が起こり、本来、陰性と判定されるべき試料を誤って陽性と判定することもあり得る。
【0005】
また、免疫反応の際に抗原あるいは抗体と結合しなかった遊離の標識物質そのものも、何らかの影響により検出反応系に残ってしまうと非特異的反応の原因となる。
【0006】
そこで、これら生体試料由来の非特異反応の原因成分の影響を抑制すべく、これまでに種々の方法が考えられている。例えば、固相担体を使用する方法では、これら非特異反応成分の固相担体への吸着を防止するためにカゼイン、牛血清アルブミン、ゼラチン等のブロッキング剤を使用する方法などが知られている。また、非特異反応を抑制する別の方法として、測定試薬中に界面活性剤等を添加する方法が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では生体試料由来の非特異反応を防止することができない場合がある。例えば、固相担体、特に多孔性膜を使用する免疫学的測定法において、標識物質と同様の活性を持ち、かつ、それが多孔性膜の細孔よりも大きいために、膜を通過できないような物質(血球等)が生体試料中に混入している場合や、生体試料中の可溶成分が不溶化して多孔性膜の目詰まりを起こし、本来は膜を通過するような遊離の標識物質や、標識物質と同様の活性をもつ生体試料中の物質などが膜上に残ってしまう場合などはブロッキング剤では防止できない。また、測定試薬中に界面活性剤を添加する方法においても、添加する界面活性剤の種類によっては、固相担体に結合する抗体あるいは抗原が、該担体より脱離したり免疫反応等が阻害されてしまうために、特異的なシグナルが極端に低下してしまうことがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、固相担体を使用する免疫学的測定法において、生体試料中の非特異反応の原因物質の影響を抑制すべく、鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明はアルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液である。
【0010】
また、本発明は生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された固相担体、生体試料成分と免疫学的に反応する標識された抗体または抗原を含有する試薬およびアルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液を含有する免疫学的測定用試薬である。
【0011】
さらに、本発明は、生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された固相担体上にて、該抗体または抗原と生体試料成分を反応させ、次いで反応した生体試料成分と、該成分と免疫学的に反応する標識された抗体または抗原を含有する試薬を反応させ、次いで、アルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、固相担体上の標識物質を測定することを特徴とする免疫学的測定法である。
【0012】
また、本発明は、生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された固相担体上にて、該抗体または抗原と生体試料成分を反応させ、アルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、次いで反応した生体試料成分と、該成分と免疫学的に反応する標識された抗体または抗原を含有する試薬を反応させ、アルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、固相担体上の標識物質を測定することを特徴とする免疫学的測定法である。
【0013】
また、本発明は、固相担体上にて生体試料成分および該成分と免疫学的に反応する抗体または抗原を反応させ、次いでアルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて洗浄する工程を含むことを特徴とする免疫学的測定法である。
【0014】
【発明の実施態様】
本発明において、生体試料成分とは、血液、血清、血漿、リンパ液、尿、糞便、腹水、胸水などに含まれる成分であって、例えば、CEA(癌胎児性抗原)、AFP(α−フェトプロテイン)、CA19−9、CA125、PSA(前立腺特異抗原)などの腫瘍マーカー、CRP(C反応性蛋白)、IgA(免疫グロブリンA)、IgG(免疫グロブリンG)、IgM(免疫グロブリンM)などの炎症関係マーカー、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、トキソプラズマ、クラミジア、梅毒などの感染症関係のマーカー、アレルゲン特異IgE(免疫グロブリンE)などが例示される。
【0015】
本発明において、生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原とは、上記成分が抗原である場合は、抗体であり、上記成分が抗体である場合は、抗原である。
生体試料成分(抗原)と反応する抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体あるいはそれらの断片(Fab、Fab’、F(ab')2 、Fv等)などが含有される。
【0016】
本発明に用いられる固相担体とは、通常、免疫学的測定法で用いられている固相担体であり、その形態としては、例えば多孔性膜、微粒子、ビーズ、マイクロタイタープレート、チューブなどがあり、特に多孔性膜が好ましい。
本発明に用いる多孔性膜の素材は何であってもよく、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン類、ガラス、セルロースやセルロース誘導体などの多糖類あるいはセラミックス等より製造する。具体的には、東洋濾紙やワットマンなどのメーカーより販売されいているガラス繊維濾紙やセルロース濾紙などがある。
また、微粒子としては、ポリスチレン、ポリプロピレン等の高分子ポリマーより製するもの、あるいはそれらを酸化鉄粒子等の磁性粒子にコーティングして製するものなどがある。
【0017】
固相担体に抗体あるいは抗原固定化する方法は、通常、免疫学的試薬の調製に用いられる方法であれば、どのようなものでもよく、抗体あるいは抗原が固相担体に物理吸着あるいは化学結合等により、直接または間接的に結合していればよい。
【0018】
標識された抗体または抗原とは、上記抗体または抗原に標識物質を直接または間接に結合した物質であり、標識物質としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性フォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等の酵素、ヨウ素125 等の放射性同位元素、アクリジニウム化合物、ルミノール等の発光物質、フルオレセインイソチオシアネートあるいはユーロピウム(III) キレート等の蛍光物質、金属コロイドなどが知られている。
【0019】
本発明において、生体試料中の非特異反応の原因物質とは、例えば、血液、尿等の生体試料中に含まれ、検出系に用いる酵素等の標識物質と同様の活性をもつ物質であり、例えば、検出系に西洋ワサビペルオキシダーゼを標識した抗体または抗原等を用いる場合、血液中のペルオキシダーゼ様活性をもつ物質(ミエロペルオキシダーゼ等の動物性ペルオキシダーゼまたはヘモグロビンやカタラーゼ等の偽ペルオキシダーゼ活性を持つ物質)等が含まれる。
また、血液凝固系が働くなどの生物学的変化や凍結融解等の物理的変化などにより生体試料中の可溶成分が不溶化したものも非特異反応の原因物質となる。
【0020】
本発明に用いるアルキルグリコシド系界面活性剤とは、イオン性、非イオン性にかかわらず、親水基に糖類、疎水基にアルキル基を有し、それらがエーテルもしくはチオエーテル結合している界面活性剤を指す。このような界面活性剤としては、例えばn-オクチル- β-D- グルコピラノシド、n-ノニル- β-D- マルトピラノシド、n-デシル- β-D- グルコピラノシド、n-ドデシル- β-D- グルコピラノシド、n-デシル- β-D- マルトピラノシド、n-ヘプチル- β-D- チオグルコピラノシド、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシド、n-ドデシル- β-D- マルトピラノシド、n-ノニル- β-D- チオマルトピラノシド、オクチル- β-D- チオガラクトピラノシド等が挙げられ、特に、n-オクチル- β-D- グルコピラノシド、n-ヘプチル- β-D- チオグルコピラノシドまたはn-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドなどが好ましい。
【0021】
また、本発明に用いられるステロイド系界面活性剤とは、イオン性、非イオン性にかかわらず、疎水基にステロイド骨格を有する界面活性剤のことを指し、例えばコール酸塩、デオキシコール酸塩、デヒドロコール酸塩、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、3-[(3-コールアミドプロピル) ジメチルアンモニオ] プロパンスルホン酸、3-[(3-コールアミドプロピル) ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、N,N-ビス(3-D- グルコンアミドプロピル) コールアミドや、ジギトニン等のステロイドサポニンなどが挙げられ、その中でもデオキシコール酸ナトリウム、3-[(3-コールアミドプロピル) ジメチルアンモニオ] プロパンスルホン酸などが好ましい。
【0022】
なお、上記界面活性剤は単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。また、上記界面活性剤は、好ましくは、0.01(w/v)%〜2.0(w/v)% 、特に好ましくは、0.1(w/v)% 〜0.5(w/v)% の濃度範囲で用いる。
【0023】
本発明に用いる固相洗浄液には、上記界面活性剤のほかに、例えばリン酸緩衝剤、トリス緩衝剤やグッド緩衝剤など、通常、洗浄液成分として用いられる緩衝剤を含有していてもよい。また、該洗浄液のpHは特に限定されないが、pH5〜9の範囲内であることが望ましい。さらには、通常、洗浄液成分として用いられる塩化ナトリウム等の塩類、防腐剤等の添加物を適宜添加してもよい。
【0024】
また、本発明に用いられる固相洗浄液には、アルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤の他に、通常、免疫学的測定法において用いられ、かつ、測定系に悪影響を及ぼさない界面活性剤(ポリオキシソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノ-p- イソオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤等)が、通常、この分野で用いられている範囲の濃度で添加されていてもよい。
【0025】
本発明に用いられる固相洗浄液は、固相の洗浄を必要とする免疫学的測定法、すなわち、ヘテロジニアスイムノアッセイ全般に用いることができ、免疫反応の様式は競合法であっても、非競合法であってもよい。
【0026】
本発明の免疫学的測定法の一実施態様は、生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された固相担体上にて、該抗体または抗原と生体試料成分を反応させ、次いで反応した生体試料成分と、該成分と免疫学的に反応する標識された抗体または抗原を含有する試薬を反応させ、次いで、アルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、固相担体上の標識物質を測定する。免疫学的反応はワン・ステップ反応でも、ツー・ステップ反応でもよい。
標識物質を測定する方法としては、公知の方法に従って行えばよく、例えば標識物質が酵素の場合は、基質と反応させた後、吸光度あるいは反射光の強度を測定すればよい。また、標識物質が放射性同位元素の場合は、放射線の線量をカウンターにてカウントすればよい。
【0027】
本発明の別な実施態様は、生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された固相担体上にて、該抗体または抗原と生体試料成分を反応させ、アルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、次いで反応した生体試料成分と、該成分と免疫学的に反応する標識された抗体または抗原を含有する試薬を反応させ、アルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、固相担体上の標識物質を測定する。
【0028】
さらに、本発明の別な実施態様は、固相担体上にて、生体試料成分および該成分と免疫学的に反応する抗体または抗原を反応させ、次いでアルキルグリコシド系界面活性剤またはステロイド系界面活性剤を含有する免疫学的測定用固相洗浄液にて洗浄する工程を含む。これらの免疫学的反応は、固相担体を用いる方法であればよく、上記サンドイッチ法による検出法に限られない。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0030】
実施例1 固相洗浄液の調製
0.05(w/v)%ポリオキシソルビタンモノラウレート(商品名:Tween20 ;ナカライテスク製)を含有するリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2) に、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシド(同仁化学研究所製) 、3-[(3-コールアミドプロピル) ジメチルアンモニオ] プロパンスルホン酸(商品名:CHAPS;同仁化学研究所製) 、および比較のための界面活性剤として、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(ナカライテスク製) を添加し、下記6種類の固相洗浄液を調製した。
(a) 0.05(w/v)% n- オクチル- β-D- チオグルコピラノシド添加洗浄液
(b) 0.2(w/v)% n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシド添加洗浄液
(c) 0.05(w/v)% CHAPS添加洗浄液
(d) 0.2(w/v)% CHAPS添加洗浄液
(e) 0.05(w/v)%臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム添加洗浄液
(f) 0.2(w/v)% 臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム添加洗浄液
【0031】
実施例2 特異的シグナルの比較
(1) 測定試薬
免疫学的測定試薬として、上部に免疫学的反応層である抗CEA(癌胎児性抗原)抗体が固定化された多孔性膜(ガラス繊維フィルター)を有し、下部に免疫反応後の液体を吸収する層を有する反応部材およびペルオキシダーゼ標識抗CEA抗体を含む試薬からなる免疫学的測定試薬(商品名、イムノフローラ・CEA、東洋紡績製)、ブロック液(カゼイン等を含む)、希釈液(緩衝剤等を含む)、発色液( 10-N-メチルカルバモイル-3,7- ジメチルアミノ-10H- フェノチアジン(MCDP)等を含む)を使用した。
固相洗浄液は、実施例1にて調製した n- オクチル- β-D- チオグルコピラノシド添加洗浄液、(a) 、(b) 、(c) 、(d) 、(e) (比較例)、(f) (比較例)を用い、さらに対照として、0.05(w/v)%Tween20 含有リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2) を用いた。
(2) 被検試料
CEA標準液(東洋紡績製)を用いた。
(3) CEA特異的シグナル測定
上部に免疫学的反応層である抗CEA(癌胎児性抗原)抗体が固定化された多孔性膜(ガラス繊維フィルター)を有し、下部に免疫反応後の液体を吸収する層を有する反応部材に、ブロック液、希釈液にて希釈した被検試料、標識抗体、洗浄液、発色液の順に順次、滴下して、多孔性膜上の発色の度合いを 670nmの波長の光を当てたときの反射光で測定し、CEA標準液のCEA特異的シグナルを算出した。
その測定結果を表1に示す。シグナルの値は、Kubelka-Munk式(K/S =(1−反射率)^2 /(2*反射率))によって導かれるK/S 値の、単位時間あたりの変化量(ΔK/S )で示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003849823
【0033】
表1から明らかなように、アルキルグリコシド型界面活性剤の1つである、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシド、あるいはステロイド型界面活性剤の一つであるCHAPSを添加した洗浄液を用いた場合には、シグナルの低下は認められなかったが、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを添加した洗浄液を用いた場合には、明らかなシグナルの低下が認められた。
【0034】
実施例3 血清中CEA濃度の測定
(1) 測定試薬
実施例2と同様にして、CEA測定試薬(イムノフローラ・CEA)、ブロック液、希釈液、発色剤を用いた。洗浄液は、実施例1にて調製した n- オクチル- β-D- チオグルコピラノシド添加洗浄液(a) および(b) を用い、対照として、0.05(w/v)%Tween20 含有リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2) を用いた。
比較のために、プラスチックビーズを固相担体として用いる免疫測定試薬(イムノボール・CEA(東洋紡績製))を同様に、免疫測定に供した。
(2) 被検試料
ヒト血清を非特異反応物質含有血清として用いた。
(3) CEA濃度測定
実施例2と同様に多孔性膜またはプラスチックビーズを使用する上記測定試薬を用い、血清中のCEA濃度の測定を行った。その測定結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003849823
【0036】
表2から明らかなように、対照組成(n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシド無添加)の洗浄液を用いて測定した場合には、プラスチックビーズ固相の試薬で測定した場合に比べて、多孔性膜を使用する測定試薬では測定値が高くなっているが、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドを添加した洗浄液を用いた場合、多孔性膜を使用する測定試薬では、プラスチックビーズ固相の試薬で測定した測定値とほぼ同じである。これは、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシド添加洗浄液が、血清中の非特異反応物質の影響を抑制していることを示している。
【0037】
実施例4 固相洗浄液の調製
0.05(w/v)%Tween20 含有リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2) に、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドおよびデオキシコール酸ナトリウム(ナカライテスク製) を添加し、下記3種類の洗浄液を調製した。
(g) 0.2(w/v)% n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシド添加洗浄液
(h) 0.2(w/v)% n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドおよび0.2(w/v)% デオキシコール酸ナトリウム添加洗浄液
(i) 0.3(w/v)% n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドおよび0.2(w/v)% デオキシコール酸ナトリウム添加洗浄液
【0038】
実施例5 血清中AFP濃度の測定
(1) 測定試薬
多孔性膜を固相担体として用いる免疫測定試薬であるイムノフローラ・AFP(東洋紡績製)、ブロック液、希釈液、発色剤を用いた。洗浄液には、0.05(w/v)%Tween20 含有リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2) に、さらに、 n- オクチル- β-D- チオグルコピラノシド、または該化合物およびデオキシコール酸ナトリウムを添加した、実施例4にて調製した洗浄液(g) 、(h) 、(i) を用いた。
対照として、 n- オクチル- β-D- チオグルコピラノシドおよびデオキシコール酸ナトリウムを添加しない、0.05(w/v)%Tween20 含有リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2) を用い、さらに比較のために、プラスチックビーズを固相担体として用いる免疫測定試薬であるイムノボール・AFPネオ(東洋紡績製)を用いた。
(2) 被検試料
ヒト血清を非特異反応物質含有血清として用いた。
(3) AFP濃度測定
実施例3と同様に多孔性膜またはプラスチックビーズを使用する上記測定試薬を用い、血清中のAFP濃度の測定を行った。その測定結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
Figure 0003849823
【0040】
表3から明らかなように、対照組成(n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドおよびデオキシコール酸ナトリウムが無添加)の洗浄液を用いて測定した場合には、ビーズ固相の試薬で測定した場合に比べて、多孔性膜を使用する試薬では、測定値が高くなっているが、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドおよびデオキシコール酸ナトリウムを添加した洗浄液を用いた場合、ビーズ固相の試薬で測定した測定値とほぼ同じである。これは、n-オクチル- β-D- チオグルコピラノシドおよびデオキシコール酸ナトリウムを添加した洗浄液が、血清中の非特異反応物質の影響を抑制していることを示している。
【0041】
実施例6 対照組成の洗浄液を用いたときのビーズ固相試薬との相関
(1) 測定試薬
実施例2と同様に多孔性膜を固相担体として用いる免疫測定試薬(イムノフローラ・CEA、東洋紡績製)、ブロック液、希釈液、発色剤を用いた。洗浄液には、実施例4にて調製した洗浄液の対照組成、0.05(w/v)%Tween20 含有リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2) を用いた。
比較のために、プラスチックビーズを固相担体として用いる免疫測定試薬であるイムノボール・CEAを用いた。
(2) 被検試料
ヒト血清69検体を試料として用いた。
(3) CEA濃度測定
実施例2と同様に、多孔性膜またはプラスチックビーズを使用する上記測定試薬を用い、血清中のCEA濃度の測定を行った。その測定結果を図1に示す。
【0042】
実施例7 本発明の洗浄液を用いたときのビーズ固相試薬との相関
(1) 測定試薬
実施例2と同様に、多孔性膜を固相担体として用いる免疫測定試薬(イムノフローラ・CEA、東洋紡績製)、ブロック液、希釈液、発色剤を用いた。洗浄液には実施例4にて調製した洗浄液(i) を用いた。
比較のために、プラスチックビーズを固相担体として用いる免疫測定試薬(イムノボール・CEA、東洋紡績製)を用いた。
(2) 被検試料
ヒト血清53検体を試料として用いた。
(3) CEA濃度測定
上記測定試薬を用い、血清中のCEA濃度の測定を行った。測定結果を図2に示す。
【0043】
図1および図2から明らかなように、多孔性膜を固相担体として用いる試薬(イムノフローラ・CEA)に、本発明の洗浄液を適用することによって、CEAの測定値が、ビーズを固相担体として用いる試薬(イムノボール・CEA)と同等の値を示すようになる。このことから、本発明の洗浄液を用いることによって、多孔性膜特有の非特異反応物質の影響を抑制し、正確な測定値を示すことがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、固相担体、特に多孔性膜上にて検出を行う生体試料成分の免疫学的測定法において測定値に悪影響を及ぼす生体試料中の非特異反応の原因物質の影響を抑制し、より正確な測定を可能にする方法および測定試薬を提供するものである。
また、洗浄力が向上することによって、固相担体、特に多孔性膜上に残る遊離の標識物質を洗い流す効果も大きくなり、その結果として、シグナル/ノイズ比の向上、すなわち検出力の向上も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】血清中のCEA濃度の測定結果を示す図である。
【図2】血清中のCEA濃度の測定結果を示す図である。

Claims (5)

  1. 多孔性膜を固相担体として用いる酵素免疫測定用試薬の構成要素のひとつである洗浄液であって、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有し、更にアルキルグリコシド系界面活性剤およびステロイド系界面活性剤を含有する酵素免疫測定用固相洗浄液。
  2. 生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された多孔性膜からなる固相担体、生体試料成分と免疫学的に反応する酵素標識された抗体または抗原を含有する試薬おびポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有し、さらに、アルキルグリコシド系界面活性剤およびステロイド系界面活性剤を含有する酵素免疫測定用固相洗浄液を含有する酵素免疫測定用試薬。
  3. 生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された多孔性膜からなる固相担体上にて、該抗体または抗原と生体試料成分を反応させ、次いで反応した生体試料成分と、該成分と免疫学的に反応する酵素標識された抗体または抗原を含有する試薬を反応させ、次いで、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有し、さらに、アルキルグリコシド系界面活性剤およびステロイド系界面活性剤を含有する酵素免疫測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、固相担体上の標識物質を測定することを特徴とする免疫学的測定法。
  4. 生体試料成分と免疫学的に反応する抗体または抗原が固定化された多孔性膜からなる固相担体上にて、該抗体または抗原と生体試料成分を反応させ、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有し、さらに、アルキルグリコシド系界面活性剤およびステロイド系界面活性剤を含有する酵素免疫測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、次いで反応した生体試料成分と、該成分と免疫学的に反応する酵素標識された抗体または抗原を含有する試薬を反応させ、次いで、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有し、更にアルキルグリコシド系界面活性剤およびステロイド系界面活性剤を含有する酵素免疫測定用固相洗浄液にて固相担体を洗浄し、固相担体上の標識物質を測定することを特徴とする免疫学的測定法。
  5. 固相担体上にて、生体試料成分および該成分と免疫学的に反応する抗体または抗原を反応させ、次いでポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を含有し、さらに、アルキルグリコシド系界面活性剤およびステロイド系界面活性剤を含有する酵素免疫測定用固相洗浄液にて洗浄する工程を含むことを特徴とする免疫学的測定法。
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