JP3849611B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発燃料処理装置に係り、特に、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を大気に放出させることなく処理するための蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平5−239779号公報に開示されるように、燃料タンクと連通するキャニスタを備え、そのキャニスタに吸着された蒸発燃料を内燃機関の排気通路にパージすることで処理する蒸発燃料処理装置が知られている。上記従来の装置は、キャニスタに連通するパージ通路と共に、大気に通じる大気導入通路を備えている。パージ通路及び大気導入通路には、それぞれ通路内を流通するガス量を制御するための制御弁が配置されている。また、パージ通路及び大気導入通路は、共にポンプを介して内燃機関の排気通路に連通している。排気通路には、排気ガスを浄化するための三元触媒が配置されている。
【0003】
上記従来の装置は、ポンプを作動させることにより、キャニスタから流出するパージガスと、大気導入通路を介して導入される空気とを混合して、内燃機関の排気通路に流入させることができる。排気通路に流入した混合ガスは、排気通路内の熱により燃焼した後、三元触媒に流入する。
【0004】
三元触媒は、排気ガスの空燃比が理論空燃比の近傍値である場合に、排気ガスを効率良く浄化することができる。上記従来の装置は、三元触媒の前段で排気ガス中の空燃比を検出し、その空燃比が理論空燃比の近傍値となるように、パージ通路内の制御弁、および大気導入通路内の制御弁をそれぞれ制御する。このような制御によれば、排気通路にパージされるガス中の空燃比を適当に変化させ、その結果、三元触媒に流入する排気ガス中の空燃比を理論空燃比の近傍に制御することができる。このため、上記従来の装置によれば、良好な排気エミッション特性を維持しつつ、キャニスタ内の蒸発燃料を排気パージにより処理することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関において用いられる触媒装置は、適当な活性温度に加熱された状態で浄化能力を発揮する。一方、触媒温度は、内燃機関の運転中常に一定ではない。例えば、燃料噴射がカットされるフューエルカット時などは、排気通路を流れるガスが低温の空気となり、触媒温度に大きな低下が生じ易い。このため、フューエルカット時に無条件に排気パージが実行されるとすれば、パージガス中の未燃成分が触媒下流に流出し、内燃機関のエミッション特性が悪化する事態が生じ得る。
【0006】
これに対して、上記従来の装置では、三元触媒の状態や、その状態に影響を与える内燃機関の運転状態などに何ら配慮を払うことなく排気パージが実行される。このため、上記従来の装置においては、例えばフューエルカットの継続に伴って触媒温度が低下しているような状況下でも排気パージの実行が許容され、その結果、エミッション特性が悪化するような事態が生じ得る。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、内燃機関のエミッション特性を悪化させることなく、キャニスタ内の蒸発燃料を排気パージにより処理することのできる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を大気に放出させることなく処理するための蒸発燃料処理装置であって、
前記燃料タンクと連通するように配置されるキャニスタと、
前記キャニスタの内部にパージガスの流れを発生させることのできるポンプと、
内燃機関の排気通路に配置された触媒と、
前記キャニスタから流出するパージガスを、前記排気通路の前記触媒の上流に導く排気パージ通路と、
内燃機関のフューエルカット中に、前記キャニスタから前記排気通路に向けてパージガスを流通させる排気パージ発生手段と、
前記触媒の活性状態と相関を有する状態特性値を取得する状態特性値取得手段と、
前記活性状態特性値に基づいて前記触媒が非活性状態に移行すると予測される場合に、前記排気通路へのパージガスの流入を禁止する第1の排気パージ禁止手段とを備え
前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、前記触媒の温度が低下するに連れて、前記排気通路に流入するパージガスの流量を少量とすることを特徴とする。
【0009】
また、第の発明は、第1の発明において、
内燃機関においてフューエルカットが開始されてからの経過時間を計数するフューエルカット時間計数手段を備え、
前記排気パージ発生手段は、
前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、前記経過時間が長いほど、前記排気通路に流入するパージガスの流量を少量とすることを特徴とする。
【0010】
また、第の発明は、第1または第2の発明において、
前記排気パージ発生手段は、
前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、
前記触媒から持ち去られる熱量が少ないほど、前記排気通路に流入するパージガスの流量を多量とすることを特徴とする。
【0011】
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段を備え、
前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、前記吸入空気量が少ないほど、前記排気通路に流入するパージガスの流量を多量とすることを特徴とする。
【0012】
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
前記ポンプは、キャニスタの大気孔に加圧空気を圧送する加圧型ポンプであり、
前記排気パージ発生手段は、前記キャニスタを含む系の内圧が所定正圧値を超えないように前記ポンプを作動させるポンプ制御手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、第の発明は、第の発明において、前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入させるべきパージガスの流量が多量であるほど前記所定正圧値を高い値に設定する所定正圧値設定手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
前記ポンプは、キャニスタのパージ孔から空気を吸引する吸引型ポンプであり、
前記排気パージ発生手段は、前記キャニスタを含む系の内圧が所定負圧値を下回らないように前記ポンプを作動させるポンプ制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第の発明は、第の発明において、前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入させるべきパージガスの流量が多量であるほど前記所定負圧値を低い値に設定する所定負圧値設定手段を備えることを特徴とする。
【0016】
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
車両が走行中であるか否かを判別する走行判定手段と、
車両が走行中でない場合は、前記排気通路へのパージガスの流入を禁止する第2の排気パージ禁止手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。本実施形態の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク10を備えている。燃料タンク10には、タンク内圧を測定するためのタンク内圧センサ12が設けられている。タンク内圧センサ12は、大気圧に対する相対圧としてタンク内圧を検出し、その検出値に応じた出力を発生するセンサである。
【0018】
燃料タンク10には、ROV(Roll Over Valve)14,16を介してベーパ通路18が接続されている。ベーパ通路18は、ダイヤフラム式の給油弁20を介してキャニスタ22に接続されている。キャニスタ22の内部には、燃料ベーパを吸着するための活性炭が充填されている。このため、燃料タンク10の内部で発生した燃料ベーパは、ベーパ通路18および給油弁20を通ってキャニスタ22に到達し、キャニスタ22の内部に吸着保持される。
【0019】
キャニスタ22には、大気孔24およびパージ孔26が設けられている。大気孔24には、CCV(Canister Closed Valve)30を介してポンプ32が連通している。ポンプ32の吸入孔は、フィルタ34を介して大気に開放されている。CCV30は、外部から駆動信号を受けることにより大気孔24を閉弁するノーマルオープンタイプの電磁弁である。CCV30が開いている場合は、ポンプ32を作動させることにより、ポンプ32により生成される加圧空気をキャニスタ22の大気孔24に供給することができる。
【0020】
キャニスタ22のパージ孔26は、パージ通路35を介して内燃機関の吸気通路38に連通している。パージ通路35の途中には、パージガスの流量を制御するためのパージVSV(Vacuum Switching Valve)36が配置されている。パージVSV36は、デューティ制御されることにより実質的に任意の開度を実現する制御弁である。
【0021】
内燃機関の吸気通路38には、その内部を流れる吸入空気量GAを検出するためのエアフロメータ39が配置されている。エアフロメータ39の下流には、吸入空気量GAを制御するためのスロットルバルブ40が配置されている。上述したパージ孔26は、そのスロットルバルブ40の下流において吸気通路38に連通している。内燃機関の吸気ポートには、その内部に燃料を噴射するための燃料噴射弁42が組み付けられている。燃料噴射弁42は、外部から供給される駆動信号を受けてニードルバルブを開弁させ、その開弁時間(燃料噴射時間TAU)に応じた量の燃料を噴射することができる。
【0022】
内燃機関の排気通路44には、排気ガスを浄化するための触媒46が配置されている。触媒46には、触媒温度を検出するための温度センサ48が組み込まれている。また、触媒46の上流側および下流側には、それぞれ、空燃比センサ50、および酸素濃度センサ52が配置されている。空燃比センサ50は、排気空燃比に応じた出力を発するセンサである。一方、酸素濃度センサ52は、排気ガス中に酸素が含まれているか否かに基づいて、排気空燃比がリッチであるかリーンであるかに応じた出力を発するセンサである。
【0023】
内燃機関の排気通路44には、また、空燃比センサ50の上流に、チェック弁54を介して排気パージ通路56の一端が連通している。チェック弁54は、排気パージ通路56から排気通路44へ向かう流体の流れのみを許容する一方向弁である。排気パージ通路56の他端は、第1VSV58を介してパージ通路35に連通している。第1VSV58は、外部から供給される駆動信号を受けて開弁するノーマルクローズタイプの制御弁である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)
60を備えている。ECU60には、タンク内圧センサ12や温度センサ48など、上述した各種のセンサに加えて、車速センサ62が接続されている。ECU60は、それらのセンサの出力に基づいて、CCV30、ポンプ32、パージVSV36、および第1VSV58などの状態を制御することができる。
【0025】
[吸気パージの説明]
本実施形態のシステムにおいて、燃料タンク10の内部で発生したベーパは、ベーパ通路18を通ってキャニスタ22に導かれ、その内部に吸着保持される。ECU60は、内燃機関の運転中、所定のパージ条件が成立する状況下で、パージVSV36を適当に開弁させる。内燃機関の運転中にパージVSV36が開弁されると、キャニスタ22に吸気負圧が導かれ、キャニスタ22に吸着されているベーパは、大気孔24から吸入される空気と共に吸気通路にパージされる。
【0026】
また、ECU60は、パージの実行中に必要に応じて、CCV30を開いた状態でポンプ32を作動させる。その結果ポンプ32の作動が開始されると、ポンプ32によって生成される加圧空気がキャニスタ22の大気孔24に供給され始める。具体的には、ECU60は、例えば、吸気管圧力PMが高圧(大気圧近傍値)となる内燃機関の高負荷運転時にポンプ32を作動させる。吸気管圧力PMが高圧である場合は、パージVSV36を開くだけでは十分なパージガス流量を得ることができない。このような状況下でポンプ32が作動すると、吸気負圧が不十分であっても、大気孔24とパージ孔26の間に十分な差圧を確保することができ、パージガス流量を十分に確保することができる。このため、本実施形態の装置によれば、内燃機関の運転状態に関わらず、優れたパージ能力を確保することができる。
【0027】
また、ECU60は、内燃機関のアイドル運転時など、十分に大きな吸気負圧が発生し、パージ孔26付近の圧力が過剰に負圧化するような場合にもポンプ32を作動させる。パージ孔26の付近が過剰に負圧化すると、その負圧が燃料タンク10に導かれて、タンク内の蒸発燃料がキャニスタ22を通過して吸気通路38に直接パージされる事態が生ずる。また、このようにして生ずる蒸発燃料の直接パージは、内燃機関における空燃比荒れの原因となる。本実施形態の装置において、上記の状況下でポンプ32を作動させると、パージ孔26付近の圧力を高めて蒸発燃料の直接パージを防止することができる。従って、本実施形態の装置によれば、十分に大きな吸気負圧が生ずる状況下でも、空燃比荒れを生じさせることなくキャニスタ22内の蒸発燃料を適正にパージさせることができる。
【0028】
以上説明した通り、本実施形態の蒸発燃料処理装置は、所定のパージ条件が成立する場合に、パージVSV36を適当に制御し、かつ、必要に応じてポンプ30を作動させることにより、キャニスタ22内の蒸発燃料を内燃機関の吸気通路にパージする。以下、本実施形態では、上記のパージを「吸気パージ」と称し、吸気パージを実現するための制御を「通常制御」と称する。
【0029】
[排気パージの説明]
内燃機関においては、例えば、機関回転数NEが高く、かつ、スロットルバルブ40が全閉とされているような場合に、燃料噴射のカット、つまり、フューエルカットが行われる。また、ハイブリッド車両においては、モータのみが車両の駆動源として用いられる場合に、車両が走行中であるにも関わらず、内燃機関が停止状態となり、内燃機関への燃料噴射がカットされることがある。以下、「フューエルカット」とは、これら双方の場合を指しているものとする。
【0030】
フューエルカットの実行中は、吸気通路38に蒸発燃料をパージしないことが望ましい。しかしながら、キャニスタ22内には可能な限り多くの吸着余力が確保されていることが望ましく、その要求を満たすうえでは、フューエルカットの実行中も、キャニスタ22内の蒸発燃料のパージが継続できることが望ましい。
【0031】
本実施形態の装置においては、CCV30を開いた状態でポンプ32を作動させ、かつ、第1VSV58を適当に開弁させることにより、キャニスタ22内の蒸発燃料を排気通路44にパージさせることができる。そして、排気系に十分な熱が蓄えられていれば、パージされてきた蒸発燃料を排気通路44の内部で燃焼させ、その後触媒46で浄化した後に排出することができる。このため、本実施形態の装置において、キャニスタ22内の蒸発燃料の早期パージを図るうえでは、フューエルカット中に、蒸発燃料を排気通路38にパージすることが有効である。以下、このようなパージを「排気パージ」と称す。
【0032】
ところが、フューエルカット中は、内燃機関10から排気通路44に高温の排気ガスが排出されることがない。このため、排気系の温度は、フューエルカットの継続に伴い低下傾向を示す。そして、触媒46の温度が十分に低下した後更に排気パージが継続されると、未浄化の排気ガスが触媒46の下流に流出する事態が生ずる。従って、本実施形態の装置において、フューエルカット中に排気パージを実行する場合には、触媒46が非活性状態に移行しないように、その実行条件を制限することが必要である。
【0033】
また、本実施形態の装置では、排気パージを実現するために、ポンプ32を作動させてキャニスタ22の内圧を高めることが必要である。この際、その内圧が過剰に高圧となると、キャニスタ22や燃料タンク10に不当に大きな応力が加わる。更に、排気パージの実行中にキャニスタ22の内圧、つまり、タンク内圧PTNKが過剰に高圧となると、排気パージの停止に伴ってポンプ32が停止された直後に、多量のタンク内ガスがキャニスタ22を介して大気孔24から大気へ流出する事態が生ずる。従って、本実施形態の装置において排気パージを実行する場合には、排気パージの実行中にタンク内圧PTNKが不当に高圧とならないようにポンプ32の作動状態を制限することが必要である。
【0034】
そこで、本実施形態の装置は、所定のパージ条件(フューエルカット中でないとの条件を含む)の成立中は蒸発燃料の吸気パージを行い、また、フューエルカットの実行中は、触媒46が非活性状態に移行しない範囲で、かつ、タンク内圧PTNKが不当に高圧とならない範囲で、蒸発燃料の排気パージを実行することとしている。
【0035】
図2および図3は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU60が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。より具体的には、図2は、ECU60が、排気パージの実行条件の成立性を判断するために実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。また、図3は、排気パージの実行条件が成立する場合に、適正な排気パージを実現するためにECU60が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。
【0036】
図2に示すルーチンでは、先ず、車速SPDが判定速度KSを超えているか否かが判別される(ステップ100)。
判定速度KSは、車両が走行中であるか否かを判断するための値であり、本実施形態では3km/hとされている。
【0037】
上記ステップ100において、SPD>KSが成立しないと判別された場合は、車両が走行中でない可能性があると判断できる。車両が停車している場合は、給油が行われることがある。本実施形態の装置において円滑な給油を可能とするためには、燃料タンク10の内部で液面が円滑に上昇できるように、燃料タンク10からキャニスタ22に向かうタンク内ガスの円滑な流れを許容する必要がある。排気パージの実行中は、ポンプ32からキャニスタ22に加圧空気が供給されるため、上述したようなタンク内ガスの円滑な流れを許容することができない。そこで、本実施形態では、SPD>KSが成立しない場合は、排気パージの実行条件が不成立であるものと判断される。図2に示すルーチンでは、この場合、以後、その条件の不成立を表すべく、排気パージ実行フラグXHAIKIに0がセットされる(ステップ102)。
【0038】
排気パージ実行フラグXHAIKIに0がセットされている限り、本実施形態の装置において排気パージは実行されない。このため、本実施形態の装置によれば、車両の停車中に、排気パージの実行に起因して、円滑な給油特性が損なわれるのを確実に防止することができる。
【0039】
図2に示すルーチン中、上記ステップ100において、SPD>KSが成立すると判別された場合は、次に、フューエルカット中か否かが判別される(ステップ104)。
その結果、フューエルカット中でないと判別された場合は、排気パージを実行する必要がないと判断され、上記ステップ102の処理が実行される。
【0040】
一方、フューエルカット中であると判断された場合は、次に、パージ実行カウンタCPRGの計数値が判定値KPRGより大きいか否かが判別される(ステップ106)。
パージ実行カウンタCPRGは、吸気パージの実行時間を計数するカウンタである。また、判定値KPRGは、パージガス中のベーパ濃度が安定するのに要するパージ時間である。
【0041】
図2に示すルーチン中、上記ステップ106において、CPRG>KPRGが成立しないと判別された場合は、パージされた蒸発燃料量が少ないため、パージガス中のベーパ濃度が未だ安定していない可能性があると判断できる。排気パージは、キャニスタ22から不当に濃度の高いパージガスが流出してくるような状況下では実行しないことが望ましい。このため、上記の判別が成された場合、排気パージの実行を禁止すべく、以後、上記ステップ102の処理が実行される。
【0042】
これに対して、上記ステップ106において、CPRG>KPRGが成立すると判別された場合は、キャニスタ22内の蒸発燃料がある程度パージされており、パージガス中のベーパ濃度が安定していると判断することができる。この場合、次に、パージカットカウンタCPHTがインクリメントされ(ステップ108)、更に、その計数値CPHTが第1判定値KCHT1より小さいか否かが判別される(ステップ110)。
【0043】
パージカットカウンタCPHTは、既述の通り、ステップ100〜106の条件が全て成立する場合にインクリメントされる。つまり、ステップ100および106の条件が成立する限り、CPHTにはフューエルカットの実行時間が計数される。排気系の温度、特に触媒46の温度は、フューエルカットが継続されるに従って低下する。第1判定値KCHT1は、活性状態にある触媒46が非活性状態に移行しない範囲で許容することのできるフューエルカット時間に設定されている。従って、パージカットカウンタCPHTの計数値が第1判定値KTHC1より小さいと判別される場合は、触媒46は未だ十分に活性状態を維持していると判断できる。一方、CPHT<KCHT1が成立しないと判別される場合は、触媒46が活性状態から非活性状態に移行する可能性があると判断できる。
【0044】
図2に示すルーチンでは、上記ステップ110において、CPHT<KCHT1が成立しないと判別された場合、以後、排気パージの実行を禁止すべく、ステップ102の処理が実行される。このため、本実施形態の装置によれば、フューエルカットの実行に伴って触媒46が非活性状態に移行した後に、更に排気パージが継続されるのを確実に防止することができる。
【0045】
一方、上記ステップ110において、CPHT<KCHT1が成立すると判別された場合は、次に、温度センサ48により検出される触媒温度CTEMPが、判定温度KTEMPより高温であるか否かが判別される(ステップ112)。
【0046】
判定温度KTEMPは、触媒46の活性温度に基づいて設定された温度である。上記ステップ112において、触媒温度CTEMPが判定温度KTEMPより高くないと判別された場合は、触媒46が活性状態から非活性状態に移行する可能性があると判断できる。この場合、以後、排気パージの実行を禁止すべく、ステップ102の処理が実行される。このため、本実施形態の装置によれば、触媒46の非活性状態への移行が触媒温度CTEMPに基づいて予測される場合に、更に排気パージが継続されるのを確実に防止することができる。
【0047】
これに対して、上記ステップ112において、CTEMP>KTEMPが成立すると判別された場合は、未だ触媒46が非活性状態に移行する可能性を考慮する必要がないと判断できる。この場合、次に、空燃比センサ44により検出される排気空燃比A/Fが、判定空燃比KAFより大きいかが判別される(ステップ114)。
【0048】
その結果、排気空燃比A/Fが判定空燃比KAFより大きくないと判別された場合、触媒46に対して、過剰にリッチなガスが流入していると判断できる。排気パージの実行に伴って触媒46に過剰にリッチなガスが流入すると、その下流に未浄化の排気ガスが流出することがある。このため、図2に示すルーチンでは、その場合、以後排気パージの実行を禁止するため、上記ステップ102の処理が実行される。
【0049】
一方、上記ステップ114において、A/F>KAFが成立すると判別された場合は、触媒46に流入するガス中の空燃比が、触媒46により十分浄化できるレベルであると判断できる。この場合は、更に、酸素濃度センサ52の出力VOXが、判定電圧KOXより大きいか否かが判別される(ステップ116)。
【0050】
酸素濃度センサ48の出力VOXは、触媒46の下流における空燃比がリーンである間は判定電圧KOXより大きな値を維持する。そして、触媒下流の空燃比がリッチになると、センサ出力VOXは判定電圧KOXより小さな値に変化する。従って、上記ステップ116において、センサ出力VOXが判定電圧KOXより大きくないと判別された場合は、触媒下流の空燃比がリッチである、つまり、触媒46の下流に、未燃成分を含む排気ガスが流出していると判断できる。この場合、図2に示すルーチンでは、排気パージの実行を禁止するため、上記ステップ102の処理が実行される。
【0051】
一方、上記ステップ116において、VOX>KOXが成立すると判別された場合は、触媒下流の空燃比がリーンに維持されていると判断できる。この場合、排気エミッションを悪化させることなく排気パージが実行できるとの判断がなされ、排気パージ実行フラグXHAIKIに1がセットされる(ステップ118)。
【0052】
ECU60は、排気パージ実行フラグXHAIKIを処理するための上記ルーチンと並行して、図3に示すルーチンを実行する。
図3に示すルーチンでは、先ず、排気パージ実行フラグXHAIKIに1がセットされているか否かが判別される(ステップ120)。
【0053】
その結果、XHAIKI=1が成立しないと判別された場合は、排気パージ通路56をパージ通路35から切り放すべく、第1VSV58がOFFとされる(ステップ122)。
この場合、以後、パージ条件(吸気パージの実行条件)の成立時に吸気パージを行うべく、通常制御が実行される。
【0054】
一方、上記ステップ120において、XHAIKI=1が成立すると判別された場合は、タンク内圧PTNKが所定正圧値KPTNK2より低いか否かが判別される(ステップ124)。
所定正圧値KPTNK2は、キャニスタ22や燃料タンク10に不当に大きな応力を作用させない範囲で、かつ、排気パージの停止時に大気孔24からの蒸発燃料の吹き抜けを生じさせない範囲で、排気パージの実行中に許容することのできるタンク内圧PTNKの上限値である。
【0055】
従って、上記ステップ124において、PTNK<KPTNK2が成立すると判別された場合は、タンク内圧PTNKをより高めることができると判断できる。この場合、CCV30が開弁され(ステップ126)、ポンプ32がON状態とされ(ステップ128)、更に、第1VSV58がON状態とされる(ステップ130)。
これらの処理によれば、ポンプ32からキャニスタ22に向かって加圧空気が流通する状況が形成されると共に、排気パージ通路56を通ってパージガスが排気通路44に流入し得る状況が形成される。このため、上記の処理が実行されると、その後、タンク内圧PTNKが上昇し、更に、その上昇に伴って、排気通路44に流入するパージガス流量が増加する。
【0056】
一方、上記ステップ124において、PTNK<KPTNK2が成立しないと判別された場合は、これ以上タンク内圧PTNKを高めることはできないと判断できる。この場合、CCV30が閉弁され(ステップ132)、また、ポンプ32がOFFされた後に(ステップ134)、ステップ130の処理が実行される。
これらの処理によれば、ポンプ32からキャニスタ22に向かう加圧空気の供給が停止され、タンク内圧PTNKが下降する結果、排気通路44に流入するパージガス流量が減少する。
【0057】
[効果の説明等]
以上説明した通り、図2に示すルーチンによれば、内燃機関においてフューエルカットが開始された後、触媒46が非活性状態に移行する可能性がない状況下においてのみ、排気パージの実行を許容することができる。そして、図3に示すルーチンによれば、排気パージの実行が許容される場合には、タンク内圧PTNKが所定正圧値KPTNK2の近傍に制御されるようにポンプ32を作動させながら、蒸発燃料の排気パージを行うことができる。このため、本実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、以下に示すような効果を得ることができる。
【0058】
(1)吸気パージと排気パージとが組み合わせて実行されるため、吸気パージのみが実行される場合に比べてキャニスタ22内の蒸発燃料を早期にパージすることができる。吸着燃料の早期パージが可能であるほど、キャニスタ22内には、多量の吸着余力を確保し易い。このため、本実施形態の装置によれば、蒸発燃料が吸気パージによってのみが処理される場合に比して、キャニスタ22の小型化を図ることができる。
【0059】
(2)内燃機関の運転中にフューエルカットが行われた場合に限らず、内燃機関の停止に伴ってフューエルカットが行われた場合にも、触媒46が活性している限り排気パージを行うことができる。このため、ハイブリッド車両や、エコラン車両など、車両の走行中に内燃機関を停止させる車両においても、キャニスタ22内の蒸発燃料の早期パージを実現することができる。
【0060】
(3)蒸発燃料の排気パージを、フューエルカット時に限り実行することができる。フューエルカット時は、排気通路44内に高い背圧が生じないため、パージガスを効率良くその内部に流入させることができる。更に、フューエルカット中は、燃料噴射が実行されないため、燃料噴射量の影響を考慮することなく、簡単な制御で排気空燃比A/Fを目標空燃比に合わせることができる。このため、本実施形態の装置によれば、高いエネルギ効率で、簡単な制御により、所望の排気パージを実現することができる。
【0061】
(4)触媒46が非活性状態となるのを防ぎつつ排気パージを行うことができる。つまり、触媒46が非活性状態に移行しそうになると、排気パージを禁止して、触媒46の冷却が更に進むのを阻止することができる。このため、本実施形態の装置によれば、フューエルカットの停止後、燃料噴射が再開された直後から、触媒46に高い浄化能力を発揮させることができ、内燃機関に対して優れたエミッション特性を付与することができる。
【0062】
(5)空燃比センサ50および酸素濃度センサ52により、排気空燃比A/Fを監視しながら排気パージを行うことができるため、排気パージの実行に伴う未燃成分の大気放出を確実に防止することができる。
尚、本実施形態では、空燃比センサおよび酸素濃度センサ52の双方で排気空燃比A/Fを監視することとしているが、それらのセンサは必ずしも併用する必要はない。すなわち、排気空燃比A/Fは、何れか一方のセンサのみを用いて監視することとしてもよい。
【0063】
(6)排気パージの際にタンク内圧PTNKが過大とならないようにポンプ32の作動を制限することができるため、燃料タンク10やキャニスタ22の破損を防ぐことができる。また、排気パージ停止時における大気孔24からの蒸発燃料の吹き抜けも防止することができる。
【0064】
(7)排気パージの実行が、車両の走行中に限って許可されるため、車両の停止時に、排気パージの実行に起因して給油性が損なわれるのを確実に防止することができる。
【0065】
尚、上述した実施の形態1においては、パージカットカウンタCPHTの計数値および触媒温度CTEMPが前記第1の発明における「状態特性値」に相当していると共に、ECU60が、上記ステップ104および118の処理と共に上記ステップ120〜134の処理を実行することにより前記第1の発明における「排気パージ発生手段」が、上記ステップ108の処理を実行し、また、触媒温度CTEMPを検出することにより前記第1の発明における「状態特性値取得手段」が、上記ステップ110,112および102の処理を実行することにより前記第1の発明における「第1の排気パージ禁止手段」が、それぞれ実現されている。
【0066】
また、上述した実施の形態1においては、ECU60が、上記ステップ124〜134の処理を実行することにより、前記第または第の発明における「ポンプ制御手段」が実現されている。
【0067】
更に、上述した実施の形態1においては、ECU60が、上記ステップ100の処理を実行することにより前記第の発明における「走行判定手段」が、上記ステップ100と共にステップ102の処理を実行することにより前記第の発明における「第2の排気パージ禁止手段」が、それぞれ実現されている。
【0068】
実施の形態2.
次に、図4を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU60に、上記図3に示すルーチンに代えて図4に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0069】
[第1の特徴]
上述した実施の形態1の装置は、排気パージの実行中に、タンク内圧PTNKを常に一定の所定正圧値KPTNK2に制御している。排気通路44にパージされるパージガスの流量は、ほぼ排気パージ中におけるタンク内圧PTNKにより決定される。このため、実施の形態1に装置において、排気パージ中に生ずるパージ流量は、常にほぼ一定である。
【0070】
本実施形態の装置は、実施の形態1の装置と同様にフューエルカット中に限って排気パージを実行する。ところで、フューエルカット中に排気通路を流れるガスの流量は、常に一定ではない。すなわち、そのガス流量は、内燃機関が作動しており、吸気通路から排気通路へ空気が吹き抜けている場合には比較的多量となり、また、内燃機関が停止している場合は、排気パージにより供給されるガス流量だけとなる。
【0071】
フューエルカット中における触媒46の冷却速度は、排気通路を流通するガス流量の多少により変化する。具体的には、触媒46の冷却速度は、排気通路内のガス流量が少ない場合は、多量のガスが流通している場合に比して遅くなる。従って、吸入空気量GAが少ないときは、吸入空気量GAが多いときに比べて、触媒46を非活性状態に移行させることなく多量のパージガスを排気通路44に供給することが可能である。そこで、本実施形態の装置は、排気パージの実行時に排気通路44に供給されるパージガスの流量を、吸入空気量GAに応じて増減させることとした。
【0072】
[第2の特徴]
本実施形態の装置において、排気パージの実行中に排気通路44内に供給される蒸発燃料は、触媒46により浄化する必要がある。触媒46の浄化能力は限られているため、清浄な排気ガスを得るためには、触媒46に流入する蒸発燃料量を適正量に制限することが必要である。
【0073】
ところで、排気パージの実行中に触媒46に流入する蒸発燃料の量は、パージガスの流量と、そのガス中のベーパ濃度により決定される。従って、触媒46が処理できるパージガス流量は、パージガス中のベーパ濃度が薄い場合に、その濃度が濃い場合に比して多量となる。そこで、本実施形態の装置は、排気パージの実行時に排気通路44に供給されるパージガスの流量を、パージガス中のベーパ濃度に応じて増減させることとした。
【0074】
[第3の特徴]
既述した通り、上述した実施の形態1では、排気パージの実行中は常にほぼ一定のパージ流量が生成される。ところで、触媒46の冷却速度は、排気パージ中に生ずる吸入空気量GAに影響される他、パージ流量そのものによっても影響される。このため、触媒46を非活性状態に移行させずにパージの効率を高めるうえでは、触媒温度CTEMPの低下に伴って、パージ流量を減少させることが適切である。そこで、本実施形態の装置は、触媒温度が十分に高いと予測される間は多量のパージ流量を発生させ、触媒温度の低下が進むに連れてパージ流量を減少させることとした。
【0075】
図4は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU60が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。尚、図4において、上記図3に示すルーチンと同様のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0076】
図4に示すルーチンは、ステップ124の処理が、ステップ140〜146の処理に置き換えられている点を除き、図3に示すルーチンと同様である。すなわち、図4に示すルーチンでは、ステップ120において排気パージ実行フラグXHAIKIに1がセットされていると判別された場合に、先ず、目標タンク内圧一時値KPTNKtが算出される(ステップ140)。
【0077】
ECU60は、ステップ140の枠中に示すように、ベーパ濃度学習値FGPGおよび吸入空気量GAとの関係で、目標タンク内圧一時値KPTNKtを定めたマップを記憶している。ベーパ濃度学習値FGPGは、パージガス中のベーパ濃度を表す値であり、吸気パージの実行中に公知の手法でECU60により学習される。上記のマップにおいて、目標タンク内圧KPTNKtは、ベーパ濃度が濃いほど小さな値となるように、また、吸入空気量GAが少ないほど大きな値となるように定められている。
【0078】
上記ステップ140において、ECU60は、上記のマップを参照して、最新のベーパ濃度学習値FGPGおよび吸入空気量GAに対応する目標タンク内圧一時値KPTNKtを算出する。その結果、目標タンク内圧一時値KPTNKtは、パージガス中のベーパ濃度が濃いほど低い値に設定され、また、吸入空気量GAが多量であるほど高い値に設定される。
【0079】
図4に示すルーチンでは、次に、パージカットカウンタCPHTの計数値に基づいて、補正係数Ktが算出される(ステップ142)。
補正係数Ktは、後述するステップ144において、目標タンク内圧KPTNKを算出するために、目標タンク内圧一時値KPTNKtに掛け合わされる係数である。
【0080】
ECU60は、ステップ142の枠中に示すように、パージカットカウンタCPHTの計数値との関係で、補正係数Ktを定めたマップを記憶している。このマップにおいて、補正係数Ktは、パージカットカウンタCPHTの計数値が大きいほど下限値0に近づくように定められている。パージカットカウンタCPHTには、フューエルカットの継続時間が計数される。従って、補正係数Ktは、フューエルカットの継続期間が長くなり、触媒温度の大きな低下が予測されるほど、より小さな値に設定される。
【0081】
補正係数Ktが算出されると、次に、その値Ktを目標タンク内圧一時値KPTNKtに掛け合わせることにより、目標タンク内圧KPTNKが算出される(ステップ144)。
その結果、排気パージ中における目標タンク内圧KPTNKは、パージガス中のベーパ濃度が濃いほど、吸入空気量GAが多量であるほど、また、フューエルカットの継続時間が長いほど、低い値に設定される。
【0082】
図4に示すルーチンでは、次に、タンク内圧PTNKが、上記の如く設定された目標タンク内圧PTNKに比して小さいか否かが判別される(ステップ146)。
そして、その比較の結果に基づいて、タンク内圧PTNKが目標タンク内圧KPTNKに一致するように、ステップ126〜134の処理、すなわち、CCV30、ポンプ32および第1VSV58の制御が実行される。
【0083】
排気パージ中に発生するパージ流量は、目標タンク内圧KPTNKが高いほど多量となり、その値KPTNKが低いほど少量となる。このため、上記図4に示すルーチンによれば、パージガス中のベーパ濃度が濃いほど、また、吸入空気量GAが多量であるほど、更に、フューエルカットの継続時間が長いほど、パージ流量を少量とすることができる。従って、本実施形態の装置によれば、それら3つの要素に基づいて、常に優れたエミッション特性を維持しつつ、優れた効率でキャニスタ22内の蒸発燃料をパージすることができる。
【0084】
ところで、上述した実施の形態2においては、目標タンク内圧一時値KPTNKtを、排気パージ中における吸入空気量GAに基づいて設定することとしているが、KPTNKtの設定手法はこれに限定されるものではない。すなわち、目標タンク内圧一時値KPTNKtは、内燃機関が停止しているかに基づいて、吸入空気量GAとの関係では2段階のみに区別して設定することとしてもよい。
【0085】
尚、上述した実施の形態2においては、CCV30およびポンプ32が前記第の発明における「排気パージ流量制御機構」に相当していると共に、ECU60が、上記ステップ142および144の処理と共に、ステップ146および126〜134の処理を実行することにより前記第の発明における「排気パージ発生手段」が実現されている。
【0086】
また、上述した実施の形態2においては、CCV30およびポンプ32が前記第の発明における「排気パージ流量制御機構」に相当していると共に、ECU60が、図2に示すステップ108の処理を実行することにより前記第の発明における「フューエルカット時間計数手段」が、上記ステップ142および144の処理と共にステップ146および126〜134の処理を実行することにより前記第の発明における「排気パージ発生手段」が、それぞれ実現されている。
【0087】
また、上述した実施の形態2においては、CCV30およびポンプ32が前記第の発明における「排気パージ流量制御機構」に相当していると共に、ECU60が、上記ステップ140および144の処理と共に、ステップ146および126〜134の処理を実行することにより前記第の発明における「排気パージ発生手段」が実現されている。
【0088】
また、上述した実施の形態2においては、エアフロメータ39が前記第の発明における「吸入空気量検出手段」に、CCV30およびポンプ32が前記第の発明における「排気パージ流量制御機構」にそれぞれ相当していると共に、ECU60が、上記ステップ140および144の処理と共に、ステップ146および126〜134の処理を実行することにより前記第の発明における「排気パージ発生手段」が実現されている。
【0089】
また、上述した実施の形態2においては、目標タンク内圧KPTNKが前記第10の発明における「所定正圧値」に相当していると共に、ECU60が、上記ステップ140〜144の処理を実行することにより、前記第の発明における「所定正圧値設定手段」が実現されている。
【0090】
実施の形態3.
次に、図5および図6を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
図5は、本発明の実施の形態3の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図5に示すECU60に、上述した図2に示すルーチンと共に、後述する図6に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。尚、図5において、図1に示す構成要素と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0091】
図5に示す構成は、図1に示す構成に加えて、2次空気導入通路64を備えている。2次空気導入通路64の一端は、排気パージ通路56と共にチェックバルブ54に連通している。また、2次空気導入通路64の他端は、ASV(Air Switching Valve)66と連通している。ASV66には、上述した2次空気導入通路64の他、大気連通路68および加圧空気供給経路70が連通している。大気連通路68は、ポンプ32およびフィルタ72を介して大気に連通している。一方、加圧空気供給経路70は、キャニスタ22とCCV30とをつなぐ経路の途中に連通している。ASV66は、その内部に2つの制御弁を備えている。ASV66が備える一方の制御弁は、ポンプ32と2次空気導入通路64とを導通または遮断状態とすることができる。以下、この制御弁を「AI側制御弁」と称す。ASV66が備える他方の制御弁はポンプ32と加圧空気供給経路70とを導通または遮断状態とすることができる。以下、この制御弁を「パージ側制御弁」と称す。
【0092】
図5中に破線で示す構成は、本実施形態の装置の変形例が備える要素を示している。すなわち、本実施形態の装置の変形例は、パージVSV36の上流においてパージ通路35と連通するAI用パージ通路74を備えている。AI用パージ通路74は、第2VSV76を介してポンプ32の吸入口と連通している。変形例の構成によれば、第2VSV76を開くことで、ポンプ32の吸入口を、パージ通路35に連通させることができる。
【0093】
[基本動作の説明]
本実施形態において、ECU60は、ポンプ32やパージVSV36の制御に加えて、ASV66の制御を行う。ECU60は、内燃機関の冷間始動時など、触媒46の早期暖機が要求されるような場合に、ポンプ32と2次空気導入通路64とが導通するようにASV66のAI側制御弁を制御し、かつ、ポンプ32を作動させる。この場合、ポンプ32は、フィルタ72を介して吸入した空気を加圧して2次空気導入通路64に圧送する。その結果、排気通路44の触媒46の上流に2次空気が供給される。触媒46の上流に2次空気が供給されると、排気ガス中の未燃成分の燃焼が促され、触媒46に供給される熱量が増し、その暖機が促進される。このため、本実施形態の装置によれば、内燃機関の冷間始動時などに触媒46を短時間で暖機することができる。
【0094】
本実施形態において、ポンプ32は、実施の形態1の場合と同様に、キャニスタ22に対して加圧空気を供給する機構としても利用される。すなわち、ECU60は、キャニスタ22に加圧空気を供給する必要がある場合は、ポンプ32と加圧空気供給経路70とが導通するようにASV66のパージ側制御弁を制御し、かつ、ポンプ32を運転状態とする。この場合、ポンプ32により生成される加圧空気は、キャニスタ22とCCV30とをつなぐ経路に供給される。
【0095】
この際、CCV30が閉じられていると、ポンプ32の発生する加圧空気はキャニスタ22に流入する。このように、本実施形態の装置によれば、一つのポンプ32を、排気通路44に対する2次空気の供給と、キャニスタ22に対する加圧空気の供給の双方に兼用することができる。従って、本実施形態の装置によれば、上述した2次空気と加圧空気の双方を発生させる機構を安価に実現することができる。
【0096】
本実施形態において、ECU60は、内燃機関の冷間始動時には、ポンプ32から排気系に2次空気を供給するための制御を実行する。また、吸気パージの実行条件が成立する場合には、必要に応じてポンプ32からキャニスタ22に加圧空気を供給しながら、パージVSV36をデューティ駆動することで、キャニスタ22内の蒸発燃料を吸気通路38にパージさせる。本実施形態では、これら2つの制御を併せて「通常制御」と称す。
【0097】
また、本実施形態において、ECU60は、上述した実施の形態1の場合と同様に、図2に示すルーチンを実行することで排気パージの実行条件が成立しているか否かを判別する。そして、排気パージの実行条件が成立していない場合は、上記の通常制御を実行し、一方、その条件が成立している場合は、蒸発燃料の排気パージを行う。
【0098】
[排気パージの動作説明]
図6は、本実施形態におけるECU60が、排気パージの実行条件が成立する場合に適正な排気パージを実現するために実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。
【0099】
図6に示すルーチンでは、先ず、排気パージ実行フラグXHAIKIに1がセットされているか否かが判別される(ステップ150)。
【0100】
その結果、XHAIKI=1が成立しないと判別された場合は、排気パージ通路56をパージ通路35から切り放すべく、第1VSV58がOFFとされる(ステップ152)。
この場合、以後、冷間始動時に2次空気を流通させ、また、パージ条件(吸気パージの実行条件)成立時に吸気パージを発生させるため、通常制御が実行される。
【0101】
一方、上記ステップ150において、XHAIKI=1が成立すると判別された場合は、CCV30が閉じられる(ステップ154)。
本ステップ154の処理によりCCV30が閉じられると、キャニスタ22の大気孔24は、ASV66のパージ側制御弁およびポンプ32を介してのみ大気に連通する状態となる。
【0102】
図6に示すルーチンでは、次に、タンク内圧PTNKが所定正圧値KPTANK2より低いか否かが判別される(ステップ156)。
所定正圧値KPTNK2は、実施の形態1の場合と同様に、キャニスタ22や燃料タンク10に不当に大きな応力を作用させず、かつ、排気パージの停止時に蒸発燃料の吹き抜けを生じさせることのないタンク内圧PTNKの上限値である。
【0103】
上記ステップ156において、PTNK<KPTNK2が成立すると判別された場合は、タンク内圧PTNKをより高めることができると判断できる。この場合、ASV66のパージ側制御弁が開弁され(ステップ158)、かつ、ポンプ32がONとされた状態で(ステップ160)、更に、第1VSV58がONとされる(ステップ162)。
これらの処理によれば、ポンプ32からキャニスタ22に向かって加圧空気が流通する状況が形成されると共に、排気パージ通路56を通ってパージガスが排気通路44に流入し得る状況が形成される。このため、上記の処理が実行されると、その後、タンク内圧PTNKが上昇し、更に、その上昇に伴って、排気通路44に流入するパージガス流量が増加する。
【0104】
一方、上記ステップ156において、PTNK<KPTNK2が成立しないと判別された場合は、これ以上タンク内圧PTNKを高めることはできないと判断できる。この場合、ASV66のパージ側制御弁が閉弁され(ステップ164)、また、ポンプ32がOFFされた後に(ステップ166)、ステップ162の処理が実行される。
これらの処理によれば、ポンプ32からキャニスタ22に向かう加圧空気の供給が停止され、タンク内圧PTNKが下降する結果、排気通路44に流入するパージガス流量が減少する。
【0105】
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、図5に示す構成と図1に示す構成との相違に関わらず、実施の形態1において、図3に示すルーチンが実行されるのと全く同様の機能を実現することができる。具体的には、排気パージの実行が許容される場合に、タンク内圧PTNKを所定正圧値KPTNK2の近傍に維持しながら蒸発燃料の排気パージを行うことができる。このため、本実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、2次空気の供給機能を有しつつ、蒸発燃料のパージに関して、実施の形態1の装置と同様の効果を実現することができる。
【0106】
[変形例等]
ところで、上述した実施の形態3においては、2次空気を生成するためにポンプ32に大気を吸引させることとしているが、2次空気を生成するための手法はこれに限定されるものではない。すなわち、AI用パージ通路74および第2VSV76を備える変形例に装置においては、2次空気の生成が要求される状況下で第2VSV76を開弁させることにより、ポンプ32に、パージガスを吸引させることができる。この場合、蒸発燃料を含むパージガスを2次空気として排気通路44に供給することができる。このため、変形例の装置によれば、実施の形態3の装置に比して、更に優れたパージ能力を実現することができる。
【0107】
実施の形態4.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態3の装置において、ECU60に、上記図6に示すルーチンに代えて、後述する図7に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0108】
上述した実施の形態3の装置は、実施の形態1の場合と同様に、排気パージの実行中に、タンク内圧PTNKを常に一定の所定正圧値KPTNK2に制御している。これに対して、本実施形態の装置は、実施の形態2の場合と同様に、排気パージ中の目標タンク内圧KPTNKを、(1)吸入空気量GAの多少に応じて、また、(2)パージガス中のベーパ濃度に応じて、更に、(3)フューエルカットの継続時間に応じて、適宜上下させる点に特徴を有している。
【0109】
図7は、上記の機能を実現すべく、本実施形態においてECU60が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。尚、図7において、上記図4または図6に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0110】
図7に示すルーチンは、ステップ156の処理が、ステップ140〜146の処理に置き換えられている点を除き、図6に示すルーチンと同様である。また、ステップ140〜146の処理は、図4に示すルーチン中で実行されるのと全く同様である。
【0111】
図7に示すルーチンによれば、排気パージの実行が許容される場合に、タンク内圧PTNKを目標タンク内圧KPTNKの近傍に維持しながら蒸発燃料の排気パージを行うことができる。そして、吸入空気量GAが多量であるほど、パージガス中のベーパ濃度が濃いほど、また、フューエルカットの継続時間が長いほど、目標タンク内圧KPTNKを下げてパージ流量を減らすことができる。このため、本実施形態の装置によれば、2次空気の供給を可能としつつ、排気パージに関する限り、構成の相違に関わらず実施の形態2の装置(図1および図4参照)と全く同様の機能を実現することができる。
【0112】
実施の形態5.
次に、図8および図9を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
図8は、本発明の実施の形態5の構成を説明するための図である。本実施形態の装置は、図8に示すECU60に、上述した図2に示すルーチンと共に、後述する図9に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。尚、図8において、図1に示す構成要素と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0113】
図8に示す構成は、ポンプ32の位置が、CCV30に連通する位置から排気パージ通路56の途中に移されている点を除き、図1に示す構成と同様である。図8に示す構成によれば、CCV30および第1VSV58を開いてポンプ32を作動させることにより、キャニスタ22から排気通路44へパージガスを流通させることができる。
【0114】
上述した実施の形態1の装置では、ポンプ32が加圧型のポンプとして使用されている。つまり、実施の形態1の装置では、ポンプ32がキャニスタ22に対して加圧空気を圧送することでパージガスが生成されている。この場合、パージガスの生成中はタンク内圧PTNKが正圧となる。このため、実施の形態1では、排気パージ中にタンク内圧PTNKが過剰に高圧とならないように、ポンプ32の作動を制限している(上記ステップ132,134参照)。
【0115】
これに対して、本実施形態の装置では、ポンプ32が吸引型のポンプとして使用されている。このため、本実施形態の装置では、排気パージの実行中にタンク内圧PTNKが負圧となる。タンク内圧PTNKが過剰に負圧化すると、燃料タンク10やキャニスタ22に大きな応力が作用する。また、タンク内圧PTNKが負圧化すると、燃料タンク10内で蒸発燃料の発生が促されると共に、新たに発生した蒸発燃料がキャニスタ22を経由して直接パージ通路26に流通する事態が生ずる。そこで、本実施形態の装置では、排気パージの実行中にタンク内圧PTNKが過剰に負圧化しないように、より具体的には、キャニスタ22や燃料タンク10に過剰な応力が作用せず、かつ、蒸発燃料の直接パージが発生しないように、ポンプ32の作動を制限することとしている。
【0116】
図9は、上記の機能を実現するため、本実施形態においてECU60が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。尚、図9において、上記図3に示すルーチンと同様のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0117】
図9に示すルーチンは、ステップ124がステップ170に置き換えられている点を除き、図3に示すルーチンと同様である。すなわち、図9に示すルーチンでは、ステップ120において排気パージ実行フラグXHAIKIに1がセットされていると判別された場合に、タンク内圧PTNKが所定負圧値KPTNK1より高圧であるか否かが判別される(ステップ170)。
所定負圧値KPTNK1は、キャニスタ22や燃料タンク10に不当な応力を作用させることがなく、かつ、蒸発燃料の直接パージを生じさせることのないタンク内圧として、予め定められている値(負圧値)である。
【0118】
図9に示すルーチンでは、タンク内圧PTNKが所定負圧値KPTNK1より高い場合にポンプ32によるパージガスの吸引が許可される(ステップ126〜130)。一方、タンク内圧PTNKが所定負圧値KPTNK1より更に低下していると判別された場合は、ポンプ32によるパージガスの吸引が停止される(ステップ132,134)。このため、図9に示すルーチンによれば、タンク内圧PTNKを所定負圧値KPTNK1の近傍に維持しつつ、排気パージを実行することができる。
【0119】
以上説明した通り、本実施形態の装置によれば、ポンプ32を吸引型のポンプとして使用しつつ、タンク内圧PTNKを過剰に負圧化させることなく排気パージを実行することができる。このため、本実施形態の装置によれば、図8に示す構成と図1に示す構成との差に関わらず、実質的に実施の形態1の装置と同様の機能を実現することができる。
【0120】
尚、上述した実施の形態5においては、ECU60が、上記ステップ170、および126〜134の処理を実行することにより、前記第または第の発明における「ポンプ制御手段」が実現されている。
【0121】
実施の形態6.
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態5の装置において、ECU60に、上記図9に示すルーチンに代えて、後述する図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0122】
上述した実施の形態5の装置は、排気パージの実行中に、タンク内圧PTNKを常に一定の所定負圧値KPTNK1に制御している。これに対して、本実施形態の装置は、排気パージ中の目標タンク内圧KPTNKを、(1)吸入空気量GAの多少に応じて、また、(2)パージガス中のベーパ濃度に応じて、更に、(3)フューエルカットの継続時間に応じて、適宜上下させる点に特徴を有している。
【0123】
図10は、上記の機能を実現すべく、本実施形態においてECU60が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。尚、図10において、上記図4または図9に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0124】
図10に示すルーチンは、ステップ170の処理が、ステップ140〜144およびステップ180の処理に置き換えられている点を除き、図9に示すルーチンと同様である。また、ステップ140〜144の処理は、図4に示すルーチン中で実行されるのと全く同様である。
【0125】
図10に示すルーチンにおいて、ステップ120において排気パージ実行フラグXHAIKIに1がセットされていると判別された場合は、先ず、目標タンク内圧KPTNK(正の値)が算出される。この際、KPTNK(正の値)は、吸入空気量GAが多量であるほど、パージガス中のベーパ濃度が濃いほど、また、フューエルカットの継続時間が長いほど、小さな値とされる(ステップ140〜144)。
【0126】
上記の処理が終了すると、次に、タンク内圧PTNKが、負の目標タンク内圧−KPTNKより高いか否かが判別される(ステップ180)。
そして、PTNK>−KPTNKが成立すると判別された場合は、ポンプ32によるパージガスの吸引が許可される(ステップ126〜130)。一方、PTNK>−KPTNKが成立しないと判別された場合は、ポンプ32によるパージガスの吸引が停止される(ステップ132,134)。
【0127】
上述した一連の処理によれば、排気パージの実行中は、タンク内圧PTNKが負の目標タンク内圧−KPTNKの近傍に維持される。そして、負の目標タンク内圧−KPTNKは、吸入空気量GAが多量であるほど、パージガス中のベーパ濃度が濃いほど、また、フューエルカットの継続時間が長いほど、大気圧に近い値とされる。
【0128】
本実施形態の装置において、排気通路44に流入するパージガスの流量は、負の目標タンク内圧−KPTNKが大気圧に近づくに連れて少量となる。従って、図10に示すルーチンによれば、吸入空気量GAが多量であるほど、パージガス中のベーパ濃度が濃いほど、また、フューエルカットの継続時間が長いほど、パージ流量を減らすことができる。このため、本実施形態の装置によれば、図8に示す構成と図1に示す構成との相違に関わらず、排気パージに関する限り、実施の形態2の装置(図1および図4参照)と全く同様の機能を実現することができる。
【0129】
ところで、上述した実施の形態6においては、負の目標タンク内圧−KPTNKの値を変化させることにより、排気パージ中のパージ流量を適当に変化させることとしているが、パージ流量を変化させる手法はこれに限定されるものではない。すなわち、図8に示す装置においては、ポンプ32の駆動デューティ比を変化させることにより、排気パージ中におけるパージ流量を直接的に変化させることができる。このため、図8に示す装置においては、ポンプ32の駆動デューティ比を、吸入空気量GA、ベーパ濃度、およびフューエルカット時間に基づいて適宜変化させることにより、最適なパージ流量を実現することとしてもよい。
【0130】
尚、上述した実施の形態6においては、負の目標タンク内圧−KPTNKが前記第の発明における「所定負圧値」に相当していると共に、ECU60が、上記ステップ140〜144の処理を実行することにより、前記第の発明における「所定負圧値設定手段」が実現されている。
【0131】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
の発明によれば、触媒温度が低下するに連れて排気通路に流入するパージガスの流量を少量とすることができる。このため、本発明によれば、排気パージの実行に伴う触媒温度の更なる低下を抑制しつつ、内燃機関のエミッション特性の悪化を有効に防止することができる。
【0132】
の発明によれば、フューエルカットが開始されてからの経過時間に基づいて、触媒温度の低下程度を精度良く判断することができる。
【0133】
の発明によれば、排気パージの実行中に触媒から持ち去られる熱量が少なく触媒温度が低下し難い状況下では、排気通路に流入するパージガス流量を多量とすることができる。このため、本発明によれば、触媒が活性状態を維持し易い状況下では優れたパージ能力を確保することができる。
【0134】
の発明によれば、吸入空気量に基づいて、触媒から持ち去られる熱量の多少を精度良く判断することができる。
【0135】
の発明によれば、加圧型ポンプを適切に作動させることにより、系内に過剰な圧力(正圧)を作用させることなく、適正に排気パージを行うことができる。
【0136】
の発明によれば、加圧型ポンプにより発生させる所定正圧値を適当な値に設定することで、所望のパージガス流量を発生させることができる。
【0137】
の発明によれば、減圧型ポンプを適切に作動させることにより、系内に過剰な圧力(負圧)を作用させることなく、適正に排気パージを行うことができる。
【0138】
の発明によれば、減圧型ポンプにより発生させる所定負圧値を適当な値に設定することで、所望のパージガス流量を発生させることができる。
【0139】
の発明によれば、車両が走行中でない場合は、排気パージの実行を禁止して、燃料タンク内のガスがキャニスタに円滑に流入し得る状態を作り出すことができる。つまり、本発明によれば、車両が走行中でない場合は、排気パージの実行を禁止して給油の開始に備えることができる。このため、本発明によれば、円滑な給油特性を実現することができ、かつ、給油の実行に伴う過剰パージの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。
【図2】 本発明の実施の形態1において排気パージ実行フラグを処理するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態1において実行されるパージ制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態2において実行されるパージ制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態3の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。
【図6】 本発明の実施の形態3において実行されるパージ制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態4において実行されるパージ制御ルーチンのフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態5の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。
【図9】 本発明の実施の形態5において実行されるパージ制御ルーチンのフローチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態6において実行されるパージ制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 燃料タンク
12 タンク内圧センサ
18 ベーパ通路
22 キャニスタ
24 大気孔
26 パージ孔
30 CCV(Canister Closed Valve)
32 ポンプ
36 パージVSV(Vacuum Switching Valve)
38 吸気通路
44 排気通路
46 触媒
48 温度センサ
50 空燃比センサ
52 酸素濃度センサ
56 排気パージ通路
58 第1VSV
60 ECU(Electronic Control Unit)
64 2次空気導入通路
66 ASV(Air Switching Valve)
PTNK タンク内圧
KPTNK1 所定負圧値
KPTNK2 所定正圧値
KPTNK 目標タンク内圧
−KPTNK 負の目標タンク内圧
CPHT パージカットカウンタ
CTEMP 触媒温度

Claims (9)

  1. 燃料タンク内で発生した蒸発燃料を大気に放出させることなく処理するための蒸発燃料処理装置であって、
    前記燃料タンクと連通するように配置されるキャニスタと、
    前記キャニスタの内部にパージガスの流れを発生させることのできるポンプと、
    内燃機関の排気通路に配置された触媒と、
    前記キャニスタから流出するパージガスを、前記排気通路の前記触媒の上流に導く排気パージ通路と、
    内燃機関のフューエルカット中に、前記キャニスタから前記排気通路に向けてパージガスを流通させる排気パージ発生手段と、
    前記触媒の活性状態と相関を有する状態特性値を取得する状態特性値取得手段と、
    前記活性状態特性値に基づいて前記触媒が非活性状態に移行すると予測される場合に、前記排気通路へのパージガスの流入を禁止する第1の排気パージ禁止手段とを備え
    前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、前記触媒の温度が低下するに連れて、前記排気通路に流入するパージガスの流量を少量とすることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 内燃機関においてフューエルカットが開始されてからの経過時間を計数するフューエルカット時間計数手段を備え、
    前記排気パージ発生手段は、
    前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、前記経過時間が長いほど、前記排気通路に流入するパージガスの流量を少量とすることを特徴とする請求項記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記排気パージ発生手段は、
    前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、
    前記触媒から持ち去られる熱量が少ないほど、前記排気通路に流入するパージガスの流量を多量とすることを特徴とする請求項1または2記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段を備え、
    前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入するパージガスの流量を制御する排気パージ流量制御機構を備え、前記吸入空気量が少ないほど、前記排気通路に流入するパージガスの流量を多量とすることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
  5. 前記ポンプは、キャニスタの大気孔に加圧空気を圧送する加圧型ポンプであり、
    前記排気パージ発生手段は、前記キャニスタを含む系の内圧が所定正圧値を超えないように前記ポンプを作動させるポンプ制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
  6. 前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入させるべきパージガスの流量が多量であるほど前記所定正圧値を高い値に設定する所定正圧値設定手段を備えることを特徴とする請求項記載の蒸発燃料処理装置。
  7. 前記ポンプは、キャニスタのパージ孔から空気を吸引する吸引型ポンプであり、
    前記排気パージ発生手段は、前記キャニスタを含む系の内圧が所定負圧値を下回らないように前記ポンプを作動させるポンプ制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
  8. 前記排気パージ発生手段は、前記排気通路に流入させるべきパージガスの流量が多量であるほど前記所定負圧値を低い値に設定する所定負圧値設定手段を備えることを特徴とする請求項記載の蒸発燃料処理装置。
  9. 車両が走行中であるか否かを判別する走行判定手段と、
    車両が走行中でない場合は、前記排気通路へのパージガスの流入を禁止する第2の排気パージ禁止手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
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