JP3849604B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発燃料処理装置に係り、特に、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を大気に放出させることなく処理するための蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平5−312113号公報に開示されるように、燃料タンクと連通するキャニスタを備える蒸発燃料処理装置が知られている。キャニスタは、燃料タンクに連通していると共に、内燃機関の吸気通路に連通している。また、このキャニスタは、大気に連通する大気孔を備えている。
【0003】
上記従来の装置において、燃料タンク内で発生した蒸発燃料は、一旦キャニスタに吸着される。内燃機関の運転中に、吸気負圧がキャニスタに導かれると、大気孔から吸入された空気と共に、キャニスタに吸着されている蒸発燃料が吸気通路にパージされる。その結果、燃料タンク内で生じた蒸発燃料は、大気に放出されることなく、内燃機関の運転中に燃料として処理される。
【0004】
ところで、上記従来の装置は、パージカット中は、キャニスタの内部を大気圧に開放することとしている。キャニスタの内部が大気に開放されていると、給油の実行に伴ってタンク内圧が上昇した場合に、燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに導くことができる。このため、上記従来の装置によれば、パージカット中において、良好な給油特性を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置では、給油時に限らず、パージカット中は常に燃料タンク内の蒸発燃料が抵抗なくキャニスタに流入することができる。このため、上記従来の装置において、燃料タンク内で多量に蒸発燃料が発生している場合には、一時的にパージがカットされている間に、キャニスタ内の燃料吸着量が急増するような事態が生じ得る。
【0006】
キャニスタ内の蒸発燃料を内燃機関の吸気通路にパージする場合は、パージガス中のベーパ濃度を学習して、燃料のパージ分だけ燃料噴射量を減量する補正が一般に行われる。パージカット中にキャニスタ内の燃料吸着量が急変すると、パージの再開時に形成されるベーパ濃度が、パージカット時に記憶したベーパ濃度から大きく変化し、その時点で燃料噴射量を適正に補正することが困難になることがある。このため、上記従来の装置においては、パージの再開時に、空燃比荒れを防ぐために、パージ流量を絞るなどの措置を講ずることが必要である。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、パージカット中にキャニスタ内の燃料吸着状態が大きく変化するのを防ぐことのできる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を大気に放出させることなく処理するための蒸発燃料処理装置であって、
前記燃料タンクと連通すると共に、内燃機関の吸気通路に連通するパージ孔と大気に通じる大気孔とを備えるキャニスタと、
前記パージ孔と前記吸気通路の間に配置されるパージ制御弁と、
前記キャニスタの内側から前記大気孔の外側へ向かう流体の流れを遮断することのできる大気孔封鎖機構と、
パージカット中に前記パージ制御弁を閉弁状態とするパージ制御弁制御手段と、
パージカット中に、前記キャニスタの内側から前記大気孔の外側へ向かう流体の流れが禁止されるように前記大気孔封鎖機構を制御する封鎖機構制御手段と、
タンク内圧を検出するタンク内圧検出手段とを備え、
前記大気孔封鎖機構は、前記大気孔に対して加圧空気を供給することのできるポンプを備え、
前記封鎖機構制御手段は、パージカット中に、前記タンク内圧が、大気圧より高圧の目標圧力となるように、前記ポンプの作動状態を制御するポンプ制御手段を備え、
当該蒸発燃料処理装置は、更に、
パージカット中に、キャニスタ内部の蒸発燃料濃度の変化傾向を推定する変化傾向推定手段と、
前記蒸発燃料濃度の上昇傾向が強いほど、前記目標圧力を大きな値に設定する目標圧力設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記変化傾向推定手段は、前記燃料タンクの内部における蒸発燃料の発生状態を検知する蒸発燃料発生状態検知手段を備え、
前記目標圧力設定手段は、前記燃料タンクの内部で蒸発燃料が多量に発生しているほど、前記目標圧力を大きな値に設定することを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記変化傾向推定手段は、パージがカットされた時点でのパージガス中のベーパ濃度を検出するカット時ベーパ濃度検出手段を備え、
前記目標圧力設定手段は、パージがカットされた時点での前記ベーパ濃度が薄いほど、前記目標圧力を大きな値に設定することを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記大気孔封鎖機構は、前記大気孔を大気から遮断する大気孔封鎖弁を備え、
パージが開始された後、タンク内圧が大気圧近傍値となるまでは前記大気孔封鎖弁を閉弁状態に維持し、その後、当該大気孔封鎖弁の開弁を許可する封鎖状態維持手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記大気孔封鎖機構は、前記大気孔を大気から遮断する大気孔封鎖弁を備え、
パージが開始された後、前記大気孔封鎖弁の実質的開度を全閉状態から徐々に増大させていく封鎖弁開度調整手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
内燃機関の排気通路に2次空気を導入するための2次空気導入通路と、
前記大気孔に対して加圧空気を供給することのできるポンプと、
前記ポンプと前記キャニスタとの導通状態を制御する第1制御弁と、
前記ポンプと前記2次空気導入通路との導通状態を制御する第2制御弁と、
前記キャニスタと前記ポンプとをつなぐ経路と並列に大気に連通するように設けられた経路内に配置された大気孔封鎖弁と、
前記ポンプから前記キャニスタに向けて加圧空気が供給される際に、前記大気孔封鎖弁を実質的に所定開度に制御して前記加圧空気の圧力を調整する圧力調整手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第7の発明は、第6の発明において、
タンク内圧を検出するタンク内圧検出手段と、
前記タンク内圧に基づいて、前記所定開度を設定する開度設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第8の発明は、第1乃至第7の発明の何れかにおいて、
前記封鎖機構制御手段は、
車両の走行中に限り、前記キャニスタの内側から前記大気孔の外側へ向かう流体の流れが禁止されるように前記大気孔封鎖機構を制御する封鎖手段と、
車両の停車時に、前記流体の流れが許容されるように前記大気孔封鎖機構を制御する封鎖解除手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、第9の発明は、第1乃至第8の発明の何れかにおいて、
前記燃料タンクに燃料が供給される給油状態を検出する給油検出手段と、
前記給油状態の成立中は、前記ポンプを逆転運転させることにより、前記キャニスタから大気へ向かうガスの流れを生成させる逆流ガス生成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。本実施形態の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク10を備えている。燃料タンク10には、タンク内圧を測定するためのタンク内圧センサ12が設けられている。タンク内圧センサ12は、大気圧に対する相対圧としてタンク内圧を検出し、その検出値に応じた出力を発生するセンサである。
【0018】
燃料タンク10には、ROV(Roll Over Valve)14,16を介してベーパ通路18が接続されている。ベーパ通路18は、ダイヤフラム式の給油弁20を介してキャニスタ22に接続されている。キャニスタ22の内部には、燃料ベーパを吸着するための活性炭が充填されている。このため、燃料タンク10の内部で発生した燃料ベーパは、ベーパ通路18および給油弁20を通ってキャニスタ22に到達し、キャニスタ22の内部に吸着保持される。
【0019】
キャニスタ22には、大気孔24およびパージ孔26が設けられている。パージ孔26は、パージガスの流量を制御するためのパージVSV(Vacuum Switching Valve)28を介して内燃機関の吸気通路(図示せず)に連通している。パージVSV28は、デューティ制御されることにより実質的に任意の開度を実現する制御弁である。
【0020】
キャニスタ22の大気孔24には、CCV(Canister Closed Valve)30を介してポンプ32が連通している。ポンプ32の吸入孔は、フィルタ34を介して大気に開放されている。CCV30は、外部から駆動信号を受けることにより大気孔24を閉弁するノーマルオープンタイプの電磁弁である。CCV30が開いている場合は、ポンプ32を作動させることにより、ポンプ32により生成される加圧空気をキャニスタ22の大気孔24に供給することができる。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)
40を備えている。ECU40には、上述したタンク内圧センサ12を始め、内燃機関に組み込まれている各種のセンサ(図示せず)の出力が供給されている。ECU40は、それらのセンサ出力に基づいて、パージVSV28、CCV30、およびポンプ32などの状態を制御することができる。
【0022】
[基本動作の説明]
本実施形態のシステムにおいて、燃料タンク10の内部で発生したベーパは、ベーパ通路18を通ってキャニスタ22に導かれ、その内部に吸着保持される。ECU40は、内燃機関の運転中、所定のパージ条件が成立する状況下で、パージVSV28を適当に開弁させる。内燃機関の運転中にパージVSV28が開弁されると、キャニスタ22に吸気負圧が導かれ、キャニスタ22に吸着されているベーパは、大気孔24から吸入される空気と共に吸気通路にパージされる。本実施形態のシステムによれば、このようにして、燃料タンク10内で発生するベーパを、大気に放出させることなく処理することができる。
【0023】
ECU40は、公知の手法でパージガス中のベーパ濃度を検出することができる。また、ECU40は、デューティ制御によりパージVSV28の実質的な開度を制御することで、キャニスタ22から吸気通路に向かって流れるパージガスの流量を制御することができる。このため、ECU40は、パージの実行に伴って吸気通路に供給されている蒸発燃料の量を検知することができる。
【0024】
吸気通路に蒸発燃料がパージされている状況下で、所望の空燃比を実現するためには、パージにより供給されている燃料分だけ燃料噴射量を減量補正することが必要である。ECU40は、上記の要求を満たすべく、パージの影響を相殺するための補正量を公知の手法で算出し、その算出値に基づいて、燃料噴射量に減量補正を施す。このため、本実施形態のシステムによれば、大きな空燃比荒れを生じさせることなく蒸発燃料のパージを行うことができる。
【0025】
[特徴的動作の説明]
本実施形態の装置において給油が行われる際には、液面の上昇に伴い燃料タンク10の空き容量が急減に減少する。このため、円滑な給油を可能とするためには、空き容量の減少分に見合ったタンク内ガスの流出を許容することが必要である。CCV30を開けておけば、タンク内ガスは、給油の際にキャニスタ22に流入することができる。従って、本実施形態の装置において、CCV30を常時開いておけば、常に良好な給油特性を得ることができる。
【0026】
しかしながら、CCV30が常に開弁しているとすれば、給油時に限らず、燃料タンク10内の蒸発燃料は、常時キャニスタ22に抵抗なく流入することが可能となる。この場合、パージカット中に燃料タンク10からキャニスタ22へ発燃料が多量に流入し、その結果、パージカットの前後で、キャニスタ22の燃料吸着状態が大きく変化する事態が生じ得る。
【0027】
本実施形態の装置は、既述した通り、パージの実行中に、パージガス中のベーパ濃度を検出し、そのベーパ濃度に基づいて燃料噴射量に減量補正を施している。パージガス中のベーパ濃度の検出には、パージガスの流通開始後ある程度の時間が必要である。従って、パージの再開時には、その時点での正確なベーパ濃度は判らない。このため、パージの再開時には、パージカット時に記憶したベーパ濃度を用いて燃料噴射量補正を行うのが通常である。
【0028】
本実施形態の装置において、キャニスタ22の燃料吸着状態が上記の如くパージカット中に大きく変化するとすれば、パージがカットされた時点で記憶されたベーパ濃度と、パージ再開時に現実に生ずるベーパ濃度との間に大きな差が生ずる。この場合、パージの再開時に、パージカット時に記憶したベーパ濃度を用いて燃料噴射量を補正しても、精度良くパージ分を相殺することはできない。従って、パージ再開時の空燃比荒れを防ぐうえでは、パージカット中に生ずるキャニスタ22内の吸着状態の変化を十分に抑制することが有効である。
【0029】
図1に示す構成において、パージカット中にCCV30を閉じると、キャニスタ22と燃料タンク10を密閉空間とすることができる。それらが密閉空間とされると、燃料タンク10の内部で蒸発燃料が発生するに連れて、その空間内の圧力は上昇する。燃料タンク10内の燃料は、タンク内圧が上昇するに連れて蒸発し難くなる。また、キャニスタ22の内部では、その内部圧力が上昇するに連れて、蒸発燃料が活性炭に吸着され難くなる。従って、パージカット中にCCV30を閉じることとすれば、その間にキャニスタ22の内部で生ずる吸着状態の変化を十分に抑制することができる。
【0030】
そこで、本実施形態では、給油が実行される可能性のある状況下では、つまり、車両が停止している状況下ではCCV30を開弁状態として良好な給油特性の確保を図る一方、給油が実行される可能性のない状況下では、つまり、車両が停止していない状況下では、パージカット中にCCV30を閉弁し、パージカット中におけるキャニスタ22の燃料吸着状態の変化を抑制することとした。
【0031】
ところで、本実施形態の装置において、パージカット中にCCV30が閉じられると、パージの再開時に、キャニスタ22の内圧およびタンク内圧が、大気圧に比して高圧となることがある。このような状況下でCCV30が開弁されると、密閉空間内に蓄えられていた圧力が開放されて、キャニスタ22の大気孔24蒸発燃料が大気に放出される事態が生じ得る。そこで、本実施形態の装置は、上記の如くパージカット中にCCV30を閉じた場合には、パージの再開時に、タンク内圧が大気圧近傍の値に低下するまでは、CCV30を閉じたままの状態に維持し、蒸発燃料の吹き抜けが生じない状況が形成された後にCCV30を開弁することとした。
【0032】
図2は、上記の規則に従ってCCV30が制御された場合の動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図2(A)はCCV30の開閉状態の変化、図2(B)はタンク内圧PTNKの変化、図2(C)はパージVSV28に供給される駆動信号のデューティ比DUTYの変化である。尚、図2に示されている期間中、車両は継続的に走行しているものとする。
【0033】
図2(A)および図2(C)に示すように、本実施形態の装置では、パージVSV28に対する駆動デューティが0となると同時に、つまり、パージがカットされると同時に、CCV30が閉弁状態とされる。このため、図2(B)に示すように、パージカットされた後、タンク内圧PTNKは上昇傾向を示す。
【0034】
タンク内圧PTNKが上昇するほど、キャニスタ22には、蒸発燃料が吸着され難くなる。その結果、本実施形態の装置では、パージカット中に生ずるキャニスタ22の燃料吸着状態の変化を小さく抑制することができる。そして、パージカット中に生ずる燃料吸着状態の変化が小さいため、空燃比荒れを生じさせることなく、大きなパージ流量でパージを再開させることができる。このため、本実施形態の装置によれば、優れたパージ能力を確保することができる。
【0035】
図2(A)および図2(B)に示すように、パージの再開時にタンク内圧PTNKが大気圧近傍の値である場合は、その再開と共にCCV30が開弁される。一方、パージの再開時にタンク内圧PTNKが大気圧に比して十分に高い場合は、その圧力PTNKが大気圧近傍の値に低下するまで、CCV30は閉弁状態に維持される。このため、本実施形態の装置によれば、パージの再開に伴って、燃料タンク10内の蒸発燃料がCCV30を通って大気に吹き抜けるのを確実に防止することができる。
【0036】
図3は、上記の機能を実現するためにECU40が実行するパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートを示す。
図3に示すルーチンでは、先ず、パージが実行中であるか否かが判別される(ステップ100)。
【0037】
その結果、パージが実行中でないと判別された場合は、その時点のタンク内圧PTNKがオフ圧力POFFとして記録される(ステップ102)。
本ステップ102で記憶されるオフ出力POFFは、パージが開始された後に、その開始の直前のタンク内圧PTNKとして利用される。
【0038】
次いで、車速SPDが判定値KSより大きいか否かが判別される(ステップ104)。
判定値KSは、車両が停止中であるか、非停止中であるかを判別するための値であり、例えば3km/h程度に設定されている。
【0039】
上記ステップ104において、SPD>KSが成立しないと判別された場合、ECU40は、車両が停止していると判断する。より具体的には、ECU40は、この場合車両において給油が行われる可能性があると判断する。そして、このような判断が成された場合、その時点のタンク内圧PTNKがオン圧力PONとして記憶された後(ステップ106)、CCV30が開弁され(ステップ108)、その後更にポンプ32がOFFとされる(ステップ110)。
【0040】
車両の停止状態が維持される限り、以後、上記ステップ100〜110の処理が繰り返し実行される。この際、キャニスタ22および燃料タンク10は、CCV30を介して大気に開放されているため、オン圧力PONには大気圧近傍の値が記憶される。このようにして記憶されたオン圧力PONは、パージが開始された後に、大気圧近傍の値として利用される。
尚、上記ステップ100〜110の処理が繰り返されている間は、燃料タンク10からキャニスタ22へ向かうガスの流れが許容されるため、給油が行われた場合には、良好な給油特性を得ることができる。
【0041】
車両が走行し始めた後、未だパージが開始されていない場合、および、車両の走行中にパージがカットされた場合は、上記ステップ104において、SPD>KSが成立するとの判断がなされる。ECU40は、この場合、給油が実行される可能性はないものと判断して、CCV30を閉弁状態とした後(ステップ112)、ポンプ32をOFFとする(ステップ110)。
【0042】
以後、車両が走行状態を維持し、かつ、パージカットが継続される限り、上記ステップ100〜104,112および110の処理が繰り返し実行される。これらの処理が繰り返されている間、オン圧力PONの値は更新されることなく大気圧近傍値のまま維持され、一方、オフ圧力POFFの値は最新のタンク内圧PTNKに更新される。
【0043】
パージカット中は、パージVSV28が閉じている。このため、上記ステップ112においてCCV30が閉じられると、キャニスタ22および燃料タンク10は密閉空間となる。このため、タンク内圧PTNKは、その後、燃料タンク10の内部における蒸発燃料の発生状況に応じた上昇傾向を示す。その結果、蒸発燃料が発生し難い状況が形成されている場合のみならず、蒸発燃料が発生し易い状況が形成されている場合にも、キャニスタ22における燃料吸着状態が大きく変化するのを防ぐことができる。
【0044】
本実施形態において、ECU40は、キャニスタ22内の蒸発燃料をパージしている間、パージガス中のベーパ濃度を検出している。そして、車両の走行中にパージがカットされた場合は、その時点のベーパ濃度を記憶し、そのベーパ濃度を用いてパージ再開時に燃料噴射量の減量補正を行う。本実施形態では、上記の如くパージカット中に生ずる燃料吸着状態の変化が小さく抑制されるため、パージの再開時に、パージカット時に記憶されたベーパ濃度と大きく異ならないベーパ濃度を現実に生じさせることができる。このため、本実施形態の装置によれば、パージの再開時から高精度な燃料噴射量補正を実行することができ、空燃比荒れを生じさせることなく多大なパージ流量でパージを再開させることができる。従って、本実施形態の装置によれば、優れたパージ能力を実現することができる。
【0045】
本実施形態の装置において、蒸発燃料のパージが開始(再開の場合を含む)されると、上記ステップ100において、パージが実行中であるとの判断がなされる。図3に示すルーチンでは、この場合、次に、タンク内圧PTNKが判定圧力PON+KP1より低いか否かが判別される(ステップ114)。
オン出力PONは、上記の如く大気圧近傍の値である。また、PONに加算されているKP1は、制御上のマージンを確保するための適当な値である。従って、本ステップ114の処理は、実質的には、タンク内圧PTNKが大気圧近傍値より低圧か否かを判断しているのと同じである。
【0046】
上記ステップ114において、PTNK<PON+KP1が成立しない、つまり、タンク内圧PTNKは、大気圧近傍値より高いと判断された場合は、次に、タンク内圧PTNKが、判定値POFF−KP2より低いか否かが判別される(ステップ116)。
本ステップ116が実行される段階において、オフ出力POFFには、パージが開始される直前に検出されたタンク内圧PTNKが記憶されている(ステップ102参照)。従って、本ステップ116では、実質的には、パージが開始された後、タンク内圧PTNKに、所定値KP2を超える圧力降下が生じたか否かが判別されている。所定値KP2は、PTNK<POFF−KP2が成立する場合には、通常、タンク内圧PTNKが大気圧近傍まで低下していると判断できるものとして設定された値である。このため、本ステップ116の処理は、実質的には、パージ開始時のタンク圧力PTNK=POFFを基準として、現在のタンク内圧PTNKが大気圧近傍値に低下しているか否かを判断しているのと同じである。
【0047】
上記ステップ116において、PTNK<POFF−KP2が成立しないと判断された場合、つまり、オフ圧力POFFを基準としてもタンク内圧PTNKが大気圧近傍値まで低下しているとは判断できない場合は、以後、上記ステップ112および110の処理が実行される。その結果、CCV30は閉弁状態に維持され、ポンプ32はOFF状態に維持される。この場合、以後、キャニスタ22および燃料タンク10の内部に存在するガスがパージの実行に伴い吸気通路に吸引されることにより、タンク内圧PTNKが大気圧近傍値に向かって減圧される。
【0048】
パージの開始時にタンク内圧PTNKが大気圧近傍の値であった場合、或いは、パージの開始後にタンク内圧PTNKが大気圧近傍の値にまで低下した場合には、上記ステップ114において、PTNK<PON+KP1が成立するとの判別される。ECU40は、この条件の成立が認められた場合、タンク内圧PTNKが大気圧近傍の値であるものと判断し、その時点のタンク内圧PTNKをオン圧力PONとして記憶し直す(ステップ120)。
【0049】
また、ECU40は、上記ステップ114において、PTNK<PON+KP1が成立しないと判別された場合であっても、上記ステップ116において、PTNK<POFF−KP2が成立すると判別された場合は、タンク内圧PTNKが十分に大気圧付近にまで低下したと判断する。そして、ECU40は、上記ステップ120の処理が終了した後、或いは、上記ステップ116の条件成立を判断した後、CCV30を開弁する(ステップ122)。
【0050】
上記ステップ122においてCCV30が開弁される段階では、タンク内圧PTNKが既に大気圧付近にまで低下している。このため、CCV30が開弁されても、燃料タンク10やキャニスタ22内部のガスが、CCV30から大気へ吹き出すことはない。従って、本実施形態の装置によれば、パージの開始時に蒸発燃料が大気へ吹き抜けるのを確実に防止することができる。
【0051】
図3に示すルーチンでは、次に、タンク内圧PTNKが負圧化しているか否かが判別される(ステップ124)。
パージの実行中は、キャニスタ22のパージ孔26に吸気負圧が導かれる。CCV30が開弁した後、大気孔24が自然吸気を行っている場合は、空気が活性炭を通過する際の抵抗により、パージ孔26付近の圧力は負圧となる。この場合、燃料タンク10の内部にも負圧が導入され、タンク内圧PTNKが負圧化する。
【0052】
タンク内圧PTNKが負圧化すると、燃料タンク10の内部は、蒸発燃料が発生し易い状態となる。また、タンク内圧PTNKの負圧化は燃料タンク10内の蒸発燃料がキャニスタ22を通過して直接吸気通路へパージされることにより生ずる。更に、タンク内圧PTNKの負圧化は、燃料タンク10内で新たに発生する蒸発燃料がキャニスタ22を通過して直接吸気通路へパージされ続けることにより維持される。
【0053】
このような蒸発燃料の直接パージは、ベーパ濃度の急激な変化を生じさせ、空燃比荒れの原因となる。そこで、図3に示すルーチンでは、上記ステップ124において、タンク内圧PTNKが負圧化していると判断された場合は、ポンプ32がオンとされる(ステップ126)。
ポンプ32がオンされると、ポンプ32からキャニスタ22へ加圧空気を供給することができる。この加圧空気によれば、活性炭で生ずる通気抵抗を補償して、パージ孔26付近の圧力を大気圧以上の圧力に高めることができる。このため、本ステップ126の処理が実行されると、その後、タンク内圧PTNKの負圧化は解消される。また、タンク内圧PTNKの負圧化が解消されると、蒸発燃料の直接パージが防止されるため、安定した空燃比制御が実現される。このため、本実施形態の装置によれば、パージの実行中に、優れた空燃比精度を実現することができる。
【0054】
図3に示すルーチン中、上記ステップ124において、タンク内圧PTNKが負圧化していないと判別された場合は、その後、ステップ110においてポンプ32がオフされる。このため、図3に示すルーチンによれば、パージの実行中、タンク内圧PTNKは常に大気圧付近に制御される。本実施形態の装置は、車両の停止に伴ってパージがカットされた場合、CCV30を開いてポンプ32をオフとする。この際、タンク内圧PTNKが正圧化していると、車両の停止と共に、燃料タンク10内の蒸発燃料がCCV30から大気に吹き抜ける事態が生ずる。これに対して、タンク内圧PTNKが大気圧付近に維持されていれば、そのような蒸発燃料の吹き抜けは生じない。このため、本実施形態の装置によれば、車両停止に伴う蒸発燃料の吹き抜けを防止して、良好なエミッション特性を実現することができる。
【0055】
以上説明した通り、本実施形態の装置によれば、車両の走行中にパージがカットされた場合は、CCV30を閉じてキャニスタ22および燃料タンク10を密閉空間とすることができる。このため、本実施形態の装置によれば、パージカット中にキャニスタ22内で生ずる燃料吸着状態の変化を十分に小さく抑制して、その結果として、優れたパージ能力を実現することができる。
【0056】
また、本実施形態の装置によれば、パージカット中であっても、車両の停車中はCCV30を開いておくことができる。このため、本実施形態の装置によれば、給油の際には燃料タンク10からキャニスタ22へタンク内ガスが流通するのを許容することができ、良好な給油特性を実現することができる。
【0057】
[変形例等]
ところで、上述した実施の形態1においては、パージが開始され、タンク内圧PTNKが大気圧付近にまで低下した後に、CCV30を全開状態とすることとしているが、パージ開始後のCCVの制御方法はこれに限定されるものではない。すなわち、CCV30は、パージが開始された直後から、或いはタンク内圧PTNKがある程度低下した後に、実質的な開度が徐々に増すようにデューティ制御することとしてもよい。
【0058】
また、上述した実施の形態1においては、パージが開始された後、PTNK<PON+KP1、或いはPTNK<POFF−KP2が成立するまでCCV30を閉じたままとし、タンク内圧PTNKが現実にそれらの条件の何れかを満たした時点でCCV30を開くこととしている。しかしながら、CCV30を開くタイミングはこれに限定されるものではない。すなわち、CCV30は、パージが開始された後、タンク内圧PTNKが適当に低下すると予想される所定の時間が経過した時点で開弁することとしてもよい。
【0059】
また、上述した実施の形態1においては、パージの実行中に、タンク内圧PTNKを大気圧付近に保つために、ポンプ32からキャニスタ22に加圧空気を供給することとしているが、パージカット中にCCV30を閉じる技術は、必ずしもポンプ32との組み合わせで用いる必要はない。すなわち、パージカット中にCCV30を閉じる技術は、キャニスタ22に加圧空気を供給するためのポンプ32を備えていない蒸発燃料処理装置との組み合わせで用いることとしてもよい。
【0060】
尚、上述した実施の形態1においては、CCV30が前記第1の発明における「大気孔封鎖機構」に、パージVSV28が前記第1の発明における「パージ制御弁」に、それぞれ相当している。また、ECU40が、パージカット時にパージVSV28を全閉状態に維持することで前記第1の発明における「パージ制御弁制御手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第1の発明における「封鎖機構制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0061】
また、上述した実施の形態1においては、CCV30が前記第6の発明における「大気孔封鎖弁」に相当していると共に、ECU40が、上記ステップ114および116の処理を実行することにより、前記第4の発明における「封鎖状態維持手段」が実現されている。また、この実施形態では、ECU40に、パージが開始された後、タンク内圧PTNKがある程度低下するのに要する時間の経過を待ってCCV30の開弁を許可させることによっても、前記第4の発明における「封鎖状態維持手段」を実現することができる。
【0062】
また、上述した実施の形態1においては、CCV30が前記第5の発明における「大気孔封鎖弁」に相当していると共に、ECU40に、パージが開始された後、その実質的開度が徐々に増すようにCCV30をデューティ制御させることにより前記第5の発明における「封鎖弁開度調整手段」を実現することができる。
【0063】
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ104と共に上記ステップ112の処理を実行することにより前記第8の発明における「封鎖手段」が、上記ステップ104と共に上記ステップ108の処理を実行することにより前記第8の発明における「封鎖解除手段」が、それぞれ実現されている。
【0064】
実施の形態2.
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU40に、上記図3に示すルーチンに代えて後述する図4に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0065】
上述した実施の形態1の装置は、車両の走行中にパージがカットされた場合に、CCV30を閉じることでキャニスタ22内の燃料吸着状態が変化するのを防いでいる。つまり、実施の形態1の装置は、パージカット中にCCV30が閉じられると、蒸発燃料の発生に伴ってタンク内圧PTNKが自然に上昇するのを利用して、キャニスタ22内の燃料吸着状態の変化を抑制している。
【0066】
パージカット中におけるキャニスタ22内の燃料吸着状態は、燃料タンク10における蒸発燃料の発生が抑制されるほど変化し難い。また、その燃料吸着状態の変化は、蒸発燃料の流入に合わせてキャニスタ22内に空気を流入させることにより、より小さくすることができる。従って、パージカット中の燃料吸着状態の変化を抑制するうえでは、タンク内圧PTNKの自然な上昇だけを利用する場合に比して、ポンプ32からキャニスタ22に加圧空気を供給して、積極的にタンク内圧PTNKを上昇させる方がより効果的である。そこで、本実施形態では、車両の走行中にパージがカットされた場合には、ポンプ32を適当に作動させることにより、タンク内圧PTNKを積極的に大気圧より高い圧力に制御することとした。
【0067】
図4は、上記の機能を実現するためにECU40が実行するパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートを示す。尚、図4に示すルーチン中、上記図3に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0068】
図4に示すルーチンは、ステップ104の条件が成立する場合にステップ130の処理が実行される点、およびそのステップ130の条件が成立する場合に、ステップ132の処理を経てステップ126の処理が実行される点を除き、図3に示すルーチンと同様である。
【0069】
すなわち、図4に示すルーチンでは、上記ステップ104において、車速SPDが判定値KSより大きい、つまり、車両が走行中であるとの判断がなされた場合に、その時点のタンク内圧PTNKが所定の目標圧力POFF1より低いか否かが判別される(ステップ130)。
目標圧力は、キャニスタ22内の燃料吸着状態の変化を効果的に抑制し得る圧力として予め設定されている値であり、本実施形態では200mmaqに設定されている。
【0070】
上記ステップ130において、タンク内圧PTNKが目標圧力POFFより低くないと判別された場合は、既にタンク内圧PTNKが、キャニスタ22内の燃料吸着状態の変化を抑制するうえで適切な圧力に達していると判断できる。この場合は、以後、実施の形態1の場合と同様に、CCV30が閉じられ(ステップ112)、次いでポンプ32がオフとされる(ステップ110)。
【0071】
一方、上記ステップ130において、タンク内圧PTNKが目標圧力POFF1より低いと判別された場合は、CCV30が開弁され(ステップ132)、次いでポンプ32がオンとされる(ステップ126)。
本ステップ126の処理が実行されると、ポンプ32からキャニスタ22に向けて加圧空気が供給され始め、キャニスタ22の内圧およびタンク内圧PTNKが上昇しは始める。このため、タンク内圧PTNKはやがて目標圧力POFF1に到達する。
【0072】
タンク内圧PTNKが目標圧力POFF1に達すると、既述した通り、ステップ130に次いでステップ112および110の処理が実行され、再びキャニスタ22および燃料タンク10が密閉空間とされる。図3に示すルーチンによれば、車両の走行とパージカットが継続される限り、上述した一連の処理が繰り返し実行される。その結果、タンク内圧PTNKは、積極的に目標圧力POFF1近傍の値に制御される。このため、本実施形態の装置によれば、パージカット中にキャニスタ22内で生ずる燃料吸着状態の変化を、実施の形態1の場合に比して更に小さく抑制することができる。
【0073】
尚、上述した実施の形態2においては、CCV30およびポンプ32が前記第1の発明における「大気孔封鎖機構」に、パージVSV28が前記第1の発明における「パージ制御弁」に、それぞれ相当している。また、ECU40がパージカット時にパージVSV28を全閉状態に維持することで前記第1の発明における「パージ制御弁制御手段」が実現されている。更に、ECU40が上記ステップ130および112、並びに上記ステップ130,132および126の処理を実行することにより前記第1の発明における「封鎖機構制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0074】
また、ECU40が、上記ステップ130においてタンク内圧PTNKを検出することにより前記第1の発明における「タンク内圧検出手段」が、上記ステップ130,132および126の処理を実行することにより前記第1の発明における「ポンプ制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0075】
また、上述した実施の形態2においては、ECU40が、上記ステップ104と共に上記ステップ130および112、並びに上記ステップ130,132および126の処理を実行することにより前記第8の発明における「封鎖手段」が、上記ステップ104と共に上記ステップ108の処理を実行することにより前記第8の発明における「封鎖解除手段」が、それぞれ実現されている。
【0076】
実施の形態3.
次に、図5および図6を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態2の装置において、ECU40に、上記図4に示すルーチンに代えて、後述する図5に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0077】
上述した実施の形態2の装置は、パージカット中に、タンク内圧PTNKが一定の目標圧力POFF1に一致するようにポンプ32の制御を行っている。ところで、パージカット中におけるキャニスタ22の燃料吸着状態は、燃料タンク10内で蒸発燃料が多量に発生している場合ほど大きく変化し易い。従って、蒸発燃料の発生量が多量であるほどパージカット中のタンク内圧PTNKを高圧に保てば、蒸発燃料の発生量に関わらず、キャニスタ22内の燃料吸着状態の変化を常に小さく抑えることができる。
【0078】
また、キャニスタ22の燃料吸着状態は、パージがカットされた時点での吸着量が少ないほど、パージカットの過程で大きく変化し易い。従って、パージがカットされた時点での燃料吸着量が少ないほどパージカット中のタンク内圧PTNKを高圧に保てば、パージがカットされた時点でのキャニスタ22の状態に関わらず、パージカット中に生ずる燃料吸着状態の変化を常に小さく抑えることができる。
【0079】
そこで、本実施形態の装置は、燃料タンク10内での蒸発燃料の発生状態を検知し、蒸発燃料が多量に生じているほどパージカット中のタンク内圧PTNKの目標圧力を高圧に設定することとしている。また、本実施形態の装置は、パージがカットされた時点でキャニスタ22の燃料吸着状態を検知し、その時点での吸着量が少ないほどパージカット中のタンク内圧PTNKの目標圧力を高圧に設定することとしている。
【0080】
図5は、上記の規則に従って目標圧力を設定したうえで、パージカット中のタンク内圧PTNKをその目標圧力に制御するためにECU40が実行するパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。
図5に示すルーチンでは、先ず、パージが実行中であるか否かが判別される(ステップ140)。
【0081】
その結果、パージが実行中でないと判別された場合は、パージカウンタCPGがクリアされる(ステップ142)。
パージカウンタCPGは、パージ開始後の経過時間を計数するためのカウンタである。
【0082】
次に、車速SPDが判定値KSより大きいか否かが判別される(ステップ144)。
判定値KSは、車両が停止中であるか、非停止中であるかを判別するための値であり、本実施形態では3km/h程度に設定されている。
【0083】
上記ステップ144において、SPD>KSが成立しないと判別された場合は、車両において給油が行われる可能性があると判断できる。この場合、ECU40は、ポンプ32をオフし(ステップ146)、更にCCV30を開弁する(ステップ148)。
車両の停止状態が維持される限り、以後、上記ステップ140〜148の処理が繰り返し実行される。この間は、燃料タンク10からキャニスタ22へ向かうガスの流れが許容されるため、給油が行われた場合には、良好な給油特性を得ることができる。
【0084】
車両が走行し始めた後、未だパージが開始されていない場合、および、車両の走行中にパージがカットされた場合は、上記ステップ144において、SPD>KSが成立するとの判断がなされる。ECU40は、この場合、給油が実行される可能性はないものと判断して、以後、タンク内圧PTNKを大気圧より高圧の目標圧力に制御するための処理を実行する。
【0085】
具体的には、先ず、目標更新カウンタCPTのインクリメントが行われる(ステップ150)。
目標更新カウンタCPTは、タンク内圧PTNKの目標圧力を更新すべき時期を検知するためのカウンタである。
【0086】
次に、CCV30が閉じられているか否かが判別される(ステップ152)。
パージカット中はパージVSV28が閉じられている。従って、本ステップ152において、CCV30が閉じられていると判別された場合は、キャニスタ22および燃料タンク10が密閉空間を形成していると判断できる。この場合、タンク内圧PTNKの変化は、燃料タンク10内で蒸発燃料が新たに発生することによってのみ変化する。
【0087】
そこで、図5に示すルーチンでは、上記ステップ152において、CCV30が閉じていると判断された場合、前回の処理サイクル時に検出されたタンク内圧PTNKOと、今回の処理サイクル時に検出されたタンク内圧PTNKとの差を積算することで、基準圧力PBSを算出する(ステップ154)。
このようにして算出される基準圧力PBSは、燃料タンク10内での蒸発燃料の発生状況を表す特性値として利用することができる。
【0088】
一方、上記ステップ152において、CCV30が閉じていないと判別された場合は、タンク内圧PTNKが大気に開放されているか、或いは、ポンプ32によるタンク内圧PTNKの上昇が図られているものと判断することができる。つまり、この場合は、タンク内圧PTNKの変化が、蒸発燃料の発生状況と対応していないと判断することができる。このため、このような判断が成された場合は、上記ステップ154の処理がジャンプされる。
【0089】
図5に示すルーチンでは、上記ステップ152または154の処理に次いで、今回の処理サイクルで検出されたタンク内圧PTNKが、次回の処理サイクルに備えて旧タンク内圧PTNKOとして記憶される(ステップ156)。
【0090】
次に、目標更新カウンタCPTが所定値KCPTに達したか否かが判別される(ステップ158)。
本実施形態において、所定値KCPTは、CPT=KCPTの条件が10sec程度の間隔で成立するように設定されている。ECU40は、この条件が成立しない場合は、未だタンク内圧PTNKの目標圧力の更新時期が到来していないと判断する。一方、その条件が成立すると、目標圧力の更新時期が到来したと判断する。
【0091】
上記ステップ158において、CPT=KCPTが成立しない、つまり、目標圧力の更新時期が到来していないとの判断が成された場合は、以後、ポンプ32がオフされ(ステップ160)、更にCCV30が閉じられた後(ステップ162)、今回の処理サイクルが終了される。
【0092】
一方、上記ステップ158において、CPT=KCPTが成立すると判別された場合は、目標圧力を更新するための処理が実行される。ここでは、先ず、目標更新カウンタCPTのクリア処理が実行される(ステップ164)。
【0093】
次に、上記ステップ154において算出された基準圧力PBSに基づいて、暫定目標圧力tPTGTが算出される(ステップ166)。
ECU40は、基準圧力PBSと暫定目標圧力tPTGTとの関係を、ステップ166の枠中に示すように定めたマップを記憶している。本ステップ166では、そのマップに基づいて、今回の処理サイクルで算出された基準圧力PBSに対応する算定目標圧力tPTGTが算出される。その結果、暫定目標圧力PTGTは、所定の上限値を超えない範囲で、基準圧力PBSが大きいほど、つまり、燃料タンク10内で蒸発燃料が多量に発生しているほど、大きな値に設定される。
【0094】
次に、ベーパ濃度学習値FGPGに基づいて、補正係数tKFGが算出される(ステップ168)。
ECU40は、蒸発燃料のパージ中に、公知の手法で、ベーパ濃度学習値FGPGを学習している。本ステップ168では、ECU40に記憶されている最新のFGPG、つまり、パージがカットされる直前のFGPGに基づいて補正係数tKFGが算出される。
【0095】
本実施形態において、ECU40は、ベーパ濃度学習値FGPGと補正係数tKFGとの関係を、ステップ168の枠中に示すように定めたマップを記憶している。本ステップ168では、そのマップに基づいて、パージがカットされる直接のFGPGに対応する補正係数tKFGが算出される。その結果、補正係数tKFGは、ベーパ濃度学習値FGPGが小さいほど大きな値に設定される。
【0096】
ベーパ濃度学習値FGPGは、パージガス中のベーパ濃度が薄いほど小さな値に更新される。また、パージガス中のベーパ濃度は、キャニスタ22に吸着されている蒸発燃料量が少量であるほど薄くなる。従って、補正係数tKFGは、パージがカットされた時点において、キャニスタ22に吸着されている燃料量が少ないほど大きな値に設定される。
【0097】
補正係数tKFGが算出されると、次に、その補正係数tKFGを上記の暫定目標圧力tPTGTに掛け合わせることにより、目標圧力PTGT=tPTGT*tKFGが算出される(ステップ170)。
その結果、目標圧力PTGTは、基準圧力PBSが高いほど、つまり、蒸発燃料が発生し易い状況であるほど高い値に設定される。また、目標圧力PTGTは、補正係数tKFGが大きな値であるほど、つまり、パージカット時にキャニスタ22内の燃料吸着量が少量であるほど高い値に設定される。換言すると、目標圧力PTGTは、パージカット中にキャニスタ22に多量の燃料が吸着され易いほど高い圧力に設定される。
【0098】
図5に示すルーチンでは、次に、タンク内圧PTNKが目標圧力PTGTより低いか否かが判別される(ステップ172)。
その結果、タンク内圧PTNKが目標圧力PTGTより低くないと判別された場合は、タンク内圧PTNKを昇圧する必要がないと判断できる。この場合、以後、上記ステップ160および162の処理、つまり、ポンプ32をオフとしてCCV30を閉じる処理が実行される。
【0099】
一方、上記ステップ172において、PTNK<PTGTが成立すると判断された場合は、タンク内圧PTNKを昇圧する必要があると判断できる。この場合、ポンプ32がオンとされた後(ステップ174)、CCV30が開弁される(ステップ176)。
これらの処理が実行されると、以後、ポンプ32からキャニスタ22に向けて加圧空気が供給され始め、タンク内圧PTNKが目標圧力PTGTに向かって上昇し始める。そして、タンク内圧PTNKが目標圧力PTGTに達すると、その時点でポンプ32による加圧が停止され、かつ、CCV30が閉弁される。このため、図5に示すルーチンによれば、車両の走行中にパージがカットされた場合に、タンク内圧PTNKを目標圧力PTGTの近傍に制御することができる。
【0100】
目標圧力PTGTは、既述した通り、パージカット中にキャニスタ22に燃料が吸着され易いほど高い値に設定される。一方、本実施形態の装置では、目標圧力PTGTが高い値に設定されるほど、燃料タンク10内での蒸発燃料の発生を抑えて、蒸発燃料が新たにキャニスタ22に流入し難い状況を形成することができる。更に、本実施形態の装置では、目標圧力PTGTが高い値に設定されるほど、パージカット中にキャニスタ22に流入する空気が多量となり、キャニスタ22内における蒸発燃料の希釈効果が高められる。このため、本実施形態の装置によれば、蒸発燃料の発生状況や、キャニスタ22の燃料吸着状態の相違に関わらず、常に、パージカット中にキャニスタ22内に生ずる燃料吸着状態の変化を十分に小さく抑制することができる。
【0101】
本実施形態の装置において、蒸発燃料のパージが開始(再開の場合を含む)されると、上記ステップ140において、パージが実行中であるとの判断がなされる。図5に示すルーチンでは、この場合、次に、タンク内圧PTNKが基準圧力PBSより高圧であるか否かが判別される(ステップ178)。
【0102】
その結果、PTNK>PBSが成立すると判別された場合、つまり、タンク内圧PTNKが、蒸発燃料の自然発生により到達する圧力PBSより高いと判断された場合は、次に、パージカウンタCPGが0であるか否かが判別される(ステップ180)。
【0103】
パージカウンタCPGは、上記の如くパージカット中は常に0にクリアされている(ステップ142参照)。従って、今回の処理サイクルが、パージ再開後初回のサイクルであれば、ここではCPG=0が成立すると判断される。この場合、CCV30に供給される駆動信号のデューティ比CCVDutyが0とされる(ステップ182)。
【0104】
これに対して、上記ステップ178において、タンク内圧PTNKが基準圧力PBSより高くないと判別された場合、および、上記ステップ180において、CPG=0が成立しないと判別された場合は、CCVDutyのインクリメント処理が行われる(ステップ184)。
【0105】
図5に示すルーチンでは、上記ステップ182または184の処理に次いで、パージカウンタCPGがインクリメントされる(ステップ186)。
従って、パージが再開された後、2度目以降の処理サイクル時には、上記ステップ180において、常にCPG=0が成立しないとの判断がなされる。このため、図5に示すルーチンによれば、パージが開始された直後にPTNK>PBSが成立する場合には、パージ開始後初回の処理サイクルからCCVDutyのインクリメントが実行され、また、その条件が成立しない場合には、パージ開始後2回目以降の処理からCCVDutyのインクリメントが実行される。
【0106】
図5に示すルーチンでは、上記ステップ186の処理に次いで、目標更新カウンタCPTがクリアされる(ステップ188)。
次に、タンク内圧PTNKが基準圧力PBSより低い値となっているか否かが判別される(ステップ190)。
【0107】
その結果、PTNK<PBSが成立すると判別された場合は、基準圧力PBSが現在のタンク内圧PTNKに書き換えられる(ステップ192)。
一方、PTNK<PBSが成立しないと判別された場合は、PBSの書き換え処理がジャンプされる。
【0108】
次に、実施の形態2または3の場合と同様に(ステップ124参照)、タンク内圧PTNKが負圧化しているか否かが判別される(ステップ194)。
【0109】
その結果、タンク内圧PTNKが負圧化していると判別された場合は、タンク内圧PTNKを大気圧まで上昇させるべく、ポンプ32がオンとされ(ステップ174)、次いで、CCV30が開弁される(ステップ176)。
これらの処理が実行されると、ポンプ32からキャニスタ22へ加圧空気が供給され始め、やがてタンク内圧PTNKの負圧化が解消される。このため、本実施形態の装置によれば、実施の形態2または3の場合と同様に、燃料タンク内の蒸発燃料の直接パージを有効に防止することができる。
【0110】
一方、上記ステップ194において、タンク内圧が負圧化していないと判別された場合は、ポンプ32がオフされた後(ステップ196)、上記の処理により設定されたデューティ比CCVDutyによって、CCV30がデューティ制御される(ステップ198)。
【0111】
CCVDutyは、既述した通り、パージが再開された直後にタンク内圧PTNKが十分に高圧である場合は一時的に0とされ、その後、パージの実行時間が経過すると共にインクリメントされる。このため、図5に示すルーチンによれば、CCV30の実質的開度は、パージが開始された後、全閉状態から徐々に大きな値へと変更される。
【0112】
パージが開始された後、CCV30の実質的開度が小さい間は、タンク内圧PTNKが高圧であっても、CCV30を通過して大気に流出するガス量は少量に抑制される。また、CCV30を通過して流通するガス量が少量であれば、蒸発燃料の大気への吹き抜けは防ぐことができる。このため、本実施形態の装置によれば、パージが開始された後、大気への蒸発燃料の吹き抜けを防止しつつ、タンク内圧PTNKの早期減圧を実現することができる。
【0113】
図6は、ECU40が上述した図5に示すルーチンを実行することにより実現される動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図6(A)はパージVSV28の駆動デューティDUTYの変化、図6(B)はタンク内圧PTNK、目標圧力PTGT、および基準圧力PBSの変化、図6(C)はCCV30の駆動デューティCCVDutyの変化を示す。
【0114】
上記図5に示すルーチンによれば、パージが開始された後、十分な時間が経過すると、CCVDutyは上限値に収束する。このため、図6(A)および図6(C)中、時刻t1以前の領域に示すように、継続的にパージが行われている間は(DUTY=上限値の間)は、CCVDUTYも上限値に維持される。この場合、タンク内圧PTNKは、ポンプ32のON・OFFにより大気圧付近に制御される。
【0115】
図6(B)は、時刻t1にパージがカットされた後、基準圧力PBSが一定速度で上昇した場合を例示している。この場合、目標圧力PTGTは、基準圧力PBSが上昇するのに伴ってより大きな値に増大される(上記ステップ166および170参照)。また、図6(B)は、パージカット時のベーパ濃度学習値FGPGが比較的小さな値であった場合、つまり、補正係数tKFGが比較的大きな値をとっていた場合を例示している。目標圧力PTGTは、そのFGPGがより大きな値となり、その結果補正係数tKFGがより小さな値となるほど、基準圧力PBSに近い値に設定される。
【0116】
パージがカットされている時刻t1からt2までの間、タンク内圧PTNKは、図6(B)に示すように、目標圧力PTGTに一致するように制御される。その結果、キャニスタ22内の蒸発燃料濃度は、大きく変化することなくほぼ一定のまま維持される。このため、本実施形態の装置によれば、時刻t2の後、時刻t1に記憶したFGPGを用いた燃料噴射量補正を行うことで、大きな空燃比荒れを生じさせることなく、大パージ流量でパージを再開させることができる。
【0117】
パージの再開時(時刻t2)に、基準圧力PBSより高いタンク内圧PTNKが生じている場合、図6(C)に示すように、CCV30はその時点で一旦全閉状態とされる(上記ステップ178〜182参照)。そして、CCV30の実質的開度がその後徐々に増大されるのに伴って、タンク内圧PTNKは大気圧に向かって減圧される。この際、タンク内圧PTNKが高圧である期間中は、CCV30の開度が小さく抑えられているため蒸発燃料の大気への吹き抜けは防止されている。そして、以後、パージが継続されている間は、ポンプ32のON・OFFが繰り返されることにより(上記ステップ194〜198,174および176参照)、タンク内圧PTNKは大気圧付近に維持される。
【0118】
以上説明した通り、本実施形態の装置によれば、車両の走行中にパージがカットされた場合は、蒸発燃料の発生状況や、キャニスタ22における燃料吸着状態に応じてタンク内圧PTNKの目標圧力を設定することができる。また、パージの再開後には、パージの進行に伴ってCCV30の実質的開度を徐々に大きくすることができる。このため、本実施形態の装置によれば、パージ再開後の空燃比精度を実施の形態1または2の場合に比して更に高めることができると共に、それらの実施形態の場合と同様にパージ再開後の蒸発燃料の吹き抜けを有効に防止することができる。
【0119】
ところで、上述した実施の形態3においては、基準圧力PBSやベーパ濃度学習値FGPGに基づいてタンク内圧PTNKの目標圧力を設定する技術を、パージの開始後にCCV30を徐々に開弁させる技術と組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、前者の技術は、実施の形態1または2で用いたCCV30の制御技術、すなわち、パージの開始後にタンク内圧PTNKがある程度低下した時点でCCV30を開弁させるの技術と組み合わせることとしてもよい。
【0120】
尚、上述した実施の形態3においては、CCV30およびポンプ32が前記第1の発明における「大気孔封鎖機構」に、パージVSV28が前記第1の発明における「パージ制御弁」に、それぞれ相当している。また、ECU40が、パージカット時にパージVSV28を全閉状態に維持することで前記第1の発明における「パージ制御弁制御手段」が、上記ステップ172〜176並びにステップ160および162の処理を実行することにより前記第1の発明における「封鎖機構制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0121】
また、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ172においてタンク内圧PTNKを検出することにより前記第1の発明における「タンク内圧検出手段」が、上記ステップ172,174および160の処理を実行することにより前記第1の発明における「ポンプ制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0122】
また、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ152および154の処理を実行すると共に、パージカット時のベーパ濃度学習値FGPGを記憶することにより、前記第1の発明における「変化傾向推定手段」が、上記ステップ166〜170の処理を実行することにより前記第1の発明における「目標圧力設定手段」が、それぞれ実現されている。
【0123】
また、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ152および154の処理を実行することにより前記第2の発明における「蒸発燃料発生状態検知手段」が、上記ステップ166および170の処理を実行することにより前記第2の発明における「目標圧力設定手段」が、それぞれ実現されている。
【0124】
また、上述した実施の形態3においては、ECU40が、パージがカットされた時点でのベーパ濃度学習値FGPGを検出することにより前記第3の発明における「カット時ベーパ濃度検出手段」が、上記ステップ168および170の処理を実行することにより前記第3の発明における「目標圧力設定手段」が、それぞれ実現されている。
【0125】
また、上述した実施の形態3においては、CCV30が前記第4の発明における「大気孔封鎖弁」に相当していると共に、ECU40に、パージが開始された後、タンク内圧PTNKが大気圧付近となるまでCCV30を閉弁状態に維持させておくことにより、前記第4の発明における「封鎖状態維持手段」を実現することができる。
【0126】
また、上述した実施の形態3においては、CCV30が前記第5の発明における「大気孔封鎖弁」に相当していると共に、ECU40が、上記ステップ178〜184および198の処理を実行することにより、前記第5の発明における「封鎖弁開度調整手段」が実現されている。
【0127】
また、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ144と共に上記ステップ172〜176並びにステップ160および162の処理を実行することにより前記第8の発明における「封鎖手段」が、上記ステップ144と共に上記ステップ148の処理を実行することにより前記第8の発明における「封鎖解除手段」が、それぞれ実現されている。
【0128】
実施の形態4.
次に、図7および図8を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
図7は、本発明の実施の形態4の構成を説明するための図である。尚、図7において、図1に示す構成要素と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0129】
図7に示すように、本実施形態の装置は、2次空気導入通路50を備えている。2次空気導入通路50の一端は、チェックバルブ52を介して、内燃機関の排気通路54に連通している。チェックバルブ52は、排気通路54に向かうガスの流れのみを許容する一方向弁である。排気通路54には、排気ガスを浄化するための触媒55が配置されている。2次空気導入通路50は、その触媒55の上流において排気通路54と連通している。
【0130】
2次空気導入通路50の他端は、ASV(Air Switching Valve)56と連通している。ASV56は、その内部に2つの制御弁を備えるユニットである。ASV56には、上述した2次空気導入通路50の他、大気連通路58および加圧空気供給経路60が連通している。大気連通路58は、ポンプ32およびフィルタ62を介して大気に連通している。一方、加圧空気供給経路60は、キャニスタ22とCCV30とをつなぐ経路の途中に連通している。ASV56が備える一方の制御弁は、ポンプ32と2次空気導入通路50とを導通または遮断状態とすることができる。以下、この制御弁を「AI側制御弁」と称す。ASV56が備える他方の制御弁はポンプと加圧空気供給経路60とを導通または遮断状態とすることができる。以下、この制御弁を「パージ側制御弁」と称す。
【0131】
[動作説明]
本実施形態において、ECU40は、ポンプ32やパージVSV28の制御に加えて、ASV56の制御を行う。ECU40は、内燃機関の冷間始動時など、触媒55の早期暖機が要求されるような場合に、ポンプ32と2次空気導入通路50とが導通するようにASV56のAI側制御弁を制御し、かつ、ポンプ32を作動さする。この場合、ポンプ32により圧送された空気が2次空気として排気通路54の触媒55の上流に流入する。触媒55の上流に2次空気が供給されると、排気ガス中の未燃成分の燃焼が促され、触媒55に供給される熱量が増し、その暖機が促進される。このため、本実施形態の装置によれば、内燃機関の冷間始動時などに触媒55を短時間で暖機することができる。
【0132】
本実施形態において、ポンプ32は、実施の形態1乃至3の場合と同様に、キャニスタ22に対して加圧空気を供給する機構としても利用される。すなわち、ECU40は、キャニスタ22に加圧空気を供給する必要がある場合は、ポンプ32と加圧空気供給経路60とが導通するようにASV56のパージ側制御弁を制御し、かつ、ポンプ32を運転状態とする。この場合、ポンプ32により生成される加圧空気は、キャニスタ22とCCV30とをつなぐ経路に供給される。
【0133】
この際、CCV30が閉じられていると、ポンプ32の発生する加圧空気はキャニスタ22に流入する。このように、本実施形態の装置によれば、一つのポンプ32を、排気通路54に対する2次空気の供給と、キャニスタ22に対する加圧空気の供給の双方に兼用することができる。従って、本実施形態の装置によれば、上述した2次空気と加圧空気の双方を発生させる機構を安価に実現することができる。
【0134】
図8は、本実施形態においてECU40が実行するパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。尚、図8において、上記図3に示すルーチンと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0135】
図8に示すルーチンでは、先ず、内燃機関の冷間始動中か否かが判別される(ステップ200)。
より具体的には、内燃機関の排気通路54に2次空気を供給する必要があるか否かが判別される。本ステップ200において、この判別は、例えば、内燃機関の始動後の経過時間、或いは内燃機関の冷却水温などに基づいて行うことができる。
【0136】
上記の判別の結果、冷間始動中であると判断された場合は、ASV56のAI側制御弁がON(開状態)とされ(ステップ202)、次いでポンプ32が作動させるべく、ステップ126の処理が実行される。
上記の処理が実行されると、以後、ポンプ32で生成された加圧空気が、2次空気として排気通路54の触媒55上流に供給される。その結果、触媒55の早期暖機が実現される。
【0137】
図8に示すルーチン中、上記ステップ200において、内燃機関が冷間始動中ではないとの判別がなされた場合は、ASV56のAI側制御弁がOFF(閉状態)とされ(ステップ204)、次いで、パージが実行中であるか否かを判断すべく、ステップ100の処理が実行される。
【0138】
上記の判別の結果、パージが実行中でないと判断された場合は、ASV56のパージ側制御弁がOFFされる(ステップ206)。
本ステップ206の処理によりパージ側制御弁がOFF(閉弁)されると、以後、キャニスタ22が大気に開放される状態と大気から遮断される状態とを、CCV30の状態により選択的に実現することが可能となる。
【0139】
図8に示すルーチンでは、上記ステップ206の処理に続いて、実施の形態1の場合と同様に、ステップ102〜112の処理が実行される。その結果、車両が停止している場合には、CCV30が開弁状態とされ、大きな抵抗を伴わずに燃料タンク10からキャニスタ22へタンク内ガスが流通し得る状態が形成される。また、車両が走行中である場合は、CCV30が閉じられ、その結果、キャニスタ22および燃料タンク10が密閉空間となり、キャニスタ22における燃料吸着状態の変化を抑制するうえで好適な状態が形成される。
【0140】
図8に示すルーチン中、上記ステップ100においてパージが実行中であるとの判別が成された場合は、以後、実施の形態の場合と同様に、ステップ114、116および120の処理が必要に応じて実行される。そして、それらの処理により、未だタンク内圧PTNKが大気圧付近にまで低下していないと判別された場合は、実施の形態1の場合と同様に、ステップ112および110の処理が実行される。この場合、大気孔24が大気から遮断されたままとなるため、蒸発燃料の吹き抜けが防止される。
【0141】
一方、上記ステップ114または116において、タンク内圧PTNKが大気圧付近にまで低下しているとの判断が成された場合は、次に、ASV56のパージ側制御弁がONとされ(ステップ208)、次いで、ステップ122の処理によりCCV30が閉状態とされる。
【0142】
これらの処理によりパージ側制御弁がON(開弁)とされ、かつ、CCV30が閉弁されると、以後、ポンプ32のON・OFFにより、キャニスタ22に加圧空気が供給される状態と、キャニスタ22が大気に開放される状態とを選択的に実現することが可能となる。
【0143】
図8に示すルーチンでは、上記ステップ122の処理に続いて、実施の形態1の場合と同様に、ステップ124の処理、およびステップ126または110の処理が実行される。その結果、ポンプ32のON・OFFが適当に切り換えられ、タンク内圧PTNKが大気圧付近に維持される。
【0144】
以上説明した通り、図8に示すルーチンによれば、ポンプ32を、必要に応じて、2次空気発生用の機構として、或いは、キャニスタ22に加圧空気を供給するための機構として利用することができる。そのうえで、実施の形態1の場合と同様に、パージカット中はキャニスタ22における燃料吸着状態の変化を抑制し、また、パージ再開時には蒸発燃料の大気への吹き抜けを防止することができる。従って、本実施形態の構成によれば、実施の形態1の場合と同様の機能と、触媒55の早期暖機を可能とする機能とを併せ持つシステムを安価に実現することができる。
【0145】
[変形例等]
ところで、本実施形態におけるポンプ32には、十分な2次空気を発生するだけの能力が要求される。このため、図7に示すポンプ32は、実施の形態1乃至3の場合に比して大きな能力を有している。従って、パージの実行中に、単にこのポンプ32をON・OFFさせるだけでは、パージ流量やタンク内圧PTNKを精度良く制御することが困難な事態が生じ得る。
【0146】
本実施形態の装置では、ポンプ32から加圧空気供給経路60に加圧空気が供給されている場合に、CCV30を適当に開弁させることにより、その加圧空気の一部をキャニスタ22に流入させることなく大気に放出させることができる。そして、この場合は、キャニスタ22に流入する加圧空気の量を減らすことで、パージ流量やタンク内圧PTNKの制御性を高めることができる。
【0147】
このため、本実施形態の装置では、上記図8に示すステップ126においてポンプ32がONとされた場合に、CCV30を全閉状態のまま維持するのではなく、加圧空気の一部が大気に放出されるように、CCV30を適当にデューティ制御することとしてもよい。更に、より好ましくは、その際にCCV30に供給される駆動信号のデューティ比を、タンク内圧PTNKが目標圧力に近づくようにフィードバック制御することとしてもよい。上記ステップ180において、このような制御を実行することとすれば、ポンプ32が、実施の形態1乃至3の場合に比して大きな容量を有していても、パージ流量やタンク内圧PTNKを精度良く安定制御することができる。また、これらの制御すると、フィルタ34に対して、その内側から外側へ向かう空気を流通させることができる。このため、これらの制御によれば、上述した本来の効果に加えて、フィルタ34の清掃効果を付随的に得ることができる。
【0148】
また、上述した実施の形態4においては、ポンプ32を、2次空気発生用の機構および加圧空気発生用の機構として兼用する技術を、実施の形態1の制御手法(図3に示すフローチャート)と組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、2次空気発生用の機構および加圧空気発生用の機構としてポンプ32を兼用する技術は、実施の形態2の制御手法(図4に示すフローチャート)、或いは実施の形態3の制御手法(図5に示すフローチャート)と組み合わせることとしてもよい。
【0149】
尚、上述した実施の形態4においては、ASV56のパージ側制御弁が前記第6の発明における「第1制御弁」に、ASVのAI側制御弁が前記第6の発明における「第2制御弁」に、CCV30が前記第6の発明における「大気孔封鎖弁」に、それぞれ相当している。また、この実施形態においては、上記ステップ126においてポンプ32がONされた場合に、ECU40に、CCV30を適当にデューティ制御させることにより前記第6の発明における「圧力調整手段」を実現することができる。
【0150】
更に、上述した実施の形態4においては、上記の如くCCV30をデューティ制御させるに当たり、ECU40にタンク内圧PTNKを検出させることにより前記第7の発明における「タンク内圧検出手段」を、そのタンク内圧PTNKに基づいてCCV30をデューティ制御させることにより前記第7の発明における「開度設定手段」を、それぞれ実現することができる。
【0151】
実施の形態5.
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU40に、上述した図4に示すルーチンに代えて、後述する図9に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
【0152】
燃料タンク10の空き容量は、給油により液面が上昇することにより急減に減少する。このため、円滑な給油を可能とするためには、空き容量の減少分に見合ったタンク内ガスの流出を許容することが必要である。上述した実施の形態1乃至4の装置は、何れも、この要求に応えるために、パージがカットされており、かつ、車両が停止している場合には、キャニスタ22の大気孔24を大気に開放することとしている。このため、これらの装置によれば、パージカット中に給油が行われた場合には、タンク内ガスをキャニスタ22に流出させることにより、良好は給油特性を実現することができる。
【0153】
また、上述した実施の形態1乃至4の装置は、何れも、パージの実行中は、燃料タンク10から溢れ出てきたベーパガスを内燃機関の吸気通路に流通させることができる。このため、それらの装置によれば、パージの実行中に給油がなされた場合にも、タンク内ガスの流出を許容して、円滑な給油を可能とすることができる。
【0154】
しかしながら、パージの実行中に、燃料タンク10から吸気通路に多量の蒸発燃料がパージされると、ベーパ濃度の急激な変化に燃料噴射量の補正が追いつけずに、空燃比荒れが生ずることがある。このため、給油の実行時に流出を許容すべきタンク内ガスは、パージの実行中であっても吸気通路に流通させないことが望ましい。そこで、本実施形態の装置は、パージの実行中に給油が行われた場合には、ポンプ32を逆転方向に運転させ、燃料タンク10から流出してくる蒸発燃料を、内燃機関10の吸気通路にパージさせることなく、キャニスタ22側に強制的に吸い込むこととした。
【0155】
ところで、本実施形態の装置において、パージカット中に給油が行われた場合も、ポンプ32を逆転運転させれば、燃料タンク10から流出してくる蒸発燃料を積極的にキャニスタ22に吸い込むことができる。燃料タンク10から流出してくる蒸発燃料をこのように積極的にキャニスタ22に吸い込むこととすれば、タンク内ガスの抜け性を改善することができる。従って、パージの停止時にもポンプ32を逆転運転することとすれば、タンク内ガスの抜け性を確保するために課されていた種々の制約を緩めて、配管の形状やキャニスタ22の配置などに関する自由度を高めることができる。そこで、本実施形態の装置は、パージの実行中に限らず、パージの停止中にも給油の際には、ポンプ32を逆転運転させることとした。
【0156】
図9は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行するパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。このルーチンは、車両の運転中に所定間隔毎に起動される他、車両の停車中(IGオフ時)においても所定の規則に従って適宜起動されるものとする。尚、図9において、上記図3に示すルーチンと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0157】
図9に示すルーチンでは、先ず、給油中であるか否かが判別される(ステップ210)。
給油の実行中は、液面上昇に伴う空き空間の減少に伴い、タンク内圧PTNKが通常より高い値となる。本ステップ210では、例えば、タンク内圧PTNKが所定の判定値PON1より高いか否かに基づいて、給油中であるか否かを判断することができる。
【0158】
上記ステップ210において、給油中でないとの判別がなされた場合は、以後、実施の形態1の場合と同様に、ステップ100〜126の処理が実行される。その結果、パージカット中は、キャニスタ22における燃料吸着状態の変化を抑制するうえで好適な状態が形成され、一方、パージの実行中は、タンク内圧PTNKが大気圧近傍の値に維持される。
【0159】
これに対して、上記ステップ210において給油中であるとの判断がなされた場は、ポンプ32の逆転運転が開始される(ステップ212)
【0160】
図10は、上記ステップ212の処理が実行された後に、本実施形態の装置の内部に生ずるガスの流れを説明するための図である。図10に示すように、ステップ212の処理によりポンプ32が逆転運転されると、キャニスタ22の内部に、大気孔24側から負圧が導かれる。その結果、給油の実行に伴って燃料タンク10からキャニスタ22へ向かって流出してくる蒸発燃料は、パージ孔26の外へは殆ど流出せず、強制的にキャニスタ22の内部に引き込まれる。
【0161】
燃料タンク10内の蒸発燃料が上記の如く強制的にキャニスタ22内部に引き込まれる場合、蒸発燃料の直接パージが防止されることから、給油に伴う空燃比の荒れを有効に抑制することができる。更に、この場合はタンク内ガスの抜け性が改善されることから、所望の給油特性を得るうえで配管やキャニスタ22に課すべき制約を緩めることができる。従って、本実施形態の構成によれば、給油時の内燃機関の運転状態を実施の形態1の場合に比して更に安定させることができ、かつ、配管やキャニスタ22の配置等に関して実施の形態1の場合より更に高い自由度を有する装置を実現することができる。
【0162】
ところで、上述した実施の形態5の装置は、給油時にポンプ32を逆転させる技術を、実施の形態1の装置に組み込むことにより実現されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、給油時にポンプ32を逆転させる技術は、実施の形態1の装置に限らず、実施の形態2乃至4の何れの装置に組み込むこととしてもよい。
【0163】
尚、上述した実施の形態5においては、ECU40が、上記ステップ210の処理を実行することにより前記第9の発明における「給油検出手段」が、上記ステップ212の処理を実行することにより前記第9の発明における「逆流ガス生成手段」が、それぞれ実現されている。
【0164】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1の発明によれば、パージカット中に、キャニスタ内部の蒸発燃料濃度が上昇し易い状況が形成されているほど、タンク内圧の目標圧力を大きな値とすることができる。このため、本発明によれば、パージカット中におけるキャニスタ内の蒸発燃料濃度の変化を常に効果的に抑えることができる。
【0165】
第2の発明によれば、燃料タンク内で蒸発燃料が多量に発生し易い状況が形成されているほど、タンク内圧の目標圧力を大きな値とすることができる。このため、本発明によれば、パージカット中におけるキャニスタ内の蒸発燃料濃度の変化を常に効果的に抑えることができる。
【0166】
第3の発明によれば、パージカット時のベーパ濃度が薄く、その濃度に大きな変化が生じ易いほど、タンク内圧の目標圧力を大きな値とすることができる。このため、本発明によれば、パージカット中におけるキャニスタ内の蒸発燃料濃度の変化を常に効果的に抑えることができる。
【0167】
第4の発明によれば、パージが開始された後、タンク内圧が適当に低下するまではキャニスタの密封状態を維持することができる。このため、本発明によれば、パージカット中にタンク内圧が正圧化していても、パージの再開に伴う蒸発燃料の吹き抜けを有効に防止することができる。
【0168】
第5の発明によれば、パージの開始時に、大気孔封鎖弁の実質的開度を徐々に増大させることができる。このため、本発明によれば、パージカット中にタンク内圧が正圧化していても、パージの再開に伴う蒸発燃料の吹き抜けを有効に防止することができる。
【0169】
第6の発明によれば、第1制御弁を導通状態とすることで、ポンプに、キャニスタに向かう加圧空気を発生させることができる。また、第2制御弁を導通状態とすることで、ポンプから排気通路へ2次空気を流通させることができる。ポンプには、2次空気を供給するに足る大きな容量が要求される。このポンプを、キャニスタに加圧空気を供給するための機構として用いる場合は、キャニスタ閉塞弁の実質的開度を所定開度とすることができる。この場合、加圧空気の一部がキャニスタ閉塞弁を通って大気に放出されるため、過剰な空気がキャニスタに供給されるのを防ぐことができる。
【0170】
第7の発明によれば、キャニスタ閉塞弁が実現すべき所定開度をタンク内圧に基づいて設定することができる。このため、本発明によれば、タンク内圧に応じた量の加圧空気をキャニスタに供給することができ、高い精度でタンク内圧を制御することができる。
【0171】
第8の発明によれば、車両の停止時にはキャニスタの内部を大気に開放することができる。このため、本発明によれば、給油の際には、燃料タンクからキャニスタへ向かって蒸発燃料が流れるのを許容することができる。
【0172】
第9の発明によれば、給油時には、ポンプを逆転運転させることにより、燃料タンク内のガスをキャニスタ側へ吸引することができる。このため、本発明によれば、優れた給油特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。
【図2】 本発明の実施の形態1の装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態1において実行されるパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態2において実行されるパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態3において実行されるパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態3の装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態4の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための図である。
【図8】 本発明の実施の形態4において実行されるパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態5において実行されるパージポンプ駆動制御ルーチンのフローチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態5の装置により達成される効果を説明するための図である。
【符号の説明】
10 燃料タンク
12 タンク内圧センサ
18 ベーパ通路
22 キャニスタ
24 大気孔
26 パージ孔
28 パージVSV
30 CCV(Canister Closed Valve)
32 ポンプ
40 ECU(Electronic Control Unit)
PTNK タンク内圧
PTGT タンク内圧の目標圧力
Claims (9)
- 燃料タンク内で発生した蒸発燃料を大気に放出させることなく処理するための蒸発燃料処理装置であって、
前記燃料タンクと連通すると共に、内燃機関の吸気通路に連通するパージ孔と大気に通じる大気孔とを備えるキャニスタと、
前記パージ孔と前記吸気通路の間に配置されるパージ制御弁と、
前記キャニスタの内側から前記大気孔の外側へ向かう流体の流れを遮断することのできる大気孔封鎖機構と、
パージカット中に前記パージ制御弁を閉弁状態とするパージ制御弁制御手段と、
パージカット中に、前記キャニスタの内側から前記大気孔の外側へ向かう流体の流れが禁止されるように前記大気孔封鎖機構を制御する封鎖機構制御手段と、
タンク内圧を検出するタンク内圧検出手段とを備え、
前記大気孔封鎖機構は、前記大気孔に対して加圧空気を供給することのできるポンプを備え、
前記封鎖機構制御手段は、パージカット中に、前記タンク内圧が、大気圧より高圧の目標圧力となるように、前記ポンプの作動状態を制御するポンプ制御手段を備え、
当該蒸発燃料処理装置は、更に、
パージカット中に、キャニスタ内部の蒸発燃料濃度の変化傾向を推定する変化傾向推定手段と、
前記蒸発燃料濃度の上昇傾向が強いほど、前記目標圧力を大きな値に設定する目標圧力設定手段と、
を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。 - 前記変化傾向推定手段は、前記燃料タンクの内部における蒸発燃料の発生状態を検知する蒸発燃料発生状態検知手段を備え、
前記目標圧力設定手段は、前記燃料タンクの内部で蒸発燃料が多量に発生しているほど、前記目標圧力を大きな値に設定することを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記変化傾向推定手段は、パージがカットされた時点でのパージガス中のベーパ濃度を検出するカット時ベーパ濃度検出手段を備え、
前記目標圧力設定手段は、パージがカットされた時点での前記ベーパ濃度が薄いほど、前記目標圧力を大きな値に設定することを特徴とする請求項1または2記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記大気孔封鎖機構は、前記大気孔を大気から遮断する大気孔封鎖弁を備え、
パージが開始された後、タンク内圧が大気圧近傍値となるまでは前記大気孔封鎖弁を閉弁状態に維持し、その後、当該大気孔封鎖弁の開弁を許可する封鎖状態維持手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記大気孔封鎖機構は、前記大気孔を大気から遮断する大気孔封鎖弁を備え、
パージが開始された後、前記大気孔封鎖弁の実質的開度を全閉状態から徐々に増大させていく封鎖弁開度調整手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。 - 内燃機関の排気通路に2次空気を導入するための2次空気導入通路と、
前記大気孔に対して加圧空気を供給することのできるポンプと、
前記ポンプと前記キャニスタとの導通状態を制御する第1制御弁と、
前記ポンプと前記2次空気導入通路との導通状態を制御する第2制御弁と、
前記キャニスタと前記ポンプとをつなぐ経路と並列に大気に連通するように設けられた経路内に配置された大気孔封鎖弁と、
前記ポンプから前記キャニスタに向けて加圧空気が供給される際に、前記大気孔封鎖弁を実質的に所定開度に制御して前記加圧空気の圧力を調整する圧力調整手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。 - タンク内圧を検出するタンク内圧検出手段と、
前記タンク内圧に基づいて、前記所定開度を設定する開度設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項6記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記封鎖機構制御手段は、
車両の走行中に限り、前記キャニスタの内側から前記大気孔の外側へ向かう流体の流れが禁止されるように前記大気孔封鎖機構を制御する封鎖手段と、
車両の停車時に、前記流体の流れが許容されるように前記大気孔封鎖機構を制御する封鎖解除手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記燃料タンクに燃料が供給される給油状態を検出する給油検出手段と、
前記給油状態の成立中は、前記ポンプを逆転運転させることにより、前記キャニスタから大気へ向かうガスの流れを生成させる逆流ガス生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
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