JP3919536B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタで捕集し、捕集された蒸発燃料中の燃料成分をエンジンの吸気通路へパージして処理するようにした蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に搭載される装置の一つとして、燃料タンクで発生する蒸発燃料を大気へ放出させずに処理する蒸発燃料処理装置が知られている。この装置は、蒸発燃料を捕集するキャニスタを備え、キャニスタ内部の吸着剤に蒸発燃料を一旦吸着させ、エンジンの運転時に、吸気通路で発生する吸気負圧を利用して、キャニスタに捕集された蒸発燃料中の燃料成分(炭化水素(HC)等)をパージ通路を通じて吸気通路へパージして処理するようになっている。
【0003】
この種の蒸発燃料処理装置では、キャニスタの吸着剤に対する蒸発燃料の吸着効率や、吸着剤からの燃料成分の離脱効率が問題となる。
そこで、この問題に対処するためのキャニスタの加熱制御装置が、特開昭63−150459号公報に開示される。この加熱制御装置は、キャニスタの吸着剤を加熱するセラミックヒータ等の加熱手段と、パージ通路を通過する燃料成分中の炭化水素(HC)濃度を検出するHC検出計と、加熱手段を制御するコンピュータとを備える。ここで、コンピュータは、HC検出計で検出されるHC濃度が所定値以下となったとき、加熱手段を作動させて吸着剤の加熱を開始する。これにより、パージの際に吸着剤からのHC等の離脱について適切な状態が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来公報の加熱制御装置では、キャニスタにおけるHC濃度が高い場合には、高濃度のHCが吸気通路へパージされることになり、HCによりエンジンの空燃比が変動し、エンジンの排気エミッションやドライバビリティを悪化させるおそれがあった。従って、空燃比の変動を抑えるためには、パージ通路のパージガス流量を高精度に制御する必要がある。
【0005】
ここで、HCによるエンジン空燃比の変動を抑えるために、パージ通路にパージ制御弁を設けてパージガス流量を制御することが考えられる。一般的なパージ制御弁では、その開度がデューティ制御されることから、低開度側よりも高開度側で制御精度が高くなる。しかし、HC濃度が高い場合には、パージガス流量を少なく抑える必要があり、パージ制御弁を精度の劣る低開度側で制御しなければならず、適切なパージガス流量が得られず、空燃比が変動するおそれがあった。
【0006】
そこで、パージ制御弁に小流量弁を採用し、HC濃度が高い場合に、制御精度の高い高開度側を使うことにより、パージガス流量を抑えることが考えられる。しかし、HC濃度が低い場合には、パージガス流量を多くする必要があり、小流量弁だけでは大流量の制御が困難となる。そこで、例えば、小流量弁を複数並列に設けてこれらを同時に制御することにより、大流量を確保することが必要になる。しかし、このような構成では、複数の小流量弁を繋ぐ際の流量ばらつきや、個々の小流量弁の間の流量ばらつきが加算されることから、その意味でパージガス流量の制御精度が低くなるおそれがある。
【0007】
特に、小排気量エンジン、気筒内噴射式エンジン、或いは、ハイブリッドエンジン等の低負荷エンジンでは、吸気通路の発生負圧によってはパージガス流量が十分に得られず、高濃度のHC等を少ないパージガス流量で処理する必要がある。このため、前述した加熱制御装置によりキャニスタからのHCの離脱効率を高めることが必要になり、上記した不具合が問題となる。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、キャニスタから離脱する燃料成分濃度の違いに拘わらず、一つのパージ制御弁によりパージガス流量を高精度に調整することを可能とし、燃料成分のパージによるエンジン空燃比の変動を抑えることを可能とした蒸発燃料処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタで捕集し、捕集された蒸発燃料中の燃料成分をパージ通路を通じてエンジンの吸気通路へパージして処理するようにした蒸発燃料処理装置であって、パージ通路におけるパージガスの流量を調整するためのパージ制御弁と、キャニスタとパージ制御弁との間でパージ通路への大気の導入を調整するための大気導入弁と、大気が導入された後のパージガス中の燃料成分濃度を検出するための燃料成分濃度検出手段と、パージ制御弁を通るパージガス中の燃料成分濃度を大気により調整するために、検出される燃料成分濃度に基づき大気導入弁を制御する大気導入制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0010】
上記発明の構成によれば、パージ制御弁が相対的に精度の高い高開度側で制御されることで、パージ通路におけるパージガスの流量が高精度に調整されることになる。又、パージ通路におけるパージガス中の燃料成分濃度は、キャニスタから離脱する燃料成分の濃度と、大気導入弁によるパージ通路への大気の導入に応じて変わり得る。ここで、パージ制御弁を通るパージガス中の燃料成分濃度は、燃料成分濃度検出手段により検出される燃料成分濃度に基づき大気導入制御手段により大気導入弁が制御され、それによってパージ通路への大気の導入が調整されることにより調整される。
従って、キャニスタから離脱する燃料成分の濃度が変動しても、大気導入弁によるパージ通路への大気の導入の調整によって、パージガス中の燃料成分濃度が適切に調整される。ここで、パージ制御弁が高開度側で制御されることで、パージガス流量が高精度に調整されるので、そのパージガス流量の高精度な調整と、燃料成分濃度の適切な調整とにより、吸気通路へパージされる燃料成分量が適切に調整されることになる。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、大気導入制御手段は、パージ開始時に、大気導入弁を全開状態として燃料成分濃度の調整を開始することを趣旨とする。
【0012】
キャニスタにおける蒸発燃料の捕集状態が正確に把握できていないパージ開始時には、吸気通路へパージされる燃料成分によりエンジンの空燃比が変動するおそれがある。このため、それを避けるためには、パージガス中の燃料成分濃度を最初は低い状態から徐々に上げていくことが望ましい。
上記発明の構成によれば、パージ開始時に、大気導入制御手段により大気導入弁が全開状態とされて燃料成分濃度の調整が開始されることから、請求項1に記載の発明の作用に加え、低めの燃料成分濃度からパージが開始されるので、パージ開始時に吸気通路へパージされる燃料成分が過剰となることがない。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、所定条件下でパージカットを行うためにパージ制御弁を全閉に制御するパージカット制御手段を備え、大気導入制御手段は、パージカット後のパージ再開時に、それまでのパージカット時間が長いほど大気導入弁の開度を大として燃料成分濃度の調整を開始することを趣旨とする。
【0014】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、パージカット制御手段により所定条件下でパージ制御弁が全閉に制御されることにより、パージ通路における燃料成分の流れが遮断され、パージカットが行われる。ここで、パージカット時間が短い場合は、キャニスタでの蒸発燃料の捕集量増加が少ないと予想されるが、その後のパージ再開時には、大気導入制御手段により大気導入弁の開度が小とされ、燃料成分濃度の調整が開始される。
従って、パージカット後のパージ再開時に、キャニスタからの燃料成分の離脱量が少なくても、大気導入弁の開度が小とされ、パージ通路への大気の導入が抑えられる。これにより、パージガス中の燃料成分濃度の低下が抑えられ、併せて、吸気通路へパージされる燃料成分の処理量が確保される。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明において、キャニスタを加熱するための加熱手段と、検出される燃料成分濃度がある要求値に対して不足する場合に、キャニスタを加熱するために加熱手段を制御する加熱制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0016】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明の作用に加え、パージ通路におけるパージガス中の燃料成分濃度が要求値に対して不足する場合には、加熱制御手段により加熱手段が制御されてキャニスタが加熱される。従って、加熱によりキャニスタからの燃料成分の離脱が促進され、要求値に見合った燃料成分濃度が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1に、本実施の形態の蒸発燃料処理装置を含むガソリンエンジンシステム1の概略構成を示す。自動車に搭載されたガソリンエンジンシステム1は、燃料を収容するための燃料タンク2を備える。燃料タンク2には、燃料ポンプ3が内蔵される。エンジン4の複数の気筒(燃焼室)には、それぞれ燃料噴射弁(インジェクタ)5が対応して設けられる。燃料タンク2の燃料は、燃料ポンプ3により吐出され、燃料ライン6を通じて各インジェクタ5へと分配供給される。分配された燃料は、各インジェクタ5が作動することにより、各気筒入口へ向けて吸気通路7へと噴射される。エアクリーナ8を通じて吸気通路7に導入される空気は、各インジェクタ5からの噴射燃料と混合気を形成して、エンジン4の各気筒へ吸入される。各インジェクタ5へ分配されずに余った燃料は、リターンライン9を通じて燃料タンク2へ戻される。エンジン4の各気筒で燃焼後に生じた排気ガスは、排気通路10を通じて外部へ排出される。各気筒での燃料燃焼に伴い、クランクシャフト4aが回転することにより、エンジン4に駆動力が得られる。
【0019】
この実施の形態の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク2で発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気中へ放出させることなく捕集して処理するものである。この蒸発燃料処理装置は、燃料タンク2で発生するベーパを、ベーパ通路11を通じて捕集するためのキャニスタ12を備える。キャニスタ12には、活性炭よりなる吸着剤13が内蔵される。吸着剤13は、ベーパを吸着して捕集すると共に、ベーパ中の炭化水素(HC)等の燃料成分を離脱可能である。キャニスタ12には、エアパイプ14を通じて大気の導入が許容される。キャニスタ12には、キャニスタ12を加熱するための、即ち、吸着剤13を加熱するためのヒータ15が内蔵される。このヒータ15は、本発明の加熱手段に相当するものであり、例えば、PTCヒータより構成される。同じく、キャニスタ12には、吸着剤13の温度を検出するための温度センサ16が内蔵される。
【0020】
キャニスタ12から延びるパージ通路17は、吸気通路7に接続される。キャニスタ12は、ベーパ通路11を通じて導入されるベーパを吸着剤13に吸着させて捕集する。エンジン4の運転時に、吸気通路7で発生する吸気負圧がパージ通路17を通じてキャニスタ12に作用することにより、キャニスタ12の吸着剤13に捕集されたベーパ中の燃料成分がパージ通路17を通じて吸気通路7へパージされる。パージ通路17に設けられたパージ制御弁18は、パージ通路17における燃料成分を含むパージガス流量を調整するために制御される。パージ制御弁18は、電気信号の供給を受けて弁体を移動させる電磁弁であり、その開度はデューティ信号を受けてデューティ制御される。一般に、開度をデューティ制御するように構成したパージ制御弁は、低開度側よりも高開度側で制御精度が高いと言われている。このため、パージガス流量を高精度に調整するには、パージ制御弁を高開度側で制御することが有効であると言われている。
【0021】
キャニスタ12とパージ制御弁18との間のパージ通路17には、大気通路19が設けられる。この大気通路19には、パージ通路17への大気の導入を調整するために制御される大気導入弁20が設けられる。同じく、パージ通路17には、パージガス中の燃料成分濃度を検出するための炭化水素センサ(HCセンサ)21が設けられる。このセンサ21は、本発明の燃料成分濃度検出手段に相当するものである。
【0022】
ここで、キャニスタ12の吸着剤13が持つ燃料成分の離脱特性は、燃料成分の吸着量と流れ、その温度状態に依存する。吸着剤13に対する燃料成分の吸着量が多いときは、高濃度の燃料成分が離脱することになり、吸着量が少ないときは、低濃度の燃料成分が離脱する。離脱後の燃料成分は、キャニスタ12に作用する吸気負圧によってパージ通路17から吸気通路7へとパージされる。ここで、ベーパに含まれる燃料成分としては、炭化水素(HC)と、それ以外の成分が考えられるが、HCが大部分を占めることから、以下には、便宜的にHCを燃料成分として説明するものとする。
【0023】
エンジン4等に設けられた各種センサ31,32,33,34は、エンジン4の運転状態に係る各種パラメータを検出するためのものであり、運転状態検出手段に相当する。即ち、エアクリーナ8の近傍に設けられた吸気量センサ31は、吸気通路7に吸入される空気量(吸気量)Gaを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。エンジン4に設けられた水温センサ32は、エンジン4の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。エンジン4に設けられた回転速度センサ33は、クランクシャフト4aの回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。回転速度センサ33は、クランクシャフト4aの回転角(クランク角)の変化を所定角度毎に検出し、その検出をパルス信号として出力するものでる。排気通路10に設けられた酸素センサ34は、排気通路10を流れる排気ガス中の酸素濃度Oxを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。
【0024】
電子制御装置(ECU)40は、本発明の大気導入制御手段及びパージカット制御手段に相当する。ECU40は、各種センサ31〜34から出力される検出信号を入力する。ECU40は、パージ制御を実行するために上記蒸発燃料処理装置を司る。ECU40は、エンジン4の運転状態に応じた所要量のHCを吸気通路7へパージするために、即ち、パージ制御弁18を所要の開度に制御するために、パージ制御弁18に所要のデューティ信号を出力する。
【0025】
ECU40は、周知のように中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ROMには、エンジン制御及びパージ制御等に関する所定の制御プログラムが予め記憶される。RAMには、CPUの演算結果が一時記憶される。バックアップRAMには、予め記憶したデータが保存される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ31〜34の検出信号に基づき、エンジン制御及びパージ制御等を実行するために、インジェクタ5、パージ制御弁18及び大気導入弁20等それぞれ制御する。
【0026】
ECU40には、イグニションスイッチ35を介してバッテリ36が接続される。ここで、イグニションスイッチ35がON操作されることにより、ECU40にバッテリ36から電力が供給される。これと同時に、エンジン4を始動させるために、スタータ(図示略)が作動してクランクシャフト4aに回転力が付与され、クランキングが行われる。
【0027】
次に、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図2に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。
【0028】
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU40は、パージ実行条件の成立であるか否かを判断する。ECU40は、例えば、水温センサ32で検出される冷却水温THWの値が所定値以上である場合に、パージ実行条件の成立と判断し、冷却水温THWが所定値未満である場合に、パージ実行条件の不成立と判断する。ここで、パージ実行条件の不成立である場合、ECU40は、パージカットを行うために、処理をステップ120へ移行する。
【0029】
ステップ120で、ECU40は、パージ制御弁18の開度を制御するためのデューティ値(パージデューティ値)DPGVを「0%」にセットする。
【0030】
次に、ステップ121で、ECU40は、大気導入弁20の開度を制御するためのデューティ値(大気デューティ値)DAVを同じく「0%」にセットする。
【0031】
その後、ステップ109で、ECU40は、0%のパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18の開度を制御する。即ち、パージ制御弁18を全閉にしてパージカットを行う。このようにパージカットを行うのは、冷却水温THWが低い場合に、HCのパージにより排気エミッションが悪化するのを防止するためである。
【0032】
続いて、ステップ110で、ECU40は、0%の大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20の開度を制御する。即ち、大気導入弁20を全閉にして、パージ通路17への大気の導入を遮断する。
【0033】
一方、ステップ100で、パージ実行条件の成立である場合、ECU40は、処理をステップ101へ移行する。ステップ101で、ECU40は、エンジン運転状態を取り込む。ここで、ECU40は、エンジン運転状態として、回転速度センサ33で検出されるエンジン回転速度NE、吸気量センサ31で検出される吸気量Ga、両パラメータNE,Gaの値から算出されるエンジン負荷等を運転状態として取り込む。
【0034】
次に、ステップ102で、ECU40は、HCセンサ21の検出値からHC濃度としてベーパ濃度fgpgの値を算出する。
【0035】
次に、ステップ103で、ECU40は、エンジン運転状態に基づき、最大供給ベーパ率BPRmaxの値を算出する。即ち、ECU40は、各種パラメータNE,Ga等の値に基づいて最大供給ベーパ率BPRmaxの値を算出する。ECU40は、この最大供給ベーパ率BPRmaxの算出を、例えば、予め設定されたマップ等を参照することにより行う。ここで、最大供給ベーパ率BPRmaxとは、エンジン4に供給されるべき燃料量のうちで、キャニスタ12から離脱して吸気通路7へパージされるHCが占める最大率を意味する。
【0036】
次に、ステップ104で、ECU40は、上記算出された最大供給ベーパ率BPRmax及びベーパ濃度fgpgの値に基づき、以下の計算式(1)に従い最大パージ率PGRmaxの値を算出する。
PGRmax=BPRmax/fgpg ・・・(1)
【0037】
次に、ステップ105で、ECU40は、算出された最大パージ率PGRmaxの値に基づきパージデューティ値DPGVを算出する。ECU40は、このパージデューティ値DPGVの算出を、例えば、予め設定されたマップ等を参照することにより行う。
【0038】
次に、ステップ106で、ECU40は、算出されたパージデューティ値DPGVが「100%」未満であるか否かを判断する。この判断が肯定である場合、大気デューティ値DAVを増大させるために、ECU40は処理をステップ107へ移行する。
【0039】
ステップ107で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(2)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV+Db ・・・(2)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVに所定値Dbを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、100%を最大ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ109へ移行する。
【0040】
一方、ステップ106の判断が否定である場合、大気デューティ値DAVを減少させるために、ECU40は処理をステップ108へ移行する。
【0041】
ステップ108で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(3)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV−Db ・・・(3)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVから所定値Dbを減算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、0%を最小ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ109へ移行する。
【0042】
そして、ステップ109で、ECU40は、今回算出されたパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18を所定の開度状態に制御する。このようにパージ制御弁18の開度を制御するのは、所要流量のパージガスを吸気通路7へパージさせるためである。
【0043】
更に、ステップ110で、ECU40は、今回算出された大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20を所定の開度状態に制御する。このように大気導入弁20の開度を制御するのは、パージ通路17に所要の大気を導入させるためである。
【0044】
以上説明した本実施の形態の蒸発燃料処理装置の構成によれば、パージ制御弁18が、低開度側よりも高開度側で制御精度が高いことから、高開度側で制御されることで、パージ通路17におけるパージガス流量が高精度に調整される。又、パージ通路17におけるパージガス中のHC濃度は、キャニスタ12から離脱するHCの濃度と、大気導入弁20を通じてパージ通路17に導入される大気の量に応じて変わり得るものである。
【0045】
ここで、パージ制御弁18を通過するパージガス中のHC濃度は、HCセンサ21の検出値から算出されるベーパ濃度fgpgの値に基づいてECU40により大気デューティ値DAVが算出され、その値DAVに基づいてECU40により大気導入弁20が制御されることで、大気通路19からパージ通路17への大気の導入が調整されることにより、調整される。
【0046】
即ち、この実施の形態では、エンジン運転状態に応じた最大供給ベーパ率BPRmaxのベーパ濃度fgpgに対する比率、即ち、最大パージ率PGRmaxの値からパージ制御弁18のためのパージデューティ値DPGVが求められる。そして、そのパージデューティ値DPGVの大きさに応じて、大気導入弁20のための大気デューティ値DAVが算出され、その大気デューティ値DAVに基づいて大気導入弁20の開度が制御される。これにより、大気通路19からパージ通路17への大気の導入が調整され、これによってパージガス中におけるHC濃度が調整される。
【0047】
従って、キャニスタ12から離脱するHCの濃度がそのときどきの条件によって変動しても、大気導入弁20によりパージ通路17への大気の導入が調整されることで、パージガス中のHC濃度が所要の適切な濃度に調整される。ここでは、パージ制御弁18を高開度側で制御することで、同制御弁18を通るパージガス流量が高精度に調整される。そして、パージガス流量の高精度な調整と、HC濃度の適切な調整とにより、吸気通路7へパージされるHCが過不足のない適切な量に調整される。
【0048】
例えば、キャニスタ12から離脱するHCが多量となる場合、ECU40により大気導入弁20が高開度に開かれてパージ通路17へ多量の大気が導入される。これにより、パージガス中のHC濃度が低くなり、併せてパージ制御弁18を高開度側で制御することで、吸気通路7へパージされるHC量が適切に調整される。つまり、キャニスタ12から離脱するHCが高濃度状態となるときでも、パージ制御弁18をパージガス流量の調整精度の高い高開度側で制御することができ、パージの制御性を向上させることができ、エンジン4での蒸発燃料の積極的な処理を可能とすることができる。
一方、キャニスタ12から離脱するHCが少量となる場合、ECU40により大気導入弁20の開度が絞られてパージ通路17へ導入される大気が少量に調整される。これにより、パージガス中のHC濃度が高くなり、併せてパージ制御弁18を高開度側で制御することで、吸気通路7へパージされるHC量が適切に調整される。
【0049】
このため、キャニスタ12から離脱するHC濃度の違いに拘わらず、一つのパージ制御弁18を用いることで、パージガス流量を高精度に調整することができ、吸気通路7へのHCパージによるエンジン空燃比の変動を抑えることができる。この結果、エンジン4の排気エミッションとドライバビリティの悪化を防止することができる。
【0050】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0051】
尚、本実施の形態を含む以下の各実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なる点を中心に説明するものとする。
【0052】
この実施の形態では、第1の実施の形態のパージ制御に加え、エンジン始動後のパージ開始直後、或いは、パージカットが長時間続いた場合に、キャニスタ12の吸着剤13におけるベーパの吸着状態が不明であることから、その場合でも過剰なHCが吸気通路7へパージされることのないようパージ制御を実行することを狙いとする。
【0053】
そこで、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図3に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。この実施の形態で、ECU40は、本発明(請求項2に記載の発明)の大気導入制御手段に相当している。
【0054】
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ200で、ECU40は、エンジン4の始動であるか否かを判断する。ECU40は、この判断を、イグニションスイッチ35のON操作に伴うクランキングの有無により判断する。この判断結果が肯定である場合、始動であるものとして、ECU40は、ステップ201で、初期パージフラグXPFを「1」にセットし、処理をステップ202へ移行する。
【0055】
一方、ステップ200の判断結果が否定である場合、始動後又は運転中であるものとして、ECU40は、ステップ220で、「IG・ON」、即ち、イグニションスイッチ35がONであるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、エンジン4が停止したものとして、ECU40は停止処理を行う。この判断結果が肯定である場合、エンジン4の運転中であるものとして、ECU40は、処理をステップ202へ移行する。
【0056】
ステップ202で、ECU40は、パージ実行条件の成立であるか否かを判断する。ECU40は、例えば、水温センサ32で検出される冷却水温THWの値が所定値以上である場合に、パージ実行条件の成立と判断し、冷却水温THWが所定値未満である場合に、パージ実行条件の不成立と判断する。ここで、パージ実行条件の不成立である場合、ECU40は、パージカットを行うために処理をステップ230へ移行する。
【0057】
ステップ230で、ECU40は、パージ制御弁18の開度を制御するためのデューティ値(パージデューティ値)DPGVを「0%」にセットする。
【0058】
次に、ステップ231で、ECU40は、大気導入弁20の開度を制御するためのデューティ値(大気デューティ値)DAVを同じく「0%」にセットする。
【0059】
次に、ステップ232で、ECU40は、パージカットの継続時間であるパージカット時間TCpgをインクリメントする。
【0060】
次に、ステップ233で、ECU40は、パージカット時間TCpgの値が所定の基準値TC1を越えたか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU40は、そのまま処理をステップ213へ移行する。この判断結果が肯定である場合、長時間パージカットが行われたものとして、ECU40は、ステップ234で、初期パージフラグXPFを「1」にセットし、処理をステップ213へ移行する。
【0061】
そして、ステップ213で、ECU40は、0%のパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18の開度を制御する。即ち、パージ制御弁18を全閉にしてパージカットを行う。このようにパージカットを行うのは、冷却水温THWが低い場合に、HCのパージにより排気エミッションが悪化するのを防止するためである。
【0062】
更に、ステップ214で、ECU40は、0%の大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20の開度を制御する。即ち、大気導入弁20を全閉にして、パージ通路17への大気の導入を遮断する。
【0063】
一方、ステップ202で、パージ実行条件の成立である場合、ECU40は、処理をステップ203へ移行する。
【0064】
ステップ203で、ECU40は、初期パージフラグXPFが「1」であるか否かを判断する。即ち、ECU40は、エンジン始動後最初の、又は長時間パージカット後のパージ実行であるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU40は、処理をステップ204へ移行する。
【0065】
ステップ204で、ECU40は、パージカット時間TCpgを「0」にリセットする。
【0066】
次に、ステップ205で、ECU40は、エンジン運転状態を取り込む。ここで、ECU40は、エンジン運転状態として、回転速度センサ33で検出されるエンジン回転速度NE、吸気量センサ31で検出される吸気量Ga、両パラメータNE,Gaの値から算出されるエンジン負荷等を運転状態として取り込む。
【0067】
次に、ステップ206で、ECU40は、HCセンサ21の検出値からHC濃度としてベーパ濃度fgpgの値を算出する。
【0068】
次に、ステップ207で、ECU40は、エンジン運転状態に基づき、最大供給ベーパ率BPRmaxの値を算出する。ECU40は、この最大供給ベーパ率BPRmaxの値の算出を、各種パラメータNE,Ga等の値に基づき、例えば、予め設定されたマップを参照することにより行う。ここで、最大供給ベーパ率BPRmaxとは、エンジン4に供給されるべき燃料量のうちで、キャニスタ12から離脱して吸気通路7へパージされるHCが占める最大率を意味する。
【0069】
次に、ステップ208で、ECU40は、上記算出された最大供給ベーパ率BPRmax及びベーパ濃度fgpgの値に基づき、以下の計算式(1)に従い最大パージ率PGRmaxの値を算出する。
PGRmax=BPRmax/fgpg ・・・(1)
【0070】
次に、ステップ209で、ECU40は、算出された最大パージ率PGRmaxの値に基づきパージデューティ値DPGVを算出する。ECU40は、このパージデューティ値DPGVの算出を、例えば、予め設定されたマップを参照することにより行う。
【0071】
次に、ステップ210で、ECU40は、算出されたパージデューティ値DPGVが「100%」未満であるか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、大気デューティ値DAVを増大させるために、ECU40は処理をステップ211へ移行する。
【0072】
ステップ211で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(2)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV+Db ・・・(2)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVに所定値Dbを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、100%を最大ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ213へ移行する。
【0073】
一方、ステップ210の判断結果が否定である場合、大気デューティ値DAVを減少させるために、ECU40は処理をステップ212へ移行する。
【0074】
ステップ212で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(3)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV−Db ・・・(3)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVから所定値Dbを減算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、0%を最小ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ213へ移行する。
【0075】
そして、ステップ213で、ECU40は、今回算出されたパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18を所定の開度状態に制御する。このようにパージ制御弁18の開度を制御するのは、所要流量のパージガスを吸気通路7へパージさせるためである。
【0076】
又、ステップ214で、ECU40は、今回算出された大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20を所定の開度状態に制御する。このように大気導入弁20の開度を制御するのは、パージ通路17に所要の大気を導入させるためである。
【0077】
一方、ステップ203の判断結果が肯定である場合、ECU40は、ステップ240で、大気導入弁20を全開状態にするために大気デューティ値DAVを「100%」にセットする。
【0078】
次に、ECU40は、ステップ241で、初期パージフラグXPFを「0」にセットし、更に、ステップ242で、パージカット時間TCpgの値を「0」にリセットして、処理をステップ213へ移行する。
【0079】
そして、ステップ213で、ECU40は、パージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18の開度を制御する。ここでは、前回セットされたパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18が制御されることになる。
【0080】
又、ステップ214で、ECU40は、今回セットされた「100%」の大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20を全開状態に制御する。このように大気導入弁20を全開状態に制御するのは、この時点でHCを最も低濃度にするためである。
【0081】
ここで、一般に、エンジン始動後のパージ開始直後、或いは、パージカットを長時間継続させた後のパージ開始直後には、キャニスタ12でのベーパの捕集状態が正確に把握できておらず、場合によって、吸気通路7へパージされるHCが過剰となりエンジン4の空燃比が変動するおそれがある。このため、パージされるHCによりエンジン4の空燃比が変動するのを避けるために、パージガス中のHC濃度を最初は低い状態から徐々に上げていくことが望ましい。
【0082】
そこで、本実施の形態では、ECU40は、パージ開始時に、大気導入弁20を全開状態としてHC濃度の調整を開始するようにしている。これにより、低めのHC濃度からパージが開始されることになり、パージ開始時に、吸気通路7へパージされるHCの量が過剰になることがない。このため、最初は薄めのHC濃度でパージを開始することができ、その後はパージ制御弁18の開度を徐々に高くすることができ、吸気通路7へパージされるHCの量を適切に調整することができ、エンジン4の空燃比の制御性を向上させることができる。
【0083】
即ち、大気導入弁20を全開とすることで、パージ通路17に大気が多量に導入されるので、パージ開始に際してパージ制御弁18を開いても、いきなり高濃度のHCがエンジン4に供給されることがなく、エンジン4の空燃比の制御性を向上させることができるのである。
【0084】
又、この実施の形態では、キャニスタ12からパージされるHCが薄ければ、最初にパージ制御弁18の開度を増すことで、HC濃度を増大させることができ、それでもHC濃度が低ければ、大気導入弁20の開度を絞ることで、HC濃度を確実に増大させることができ、高濃度のHCを吸気通路7へパージすることができる。そして、このようにパージ制御弁18と大気導入弁20を関連付けて制御することにより、パージ再開時のHCを低濃度から高濃度へ滑らかに制御することができる。このため、キャニスタ12から離脱するHCの濃度が分からないとき、エンジン始動直後のパージ、或いは、パージカットが長時間続いた後のパージ再開時にも、エンジン4の空燃比を悪化させることなくパージ制御を適切に実行することができる。
【0085】
この他、本実施の形態では、図3のフローチャートにおけるステップ205〜214に、図2のフローチャートにおけるステップ101〜110と同じ処理内容を含むことから、この共通部分につき、第1の実施の形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0086】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第3の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0087】
この実施の形態では、第2の実施の形態のパージ制御に加え、パージカット時間TCpgの長さに応じてパージ再開時のHC濃度を制御することにより、パージ再開時のエンジン4の空燃比の制御性と、キャニスタ12の吸着剤13に対するベーパの吸着性向上との両立を狙いとする。
【0088】
そこで、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図4に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。この実施の形態で、ECU40は、本発明(請求項3に記載の発明)のパージカット制御手段及び大気導入制御手段に相当している。
【0089】
このルーチンで、図3のフローチャートと同じ番号のステップは、第2の実施の形態と同じ処理内容を意味し、図3のフローチャートにおけるステップ204の処理が図4のフローチャートにおいて省かれたことと、図4のフローチャートにおいてステップ300,301,302,303が追加されたことの点で第2の実施の形態と処理内容が異なる。
【0090】
即ち、この実施の形態では、ECU40は、ステップ209で、パージデューティ値DPGVを算出した後、ステップ300で、現時点までにステップ232で計測されたパージカット時間TCpgの値に応じた大気デューティ補正値Dcを算出する。ECU40は、この大気補正値Dcを、図5に示すように予め設定された補正値マップを参照することにより算出する。この補正値マップでは、パージカット時間TCpgが長くなるのに伴い、大気デューティ補正値Dcが二次関数的に増えるようになっている。
【0091】
その後、ステップ210で、ECU40は、算出されたパージデューティ値DPGVが「100%」未満であるか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、大気デューティ値DAVを増大させるために、ECU40は処理をステップ301へ移行する。
【0092】
ステップ301で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(4)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV+Db+Dc ・・・(4)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVに所定値Dbを加算し、更に大気デューティ補正値Dcを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、100%を最大ガードとして制限される。従って、この処理によれば、第2の実施の形態のステップ211の処理に比べて大気デューティ補正値Dcの分だけ大きい大気デューティ値DAVが得られることになる。
【0093】
一方、ステップ210の判断結果が否定である場合、大気デューティ値DAVを減少させるために、ECU40は処理をステップ302へ移行する。
【0094】
ステップ302で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(5)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV−Db+Dc ・・・(5)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVから所定値Dbを減算し、更に大気デューティ補正値Dcを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、0%を最小ガードとして制限される。従って、この処理でも、第2の実施の形態のステップ212の処理に比べて大気デューティ補正値Dcの分だけ大きい大気デューティ値DAVが得られることになる。
【0095】
その後、ステップ301又はステップ302から移行してステップ303で、ECU40は、今回のパージカット時間TCpgを「0」にリセットし、その後処理をステップ213へ移行し、ステップ213,214の処理を順次実行する。
【0096】
以上説明した本実施の形態の蒸発燃料処理装置では、パージカットの継続時間であるパージカット時間TCpgが短い場合には、パージカット時間TCpgが長い場合に比べて、キャニスタ12におけるベーパの捕集量増加が少ないことが予想される。そこで、パージカット後のパージ再開時には、パージカット時間TCpgが短い場合には長い場合に比べて、ECU40により大気導入弁20の開度を小とされ、HC濃度の調整が開始されるようになっている。
従って、パージカット後のパージ再開時には、キャニスタ12からのHCの離脱量が少なくても、パージ通路17への大気の導入が抑えられることから、パージガス中のHC濃度の低下が抑えられ、併せて、吸気通路7へパージされるHCの処理量が確保される。このため、エンジン4の空燃比制御性の悪化を抑えつつ、第2の実施の形態の場合に比べて吸気通路7に対するHCの処理量を増大させることができる。
【0097】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第4の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0098】
この実施の形態では、第1の実施の形態のパージ制御に加え、キャニスタ12から離脱するHCが少ないときに、キャニスタ12の吸着剤13を加熱することで、そのHCの離脱を促進させることを狙いとしている。
【0099】
そこで、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図6に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。
【0100】
このルーチンで、図2のフローチャートと同じ番号のステップは、第1の実施の形態と同じ処理内容を意味し、図6に追加されたステップ130,131,132,133,138の点で第1の実施の形態と処理内容が異なる。
【0101】
即ち、この実施の形態では、ステップ106で、パージデューティ値DPGVが「100%」となる場合、ステップ138で、ECU40は、大気デューティ値DAVを減少させる方向で大気デューティ値DAVを算出する。
【0102】
次に、ステップ130で、ECU30は、大気デューティ値DAVが「0%」以下であるか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合は、HCセンサ21で検出されるHC濃度がある要求値に対して不足する場合を意味する。つまり、この実施の形態では、パージされるHC量を増やすために、パージ制御弁18が全開とされ、次に、大気導入弁20が全閉とされるが、パージ制御弁18を全開とし、かつ、大気導入弁20を全閉としても最大供給ベーパ率BPRmaxに満たない場合に、ステップ130の判断結果が肯定となる。そこで、この場合にキャニスタ12からのHCの離脱が低減したものとして、ECU40は、ステップ131で、吸着剤13を加熱するためにヒータ15をONとする。
【0103】
次に、ステップ132で、ECU40は、大気デューティ値DAVを「0%」にセットし、処理をステップ109へ移行する。
【0104】
一方、ステップ130の判断結果が否定である場合、キャニスタ12からのHCの離脱はある程度確保されているものとして、ECU40は、処理をステップ133へ移行し、ヒータ15をOFFとして、処理をステップ109へ移行する。
【0105】
この他、ECU40は、処理をステップ121又はステップ107から移行する場合も、ステップ133で、ヒータ15をOFFとし、処理をステップ109へ移行する。
【0106】
この実施の形態では、図6のルーチンにおいてステップ130,131,133の処理を実行するECU40が、本発明(請求項4に記載の発明)の加熱制御手段に相当する。
【0107】
以上説明した本実施の形態の蒸発燃料処理装置で、パージ通路17におけるパージガス中のHC濃度が要求値に対して不足する場合に、ECU40によりヒータ15がONとされ、ヒータ15によりキャニスタ12及びその吸着剤13が加熱される。従って、吸着剤13が暖められてキャニスタ12からのHCの離脱が促進され、要求値に見合ったHCが得られるようになる。このため、HCのパージ処理分を見込んだエンジン4の空燃比制御を適切に行うことができる。
【0108】
この他、本実施の形態では、第1の実施の形態の蒸発燃料処理装置と同様の作用・効果を得ることができる。
【0109】
尚、この発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
【0110】
(1)前記各実施の形態では、パージガス中の燃料成分濃度を検出する燃料成分濃度検出手段として、パージ通路17に設けられたHCセンサ21を使用し、同センサ21で検出されるHC濃度からベーパ濃度fgpgを算出するようにした。これに対して、排気通路10に設けられた酸素センサ34を燃料成分濃度検出手段として使用し、同センサ34で検出される酸素濃度Oxからベーパ濃度fgpgを算出するようにしてもよい。
【0111】
(2)前記第4の実施の形態では、本発明の蒸発燃料処理装置を通常のガソリンエンジンシステム1に適用したが、いわゆる低負圧エンジンに対してより有効に適用することができる。
ここで、低負荷エンジンとは、小排気量エンジン、気筒内噴射式エンジン及びハイブリッドエンジン等を意味する。小排気量エンジンは、エンジンの吸気量が少なく、出力も小さいことから、スロットルバルブを広めに開く傾向があり、パージに必要な吸気負圧の発生が少ない。気筒内噴射式エンジンは、エンジン回転速度の制御がスロットルバルブでは行われず、気筒内へ直接噴射される燃料量に基づいて行われることから、スロットルバルブは絶えず開いた状態となり、パージに必要な吸気負圧の発生が少ない。ハイブリッドエンジンは、高膨張エンジンと電気モータの両方を搭載したものである。高膨張エンジンでは、ピストンの圧縮行程でも吸気バルブが開かれることから、圧縮空気が吸気通路へ流れて吸気負圧が低下する。又、エンジンに代わって電気モータを使用するときは、エンジンの吸気通路にパージに必要な吸気負圧が発生しなくなる。このように低負圧エンジンでは、吸気負圧によるパージガス流量が十分に得られないことから、高濃度のHCを少流量で処理する必要があり、そのためにキャニスタに加熱手段を設けてHCの離脱促進を図ることが有効になるのである。
【0112】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の構成によれば、キャニスタとパージ制御弁との間のパージ通路に設けられる大気導入弁によりパージ通路への大気の導入を制御することでパージ制御弁を通過する燃料成分濃度を調整するようにしたので、キャニスタから離脱する燃料成分濃度の違いに拘わらず、一つのパージ制御弁を用いることによりパージガス流量を高精度に調整することができ、燃料成分のパージによるエンジン空燃比の変動を抑えることができるという効果を発揮する。
【0113】
請求項2に記載の発明の構成によれば、パージ開始時に、大気導入弁を全開状態として燃料成分濃度の調整を開始するようにしたので、請求項1に記載の発明の効果に加え、最初は薄めの燃料成分濃度でパージを開始することができ、その後はパージ制御弁の開度を徐々に制御することで吸気通路へパージされる燃料成分量を適切に調整することができ、エンジン空燃比の制御性を向上させることができるという効果を発揮する。
【0114】
請求項3に記載の発明の構成によれば、パージ再開時にそれまでのパージカット時間が長いほど大気導入弁の開度を大として燃料成分濃度の調整を開始するようにしたので、請求項1に記載の発明の効果に加え、エンジン空燃比の制御性の悪化を抑えながら、吸気通路に対する燃料成分の処理量を増大させることができるという効果を発揮する。
【0115】
請求項4に記載の発明の構成によれば、燃料成分濃度がある要求値に対して不足する場合に、加熱手段によりキャニスタを加熱するようにしたので、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明の効果に加え、燃料成分のパージ処理分を見込んだエンジン空燃比制御を適切に行うことができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係り、ガソリンエンジンシステムを示す概略構成図である。
【図2】パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態に係り、パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】第3の実施の形態に係り、パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】パージカット時間と大気デューティ補正値との関係を示す補正値マップである。
【図6】第4の実施の形態に係り、パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 燃料タンク
4 エンジン
7 吸気通路
12 キャニスタ
15 ヒータ(加熱手段)
17 パージ通路
18 パージ制御弁
20 大気導入弁
21 HCセンサ(燃料成分濃度検出手段)
40 ECU(大気導入制御手段、パージカット制御手段、加熱制御手段)
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタで捕集し、捕集された蒸発燃料中の燃料成分をエンジンの吸気通路へパージして処理するようにした蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に搭載される装置の一つとして、燃料タンクで発生する蒸発燃料を大気へ放出させずに処理する蒸発燃料処理装置が知られている。この装置は、蒸発燃料を捕集するキャニスタを備え、キャニスタ内部の吸着剤に蒸発燃料を一旦吸着させ、エンジンの運転時に、吸気通路で発生する吸気負圧を利用して、キャニスタに捕集された蒸発燃料中の燃料成分(炭化水素(HC)等)をパージ通路を通じて吸気通路へパージして処理するようになっている。
【0003】
この種の蒸発燃料処理装置では、キャニスタの吸着剤に対する蒸発燃料の吸着効率や、吸着剤からの燃料成分の離脱効率が問題となる。
そこで、この問題に対処するためのキャニスタの加熱制御装置が、特開昭63−150459号公報に開示される。この加熱制御装置は、キャニスタの吸着剤を加熱するセラミックヒータ等の加熱手段と、パージ通路を通過する燃料成分中の炭化水素(HC)濃度を検出するHC検出計と、加熱手段を制御するコンピュータとを備える。ここで、コンピュータは、HC検出計で検出されるHC濃度が所定値以下となったとき、加熱手段を作動させて吸着剤の加熱を開始する。これにより、パージの際に吸着剤からのHC等の離脱について適切な状態が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来公報の加熱制御装置では、キャニスタにおけるHC濃度が高い場合には、高濃度のHCが吸気通路へパージされることになり、HCによりエンジンの空燃比が変動し、エンジンの排気エミッションやドライバビリティを悪化させるおそれがあった。従って、空燃比の変動を抑えるためには、パージ通路のパージガス流量を高精度に制御する必要がある。
【0005】
ここで、HCによるエンジン空燃比の変動を抑えるために、パージ通路にパージ制御弁を設けてパージガス流量を制御することが考えられる。一般的なパージ制御弁では、その開度がデューティ制御されることから、低開度側よりも高開度側で制御精度が高くなる。しかし、HC濃度が高い場合には、パージガス流量を少なく抑える必要があり、パージ制御弁を精度の劣る低開度側で制御しなければならず、適切なパージガス流量が得られず、空燃比が変動するおそれがあった。
【0006】
そこで、パージ制御弁に小流量弁を採用し、HC濃度が高い場合に、制御精度の高い高開度側を使うことにより、パージガス流量を抑えることが考えられる。しかし、HC濃度が低い場合には、パージガス流量を多くする必要があり、小流量弁だけでは大流量の制御が困難となる。そこで、例えば、小流量弁を複数並列に設けてこれらを同時に制御することにより、大流量を確保することが必要になる。しかし、このような構成では、複数の小流量弁を繋ぐ際の流量ばらつきや、個々の小流量弁の間の流量ばらつきが加算されることから、その意味でパージガス流量の制御精度が低くなるおそれがある。
【0007】
特に、小排気量エンジン、気筒内噴射式エンジン、或いは、ハイブリッドエンジン等の低負荷エンジンでは、吸気通路の発生負圧によってはパージガス流量が十分に得られず、高濃度のHC等を少ないパージガス流量で処理する必要がある。このため、前述した加熱制御装置によりキャニスタからのHCの離脱効率を高めることが必要になり、上記した不具合が問題となる。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、キャニスタから離脱する燃料成分濃度の違いに拘わらず、一つのパージ制御弁によりパージガス流量を高精度に調整することを可能とし、燃料成分のパージによるエンジン空燃比の変動を抑えることを可能とした蒸発燃料処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタで捕集し、捕集された蒸発燃料中の燃料成分をパージ通路を通じてエンジンの吸気通路へパージして処理するようにした蒸発燃料処理装置であって、パージ通路におけるパージガスの流量を調整するためのパージ制御弁と、キャニスタとパージ制御弁との間でパージ通路への大気の導入を調整するための大気導入弁と、大気が導入された後のパージガス中の燃料成分濃度を検出するための燃料成分濃度検出手段と、パージ制御弁を通るパージガス中の燃料成分濃度を大気により調整するために、検出される燃料成分濃度に基づき大気導入弁を制御する大気導入制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0010】
上記発明の構成によれば、パージ制御弁が相対的に精度の高い高開度側で制御されることで、パージ通路におけるパージガスの流量が高精度に調整されることになる。又、パージ通路におけるパージガス中の燃料成分濃度は、キャニスタから離脱する燃料成分の濃度と、大気導入弁によるパージ通路への大気の導入に応じて変わり得る。ここで、パージ制御弁を通るパージガス中の燃料成分濃度は、燃料成分濃度検出手段により検出される燃料成分濃度に基づき大気導入制御手段により大気導入弁が制御され、それによってパージ通路への大気の導入が調整されることにより調整される。
従って、キャニスタから離脱する燃料成分の濃度が変動しても、大気導入弁によるパージ通路への大気の導入の調整によって、パージガス中の燃料成分濃度が適切に調整される。ここで、パージ制御弁が高開度側で制御されることで、パージガス流量が高精度に調整されるので、そのパージガス流量の高精度な調整と、燃料成分濃度の適切な調整とにより、吸気通路へパージされる燃料成分量が適切に調整されることになる。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、大気導入制御手段は、パージ開始時に、大気導入弁を全開状態として燃料成分濃度の調整を開始することを趣旨とする。
【0012】
キャニスタにおける蒸発燃料の捕集状態が正確に把握できていないパージ開始時には、吸気通路へパージされる燃料成分によりエンジンの空燃比が変動するおそれがある。このため、それを避けるためには、パージガス中の燃料成分濃度を最初は低い状態から徐々に上げていくことが望ましい。
上記発明の構成によれば、パージ開始時に、大気導入制御手段により大気導入弁が全開状態とされて燃料成分濃度の調整が開始されることから、請求項1に記載の発明の作用に加え、低めの燃料成分濃度からパージが開始されるので、パージ開始時に吸気通路へパージされる燃料成分が過剰となることがない。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、所定条件下でパージカットを行うためにパージ制御弁を全閉に制御するパージカット制御手段を備え、大気導入制御手段は、パージカット後のパージ再開時に、それまでのパージカット時間が長いほど大気導入弁の開度を大として燃料成分濃度の調整を開始することを趣旨とする。
【0014】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、パージカット制御手段により所定条件下でパージ制御弁が全閉に制御されることにより、パージ通路における燃料成分の流れが遮断され、パージカットが行われる。ここで、パージカット時間が短い場合は、キャニスタでの蒸発燃料の捕集量増加が少ないと予想されるが、その後のパージ再開時には、大気導入制御手段により大気導入弁の開度が小とされ、燃料成分濃度の調整が開始される。
従って、パージカット後のパージ再開時に、キャニスタからの燃料成分の離脱量が少なくても、大気導入弁の開度が小とされ、パージ通路への大気の導入が抑えられる。これにより、パージガス中の燃料成分濃度の低下が抑えられ、併せて、吸気通路へパージされる燃料成分の処理量が確保される。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明において、キャニスタを加熱するための加熱手段と、検出される燃料成分濃度がある要求値に対して不足する場合に、キャニスタを加熱するために加熱手段を制御する加熱制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0016】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明の作用に加え、パージ通路におけるパージガス中の燃料成分濃度が要求値に対して不足する場合には、加熱制御手段により加熱手段が制御されてキャニスタが加熱される。従って、加熱によりキャニスタからの燃料成分の離脱が促進され、要求値に見合った燃料成分濃度が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1に、本実施の形態の蒸発燃料処理装置を含むガソリンエンジンシステム1の概略構成を示す。自動車に搭載されたガソリンエンジンシステム1は、燃料を収容するための燃料タンク2を備える。燃料タンク2には、燃料ポンプ3が内蔵される。エンジン4の複数の気筒(燃焼室)には、それぞれ燃料噴射弁(インジェクタ)5が対応して設けられる。燃料タンク2の燃料は、燃料ポンプ3により吐出され、燃料ライン6を通じて各インジェクタ5へと分配供給される。分配された燃料は、各インジェクタ5が作動することにより、各気筒入口へ向けて吸気通路7へと噴射される。エアクリーナ8を通じて吸気通路7に導入される空気は、各インジェクタ5からの噴射燃料と混合気を形成して、エンジン4の各気筒へ吸入される。各インジェクタ5へ分配されずに余った燃料は、リターンライン9を通じて燃料タンク2へ戻される。エンジン4の各気筒で燃焼後に生じた排気ガスは、排気通路10を通じて外部へ排出される。各気筒での燃料燃焼に伴い、クランクシャフト4aが回転することにより、エンジン4に駆動力が得られる。
【0019】
この実施の形態の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク2で発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気中へ放出させることなく捕集して処理するものである。この蒸発燃料処理装置は、燃料タンク2で発生するベーパを、ベーパ通路11を通じて捕集するためのキャニスタ12を備える。キャニスタ12には、活性炭よりなる吸着剤13が内蔵される。吸着剤13は、ベーパを吸着して捕集すると共に、ベーパ中の炭化水素(HC)等の燃料成分を離脱可能である。キャニスタ12には、エアパイプ14を通じて大気の導入が許容される。キャニスタ12には、キャニスタ12を加熱するための、即ち、吸着剤13を加熱するためのヒータ15が内蔵される。このヒータ15は、本発明の加熱手段に相当するものであり、例えば、PTCヒータより構成される。同じく、キャニスタ12には、吸着剤13の温度を検出するための温度センサ16が内蔵される。
【0020】
キャニスタ12から延びるパージ通路17は、吸気通路7に接続される。キャニスタ12は、ベーパ通路11を通じて導入されるベーパを吸着剤13に吸着させて捕集する。エンジン4の運転時に、吸気通路7で発生する吸気負圧がパージ通路17を通じてキャニスタ12に作用することにより、キャニスタ12の吸着剤13に捕集されたベーパ中の燃料成分がパージ通路17を通じて吸気通路7へパージされる。パージ通路17に設けられたパージ制御弁18は、パージ通路17における燃料成分を含むパージガス流量を調整するために制御される。パージ制御弁18は、電気信号の供給を受けて弁体を移動させる電磁弁であり、その開度はデューティ信号を受けてデューティ制御される。一般に、開度をデューティ制御するように構成したパージ制御弁は、低開度側よりも高開度側で制御精度が高いと言われている。このため、パージガス流量を高精度に調整するには、パージ制御弁を高開度側で制御することが有効であると言われている。
【0021】
キャニスタ12とパージ制御弁18との間のパージ通路17には、大気通路19が設けられる。この大気通路19には、パージ通路17への大気の導入を調整するために制御される大気導入弁20が設けられる。同じく、パージ通路17には、パージガス中の燃料成分濃度を検出するための炭化水素センサ(HCセンサ)21が設けられる。このセンサ21は、本発明の燃料成分濃度検出手段に相当するものである。
【0022】
ここで、キャニスタ12の吸着剤13が持つ燃料成分の離脱特性は、燃料成分の吸着量と流れ、その温度状態に依存する。吸着剤13に対する燃料成分の吸着量が多いときは、高濃度の燃料成分が離脱することになり、吸着量が少ないときは、低濃度の燃料成分が離脱する。離脱後の燃料成分は、キャニスタ12に作用する吸気負圧によってパージ通路17から吸気通路7へとパージされる。ここで、ベーパに含まれる燃料成分としては、炭化水素(HC)と、それ以外の成分が考えられるが、HCが大部分を占めることから、以下には、便宜的にHCを燃料成分として説明するものとする。
【0023】
エンジン4等に設けられた各種センサ31,32,33,34は、エンジン4の運転状態に係る各種パラメータを検出するためのものであり、運転状態検出手段に相当する。即ち、エアクリーナ8の近傍に設けられた吸気量センサ31は、吸気通路7に吸入される空気量(吸気量)Gaを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。エンジン4に設けられた水温センサ32は、エンジン4の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。エンジン4に設けられた回転速度センサ33は、クランクシャフト4aの回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。回転速度センサ33は、クランクシャフト4aの回転角(クランク角)の変化を所定角度毎に検出し、その検出をパルス信号として出力するものでる。排気通路10に設けられた酸素センサ34は、排気通路10を流れる排気ガス中の酸素濃度Oxを検出し、その検出値に応じた信号を出力する。
【0024】
電子制御装置(ECU)40は、本発明の大気導入制御手段及びパージカット制御手段に相当する。ECU40は、各種センサ31〜34から出力される検出信号を入力する。ECU40は、パージ制御を実行するために上記蒸発燃料処理装置を司る。ECU40は、エンジン4の運転状態に応じた所要量のHCを吸気通路7へパージするために、即ち、パージ制御弁18を所要の開度に制御するために、パージ制御弁18に所要のデューティ信号を出力する。
【0025】
ECU40は、周知のように中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ROMには、エンジン制御及びパージ制御等に関する所定の制御プログラムが予め記憶される。RAMには、CPUの演算結果が一時記憶される。バックアップRAMには、予め記憶したデータが保存される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ31〜34の検出信号に基づき、エンジン制御及びパージ制御等を実行するために、インジェクタ5、パージ制御弁18及び大気導入弁20等それぞれ制御する。
【0026】
ECU40には、イグニションスイッチ35を介してバッテリ36が接続される。ここで、イグニションスイッチ35がON操作されることにより、ECU40にバッテリ36から電力が供給される。これと同時に、エンジン4を始動させるために、スタータ(図示略)が作動してクランクシャフト4aに回転力が付与され、クランキングが行われる。
【0027】
次に、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図2に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。
【0028】
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU40は、パージ実行条件の成立であるか否かを判断する。ECU40は、例えば、水温センサ32で検出される冷却水温THWの値が所定値以上である場合に、パージ実行条件の成立と判断し、冷却水温THWが所定値未満である場合に、パージ実行条件の不成立と判断する。ここで、パージ実行条件の不成立である場合、ECU40は、パージカットを行うために、処理をステップ120へ移行する。
【0029】
ステップ120で、ECU40は、パージ制御弁18の開度を制御するためのデューティ値(パージデューティ値)DPGVを「0%」にセットする。
【0030】
次に、ステップ121で、ECU40は、大気導入弁20の開度を制御するためのデューティ値(大気デューティ値)DAVを同じく「0%」にセットする。
【0031】
その後、ステップ109で、ECU40は、0%のパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18の開度を制御する。即ち、パージ制御弁18を全閉にしてパージカットを行う。このようにパージカットを行うのは、冷却水温THWが低い場合に、HCのパージにより排気エミッションが悪化するのを防止するためである。
【0032】
続いて、ステップ110で、ECU40は、0%の大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20の開度を制御する。即ち、大気導入弁20を全閉にして、パージ通路17への大気の導入を遮断する。
【0033】
一方、ステップ100で、パージ実行条件の成立である場合、ECU40は、処理をステップ101へ移行する。ステップ101で、ECU40は、エンジン運転状態を取り込む。ここで、ECU40は、エンジン運転状態として、回転速度センサ33で検出されるエンジン回転速度NE、吸気量センサ31で検出される吸気量Ga、両パラメータNE,Gaの値から算出されるエンジン負荷等を運転状態として取り込む。
【0034】
次に、ステップ102で、ECU40は、HCセンサ21の検出値からHC濃度としてベーパ濃度fgpgの値を算出する。
【0035】
次に、ステップ103で、ECU40は、エンジン運転状態に基づき、最大供給ベーパ率BPRmaxの値を算出する。即ち、ECU40は、各種パラメータNE,Ga等の値に基づいて最大供給ベーパ率BPRmaxの値を算出する。ECU40は、この最大供給ベーパ率BPRmaxの算出を、例えば、予め設定されたマップ等を参照することにより行う。ここで、最大供給ベーパ率BPRmaxとは、エンジン4に供給されるべき燃料量のうちで、キャニスタ12から離脱して吸気通路7へパージされるHCが占める最大率を意味する。
【0036】
次に、ステップ104で、ECU40は、上記算出された最大供給ベーパ率BPRmax及びベーパ濃度fgpgの値に基づき、以下の計算式(1)に従い最大パージ率PGRmaxの値を算出する。
PGRmax=BPRmax/fgpg ・・・(1)
【0037】
次に、ステップ105で、ECU40は、算出された最大パージ率PGRmaxの値に基づきパージデューティ値DPGVを算出する。ECU40は、このパージデューティ値DPGVの算出を、例えば、予め設定されたマップ等を参照することにより行う。
【0038】
次に、ステップ106で、ECU40は、算出されたパージデューティ値DPGVが「100%」未満であるか否かを判断する。この判断が肯定である場合、大気デューティ値DAVを増大させるために、ECU40は処理をステップ107へ移行する。
【0039】
ステップ107で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(2)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV+Db ・・・(2)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVに所定値Dbを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、100%を最大ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ109へ移行する。
【0040】
一方、ステップ106の判断が否定である場合、大気デューティ値DAVを減少させるために、ECU40は処理をステップ108へ移行する。
【0041】
ステップ108で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(3)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV−Db ・・・(3)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVから所定値Dbを減算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、0%を最小ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ109へ移行する。
【0042】
そして、ステップ109で、ECU40は、今回算出されたパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18を所定の開度状態に制御する。このようにパージ制御弁18の開度を制御するのは、所要流量のパージガスを吸気通路7へパージさせるためである。
【0043】
更に、ステップ110で、ECU40は、今回算出された大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20を所定の開度状態に制御する。このように大気導入弁20の開度を制御するのは、パージ通路17に所要の大気を導入させるためである。
【0044】
以上説明した本実施の形態の蒸発燃料処理装置の構成によれば、パージ制御弁18が、低開度側よりも高開度側で制御精度が高いことから、高開度側で制御されることで、パージ通路17におけるパージガス流量が高精度に調整される。又、パージ通路17におけるパージガス中のHC濃度は、キャニスタ12から離脱するHCの濃度と、大気導入弁20を通じてパージ通路17に導入される大気の量に応じて変わり得るものである。
【0045】
ここで、パージ制御弁18を通過するパージガス中のHC濃度は、HCセンサ21の検出値から算出されるベーパ濃度fgpgの値に基づいてECU40により大気デューティ値DAVが算出され、その値DAVに基づいてECU40により大気導入弁20が制御されることで、大気通路19からパージ通路17への大気の導入が調整されることにより、調整される。
【0046】
即ち、この実施の形態では、エンジン運転状態に応じた最大供給ベーパ率BPRmaxのベーパ濃度fgpgに対する比率、即ち、最大パージ率PGRmaxの値からパージ制御弁18のためのパージデューティ値DPGVが求められる。そして、そのパージデューティ値DPGVの大きさに応じて、大気導入弁20のための大気デューティ値DAVが算出され、その大気デューティ値DAVに基づいて大気導入弁20の開度が制御される。これにより、大気通路19からパージ通路17への大気の導入が調整され、これによってパージガス中におけるHC濃度が調整される。
【0047】
従って、キャニスタ12から離脱するHCの濃度がそのときどきの条件によって変動しても、大気導入弁20によりパージ通路17への大気の導入が調整されることで、パージガス中のHC濃度が所要の適切な濃度に調整される。ここでは、パージ制御弁18を高開度側で制御することで、同制御弁18を通るパージガス流量が高精度に調整される。そして、パージガス流量の高精度な調整と、HC濃度の適切な調整とにより、吸気通路7へパージされるHCが過不足のない適切な量に調整される。
【0048】
例えば、キャニスタ12から離脱するHCが多量となる場合、ECU40により大気導入弁20が高開度に開かれてパージ通路17へ多量の大気が導入される。これにより、パージガス中のHC濃度が低くなり、併せてパージ制御弁18を高開度側で制御することで、吸気通路7へパージされるHC量が適切に調整される。つまり、キャニスタ12から離脱するHCが高濃度状態となるときでも、パージ制御弁18をパージガス流量の調整精度の高い高開度側で制御することができ、パージの制御性を向上させることができ、エンジン4での蒸発燃料の積極的な処理を可能とすることができる。
一方、キャニスタ12から離脱するHCが少量となる場合、ECU40により大気導入弁20の開度が絞られてパージ通路17へ導入される大気が少量に調整される。これにより、パージガス中のHC濃度が高くなり、併せてパージ制御弁18を高開度側で制御することで、吸気通路7へパージされるHC量が適切に調整される。
【0049】
このため、キャニスタ12から離脱するHC濃度の違いに拘わらず、一つのパージ制御弁18を用いることで、パージガス流量を高精度に調整することができ、吸気通路7へのHCパージによるエンジン空燃比の変動を抑えることができる。この結果、エンジン4の排気エミッションとドライバビリティの悪化を防止することができる。
【0050】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0051】
尚、本実施の形態を含む以下の各実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なる点を中心に説明するものとする。
【0052】
この実施の形態では、第1の実施の形態のパージ制御に加え、エンジン始動後のパージ開始直後、或いは、パージカットが長時間続いた場合に、キャニスタ12の吸着剤13におけるベーパの吸着状態が不明であることから、その場合でも過剰なHCが吸気通路7へパージされることのないようパージ制御を実行することを狙いとする。
【0053】
そこで、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図3に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。この実施の形態で、ECU40は、本発明(請求項2に記載の発明)の大気導入制御手段に相当している。
【0054】
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ200で、ECU40は、エンジン4の始動であるか否かを判断する。ECU40は、この判断を、イグニションスイッチ35のON操作に伴うクランキングの有無により判断する。この判断結果が肯定である場合、始動であるものとして、ECU40は、ステップ201で、初期パージフラグXPFを「1」にセットし、処理をステップ202へ移行する。
【0055】
一方、ステップ200の判断結果が否定である場合、始動後又は運転中であるものとして、ECU40は、ステップ220で、「IG・ON」、即ち、イグニションスイッチ35がONであるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、エンジン4が停止したものとして、ECU40は停止処理を行う。この判断結果が肯定である場合、エンジン4の運転中であるものとして、ECU40は、処理をステップ202へ移行する。
【0056】
ステップ202で、ECU40は、パージ実行条件の成立であるか否かを判断する。ECU40は、例えば、水温センサ32で検出される冷却水温THWの値が所定値以上である場合に、パージ実行条件の成立と判断し、冷却水温THWが所定値未満である場合に、パージ実行条件の不成立と判断する。ここで、パージ実行条件の不成立である場合、ECU40は、パージカットを行うために処理をステップ230へ移行する。
【0057】
ステップ230で、ECU40は、パージ制御弁18の開度を制御するためのデューティ値(パージデューティ値)DPGVを「0%」にセットする。
【0058】
次に、ステップ231で、ECU40は、大気導入弁20の開度を制御するためのデューティ値(大気デューティ値)DAVを同じく「0%」にセットする。
【0059】
次に、ステップ232で、ECU40は、パージカットの継続時間であるパージカット時間TCpgをインクリメントする。
【0060】
次に、ステップ233で、ECU40は、パージカット時間TCpgの値が所定の基準値TC1を越えたか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU40は、そのまま処理をステップ213へ移行する。この判断結果が肯定である場合、長時間パージカットが行われたものとして、ECU40は、ステップ234で、初期パージフラグXPFを「1」にセットし、処理をステップ213へ移行する。
【0061】
そして、ステップ213で、ECU40は、0%のパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18の開度を制御する。即ち、パージ制御弁18を全閉にしてパージカットを行う。このようにパージカットを行うのは、冷却水温THWが低い場合に、HCのパージにより排気エミッションが悪化するのを防止するためである。
【0062】
更に、ステップ214で、ECU40は、0%の大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20の開度を制御する。即ち、大気導入弁20を全閉にして、パージ通路17への大気の導入を遮断する。
【0063】
一方、ステップ202で、パージ実行条件の成立である場合、ECU40は、処理をステップ203へ移行する。
【0064】
ステップ203で、ECU40は、初期パージフラグXPFが「1」であるか否かを判断する。即ち、ECU40は、エンジン始動後最初の、又は長時間パージカット後のパージ実行であるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU40は、処理をステップ204へ移行する。
【0065】
ステップ204で、ECU40は、パージカット時間TCpgを「0」にリセットする。
【0066】
次に、ステップ205で、ECU40は、エンジン運転状態を取り込む。ここで、ECU40は、エンジン運転状態として、回転速度センサ33で検出されるエンジン回転速度NE、吸気量センサ31で検出される吸気量Ga、両パラメータNE,Gaの値から算出されるエンジン負荷等を運転状態として取り込む。
【0067】
次に、ステップ206で、ECU40は、HCセンサ21の検出値からHC濃度としてベーパ濃度fgpgの値を算出する。
【0068】
次に、ステップ207で、ECU40は、エンジン運転状態に基づき、最大供給ベーパ率BPRmaxの値を算出する。ECU40は、この最大供給ベーパ率BPRmaxの値の算出を、各種パラメータNE,Ga等の値に基づき、例えば、予め設定されたマップを参照することにより行う。ここで、最大供給ベーパ率BPRmaxとは、エンジン4に供給されるべき燃料量のうちで、キャニスタ12から離脱して吸気通路7へパージされるHCが占める最大率を意味する。
【0069】
次に、ステップ208で、ECU40は、上記算出された最大供給ベーパ率BPRmax及びベーパ濃度fgpgの値に基づき、以下の計算式(1)に従い最大パージ率PGRmaxの値を算出する。
PGRmax=BPRmax/fgpg ・・・(1)
【0070】
次に、ステップ209で、ECU40は、算出された最大パージ率PGRmaxの値に基づきパージデューティ値DPGVを算出する。ECU40は、このパージデューティ値DPGVの算出を、例えば、予め設定されたマップを参照することにより行う。
【0071】
次に、ステップ210で、ECU40は、算出されたパージデューティ値DPGVが「100%」未満であるか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、大気デューティ値DAVを増大させるために、ECU40は処理をステップ211へ移行する。
【0072】
ステップ211で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(2)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV+Db ・・・(2)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVに所定値Dbを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、100%を最大ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ213へ移行する。
【0073】
一方、ステップ210の判断結果が否定である場合、大気デューティ値DAVを減少させるために、ECU40は処理をステップ212へ移行する。
【0074】
ステップ212で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(3)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV−Db ・・・(3)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVから所定値Dbを減算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、0%を最小ガードとして制限される。その後、ECU40は、処理をステップ213へ移行する。
【0075】
そして、ステップ213で、ECU40は、今回算出されたパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18を所定の開度状態に制御する。このようにパージ制御弁18の開度を制御するのは、所要流量のパージガスを吸気通路7へパージさせるためである。
【0076】
又、ステップ214で、ECU40は、今回算出された大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20を所定の開度状態に制御する。このように大気導入弁20の開度を制御するのは、パージ通路17に所要の大気を導入させるためである。
【0077】
一方、ステップ203の判断結果が肯定である場合、ECU40は、ステップ240で、大気導入弁20を全開状態にするために大気デューティ値DAVを「100%」にセットする。
【0078】
次に、ECU40は、ステップ241で、初期パージフラグXPFを「0」にセットし、更に、ステップ242で、パージカット時間TCpgの値を「0」にリセットして、処理をステップ213へ移行する。
【0079】
そして、ステップ213で、ECU40は、パージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18の開度を制御する。ここでは、前回セットされたパージデューティ値DPGVに基づきパージ制御弁18が制御されることになる。
【0080】
又、ステップ214で、ECU40は、今回セットされた「100%」の大気デューティ値DAVに基づき大気導入弁20を全開状態に制御する。このように大気導入弁20を全開状態に制御するのは、この時点でHCを最も低濃度にするためである。
【0081】
ここで、一般に、エンジン始動後のパージ開始直後、或いは、パージカットを長時間継続させた後のパージ開始直後には、キャニスタ12でのベーパの捕集状態が正確に把握できておらず、場合によって、吸気通路7へパージされるHCが過剰となりエンジン4の空燃比が変動するおそれがある。このため、パージされるHCによりエンジン4の空燃比が変動するのを避けるために、パージガス中のHC濃度を最初は低い状態から徐々に上げていくことが望ましい。
【0082】
そこで、本実施の形態では、ECU40は、パージ開始時に、大気導入弁20を全開状態としてHC濃度の調整を開始するようにしている。これにより、低めのHC濃度からパージが開始されることになり、パージ開始時に、吸気通路7へパージされるHCの量が過剰になることがない。このため、最初は薄めのHC濃度でパージを開始することができ、その後はパージ制御弁18の開度を徐々に高くすることができ、吸気通路7へパージされるHCの量を適切に調整することができ、エンジン4の空燃比の制御性を向上させることができる。
【0083】
即ち、大気導入弁20を全開とすることで、パージ通路17に大気が多量に導入されるので、パージ開始に際してパージ制御弁18を開いても、いきなり高濃度のHCがエンジン4に供給されることがなく、エンジン4の空燃比の制御性を向上させることができるのである。
【0084】
又、この実施の形態では、キャニスタ12からパージされるHCが薄ければ、最初にパージ制御弁18の開度を増すことで、HC濃度を増大させることができ、それでもHC濃度が低ければ、大気導入弁20の開度を絞ることで、HC濃度を確実に増大させることができ、高濃度のHCを吸気通路7へパージすることができる。そして、このようにパージ制御弁18と大気導入弁20を関連付けて制御することにより、パージ再開時のHCを低濃度から高濃度へ滑らかに制御することができる。このため、キャニスタ12から離脱するHCの濃度が分からないとき、エンジン始動直後のパージ、或いは、パージカットが長時間続いた後のパージ再開時にも、エンジン4の空燃比を悪化させることなくパージ制御を適切に実行することができる。
【0085】
この他、本実施の形態では、図3のフローチャートにおけるステップ205〜214に、図2のフローチャートにおけるステップ101〜110と同じ処理内容を含むことから、この共通部分につき、第1の実施の形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0086】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第3の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0087】
この実施の形態では、第2の実施の形態のパージ制御に加え、パージカット時間TCpgの長さに応じてパージ再開時のHC濃度を制御することにより、パージ再開時のエンジン4の空燃比の制御性と、キャニスタ12の吸着剤13に対するベーパの吸着性向上との両立を狙いとする。
【0088】
そこで、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図4に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。この実施の形態で、ECU40は、本発明(請求項3に記載の発明)のパージカット制御手段及び大気導入制御手段に相当している。
【0089】
このルーチンで、図3のフローチャートと同じ番号のステップは、第2の実施の形態と同じ処理内容を意味し、図3のフローチャートにおけるステップ204の処理が図4のフローチャートにおいて省かれたことと、図4のフローチャートにおいてステップ300,301,302,303が追加されたことの点で第2の実施の形態と処理内容が異なる。
【0090】
即ち、この実施の形態では、ECU40は、ステップ209で、パージデューティ値DPGVを算出した後、ステップ300で、現時点までにステップ232で計測されたパージカット時間TCpgの値に応じた大気デューティ補正値Dcを算出する。ECU40は、この大気補正値Dcを、図5に示すように予め設定された補正値マップを参照することにより算出する。この補正値マップでは、パージカット時間TCpgが長くなるのに伴い、大気デューティ補正値Dcが二次関数的に増えるようになっている。
【0091】
その後、ステップ210で、ECU40は、算出されたパージデューティ値DPGVが「100%」未満であるか否かを判断する。この判断結果が肯定である場合、大気デューティ値DAVを増大させるために、ECU40は処理をステップ301へ移行する。
【0092】
ステップ301で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(4)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV+Db+Dc ・・・(4)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVに所定値Dbを加算し、更に大気デューティ補正値Dcを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、100%を最大ガードとして制限される。従って、この処理によれば、第2の実施の形態のステップ211の処理に比べて大気デューティ補正値Dcの分だけ大きい大気デューティ値DAVが得られることになる。
【0093】
一方、ステップ210の判断結果が否定である場合、大気デューティ値DAVを減少させるために、ECU40は処理をステップ302へ移行する。
【0094】
ステップ302で、ECU40は、大気デューティ値DAVを算出する。ECU40は、以下の計算式(5)に従い大気デューティ値DAVを算出する。
DAV ← DAV−Db+Dc ・・・(5)
即ち、ECU40は、前回の大気デューティ値DAVから所定値Dbを減算し、更に大気デューティ補正値Dcを加算することにより、新たな大気デューティ値DAVを算出する。但し、大気デューティ値DAVは、0%を最小ガードとして制限される。従って、この処理でも、第2の実施の形態のステップ212の処理に比べて大気デューティ補正値Dcの分だけ大きい大気デューティ値DAVが得られることになる。
【0095】
その後、ステップ301又はステップ302から移行してステップ303で、ECU40は、今回のパージカット時間TCpgを「0」にリセットし、その後処理をステップ213へ移行し、ステップ213,214の処理を順次実行する。
【0096】
以上説明した本実施の形態の蒸発燃料処理装置では、パージカットの継続時間であるパージカット時間TCpgが短い場合には、パージカット時間TCpgが長い場合に比べて、キャニスタ12におけるベーパの捕集量増加が少ないことが予想される。そこで、パージカット後のパージ再開時には、パージカット時間TCpgが短い場合には長い場合に比べて、ECU40により大気導入弁20の開度を小とされ、HC濃度の調整が開始されるようになっている。
従って、パージカット後のパージ再開時には、キャニスタ12からのHCの離脱量が少なくても、パージ通路17への大気の導入が抑えられることから、パージガス中のHC濃度の低下が抑えられ、併せて、吸気通路7へパージされるHCの処理量が確保される。このため、エンジン4の空燃比制御性の悪化を抑えつつ、第2の実施の形態の場合に比べて吸気通路7に対するHCの処理量を増大させることができる。
【0097】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の蒸発燃料処理装置を具体化した第4の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0098】
この実施の形態では、第1の実施の形態のパージ制御に加え、キャニスタ12から離脱するHCが少ないときに、キャニスタ12の吸着剤13を加熱することで、そのHCの離脱を促進させることを狙いとしている。
【0099】
そこで、ECU40が実行するパージ制御の処理内容について説明する。図6に、パージ制御ルーチンをフローチャートに示す。ECU40は、このルーチンを所定時間毎に周期的に実行する。
【0100】
このルーチンで、図2のフローチャートと同じ番号のステップは、第1の実施の形態と同じ処理内容を意味し、図6に追加されたステップ130,131,132,133,138の点で第1の実施の形態と処理内容が異なる。
【0101】
即ち、この実施の形態では、ステップ106で、パージデューティ値DPGVが「100%」となる場合、ステップ138で、ECU40は、大気デューティ値DAVを減少させる方向で大気デューティ値DAVを算出する。
【0102】
次に、ステップ130で、ECU30は、大気デューティ値DAVが「0%」以下であるか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合は、HCセンサ21で検出されるHC濃度がある要求値に対して不足する場合を意味する。つまり、この実施の形態では、パージされるHC量を増やすために、パージ制御弁18が全開とされ、次に、大気導入弁20が全閉とされるが、パージ制御弁18を全開とし、かつ、大気導入弁20を全閉としても最大供給ベーパ率BPRmaxに満たない場合に、ステップ130の判断結果が肯定となる。そこで、この場合にキャニスタ12からのHCの離脱が低減したものとして、ECU40は、ステップ131で、吸着剤13を加熱するためにヒータ15をONとする。
【0103】
次に、ステップ132で、ECU40は、大気デューティ値DAVを「0%」にセットし、処理をステップ109へ移行する。
【0104】
一方、ステップ130の判断結果が否定である場合、キャニスタ12からのHCの離脱はある程度確保されているものとして、ECU40は、処理をステップ133へ移行し、ヒータ15をOFFとして、処理をステップ109へ移行する。
【0105】
この他、ECU40は、処理をステップ121又はステップ107から移行する場合も、ステップ133で、ヒータ15をOFFとし、処理をステップ109へ移行する。
【0106】
この実施の形態では、図6のルーチンにおいてステップ130,131,133の処理を実行するECU40が、本発明(請求項4に記載の発明)の加熱制御手段に相当する。
【0107】
以上説明した本実施の形態の蒸発燃料処理装置で、パージ通路17におけるパージガス中のHC濃度が要求値に対して不足する場合に、ECU40によりヒータ15がONとされ、ヒータ15によりキャニスタ12及びその吸着剤13が加熱される。従って、吸着剤13が暖められてキャニスタ12からのHCの離脱が促進され、要求値に見合ったHCが得られるようになる。このため、HCのパージ処理分を見込んだエンジン4の空燃比制御を適切に行うことができる。
【0108】
この他、本実施の形態では、第1の実施の形態の蒸発燃料処理装置と同様の作用・効果を得ることができる。
【0109】
尚、この発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
【0110】
(1)前記各実施の形態では、パージガス中の燃料成分濃度を検出する燃料成分濃度検出手段として、パージ通路17に設けられたHCセンサ21を使用し、同センサ21で検出されるHC濃度からベーパ濃度fgpgを算出するようにした。これに対して、排気通路10に設けられた酸素センサ34を燃料成分濃度検出手段として使用し、同センサ34で検出される酸素濃度Oxからベーパ濃度fgpgを算出するようにしてもよい。
【0111】
(2)前記第4の実施の形態では、本発明の蒸発燃料処理装置を通常のガソリンエンジンシステム1に適用したが、いわゆる低負圧エンジンに対してより有効に適用することができる。
ここで、低負荷エンジンとは、小排気量エンジン、気筒内噴射式エンジン及びハイブリッドエンジン等を意味する。小排気量エンジンは、エンジンの吸気量が少なく、出力も小さいことから、スロットルバルブを広めに開く傾向があり、パージに必要な吸気負圧の発生が少ない。気筒内噴射式エンジンは、エンジン回転速度の制御がスロットルバルブでは行われず、気筒内へ直接噴射される燃料量に基づいて行われることから、スロットルバルブは絶えず開いた状態となり、パージに必要な吸気負圧の発生が少ない。ハイブリッドエンジンは、高膨張エンジンと電気モータの両方を搭載したものである。高膨張エンジンでは、ピストンの圧縮行程でも吸気バルブが開かれることから、圧縮空気が吸気通路へ流れて吸気負圧が低下する。又、エンジンに代わって電気モータを使用するときは、エンジンの吸気通路にパージに必要な吸気負圧が発生しなくなる。このように低負圧エンジンでは、吸気負圧によるパージガス流量が十分に得られないことから、高濃度のHCを少流量で処理する必要があり、そのためにキャニスタに加熱手段を設けてHCの離脱促進を図ることが有効になるのである。
【0112】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の構成によれば、キャニスタとパージ制御弁との間のパージ通路に設けられる大気導入弁によりパージ通路への大気の導入を制御することでパージ制御弁を通過する燃料成分濃度を調整するようにしたので、キャニスタから離脱する燃料成分濃度の違いに拘わらず、一つのパージ制御弁を用いることによりパージガス流量を高精度に調整することができ、燃料成分のパージによるエンジン空燃比の変動を抑えることができるという効果を発揮する。
【0113】
請求項2に記載の発明の構成によれば、パージ開始時に、大気導入弁を全開状態として燃料成分濃度の調整を開始するようにしたので、請求項1に記載の発明の効果に加え、最初は薄めの燃料成分濃度でパージを開始することができ、その後はパージ制御弁の開度を徐々に制御することで吸気通路へパージされる燃料成分量を適切に調整することができ、エンジン空燃比の制御性を向上させることができるという効果を発揮する。
【0114】
請求項3に記載の発明の構成によれば、パージ再開時にそれまでのパージカット時間が長いほど大気導入弁の開度を大として燃料成分濃度の調整を開始するようにしたので、請求項1に記載の発明の効果に加え、エンジン空燃比の制御性の悪化を抑えながら、吸気通路に対する燃料成分の処理量を増大させることができるという効果を発揮する。
【0115】
請求項4に記載の発明の構成によれば、燃料成分濃度がある要求値に対して不足する場合に、加熱手段によりキャニスタを加熱するようにしたので、請求項1乃至3の何れか一つに記載の発明の効果に加え、燃料成分のパージ処理分を見込んだエンジン空燃比制御を適切に行うことができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係り、ガソリンエンジンシステムを示す概略構成図である。
【図2】パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態に係り、パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】第3の実施の形態に係り、パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】パージカット時間と大気デューティ補正値との関係を示す補正値マップである。
【図6】第4の実施の形態に係り、パージ制御の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 燃料タンク
4 エンジン
7 吸気通路
12 キャニスタ
15 ヒータ(加熱手段)
17 パージ通路
18 パージ制御弁
20 大気導入弁
21 HCセンサ(燃料成分濃度検出手段)
40 ECU(大気導入制御手段、パージカット制御手段、加熱制御手段)
Claims (4)
- 燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタで捕集し、捕集された蒸発燃料中の燃料成分をパージ通路を通じてエンジンの吸気通路へパージして処理するようにした蒸発燃料処理装置であって、
前記パージ通路におけるパージガスの流量を調整するためのパージ制御弁と、
前記キャニスタと前記パージ制御弁との間で前記パージ通路への大気の導入を調整するための大気導入弁と、
前記大気が導入された後のパージガス中の燃料成分濃度を検出するための燃料成分濃度検出手段と、
前記パージ制御弁を通るパージガス中の燃料成分濃度を大気により調整するために、前記検出される燃料成分濃度に基づき前記大気導入弁を制御する大気導入制御手段と
を備えたことを特徴とする蒸発燃料処理装置。 - 前記大気導入制御手段は、パージ開始時に、前記大気導入弁を全開状態として前記燃料成分濃度の調整を開始することを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
- 所定条件下でパージカットを行うために前記パージ制御弁を全閉に制御するパージカット制御手段を備え、
前記大気導入制御手段は、パージカット後のパージ再開時に、それまでのパージカット時間が長いほど前記大気導入弁の開度を大として前記燃料成分濃度の調整を開始することを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記キャニスタを加熱するための加熱手段と、
前記検出される燃料成分濃度がある要求値に対して不足する場合に、前記キャニスタを加熱するために前記加熱手段を制御する加熱制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の蒸発燃料処理装置。
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