JP3848170B2 - 監視システム及びプログラム - Google Patents

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JP3848170B2
JP3848170B2 JP2002024298A JP2002024298A JP3848170B2 JP 3848170 B2 JP3848170 B2 JP 3848170B2 JP 2002024298 A JP2002024298 A JP 2002024298A JP 2002024298 A JP2002024298 A JP 2002024298A JP 3848170 B2 JP3848170 B2 JP 3848170B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも一つのプラントを監視する監視システム及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
少なくとも一つのプラントを監視するための監視システムでは、プラントに備えられている機器の状態情報が収集される。なお、機器には、センサが含まれる。
【0003】
機器から収集される状態情報としては、例えばポンプの運用状態及び故障状態、プロセス値などがある。収集された状態情報はモニタに表示される。
【0004】
従来の監視システムでは、監視業務を行うオペレータは、プロセス値などの各機器の状態情報を組み合わせて、プラントの設備の運用状態を判断し、必要に応じて機器の操作を行う。
【0005】
設備とは例えば受変電設備、配水設備を指す。
【0006】
故障発生時、監視システムでは、機器ごとの故障レベル、例えば重故障、中故障、軽故障などが表示される。
【0007】
オペレータはこの故障レベルとプラントの冗長性及び可用性(2重化、設備の併設など)を組み合わせてプラントとしての緊急度を判断し、対応する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
監視対象のプラントや、機器の数が多くなると、監視システムに表示される機器の状態情報の数も膨大になり、画面枚数の増加、メニュー構成の複雑化、表示内容の煩雑化が生じる。
【0009】
このため、従来の監視システムでオペレータが監視できるプラント、機器の数には限界がある。
【0010】
また、表示される機器の状態情報が多くなればなるほど、プラント全体としての運用状態の把握や、同時に複数の故障が発生した場合の対応の優先順位などについて、オペレータの判断に時間を要する場合がある。
【0011】
また、全ての機器の状態情報の監視は、オペレータの業務量の増加につながり、結果として操作ミス、判断ミスを生じる可能性が高くなる。
【0012】
また、既存の複数のプラントを統合して広域監視システムの構築を考えた場合、各システムの仕様や監視方式が異なり、オペレータの混乱を招き操作性が低下する場合がある。
【0013】
先に述べたように、故障発生時、従来の監視システムでは、例えば重故障、中故障、軽故障などの機器ごとの故障レベルを表示し、オペレータは機器の故障レベルとプラントの冗長性及び可用性を組み合わせてプラントとしての緊急度を判断し、対応する。しかし、この場合、この機器の故障レベルとプラントの故障レベルが必ずしも一致しない場合がある。
【0014】
例えば、複数のポンプが動作するプラントにおいて予備ポンプを備えていないプラントで1台のポンプに重故障が発生した場合、この1台のポンプの重故障はプラントとしての運用に直接影響を与える。このため、緊急度は高くなる。
【0015】
一方、予備ポンプを1台備えている場合、1台のポンプに重故障が発生しても予備ポンプによりプラント自体は動作可能であるためプラント全体としての緊急度は比較的低くなる。
【0016】
このように、機器として同一の故障が発生した場合でもプラントとしての冗長性及び可用性により、プラントとしての緊急度は異なる。このようなプラント全体としての緊急度の判断は各オペレータよる判断に依存しているため、対応の遅れやオペレータの個人差によるオペレーションの不均一が生じる場合がある。
【0017】
本発明は、以上のような鑑みてなされたもので、システムの監視性の向上による的確なプラント運用とオペレータの監視負荷の軽減を図る監視システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明を実現するにあたって講じた具体的手段について以下に説明する。
【0019】
本発明の骨子は、個々の機器の状態ではなく、プラントや設備などの監視項目単位で状態を監視する点にある。
【0020】
本発明に係る監視システムでは、機器状態取得手段が少なくとも一つのプラントに備えられている機器の状態情報を取得し、オブジェクト変換手段が取得された状態情報を組み合わせてプラントの監視項目を表すオブジェクトの状態を求め、情報提供手段がオブジェクトの状態を提供する。
【0021】
なお、オブジェクト変換手段は、プラントの冗長性と可用性の少なくとも一方にしたがって定まる緊急度を示す運用レベルをオブジェクトについて求め、情報提供手段は、オブジェクトの運用レベルを表すとしてもよい。例えば、運用レベルは、緊急度の高い順から「至急対応」「要対応」「要監視」「正常」と定めるなど、オペレータの対応レベルに準じて定義してもよい。
【0022】
本発明では、様々な機器からの状態情報が組み合わされ、プラント、設備などの単位でオブジェクトにまとめられるため、オペレータの監視する情報が集約される。
【0023】
これにより、オペレータの監視項目が減少し、プラント、設備の運用状態などの把握が容易となり、故障発生時のプラント、設備としての緊急度が的確かつ均一に把握でき、故障に適切かつ迅速に対応することができる。
【0024】
また、オペレータの業務量が減少し、システムの監視性を向上させることができ、監視作業のミスを防止できる。
【0025】
本発明において、オブジェクト変換手段は、複数の下位オブジェクトを組み合わせて上位オブジェクトとし、オブジェクトの階層構造を実現し、情報提供手段は、オペレータによって選択された任意のオブジェクトの状態を提供するとしてもよい。
【0026】
例えば、下位オブジェクトを受電設備、高圧設備、自家発電設備とし、これらの下位オブジェクトを組み合わせて、上位オブジェクトを電気設備とする。
【0027】
これにより、複数の下位オブジェクトの状態に基づいて上位オブジェクトの状態を定めることができる。
【0028】
階層的な構成を持つオブジェクトにおいて、複数の下位オブジェクトの運用レベルが同じ場合に、上位オブジェクトの運用レベルと下位オブジェクトの運用レベルとを同一とし、異なる場合には上位オブジェクトの運用レベルを下位オブジェクトの運用レベルのうち最も緊急度の高い運用レベルとし、オペレータに提供してもよい。
【0029】
オペレータは上位オブジェクトの監視を行うことにより、少ない情報量でプラント、設備全体の運用状態を把握することができる。
【0030】
また、本発明において、機器の故障発生時には、当該機器の状態情報に自動的に展開し、機器の故障状態を提供することにより、オペレータの故障原因の追求と迅速な対応を支援することができる。
【0031】
上記発明は、コンピュータにより実現可能である。すなわち、上記発明の各手段と同様に動作する機能が、コンピュータに読み込まれたコンピュータプログラムによって実現されるとしてもよい。この監視プログラム又はこのプログラムを記録した記録媒体を用いることによって、コンピュータ、コンピュータシステム、サーバ、クライアントに対して、簡単に上記発明をコンピュータに実現されることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
本実施の形態においては、プラント内の設備の運用状態などオペレータ監視項目をオブジェクトとして定義し、表示する監視システム及び監視プログラムについて説明する。
【0034】
本実施の形態においては、例えばプラントのプロセス値などのような機器から得られる状態情報とプラント全体としての可用性とを組み合わせて、所定の監視項目(例えば機器、事象(状況)、設備(機能)、プラント)でオブジェクト化(グループ化)し、オブジェクトごとの状態を出力する。
【0035】
図1は、本実施の形態に係る監視システムの構成例を示すブロック図である。監視システム1は、オペレータ2からの操作を受け付けるインタフェース装置3及び出力装置であるCRT4と接続されている。
【0036】
監視システム1は、機器A1〜ANとネットワーク5を経由して送受信可能に接続されている。
【0037】
機器A1〜ANは、自己の配置されているプラントの状態を示す状態情報に機器IDを付して監視システム1に送信する。
【0038】
監視システム1は、記録媒体6に記録されている監視プログラム7を読み込み、定義機能8、機器状態取得機能9、オブジェクト変換機能10、情報提供機能11を実現する。
【0039】
監視システム1は、定義画面情報12を格納する格納部13、オブジェクト定義情報14と運用状態定義情報15を格納する格納部16、オブジェクト変換機能10によって生成されたオブジェクトの状態を示す運用情報17と画面構成情報20を格納する格納部18を具備する。
【0040】
定義機能8は、オペレータ2がインタフェース装置3を操作してオブジェクト定義命令を入力すると、格納部13に格納されている定義画面情報12を読み出し、CRT4に出力する。これにより、オブジェクト定義画面が表示され、オペレータ2のオブジェクト定義作業が支援される。
【0041】
ここで、オブジェクトとは、機器ごとの状態信号や機器・設備の可用性を組み合わせて定義される監視項目である。例えば、監視項目として、機器、プラントの事象、プラントの設備、プラントなどが、それぞれオブジェクトとして定義される。図1の例では、A1〜ALを1監視項目としてまとめて、プラントP1をオブジェクトとしている。
【0042】
定義機能8は、オペレータ2によって定義されたオブジェクト定義情報14を、格納部16に格納する。
【0043】
また、定義機能8は、オペレータ2がインタフェース装置3を操作して運用状態定義命令を入力し、オペレータ2によって定義された運用状態定義情報15を格納部16に格納する。
【0044】
運用状態定義情報15は、定義されたオブジェクトを構成する要素(機器など)がどのような値を持つ場合にこのオブジェクトがどのような状態か判断するための情報である。
【0045】
機器状態取得機能9は、各機器A1〜ANから機器IDと状態情報を受信する。
【0046】
オブジェクト変換機能10は、オブジェクト定義情報14と運用状態定義情報15とを読み出し、機器状態取得機能9から機器IDと状態情報を受ける。そして、オブジェクト変換機能10は、オブジェクト定義情報14と運用状態定義情報15と機器からの状態情報とに基づいて、定義された各オブジェクトの状態を示す運用情報17を生成し、格納部18に格納する。
【0047】
情報提供機能11は、オペレータ2がインタフェース装置3を操作してオブジェクト指定命令を入力すると、この命令の指すオブジェクトの運用情報と画面構成情報20とに基づいて画面情報19を生成する。
【0048】
そして、情報提供機能11は、画面情報19をCRT4に出力する。
【0049】
図2は、本実施の形態に係る監視システム1の動作を示すフローチャートである。
【0050】
まず、定義機能8は、オブジェクト定義画面をオペレータ2に提示する(S1)。
【0051】
オペレータ2は、監視対象の情報を統合する監視単位を特定し、オブジェクト定義情報14を定義する。また、オペレータ2は、定義されたオブジェクトの状態を判定する基準となる運用状態定義情報15を定義する。
【0052】
定義機能8は、オブジェクト定義情報14と運用状態定義情報15を入力すると、格納部16に格納する(S2)。
【0053】
機器状態取得機能9は、各プラントP1〜Pnの機器A1〜ANから機器IDと状態情報を受信する(S3)。
【0054】
オブジェクト変換機能10は、機器IDに基づいて、受信した状態情報がどのオブジェクトに属する機器の状態情報かを判別する(S4)。
【0055】
また、オブジェクト変換機能10は、各オブジェクトを構成する機器の状態情報と運用状態定義情報15の定義内容とを比較し(S5)、各オブジェクトの運用情報17を求め、格納部18に格納する(S6)。
【0056】
情報提供機能11は、最初の画面情報出力の場合(S7)、画面構成情報20に示す形式に従って、プラントP1〜Pnを1監視項目とした運用情報を表示する全体監視画面情報19aを生成し、CRT4に表示する(S8)。
【0057】
一方、情報提供機能11は、オペレータ2がインタフェース装置3を操作してオブジェクトを指定した場合には、その指定されたオブジェクトの運用情報を表示する画面情報を生成し、CRT4に表示する(S9)。例えば、オペレータ2の指示に従ってローカル監視画面情報19bが生成され表示される。
【0058】
また、オペレータ2がCRT4で任意のオブジェクトを監視中に、監視システム1の監視対象である機器の状態情報が異常を示した場合(例えばプロセス値に異常が発生した場合)(S10)、監視システム1の情報提供機能11は故障が発生した機器の状態情報を優先的に表示する(S11)。
【0059】
上記動作は、オペレータ2がインタフェース装置3を操作して監視システム1の動作終了を命令するまで繰り返される(S12)。
【0060】
以下に、監視システム1で利用される各種情報について詳細に説明する。
【0061】
オブジェクト定義情報14は、各機器A1〜ANからの状態情報をどのような監視項目で区分するかを定義する情報である。例えば各機器A1〜ANを下位オブジェクトとし、下位オブジェクトをプラントP1〜Pn単位で集めて上位オブジェクトとする旨がオブジェクト定義情報14に定められている。
【0062】
オブジェクト定義情報14を定義する場合には、まずオペレータ2の業務とオペレータ2の監視項目また機器・設備の可用性などを整理する。
【0063】
表1に、オペレータ2の業務と監視項目の整理結果を示す。
【0064】
【表1】
Figure 0003848170
【0065】
この表1では、オペレータ2の監視業務について、「監視項目」、「従来の監視システムの表示」、「オペレータの判断」、「オペレータの判断結果」の観点からオペレータの業務と監視項目とを整理し、さらに「通常時の機器の状態監視」、「事象の判断」、「プロセス値監視」、「異常時の監視」の観点で区別している。
【0066】
表1の「従来の監視システムの表示」と「オペレータの判断」に着目すると、従来の監視システムでは、機器の状態を従来の監視システムの表示で確認し、プラントP1〜Pnの運用状態をオペレータの知識、ノウハウに基づいて判断していることがわかる。
【0067】
そこで、オペレータの判断を支援し、またオペレータごとの判断を均一化するために、表1の「オペレータの判断結果」の内容に注目してオブジェクト定義情報14を定義する。
【0068】
表2に、オブジェクト定義情報14の定義内容の例を示す。
【0069】
【表2】
Figure 0003848170
【0070】
オブジェクト定義情報14では、階層構造を持つオブジェクトが定義可能である。例えば、上位から下位に、プラントオブジェクト→設備オブジェクト→事象オブジェクト→機器の状態情報の順で階層構造を持つオブジェクトを定義する。
【0071】
機器の状態情報は、各機器の状態を表す。
【0072】
事象オブジェクトは、機器の状態・条件を組み合わせて、設備の運用状態などの事象を表す。例えば、「1系受電」という事象オブジェクトは1系受電遮断器入、1系断路器入などの機器の状態情報と、予備系統の有/無などの条件に基づいた運用レベルを合わせて定義する。
【0073】
設備オブジェクトは、事象オブジェクトの状態・条件を組み合わせて、設備の果たす機能の状態を表す。運用レベルについては、設備オブジェクトを構成する事象オブジェクトの運用レベルのうち、優先度が最も高いものを表す。例えば、「受電中」という設備オブジェクトは、事象オブジェクトである「1系受電」または「2系受電」のいずれかが成立していれば、受電設備としての機能を果たしていることになるため、「受電中」を表す。
【0074】
プラントオブジェクトは、設備オブジェクトの状態を組み合わせて、プラント全体の運用レベルを表す。例えば、設備オブジェクトである受電設備オブジェクトとシステムオブジェクトとの運用レベルが「正常」で、設備オブジェクトである送水設備オブジェクトの運用レベルが「至急対応」の場合、プラントオブジェクトの運用レベルは緊急度が最も高い「至急対応」を表す。
【0075】
図3は、オブジェクトの階層関係を例示するブロック図である。
【0076】
事象の監視に用いる事象オブジェクトは、機器の状態情報を組み合わせて生成され、設備の運用状態の監視に用いる設備オブジェクトは、事象オブジェクトを組み合わせて生成され、プラントの運用レベルの監視に用いるプラントオブジェクトは、設備オブジェクトを組み合わせて生成される。
【0077】
表3は、監視システム1におけるオブジェクト監視と機器状態監視の特徴を「監視の目的」、「監視システムの表示」、「オペレータの判断」の観点から整理した結果である。
【0078】
【表3】
Figure 0003848170
【0079】
運用状態定義情報15は、各オブジェクトの状態を判断する基準を定めた情報である。
【0080】
表4は運用状態定義情報15の定義例である。例えば、オペレータ2の対応に合わせて「正常」、「要監視」、「要対応」、「至急対応」の4レベルで表す。
【0081】
【表4】
Figure 0003848170
【0082】
なお、「正常」は、自動運転、当該機器の故障が発生していないなど、通常の全自動運転のためにオペレータ2の監視が必要でない状態を表す。
【0083】
「要監視」は、手動運転、プロセス値異変あり(上下限値の範囲内)など、異常ではないが、オペレータ2の監視が必要な場合を表す。
【0084】
「要対応」は、軽故障発生などオペレータ2による何らかの対応が必要であるが継続運転が可能な場合を表す。また、機器として重故障が発生した場合でも、予備機・予備系統などがあり継続運転が可能な場合もこの「要対応」とする。
【0085】
「至急対応」は、機器に重故障が発生して継続運転ができない場合を表す。ただし、設備全体として、予備機・予備系統などがあり継続運転が可能な場合は「至急対応」には含めない。
【0086】
上記運用状態定義情報15は、各オブジェクトについてそれぞれ定義される。
【0087】
図4は、監視項目数と運用レベルから定めたオブジェクト監視と機器状態監視の役割分担を示す図である。
【0088】
オブジェクト監視では、機器の状態情報をオブジェクトに集約しているため、オペレータ2の監視項目が削減される。オブジェクト監視では、設備、プラントとしての運用状態の把握を目的としているため、基本的には正常運用範囲である「正常」、「要監視」の範囲を扱う。
【0089】
一方、機器状態監視では、故障発生時などより詳細な機器の状態情報の把握と対応を目的とするため、各機器の状態情報を個別に扱う。従って、情報量はオブジェクト監視と比較すると莫大な量となる。機器状態監視は、故障時の対応、詳細情報の取得を目的とするため、基本的には故障範囲である「要対応」、「至急対応」の範囲を扱う。
【0090】
図5は、オブジェクト監視の効果を示す図である。
【0091】
以上説明した本実施の形態においては、オブジェクトの運用レベルを表示することにより、オブジェクトの対応レベルを明確に表示できる。オペレータ2は、優先すべき対応を明確かつ容易に把握できる。
【0092】
また、オブジェクトの状態を表示することにより、監視対象、監視画面の枚数を削減して表示内容を簡略化でき、プラントの冗長性及び可用性を考慮したプラントとしての緊急度を表示できる。これにより、オペレータ2は、プラント全体としての運用状態を容易に把握できる。オペレータ2の監視操作量は減少し、業務負荷は削減する。そして、オペレータ2の操作ミス、判断ミスを防止できる。
【0093】
また、複数のプラントのシステム仕様や監視方式を統一し、オペレータ2の混乱を防止し、操作性を向上させることができる。
【0094】
また、オブジェクトを階層的な構造にすることにより、オペレータ2の監視項目の移動・展開が容易になる。オペレータ2は、一層プラントの状態を容易に把握できる。
【0095】
また、故障の発生した機器の状態情報に自動的に展開し、その状態を表示するため、オペレータ2の故障原因の追求と迅速な対応を支援することができる。
【0096】
なお、本実施の形態に係る監視システム1又は監視プログラム7の各構成要素は、自由に組み合わせてもよく、また複数に分割してもよく、配置位置を変更してもよい。例えば、格納部13、16、18は、一つの格納部に統合してもよい。
【0097】
また、監視プログラム7は、複数のコンピュータ上に分散され、連携しつつ動作してもよい。
【0098】
また、オブジェクト化した場合の階層関係と各オブジェクトの持つ値(状態)をたとえばXML(eXtensible Markup Language)などの標準化された言語で記述することにより、運用情報17をマルチベンダシステムで有効に扱うことができる。
【0099】
また、本実施の形態では、プラントの数が複数の場合について説明しているが、単数であっても同様である。監視項目は、オペレータ2が自由に設定可能である。
【0100】
(第2の実施の形態)
本実施の形態においては、オブジェクトの定義作業を支援する方法について説明する。
【0101】
図6は、オブジェクト定義画面とオブジェクトの定義内容の関係を示す図である。この図6では、事象オブジェクトが定義される場合を例示しているが、設備オブジェクト、プラントオブジェクトなどの他のオブジェクトが定義される場合も同様である。
【0102】
定義画面情報12が定義機能8によって読み出され、CRT4に表示されると、オブジェクト定義画面41が表示される。オペレータ2は、このオブジェクト定義画面41を参考にして、インタフェース装置3を操作してオブジェクトを定義し、オブジェクト定義情報14を生成する。
【0103】
オブジェクト定義画面41は、プルダウンメニュー42、43と、AND選択部44、OR選択部45と、作業領域部46とから構成される。
【0104】
プルダウンメニュー42では、定義対象の事象オブジェクト名称が選択される。なお、新規の事象オブジェクトが定義される場合には、オペレータ2によって新規の名称が入力される。
【0105】
プルダウンメニュー43では、機器とその状態が選択される。
【0106】
オペレータ2は、AND選択部44、OR選択部45により、選択された要素を「AND」で組み合わせるか、あるいは「OR」で組み合わせるかを指定する。
【0107】
作業領域部46では、プルダウンメニュー43で選択された要素が、指定された「AND」「OR」を介して組み合されて事象オブジェクトが作成される。
【0108】
例えば、サブウィンドゥ47上に表示される「受水(不可)オブジェクト」は、受水弁重故障または吸込圧力重故障である旨を示す。この場合、オブジェクト変換機能10によって生成される運用情報17は、例えば受水弁重故障又は吸込圧力重故障が発生したか否かを示す情報となる。その他のオブジェクトについても同様である。
【0109】
このように、オブジェクト定義画面41にしたがってオブジェクトを定義することにより、オペレータ2は自己の監視業務に適合した表示内容を利用することができる。
【0110】
(第3の実施の形態)
本実施の形態においては、各オブジェクトの運用情報の表示方法について説明する。
【0111】
図7は、本実施の形態に係る監視システムにおいて表示される要素の例を示す図である。
【0112】
例えば、あるプラントに4台のポンプ48a〜48dが設置されているとする。この場合、4台のポンプ48a〜48dが運転中の場合を100%とし、プラントのポンプ運転状態をその相対量で表示する。
【0113】
このように、それぞれの下位オブジェクトの状態を相対量で表示することで、上位オブジェクトの表示を簡略化できる。
【0114】
オペレータ2は、プラントの運転状態や事象を迅速に理解でき、監視負担を軽減できる。この相対表示は、監視項目を少なくするためのオブジェクト監視で特に有効である。
【0115】
また、プラント毎に求められた相対量を各プラントの健全度として定義してもよく、機器ごとに予め重み係数を割り当てておいてもよい。例えば、全ての機器が異常となった場合を100%、異常のない場合を0%とし、重み係数を考慮して求めた相対量を各プラントの健全度として表示する。
【0116】
(第4の実施の形態)
本実施の形態においては、オブジェクトの階層化について説明する。
【0117】
図8は、本実施の形態に係るオブジェクトの階層関係の一例を示す図である。
【0118】
プラントには機器A1〜A12が備えられている。機器A1〜A3は、統合されて上位の事象オブジェクトB1とされ、一単位で監視可能とする。
【0119】
事象オブジェクトB1の運用レベルは、機器A1〜A3の状態情報から決定される。
【0120】
事象オブジェクトB1〜B4は、統合されて上位の設備オブジェクトC1とされ、一単位で監視可能とする。
【0121】
設備オブジェクトC1の運用レベルは、事象オブジェクトB1〜B4の運用レベルから決定される。
【0122】
設備オブジェクトC1〜C3は、統合されて上位のプラントオブジェクトD1とされ、一単位で監視可能とする。
【0123】
プラントオブジェクトD1の運用レベルは、設備オブジェクトC1〜C4の運用レベルから決定される。
【0124】
なお、他の機器及びオブジェクト間も上記と同様の関係を持つ。
【0125】
これにより、例えばプラントオブジェクトD1の運用レベルから異常を発見したオペレータ2は、このプラントオブジェクトD1の下位の設備オブジェクトC1〜C3の運用レベルに展開し、異常の原因である設備を特定可能である。同様にして、その設備でどのような事象が発生しているかオペレータ2は特定可能であり、さらに機器の状態情報を表示して異常の内容を詳細に検討し、対処することができる。
【0126】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明においては、オペレータのノウハウを監視項目であるオブジェクト表示の条件に含有できるため、オペレータの業務負荷の軽減、運用レベルの均一化、プラント運用状況の迅速な把握が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る監視システムの構成例を示すブロック図。
【図2】同実施の形態に係る監視システムの動作を示すフローチャート。
【図3】同実施の形態に係るオブジェクトの階層関係の一例を示す図。
【図4】オブジェクト監視と機器状態監視の役割の分担を示す図。
【図5】オブジェクト監視の効果の一覧を示す図。
【図6】オブジェクト定義画面とオブジェクトの定義内容の関係を示す図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る監視システムにおいて表示される要素の例を示す図。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るオブジェクトの階層関係の一例を示す図。
【符号の説明】
1…監視システム
2…オペレータ
3…インタフェース装置
4…CRT
6…記録媒体
7…監視プログラム
8…定義機能
9…機器状態取得機能
10…オブジェクト変換機能
11…情報提供機能
12…定義画面情報
14…オブジェクト定義情報
15…運用状態定義情報
17…運用情報
20…画面構成情報
1〜AN…機器
1〜Pn…プラント
1〜B4…事象オブジェクト
1〜C3…設備オブジェクト
1〜D3…プラントオブジェクト

Claims (4)

  1. 少なくとも一つのプラントを監視する監視システムにおいて、
    前記プラントの監視項目を表すオブジェクトを定義するオブジェクト定義情報と、前記オブジェクトを構成する機器の値から前記オブジェクトの状態を判断する基準となる運用状態定義情報とを格納する格納手段と、
    前記プラントに備えられている機器の状態情報と機器IDとを取得する機器状態取得手段と、
    前記オブジェクト定義情報と前記運用状態定義情報とに基づいて、前記機器状態取得手段によって取得された状態情報を組み合わせて前記プラントの監視項目を表すオブジェクトの状態を求めるオブジェクト変換手段と、
    前記オブジェクト変換手段によって求められたオブジェクトの状態をオペレータに提供するとともに、前記機器状態取得手段によって取得された状態情報が故障情報の場合に、この故障情報を提供する情報提供手段と
    を具備し
    前記オブジェクト変換手段は、複数の下位オブジェクトを組み合わせて上位オブジェクトとするオブジェクトの階層構造を実現し、前記プラントの冗長性と可用性の少なくとも一方にしたがって定まる緊急度を表す運用レベルを、前記階層構造を構成する各オブジェクトについて求め、
    前記情報提供手段は、前記オペレータによって選択された任意のオブジェクトの状態を提供し、前記オブジェクトの前記運用レベルを表す
    ことを特徴とする監視システム。
  2. 請求項1記載の監視システムにおいて、
    前記オブジェクト変換手段は、前記複数の下位オブジェクトの運用レベルから緊急度の高い運用レベルを選択し、前記上位オブジェクトの運用レベルとすることを特徴とする監視システム。
  3. コンピュータに、
    前記プラントの監視項目を表すオブジェクトを定義するオブジェクト定義情報と、前記オブジェクトを構成する機器の値から前記オブジェクトの状態を判断する基準となる運用状態定義情報とを格納手段に格納する機能と、
    前記プラントに備えられている機器の状態情報と機器IDとを取得する機器状態取得機能と、
    前記オブジェクト定義情報と前記運用状態定義情報とに基づいて、前記機器状態取得機能によって取得された状態情報を組み合わせて前記プラントの監視項目を表すオブジェクトの状態を求めるオブジェクト変換機能と、
    前記オブジェクト変換機能によって求められたオブジェクトの状態をオペレータに提供するとともに、前記機器状態取得手段によって取得された状態情報が故障情報の場合に、この故障情報を提供する情報提供機能と
    を実現させるための監視プログラムであり、
    前記オブジェクト変換機能は、複数の下位オブジェクトを組み合わせて上位オブジェクトとするオブジェクトの階層構造を実現し、前記プラントの冗長性と可用性の少なくとも一方にしたがって定まる緊急度を表す運用レベルを、前記階層構造を構成する各オブジェクトについて求め、
    前記情報提供機能は、前記オペレータによって選択された任意のオブジェクトの状態を提供し、前記オブジェクトの前記運用レベルを表す
    ことを特徴とする監視プログラム。
  4. 請求項3記載の監視プログラムにおいて、
    前記オブジェクト変換機能は、前記複数の下位オブジェクトの運用レベルから緊急度の高い運用レベルを選択し、前記上位オブジェクトの運用レベルとすることを特徴とする監視プログラム
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