JP3847414B2 - 電気泳動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動を利用して液体試料の分析、及び液体試料中の特定の成分の分離、分取等に用いることができる電気泳動装置、特に小型電気泳動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気泳動は液体試料の分析、及び液体試料中の特定の成分の分離に用いられるが、近年キャピラリ電気泳動がその分離能力の高さから注目を集めている。キャピラリ電気泳動装置は、キャピラリと高電圧装置と光学的検出系等の検出器とから構成することができる。キャピラリは本電気泳動装置の心臓部であり、一般に溶融石英ガラスを中空円筒状に細長く引き延ばし、更に、その周囲をポリイミド樹脂でコーティングすることによって補強したものが用いられる。この方法の特徴は直径が150μ以下の細管の中で分析が行われるため、体積に比較して界面の影響の強い場での分析である。これにより、キャピラリ電気泳動は界面での電気浸透流を有効に利用した分析と言われている。
【0003】
また、近年マイクロマシン技術の発達により、シリコン基板やガラス基板にリソグラフィー技術を用いて溝を形成して構成したキャピラリを用い、そこで電気泳動を行うことも試みられるようになっている。この技術を用いることにより自由な形状のキャピラリを形成することができ、その応用範囲が拡大することが期待されている。
【0004】
一方、電気泳動を利用した試料の前処理システムにも、マイクロマシン技術の応用が試みられるようになってきた。特開平5−80032号公報にはフリーフロー電気泳動を応用した試料の前処理システムが開示されている。
【0005】
上記前処理システムで用いられる装置は、シリコン板にエッチングあるいは機械加工によって泳動室となる凹部を設け、この泳動室に緩衝液を連続的に一定方向に流し流路とする。この泳動室内には緩衝液の流れる方向と直角に電界を印加する1対の電極が配置されている。緩衝液が流れている流路中に試料溶液を滴下すると試料溶液は緩衝液によって運ばれて行くが、電極に電圧を印加することによって緩衝液の流れと直角方向に電界が形成され、試料中の電荷を帯びた成分がその電荷量および分子の大きさに応じて移動することによって電気泳動が行われ、試料溶液中の特定の成分が分離される。
【0006】
泳動が終了する泳動室の緩衝液の流路下流端を細分化することによって、試料溶液中の分離された成分の中から特定の成分を取り出すことができ、試料溶液の前処理を行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
フリーフロー電気泳動装置では扁平な空隙を泳動室として、緩衝液導入口から緩衝液を導入し、泳動室内に緩衝液を層流として流す。試料溶液は泳動室内の緩衝液が層流となった部分に微量かつ連続的に導入される。泳動室内の緩衝液の層流は安定しているとともに泳動室内に試料を導入した時の自然拡散は少なく、電界を印加したときに電気泳動によって試料が分離されるような状態が最も望ましい。
【0008】
そこで請求項1から12に記載の発明は、泳動室内の緩衝液の流れを層流に保つとともに試料の自然拡散を抑えることができ、安定して試料中の特定成分を分取することのできる電気泳動装置を提供することを目的としたものである。
【0009】
また、最近マイクロマシン技術が発達してきたとはいえ、小型のフリーフロー電気泳動装置に用いられる泳動室の形成に必要な微細加工技術は主にシリコンに対してのもので、石英やパイレックスなどのガラス板については十分な微細加工技術が確立されているとはいえない。ガラス板は絶縁性に優れており、泳動室内に電界を印加した場合に泳動室を形成するガラス板を通して電流がリークしない利点があるが、ガラス板を加工して小型のフリーフロー電気泳動装置の泳動室に必要な微細な形状を形成するのは困難である。また泳動室を形成する各部材間の接合についても、シリコンとパイレックスガラス間では陽極接合を用いることによって、強固に且つ精密に接合を行うことができるが、ガラス同士を精密に接合するのは非常に困難である。従って、シリコンに微細加工を行い、このシリコンにパイレックスガラスを陽極接合することによって微細な構造をもつ泳動室を形成することが考えられる。
【0010】
しかし、シリコン板を用いて泳動室を形成した場合、電気泳動を行う際に問題があることが明らかになってきた。すなわち、電気泳動をおこなう際には泳動室内の電極間に数十〜数百V/cmの電圧を印加するが、シリコン板の絶縁性が十分でない為に、泳動室内の緩衝液を通してではなくシリコン板内を電流が流れてしまい、電気泳動が十分に行えないという問題があった。シリコン板に形成した泳動室内の絶縁性を高めるために、シリコン板の表面をシリコン酸化膜で覆うことが行われていたが、シリコン酸化膜では十分な絶縁性が得られなかった。
【0011】
そこで請求項13に記載の発明は、シリコン板を用いて泳動室を形成してもシリコン板内を電流が流れにくく、泳動室内に電気泳動に必要な泳動電流を流すことができる電気泳動装置を提供することを目的としたものである。
【0012】
さらに、泳動室内では第1および第2の電極において気泡が発生するという問題が有る。
【0013】
そこで、請求項14に記載の発明は、泳動室内で発生する気泡を泳動室外へ除去することができる電気泳動装置を提供することを目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、緩衝液を一定の方向に流すための扁平な空隙を流路とする泳動室と、この泳動室の流路上流に設けられた緩衝液導入口と、前記泳動室に試料を注入するための試料導入口と、前記泳動室の流路下流に設けられた緩衝液排出口と、この緩衝液排出口の一部に設けられた試料の特定成分を取り出すための試料分取口と、前記泳動室内に互いに離間して設けられ、前記泳動室内の緩衝液に電界を印加するための第1の電極と第2の電極とを有し、前記泳動室内に緩衝液を流動させ試料中の特定の成分を電気泳動により分離する電気泳動装置において、前記泳動室は、その上下を第1および第2のガラス板、その周囲を前記第1および第2のガラス板に挟持されたシリコン板により隔てられた空隙として形成され、前記泳動室内の前記第1のガラス板上に、緩衝液の流れる方向に沿って前記第2のガラス板との間に空隙を有する細長い棒状の案内部材を設けたことを特徴とする。
【0015】
このように泳動室内に案内部材を設けることによって、泳動室内の緩衝液の流れは案内部材に沿った方向に規制され、緩衝液の層流が安定すると共に試料の自然拡散が抑えられる。また、案内部材と対向しているガラス板間には空隙があるので、この部分を通じて、試料中の電荷を帯びた成分が移動することができる。このような案内部材に沿った緩衝液の流れに試料を導入し電気泳動をおこなえば、試料の拡散が抑えられ精密な分離をおこなうことが可能となる。さらに案内部材を複数並列に設けるようにすれば、泳動室内の緩衝液の流れをより乱れの少ない層流とすることができるので、より効率の高い分離を行うことができる。
【0016】
更に、請求項2に記載に記載の発明は、請求項1に記載の電気泳動装置において、前記案内部材は、前記第2のガラス板と対向する部分に前記第2のガラス板に当接する突起を有することを特徴とする。
【0017】
このように案内部材に突起を設け第2のガラス板に当接することによって、泳動室を形成する第1と第2のガラス板の間隔を一定に保持することができる。ガラス板やシリコン板の平坦性や加工精度の影響を受けることなく泳動室の厚みが一定に保たれるため、緩衝液の層流が安定しより精密な分離を行うことができる。また、突起を設けることで案内部材と対向する第2のガラス板の間隔を極めて小さく保持することが可能となり、案内部材と直交する方向の試料の自然拡散を抑えることができるので、効率の高い分離が可能となる。
【0018】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電気泳動装置において、前記案内部材は前記シリコン板と同じ材質からなることを特徴とする。シリコン板は微細加工が容易であり、また泳動室の外枠を形作るシリコン板のパターンブロックと同時に形状を加工することが出来るので、案内部材の形成を容易に行うことができる。
【0019】
更に、請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の電気泳動装置において、前記試料導入口は、前記泳動室内の前記案内部材が設けられた流路領域の上流側領域に、前記第1または第2のガラス板を貫通して設けられていることを特徴とする。
【0020】
このような位置に試料導入口を設けることで、泳動室内の案内部材の設けられた領域では案内部材のない部分と比較して緩衝液の流れがより安定した層流となっているので、泳動室内での試料の拡散を抑えることができ、より正確な分離ができる。
【0021】
更に、請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3または4に記載の電気泳動装置において、前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記第1および第2のガラス板と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材と一体に成形された隔壁により形成されていることを特徴とする。
【0022】
このように試料分取口の隔壁と案内部材の隔壁を一体に形成することで、案内部材間を流れてきた緩衝液は隔壁間の試料分取口に流れ込む。したがって、試料分取口の隔壁によっておこる緩衝液の流れの乱れを抑えることができ、電気泳動によって分離された試料を精密に分取することができる。
【0023】
更に、請求項6記載の発明は、請求項1、2、3または4に記載の電気泳動装置において、前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記第1および第2のガラス板と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材の下流側の端部に対向して流路方向延長線上に配置された隔壁により形成されていることを特徴とする。
【0024】
このように案内部材と隔壁を配置すると、案内部材の下流側端部と隔壁の上流側端部とが対向しているので、案内部材間を流れてきた緩衝液は流れの方向が変化することなく試料分取口に流れ込む。したがって、電気泳動によって分離された試料が混合してしまうことなく、精密に分取することができる。
【0025】
更に、請求項7に記載の発明は、緩衝液を一定の方向に流すための扁平な空隙を流路とする泳動室と、この泳動室の流路上流に設けられた緩衝液導入口と、前記泳動室に試料を注入するための試料導入口と、前記泳動室の流路下流に設けられた緩衝液排出口と、この緩衝液排出口の一部に設けられた試料の特定成分を取り出すための試料分取口と、前記泳動室内に互いに離間して設けられ、前記泳動室内の緩衝液に電界を印加するための第1の電極と第2の電極とを有し、前記泳動室内に緩衝液を流動させ試料中の特定の成分を電気泳動により分離する電気泳動装置において、前記泳動室は、凹部を上面に有する板状の本体と、少なくとも前記本体上面の前記凹部を覆う蓋とから形成され、前記泳動室内の緩衝液の流れる方向に沿って前記凹部の流床と前記蓋との間に空隙を有する棒状の案内部材を、前記流床または前記蓋に設けたことを特徴とする。
【0026】
このように泳動室内に案内部材を設けることによって、泳動室内の緩衝液の流れは案内部材に沿った方向に規制され、緩衝液の層流が安定すると共に試料の自然拡散が抑えられる。また、案内部材と対向している蓋間には空隙があるので、この部分を通じて、試料中の電荷を帯びた成分が移動することができる。このような案内部材に沿った緩衝液の流れに試料を導入し電気泳動をおこなえば、試料の拡散が抑えられ精密な分離をおこなうことが可能となる。さらに案内部材を複数並列に設けるようにすれば、泳動室内の緩衝液の流れをより乱れの少ない層流とすることができるので、より効率の高い分離を行うことができる。
【0027】
更に、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電気泳動装置において、前記案内部材の前記蓋または前記流床の底部と対向する部分に設けた突起によって前記蓋または前記流床を支持することを特徴とする。
【0028】
このように案内部材に突起を設けて蓋を支持することによって、泳動室を形成する蓋と流床の底部の間隔を一定に保持することができる。蓋や流床を設けた板の平坦性や加工精度の影響を受けることなく泳動室の厚みが一定に保たれているため、緩衝液の層流が安定し、より精密な分離を行うことができる。また、突起を設けることで案内部材と対向する蓋との間隔を極めて小さく保持することが可能となり、案内部材と直交する方向の試料の拡散を抑えることができるので、効率の高い分離が可能となる。
【0029】
更に、請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の電気泳動装置において、前記本体はシリコン板であり、前記流床と前記案内部材は前記シリコン板を加工して形成されており、前記蓋はガラス板であることを特徴とする。
【0030】
案内部材を形成するためには多数の微細加工をおこなう必要があるが、シリコン板は微細加工が容易であり、またシリコン板に流床となる凹部を形成するのと同時に形状を加工することが出来るので、案内部材の加工を容易に行うことができる。また、蓋がガラス板であると、陽極接合を用いることで精密且つ強固にシリコン板と蓋を接合することができる。
【0031】
更に、請求項10記載の発明は、請求項7、8または9に記載の電気泳動装置において、前記試料導入口は、前記泳動室内の前記案内部材が存在している流路領域の上流側領域に、前記蓋または前記本体を貫通して設けられていることを特徴とする。
【0032】
泳動室内の案内部材の設けられた領域では、案内部材によって緩衝液の流れが規制され案内部材のない部分と比較して緩衝液の流れがより安定した層流となっている。安定した層流となった部分に試料を導入することで、泳動室内での試料の自然拡散を抑えることができ、より正確な分離ができる。
【0033】
更に、請求項11に記載の発明は、請求項7、8、9または10に記載の電気泳動装置において、前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記蓋および前記流床と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材と一体に成形された隔壁により形成されていることを特徴とする。
【0034】
このように試料分取口の隔壁と案内部材の隔壁を一体に形成することで、案内部材間を流れてきた緩衝液が隔壁間の試料分取口に流れが変わること無く流れ込む。したがって、試料分取口の隔壁によっておこる緩衝液の流れの乱れを抑えることができ、電気泳動によって分離された試料を精密に分取することができる。
【0035】
更に、請求項12に記載の発明は、請求項7、8、9または10に記載の電気泳動装置において、前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記蓋および前記流床と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材の下流側端部に対向して流路方向延長線上に配置された隔壁により形成されていることを特徴とする。
【0036】
案内部材の下流側端部と隔壁の上流側端部と対向しているので、案内部材間を流れてきた緩衝液は流れの方向が変化することなく試料分取口に流れ込む。したがって、電気泳動によって分離された試料が混合してしまうことなく、精密に分取することができる。
【0037】
更に、請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の電気泳動装置において、前記泳動室の前記シリコン板は複数のパターンブロックからなり、前記パターンブロックは、第1の電極に近接しているパターンブロック同士が電気的に導通しないように互いに離間して配置されていることを特徴とする。
【0038】
このようにして泳動室を形成すると、シリコン板はパターンブロックに分割されており、かつシリコン板は絶縁性のガラス板によって上下を挟まれているためにブロック間での電流のリークが起こりにくい。また第1の電極に近接したパターンブロックと第2の電極に近接したパターンブロックとが電気的に導通しないように配置されているので、電極間に高電圧を印加してもシリコン板のパターンブロックを通って電流が流れにくく、ほとんどの電流が泳動室内の緩衝液を通って流れるために効率よく電気泳動が行われる。
【0039】
更に、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の電気泳動装置において、前記パターンブロックには、前記第1および第2の電極で発生する気泡を除去する分割流路が設けられていることを特徴とする。
【0040】
このように、パターンブロックに設けられた分割流路を通じて気泡を除去することができる。
【0041】
この分割流路は、パターンブロック同士が離間することで形成される流路である。
【0042】
なお、分割流路は、気泡を除去する目的で使用しない場合には、接着剤等でふさぐべきである。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
図1、図2、図3及び図4は本発明の電気泳動装置の第1の実施の形態を示したものである。図1は本実施の形態の電気泳動装置の上面図である。図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は図1のC−C線断面図をそれぞれ示している。
【0044】
本実施の形態の電気泳動装置はシリコン板1を下ガラス板2と上ガラス板3で挟んだ構造となっており、このシリコン板1を後述する方法により加工してシリコン板1内部に形成される空隙が泳動室4となっている。泳動室4の両端部には泳動室の内部に緩衝液を導入するための緩衝液導入口5と、泳動室4外に緩衝液を排出する緩衝液排出口6がそれぞれ設けられている。緩衝液の流れは図1の矢印に示すように図1の上部の緩衝液導入口5から下部の緩衝液排出口6の方向に流れる。
【0045】
以下緩衝液の流れる方向にそって本実施の形態を説明する。本実施の形態の電気泳動装置では緩衝液導入口5から緩衝液の流路が始まり、流路の幅は扇状に次第に広くなり等幅の流路となる。この等幅となった流路の部分の緩衝液に電圧を印加し電気泳動を行う泳動室とする。泳動室の両側部には緩衝液の流れる方向に沿って一対の電極7a、7bが設けられている。電極7a、7bは緩衝液の流れる方向と平行に設けるのが好ましい。図3に示すように電極7a、7bは上ガラス板3を貫通した電極端子8a、8bによって泳動室の外部に設けられた電源9に接続され、電極7a、7bに電圧が印加される。
【0046】
泳動室4の内部には案内部材10a、10b、・・・10jが下ガラス板2上に設けられている。この案内部材10a、10b、・・・10jは緩衝液の流れる方向と平行に設けられた細長い棒状のシリコンからなっており、シリコン板1a、1bと同じ材質で後述する方法により形成される。案内部材10a、10b、・・・10jと上ガラス板3との間には空隙があり、緩衝液が流れるようになっている。
【0047】
泳動室4内の案内部材10a、10b、・・・10jの設けられた領域の緩衝液の流路上流側に上ガラス板3を貫通した試料導入口11が設けられている。案内部材10a、10b、・・・10jの流路下流側端部はそれぞれ緩衝液排出口6に設けられた隔壁12a、12b、・・・12jに接続されている。図4に示すように隔壁12a、12b・・・12jは下ガラス板2と上ガラス板2にそれぞれ下端と上端が接しており、緩衝液排出口6を複数の流路に分割し、この隔壁12a、12b、同様に12jの間が試料分取口13a、13b、・・・となっている。この隔壁12a、も案内部材10と同様に細長い棒状のシリコンからなっており、シリコン板1と同じ材質で後述する方法により形成される。 次に本実施の形態の電気泳動装置の作用について説明する。本装置においては緩衝液が緩衝液導入口5から連続して導入される。緩衝液の流路の幅が一定となった泳動室4の部分には案内部材10a、10b、・・・10jが設けられており、この領域上の上ガラス基板3に設けた試料導入口11から試料を泳動室4内に連続的に導入する。電極7a、7bに電圧を印加することにより泳動室4内に電界が形成される。試料導入口11から導入された試料は緩衝液の流れに従って緩衝液排出口6に向かって流れて行くが、流れの方向とほぼ直角に電界が形成されているため、試料中の成分はその電荷量と粒子の大きさによって異なる速度で泳動され、成分が分離される。分離された各成分は試料分取口13a、13b、・・・13kに流れ込むため、試料中の特定の成分を分取することができる。
【0048】
泳動室4内に設けられた案内部材10a、10b、・・・10jは泳動室4内の緩衝液の流れの乱れを押さえ、層流を保つ働きを持っている。従って電気泳動によって分離された試料成分が、緩衝液の乱流によって乱されることが無く、精密な分離を行うことが出来る。また、泳動室4内に導入された試料は試料導入口11から試料分取口13a、13b、・・・13kにまで流れて行く間に自然拡散するが、電気泳動によって精密に分取を行うには自然拡散を出来るだけ抑える必要がある。案内部材10a、10b、・・・10jは緩衝液の流れる方向に沿って設けられており、案内部材10a、10b、・・・10jの上部と上ガラス板3との間は泳動室の厚みより小さく1μm〜数十μm程度である。電気泳動によって電荷を帯びた粒子は、案内部材10a、10b、・・・10jと上ガラス板3の間の空隙を通って移動するが、案内部材10a、10b、・・・10jの上部と上ガラス板3との間隔は泳動室4の厚さよりも小さいため、試料の緩衝液の流れと直角方向の自然拡散が抑えられる。従って、試料の自然拡散を抑えた状態で、より精密に試料の分離をおこなうことができる。また、案内部材10a、10b、・・・10jと隔壁12a、12b、・・・12jは接続して形成されているので、試料分取口13a、13b、・・・13kで起こる隔壁14による緩衝液の流れの乱れを抑えることができ、より精密な分取が可能となる。
【0049】
本実施の形態では隔壁12a、12b、・・・12jと案内部材10a、10b・・・10jを同数としているが、必ずしも同数である必要はなく、隔壁12a、12b・・・12jと案内部材10a、10b・・・10jのどちらかを間引いても同様な効果が得られる。また本実施の形態では隔壁12a、12b・・・12jと案内部材10a、10b・・・10jが一体に形成されているが、案内部材の流路下流端と隔壁の流路上流端が微小な間隔で対向するように配置しても良い。
【0050】
本実施の形態の電気泳動装置においてシリコン板1の形成方法は種々考えられる。たとえばパイレックスガラス板にシリコンウエハーを陽極接合し、シリコンウエハーを研磨することによって所定の厚さのシリコン板1を得ることができる。またパイレックスガラス板にLPCVDやプラズマCVDなどの装置を用いてポリシリコンやアモルファスシリコンを積層してシリコン板1とすることもできる。近年ではCVD装置の改良が進み比較的高速に成膜することができるようになっており、シリコン層を10〜数十μmの厚さに成膜することも可能となってきている。このようにして下ガラス板2上に形成されたシリコン板1に泳動室4となる空隙や案内部材10a、10b・・・10jを形成するためにエッチングをおこなう。シリコン板1のエッチングの方法としては等方性、異方性のウエットエッチングやICP型RIEを用いたドライエッチングなどの加工方法が適用可能である。案内部材10a、10b・・・10jはシリコン以外の材料から形成してもよいが、シリコンは微細加工に適しており、またこのように泳動室4の形成と同時に案内部材10a、10b・・・10jの形成を行うことで製造工程を簡略化することでできる。
【0051】
シリコン板1のエッチング加工が終了した後、エッチングに使用したマスクパターンを除去してシリコン表面に絶縁層として酸化膜を形成し、その後、シリコン板1上に上ガラス板3を陽極接合によって接合する。一般に陽極接合は、接合するシリコン板とガラス板を400〜500℃に加熱して、800〜1000Vの電圧を印加して接合を行うので、下ガラス板2と上ガラス板3にはほぼ同じ熱膨張率をもつガラス板を選ぶ必要がある。従って、下ガラス板2にパイレックスガラスを用いる場合には、上ガラス板3にもパイレックガラスを用いると良い。ガラス板にはアルカリ金属を含有するガラスであれば、パイレックスガラス以外でも陽極接合は可能である。またアルカリ金属を含まないガラス板を使用する場合には、シリコン板にガラス板を直接陽極接合することが出来ないので、パイレックスガラス等のアルカリ金属を含む薄膜をシリコン板と対向する接合表面に形成してから陽極接合する必要がある。
【0052】
また、シリコンウエハーも結晶方位、不純物の種類や濃度等で限定されることはなく、あらゆる種類のウエハーを用いることができる。ポリシリコンやアモルファスシリコンは不純物をドープして抵抗を下げて用いても良いが、ドープせずに高抵抗のまま用いても陽極接合が可能である。さらに、シリコン表面の絶縁膜として酸化膜を用いているが、この限りでなく窒化シリコン、アルミナ、五酸化タンタル等の絶縁膜も利用できるが、絶縁膜の膜厚を厚くすると陽極接合が困難になる。また、ポリシリコンやアモルファスシリコンは絶縁性が高いので絶縁膜を用いずにそのまま流路を形成することも可能である。
【0053】
なお本実施の形態の各構成は、当然すでに触れてきた事項を含めて各種の変形、変更が可能である。
次に第1の実施の形態の第1の変形例について図5および図6を用いて説明する。この変形例の電気泳動装置の基本的な構造は第1の実施の形態と同じである。図5は図1のC−C断面図であり、図6は図5のA部分を拡大したものである。本変形例においては案内部材11の上ガラス板3と対向する部分に高さが1μm〜数十μm程度の微小突起14a、14b、・・・14fが設けられている。
【0054】
泳動室4内の緩衝液の流れを層流に保つためには泳動室4の厚みを一定に保持する必要がある。しかし、一般に最も平坦性の良いガラス板でも数μm程度のそりを残しており、完全に平坦なガラス板を下ガラス板2または上ガラス板3として用いるのは困難である。従ってガラス板のそりによって、泳動室の厚さが部分的に変動してしまい緩衝液の層流が乱されるという問題がある。しかし、このように案内部材10a、10b、・・・10jの上ガラス板3と対向する部分に微小突起14a、14b、・・・14fを設け、この上端部のみを上ガラス板3と接合することによって、下ガラス板2と上ガラス板3の間隔を一定に保つことができ、泳動室内の緩衝液の流れが安定した層流となり、精密な分離が可能となる。
【0055】
また、案内部材10a〜jの上部と上ガラス板3との間隔が微小突起14a、14b、・・・14fによって正確に保持されるために、緩衝液の流れと直角方向の試料の自然拡散が抑えられ、より精密な分取が可能となる。
【0056】
次に第1の実施の形態の第2の変形例について図7を用いて説明する。この変形例の電気泳動装置の基本的な構造は第1の実施の形態と同じであり、上面から見た構造は図1に示した構造とほぼ同様である。図7は図1のA−A断面を示したもので、第1の実施の形態の下ガラス板2とシリコン板1が、シリコン基板15に置き換えられている。第1の実施の形態では下ガラス板2上にシリコン板1を形成して、このシリコン板1を微細加工して泳動室4や案内部材10a〜jを形成していた。この変形例ではシリコン基板15に直接エッチングなどの加工を行い、シリコン基板17の上面に凹部を設けると同時に案内部材10a、10b、・・・10jを成形する。エッチング等の加工を行ったのちシリコン基板15の上面に蓋となる上ガラス板3を接合して泳動室4を形成する。
【0057】
次に本発明の電気泳動装置の第2の実施の形態について図8および図9を用いて説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0058】
図8は図1に示した電気泳動装置の電極端子8a、8bの近傍を拡大して上方から見た図、図9は図8のA−A線断面図である。上ガラス板3には貫通孔16があけられている。貫通孔16の加工方法としては超音波による加工やエキシマレーザ等のレーザによる加工が利用できる。この加工した上ガラス板3を平坦な他の基板の上に置き導電性接着剤17を貫通孔16の中に充填する。平坦な他の基板としてはテフロンやポリエチレン等、導電性接着剤に対して接着性のないものを用いる。導電性接着剤17としてはエポキシ樹脂に銀やカーボンの微粉末を混入して導電性を持たせものが市販されているのでそれを利用することができる。接着剤を硬化させた後、導電性接着剤17の平坦な端面18に電気泳動用の電極7a、7b を形成する。電極の材料としては白金が一般的であるが、白金は基板に対する密着性が乏しいため白金と上ガラス板3の間にクロムやチタンの薄膜を形成した後に白金薄膜を形成する。クロムやチタンは蒸着またはスパッタで形成できるが、白金は融点が高いのでスパッタで形成する。また、電極のパターニング方法はリフトオフ法やイオンミリングによるエッチングなどの方法が適用できる。
【0059】
このようにして形成された電極7a、7bは薄膜であるが、平面的に形成されているためマイグレーションも生じにくく断線の可能性を格段に減少させることができる。また、導電性接着剤17を覆うように電極が形成されるため電圧印加時に導電性接着剤に含まれる不純物が流出することもなく、安定した泳動が期待できる。
【0060】
電極7a,7bとは反対側の導電性接着剤17の端面からは直接リード線を接着して電源に導いても良いが、上で述べた方法と同様に接着剤の硬化時に、平坦なテフロン基板を乗せて端面を平坦にしてから、蒸着等により電極からの引出線を形成して電気泳動装置の端部まで引き出し、そこから電源に導いても良い。この引出線は導電性を持つものであれば良く、材質を限定するものではない。また、電気泳動用の電極として白金を示したが、化学的に安定な材料例えば金等も同様に用いることができる。導電性接着剤はガラス基板に接着性のあるものが望ましいが、樹脂の材質をエポキシに限定するものではなく、また導電性の微粉末も銀やカーボンに限定するものでもない。電気泳動用の電極も2層構造で述べたが、1層または多層構造でも可能である。同様に蒸着等で形成された電極からの引出線も1層でも多層でも良い。
【0061】
次に本発明の電気泳動装置の第3の実施の形態について、図10を用いて説明する。本実施の形態の電気泳動装置の構造は第1の実施の形態と基本的に同じであるが、シリコン板1が複数のパターンブロック1a、1b、・・・1fに分割されている点が異なっている。よって、本実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0062】
本実施の形態ではシリコン板1をエッチングによって加工するときに、マスクパターンをパターンブロック状に分割しておく。このパターンを下ガラス板2が露出するまでエッチングすることによって、シリコン板1a、1b、・・・1fの各パターンブロック間が電気的に絶縁される。電極7a、7bにそれぞれ近接しているシリコン板1b、1eは互いに電気的に絶縁されており、上下を絶縁性の高いガラス板によって挟まれているので、シリコン板1a、1b、・・・1fを通っての電極7a,7b間の電流のリークが生じにくくなる。すなわち電極7a、7b間に電圧を印加すると、泳動室4内を流れる緩衝液を通ってのみ電流が流れる為に良好な電気泳動が行えるようになる。
【0063】
シリコン板1a、1b・・・1fの間に設けられた分割流路19a、19b、19c、19d、19eの内で、泳動室4への緩衝液の出入りに利用されないものは接着剤等でふさぐ必要があるが、19cは緩衝液の導入口として、また分割流路19a、19b、19d、19eは電極7a、7bで発生する気泡を取り除くのに使用することができる。
【0064】
次に本発明の電気泳動装置の第4の実施の形態を図11、図12及び図13を用いて説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0065】
図11はシリコンにパターンブロックが形成されている様子を上面から見た図である。本図においては泳動室4を形成するパターンブロック状のシリコン板1a、1b、1c、1d、1e、1fおよび隔壁12a、12b、・・・12jの外側に周囲を囲うようにシリコン板1gが形成されている。このシリコン板1gと各々のパターンブロック状のシリコン板1a、1b、1c、1d、1e、1fおよび隔壁12a、12b、・・・12jを結ぶように連結部20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h ・ ・が形成され、このことにより全てのパターンブロック状のシリコン板1a、1b、1c、1d、1e、1fおよび隔壁12a、12b、・・・12jが連結されている。これらのパターンブロック状のシリコン板1a、1b、1c、1d、1e、1f、隔壁12a12b、・・・12j、シリコン板1gおよび連結部20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h 、・・・の形成方法は、第1の実施の形態で述べた方法がそのまま適用でき、単にエッチングのためのマスクを変更すればよい。
【0066】
図12は図11のA−A線断面図を示したもので、シリコン板1をパターンブロック状にエッチング加工後、シリコン板1の一端と上ガラス板3の上部との間に電圧を印加し、陽極接合を行ったものである。この後、図13に示すように連結部20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h 、・・・をダイシングソー等で切断することにより、電気的に絶縁されたパターンブロック状のシリコン板1a、1b,1c,1d,1fおよび隔壁12a,12b、・・・12jが形成される。
【0067】
次に図14を用いて、第4の実施の形態の電気泳動装置の製造工程を順を追って説明する。図14は本実施の形態の電気泳動装置のA−A線断面図を示したものである。
【0068】
まず、図14(a)に示すように下ガラス板2にシリコン板1を積層し、シリコン板1の表面にシリコン酸化膜21を形成する。このシリコン酸化膜21はシリコン板1を酸化してもよいしCVD装置を用いて積層しても良い。次に図14(b)に示すように酸化膜21上にさらにフォトレジスト膜22を形成し、通常のリソグラフィ技術でフォトレジスト膜22をパターニングする。
ついで図14(c)に示すようにフォトレジスト膜22をマスクにシリコン酸化膜をエッチングする。図14(d)はフォトレジスト膜22を除去後、ICP型RIEエッチング装置でシリコン1板をエッチングする工程である。このエッチング方法を用いた場合シリコン酸化膜21とシリコン板1のエッチング比は100:1なので1μmのシリコン酸化膜21を用いれば100μmのシリコン板をエッチングすることができる。
【0069】
図14(e)では表面のシリコン酸化膜21を除去し、次に図14(f)では陽極接合によりシリコン板1上に上ガラス板3を接合した図を示している。最後に図14(g)では切断によりシリコンの連結部20を切り離す工程を示している。
【0070】
図14に示した一連の製作法はそれに限定されるものではなく、様々な方法を用いることができる。例えば、図14(d)に示したシリコン板1のエッチング時にフォトレジスト膜22を残しておき、エッチング後にフォトレジスト膜22を除去しても良い。また、シリコン板1の除去方法もICP型RIEエッチング装置に限定することはなく、フッ酸と硝酸の混合液を用いたウエットエッチングも可能である。さらにシリコン酸化膜21を除去しないで陽極接合することも可能である。
【0071】
このような方法を取ることにより一度の陽極接合操作でパターンブロック状のシリコン板との接合ができるので、製作プロセスを簡略化することができる。また、隔壁12a、12b、・・・・12jのように微細に加工された部分に陽極接合用電極を接触させて陽極接合を行うには、接合用の電極を精密に制御して接触させる必要があるが、本方法を採用することにより容易に接合を行うことができる。
【0072】
本実施の形態において、パターンブロック状シリコン板1a、1b、1c,1d、1e、1fおよび隔壁14a,14b・・・14jの外側に周囲を囲うようにシリコン板1gが形成されているが、その形状は限定されるものではない。パターンブロック状のシリコン板1a、1b、1c、1d、1e、1fおよび隔壁12a、12b・・・12jが連結され、上で述べたように陽極接合後の切断によりパターンブロック状のシリコン板1a、1b、1c、1d、1e、1fおよび隔壁12a、12b、・・・12jが分離できれば、いかような形状でも良い。
【0073】
また、本実施の形態では、連結部20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、 ・ ・を下ガラス板2および上ガラス板3ごと切断した例を示したが、接合後に上ガラス板3からはみ出したシリコン板1および連結部20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、 ・・・の一部または全部をエッチングにより除去をしてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、第1のガラス板と第2のガラス板と、第1および第2のガラス板によって挟持されたシリコン板によって枠づけられた泳動室の、第1のガラス板上に緩衝液の流れる方向に沿って細長い棒状の案内部材を設け、この案内部材と第2のガラス基板との間に空隙を有するように配置することによって、泳動室内の緩衝液の流れを層流に保つとともに試料の自然拡散を抑えことができ、安定して試料中の特定成分を分取することができる。
【0075】
また、請求項7に記載の発明においても、凹部からなる流床とその周囲を覆う蓋によって形成される泳動室内の緩衝液の流れを層流に保つつとともに試料の自然拡散を抑えることができ、安定して試料中の特定成分を分取することができる。
【0076】
また、請求項13に記載の発明によれば、上記の請求項1による発明の効果の加えて、第1の電極に近接するパターンブロックと第2の電極に近接するパターンブロックが互いに電気的に導通しないように離間しているので、シリコン板を用いて泳動室を形成してもシリコン板内を電流が流れ難く、泳動室内を流れる緩衝液のみを通って電流が流れる為に良好な電気泳動が行える。
【0077】
更に、請求項14に記載の発明によれば、パターンブロック化により形成される分割流路を利用して、第1の電極および第2の電極から生じる気泡を取り除くことができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電気泳動装置の上面図である。
【図2】図1に示した第1の実施の形態におけるA−A断面図である。
【図3】図1に示した第1の実施の形態におけるB−B断面図である。
【図4】図1に示した第1の実施の形態におけるC−C断面図である。
【図5】第1の実施の形態の第1の変形例のC−C断面図である。
【図6】第1の実施の形態の第1の変形例のC−C断面拡大図である。
【図7】第1の実施の形態の第2の変形例のA−A断面拡大図である。
【図8】第2の実施の形態の電極端子の上面拡大図である。
【図9】第2の実施の形態の電極端子の断面拡大図である。
【図10】第3の実施の形態による電気泳動装置の上面図である。
【図11】第4の実施の形態による電気泳動装置の上面図である。
【図12】第4の実施の形態の連結部切断前のA−A断面図である。
【図13】第4の実施の形態の連結部切断後のA−A断面図である。
【図14】第4の実施の形態の電気泳動装置の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d、1e、1f シリコン板
2 下ガラス板
3 上ガラス板
4 泳動室
5 緩衝液導入口
6 緩衝液排出口
7a、7b 電極
8a、8b 電極端子
9 電源
10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j 案内部材
11 試料導入口
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i、12j 隔壁
13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h、13i、13j、13k 試料分取口
14a、14b、14c、14d、14e、14f 微小突起
15 シリコン基板
16 貫通口
17 導電性接着剤
18 端面
19a、19b、19c、19d、19e 分割流路
20a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h 連結部
21 シリコン酸化膜
22 フォトレジスト膜

Claims (14)

  1. 緩衝液を一定の方向に流すための扁平な空隙を流路とする泳動室と、この泳動室の流路上流に設けられた緩衝液導入口と、前記泳動室に試料を注入するための試料導入口と、前記泳動室の流路下流に設けられた緩衝液排出口と、この緩衝液排出口の一部に設けられた試料の特定成分を取り出すための試料分取口と、前記泳動室内に互いに離間して設けられ、前記泳動室内の緩衝液に電界を印加するための第1の電極と第2の電極とを有し、前記泳動室内に緩衝液を流動させ試料中の特定の成分を電気泳動により分離する電気泳動装置において、前記泳動室は、その上下を第1および第2のガラス板、その周囲を前記第1および第2のガラス板に挟持されたシリコン板により隔てられた空隙として形成され、前記泳動室内の前記第1のガラス板上に、緩衝液の流れる方向に沿って前記第2のガラス板との間に空隙を有する細長い棒状の案内部材を設けたことを特徴とする電気泳動装置。
  2. 前記案内部材は、前記第2のガラス板と対向する部分に前記第2のガラス板に当接する突起を有することを特徴とする請求項1に記載の電気泳動装置。
  3. 前記案内部材は、前記シリコン板と同じ材質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の電気泳動装置。
  4. 前記試料導入口は、前記泳動室内の前記案内部材が設けられた流路領域の上流側領域に、前記第1または第2のガラス板を貫通して設けられていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の電気泳動装置。
  5. 前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記第1および第2のガラス板と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材と一体に成形された隔壁により形成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の電気泳動装置。
  6. 前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記第1および第2のガラス板と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材の下流側の端部に対向して流路方向延長線上に配置された隔壁により形成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の電気泳動装置。
  7. 緩衝液を一定の方向に流すための扁平な空隙を流路とする泳動室と、この泳動室の流路上流に設けられた緩衝液導入口と、前記泳動室に試料を注入するための試料導入口と、前記泳動室の流路下流に設けられた緩衝液排出口と、この緩衝液排出口の一部に設けられた試料の特定成分を取り出すための試料分取口と、前記泳動室内に互いに離間して設けられ、前記泳動室内の緩衝液に電界を印加するための第1の電極と第2の電極とを有し、前記泳動室内に緩衝液を流動させ試料中の特定の成分を電気泳動により分離する電気泳動装置において、前記泳動室は、凹部を上面に有する板状の本体と、少なくとも前記本体上面の前記凹部を覆う蓋とから形成され、前記泳動室内の緩衝液の流れる方向に沿って前記凹部の流床と前記蓋との間に空隙を有する棒状の案内部材を、前記流床または前記蓋に設けたことを特徴とする電気泳動装置。
  8. 前記案内部材は、前記流床または前記蓋と対向する部分に、前記蓋または流床と当接する突起を有することを特徴とする請求項7に記載の電気泳動装置。
  9. 前記本体はシリコン板であり、前記流床と前記案内部材は前記シリコン板を加工して形成されており、前記蓋はガラス板であることを特徴とする請求項7または8に記載の電気泳動装置。
  10. 前記試料導入口は、前記泳動室内の前記案内部材が存在している流路領域の上流側領域に、前記蓋または前記本体を貫通して設けられていることを特徴とする請求項7、8または9に記載の電気泳動装置。
  11. 前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記蓋および前記流床と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材と一体に成形された隔壁により形成されていることを特徴とする請求項7、8、9または10に記載の電気泳動装置。
  12. 前記試料分取口は、その上面および下面がそれぞれ前記蓋および前記流床と当接して前記緩衝液排出口を複数に分割する、前記案内部材の下流側の端部に対向して流路方向延長線上に配置された隔壁により形成されていることを特徴とする請求項7、8、9または10に記載の電気泳動装置。
  13. 前記泳動室の前記シリコン板は複数のパターンブロックからなり、前記パターンブロックは、第1の電極に近接しているパターンブロック同士が電気的に導通しないように互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動装置。
  14. 前記パターンブロックには、前記第1および第2の電極で発生する気泡を除去する分割流路が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の電気泳動装置。
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