JP4910436B2 - 電気浸透流ポンプシステム - Google Patents
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Description
誘電体が液体と接触すると、表面が帯電する。例えばシリカが水と接触すると、Si−OH(シラノール基)が生成され、シラノール基がSi−O−となり、シリカ表面は負に帯電する。一方、界面近傍には、溶液中の正イオン(カウンターイオン)が集まり、正電荷が過剰となる。ここで、誘電体の界面と平行な方向に電界を加えると、過剰な正電荷が負極方向に移動し、粘性により液体全体が負極方向に流れる。
なお、液体と接触して正に帯電する誘電体を電気浸透材に用いた場合には、液体は正極方向に流れる。
前記自給式ポンプを駆動して前記搬送管内の気体を吸引することで前記電気浸透流ポンプに前記タンク内の液体を供給した後に前記電気浸透流ポンプを駆動することを特徴とする。
図1は本発明の第1実施形態のポンプシステム1を示す概略図である。ポンプシステム1は、タンク2と、タンク2内に一端が挿入され他端がポンプシステム1よりも後続のシステム(図示せず)に接続された搬送管10と、搬送管10から分岐され他端部がタンク2内に挿入された還流管40と、搬送管10と還流管40との分岐部近傍に配置された電気浸透流ポンプ(Electro-Osmotic Pump,以下、EOポンプ50という)と、還流管40に設けられた自給式ポンプ43と、搬送管10のEOポンプ50よりも下流側に設けられたバルブ13と、を備える。
このとき、制御部60は流量の増減に応じてEOポンプ50の例えば駆動電圧の変化量ΔEを算出し、EOポンプ駆動部61を制御してEOポンプ50の駆動電圧を変化させる。
図7に示すように、搬送管10の下流側電極53が配置される位置に、還流管40bとの分岐部を設け、還流管40bに自給式ポンプ43bを設けるようにしてもよい。
図3のように上流側の自給式ポンプ43で自給すると、EOポンプ50の中は毛管力のみで液体が自給されることになりある程度時間がかかるが、下流側の自給式ポンプ43bで自給するとEOポンプ50の中では、毛管力と自給式ポンプ43bの吸引力の両方が利用でき、自給の時間を短縮することができるという長所がある。
この構造は、EOポンプ50の電極近傍に電気分解により生成する気体が発生したとしても液体に溶けやすい物質の場合等に、有効に利用することができる。
EOポンプ50の流量が少ない場合には、下流側電極53近傍に発生する気泡も流れ去らずに蓄積することがある。また、ポンプシステム1以後の装置や反応などによっては、発生する気体を流し去ることが好ましくない場合もある。
また、図9に示すように、搬送管10の上流側電極52が配置される位置に第1の還流管40aとの分岐部を設けるとともに、搬送管10の下流側電極53が配置される位置に第2の還流管40bとの分岐部を設け、第1の還流管40aに上流側バルブ44を設けるとともに、第2の還流管40bに下流側バルブ45を設け、さらに第1の還流管40a及び第2の還流管40bを下流で合流させ、1つの自給式ポンプ43に接続してもよい。
このような構造にすることで、<変形例2>に比べて、自給式ポンプの数を減らすことができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図10は本発明の第2実施形態のポンプシステム100を示す概略図である。なお、ポンプシステム100の制御構成は第1実施形態のポンプシステム1(図2)と同様であるので省略する。本実施の形態のポンプシステム100では、タンク102から液体を搬送する搬送管が第1搬送管110と第2搬送管120とに分岐されている。なお、第1搬送管110と第2搬送管120とは下流側で合流し、後続のシステムに接続されている。
〔運転開始〕
まず、制御部60は、バルブ駆動部63を制御して上流側第1バルブ111aのみを開き、次いで自給式ポンプ駆動部62を制御して第2自給式ポンプ143bを駆動する。すると、第1中央管131内、EOポンプ150の電気浸透材151内、上流側第1搬送管111内の気体が第2自給式ポンプ143bにより排出されるとともに、タンク102内の液体が上流側第1搬送管111、第1中央管131を通ってEOポンプ150の電気浸透材151を透過し、第2電極153に到達する。液体が第2電極153に到達したら、制御部60は、自給式ポンプ駆動部62を制御して第2自給式ポンプ143bを停止し、次いでバルブ駆動部63を制御して上流側第1バルブ111aを閉じる。
EOポンプ150を駆動してから一定時間が経過すると、第1電極152近傍に液体の電気分解により生じた気泡が蓄積する。そこで、制御部60は、EOポンプ150を駆動してから一定時間が経過したら、自給式ポンプ駆動部62を制御して第1自給式ポンプ143aを駆動する。すると、第1電極152の近傍の気泡は液体とともに第1還流管141より排出される。気泡が除去されたら、制御部60は自給式ポンプ駆動部62を制御して第1自給式ポンプ143aを停止する。この間、EOポンプ150による液体の搬送は継続される。その後、一定時間が経過する毎に、制御部60は自給式ポンプ駆動部62を制御して第1自給式ポンプ143aの駆動・停止を繰り返す。以上により、第1電極152近傍に蓄積する気泡を除去することができる。
まず、制御部60は、EOポンプ駆動部61を制御してEOポンプ150を停止する。次いで、制御部60は、バルブ駆動部63を制御して上流側第1バルブ111a、下流側第2バルブ122aを閉じるとともに、上流側第2バルブ121a、下流側第1バルブ112aを開く。その後、制御部60は、EOポンプ駆動部61を制御し、EOポンプ150が第2電極153側から第1電極152側に液体が搬送されるように両電極間に駆動電圧を印加する。すると、液体が上流側第2搬送管121、第2中央管132、電気浸透材151、第1中央管131、下流側第1搬送管112を通ってポンプシステム100外へ搬送される。
次に、制御部60は、自給式ポンプ駆動部62を制御して第2自給式ポンプ143bを駆動する。すると、第2電極153近傍の気泡は液体とともに第2還流管142より排出される。気泡が除去されたら、制御部60は自給式ポンプ駆動部62を制御して第2自給式ポンプ143bを停止する。この間、EOポンプ150による液体の搬送は継続される。その後、一定時間が経過する毎に、制御部60は自給式ポンプ駆動部62を制御して第2自給式ポンプ143bの駆動・停止を繰り返す。以上により、第2電極153近傍に蓄積する気泡も除去することができる。
まず、制御部60は、EOポンプ駆動部61を制御してEOポンプ150を停止する。次いで、制御部60は、バルブ駆動部63を制御して上流側第2バルブ121a、下流側第1バルブ112aを閉じるとともに、上流側第1バルブ111a、下流側第2バルブ122aを開く。その後、制御部60は、EOポンプ駆動部61を制御し、EOポンプ150が第1電極152側から第2電極153側に液体が搬送されるように両電極間に駆動電圧を印加する。すると、液体が上流側第1搬送管111、第1中央管131、電気浸透材151、第2中央管132、下流側第2搬送管122を通ってポンプシステム100外へ搬送される。
第2実施形態においては、2つの自給式ポンプ143a,143bを用いたが、図11に示すように、2つの自給式ポンプ143a,143bの代わりに第1還流管141及び第2還流管142に中央第1バルブ141a、中央第2バルブ142aを設けるとともに、第1還流管141及び第2還流管142を合流させ、合流部よりも下流側に1つの自給式ポンプ143を設けてもよい。
第2実施形態では、EOポンプ150の流量が気泡を流し去るのに充分でない場合の構成例であるが、EOポンプ150の流量が充分であり、ポンプシステム100以降のシステムの装置や反応などが発生する気体により悪影響を受けない場合には、図12に示すように第1還流管141及び第1自給式ポンプ143aを省略することもできる。
この図は、<第2実施形態>において、〔第1電極側気泡除去〕〔第2電極側気泡除去〕の操作を行わなくてよい場合の概略図である。
この場合、第2自給式ポンプ143bはEOポンプ150に液体を自給させるためのみに用いている。(〔第2電極側気泡除去〕は可能である。)なお、第1還流管141及び第1自給式ポンプ143aを省略するかわりに、第2還流管142及び第2自給式ポンプ143bを省略することもできる。
2,102 タンク
10 搬送管
11 上流側搬送管
12 下流側搬送管
43,43b,143,143a,143b 自給式ポンプ
50,70,150 EOポンプ(電気浸透流ポンプ)
51,71,151 電気浸透材
52 上流側電極
53 下流側電極
152 第1電極
153 第2電極
110 第1搬送管
111 上流側第1搬送管
111a 上流側第1バルブ
112 下流側第1搬送管
112a 下流側第1バルブ
120 第2搬送管
121 上流側第2搬送管
121a 上流側第2バルブ
122 下流側第2搬送管
122a 下流側第2バルブ
130 中央管
131 第1中央管
132 第2中央管
Claims (8)
- 液体の搬送管に設けられた電気浸透流ポンプと、
前記搬送管内の流体を排出して、前記電気浸透流ポンプまで液体を供給する自給式ポンプと、
を備え、
前記自給式ポンプを間欠的に駆動することを特徴とする電気浸透流ポンプシステム。 - 前記自給式ポンプは前記電気浸透流ポンプの上流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電気浸透流ポンプシステム。
- 前記自給式ポンプが駆動している間、前記電気浸透流ポンプを駆動する一方で、前記自給式ポンプが停止している間、前記電気浸透流ポンプを停止するように、前記電気浸透流ポンプの駆動電力を変化させることを特徴とする請求項2に記載の電気浸透流ポンプシステム。
- 前記自給式ポンプの吸引動作時に、前記電気浸透流ポンプを駆動する一方で、前記自給式ポンプの吐出動作時に、前記電気浸透流ポンプを停止するように、前記電気浸透流ポンプの駆動電力を変化させることを特徴とする請求項2に記載の電気浸透流ポンプシステム。
- 前記自給式ポンプの吸引動作より所定の時間遅らせて、前記電気浸透流ポンプを駆動する一方で、前記自給式ポンプの吐出動作より所定の時間遅らせて、前記電気浸透流ポンプを停止するように、前記電気浸透流ポンプの駆動電力を変化させることを特徴とする請求項2に記載の電気浸透流ポンプシステム。
- 前記電気浸透流ポンプの下流側に、前記搬送管内の流体を排出する第2の自給式ポンプをさらに備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の電気浸透流ポンプシステム。
- 前記電気浸透流ポンプは、液体が貯留されるタンク内に上流側の一端が挿入され、下流側の他端が後続のシステムに接続された搬送管に設けられ、
前記自給式ポンプを駆動して前記搬送管内の気体を吸引することで前記電気浸透流ポンプに前記タンク内の液体を供給した後に前記電気浸透流ポンプを駆動することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気浸透流ポンプシステム。 - 液体の搬送管に設けられた電気浸透流ポンプと、
前記搬送管内の流体を排出して、前記電気浸透流ポンプまで液体を供給する自給式ポンプと、を備え、
前記搬送管は、液体が貯留されるタンク内に一端が挿入され、他端が後続のシステムに接続された第1搬送管及び第2搬送管と、
前記第1搬送管と前記第2搬送管とを中間部で接続する中央管と、で構成され、
前記電気浸透流ポンプと前記自給式ポンプは前記中央管に設けられ、
前記第1搬送管及び前記第2搬送管の前記中央管との分岐部よりも上流側及び下流側にそれぞれ設けられた4つのバルブ
を更に備え、
前記自給式ポンプを駆動して前記中央管内の流体を排出して、前記電気浸透流ポンプに前記タンク内の液体を供給した後に、
前記第1搬送管の上流側バルブ及び前記第2搬送管の下流側バルブを開き、かつ、前記第2搬送管の上流側バルブ及び前記第1搬送管の下流側バルブを閉じた状態で、前記第1搬送管側から前記第2搬送管側に液体を搬送するように前記電気浸透流ポンプを駆動する操作と、
前記第1搬送管の上流側バルブ及び前記第2搬送管の下流側バルブを閉じ、かつ、前記第2搬送管の上流側バルブ及び前記第1搬送管の下流側バルブを開いた状態で、前記第2搬送管側から前記第1搬送管側に液体を搬送するように前記電気浸透流ポンプを駆動する操作と、
を交互に行うことを特徴とする電気浸透流ポンプシステム。
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