JP4492500B2 - マイクロリアクタ及びマイクロリアクタの製造方法 - Google Patents
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Description
陽極接合とは、高温環境下(例えば、300℃〜400℃)で高電圧を印加してガラス基板内に電界を発生させ、ガラス基板とシリコン基板の界面で原子間結合させる接合技術であるが、大気中でも基板の接合を行えることなどから、基板の接合技術においては特に優れた技術とされている。
そこで、ガラスを基板として使用し、ガラス基板同士を接合する場合には、Si基板とガラス基板とを陽極接合する場合の構造を応用して、ガラス基板の接合面にTa等の金属膜をスパッタリングなどで成膜し、その金属膜と対象となるガラス基板とを陽極接合させる。
従来の陽極接合の方法では、金属膜が成膜された一方のガラス基板の金属膜面を他方のガラス基板と接触させて、金属膜が成膜されたガラス基板の裏側を陽極側、他方のガラス基板側を陰極側として、両端に電圧を印加して行うが、この場合、陽極側となる金属膜にはガラス基板の裏側からガラス基板を通して電圧が印加されるために、ガラス基板内で電界のロスが発生し、接合するための電界の強度が小さくなる。また、金属膜が成膜されている側のガラス基板中でも、金属膜に向かって可動イオンの移動が起こるため、接合のための電界強度を確保するために電圧を大きくすると、移動してきた可動イオンが金属膜にダメージを与えるという問題があった。特に、ガラス基板に形成した流路構造が複雑な場合、加工による基板の反りなどの要因も重なり、接合精度の劣化が顕著に見られていた。
反応物が流動する流路を有するマイクロリアクタにおいて、第一のガラス基板と、
前記第一のガラス基板の一方の面に形成された金属膜と、
前記膜に陽極接合された第二のガラス基板と、を備え、
前記第一のガラス基板のうち前記第二のガラス基板に対向する面及び前記金属膜に第一の溝が形成され、
前記第二のガラス基板のうち前記第一のガラス基板に対抗する面に少なくとも一部が前記第一の溝に対応する領域に形成され、前記第二のガラス基板の少なくとも端面まで通じる第二の溝を有し、
前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板とを互いに接合することによって、前記第一の溝及び前記第二の溝で形成された前記流路が形成され、
前記第一の溝は、前記金属膜の縁部から離間して形成され、
前記金属膜は、全体が連続して形成され、 前記第一のガラス基板は、前記第一のガラス基板の端部の一部が前記第二のガラス基板の縁部から突出した部分を有し、前記金属膜のうち前記突出した部分に対応する領域が露出していることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記第二のガラス基板は、前記第二のガラス基板の一部を切り欠く切欠部が形成されて、前記膜のうち前記切欠部に対応する領域が露出していることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記第二のガラス基板は、前記第二のガラス基板にその上下面を貫通する貫通孔が形成されて、前記膜のうち前記貫通孔に対応する領域が露出していることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記第二の溝は、前記第二のガラス基板のうち前記第一のガラス基板に対向する面を複数の領域に分断するように形成されていることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明のマイクロリアクタの製造方法は、第一のガラス基板及び第二のガラス基板を準備する基板準備工程と、
前記第一のガラス基板の一の面上に金属膜を形成する膜形成工程と、
前記金属膜の全体が連続してなるように、前記第一のガラス基板及び前記金属膜に第一の溝を前記金属膜の縁部から離間して形成する第一溝形成工程と、
前記第二のガラス基板の一の面上に第二の溝を形成する第二溝形成工程と、 前記金属膜が露出するように金属前記第一のガラス基板の一の面と前記第二のガラス基板の一の面とを互いに当接させる当接工程と、
露出した前記金属膜に陽極を接触させ、前記第二のガラス基板に陰極を接触させる接触工程と、
前記陽極及び前記陰極に電圧を印加して、前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板とを陽極接合して流路を形成する接合工程と、を含むことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の発明において、前記第二溝形成工程は、前記第二の溝を前記第二のガラス基板のうち前記第一のガラス基板に対向する面を複数の領域に分断するように形成することを特徴とする。
[第一の実施の形態]
はじめに本発明に係る基板の接合方法について説明する。図1は、基板の接合方法を説明するための斜視図であり、図2(a)は、第一のガラス基板1と第二のガラス基板2とを陽極接合する状態で、図1におけるii−ii矢視側面図、図2(b)は、図2(a)における平面図である。図3(a)は、第二のガラス基板2の平面図、図3(b)は、第一のガラス基板1の平面図である。
まず、第一のガラス基板1を準備する。具体的に第一のガラス基板1は、可動イオンとなるNaやLiを含有したガラス基板であって、例えばパイレックス(登録商標)基板を使用することが好ましい。第一のガラス基板1は、所定の厚みを有し、平面視長方形状をなした基板であって、上下両面が平坦でかつ互いに平行となるように形成されている。
また、第一のガラス基板1の中央よりやや右側部分には、第一のガラス基板1の上下面を貫通する長方形状の開口部11が形成されている。この開口部11は、開口部11の左側と右側とに形成された後述の流路内に温度差をつけ、高温部と低温部を設けるために、高温部から低温部への熱伝導(熱の移動)を制限するためのものである。すなわち、高温部を設定温度に保つために必要な熱量を少なく抑えることができるとともに、低温部が設定温度以上に上昇することも抑えることができ、左側の流路と右側の流路との間で温度差を確実に発生させやすくすることができる。
溝4の形成方法としては、第一のガラス基板1の金属膜3に対し周知のフォトリソグラフィー、サンドブラスト加工等を適宜施すことによって行う。
また、第二のガラス基板2の中央よりやや右側部分にも、第一のガラス基板1と同様に、第一のガラス基板1の開口部11に対向するように、上下面を貫通する長方形状の開口部22が形成されている。
また、右側溝部72の端部も、第二のガラス基板2の長手方向側面及び短手方向側面へと分岐し、各側面をそれぞれ第3の流入路開口部72a,流出開口部72bにて貫通している。そして、この右側溝部72の分岐した第3の流入路開口部72aから別の流体を流入させ、左側溝部71で反応させた流体に、さらに右側溝部72で別の反応を進めることができるようになっている。そして、最終的に流出開口部72bより生成物を取り出すことができる。
溝7の形成方法としては、第二のガラス基板2の金属膜3に対し周知のフォトリソグラフィー、サンドブラスト加工等を適宜施すことによって行う。
また、第二のガラス基板2の一つの角部を切り欠くことによって切欠部21を形成して切欠部21の除き、平面視した際に各辺が一致するように重ねて、金属膜3を露出させるようにしたので、露出する金属膜3を少なくすることができ、その分、デッドスペースを少なくすることができる。
また、金属膜3に形成された溝4は、金属膜3の縁部から離間して形成され、金属膜3が複数の区画に分断されないように第一のガラス基板1に一体に連続して形成されているので、金属膜3の一部のみに陽極5を接触させれば良く、電極の数を減らせ、その分デッドスペースを少なくすることができる。
図4(a)は、第一のガラス基板110と第二のガラス基板120とを陽極接合した状態における側面図、図4(b)は、図4(a)における平面図である。図5(a)は、第二のガラス基板120の平面図、図5(b)は、第一のガラス基板110の平面図である。
第二の実施の形態では第二のガラス基板120が、第一の実施の形態における第二のガラス基板2の形状と異なっており、その他の第一のガラス基板110や金属膜130は第一の実施の形態の第一のガラス基板1及び金属膜3と同様である。
まず、第一のガラス基板110を準備する。具体的に第一のガラス基板110は、第一の実施の形態の第一のガラス基板1と同様に可動イオンとなるNaやLiを含有したガラス基板であって、例えばパイレックス(登録商標)基板を使用することが好ましい。第一のガラス基板110は、所定の厚みを有し四角形状をなした基板であって、上下両面が平坦でかつ互いに平行となるように形成されている。また、第一のガラス基板110の中央よりやや右側部分に開口部111が形成されている。
また、第二のガラス基板120の中央よりやや右側部分に第一のガラス基板110の開口部111に対応する開口部122が形成されている。
また、第一の実施の形態と同様に、金属膜130に形成された溝140は、金属膜130の縁部から離間して形成され、金属膜130が複数の区画に分断されないように第一のガラス基板110に一体に連続して形成されているので、金属膜130の一部のみに陽極5を接触させれば良く、電極の数を減らせ、その分デッドスペースを少なくすることができる。なお、第二のガラス基板120の縁部から金属膜130が突出し、露出している部分があればよいので、第一のガラス基板の平面形状は第二のガラス基板より小さい(内側に入る)部分があってもよい。
なお、上記各実施形態では、金属又はシリコンを含む膜は一体に形成されている例を示した。このように一体に形成されていることが望ましいが、例えば、なんらかの設計上の制約で、従来3区画に分断されていたような場合でも、溝の一箇所を膜の縁部から離間して形成できれば、分断数を2区画に減らすことができ、その場合も陽極5側の電極数を3本から2本に減らすことができ、同様な効果が得られる。
2,120 第二のガラス基板
3,130 金属膜
4,7,140,170 溝
5 陽極
6 陰極
11,22,111,122 開口部
21 切欠部
41,71 左側溝部
42,72 右側溝部
71a,171a 第1の流入路開口部
71b,171b 第2の流入路開口部
72a,142a,172a 第3の流入路開口部
72b,172b 流出路開口部
73,143,173 連結溝部
Claims (6)
- 反応物が流動する流路を有するマイクロリアクタにおいて、
第一のガラス基板と、
前記第一のガラス基板の一方の面に形成された金属膜と、
前記金属膜に陽極接合された第二のガラス基板と、を備え、
前記第一のガラス基板のうち前記第二のガラス基板に対向する面及び前記金属膜に第一の溝が形成され、
前記第二のガラス基板のうち前記第一のガラス基板に対抗する面に少なくとも一部が前記第一の溝に対応する領域に形成され、前記第二のガラス基板の少なくとも端面まで通じる第二の溝を有し、
前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板とを互いに接合することによって、前記第一の溝及び前記第二の溝で形成された前記流路が形成され、
前記第一の溝は、前記金属膜の縁部から離間して形成され、
前記金属膜は、全体が連続して形成され、
前記第一のガラス基板は、前記第一のガラス基板の端部の一部が前記第二のガラス基板の縁部から突出した部分を有し、前記金属膜のうち前記突出した部分に対応する領域が露出していることを特徴とするマイクロリアクタ。 - 前記第二のガラス基板は、前記第二のガラス基板の一部を切り欠く切欠部が形成されて、前記膜のうち前記切欠部に対応する領域が露出していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクタ。
- 前記第二のガラス基板は、前記第二のガラス基板にその上下面を貫通する貫通孔が形成されて、前記膜のうち前記貫通孔に対応する領域が露出していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクタ。
- 前記第二の溝は、前記第二のガラス基板のうち前記第一のガラス基板に対向する面を複数の領域に分断するように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロリアクタ。
- 第一のガラス基板及び第二のガラス基板を準備する基板準備工程と、
前記第一のガラス基板の一の面上に金属膜を形成する膜形成工程と、
前記金属膜の全体が連続してなるように、前記第一のガラス基板及び前記金属膜に第一の溝を前記金属膜の縁部から離間して形成する第一溝形成工程と、
前記第二のガラス基板の一の面上に第二の溝を形成する第二溝形成工程と、
前記金属膜が露出するように金属前記第一のガラス基板の一の面と前記第二のガラス基板の一の面とを互いに当接させる当接工程と、
露出した前記金属膜に陽極を接触させ、前記第二のガラス基板に陰極を接触させる接触工程と、
前記陽極及び前記陰極に電圧を印加して、前記第一のガラス基板と前記第二のガラス基板とを陽極接合して流路を形成する接合工程と、を含むことを特徴とするマイクロリアクタの製造方法。 - 前記第二溝形成工程は、前記第二の溝を前記第二のガラス基板のうち前記第一のガラス基板に対向する面を複数の領域に分断するように形成することを特徴とする請求項5に記載のマイクロリアクタの製造方法。
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