JP3846823B2 - ハイドロチルト装置のマニュアルバルブ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機のチルト操作を人力で行なうためのハイドロチルト装置に関し、特に、そのようなハイドロチルト装置におけるマニュアルバルブの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型船舶に搭載される船外機では、従来から、船体の後尾板に固定されたクランプブラケットと、船外機を水平方向で回動自在に支持するスイベルブラケットとの間に、マニュアルバルブの開閉操作により油圧シリンダをフリー(伸縮自在)な状態と固定された状態とに切り替えることができるように構成されたハイドロチルト装置を介装させることで、スイベルブラケットとクランプブラケットの上端同士を回動可能に連結する水平方向のチルト軸を回動中心として船外機をアップ・ダウンさせるようなチルト操作を、人力によって行なうことができるようにしている。
【0003】
すなわち、ハイドロチルト装置のマニュアルバルブを開として、該装置の油圧シリンダをフリーな状態とすることで、船外機を手で持って人力によりアップ・ダウン操作できるようにすると共に、船外機を所望の位置にアップ又はダウンさせた時点で、ハイドロチルト装置のマニュアルバルブを閉として、該装置の油圧シリンダを固定状態とすることで、該油圧シリンダによって船外機をその位置に維持することができるようにしている。
【0004】
そのように使用される船外機のハイドロチルト装置は、従来、図7あるいは図8に示すように、ピストンロッド18の一端に設置されたピストン15によりシリンダ14内の油室が上油室と下油室に区画される油圧シリンダ13に対して、シリンダ14内へのピストンロッド18の出入に応じた量のオイルを補償するためのガス室19を設けると共に、シリンダ14内の上油室と下油室を連通するオイル通路21を開閉するためのマニュアルバルブ20を設けることによって構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の船外機のハイドロチルト装置では、図7または図8に示す何れのものにおいても、マニュアルバルブ20は、油圧シリンダ13を完全にフリー(伸縮自在)な状態とするための開弁状態と、油圧シリンダを固定された状態とするための閉弁状態との二段階に切り替えるものとなっていて、船外機をアップ操作する場合には、マニュアルバルブを開弁状態としている。
【0006】
そのため、アップ操作を中断すると、油圧シリンダを完全にフリーな状態(伸縮自在な状態)となっていることで、直ちに船外機が自重でダウンしてしまい、船外機を人力で持ち上げる途中で休もうとしたり、あるいは、船外機を所定位置まで持ち上げて固定するときには、重い船外機を支えながらマニュアルバルブを閉弁状態に切り替えることが必要となってくる。
【0007】
そのようなアップ操作の面倒さを回避するために、船外機を固定するために油圧シリンダを固定された状態とし、また、船外機をダウン(またはアップ)するために油圧シリンダをフリー(伸縮自在)な状態とする外に、更に、油圧シリンダを伸長だけ可能な状態とすることで、ダウンさせることなく船外機をアップすることができるように、油圧シリンダを三段階の状態に切り替えるような機能が望まれているが、マニュアルバルブの操作性やコストやスペースの問題などにより、実現されてはいない。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、船外機のハイドロチルト装置において、コンパクトで安価で操作性の良いマニュアルバルブを使用することで、完全にフリーな状態と、固定された状態と、伸長だけ可能な状態との三段階に、油圧シリンダの状態を切り替えることができるようにすることを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、上記の請求項1に記載したように、ピストンによりシリンダ内の油室が上油室と下油室に区画される油圧シリンダに対して、該上油室と下油室を連通するオイル通路を開閉するためのマニュアルバルブが設けられている船外機のハイドロチルト装置において、そのマニュアルバルブ構造として、
手動で操作される操作軸に一体的に固定された第1カム部材によって保持される第1ボール弁と、第1カム部材と間隔を置いて同軸的に配置された第2カム部材によって保持される第2ボール弁とが、共通のスプリングにより逆方向に付勢された状態で、各カム部材によって分断されたオイル通路の一方の側と他方の側にそれぞれ押し付けられるように配置されており、
係合凸部が形成された第1カム部材と、係合孔部が形成された第2カム部材とが、共通のストッパーにより同じように回動範囲が規制されて、且つ、第1カム部材の係合凸部がそれよりも回動方向で余裕のある第2カム部材の係合孔部に入り込んでいることで、第1カム部材に対して第2カム部材が所定範囲だけ相対回動可能になっていると共に、該係合凸部と係合孔部の間に介装されたスプリングの付勢力により、第1カム部材に対して第2カム部材が一回動方向に押圧されていて、
スプリングにより第2カム部材が押圧される方向に向けて第1カム部材を回動させて、第1カム部材と第2カム部材とを、共通のストッパーにより回動が規制されるまで一方に回動させた状態で、それぞれのカム部材に保持された第1ボール弁と第2ボール弁とが何れもオイル通路を閉じた状態となっていることを特徴とするものである。
【0010】
上記のようなハイドロチルト装置のマニュアルバルブ構造によれば、
スプリングにより第2カム部材が押圧される方向に向けて第1カム部材を回動させ、第1カム部材と第2カム部材とを、共通のストッパーにより回動が規制されるまで回動範囲の一端側に回動させることで、それぞれのカム部材に保持された第1ボール弁と第2ボール弁が何れもオイル通路を閉じた閉弁の状態となっているが、
そのような閉弁の状態から、係合凸部に対する係合孔部の余裕の範囲内で、第2カム部材が押圧される方向とは反対方向に第1カム部材を回動させることにより、第2カム部材は回動せず、第2カム部材に保持された第2ボール弁がオイル通路を閉じた状態のまま、第1カム部材に保持された第1ボール弁だけがオイル通路を開いた一方向弁の状態となり、
また、そのような一方向弁の状態から、第2カム部材が押圧される方向に向けて第1カム部材を回動させ、第1カム部材と第2カム部材とを、共通のストッパーにより回動が規制される回動範囲の他端側に回動させることで、それぞれのカム部材に保持された第1ボール弁と第2ボール弁が何れもオイル通路を閉じた閉弁の状態となることことから、
閉弁と一方向弁と開弁の三段階の切り替えが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイドロチルト装置のマニュアルバルブ構造の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明のマニュアルバルブ構造を有するハイドロチルト装置が使用されている船外機の一例について概略的に示すもので、船体(後尾板2)に対して取り付けられる船外機1は、トップカウル3とアッパーケース4とロアーケース5からなるハウジングに対して、駆動源となるエンジンがトップカウル3内に収納され、推進機となるプロペラ6がロアーケース5の後側に装着されているもので、航走中には、操舵ハンドル7により操舵軸(図示せず)を回動中心として水平方向で回動操作されるものである。
【0013】
船外機1の船体に対する取り付けについては、船外機1の操舵軸を水平方向で回動自在に支持するスイベルブラケット9と、船体の後尾板2に着脱可能に固定されたクランプブラケット10とが、各ブラケット9,10の上端同士で水平方向のチルト軸11により回動自在に連結されていることで、船外機1は、スイベルブラケット9に対して水平方向で回動可能に、且つ、チルト軸11を回動軸として上下方向で回動可能に、スイベルブラケット9とクランプブラケット10を介して、船体に対して着脱可能に取り付けられている。
【0014】
そのように各ブラケット9,10を介して船体の後尾板2に取り付けられる船外機1に対して、船外機1をチルト軸11を中心に回動させることで適当な位置にアップ・ダウンして固定するようなチルト操作を人力で行なうことができるように、スイベルブラケット9とクランプブラケット10の間に、レバー12aの操作でマニュアルバルブを開閉することにより油圧シリンダをフリー(伸縮自在)な状態と固定された状態とに切り替えられるようなハイドロチルト装置12が設けられている。
【0015】
図2は、ハイドロチルト装置12がスイベルブラケット9とクランプブラケット10の間に組み付けられた状態について、図1の矢印A方向から見たもので、ハイドロチルト装置12は、油圧シリンダ13の上端(シリンダの上端部)に形成された上部取付部13aが、スイベルブラケット9の上部に回動可能に軸支され、油圧シリンダ13の下端(ピストンロッドの下端)に固着された下部取付部13bが、クランプブラケット10の下部に回動可能に軸支されていることで、スイベルブラケット9の上部とクランプブラケット10の下部に渡って取り付けられている。
【0016】
図3は、上記のように各ブラケット9,10の間に設けられるハイドロチルト装置12の内部構造について、図1の矢印A方向とは反対側から見たもので、ハイドロチルト装置12は、シリンダ14とピストン15(固定ピストン16とフリーピストン17)とピストンロッド18とからなる油圧シリンダ13に対して、シリンダ14内に出入するピストンロッド18の体積に応じた量のオイルをシリンダ14内の油室に対して補償するためのガス室19と、ピストン15により区画されたシリンダ14内の上油室と下油室を連通するオイル通路を開閉するためのマニュアルバルブ20とを一体的に設けたものである。
【0017】
なお、ハイドロチルト装置12では、シリンダ14の側方にガス室19が配置され、ガス室19の上方でシリンダ14の上部側方にマニュアルバルブ20が配置されるように、シリンダ14とガス室19とマニュアルバルブ20のそれぞれのハウジング部分が一体的に形成されている。
【0018】
それにより、図7に示すようにシリンダ14の両側にガス室19とマニュアルバルブ20を配置した場合と比べて、ガス室19の容量を充分にとった上で、装置12の全体を幅方向でコンパクトなものとすることができると共に、図8に示すようにシリンダ14内の上方にガス室19を設けた場合と比べて、装置12の全体を長さ方向でコンパクトなものとすることができる。
【0019】
ハイドロチルト装置12の油圧シリンダ13では、蓋部材14aにより下端部が閉鎖されたシリンダ14に対して、蓋部材14aを貫通してシリンダ14内に出入するようにピストンロッド18が挿入され、ピストンロッド18の上端には、シリンダ14内の油室を上油室と下油室に区画するピストン15(固定ピストン16とフリーピストン17)が設置されていて、シリンダ14の側壁には、その上端近傍に、上油室をマニュアルバルブ20に連通させるオイル出入孔22が開設され、また、その下端近傍に、下油室をガス室19に連通させるオイル出入孔23がそれぞれ開設されている。
【0020】
なお、ハイドロチルト装置12では、油圧シリンダ13の温度補償構造として、油圧シリンダ13が最も伸長した状態において、温度上昇によるオイルの膨張が起きた時に、膨張した分のオイルの圧力によってシリンダ14が破壊されるのを防ぐために、シリンダ14内で蓋部材14aの上面側に、シリンダ14の軸線方向で伸縮可能な弾性体(皿バネ)24が設置されている。
【0021】
それにより、油圧シリンダ13の最大伸長時には、ピストン15(固定ピストン16)の下面が弾性体24と当接して伸長が停止されると共に、その状態で温度上昇により上油室内のオイルが膨張した場合には、その膨張分だけピストン15が弾性体24を押圧して下方に移動できると共に、ピストン15が下方に移動した分だけ下油室内のオイルがガス室19に逃がされることで、温度上昇によるオイル膨張でシリンダ14が破壊されるのを防止するようにしている。
【0022】
そのような弾性体24による油圧シリンダ13の温度補償構造によれば、ガス室19とシリンダ14内の油室とをリリーフバルブを介して連通させるようなオイル逃がし通路を装置のハウジング部分に形成したり、別途にリリーフバルブを設けたりすることなく、油圧シリンダ13の温度補償を行なうことができて、装置の簡略化やコンパクト化を図ることができる。
【0023】
ところで、ハイドロチルト装置12には、シリンダ14内の上油室と下油室を連通するオイル通路として、上油室側のオイル出入孔22から、マニュアルバルブ20を通り、ガス室19内でパイプ状の通路25を通って、ガス室19内の下部から、下油室側のオイル出入孔23に至るようなオイル通路が、シリンダ14の側方に形成されている。
【0024】
なお、シリンダ14内の上油室と下油室を連通するオイル通路を、ガス室19内でパイプ状の通路25として形成していることで、装置12のハウジング部分にオイル通路を特に形成することなく、ガス室19内にパイプを嵌め込むという簡単な操作により、オイル通路を簡単に形成することができて、装置の簡略化やコンパクト化を図ることができる。
【0025】
そのようなオイル通路を開閉するための本発明のマニュアルバルブ20について、本実施形態では、図1および図2に示したレバー12aによって手動で回動操作される操作軸28が、装置12のハウジング部分に対して固定される栓体状の基板27によって回動自在に支持されており、操作軸28には第1カム部材29が一体的に固定されていて、第1カム部材29と間隔を置いて同軸的に配置された第2カム部材30が、第1カム部材29に対して回動可能に支持されている。
【0026】
そして、各カム部材29,30によって分断されたオイル通路の一方の側と他方の側に対して、近接して配置された逆方向の二つの一方向弁によりオイル通路が完全に閉じられるような状態で、共通のスプリング33により逆方向に付勢された第1ボール弁31と第2ボール弁32が、オイル通路の一方の側と他方の側にそれぞれ押し付けられるように配置されており、各ボール弁31,32は、それぞれの側のカム部材29,30の動きに連れて動かされるように、それぞれの側のカム部材29,30によって保持されている。
【0027】
そのような構造を有する本実施形態のマニュアルバルブ20では、操作軸28の回動操作により、両方のボール弁31,32がそれぞれオイル通路を閉じて、オイルが何れの方向にも流れないような閉弁の状態と、両方のボール弁31,32がそれぞれオイル通路を開いて、オイルが何れの方向にも流れるような開弁の状態と、第1ボール弁31がオイル通路を開き、第2ボール弁32がオイル通路を閉じて、第2ボール弁32が一方向弁として働くような一方向弁の状態との3段階に切り替えることができる。
【0028】
そのようなマニュアルバルブ20の切り替えについて、図4は、マニュアルバルブ20の閉弁状態を示し、図5は、マニュアルバルブ20の一方向弁状態を示し、図6は、マニュアルバルブ20の開弁状態を示すものである。
【0029】
図4(A),(B)に示すように、マニュアルバルブ20の第1カム部材29と第2カム部材30は、何れも、ストッパー34によりその回動範囲が規制されており、第1カム部材29の表面から突出するように形成された係合凸部29aが、それよりも回動方向で余裕をもって形成された第2カム部材30の係合孔部30a内に入り込んでいて、該係合凸部29aと係合孔部30aの間には、第1カム部材29に対して第2カム部材30を反時計方向に付勢するスプリング35が介装されている。
【0030】
それにより、図4(A)に示すように、操作軸28の操作により該軸28に固定された第1カム部材29をストッパー34で阻止されるまで反時計回り方向(以下、図面上の方向で示す)に回動させると、図4(B)に示すように、第2カム部材30も、第1カム部材の係合凸部29aによりスプリング35を介して反時計回り方向に押されることで、第1カム部材29に連れてストッパー34で阻止されるまで回動する。
【0031】
その結果、図4(C)に示すように、それぞれのカム部材29,30に保持された各ボール弁31,32がそれぞれオイル通路を閉じて、マニュアルバルブ20は閉弁状態となる。
【0032】
そのような閉弁状態から操作軸28を時計回り方向に所定の角度だけ回動させると、図5(A)に示すように、操作軸28に固定された第1カム部材29は所定の角度だけ時計回り方向に回動するのに対して、図5(B)に示すように、第2カム部材30は、スプリング35の付勢力によりストッパー34に押し付けられたままで回動しない。
【0033】
その結果、図5(C)に示すように、第1カム部材29に保持された第1ボール弁31が動かされてオイル通路を開くのに対して、第2カム部材30に保持された第2ボール弁32は動かずオイル通路を閉じたままで、第2ボール弁32が一方向弁として働くこととなって、マニュアルバルブ20は、一方向へのオイルの流れが可能な一方向弁の状態となる。
【0034】
更に、そのような一方向弁の状態から操作軸28を時計回り方向に回動させると、図6(A)に示すように、操作軸28に固定された第1カム部材29がストッパー34で阻止されるまで時計回り方向に回動すると共に、図6(B)に示すように、第2カム部材30についても、第1カム部材29の係合凸部29aで時計回り方向に押されることにより、第1カム部材29に連れて時計回り方向に回動する。
【0035】
その結果、図6(C)に示すように、第1カム部材29に保持された第1ボール弁31がオイル通路を開いていると共に、第2カム部材30に保持された第2ボール弁32も動かされてオイル通路が開かれ、マニュアルバルブ20は、何れの方向へもオイルの流れが可能な開弁状態となる。
【0036】
以上に述べたような本実施形態のマニュアルバルブ20によれば、マニュアルバルブ20を三段階に切り替えることで、油圧シリンダ13を完全にフリーな状態として船外機1を自由にアップ・ダウンさせることができ、また、油圧シリンダ13を固定された状態として船外機1を確実に固定させることができると共に、さらに、マニュアルバルブ20を一方向弁の状態とすることで、船外機1のアップ操作を自由に行なうことができ、且つ、アップ操作を停止しても、船外機1を自重でダウンさせることなく確実に固定することができる。
【0037】
しかも、そのようなマニュアルバルブ20の三段階の切り替えを、方向が逆となる二つの一方向弁(ボール弁31,32とスプリング33)を設けて、それぞれの一方向弁においてボール弁31,32をオイル通路から段階的にずらすことで、一つの操作軸28の回動により、各カム部材29,30を介して、操作性良く行なうことができ、また、マニュアルバルブ20の構造全体を比較的小さなスペースで設置することができ、マニュアルバルブ20に要するコストも比較的安価に済ますことができる。
【0038】
以上、本発明のハイドロチルト装置のマニュアルバルブ構造の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、マニュアルバルブが使用されるハイドロチルト装置については、上記の実施形態に示したような構造のものに限らず、その他のハイドロチルト装置に対して適用することも可能である等、適宜設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したような本発明のハイドロチルト装置のマニュアルバルブ構造によれば、コンパクトで安価で操作性の良いマニュアルバルブを使用して、完全にフリーな状態と、固定された状態と、伸長だけ可能な状態との三段階に、油圧シリンダの状態を切り替えることができ、それによって、船外機のアップ操作時において、アップ操作を停止してそのままの状態としても、船外機を自重でダウンさせることなく確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマニュアルバルブ構造を有するハイドロチルト装置が使用されている船外機の概略を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態に係るハイドロチルト装置について、スイベルブラケットとクランプブラケットの間に組み付けられた状態を示す、図1の矢印A方向から見た前面図。
【図3】図2に示したハイドロチルト装置の内部構造について、図1の矢印A方向とは逆方向から見た断面図。
【図4】図3に示したマニュアルバルブの閉弁時における(A)第1カム部材の作動状態、(B)第2カム部材の作動状態、(C)オイル通路に対する各ボール弁の作動状態のそれぞれを示す説明図。
【図5】図3に示したマニュアルバルブの一方向弁時における(A)第1カム部材の作動状態、(B)第2カム部材の作動状態、(C)オイル通路に対する各ボール弁の作動状態のそれぞれを示す説明図。
【図6】図3に示したマニュアルバルブの開弁時における(A)第1カム部材の作動状態、(B)第2カム部材の作動状態、(C)オイル通路に対する各ボール弁の作動状態のそれぞれを示す説明図。
【図7】従来のハイドロチルト装置の一例を示す断面図。
【図8】従来のハイドロチルト装置の他の例を示す断面図。
【符号の説明】
1 船外機
12 ハイドロチルト装置
13 油圧シリンダ
14 シリンダ
15 ピストン
20 マニュアルバルブ
29 第1カム部材
30 第2カム部材
31 ボール弁(一方の一方向弁を構成する第1ボール弁)
32 ボール弁(他方の一方向弁を構成する第2ボール弁)
33 スプリング(両方の一方向弁を構成する共通の)
34 ストッパー
35 スプリング(第1カム部材から第2カム部材を押圧する)
Claims (1)
- ピストンによりシリンダ内の油室が上油室と下油室に区画される油圧シリンダに対して、該上油室と下油室を連通するオイル通路を開閉するためのマニュアルバルブが設けられている船外機のハイドロチルト装置において、
手動で操作される操作軸に一体的に固定された第1カム部材によって保持される第1ボール弁と、第1カム部材と間隔を置いて同軸的に配置された第2カム部材によって保持される第2ボール弁とが、共通のスプリングにより逆方向に付勢された状態で、各カム部材によって分断されたオイル通路の一方の側と他方の側にそれぞれ押し付けられるように配置されており、
係合凸部が形成された第1カム部材と、係合孔部が形成された第2カム部材とが、共通のストッパーにより同じように回動範囲が規制されて、且つ、第1カム部材の係合凸部がそれよりも回動方向で余裕のある第2カム部材の係合孔部に入り込んでいることで、第1カム部材に対して第2カム部材が所定範囲だけ相対回動可能になっていると共に、該係合凸部と係合孔部の間に介装されたスプリングの付勢力により、第1カム部材に対して第2カム部材が一回動方向に押圧されていて、
スプリングにより第2カム部材が押圧される方向に向けて第1カム部材を回動させて、第1カム部材と第2カム部材とを、共通のストッパーにより回動が規制されるまで一方に回動させた状態で、それぞれのカム部材に保持された第1ボール弁と第2ボール弁とが、何れもオイル通路を閉じた状態となっていることを特徴とするハイドロチルト装置のマニュアルバルブ構造。
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