JP3846454B2 - 動力出力装置およびその制御方法並びに自動車 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法並びに自動車 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力出力装置およびその制御方法並びに自動車に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびその制御方法並びに自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンと、このエンジンのクランクシャフトをキャリアに接続すると共に車軸に機械的に連結された駆動軸にリングギヤを接続したプラネタリギヤと、このプラネタリギヤのサンギヤに動力を入出力する第1モータと、駆動軸に動力を入出力する第2モータとを搭載したハイブリッド自動車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、エンジンおよび第1モータにより出力された動力を、なまし処理が施されて設定される目標トルクを用いて駆動制御される第2モータで補償することにより、運転者が要求する要求動力を駆動軸に出力している。このように第2モータの目標トルクをなまし処理によって求めることにより、振動を抑制すると共に運転者のアクセル操作に対して滑らかに出力トルクを出力している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−78705号公報(図2〜図6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように振動の抑制や運転者のアクセル操作に対して滑らかに出力トルクを出力することは、車両に搭載される動力出力装置の課題として一般的に考えられている。また、こうした装置では過渡応答の必要から二次電池などのバッテリを備えるが、過渡時におけるバッテリの過充電や過放電を防止することも課題の一つとして考えられている。更に、上述の装置では、第2モータからの動力だけで走行している状態からエンジンを始動してエンジンからの動力を用いて走行する状態への移行をスムーズに行なうことも課題として考えられている。
【0005】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに自動車は、駆動軸への駆動力の変化に伴う振動を抑制することを目的の一つとする。本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに自動車は、二次電池などの蓄電装置の過充電や過放電を抑制することを目的の一つとする。さらに、本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに自動車は、異なる運転状態の移行を滑らかに行なうことを目的の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに自動車は、上述のいずれかの目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
操作者の操作に基づいて前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
該設定された要求駆動力の変化に対して遅れ処理をもって目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関を制御すると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の動力出力装置では、操作者の操作に基づいて駆動軸に要求される要求駆動力を設定すると共にこの設定した要求駆動力の変化に対して遅れ処理をもって目標駆動力を設定し、設定された要求駆動力に基づいて内燃機関を制御すると共に設定された目標駆動力が駆動軸に出力されるよう電力動力入出力手段と電動機とを制御する。したがって、操作者の操作に基づく要求駆動力に対して滑らかに変化する目標駆動力を設定することになるから、要求駆動力の変化に伴う装置の振動を抑制することができる。また、滑らかに目標駆動力を変化させるから、要求駆動力に基づいて制御される内燃機関の運転ポイントの変更の遅れに伴う蓄電手段の充放電電力を小さなものにすることができる。この結果、蓄電手段の過充電や過放電を抑制することができる。さらに、電動機からの動力だけで駆動軸に駆動力を出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関からの動力を用いて駆動軸に駆動力を出力する状態への移行も滑らかに行なうことができる。
【0009】
本発明の動力出力装置において、前記目標駆動力設定手段は、所定時間毎に繰り返し前記目標駆動力を設定する手段であって、前記所定時間前に設定した目標駆動力に基づいて該所定時間時間当たりの目標駆動力の変化限界値を設定し、該設定した変化限界値の範囲内で前記目標駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、所定時間前に設定した目標駆動力の絶対値に応じた目標駆動力を設定することができる。
【0010】
この変化限界値の範囲内で目標駆動力を設定する態様の本発明の動力出力装置において、前記目標駆動力設定手段は、前記所定時間前に設定した目標駆動力の絶対値が小さいほど小さくなる傾向で前記変化限界値を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、目標駆動力が正負符号を変えるときに生じ得る装置の振動を抑制することができる。
【0011】
また、変化限界値の範囲内で目標駆動力を設定する態様の本発明の動力出力装置において、前記目標駆動力設定手段は、前記所定時間前に設定した目標駆動力に該所定時間当たりの前記変化限界値を前記設定された要求駆動力の変化の方向に加味した限界駆動力と該設定された要求駆動力とのうち目標駆動力としたときに変化が小さい方を前記目標駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、滑らかに変化する目標駆動力を設定することができ、滑らかに変化する駆動力を駆動軸に出力することができる。
【0012】
本発明の動力出力装置において、前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備え、前記目標駆動力設定手段は前記回転数検出手段により検出された前記駆動軸の回転数に基づいて単位時間当たりの目標駆動力の第2の変化限界値を設定すると共に該設定した第2の変化限界値の範囲内で前記目標駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸の回転数に応じた目標駆動力を設定することができる。
【0013】
この第2の変化限界値の範囲内で目標駆動力を設定する態様の本発明の動力出力装置において、前記目標駆動力設定手段は、前記駆動軸の回転数が大きくなるほど小さくなる傾向で前記第2の変化限界値を設定する手段であるものとすることもできる。これは、駆動軸の回転数が大きくなるほど同じ駆動力でも大きな動力が必要になることに基づく。即ち、駆動軸の回転数が大きいほど駆動軸に駆動力を出力するための動力の変化を制限するのである。これにより、蓄電手段の過充電や過放電をより抑制することができる。
【0014】
また、第2の変化限界値の範囲内で目標駆動力を設定する態様の本発明の動力出力装置において、前記目標駆動力設定手段は、所定時間毎に繰り返し前記目標駆動力を設定する手段であって、前記所定時間前に設定した目標駆動力に該所定時間当たりの前記第2の変化限界値を前記設定された要求駆動力の変化の方向に加味した第2の限界駆動力と該設定された要求駆動力とのうち目標駆動力としたときに変化が小さい方を前記目標駆動力として設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、滑らかに変化する目標駆動力を設定することができ、滑らかに変化する駆動力を駆動軸に出力することができる。
【0015】
本発明の動力出力装置において、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを有し該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する対回転子電動機であるものとすることもできる。
【0016】
本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、操作者の操作に基づいて前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、該設定された要求駆動力の変化に対して遅れ処理をもって目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、該設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する制御手段と、を備える動力出力装置を備え、前記駆動軸が機械的に車軸に接続されて走行することを要旨とする。
【0017】
この本発明の自動車によれば、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を備えるから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、操作者の操作に基づく要求駆動力に対して滑らかに変化する目標駆動力を設定するによる効果、即ち、要求駆動力の変化に伴う装置の振動を抑制することができる効果や内燃機関の運転ポイントの変更の遅れに伴う蓄電手段の充放電電力を小さなものにすることによる蓄電手段の過充電や過放電を抑制することができる効果,電動機からの動力だけで駆動軸に駆動力を出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関からの動力を用いて駆動軸に駆動力を出力する状態への移行も滑らかに行なうことができる効果などと同様な効果を奏することができる。
【0018】
本発明の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、該内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)操作者の操作に基づいて前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定し、
(b)該設定した要求駆動力の変化に対して遅れ処理をもって目標駆動力を設定し、
(c)前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関を制御すると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する
ことを要旨とする。
【0019】
この本発明の動力出力装置の制御方法によれば、操作者の操作に基づいて駆動軸に要求される要求駆動力を設定すると共にこの設定した要求駆動力の変化に対して遅れ処理をもって目標駆動力を設定し、設定された要求駆動力に基づいて内燃機関を制御すると共に設定された目標駆動力が駆動軸に出力されるよう電力動力入出力手段と電動機とを制御するから、操作者の操作に基づく要求駆動力に対して滑らかに変化する目標駆動力を設定することができる。したがって、要求駆動力の変化に伴う装置の振動を抑制することができる。また、滑らかに目標駆動力を変化させるから、要求駆動力に基づいて制御される内燃機関の運転ポイントの変更の遅れに伴う蓄電手段の充放電電力を小さなものにすることができる。この結果、蓄電手段の過充電や過放電を抑制することができる。さらに、電動機からの動力だけで駆動軸に駆動力を出力している状態から内燃機関を始動して内燃機関からの動力を用いて駆動軸に駆動力を出力する状態への移行も滑らかに行なうことができる。
【0020】
本発明の動力出力装置の制御方法において、前記ステップ(b)は、前記設定した要求駆動力の絶対値が小さいほど小さくなる傾向で単位時間当たりの目標駆動力の変化限界値を設定し、該設定した変化限界値の範囲内で前記目標駆動力を設定するステップであるものとすることもできる。こうすれば、要求駆動力が正負符号を変えるときに生じ得る装置の振動を抑制することができる。
【0021】
本発明の動力出力装置の制御方法において、前記ステップ(b)の前に、前記駆動軸の回転数を検出するステップを備え、前記ステップ(b)は、前記検出した前記駆動軸の回転数が大きくなるほど小さくなる傾向で単位時間当たりの目標駆動力の第2の変化限界値を設定すると共に該設定した第2の変化限界値の範囲内で前記目標駆動力を設定するステップであるものとすることもできる。これは、駆動軸の回転数が大きくなるほど同じ駆動力でも大きな動力が必要になることに基づく。即ち、駆動軸の回転数が大きいほど駆動軸に駆動力を出力するための動力の変化を制限するのである。これにより、蓄電手段の過充電や過放電をより抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0023】
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0024】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0025】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0026】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0027】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0028】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0029】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に運転者のアクセルペダル83の踏み込みに応じた駆動力を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する際の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば8msec毎)に繰り返し実行される。
【0030】
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。
【0031】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクT*とエンジン22から出力すべき要求パワーP*とを設定する(ステップS110)。要求トルクT*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクT*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクT*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーP*は、設定した要求トルクT*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものにバッテリ50の充放電要求量Pb*とロスとを加えたものとして計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じることによって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることによって求めることができる。充放電要求量Pb*は、バッテリ50の残容量(SOC)やアクセル開度Accなどによって設定することができる。
【0032】
要求トルクT*と要求パワーP*とを設定すると、設定した要求パワーP*を閾値Prefと比較する(ステップS120)。ここで、閾値Prefは、エンジン22の運転を停止してモータMG2から出力された動力だけで走行するモータ運転モードの範囲を設定するものであり、モータMG2の性能やバッテリ50の容量などにより設定することができる。要求パワーP*が閾値Prefより大きいときには、エンジン22から要求パワーP*を出力するためにエンジン22の目標パワーPe*に要求パワーP*を設定し(ステップS130)、要求パワーP*が閾値Pref以下のときには、モータ運転モードにするためにエンジン22の目標パワーPe*に値0を設定する(ステップS140)。
【0033】
目標パワーPe*を設定すると、設定した目標パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS150)。この設定は、目標パワーPe*に要求トルクT*が設定されているときには、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと目標パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図4に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと目標パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。一方、目標パワーPe*に値0が設定されているときには、目標回転数Ne*と目標トルクTe*のいずれにも値0が設定される。
【0034】
続いて、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する目標トルクTr*の所定時間(このルーチンの起動間隔時間)当たりの変化の上下限値であるトルク上下限値Trtを車速Vと前回このルーチンが実行されたときに設定された前回の目標トルクTr*とに基づいて設定する(ステップS160)。図5に車速Vと前回の目標トルクTr*とトルク上下限値Trtとの関係の一例を示し、図6に車速Vとトルク上下限値Trtとの関係の一例を示す。実施例では、トルク上下限値Trtは、図示するように、車速Vが大きくなるほど小さくなる傾向に、前回の目標トルクTr*の絶対値が小さくなるほど小さくなる傾向に、設定される。車速Vとトルク上下限値Trtとの関係は、トルクの変化に対して車速Vが大きい方が必要なパワーの変化が大きくなることに基づく。即ち、車速Vが大きいときには駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrも大きいから、目標トルクTr*の変化に対する必要なパワーも大きくなるからである。前回の目標トルクTr*とトルク上下限値Trtとの関係は、前回の目標トルクTr*の絶対値が小さいときには、変化の方向によっては目標トルクTr*が正負の符号を変える場合、即ちリングギヤ軸32aが駆動から制動へ変更する場合や制動から駆動へ変更する場合が生じる。リングギヤ軸32aのトルクが正負の符号を急激に変更すると、車両にマウントされている機器はそれに伴って振動する場合がある。実施例では、前回の目標トルクTr*の絶対値が小さいときにトルク上下限値Trtに小さな値を設定してリングギヤ軸32aのトルクの正負の符号の変更を緩やかに行なうことにより、マウントされている機器の振動を抑制するのである。
【0035】
こうしてトルク上下限値Trtを設定すると、次式(1)に示すように、前回の目標トルクTr*からトルク上下限値Trtを減じた値とステップS110で設定した要求トルクT*とのうちの大きい方と、前回の目標トルクTr*にトルク上下限値Trtを加えた値と、のうちの小さい方を目標トルクTr*として設定する(ステップS170)。即ち、要求トルクT*の変化の方向に対して前回の目標トルクTr*からトルク上下限値Trtの範囲内で目標トルクTr*を設定するのである。
【0036】
【数1】
Tr*=min(max(T*,前回Tr*−Trt),前回Tr*+Trt …(1)
【0037】
次に、ステップS150で設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(2)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(3)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS180)。なお、トルク指令Tm1*は、ステップS140で目標パワーPe*に値0が設定されたときには、式(3)に拘わらず値0が設定される。即ち、モータ運転モードではエンジン22は運転停止されるから、モータMG1からのトルクは不要となるのである。なお、式(2)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図5に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じたリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(2)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(3)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
【0038】
【数2】
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ−Nm2/(Gr・ρ) …(2)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*−Nm1)+k2∫(Nm1*−Nm1)dt …(3)
【0039】
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の出力制限Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tmaxを次式(4)により計算すると共に(ステップS190)、目標トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(5)により計算し(ステップS200)、計算したトルク制限Tmaxと仮モータトルクTm2tmpとを比較して小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する(ステップS210)。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する目標トルクTr*を、バッテリ50の出力制限の範囲内で制限したトルクとして設定することができる。なお、式(5)は、前述した図5の共線図から容易に導き出すことができる。
【0040】
【数3】
Tmax=(Wout−Tm1*・Nm1)/Nm2 …(4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(5)
【0041】
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*やモータMG1の目標回転数Nm1*およびトルク指令Tm1*,モータMG2のトルク指令Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS200)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、目標回転数Nm1*やトルク指令Tm1*,トルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0042】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクの所定時間当たりの変化を制限するトルク上下限値Trtを車速Vが大きいほど小さくなる傾向に求めて目標トルクTr*を設定するから、リングギヤ軸32aに出力するパワーの変化を滑らかなものとすることができる。この結果、リングギヤ軸32aに出力するパワーが急変することに基づいてモータMG2のトルク指令Tm2*が急変することによって生じ得るバッテリ50の過充電や過放電を抑制することができる。また、リングギヤ軸32aに出力するパワーの変化を滑らかなものにするから、エンジン22の始動を伴う加速においてもスムーズに加速することができる。
【0043】
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、トルク上下限値Trtを前回の目標トルクTr*の絶対値が小さいほど小さくなる傾向に求めて目標トルクTr*を設定するから、リングギヤ軸32aの駆動力の正負の切り替えを滑らかに行なうことができる。この結果、マウントされた機器が振動するのを抑制することができる。しかも、前回の目標トルクTr*が大きいときにはトルク上下限値Trtも大きく設定されるから、運転者が要求する駆動力が大きいときには迅速に目標トルクTr*を変化させることができる。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、トルク上下限値Trtを、車速Vが大きいほど小さくなる傾向に、且つ、前回の目標トルクTr*の絶対値が小さいほど小さくなる傾向に、設定するものとしたが、トルク上下限値Trtを前回の目標トルクTr*の絶対値に拘わらずに車速Vが大きいほど小さくなる傾向に設定するものとしたり、トルク上下限値Trtを車速Vに拘わらずに前回の目標トルクTr*の絶対値が小さくなるほど小さくなる傾向に設定するものとしてもよい。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0046】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図4】 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子を示す説明図である。
【図5】 車速Vと前回の目標トルクTr*とトルク上下限値Trtとの関係の一例を示す説明図である。
【図6】 車速Vとトルク上下限値Trtとの関係の一例を示す説明図である。
【図7】 動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。
【図8】 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図9】 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35,135 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b,64a,64b 駆動輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (11)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    操作者の操作に基づいて前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    所定時間毎に繰り返し前記設定された要求駆動力の変化に対して遅れ処理をもって目標駆動力を設定する際に、前記所定時間前に設定した目標駆動力に基づいて該所定時間当たりの目標駆動力の変化限界値を設定すると共に該設定した変化限界値の範囲内で目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
    前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関を制御すると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 前記目標駆動力設定手段は、前記所定時間前に設定した目標駆動力の絶対値が小さいほど小さくなる傾向で前記変化限界値を設定する手段である請求項記載の動力出力装置。
  3. 前記目標駆動力設定手段は、前記所定時間前に設定した目標駆動力に該所定時間当たりの前記変化限界値を前記設定された要求駆動力の変化の方向に加味した限界駆動力と該設定された要求駆動力とのうち目標駆動力としたときに変化が小さい方を前記目標駆動力として設定する手段である請求項1または2記載の動力出力装置。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置であって、
    前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
    前記目標駆動力設定手段は、前記回転数検出手段により検出された前記駆動軸の回転数に基づいて単位時間当たりの目標駆動力の第2の変化限界値を設定すると共に該設定した第2の変化限界値の範囲内で前記目標駆動力を設定する手段である
    動力出力装置。
  5. 前記目標駆動力設定手段は、前記駆動軸の回転数が大きくなるほど小さくなる傾向で前記第2の変化限界値を設定する手段である請求項記載の動力出力装置。
  6. 前記目標駆動力設定手段は、所定時間毎に繰り返し前記目標駆動力を設定する手段であって、前記所定時間前に設定した目標駆動力に該所定時間当たりの前記第2の変化限界値を前記設定された要求駆動力の変化の方向に加味した第2の限界駆動力と該設定された要求駆動力とのうち目標駆動力としたときに変化が小さい方を前記目標駆動力として設定する手段である請求項4または5記載の動力出力装置。
  7. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段である請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。
  8. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを有し該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する対回転子電動機である請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。
  9. 請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置を備え、前記駆動軸が機械的に車軸に接続されて走行する自動車。
  10. 内燃機関と、該内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)操作者の操作に基づいて前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定し、
    (b)所定時間毎に繰り返し前記設定した要求駆動力の変化に対して遅れ処理をもって目標駆動力を設定する際に、前記所定時間前に設定した目標駆動力に基づいて該所定時間当たりの目標駆動力の変化限界値を設定すると共に該設定した変化限界値の範囲内で目標駆動力を設定し、
    (c)前記設定された要求駆動力に基づいて前記内燃機関を制御すると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する
    動力出力装置の制御方法。
  11. 請求項12記載の動力出力装置の制御方法であって、
    前記ステップ(b)の前に、前記駆動軸の回転数を検出するステップを備え、
    前記ステップ(b)は、前記検出した前記駆動軸の回転数が大きくなるほど小さくなる傾向で単位時間当たりの目標駆動力の第2の変化限界値を設定すると共に該設定した第2の変化限界値の範囲内で前記目標駆動力を設定するステップである
    動力出力装置の制御方法。
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