JP3846166B2 - 水晶発振器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶発振器に係り、とくに、調整容易な小型化に好適な水晶発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水晶発振器は、比較的周波数特性精度の悪いものが使用されていたが、近年は通信機分野においては、小型で高精度な発振器の要求が増大しており、これに対応するために、高精度の発振器では、調整用の可変コンデンサを発振器用ICに外付けし、パッケージ化した後、可変コンデンサを調整して、周波数の調整を行っていた。図8に、従来の水晶発振器100の一例を示す。101は、発振器用IC,102は調整用可変コンデンサ、103は水晶振動子である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の発振器では、可変コンデンサが必要なため、部品点数が、増加し、コスト高になる。可変コンデンサには、調整部があるので、ある程度の大きさが必要であり、パッケージが大きくなリ、小型化が困難である。調整が、人為的に行われるので、煩雑であり、自動化が難しい。振動により、可変コンデンサの容量が変化し、周波数特性の信頼性が低い、などの問題があった。
そこで本発明は、上記問題点を解決し、小型で特性の安定した、調整が容易で安価な水晶発振器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、水晶発振子と、前記水晶発振子を発振させる発振回路と、前記発振回路の負荷容量を得るために選択的に接続される複数個の容量からなる容量アレイと、前記容量アレイを制御するためのデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に前記データを書込む書込み回路部とを有する水晶発振器において、前記記憶部をアンチヒューズにより構成すると共に、前記アンチヒューズと前記書込み回路を、同一の半導体基板上に、互いに異なるゲート酸化膜を有するMOSトランジスタとして形成し、前記容量アレイを制御するデータに対して、1ビットあたり3個ずつ割り当てられた前記アンチヒューズの出力をEXOR回路で処理して前記データとして生成するようにしたことを特徴とする水晶発振器である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、好ましい実施例により、図面を参照して説明する。
まず、本発明による水晶発振器の周波数調整の原理を説明する。
図7は、水晶振動子の周波数特性と負荷容量の関係を示すグラフ図である。
直線Aから分かるように、水晶振動子の周波数を所定の値f0にするには、所定の負荷容量C0を与えればよい。この関係は、水晶振動子毎に、異なるが、直線Aがグラフ上で上下する程度である。
【0007】
周波数の調整は、水晶発振器の製造検査時に、周波数を測定し、それを基に、それに対応する最適な負荷容量値を例えば、図7に従って計算し、補正データを決定する。その補正データを以下に説明するアンチヒューズで構成されたROMに書込み、通常使用時にはROMからのデータにより、容量の制御を行い高精度の発振周波数を得ることが出来るものである。
【0008】
次に、水晶発振器の構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の水晶発振器の一実施例を示す構成図である。
水晶発振器10は、PCインターフェース12、制御回路11、容量アレイ1、発振回路2、水晶振動子4、容量5、及び出力バッファ3より、構成されている。
周波数の分周が必要な場合には、さらに、分周回路が追加される。
【0009】
なお、水晶振動子4を除き、水晶発振器の構成部分は、すべて同一の半導体基板上に形成されている。
【0010】
制御回路11は、アンチヒューズ書込み回路9及び出力回路6より構成されている。
【0011】
図3は、アンチヒューズ書込み回路のブロック図である。
アンチヒューズ書込み回路9は、書込みトランジスタ34と、トランジスタ35、書込み制御トランジスタ36及びアンチヒューズ20より構成されている。
【0012】
書込み制御トランジスタ36のゲートは端子31に、ソースはアースに、ドレインはトランジスタ35のソース及び書込みトランジスタ34のゲートに、それぞれ接続されている。端子32は、書込みトランジスタ34及びトランジスタ35のドレインに接続されており、端子32には、外部電源8より、高い電圧cが供給されている。書込みトランジスタ34のソースは端子80及びアンチヒューズ20の端子67に接続されている。アンチヒューズ20の端子68は接地されている。
【0013】
次に、アンチヒューズ20の構造を説明する。
図2は、本発明の水晶発振器に係るアンチヒューズの素子断面図である。
アンチヒューズ20は、ROMの一種であり、CMOS技術を用いて、半導体基板上に形成されたものであり、ポリシリコンからなる電極26と、酸化膜24を介して、P型基板21中のPウエル中に形成されたN―CAP(N型注入の容量)27とつながるNSD(N channel Source Drain)25間とに、高電圧を印可すると、酸化膜24が破壊されて、導通し、その状態を保持するものである。書込み電圧を印可しなければ導通は取れず、絶縁されたままとなる。
【0014】
アンチヒューズ20の書込み(すなわち、導通させる)は、以下のように行われる。
PCインターフェース12より、Hレベルの書込み制御信号aが、端子31よりアンチヒューズ書込み回路内の書込み制御トランジスタ36のゲートに入力されると、書込み制御トランジスタ36がONとなり、書込みトランジスタ34のゲートが接地電位となり、ONする。ここで、パルス状の例えば17V〜20Vの高電圧が端子32より印可されると、アンチヒューズ20の端子67にこの電圧が生じ、酸化膜24が破壊されて、アンチヒューズ20が導通する。一旦導通すると、書込み制御信号aの端子80よりLレベルの信号dが常に出力する。
【0015】
なお、書き込み制御信号aがLレベルの場合、書込み制御トランジスタ36がOFFのため、書込みトランジスタ34のゲート電圧はトランジスタ35にプルアップされ、端子32と同電位となり、この状態では、端子32に書込み電圧が印可されても書込みトランジスタ34が動作しないので、アンチヒューズ20への書き込みが行われない。
【0016】
また、PCインターフェース12は外部のPCからアンチヒューズ20への書込み(すなわちデータの書込みとなる)を行う場合の制御回路であり、正常に書込まれたかなどのチェックもこの回路を通して行うことが出来るようになっている。
【0017】
アンチヒューズ書込み回路9の出力は、例えば8ビット構成になっており、対応するアンチヒューズ20が書込まれていれば、Lレベルの信号dが、書込まれていなければHレベルの信号dが出力回路6に出力される。
【0018】
図6は、本発明の水晶発振器に係る出力回路のブロック図である。
ここで、アンチヒューズ20には、データ1ビットあたり、3個のアンチヒューズが割り当てられており、3個のアンチヒューズを順次書込むことにより、1ビットの信号を、2回までは、出力回路6を用いて、修正できるようになっている。
【0019】
すなわち、出力回路6は、EXOR回路84,85を組合わせて、3入力1出力としてある。端子81につながるアンチヒューズ20のみ、書込まれていれば、
端子60からの出力信号eは1となり、さらに、端子82につながるアンチヒューズ20も、書込まれていれば、出力信号eは0となり、変更することができる。
【0020】
出力回路6からの出力信号eは、8ビットあり、容量アレイ1に入力される。
図5は、本発明の水晶発振器に係る容量アレイを示す構成図である。
容量アレイ1は、図5には、一部しか図示されていないが、8ビット分の容量51、52、53、54、55、…、56と、これを選択する選択トランジスタ41、42、43、44、45、…、46から構成されている。
【0021】
ここで、それぞれ端子61、62、63、64、65、…、66から入力される、アンチヒューズ20の書込みに対応した信号eにより、選択トランジスタ41、42、43、44、45、…、46を選択的に動作させて、容量を選択組合せて、最適な負荷容量を得、端子70よりfとして発振回路2に出力する。
例えば、求める負荷容量が、容量52と容量53の和であれば、選択トランジスタ42と選択トランジスタ43を選択すればよい。
このように、予め選択する容量のデータを、アンチヒューズ書込み回路9に記憶しておき、このデータで容量アレイ1を制御して、負荷容量を精密に決定することができる。
【0022】
なお、選択した結果が、調整が不充分と判断される場合には、出力回路6によって、1ビットにつき2回までは、書込みの修正ができるので、これを用いて、水晶発振器において、精密な負荷容量の決定ができ、精密な周波数を得ることができる。
【0023】
ところで、アンチヒューズ20は、書込みトランジスタ34などと同一の半導体基板上に形成される。アンチヒューズ20は、厚さ9nmのゲート酸化膜24(第2図)を有する、低耐圧トランジスタとなっており、一方、アンチヒューズ書込み回路9を構成する3個のトランジスタ34、35、36は、厚さ35nmのゲート酸化膜を有する、高耐圧トランジスタとなっている。
【0024】
また、容量アレイ1、発振回路2、出力バッファ3、PCインターフェース12は、高速動作の必要と素子面積低減のため、アンチヒューズと同様、9nm厚さのゲート酸化膜を有する低耐圧トランジスタより構成してある。
【0025】
このように、高耐圧と低耐圧トランジスタが混在しているが、その形成プロセスを以下説明する。
図4は、本発明の水晶発振器に係るLSIの工程プロセス図である。
ここでは、低耐圧トランジスタの0.6μmルールのCMOSプロセスを基本とし、そこに、高耐圧トランジスタ用のプロセスを追加したものである。
【0026】
図4の(A)に示すように、半導体基板としては、P型基板21を使用し、所定領域に不純物のイオン注入及び1150℃のドライブインを行い、Pウエル22、Nウエル28、28’を形成する。ここで、高耐圧と低耐圧トランジスタのNウエル28、28’を別にすることにより、2種類の電圧印可を可能とした。
【0027】
次に、図4の(B)に示すように、厚さ30nmの酸化膜を形成後、その上に、SiN膜をCVDにより形成し、所定領域をフォトリソ後エッチング除去し、その箇所にフィールド酸化膜23を700nmの厚さにLOCOS形成する。さらに、30nm厚さの酸化膜をエッチング除去し、高耐圧トランジスタ用の厚さ35nmのゲート酸化膜29を形成する。
【0028】
次に、図4の(C)に示すように、予め回路設計された定められた領域のPウエル、Nウエルを問わず、低耐圧トランジスタとなる部分のゲート酸化膜29のみエッチング除去し、そこに低耐圧トランジスタ用の9nm厚さのゲート酸化膜15を形成する。アンチヒューズ20もこの9nm厚さの酸化膜を使用する(左端部)。
【0029】
次に、図4の(D)に示すように、厚さ300nmのリンドープポリシリコン膜を形成し、フォトリソ後エッチングし、所定のトランジスタ用ゲート電極16とアンチヒューズ用電極26を形成する。
【0030】
次に、図4の(E)に示すように、NLD(N channel Lightly Doped drain)14、PLD(P channel Lightly Doped drain)18を注入形成後、CVDとエッチバックにより、サイドスペーサを形成し(図示せず)、NSD(N channnel Souce Drain)13、PSD(P channel Souce Drain)17の注入を行い、アンチヒューズ20とトランジスタ34等を形成する。
ここで、図4の(D)及び(E)に示す工程に関しては、通常のCMOS工程と特に変わる所はない。この後、層間膜を形成し、配線工程になるが、これらは通常のCMOS工程と同じであるので説明を省略する。
【0031】
以上、同一の半導体基板上に、水晶振動子を除く、水晶発振器を構成するすべての回路を形成できる。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、発明によれば、容量アレイを制御するためのデータを記憶する記憶部をアンチヒューズより構成すると共に、前記記憶部に前記データを書込む書込み回路部と前記アンチヒューズとを同一の半導体基板上に、互いに異なるゲート酸化膜を有するMOSトランジスタとして形成したので、外付け部品を必要とせず、小型で安価な、調整の容易な水晶発振器を提供できるという効果がある。
【0033】
また、発明によれば、前記容量アレイを制御するデータに対して、1ビットあたり3個つ割り当てられた前記アンチヒューズの出力をEXOR回路で処理して前記データとして生成するようにしたので、上述の効果に加え、極めて精密な調整が可能な水晶発振器を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水晶発振器の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の水晶発振器に係るアンチヒューズの素子断面図である。
【図3】アンチヒューズ書き込み回路のブロック図である。
【図4】本発明の水晶発振器に係るLSIの工程プロセス図である。
【図5】本発明の水晶発振器に係る容量アレイを示す構成図である。
【図6】本発明の水晶発振器に係る出力回路のブロック図である。
【図7】水晶振動子の周波数特性と負荷容量の関係を示すグラフ図である。
【図8】従来の水晶発振器を示す図である。
【符号の説明】
1…容量アレイ
2…発振回路
3…バッファ
4…水晶発振子
5…容量
6…出力回路
8…外部電源
9…アンチヒューズ書込み回路
10…水晶発振器
11…制御回路
12…PCインターフェース
15…(低耐圧トランジスタ用)酸化膜
20…アンチヒューズ
21…基板
29…(高耐圧トランジスタ用)酸化膜
34…書込みトランジスタ
35…トランジスタ
36…書込み制御トランジスタ
41、42、43、44、45、…、46…選択トランジスタ
51、52、53、54、55、…、56…容量
84,85…EXOR回路

Claims (1)

  1. 水晶発振子と、前記水晶発振子を発振させる発振回路と、前記発振回路の負荷容量を得るために選択的に接続される複数個の容量からなる容量アレイと、前記容量アレイを制御するためのデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に前記データを書込む書込み回路部とを有する水晶発振器において、
    前記記憶部をアンチヒューズにより構成すると共に、前記アンチヒューズと前記書込み回路を、同一の半導体基板上に、互いに異なるゲート酸化膜を有するMOSトランジスタとして形成し、
    前記容量アレイを制御するデータに対して、1ビットあたり3個ずつ割り当てられた前記アンチヒューズの出力をEXOR回路で処理して前記データとして生成するようにしたことを特徴とする水晶発振器。
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