JP3844317B2 - ノイズ吸収コア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁雑音防止装置に関し、特にケーブルの周囲に装着されてケーブルを伝播する電磁雑音を吸収、除去するノイズ吸収コアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル電子機器をはじめ高周波を利用する電子機器類の普及が進み、中でも準マイクロ波帯あるいはマイクロ波帯を使用する移動体通信機器類の普及がめざましい。このような、携帯電話に代表される移動体通信機器では、高速動作化が図られているため、線間結合の増大化や放射ノイズによる干渉等が生じ、機器の正常な動作を妨げる、いわゆる高周波電磁障害が少なからず生じている。
【0003】
電子機器等の接続ケーブルを伝播する電磁雑音も上記した高周波電磁障害の原因となっているが、従来、その電磁雑音を吸収、除去する電磁雑音防止装置として、実開平2−110398号公報に示すような構造のものが知られている。その従来のノイズ吸収コアについて具体的に図5を参照して説明する。ノイズ吸収コアは、フェライト等の焼結体からなる二つの分割筒状磁性体101,101′と、分割筒状磁性体101,101′を収納するプラスチックケース部102によって構成されている。プラスチックケース部102に係合用突起部103を設け、分割筒状磁性体101,101′を収納した状熊で係合用突起部103を係合用凹部104に係合することにより、ノイズ吸収コアをケーブルに固定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の雑音防止装置は、フェライト等の二つの分割筒状磁性体が焼結体であるため、作業中の落下や設置の際の接触等による割れ及びかけの問題がある。更に焼結体であるため大きくなればそれだけ重さも無視できなくなる。
【0005】
また前述の分割された筒上磁性体を保持するために、通常係合用突起部を設けたプラスチックケースを用いるが、開閉を繰り返すたびにプラスチックケースの係合部が劣化し前記筒状磁性体を保持するにはゆるみが生じる。更に従来の分割コアでは接触面が鏡面研磨処理されていないため、接触面で空隙が生じ、理想的な閉磁路を実現することが困難である。
【0006】
本発明の目的は、上記した問題点を解消し、軽量化、小型化が図れ、磁気効率の向上が図れるノイズ吸収コアを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、軟磁性粉末とゴム硬度が60以下の有機結合剤及び架橋剤からなる一対の半分割コアであって、該一対の半分割コアを接合させ、熱処理を施すことにより架橋させて電気機器または電子部品のケーブルの外周部を密着包囲して固定されてなる電磁干渉を抑制することを特徴とするノイズ吸収コアが得られる。
【0009】
さらに、本発明によれば、前記軟磁性粉末が偏平なFe−Al−Si合金粉末であり、前記有機結合剤がエラストマーであることを特徴とするノイズ吸収コアが得られる。
【0010】
さらに、本発明によれば、前記一対の半分割コアを接合する際、その接合部分にかかる圧力が0.1〜0.5kg/cm2 であることを特徴とするノイズ吸収コアが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態によるノイズ吸収コアのケーブルへの装着例を示した図である。図1に示すように一対の半分割コア1,1′をケーブルに嵌め込み、その外周部にさらにゴム状の一対の半分割固定ケース2,2′を被せる。半分割固定ケース2の両端部内側にはその長手方向に沿って第1の係合突起部3が延在している。半分割固定ケース2′の両端部外側にはその長手方向に沿って第2の係合突起部4が延在している。一対の半分割固定ケース2,2′を一対の半分割コア1,1′に被せた後、第1の係合突起部3を第2の係合突起部4に係合して一対の半分割コア1,1′をケーブルに固定させる。この二分割された半分割コア1,1′の接合平面部は弾性状であり、しかも一対の半分割固定ケース2,2′に設けられた係合突起部を用いて、そのゴム弾性を利用して保持されるため、半分割コア1,1′の接合平面部の密着性は非常に高いものとなる。
【0012】
上記した一対の半分割コア1,1′は、少なくとも軟磁性粉末と有機結合剤からなり、電気機器又は電子部品のケーブルの外周部を密着して包囲可能なように一対の半分割コアを接合させてなる分割筒状の複合磁性体である。
【0013】
この分割筒状磁性体は、以下のように絶縁性軟磁性体と有機結合剤を用いて作成される。平均粒径10μm、アスペクト比5以上の異方性磁界を有するFe−Al−Si合金からなる偏平軟磁性粉末85重量部を、硬度60のエラストマー15重量部を混合して作成する。
【0014】
上記混合して作成されたものに熱プレスを用いて二分割の筒状磁性体、すなわち一対の半分割コア1,1′を形成する。この分割筒状磁性体は、密度で3〜4g/cm2 であり従来品よりも20%軽量であった。
【0015】
次に、分割筒状磁性体をケーブルに保持させる第2の実施の形態を図2(a)を参照して説明する。本実施の形態では、一対の半分割固定ケースを用いずに図1の半分割コア1,1′の接合される平面部の長手方向に沿ってカットして、それぞれ係合凹部5,係合凸部6を形成する。後はこの半分割コアをケーブルに嵌め込み、係合凹部5と係合凸部6を係合させる。
【0016】
次に、分割筒状磁性体をケーブルに保持させる第3の実施の形態を図2(b)を参照して説明する。本実施の形態では、図1の半分割コア1の接合される平面部の長手方向前半部に沿って、かつ厚み方向内側をカットして、第1の切り欠きを形成し、長手方向後半部に沿って、かつ厚み方向外側をカットして、第2の切り欠きを形成し、半分割コア1′の接合される平面部の長手方向前半部に沿って、かつ厚み方向外側をカットして、第3の切り欠きを形成し、長手方向後半部に沿って、かつ厚み方向内側をカットして、第4の切り欠きを形成し、前記第1乃至第4の切り欠きを対応する相手側の凸部に嵌合させて、ケーブルを挟んで一対の半分割コアが互いに接合される。
【0017】
なお、上記した第2及び第3の実施の形態では、分割筒状磁性体を用いたが、ケーブルの外形にあわせて、任意にケーブルとの接合面の形状を変えてもかまわない。例えば、ケーブルが断面四角形状である場合には、図3に示すような形状の半分割コアを用いる。
【0018】
上記した実施の形態に係る分割筒状磁性体は絶縁性軟磁性体と有機結合剤を用いて構成されていたが、これにさらに架橋剤(架橋助剤)を混合させてもよい。例えば、平均粒径10μm、アスペクト比5以上の異方性磁界を有するFe−Al−Si合金からなる偏平軟磁性粉末83.7重量部と、硬度60のエラストマー14.8重量部及び架橋剤1.5重量部を混合して作成する。
【0019】
尚、上記配合において、架橋助剤を加えれば、さらに架橋物の物性特性の改善が図れるが、入れなくても本発明の効果は得られる。
【0020】
次に、前記架橋剤をさらに加えた場合のノイズ吸収コアの架橋処理について述べる。図4に示すように、ゴム成分が焼き付くことのない温度、例えば100℃でプレス機7で縦方向にプレスして二分割の筒状磁性体を形成する。この後、ドライヤー等の加熱板8からの180℃の熱風にて加熱して、架橋処理が終了する。このように架橋させることで分割コアを固定でき、かつケーブルの屈曲に対する耐久性が向上する。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の焼結体と比較し、作業中の落下や設置の際の接触等による割れ及びかけの問題が解消され、重さでも20%の軽量化ができる。
【0022】
又、本発明によれば、分割された場合の接触面にて、密着されて固定できるため、反磁界を減少させ磁気効率を向上させることができる。
【0023】
又、本発明によれば、分割された筒状磁性体がケーブルを保持するため、係止用突起部を設けたプラスチックケースを用いていた従来技術に比較して部品管理の向上及び製造工程の削減による製造コストの削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のノイズ吸収コアの第1の実施の形態を示し、(b)はノイズ吸収コアのケーブルへの固定方法を示した図である。
【図2】(a)は本発明のノイズ吸収コアの第2の実施の形態を示した図であり、(b)は本発明のノイズ吸収コアの第3の実施の形態を示した図である。
【図3】本発明のノイズ吸収コアの第4の実施の形態を示した図である。
【図4】架橋剤をさらに加えた場合のノイズ吸収コアのケーブルへの固定方法を説明するための図である。
【図5】従来のノイズ吸収コアの構造を示した図である。
【符号の説明】
1,1′ 半分割コア
2,2′ 半分割固定ケース
3 第1の係合突起部
4 第2の係合突起部
5 係合凹部
6 係合凸部
7 プレス機
8 加熱板
Claims (3)
- 軟磁性粉末とゴム硬度が60以下の有機結合剤及び架橋剤からなる一対の半分割コアであって、
該一対の半分割コアを接合させ、熱処理を施すことにより架橋させて電気機器または電子部品のケーブルの外周部を密着包囲して固定されてなる電磁干渉を抑制することを特徴とするノイズ吸収コア。 - 前記軟磁性粉末が偏平なFe−Al−Si合金粉末であり、前記有機結合剤がエラストマーであることを特徴とする請求項1記載のノイズ吸収コア。
- 前記一対の半分割コアを接合する際、その接合部分にかかる圧力が0.1〜0.5kg/cm2 であることを特徴とする請求項1又は2記載のノイズ吸収コア。
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JP23092997A JP3844317B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | ノイズ吸収コア |
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JP23092997A Expired - Fee Related JP3844317B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | ノイズ吸収コア |
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1997
- 1997-08-27 JP JP23092997A patent/JP3844317B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1174673A (ja) | 1999-03-16 |
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