JP3844266B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平均誤差最小法または誤差拡散法を用いて、多階調画像データを2値化する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に多階調画像データを、2値出力のみ可能なプリンタ装置に出力する場合や、保存容量を低減し、転送速度を高速化するためにデータ容量を減少させるために、各画素の階調数を減らす2値化処理が行われている。この2値化の手法には、各種の方法があるが、その中でも高解像度でかつ連続的な階調制御が可能な優れた特性を持つ誤差拡散法や平均誤差最小法が広く用いられている。
特に近年パーソナル向けとして大幅に生産台数を伸ばしている安価なインクジェット方式のプリンタではこれらの方式を2値化手法として採用している場合が多い。
ここで、誤差拡散法とは、ある画素の2値化時に生じた量子化誤差を、周辺のまだ2値化していない画素へ重み付けをして拡散分配するものである。また、平均誤差最小法とは、周辺の2値化済みの画素に生じた量子化誤差の重み付き平均値により、注目画素の画像データ値を補正するものである。誤差拡散法と平均誤差最小法は、誤差の拡散作業をいつ行うかが異なるだけであり、論理的には等価なものである。
【0003】
これら誤差拡散法や平均誤差最小法の手法に関する技術としては、特開平7−226841号公報に記載の発明が公知である。一般的な平均誤差最小法の手法は、注目画素の多階調画像データを、既に2値化した周辺画素の重み付き誤差分を加算して補正し、その補正値を予め設定された閾値によって2値化するものである。その際に発生する誤差はまだ2値化されていない周辺画素に拡散されることになる。まず、注目画素に対応する誤差の算出方法について説明する。
なお、説明に際して、画像の主走査方向は向かって左から右へ走査されるものとし、副走査は上から下へ走査されるものとする。図3のマトリクスはウェイトマトリクスと呼ばれるものの一例である。
【0004】
図3の*は注目画素を示し、2値化済みの画素から算出された誤差に、対応するマトリクスの重み付き係数を掛け、2値化済みの周辺画素の誤差の合計を算出する。次にウェイトマトリクスの重みを全て加算した合計値で除算される。よって、2値化済みの周辺画素の誤差を正規化し、注目画素の画像データを補正する誤差を算出することになる。以上のことを式に表すと下式のようになる。
xy=dxy+Σ〔ex+i,y+j ・wi,j /Σwi,j
但し、x,y:注目多階調画素座標、i,j:ウェイトマトリクス座標(但し、注目画素を’0,0として左、上方向はマイナス)
xy :注目画素の画像データ
x+i,y+j :周辺画素の誤差分
ij :ウェイトマトリクスの係数
xy :補正データ
【0005】
次に、2値化方法について説明する。前式の補正画素データDxyを予め設定された閾値Tにより2値化する。2値化方法は、DxyがTよりも小さい場合、出力データを0、DxyがT以上の場合出力データを1とする。なお、ここではDxy=Tの場合出力データを1としているが、0としても出力画像はほとんど変わらない。
これらを式に表すと以下の用になる。
IF Dxy<T
THEN Oxy=0
ELSE Oxy=1
但し、T:閾値
xy:出力2値データ
【0006】
最後に、注目画素の誤差の算出方法について説明する。補正データDxyと出力データOxyにより注目画素における誤差分を計算する。一般的にOxyの値が0であった場合、Dxyそのものが誤差となり、Oxyの値が1であった場合、Dxyから、入力画像データにおける最大値が減算された値が誤差となる。これらを式で表すと以下のようになる。
xy=Dxy−Oxy・dmax
但し、dmax :入力画像データの最大値
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
理論的にはこれらの方法により、画像全体の濃度情報が入力画像と出力画像で保存された2値化処理を行うことが可能となるのである。
前述してきたように平均誤差最小法や誤差拡散法は、2値化処理法として優れた特徴を有するが、特開平7−226841号公報でも述べられているように、2値化によって形成されるドットの密度が疎な場合に、「ドットが均一に分散されず、不均一に連なったドットが形成され、画質劣化を生じる」という問題点がある。一般的に「ウォーム」(worm)等と呼ばれている。
ここで、ドットが疎な場合というのは、画像の光学濃度が低い部分のことである。例えば画像データが8ビットであり、白データを0、黒データを255とした場合、濃度の低い部分とは0に近い数字(0データ部はドットを打たない)の画像データ部であり、この部分を平均誤差最小法や誤差拡散法にて処理を行うと、黒ドットがまばらに存在することになる。図4に、従来の平均誤差最小法または誤差拡散法により低濃度部を処理した出力画像の例を示す。
【0008】
前述の特開平7−226841号公報においては、この問題をウェイトマトリクス(この公報においては誤差拡散マトリクスとしている)サイズを大きくすることによって改善している。しかし、本発明者の実験においては、ウェイトマトリクスサイズを大きくすることによって多少の改善はされるものの、依然としてウォームは存在していた。
また、たとえ画像の一部にのみ大きなサイズのウェイトマトリクスを使用するアルゴリズムにおいても、平均誤差最小法や誤差拡散法の処理をハードウェアにて構成した場合に、誤差を記憶するメモリ量が増えるためにコストアップにつながってしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の第1の目的は、ドット密度が疎な場合にドット分散効果が高く、コストアップに繋がらない平均誤差最小法または誤差拡散法により多階調画像データを2値画像データヘ変換する画像処理装置を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、本発明をハードウェアにて実現した場合において、コストを低く押さえる画像処理装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、本発明をソフトウェアにて実現した場合における処理速度を高速にする画像処理装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、多階調画像データを平均誤差最小法または誤差拡散法により2値画像データへ変換する画像処理装置であって、注目画素の多階調画像データに、周辺の既に2値化済みの画素から得られた誤差値にもとづく値を加えて補正し、補正画像データとして出力する画像データ補正手段と、予め設定された閾値と前記画像データ補正手段による補正画像データを比較して2値画像データへ変換する2値化手段と、前記補正画像データと前記2値化手段による2値化結果により誤差を演算する誤差演算手段と、予め設定された判定値と前記注目画素の多階調画像データの値を比較することにより、前記誤差演算手段により演算された誤差値を補正するか否かを判定する判定手段と、前記2値化手段による2値化結果がオンでかつ前記判定手段にて補正が必要と判断された場合には、予め設定された補正数値を用いて前記注目画素の誤差値及び既に得られている該注目画素の周辺の画素の誤差値を、それぞれ所定値によって補正して誤差値とする誤差補正手段と、 前記2値化手段による2値化結果がオフまたは、前記判定手段にて補正が必要でないと判定された場合は、前記補正画像データと2値化結果による誤差値をそのまま当該注目画素の誤差値とし、並びに前記誤差補正手段で補正された場合は、補正された誤差値を、前記注目画素及び周辺の画素の誤差値として記憶する誤差記憶手段と、を備え、前記画像データ補正手段は、誤差記憶手段に記憶されている誤差値にもとづく値を加えて補正をすることにより前記第1の目的及び前記第3の目的を達成する。
【0011】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記誤差補正手段は、誤差値を減算する手段であることにより前記第1の目的を達成する。
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記誤差補正手段による誤差値の補正は、注目画素と同一ラインの画素にのみ行われることにより前記第2の目的を達成する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1ないし図17を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における平均誤差最小法処理部の構成図である。本実施の形態では、画像データの処理は、画像データの向かって左側上部を起点として、主走査(横)方向へ処理が進み、1ライン分の処理が終了すると次ラインの処理(副走査方向への処理)が行なわれる。
以下同図における構成要素を説明する。多階調画像データ出力手段1は入力多階調画像データdxyが出力され、加算手段2は入力画素の補正値であるExyと入力多階調画像データdxyを加算し補正画像データDxyを算出する。2値化手段3は補正画像データDxyと閾値Tを比較し、2値化処理を行う。閾値発生手段4は閾値Tを発生させ、誤差算出手段5は補正画像データDxyと2値化結果Oxyより画素座標(x,y)で表される注目画素の誤差を算出する。
【0013】
また、誤差値補正手段6は2値化結果Oxyの結果をもとに注目画素および、注目画素の左側の画素の誤差値を補正し、誤差記憶手段7は算出された誤差exyを格納する。重み発生手段8はウェイトマトリクスを格納しその重みWijを発生させ、補正値演算手段9は周辺画素の誤差ex+i,y+j と重みWijを積和演算すると共に、FLGの状態を判定し、入力多階調画像データの補正値(注目画素の右側の誤差値)を補正する。
【0014】
図2は本実施の形態のシステムの構成例を表した図である。本実施の形態においては、平均誤差最小法処理部をホストコンピュータ21内に備えており、この場合平均誤差最小法処理はホストコンピュータ21にソフトウェアにより処理され、2値画像出力プリンタ22へ転送されて2値画像が出力される。なお、このようなシステム構成は、コスト的に有利な方法でありパーソナル向けのインクジェトプリンタ等に多く使用されている。また、システム構成は他にもさまざまな構成が可能である。
【0015】
図3は本実施の形態におけるウェイトマトリクスである。前述したように、*は注目画素を表す。
同図における数値が、対応する画素の誤差の重みである。なお、ウェイトマトリクスはさまざまな構成が可能である。
【0016】
図6、図7は本実施の形態における平均誤差最小法の手順を示したフローチャートである。処理に先立ち主走査方向の画素カウンタxおよび副走査方向のラインカウンタyを初期値”0”とし、FLGを初期化する(ステップ10)。次に、補正値演算手段9により、誤差記憶手段7より読み出された2値化済みの画素の誤差e’x+i,y+j と対応する、重み発生手段8より読み出されたウェイトマトリクスの重みを乗算し、各々を加算し、ウェイトマトリクスの重みの合計にて除算して、補正値Exyを算出する(ステップ11)。Exyは図3のウェイトマトリクスを使用して展開すると、
【0017】
【数1】
Exy=(ex-1,y-1 ×1+ex,y-1 ×2+ex+1,y-1 ×1+ex-1,y ×2)×1/6
【0018】
となる。
ここでもし、FLGが0でない場合は(ステップ12;N)、予め定められた数値VをExyより減算し(ステップ13)、FLGを1減算する(ステップ14)。これは、以前に走査された画素の2値化結果Oxyが1(オン)であった場合の、その右側の画素の誤差値の補正と等価である。なお、本実施の形態においては、入力多階調画像データの補正値に補正を行っているが、入力多階調画像データに同様に補正を行っても同様の結果を得ることができる。
【0019】
次に、入力多階調画像データdxyと補正値Exyを加算手段2により加算して補正データDxyを算出する(ステップ15)。
次に、2値化手段3によって補正画素データDxyを予め設定された閾値Tにより2値化する(ステップ16)。2値化方法は、DxyがTよりも小さい場合(ステップ16;Y)、出力2値画像データOxyを0(ステップ17)、DxyがT以上の場合(ステップ16;N)出力2値画像データOxyを1とする(ステップ18)。
続いて、誤差演算手段5により補正画素データDxyと出力2値画像データOxy、および予め定められた値Bにより注目画素における誤差exyを計算する(ステップ19)。なお、Bは通常入力階調の最大値のデータ(黒)と同一の値となる。例えば入力多階調画像データが、8ビットだとするとBは255となる。
【0020】
次に、誤差補正手段6は2値化結果Oxyが0(ドットオフ)の場合は(ステップ20;N)、exyの値をそのまま補正誤差値e’xyとして誤差記憶手段7に格納し(ステップ22)、Oxyが1(ドットオン)の場合は(ステップ20;Y)、注目画素の誤差値であるexyと共に、予め定められたC個分の、注目画素の左側の(注目画素以前に走査された)画素において算出された誤差ex-k(この場合kは1〜Cの自然数となる。なお、0を含めると注目画素の誤差をも含めることになる)から前述のVを減算し、補正誤差値e’x-kとする(ステップ23)。
これにより、注目画素と注目画素の左側の部分の誤差値の補正を行ったことになるが、前述の注目画素の右側の誤差値を補正するためにFLGにCの値をセットする(ステップ26)。
【0021】
続いて、主走査方向の画素カウンタxをインクリメントする(ステップ27)。これで1画素分の処理が終了である。1画素分の処理が終了すると、主走査1ライン分の処理が終了したか判断し(ステップ28)、終了していなければ(ステップ28;N)、次(右隣)の画素の処理を行う。もし、先ほどの判断により主走査1ライン分の処理が終了していれば(ステップ28;Y)、ラインカウンタyをインクリメントし(ステップ29)、副走査方向の処理が終了したかどうか判断する(ステップ31)。
もし、終了していなければ(ステップ31;N)、FLGの値をクリアし、次(下段)のラインの処理を行い、全てのラインの処理が終了していればこの画像の処理は終了となる。
【0022】
以下、本実施の形態の有効性を詳細に説明する。図8に低濃度部において通常の平均誤差最小法処理を施した時の、誤差の分布を示してある。この図における平均誤差最小法処理は、図3に示したウェイトマトリクスを使用し、入力多階調画像データを8ビットとして図中全画素の入力多階調データ値を2、閾値を128とした。誤差はその値によってパターンに分けて示している。なお、この図の場合も紙面上向かって左上から横方向に主走査を行い、下方向へ副走査が行われる。
図中最小の楕円の画素(誤差値−150〜−100の楕円)が2値化結果が1(オン)となった画素である。このように低濃度部における2値化結果が1となった場合の誤差は、入力多階調画像データ値が低いため、大きなマイナスの誤差が出力される。そのため、平均誤差最小法は、その方法自体に、低濃度部では、ドットの周辺にドットが打たれる(ドットが集中する)のを防ぐ働きがある。
【0023】
ところで、図8より、左から右へ主走査を行う通常の平均誤差最小法処理においては、負の誤差の影響は右斜め下方向へ強く現れ、左方向はあまり影響を与えないことが分かる。このため、ドットが打たれた画素の左側には、大きな誤差が残り、ドットが打たれ易い状況が残る。結果的に、図4に示したように、左斜め下方向へドットが連なる現象が起こり、画像品質を低下させていた。
しかし、本実施の形態によれば、多階調画像データを平均誤差最小法により2値画像データへ変換する画像処理装置において、注目画素の2値化結果が1(オン)となった場合に、注目画素の、左右の複数の画素の誤差値を減算して補正し、注目画素の左側にも負の誤差の影響を与えているので、2値化によって形成されるドットの密度が疎な場合においても、ドットの分散性の良い、図5に示したような画像が得られる。
【0024】
この説明においては、補正画素数C(ドットが打たれた場合の総補正画素数は2C+1となる)補正数値Vについて明確な数値を示していないが、これらは、実験により画像を出力して、定めていくのが望ましい。実験においては、これらの数値が、小さい状態では、効果が低く、大きくすると効果が大となり、あまり大きくし過ぎると、過補正となることが確認されている。また、これらの数値はウェイトマトリクスの種類、大きさ等によっても効果が変化するため、本実施の形態のそれぞれの系によって最適値を実験により求めていくのが望ましい。
なお、本実施の形態では平均誤差最小法にて行う方法であったが、これが誤差拡散法を使用しても、理論的に効果は等価であり、本実施の形態は平均誤差最小法と誤差拡散法の違いによって制約を受けるものではない。また、平均誤差最小法および誤差拡散法には閾値にランダムノイズを重畳したり、ディザマトリクスを使用して閾値を変化させる方法、ラインの処理方向を互い違いに行う方法等が行われているが、本実施の形態はいずれの場合にも対応し、それらの平均誤差最小法または誤差拡散法の付加手法によって制約を受けない。
【0025】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、ソフトウェアによって平均誤差最小法を実現する方法を説明したが、この実施の形態においてはハードウェアにて平均誤差最小法を実現する方法を述べる。
図9は本実施の形態のシステムの構成例を示した図である。本実施の形態においては、平均誤差最小法処理部を2値画像プリンタ24内にハードウェアにより備えた例であり、ホストコンピュータ23は例えばポストスクリプトのようなページ記述言語等により2値画像出力プリンタ24と通信を行い、2値画像出力プリンタ24側ではそれを展開し、平均誤差最小法処理を施して2値画像を出力する。
【0026】
このようなシステム構成は高速性に有利な方法で、電子写真方式等のプリンタ装置に多く用いられる。なお、システム構成は他にもさまざまな構成が考えられる。
本実施の形態の概略の構成は、図1に示す第1の実施の形態の場合と同様である。誤差演算手段5、誤差値補正手段6、誤差記憶手段7、補正値演算手段9について以下詳細な構成図により説明する。
図10は、誤差演算手段5の構成図である。以下同図における構成要素を説明する。加算器31は補正画像データDxyと−255を加算し、セレクタ32は2値化結果Oxyの結果が1(ドットオン)の場合加算器31の出力値を選択し、2値化結果Oxyの結果が0(ドットオフ)の場合補正画像データDxyを選択し誤差値exyとして出力する。
【0027】
図11は、誤差値補正手段6の構成図である。以下、同図における構成要素を説明する。フリップフロップ41〜44は、誤差値eをラッチする。図中簡略化してあるが本実施の形態におけるフリップフロップ41〜44は予め定められた数C個存在し、C画素分の誤差eのシフトレジスタとして使用している。
加算器45は誤差値ex-c,y と予め定められた数−Vを加算し、セレクタ46はFLGが0(オフ)であった場合誤差値ex-c,y を選択し、FLGが1(オン)であった場合誤差値ex-c,y と−Vの加算結果を選択し補正誤差値e’x-c,y として出力する。
【0028】
加算器47は注目画素の誤差値exyと−Vを加算し、セレクタ48は2値化結果Oxyの結果が0(ドットオフ)であった場合誤差値exyを選択し、2値化結果Oxyの結果が1(ドットオン)の場合誤差値exyと−Vの加算結果を選択し補正誤差値e’xyとして出力する。
カウンタ49は、2値化結果Oxyの結果が1(ドットオン)となった時に、0の値がロードされ、その値を1づつカウントアップする。このカウンタ49は、そのカウンタ値がC+1となるとカウントを停止する構成となっている。比較器50はカウンタ49の値と、Cを比較しカウンタ49のカウント値がC以下であった場合、FLG信号をオンする。
【0029】
図12は、誤差記憶手段7と補正値演算手段9の構成を表した図である。フリップフロップ61は、補正誤差値e’xyをラッチし、FIFO(First ln First Out)62は補正誤差値e’を1ライン分記憶する容量を持つラインメモリである。フリップフロップ63、64はFIFO62から読み出された注目画素の1ライン前の補正誤差値e’をラッチし、乗算機65〜68は注目画素周辺の補正誤差値e’と、ウェイトマトリクスの重み係数を乗算する。
【0030】
加算器69は乗算機65〜68の出力結果を加算し、除算器70は加算器69の出力値をウェイトマトリクスの合計値6により除算する。フリップフロップ71は誤差値補正手段6により出力されたFLG信号をラッチして、1画素分遅延させる。なお、この際にFLG信号を遅延させる理由であるが、FLG信号が発生した時点における注目画素は、座標(x,y)である。FLG信号は、座標(x,y)の画像を2値化した結果が1(オン)となった場合に、その次の画素(x+1,y)からC個の画素を処理する為の判定信号であるから、ここでは1画素分遅延させる必要がある。
加算器72は除算器70の除算結果と−Vを加算し、セレクタ73はFLGが0(オフ)であった場合除算器70の出力結果を選択し、FLGが1(オン)であった場合加算器72の出力結果を選択し補正値Exyとして出力する。
【0031】
図13、図14は本実施の形態における動作のフローチャートである。以下同図をもとに本実施の形態の動作を説明する。まず、処理に先立って主走査方向の画素カウンタxおよび副走査方向のラインカウンタyを初期値”0”とし、FLG信号を初期化(オフ)する(ステップ40)。次に、補正値演算手段9により、誤差記憶手段7より読み出された、2値化済みの画素の補正誤差、e’x-1,y-1 と1を乗算器68にて乗算し、e’x,x-1 と2を乗算器67にて乗算し、e’x+1,y-1 と1を乗算器66にて乗算し、e’x-1,y と2を乗算器65にて乗算し、加算器69にてそれらを加算する(ステップ41)。その結果を誤差値補正手段6により除算器70にて除算し、補正値Exyを算出する。Exyは第1の実施の形態の場合と同様に
【0032】
【数2】
xy=(ex-1,y-1 ×1+ex,y-1 ×2+ex+1,y-1 ×1+ex-1,y ×2)×1/6
【0033】
となる。
ここでもし、FLGが0でない場合は(ステップ42;N)、予め定められた数値−VとExyを加算器72にて加算する(ステップ43)。前述したように、これは、以前に走査された画素の2値化結果Oxyが1(オン)であった場合の、その右側の画素の誤差値の補正と等価である。なお、本実施の形態においては、入力多階調画像データの補正値に補正を行っているが、入力多階調画像データに同様に補正を行っても同様の結果が得られる。
【0034】
次に、入力多階調画像データdxyと補正値Exyを加算手段2により加算して補正データDxyを算出する(ステップ44)。続いて、2値化手段3によって補正画素データDxyを予め設定された閾値Tにより2値化する(ステップ45)。2値化方法は、DxyがTよりも小さい場合(ステップ45;Y)、出力2値画像データOxyを0(ステップ46)、DxyがT以上の場合(ステップ45;N)、出力2値画像データOxyを1とする(ステップ47)。
【0035】
次に、セレクタ32は、2値化結果Oxyが1(ドットオン)であった場合は(ステップ48;Y)、Dxyと−255を加算器31にて加算した結果を誤差値exyとし(ステップ49)、2値化結果が0(ドットオフ)であった場合は(ステップ48;N)、Dxyを誤差値exyとする(ステップ50)。
続いて、セレクタ48は、2値化結果Oxyが0(ドットオフ)の場合は(ステップ51;N)、exyの値をそのまま補正誤差値e’xyとして誤差記憶手段7に出力し(ステップ53)、2値化結果Oxyが1(ドットオン)の場合は(ステップ51;Y)、加算器47により加算された注目画素の誤差値であるexyと−Vの加算結果を、e’xyとして誤差記憶手段7に出力する(ステップ52)。
【0036】
また、2値化結果Oxyが1(ドットオン)となると(ステップ54)、カウンタ49が0クリアされ、カウントを開始する。比較器50は、このカウンタの値の変化により出力(FLG信号)をオンとする(ステップ55)。なお、FLG信号は2値化結果Oxyが1(ドットオン)となった画素からC個分の画素の処理が終了するまでオンとなる。
次にセレクタ46は、FLG信号が1(オン)であった場合は(ステップ55;Y)、誤差ex-c,y と−Vを加算器45により加算した結果を補正誤差値e’x-c,y として出力し(ステップ56)、FLG信号が0(オフ)であった場合は(ステップ55;N)、誤差ex-c,y を補正誤差値e’x-c,y として出力する(ステップ57)。この注目画素と注目画素の左側の部分の誤差値の補正は、本実施の形態の場合、注目画素の処理を行っている時に、座標(x−C,y)の画素の補正を行い、以下注目画素が進む毎に順次、2値化結果Oxyが1(オン)となった画素(現在の注目画素)まで補正が行われる。
【0037】
補正が行われた画素の補正誤差e’x-c,y はFIFO62に格納される。一方セレクタ48より出力された注目画素の補正誤差e’xyは、フリップフロップ61により1画素分遅延され、次の座標(x+1,y)の補正値Ex+1,yを求めるために使用され、FIFO62には、現段階では保存されない。
次に、主走査方向の画素カウンタxをインクリメントする。 これで1画素分の処理が終了である。1画素分の処理が終了すると、主走査1ライン分の処理が終了したか判断し(ステップ62)、終了していなければ(ステップ62;N)、次(右隣)の画素の処理を行う。
【0038】
もし、先ほどの判断により主走査1ライン分の処理が終了していれば(ステップ62;Y)、ラインカウンタyをインクリメントし(ステップ63、ステップ64)、副走査方向の処理が終了したかどうか判断する(ステップ65)。そして、終了していなければ、FLG信号をクリアし、次(下段)のラインの処理を行い、全てのラインの処理が終了していればこの画像の処理は終了となる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、多階調画像データを平均誤差最小法により2値画像データへ変換する画像処理装置において、注目画素の2値化結果が1(オン)となった場合に、注目画素の、左右の複数の画素の誤差値を減算して補正し、注目画素の左側にも負の誤差の影響を与えているので、2値化によって形成されるドットの密度が疎な場合においても、ドットの分散性の良い、図5に示したような画像が得ることができる。
また、本実施の形態のように、ハードウェアにより平均誤差最小法を実現した場合、特に大きな誤差拡散マトリクスを使用せず、また注目画素と同一ラインの誤差にのみ誤差値の補正を行っているので、ラインメモリが最小限の数で済みコスト的にも有利であるという効果を併せ持つ。
【0040】
なお、本実施の形態では平均誤差最小法にて行う方法であったが、これが誤差拡散法を使用しても、理論的に効果は等価であり、平均誤差最小法と誤差拡散法の違いによって制約を受けるものではない。また、平均誤差最小法および誤差拡散法には閾値にランダムノイズを重畳したり、ディザマトリクスを使用して閾値を変化させる方法、ラインの処理方向を互い違いに行う方法等が用いられているが、本実施の形態はいずれの場合にも対応し、それらの平均誤差最小法または誤差拡散法の付加手法によって制約を受けることはない。
【0041】
次に、第3の実施の形態を説明する。
前記第1の実施の形態および第2の実施の形態では、全入力データレベルにより誤差値の補正を行う例を示したが、前述したように一般的に平均誤差最小法や誤差拡散法によりウォームが問題となるのは、低濃度部のみであるので、それ以外の部分では特に誤差値の補正を行う必要がない。また、平均誤差最小法や誤差拡散法をソフトウェアで行う場合、誤差値の補正を全入力レベルにて行うことは、速度的に不利となる可能性があるため、本実施の形態では、入力データレベルによって選択的に誤差値の補正を行う方法を示す。
【0042】
本実施の形態におけるシステム構成は第1の実施の形態と同様である。即ち、本実施の形態でも平均誤差最小法処理はホストコンピュータ21にソフトウェアにより処理され、2値画像出力プリンタ22へ転送され2値画像が出力されることになる。
図15に本実施の形態における平均誤差最小法の構成図を示してある。誤差値補正手段6以外は、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態の誤差値補正手段6は、2値化結果Oxyの結果をもとに注目画素および、注目画素の左側の画素の誤差値を、入力画像データの値により補正を行うかどうか判定し補正する誤差値補正手段である。また、本実施の形態におけるウェイトマトリクスも第1の実施の形態と同様である。
【0043】
図16、図17は本実施の形態の平均誤差最小法の処理の手順を示したフローチャートである。第1の実施の形態との相違点は、誤差補正手段6のみであるので、ここでは相違点のみを説明する。
誤差補正手段6は入力多階調画像データの値を、予め定められた数Jと比較し(ステップ80)、入力多階調画像データがJ以下であった場合のみ(ステップ80;Y)、第1の実施の形態の場合と同様に2値化結果Oxyの2値化結果が1(オン)であった場合に(ステップ81;Y)、注目画素とその側のC個分の画素の誤差値ex-k,yを補正し(ステップ84)、FLGにCの値をセットする(ステップ87)。つまり、本実施の形態では、ドット分散性の悪い低濃度部のみに誤差値の補正を行うことになる。
【0044】
以上説明したように、多階調画像データを平均誤差最小法により2値画像データへ変換する画像処理装置または画像処理方法において、入力多値画像データの値が低濃度部に属する値であった場合にのみ、注目画素の2値化結果が1(オン)となったときに、注目画素の、左右の複数の画素の誤差値を減算して補正し、注目画素の左側にも負の誤差の影響を与えているので、2値化によって形成されるドットの密度が疎な場合においても、ドットの分散性の良い、図5に示したような画像が得られる。
また、誤差値の補正処理が必要な階調レベルのみを選択して行っているので、本実施の形態のようにソフトウェアにより平均誤差最小法処理を行った場合でも高速な処理が可能となる。
【0045】
なお、この説明においても、補正画素数C(ドットが打たれた場合の総補正画素数は2C+1となる)補正数値V、入力多階調画像データ判定値J等の明確な数値を示していないが、これらは、第1の実施の形態で述べたのと同様に、実施するそれぞれの系によって最適値を実験により求めていくのが望ましい。
この実施の形態は、平均誤差最小法にて行う方法であったが、これが誤差拡散法を使用しても、理論的に効果は等価である。また、平均誤差最小法および誤差拡散法には閾値にランダムノイズを重畳したり、ディザマトリクスを使用して閾値を変化させる方法、ラインの処理方向を互い違いに行う方法等があるが、それらの平均誤差最小法または誤差拡散法の付加手法によって本実施の形態は制約を受けない。さらに、第2の実施の形態のようにハードウェアによって構成しても良く、システム構成の違いによっても制約を受けることはない。
【0046】
【発明の効果】
請求項1または請求項2記載の発明では、多階調画像データを平均誤差最小法または誤差拡散法により2値画像データへ変換する画像処理装置において、注目画素の2値化結果が1(オン)となった場合に、注目画素の、左右の複数の画素の誤差値を減算して補正し、注目画素の左側にも負の誤差の影響を与えているので、2値化によって形成されるドットの密度が疎な場合においても、ドットの分散効果の高い平均誤差最小法または誤差拡散法処理を行うことができる。また、特に大きなウェイトマトリクスを必要としないのでコストアップに繋がることがない。また、誤差値の補正処理が必要な階調レベルのみを選択して誤差値の補正を行っているので、本発明をソフトウェアにより実現した場合でも高速な処理が可能となる。
【0047】
請求項3記載の発明では、誤差値を補正する画素を注目画素と同一ラインのみに限定しているので、ハードウェアにより実施した場合においても不要なコストアップを招かずに上記の効果を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における平均誤差最小法処理部の構成図である。
【図2】本実施の形態のシステムの構成例を表した図である。
【図3】ウェイトマトリクスの一例を表した図である。
【図4】従来の平均誤差最小法または誤差拡散法により低濃度部を処理した出力画像の例を示した図である。
【図5】ドットの分散性が優れた出力画像の例である。
【図6】第1の実施の形態に係る画像処理装置の処理の手順を示したフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る画像処理装置の処理の手順を示したフローチャートであり、図6の続きである。
【図8】低濃度部において通常の平均誤差最小法処理を施した時の誤差の分布を示した図である。
【図9】第2の実施の形態のシステムの構成例を示した図である。
【図10】誤差演算手段の構成を示した図である。
【図11】誤差値補正手段の構成を示した図である。
【図12】誤差記憶手段と補正値演算手段の構成を示した図である。
【図13】第2の実施の形態に係る画像処理装置の処理の手順を示したフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係る画像処理装置の処理の手順を示したフローチャートであり、図14の続きである。
【図15】第3の実施の形態における平均誤差最小法の構成を示した図である。
【図16】第3の実施の形態に係る画像処理装置の処理の手順を示したフローチャートである。
【図17】第3の実施の形態に係る画像処理装置の処理の手順を示したフローチャートであり、図16の続きである。
【符号の説明】
1 多階調画像データ出力手段
2 加算手段
3 2値化手段
4 閾値発生手段
5 誤差算出手段
6 誤差値補正手段
7 誤差記憶手段
8 重み発生手段
9 補正値演算手段
21 ホストコンピュータ
22 2値画像出力プリンタ
23 ホストコンピュータ
31、45、47、69、72 加算器
32、46、48、73 セレクタ
41〜44、61、63、64、71 フリップフロップ
49 カウンタ
62 FIFO
65〜68 乗算機
70 除算器

Claims (3)

  1. 多階調画像データを平均誤差最小法または誤差拡散法により2値画像データへ変換する画像処理装置であって、
    注目画素の多階調画像データに、周辺の既に2値化済みの画素から得られた誤差値にもとづく値を加えて補正し、補正画像データとして出力する画像データ補正手段と、
    予め設定された閾値と前記画像データ補正手段による補正画像データを比較して2値画像データへ変換する2値化手段と、
    前記補正画像データと前記2値化手段による2値化結果により誤差を演算する誤差演算手段と、
    予め設定された判定値と前記注目画素の多階調画像データの値を比較することにより、前記誤差演算手段により演算された誤差値を補正するか否かを判定する判定手段と、
    前記2値化手段による2値化結果がオンでかつ前記判定手段にて補正が必要と判断された場合には、予め設定された補正数値を用いて前記注目画素の誤差値及び既に得られている該注目画素の周辺の画素の誤差値を、それぞれ所定値によって補正して誤差値とする誤差補正手段と、
    前記2値化手段による2値化結果がオフまたは、前記判定手段にて補正が必要でないと判定された場合は、前記補正画像データと2値化結果による誤差値をそのまま当該注目画素の誤差値とし、並びに前記誤差補正手段で補正された場合は、補正された誤差値を、前記注目画素及び周辺の画素の誤差値として記憶する誤差記憶手段と、を備え、
    前記画像データ補正手段は、誤差記憶手段に記憶されている誤差値にもとづく値を加えて補正をすることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記誤差補正手段は、誤差値を減算する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記誤差補正手段による誤差値の補正は、注目画素と同一ラインの画素にのみ行われることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
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