JP3844263B2 - 担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、制ガン剤を始めとする各種の医薬品や健康食品の原料として利用されている担子菌・子ノウ菌類を温室で栽培する菌糸体培養法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の菌糸体培養法は、固体培養法と、液体培養法に大別されるが、液体培養法では、純粋培養条件が保たれやすいこと、培養期間が短いこと、培養期間中に温度、二酸化炭素濃度、水分離に関して管理が容易であり、労働力の節約が果たされ得る等の利点を備えているので、専ら液体培養法が行われている。そして、液体培地には、通常、酵母エキス、ぺプトン、ペプシン、カザミン酸、肉水ならびに肉エキス(肉汁)等が窒素源として用いられ、加えて、炭素源としての糖質(例えば、グリコース、澱粉、果糖)及び無機塩(例えば、リン酸塩、マグネシウム塩)等の水性の物質が含有される。
【0003】
しかし、液体培養法では、菌糸体がペレット状(球状)又はパルプ状の塊になって生育し、そうなると、目的とする有用物質の収穫が困難となり、或いは、培地の表面に著しい発泡が生じて培養効率が低下することから、これを防止するために、さらに、培地には水難溶性物質が添加される。従来、この水難溶性物質には、粘土鉱物、炭素質(多孔性又は非孔性微晶質炭素、黒鉛)、合成樹脂(各種イオン交換樹脂、ポリプロピレン又はナイロン)、炭素−シリカ−合成樹脂複合系物質(合成樹脂とタルク、アルミナとゼオライト、又は炭素とシリカの複合系物質)又は動物由来物質(貝殻、骨又は絹)の粉が使用されていた(特開昭60−164479号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法によれば、水難溶性物質として粘土鉱物等の粉を培地に添加することによって、菌糸体が塊状に生育する不都合を防止できるという目的を達成し得るが、菌糸体が生育をそれによって促進されるということがないだけでなく、水難溶性物質により薬剤や健康食品として不適当に着色されるという問題があった。
【0005】
また、水難溶性物質の種類によっては、可食性に難点があり薬剤や健康食品を造る培地として問題があるだけでなく、低分子化も行われないというように、他に効能が発揮されることはなかった。
【0006】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、液体培地に水難溶性物質を添加することによって、菌糸体が塊状に生育したり培地に泡が発生したりすることがなくなるだけでなく、菌糸体が着色されることがなく、薬剤や健康食品の材料として生育および低分子化が促進される担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法を提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するためのこの発明の構成は、少なくとも炭素、水素及び酸素源としての可溶性澱粉と、窒素源であり他の栄養源をも含有する液体肥料とからなる液体培地であって、且つ、その液体培地に可食性高蛋白の植物性水難溶性物質を加えたペースト状培地中で、担子菌・子ノウ菌類の胞子菌または菌糸体を好気的に培養し、水難溶性物質としては、白さつまいもの根の粉を使用することを特徴とする担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法をその要旨とするものである。
【0008】
上記の担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法に加えて、白さつまいもの根の粉を、遠赤外線照射の元に焙煎し、または加熱殺菌して使用すると、目的の達成により有効である。
【0009】
また、前記の培地において、椎茸の菌糸体を核として、松茸の菌糸体を有効に増殖させることもできる。
【0010】
【作 用】
菌糸体は、元来無色ないし白色であり、また、前記の如く培地の水難溶性物質として白さつまいもの根の粉が使用されることから、それによって菌糸体が着色されることはなく、白またはそれに近い色彩において菌糸体が生育する。また、この水難溶性物質に用いる白さつまいもは、培地には菌糸体の生育に必要な蛋白質、脂質、糖質、ミネラル等を自然の状態で完備している。また、原料や材料として不足なく供給され得る。
【0011】
さらに、糖質が多いので菌糸体の低分子化を促進でき、成分が徐々に出るようにさらに低分子化を進めるには、物理的な方法以外に醗酵的な手段も有効に取ることができる。菌糸体は寄生物質であるので、結晶には核になるものが必要であり、微少のものとしては、白さつまいもの根の微少繊維をもったものが、その要求を満たすことができる。
【0012】
培地は完全に液化することはなく、見た目には変化がないようでも、菌糸体が蛋白質と結合し複合蛋白となり、元素変換が起きて菌糸体となる。従って、原料・材料が白色であるほど、また、微少である程、菌糸体の白色の程度が良くなる。
【0013】
自然界の核になるものは、粉末にしてもすぐに利用できなく、重合状態であるので、利用しやすく低分子化が必要である。それには従来、麹等を使用しているが、さらに遠赤外線照射による焙煎をすることにより、低分子化が可能になる。
【0014】
菌根菌である松茸は、生物寄生であるので、麹や椎茸の存在があれば共生により培養できるが、培地に水難溶性物質として白さつまいもの根の粉が添加されていると、特に松茸が有効に増殖する。
【0015】
【実施例】
次に、幾つかの代表的な実施例を説明する。
【0016】
〔実施例1〕
可溶性澱粉として馬鈴薯澱粉を高温の水に撹拌しながら溶かして濃度15重量%の水溶液を作り、この水溶液が冷えたところで更に市販の液体肥料に尿素を溶解させて、窒素分を8重量%に補充した調整液体肥料を3重量%添加混入し液体培地を得た。
この液体培地2000ccに蒸気滅菌した白さつまいも300g粉末(乾燥物換算)を加えたペースト状培地に椎茸菌を接種し、時間をおいてマツタケ菌を接種し、培養温度10〜18℃で4週間、回転培養を行った。このような接種法をとるのは、マツタケ菌が菌根菌で生物寄生のためである。
培養後低温処理し、ガーゼ濾過し水洗いし水切り乾燥してマツタケの有用物質300gを得た。これを30〜45℃でフリーズドライ法で乾燥物とし、有用物質の粉末剤を得た。
【0017】
〔実施例
実施例1の液体培地2000ccに、遠赤外線の照射により焙煎した白サツマイモの粉末(乾燥物換算)300gを加え、ペースト状培地にアガリクス茸(ヒメマツタケ)の菌を接種し、培養温度10〜18℃で3週間、回転培養を行なった。
培養後、低温で沈澱した菌糸体と溶液とが簡単に分離するので、ガーゼ濾過をする。沈澱物を減圧乾燥法により30〜45℃で処理すると、約300g収量が得られる。
【0018】
最後に、図面に基づいて椎茸菌と松茸菌との共生培養(椎松茸の人工栽培実験)の様子について具体的に説明する。
【0019】
実施例1と同様の培地を使用し、生の椎茸3を柄5の先で切徐しその培地1に入れる(図1)。そうすると、椎茸の笠の部分は浮いているが、柄5は下方に沈んでいる。これによって、椎茸の菌糸体が粒子として柄5の下方へ飛び出すものと考えられる(図2の二点鎖線の範囲)。これは菌糸体を目で確認できないが、その箇所が椎茸の菌糸体により活性化し蛍光を発していることで分かる。
【0020】
菌糸体は水よりも比重が大きく、そこで、次に、培地1に別途液体培地で培養した松茸菌7を添加すると、それが沈澱するが(図2)、1〜2日程度経過すると、松茸の菌糸体7は、椎茸3の菌糸体が飛び出している箇所において増殖する(図3)。松茸の菌糸体7は、椎茸の菌糸体よりもはるかに大きいので確認することができ、これにより松茸菌7が椎茸3の菌糸体と共生する事実が判明したことになる。
【0021】
図4は、共生の様子を示したもので、椎茸の球形菌糸体4を核として、それに松茸の菌糸体7が付着している。そして、松茸の菌糸に椎茸の菌糸が融合するので、椎茸3を取り出して培地1を時々撹拌すると、そこには両方の菌糸体が融合し言わば椎松茸9ができる(図5)。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養において、液体培地に水難溶性物質を添加することによって、菌糸体が塊状に生育したり培地に泡が発生したりすることがなくなることはもちろん、その水難溶性物質に、白さつまいもの根の粉を使用したので、菌糸体が着色されることがなく、培地が可食性を有する材料からなることとも相俟って、薬剤の原材料として、あるいは健康食品として抵抗なく使用でき、しかも、生育が良く量産に適し、さらに、低分子化が促進されるために、収穫された菌糸体を薬剤や健康食品として有効に利用できるという優れた効果がある。
【0023】
また、水難溶性物質を遠赤外線照射の元に焙煎し、または加熱殺菌して使用したときには(請求項2)、雑菌の繁殖を抑えることができるだけでなく、菌糸体の低分子化を有効に促進することができる。
【0024】
さらに、水難溶性物質の材質から、椎茸の菌糸体を核として松茸菌を有効に増殖させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 椎松茸の人工栽培実験についての最初の説明図である。
【図2】 同実験についての次の説明図である。
【図3】 さらに次の説明図である。
【図4】 同実験における椎茸と松茸との菌糸体の共生状態を示す説明図である。
【図5】 椎松茸の生育状態を示説明図である。
【符号の説明】
1 培地
3 椎茸
4 椎茸の菌糸体
7 松茸の菌糸体

Claims (3)

  1. 少なくとも炭素、水素及び酸素源としての可溶性澱粉と、窒素源であり他の栄養源をも含有する液体肥料とからなる液体培地であって、且つ、その液体培地に可食性高蛋白の植物性水難溶性物質を加えたペースト状培地中で、担子菌・子ノウ菌類の胞子菌または菌糸体を好気的に培養し、水難溶性物質としては、白さつまいもの根の粉を使用することを特徴とする担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法。
  2. 白さつまいもの根の粉を、遠赤外線照射の元に焙煎し、または加熱殺菌して使用することを特徴とする請求項1記載の担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法。
  3. 培地において、椎茸の菌糸体を核として、松茸の菌糸体を増殖させることを特徴とする請求項1または2記載の担子菌・子ノウ菌類の菌糸体培養法。
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