JP3844237B2 - 脱落防止構造を有するガスケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、取付対象部材にねじ込まれるねじ部品を密封状態で取り付けるためのガスケットに関し、詳細には、ねじ部品のねじ部からの脱落防止構造を有するガスケットに関する。そして、このガスケットは、例えば内燃機関のねじ部を有する燃料噴射弁を密封状態で取り付けるために使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、希薄燃焼による排気エミッションおよび燃費の改善に効果的な火花点火式の内燃機関として、シリンダヘッドに取り付けられた燃料噴射弁から燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射式内燃機関が知られている。この筒内噴射式内燃機関では、シリンダヘッドに設けられた収容孔に燃料噴射弁が収容され、燃料噴射弁のノズル部は、収容孔から延びて燃焼室に開放する孔に挿入される。そのため、該孔を通じて燃料噴射弁とシリンダヘッドとの間から燃焼室内の高温高圧の燃焼ガスが漏れないように、両者の間にガスケットが設けられる。
【0003】
例えば特許文献1に開示されたコルゲートワッシャ(ガスケットに相当)は、筒内噴射式内燃機関のシリンダヘッドにおける燃焼室に開口する取付孔に取り付けられた燃料噴射弁のノズル部に装着されて燃料噴射弁とシリンダヘッドとの間を密封する。コルゲートワッシャの内周面には、コルゲートワッシャとは別の部材であって、ノズル部の外周面に圧接される摩擦圧接部が設けられる。そして、摩擦圧接部がノズル部の外周面に圧接することにより、ノズル部に嵌められたコルゲートワッシャがノズル部から脱落することが防止される。そのため、燃料噴射弁をシリンダヘッドに取り付ける前に、予めコルゲートワッシャをノズル部に保持させることが可能になって、シリンダヘッドへの燃料噴射弁の取付作業が容易になる。
【0004】
ここで、摩擦圧接部は、合成ゴムなどの弾性体で構成される場合には、コーティングによりコルゲートワッシャの内周面に一体化される。また、摩擦圧接部が、合成樹脂や金属材料などからなるシート状部材で構成される脱落防止部材の内周部に形成される場合には、該脱落防止部材が接着手段によりコルゲートワッシャに接着される。さらに、摩擦圧接部には、圧接強度を高めるために、周方向に沿った一定間隔おきに、内方へ突出する複数の突起が設けられる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−304026号公報(図1−図4,図8)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術において、脱落防止構造を構成する摩擦接合部は、コルゲートワッシャとは別の部材であり、さらに摩擦接合部をコーティングや接着手段によりコルゲートワッシャに一体化する工程が必要になるため、製造工程が多くなって、コスト高となる難点がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、請求項1および請求項2記載の発明は、ガスケットで密封されるねじ部品のねじ部を利用することにより、構造が簡単で、コスト削減が可能であり、シール部の変形を防止でき、しかも形状の設定が容易な脱落防止構造を有するガスケットを提供することを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、燃焼室形成部材にねじ込まれるねじ部を有する燃料噴射弁を備える筒内噴射式内燃機関において、ガスケットと燃料噴射弁の取付作業を容易にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、ねじ部品のねじ部からの脱落防止構造を有する金属製のガスケットにおいて、前記脱落防止構造は、前記ねじ部が通される環状のシール部の内周部に形成されて、径方向に突出すると共に周方向に延びる1対の爪部からなり、前記1対の爪部は、前記ねじ部の軸線と直交する平面に平行に、かつ前記軸線の方向で同一位置に形成され、前記各爪部は、その径方向での先端面により規定される内径で第1形成角度に渡って周方向に延びて形成されると共に、前記第1形成角度を規定する周方向での両端を構成する一端および他端を有し、周方向で前記1対の爪部の間には、前記ガスケットが前記ねじ部にねじ込まれるときに前記各爪部が前記ねじ部のねじ山と干渉することなく前記ねじ山を乗り越えられる1対の間隙が、それぞれ前記第1形成角度よりも大きな第2形成角度で形成され、前記シール部および前記各爪部は、前記シール部の内径D4、前記爪部の厚みt2、前記爪部の周方向での前記第1形成角度θ2、前記爪部の内径D3、前記ねじ部のピッチP、前記ねじ部のねじ山角度θ1、前記ねじ部の外径D1および前記ねじ部の谷径D2が、
D2<D3<D1<D4 式(1)
を満たし、かつ、
前記一端が前記ねじ部のねじ溝を形成する2つのねじ山のうちの一方の前記ねじ山のフランクに接触した状態にあるときに、前記他端が他方の前記ねじ山のフランクに接触しないための次式、
(D3−D2)・tan(θ1/2)−t2>θ2・P/360 式(2)
ここで、θ1およびθ2の単位は度である
を満たすように単一部材により形成されているガスケットである。
【0009】
これにより、ねじ部品に装着されるガスケットのシール部と脱落防止構造を構成する1対の爪部とが単一部材に形成されるので、脱落防止構造を有するガスケットの構造が簡単になると共に、前記従来技術とは異なり別部材を一体化するための工程は不要である。また、1対の爪部がねじ部のねじ山に引っかかることにより脱落が防止されるので、脱落を防止するためにガスケットをねじ部品に対して大きな力を加えて圧接する必要がない。また、周方向での両爪部の間に形成される1対の間隙が、各爪部の第1形成角度よりも大きな第2形成角度で形成されることにより、ガスケットは、ねじ山と干渉することなく、ねじ山を乗り越えることができる。さらに、式(1)および式(2)を用いることにより、脱落を防止するための両爪の形成角度および厚みなどの形状の設定が、ねじ部の種類に関わらず容易になる。
【0010】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、ねじ部品に装着されるガスケットのシール部と脱落防止構造を構成する1対の爪部とが単一部材に形成され、シール部および各爪部が式(1)および式(2)を満たすように形成されることにより、脱落防止構造を有するガスケットの構造が簡単になると共に製造工程が少なくなるので、脱落防止構造を有するガスケットのコストを削減できる。また、脱落防止のために爪部に大きな力を作用させる必要がないので、シール部と爪部が単一部材に形成されるにも拘わらず、シール部の変形が防止される。また、第2形成角度で形成される1対の間隙により、ガスケットは、ねじ山と干渉することなく、ねじ山を乗り越えることができるので、ねじ部品に対するガスケットの装着および取外しが容易になると共に、ねじ山と爪部との干渉により、爪部ひいてはシール部が変形することが防止されて、良好なシール性を確保することができる。さらに、脱落を防止するための両爪部の形状の設定が容易になり、そのうえ脱落防止構造をねじ部が異なるねじ部品に容易に適用できる。そして、第1形成角度θ 2 が大きいほど、ねじ部にガスケットをねじ込むことが容易になる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のガスケットにおいて、前記ねじ部品は、内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁であり、前記ガスケットは、前記ねじ部がねじ込まれる燃焼室形成部材と前記燃料噴射弁との間に配置されるものである。
【0012】
これにより、ねじ部を利用してガスケットが予め装着された燃料噴射弁を燃焼室形成部材にねじ込む際に、ガスケットが脱落しないように、ガスケットを燃料噴射弁に保持させることができる。
【0013】
この結果、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、ねじ部品が、内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁であり、ガスケットは、ねじ部がねじ込まれる燃焼室形成部材と燃料噴射弁との間に配置されることにより、燃焼室形成部材にねじ込まれる前の燃料噴射弁にガスケットが確実に保持されるので、筒内噴射式内燃機関において、ガスケットおよび燃料噴射弁の取付作業が容易になる。
【0014】
なお、この明細書において、軸線方向、径方向、周方向とは、それぞれ、ねじ部13の軸線Aが延びる方向、軸線Aを中心とする放射方向、軸線A周りの方向を意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図3を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明が適用されたガスケット20は、燃焼室2に燃料を直接噴射する筒内噴射式内燃機関に使用される。火花点火式で多気筒の前記内燃機関は、クランク軸を回転駆動するピストンが往復動可能に嵌合するシリンダ孔がそれぞれ形成されたシリンダを有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックの上端部に結合されたシリンダヘッド1とを備える。
【0016】
シリンダヘッド1には、前記クランク軸に駆動連結されてその1/2の回転速度で回転駆動されるカム軸を備える動弁装置により、該カム軸の回転位置に応じて開閉される吸気弁3および排気弁4が設けられ、吸気弁3により開閉される吸気ポート5および排気弁4により開閉される排気ポート6が形成され、さらに燃焼室2内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁10が取り付けられる。
【0017】
ここで、燃焼室2は、前記各シリンダと前記シリンダヘッド1との間で、前記ピストンとシリンダヘッド1との間に形成される空間であり、前記ピストンの往復動により容積が変化する可変容積空間である。それゆえ、前記各シリンダおよびシリンダヘッド1は燃焼室形成部材であり、シリンダヘッド1は燃料噴射弁10の取付対象部材もある。
【0018】
ねじ部品である燃料噴射弁10は、シリンダヘッド1に形成された有底の収容孔8内に収容される本体部11と、燃料噴射弁10の先端部を構成すると共に、燃料が燃焼室2に向かって噴出する噴口が形成されたノズル部12とを有する。本体部11よりも小径のノズル部12の外周部にねじ部13が形成され、燃料噴射弁10は、収容孔8および燃焼室2に開放するようにシリンダヘッド1に形成されたねじ孔9にノズル部12がねじ込まれて、シリンダヘッド1に形成される燃焼室部分のほぼ中央に位置するように、シリンダヘッド1に取り付けられる。
【0019】
本体部11と共にステンレス鋼などの鋼から形成されるノズル部12は、ねじ部13と、ねじ部13の軸線Aの方向(軸線方向)でねじ部13に隣接すると共にねじ部13と本体部11との間の円筒部14とを有する。そして、ねじ孔9を通じて燃焼室2内の燃焼ガスが外部に漏れるのを防止するために、燃料噴射弁10とシリンダヘッド1との間、具体的には本体部11の端面11aとシリンダヘッド1により形成される収容孔8の底壁の壁面1aとの軸線方向での間には、ノズル部12が通される環状のガスケット20が配置される。そして、燃料噴射弁10がシリンダヘッド1に取り付けられた状態で、ガスケット20は円筒部14を囲んで、その外側に嵌められている。
【0020】
燃料噴射弁10を、アルミニウム合金製のシリンダヘッド1にねじ込むことにより軸線方向に押圧されるガスケット20は、シール性を向上させるために、燃料噴射弁10側のシール面である端面11aおよびシリンダヘッド1側のシール面である壁面1aになじみ易い材料、例えば銅やアルミニウムなどの軟質の金属から形成される。
【0021】
図2を併せて参照すると、ガスケット20は、端面11aおよび壁 1aにそれぞれ接触する2つの接触面21a,21bを有する環状、この実施例では円環状のシール部21と、シール部21の内周部に径方向に突出すると共に周方向に延びる1対の爪部22とから構成される。そして、シール部21と両爪部22は、ガスケット20を形成する単一部材により、例えばプレス加工で形成される。
【0022】
図2,図3を参照すると、シール部21は、所要のシール性を確保するために、所定の径方向での幅W1を規定する外径D5および内径D4を有し、さらにシール性を確保するため、および燃焼室2に対するノズル部12の端面12a(図1参照)の、軸線方向での最適な位置を設定するために、軸線方向での所定の厚みt1を有する。
【0023】
1対の爪部22は、同一形状を有すると共に、軸線方向から見て、軸線Aに対して点対称となる位置に、そして軸線A(図1参照)と直交する平面に平行にかつ軸線方向で同一位置に形成される。各爪部22は、シール部21の軸線方向での中央で、内径D4を規定する内周面21cから径方向でシール部21の内方に突出していて、爪部22の内径D3を規定する径方向での先端面22cを有する。さらに、各爪部22は、径方向での一定の幅W2および軸線方向での一定の厚みt2を持って、第1形成角度である形成角度θ2の範囲に渡って周方向に延びている。爪部22の厚みt2は、この実施例ではシール部21の厚みt1よりも小さく設定され、円筒部14の外径は、内径D3よりも僅かに小さく設定される。
【0024】
ところで、シリンダヘッド1へのガスケット20および燃料噴射弁10の取付作業を容易にするために、ガスケット20は、燃料噴射弁10のノズル部12に予め装着される。その際、シール部21に囲まれた空間にねじ部13を通して円筒部14に一旦装着されたガスケット20が、ねじ部13、すなわちノズル部12から脱落することを防止するために、1対の爪部22がガスケット20の脱落防止構造を構成する。
【0025】
そのために、シール部21および各爪部22は、ねじ部13との間で、ねじ部13のピッチP、ねじ山角度θ1、外径D1および谷径D2に対して、シール部21の内径D4、爪部22の厚みt2、形成角度θ2および内径D3が、次の式(1)および式(2)を満たすように形成される。
D2<D3<D1<D4 式(1)
(D3−D2)・tan(θ1/2)−t2>θ2・P/360 式(2)
ここで、ねじ山角度θ1および形成角度θ2の単位は度(°)である。
【0026】
式(1)の意味は次のとおりである。ガスケット20がねじ部13に嵌められた状態では、爪部22の内径D3が、ねじ部13の谷径D2よりも大きく、かつねじ部13の外径D1よりも小さいことにより、爪部22の厚みt2はピッチPよりも小さく設定されることになって、爪部22はねじ溝13b内に位置する。そのため、ガスケット20が軸線方向に並進移動すると、爪部22がねじ部13のねじ山13aに引っかかる。爪部22がねじ山13aに引っかかることにより、ガスケット20をねじ部13にねじ込んでノズル部12に装着することが可能になり、しかもガスケット20がねじ部13から脱落することが防止される。
【0027】
また、1対の爪部22が軸線Aに対して点対称に形成されているので、両爪部22の点対称となる部位は軸線方向でピッチPの1/2だけずれた位置を占めることになるため、1対の爪部22は、ガスケット20がねじ部13にねじ込まれるときに、軸線方向で隣接するねじ溝(例えば、図1において、ねじ溝13bおよびねじ溝13bで示される。)内にそれぞれ位置する。このため、シール部21の内径D4がねじ部13の外径D1よりも大きいことで、周方向での両爪部22の間であって、かつ径方向で内周面21cの内方に、形成角度θ2よりも大きな第2形成角度である形成角度θ3の範囲に渡って形成される1対の間隙G(図2参照)を通じて、ガスケット20は、ねじ山13aと干渉することなく、ねじ山13aを乗り越えることができる。それゆえ、各間隙Gは乗越え部を構成する。
【0028】
また、式(2)の意味は次のとおりである。図3を参照すると、1つの爪部22が、同一のねじ溝13b内に位置するためには、爪部22の周方向での一端22aが、ねじ溝13bを形成する2つのねじ山13aのうちの一方のねじ山13aのフランク13a接触点 C1 接触した状態にあるときに、爪部22の周方向での他端22bが、他方のねじ山13aのフランク13aに接触しないこと、すなわち内径D3上での他端22bとフランク13aとの間の軸線方向での間隔L4が、L4>0であることである。そのためには、一端22aを軸線Aに平行に延長したときのフランク13aとの接触点C2と内径 D3 上での一端 22 aとの間の軸線方向での間隔L2と、接触点C2と、他端22bを軸線Aに平行に延長したときのフランク13aとの接触点C3との間の軸線方向での間隔L3とが、
L2>L3 式(3)
であればよい。
【0029】
間隔L2および間隔L3は、ねじ部13において内径D3でのねじ溝13bの軸線方向での間隔L1およびねじ山角度θ1を用いることにより、次のようにして求めることができる。
L2=L1−t2
L1=(D3−D2)・tan(θ1/2)
L3=θ2・P/360
これら間隔L2および間隔L3を、式(3)に代入することにより式(2)が得られる。
【0030】
例えば、ねじ部13の外径D1、谷径D2、ねじ山角度θ1、ピッチP、および爪部22の内径D3が、それぞれ以下の値であるとする。
D1=13.8 D2=12.3 θ1=60 P=1.25
D3=13.4
なお、D1、D2、D3およびPの単位は、ミリメートル(mm)である。
ここで、爪部22の剛性を考慮して、爪部22の厚みを、例えばt2=0.4mmに設定すると、これらを式(2)に代入することにより、θ2<67.7°となって、爪部22の形成角度θ2が得られる。さらに、ねじ部13にガスケット20をねじ込むときの容易性を考慮すると、ねじ部13とガスケット20とはできるだけ同心に近い状態であることが好ましく、そのためには形成角度θ2が大きい方がよい。
【0031】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
ガスケット20は、燃料噴射弁10がシリンダヘッド1に取り付けられる前に、予め燃料噴射弁10のノズル部12のねじ部13にねじ込まれて、円筒部14に嵌められた状態で保持される。円筒部14に装着されたガスケット20は、燃料噴射弁10をシリンダヘッド1にねじ込む際にも、各爪部22がねじ山13aに引っかかることにより、ガスケット20がねじ部13から脱落することがない。
【0032】
ガスケット20のシール部21と脱落防止構造を構成する1対の爪部22とが単一部材に形成され、シール部21および各爪部22が前記式(1),式(2)を満たすように形成されることにより、脱落防止構造を有するガスケット20の構造が簡単になると共に、前記従来技術とは異なり別部材を一体化するための工程が不要になることから、製造工程が少なくなるので、脱落防止構造を有するガスケット20のコストを削減できる。また、1対の爪部22がねじ部13のねじ山13aに引っかかることにより脱落が防止されることから、脱落防止のためにガスケット20を燃料噴射弁10に対して大きな力を加えて圧接する必要がなく、したがって爪部22に大きな力を作用させる必要がないので、シール部21と爪部22が単一部材に形成されるにも拘わらず、シール部21の変形が防止される。さらに、前記式(1),式(2)を用いることにより、脱落を防止するための両爪部22の形成角度θ2および厚みt2などの形状の設定が、ねじ部13の種類に関わらず容易になり、そのうえ脱落防止構造をねじ部13が異なる燃料噴射弁10に容易に適用できる。
【0033】
シール部21の内径D4がねじ部13の外径D1よりも大きく設定され、周方向での両爪部22の間に形成される1対の間隙Gが、好ましくは各爪部の形成角度θ2よりも大きな形成角度θ3で形成されることにより、ガスケット20は、ねじ山13aと干渉することなく、ねじ山13aを乗り越えることができるので、燃料噴射弁10に対するガスケット20の装着および取外しが容易になると共に、ねじ山13aと爪部22との干渉により、爪部22ひいてはシール部21が変形することが防止されて、良好なシール性を確保することができる。
【0034】
爪部22の厚みt2は、爪部22がガスケット20の脱落を防止すことができる剛性を有するように設定されたうえで、シール部21の厚みt1よりも小さく設定されることにより、所要のシール性を確保するために、および燃焼室2に対するノズル部12の軸線方向での最適な位置を設定するために、シール部21の厚みを最適な値に設定することができる。
【0035】
ガスケット20は、燃料噴射弁10のねじ部13がねじ込まれるシリンダヘッド1と燃料噴射弁10との間に配置されることにより、シリンダヘッド1にねじ込まれる前の燃料噴射弁10にガスケット20が確実に保持されるので、前記内燃機関において、ガスケット20および燃料噴射弁10の取付作業が容易になる。
【0036】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
各爪部22は、軸線方向でのシール部21の一方の接触面21a寄りの位置に形成されてもよく、また他方の接触面21b寄りに形成されてもよい。また、爪部22の、径方向での先端部は、尖端状に形成されていてもよい。さらに、シール部21の厚みt1は、爪部22の厚みt2と等しくてもよい。
【0037】
各爪部22は、径方向での幅W2が周方向に変化すると共に、幅W2の最大値が等しい多数の突起から形成されてもよい。このとき、爪部22の内径は、多数の突起の先端に接する円の直径であるとする。また、1対の爪部22の形状は、式(2)を満たし、間隙Gが形成される限り、同一である必要はない。
【0038】
内燃機関は、前記実施例では車両に使用されるものであったが、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。また、内燃機関は、圧縮着火式のものであってもよい。
【0039】
ねじ部13品は、内燃機関のシリンダヘッド1に取り付けられる点火栓であってもよい。また、ねじ部品は、燃料噴射弁10および点火栓以外の、内燃機関に取り付けられるねじ部品であってもよく、さらに内燃機関以外の器機に取り付けられるねじ部品であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示し、筒内噴射式内燃機関において、ガスケットが装着された燃料噴射弁が取り付けられたシリンダヘッドの要部断面図である。
【図2】(A)は図1のガスケットの平面図であり、(B)は、(A)のB−B矢視での断面図である。
【図3】図1の燃料噴射弁のねじ部にガスケットが嵌められた状態を示し、ガスケットが図2(A)のIII−III矢視で断面図となっているときのねじ部の要部側面図である。
【符号の説明】
1…シリンダヘッド、2…燃焼室、3…吸気弁、4…排気弁、5…吸気ポート、6…排気ポート、7…、8…収容孔、9…ねじ孔、10…燃料噴射弁、11…本体部、12…ノズル部、13…ねじ部、 20…ガスケット、21…シール部、22…爪部、A…軸線、W1,W2…幅、D1…外径、D2…谷径、D3…内径、D4…内径、D5…外径、θ1…ねじ山角度、θ2…形成角度、t1,t2…厚み、P…ピッチ、G…間隙、L1〜L4…間隔、C1〜C3…接触点。

Claims (2)

  1. ねじ部品のねじ部からの脱落防止構造を有する金属製のガスケットにおいて、
    前記脱落防止構造は、前記ねじ部が通される環状のシール部の内周部に形成されて、径方向に突出すると共に周方向に延びる1対の爪部からなり、
    前記1対の爪部は、前記ねじ部の軸線と直交する平面に平行に、かつ前記軸線の方向で同一位置に形成され、
    前記各爪部は、その径方向での先端面により規定される内径で第1形成角度に渡って周方向に延びて形成されると共に、前記第1形成角度を規定する周方向での両端を構成する一端および他端を有し、
    周方向で前記1対の爪部の間には、前記ガスケットが前記ねじ部にねじ込まれるときに前記各爪部が前記ねじ部のねじ山と干渉することなく前記ねじ山を乗り越えられる1対の間隙が、それぞれ前記第1形成角度よりも大きな第2形成角度で形成され、
    前記シール部および前記各爪部は、前記シール部の内径D4、前記爪部の厚みt2、前記爪部の周方向での前記第1形成角度θ2、前記爪部の内径D3、前記ねじ部のピッチP、前記ねじ部のねじ山角度θ1、前記ねじ部の外径D1および前記ねじ部の谷径D2が、
    D2<D3<D1<D4 式(1)
    を満たし、かつ、
    前記一端が前記ねじ部のねじ溝を形成する2つのねじ山のうちの一方の前記ねじ山のフランクに接触した状態にあるときに、前記他端が他方の前記ねじ山のフランクに接触しないための次式、
    (D3−D2)・tan(θ1/2)−t2>θ2・P/360 式(2)
    ここで、θ1およびθ2の単位は度である
    を満たすように単一部材により形成されていることを特徴とするガスケット。
  2. 前記ねじ部品は、内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁であり、前記ガスケットは、前記ねじ部がねじ込まれる燃焼室形成部材と前記燃料噴射弁との間に配置されることを特徴とする請求項1記載のガスケット。
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