JP3843864B2 - 回線接続装置及び当該装置の輻輳状態監視方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LAN(Local Area Network)等のネットワークと専用線とを接続する回線接続装置及び当該装置の輻輳状態監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの高性能化及びネットワークの大容量化に伴って、コンピュータをネットワークに接続して使用する形態が一般化している。特に、企業では、各部署に敷設されたLAN等のネットワーク同士を高速な専用線を用いて相互に接続し、情報の共有化を図ることで業務の効率化を図ることが日常化している。専用線には、同軸ケーブルを用いた電気伝送路と光ファイバを用いた光伝送路があるが、近年では伝送距離が長距離に亘っても回線品質(通信速度)がさほど低下しない光伝送路が専用線として用いられることが多くなってきている。
【0003】
近年、LANとして敷設されるネットワークは、10Mbps(bit per second)又は100Mbps程度の伝送速度を有するものが多い。また、上記のような用途で用いられるHSD(High Speed Digital)網等の専用線は、数十kbps〜6Mbps程度の伝送速度を有するものが多い。
【0004】
LANと専用線とを接続するためのインタフェースとして、いわゆるメディアコンバータといわれる回線接続装置が用いられる。この回線接続装置は、LANと専用線との伝送速度の差を吸収するとともに、送受信するデータを各々で用いられる形式に変換することで両者の通信方式の相違を整合するために設けられる。
【0005】
例えば、通常LANとして敷設されるネットワーク内では非同期でデータの授受が行われるが、専用線は同期してデータの伝送が行われる。また、送信するデータ形式に関して、前者はパケットを単位とするのに対し、後者はフレームを単位としている。よって、LANから専用線にデータを送信する場合において、回線接続装置はフレームを構成するのに必要なデータ量分のパケットをLANから受信した後で、フレームに変換して専用線に送出するという処理を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、回線接続装置は伝送速度が異なるネットワークと専用線とを接続するため、伝送速度の速いネットワークから伝送速度の遅いネットワークへデータを送信する際に、回線接続装置に送信すべきデータが集中して輻輳状態が発生することがある。輻輳状態が継続すると、送信者がデータを送信しようとしても送信することができない状態となり、受信者はそのデータを受信することができない状態となる。
【0007】
このような不具合が生じた場合には、加入者は専用線を提供する事業者に原因調査を依頼することになる。原因調査の依頼を受けた事業者が原因調査のために回線接続装置の輻輳状態を含めた動作状態を調査するには、専用線の加入者側に設置されている回線接続装置の設置場所まで出向いて調査を行わなければならず、極めて効率が悪いという問題があった。
【0008】
従って、回線接続装置の調査効率を向上させて保守性を高めるために、事業者側から遠隔で加入者側に設けられた回線接続装置の動作状態を監視可能とすることが求められていた。但し、事業者が回線接続装置の動作状態を遠隔で監視する場合には、加入者に提供するサービスを停止させることは極力避ける必要がある。このことは、加入者側に設けられた回線接続装置の動作状態を監視する場合のみならず、事業者側に設けられた回線接続装置の動作状態を監視する場合も同様である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、加入者に提供する専用線のサービスに支障をきたすことなく、加入者側に設けられた回線接続装置及び事業者側に設けられた回線接続装置の動作状態を効率よく監視することができる回線接続装置及び当該装置の輻輳状態監視方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の回線接続装置は、ネットワーク(N1、N2)と専用線(N)とを接続する回線接続装置において、前記ネットワーク(N1、N2)からのデータを一時的に保存する第1バッファ部(21a)と、前記第1バッファ部(21a)から出力されるデータを一時的に保存する第2バッファ部(23)と、前記第2バッファ部(23)に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値(Δ1)以上になった場合に、前記第1バッファ部(21a)のデータ出力の停止を要求するデータ出力停止要求信号を出力する監視制御部(27)と、前記監視制御部(27)から前記データ出力停止要求信号が出力された場合に、前記第1バッファ部(21a)から前記第2バッファ部(23)へのデータ出力を停止させるとともに、前記第1バッファ部(21a)に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になった場合に、前記専用線(N)を介して輻輳状態を通知する通知信号を出力する制御部(21c、30)とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、ネットワークから専用線に送信するデータの経路に第1バッファ部及び第2バッファ部を順に設け、後段に設けられた第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量を監視して、オーバーフローしないように前段に設けられた第1バッファ部からのデータ出力を停止させ、更に第1バッファ部に一時的に保存されるデータ量を監視し、これが予め定められた閾値以上になった場合に輻輳状態を通知する通知信号を出力するようにしているため、加入者に提供する専用線のサービスに支障をきたすことなく、加入者側に設けられた回線接続装置及び事業者側に設けられた回線接続装置の動作状態を効率よく監視することができる。
また、本発明の回線接続装置は、前記監視制御部(27)が、前記第2バッファ部(23)に一時的に保存されるデータ量が前記予め定められた閾値(Δ1)よりも小さい値に設定された閾値(Δ2)以下になった場合に、前記制御部(21c、30)に対して前記第1バッファ部(21a)から前記第2バッファ部(23)へのデータ出力の停止を解除するデータ出力停止解除信号を出力することを特徴としている。
また、本発明の回線接続装置は、前記ネットワーク(N1、N2)からのデータはパケット形式のデータであり、前記制御部(21c、30)から出力される前記通知信号に基づいて、輻輳状態が生じた旨を通知するパケット形式の通知データを生成する通知データ生成部(28)と、前記第2バッファ部(23)から出力されるパケット形式のデータ及び前記通知データ生成部(28)で生成されたパケット形式の通知データを前記専用線(N)で送受信されるデータの形式に変換して前記専用線(N)へ出力するデータ出力部(24、25、26)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の回線接続装置は、前記監視制御部(27)からの前記データ出力停止要求信号又は前記データ出力停止解除信号に基づいて、パケット形式の制御データを生成する制御データ生成部(38)を備え、前記制御データ生成部(38)で生成されたパケット形式の制御データは、前記専用線(N)から前記ネットワーク(N1、N2)へ向かう方向のデータとして前記制御部(21c、30)へ出力されることを特徴としている。
また、本発明の回線接続装置は、前記制御部(21c、30)から出力される通知信号に基づいて、輻輳状態である旨を表示する表示部(3a)を備えることを特徴としている。
また、本発明の回線接続装置は、前記制御部(21c、30)から出力される通知信号は、前記第1バッファ部(21a)に一時的に記憶されるデータ量が前記第1バッファ部(21a)に予め設定された前記閾値以上になった旨を示す信号又は前記第1バッファ部(21a)に一時的に保存されるデータ量が前記第1バッファ部(21a)の容量一杯になった旨を示す信号を含むことを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明の回線接続装置の輻輳状態監視方法は、ネットワーク(N1、N2)と専用線(N)とを接続する回線接続装置の輻輳状態監視方法において、前記ネットワーク(N1、N2)からのデータを一時的に保存するために順に設けられた第1バッファ部(21a)及び第2バッファ部(23)の内の第2バッファ部(23)に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値(Δ1)以上になったか否かを監視する第1監視ステップと、前記第2バッファ部(23)に一時的に保存されるデータ量が前記予め定められた閾値以上になったときに、前記第1バッファ部(21a)から前記第2バッファ部(23)へのデータ出力を停止させる停止ステップと、前記停止ステップの後に、前記第1バッファ部(21a)に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になったか否かを監視する第2監視ステップと、前記第1バッファ部(21a)に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になったときに、前記専用線(N)を介して輻輳状態を通知する通知信号を出力する出力ステップとを含むことを特徴としている。
また、本発明の回線接続装置の輻輳状態監視方法は、前記第2バッファ部(23)に一時的に保存されるデータ量が、前記予め定められた閾値(Δ1)よりも小さい値に設定された閾値(Δ2)以下になったか否かを監視する第3監視ステップと、前記第3監視ステップの監視により、前記第2バッファ部(23)に一時的に保存されるデータ量がが前記閾値以下になったときに、前記第1バッファ部(21a)から前記第2バッファ部(23)へのデータ出力の停止を解除する解除ステップとを更に含むことを特徴としている。
また、本発明の回線接続装置の輻輳状態監視方法は、前記出力ステップで出力される通知信号を、前記専用線(N)で送受信されるデータの形式に変換した通知データを生成する通知データ生成ステップと、前記通知データ生成ステップで生成された前記通知データを前記専用線(N)へ送信する送信ステップとを更に含むことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による回線接続装置及び当該装置の輻輳状態監視方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による回線接続装置の設置例を示す図である。図1において、Nは、例えば6Mbps程度の伝送速度を有するHSD(High Speed Digital)網等の専用線である。この専用線Nは、同軸ケーブルを用いた電気伝送路及び光ファイバを用いた光伝送路の何れであっても良いが、本実施形態では電気伝送路である場合について説明する。
【0012】
専用線Nの両端には、本実施形態の回線接続装置1a,1bがそれぞれ接続されて専用線Nを終端している。回線接続装置1aにはローカルエリアネットワークN1が接続されており、回線接続装置1bにはローカルエリアネットワークN2が接続されている。ローカルエリアネットワークは、100Mbps(bit per second)程度の伝送速度を有し、データの授受を非同期のパケット形式で行うものとする。尚、回線接続装置1a,1bとローカルエリアネットワークN1,N2との接続は、図示せぬルータを介して行われる。
【0013】
また、ローカルエリアネットワークN1,N2には、図示しないコンピュータが接続されている。尚、本実施形態では、ローカルエリアネットワークN1は加入者側に敷設されたネットワークであり、ローカルエリアネットワークN2は事業者側に敷設されたネットワークであるとする。また、加入者側に設置される回線接続装置1a及び事業者側に設置される回線接続装置1bは、基本的に同様の装置である。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態による回線接続装置の外観を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。図2(a)に示すように、回線接続装置1a,1bの正面には、電源スイッチ2並びに装置状態及び通信状態を表示する表示パネル3が設けられている。この表示パネル3には、ローカルエリアネットワークN1から専用線Nへのデータ送信時、又は、ローカルエリアネットワークN2から専用線Nへのデータ送信時に輻輳状態が生じた場合には、その旨を表示するLINKランプ3aが設けられている。尚、このLINKランプ3aは、本発明にいう表示部に相当する。
【0015】
また、図2(b)に示すように、装置の背面には、電源入力端子4、専用線Nが接続される接続部5、ローカルエリアネットワークN1又はローカルエリアネットワークN2が接続される接続部6、及びスイッチ部7が設けられる。スイッチ部7は、4つのスイッチを有し、これらのスイッチのON/OFFの組み合わせを切り替えることで、例えば64kbps、128kbps、1.5Mbps、又は6Mbpsの伝送速度を有する専用線Nに対応することが可能となる。
【0016】
本実施形態の回線接続装置1a,1bは共に専用線Nを介して輻輳状態を対向側の回線接続装置1b,1aに通知する機能を有するが、本実施形態では、回線接続装置1aが回線接続装置1bに対してのみ輻輳状態を通知するものとし、回線接続装置1bから回線接続装置1aには回線接続装置1bの輻輳状態が通知されないものとする。尚、輻輳状態を対向の回線接続装置に通知する動作を行わせるか否かは、回線接続装置内部の図示しないスイッチによって予め切り替えておく。
【0017】
図3は、本発明の一実施形態による回線接続装置の内部構成を示すブロック図である。図3において、10は回線接続装置本体であり、11は監視制御ユニットである。図1に示した加入者側に設置された回線接続装置1aは、回線接続装置本体10のみからなり、事業者側に設置された回線接続装置1bは、回線接続装置本体10と監視制御ユニット11とからなる。回線接続装置本体10は、専用線NとローカルエリアネットワークN1又はローカルエリアネットワークN2との間におけるデータの通信制御を行うとともに、輻輳状態の有無を監視する機能を有する。監視制御ユニット11は、回線接続装置本体10から出力される各種警報を処理して各種の警報信号を出力するとともに、機器状態の過去の遷移(ログ)を記録する。
【0018】
回線接続装置本体10は、ローカルエリアネットワーク側から専用線側へデータを送信するための経路に、物理層デバイス20、MAC(Media Access Control)スイッチ21、PACK部22、フロー制御バッファ23、セレクタ部24、CLK位相変換バッファ25、及びHSDフレーム部26が順に設けられる。
【0019】
物理層デバイス20は、ローカルエリアネットワークと物理的に接続され、ローカルエリアネットワークで用いられる通信規格に準じてデータの送受信制御を行う。MACスイッチ21は、専用線Nを介して接続される複数のローカルエリアネットワークに接続された複数のコンピュータに設けられているLANカードのMACアドレスに基づいてデータ送受信時の経路制御を行う。
【0020】
また、図4に示すように、MACスイッチ21は、バッファ部21a,21b及びバッファ制御部21cを備えている。図4は、回線接続装置本体10の特徴部分のみを抜き出したブロック図である。バッファ部21aは、ローカルエリアネットワーク側から専用線N側へ送信されるデータを一時的に保存し、バッファ部21bは、逆に専用線N側からローカルエリアネットワーク側へ送信されるデータを一時的に保存する。
【0021】
バッファ制御部21cは、バッファ部21aに一時的に保存しているデータ量が予め定められた閾値以上になったか否か、及び、データ量がバッファ部21aの容量一杯になったか否かを常時監視しており、その監視結果を出力する。尚、バッファ制御部21cは、バッファ部21aのデータ量が予め定められた閾値以上になった場合にはBP信号(バックプレッシャ信号)を出力し、データ量がバッファ部21aの容量一杯になった場合にはBOF信号(バッファオーバーフロー信号)を出力する。
【0022】
また、バッファ制御部21cは、バッファ部21bにPAUSEパケット又はPAUSE解除パケット(これらは、本発明にいう制御データに相当する)が一時的に保存されているか否かを常時監視しており、この監視結果に基づいて、バッファ部21aからPACK部22へのデータ出力を制御する。ここで、PAUSEパケットは、バッファ部21aからPACK部22へのデータ出力の停止要求を意味するパケットであり、PAUSE解除パケットは、バッファ部21aからPACK部22へのデータ出力の停止解除を意味するパケットである。PAUSEパケット及びPAUSE解除パケットは、後述するバッファ監視部27の制御の下、PAUSEパケット生成部38で生成される。
【0023】
PACK部22は、専用線Nでのスループットを向上させるため、ローカルエリアネットワーク側から送信されてくるデータ(MACスイッチ21から出力されるデータ)の圧縮を行う。フロー制御バッファ23は、PACK部22から出力されるデータを一時的に保存する。このフロー制御バッファ23は、FIFO(First In First Out)型のバッファを備え、その書き込み位置を図5に示したライトポインタWPにより制御し、読み出し位置をリードポインタRPにより制御している。図5は、フロー制御バッファ23へのデータの書き込み及びフロー制御バッファ23からのデータの読み出し制御を説明するための図である。
【0024】
また、フロー制御バッファ23は、バッファ監視部27から出力されるライトイネーブル信号WEによりデータの書き込みが可能な状態になり、リードイネーブル信号REによりデータの読み出しが可能な状態になる。尚、本実施形態では、リードポインタRPの値に対してライトポインタWPの値がある値Δ0以上の値になったときにフロー制御バッファ23がバッファ監視部27に対してリードイネーブル要求信号を出力し、これを受けてバッファ監視部27がフロー制御バッファ23に対してリードイネーブル信号を出力するようにしている。これは、専用線Nに対してはフレームを単位としたデータ送信が行われるため、このフレームを生成するためのデータ(パケット)が蓄えられるまで、制御バッファ23からのデータ読み出しを禁止するためである。
【0025】
セレクタ部24は、フロー制御バッファ23から出力されるパケット、ショートパケット生成部28から出力されるショートパケット、及びアイドルコード生成部29から出力されるアイドルコードの何れかを選択して出力する。尚、ショートパケット生成部28及びアイドルコード生成部29の詳細については後述する。CLK位相変換バッファ25は、セレクタ24から出力される非同期のパケットを基準クロックに同期させる処理を行う。HSDフレーム部26は、CLK位相変換バッファ25から出力されるパケットをフレーム化し、基準クロックに同期してフレームを専用線Nに出力する。
【0026】
制御部30は、前述した物理層デバイス20及びMACスイッチ21の動作を制御するとともに、MACスイッチ21からBP信号又はBOF信号(図4参照)が出力された場合には、ショートパケット生成部28に対して、それぞれBPパケット又はBOFパケット(これらは本発明にいう通知パケットに相当する)を生成させる制御信号を出力する。ショートパケット生成部28は、制御部30から出力される制御信号に基づいて、ショートパケット(BPパケット又はBOFパケット)を生成する。
【0027】
ここで、ショートパケット生成部28が生成するショートパケットは、輻輳状態が生じた旨を対向側の回線接続装置(本実施形態では、回線接続装置1b)に通知するためのパケットである。このように、本実施形態ではショートパケット生成して対向側の回線接続装置に送信するようにしているため、加入者に提供する専用線のサービスに支障をきたすことなく輻輳状態が生じた旨を対向側の回線接続装置に通知することができる。アイドルコード生成部29は、専用線Nに送出するデータ(フレーム形式のデータ)間に挿入するためのアイドルコードを生成する。
【0028】
バッファ監視部27は、前述したフロー制御バッファ23のライトポインタWPの値及びリードポインタRPの値を常時監視し、フロー制御バッファ23に一時的に保存されるデータ量が零にならず、且つ、オーバーフローしないように制御する。バッファ監視部27は、この制御を行うために、ライトポインタWPの値とリードポインタRPの値との差(一時的にフロー制御バッファ23に保存されるデータ量)が予め定められた閾値Δ1(図5(b)参照))以上になったときに、前述したPAUSEパケットをPAUSEパケット生成部38からMACスイッチ21内のバッファ部21bへ送信させることにより、MACスイッチ21からPACK部22へのデータ出力を停止させる。
【0029】
また、ライトポインタWPの値とリードポインタRPの値との差(一時的にフロー制御バッファ23に保存されるデータ量)が予め定められた閾値Δ2(この閾値Δ2は閾値Δ1よりも小さい値に設定される)以下になった場合には、PAUSE解除パケットをPAUSEパケット生成部38からMACスイッチ21内のバッファ部21bへ送信させることにより、MACスイッチ21からPACK部22へのデータ出力の停止を解除させる。
【0030】
このように、フロー制御バッファ23は、以上説明したPAUSEパケットとPAUSE解除パケットにより、フロー制御バッファ23に入力されるデータ量を制御し、フロー制御バッファ23に対するリードイネーブル信号により、フロー制御バッファ23から読み出されるデータ量を制御している。
【0031】
また、回線接続装置本体10は、専用線N側からローカルエリアネットワーク側へデータを送信するための経路に、HSDフレーム終端部31、データ抽出部32、CLK位相変換バッファ33、UNPACK部34、セレクタ部35、及びパケット生成部36、並びに、MACスイッチ21及び物理層デバイス20が順に設けられる。
【0032】
HSDフレーム終端部31は、専用線Nを終端する。データ抽出部32は専用線Nを介して送信されてきたフレームからデータを抽出する。CLK位相変換バッファ33は、同期・非同期変換を行う。UNPACK部34は、CLK位相変換バッファ33から出力されるデータを伸長する。これは、CLK位相変換バッファ333から出力されるデータは対向側の回線接続装置に設けられるPACK部(図3中のPACK部22に相当する)で圧縮されているからである。
【0033】
セレクタ部35はUNPACK部34から出力されるデータ、又は、バッファ監視部27から制御信号が出力された場合にはPAUSEパケット生成部38から出力されるPAUSEパケット若しくはPAUSE解除パケットを選択する。パケット生成部36は、UNPACK部34から出力されるデータ又はPAUSEパケット生成部38から出力されるPAUSEパケット若しくはPAUSE解除パケットを用いて、ローカルエリアネットワーク側で用いられる形式のパケットを生成し、MACスイッチ21に出力する。
【0034】
ショートパケット検出部37は、専用線Nを介して対向側の回線接続装置から送信されてきたショートパケット(対向側の回線接続装置が輻輳状態である旨を示す信号)を検出する。PAUSEパケット生成部38は、バッファ監視部27から出力される制御信号(データ出力停止要求信号、データ出力停止解除信号)に基づいてPAUSEパケット又はPAUSE解除パケットを生成する。
【0035】
また、回線接続装置本体10には、対向側の回線接続装置が輻輳状態を示すショートパケットを送信してきた場合、及び、回線接続装置本体10自体が輻輳状態となったときに、その旨を通知する警報処理部39が設けられている。この警報処理部39は、インタフェース部40から警報信号を出力することができるように構成されている。
【0036】
図1に示した設置例では、加入者側に設置された回線接続装置1aは、インタフェース部40には機器が接続されないが、事業者側に設置された回線接続装置1bには、図3に示すように監視制御ユニット11が接続される。監視制御ユニット11は、インタフェース部41、警報処理部42、及びログ情報保存用メモリ43が設けられており、インタフェース部41を介して入力された警報信号に基づいて、警報処理部42が地気接点警報又はTrap警報を出力する。また、ログ情報保存用メモリ43は、接続されている回線接続装置本体10及び対向側に設置された回線接続装置の状態の過去の遷移(ログ)を記録する。
【0037】
次に、図1に示した回線接続装置1aの動作について詳細に説明する。尚、以下の説明においては、輻輳状態が生ずるときの動作を中心に説明する。ローカルエリアネットワークN1からデータが送信されてくると、図4に示した物理層デバイス20を介してMACスイッチ21内のバッファ部21aに一時的に保存され、その後PACK部22で圧縮されてフロー制御バッファ23に一時的に保存される。尚、フォロー制御バッファ23にデータが入力されると、図5(a)に示したように、ライトイネーブル信号が出力されてフロー制御バッファ23は書き込みが可能な状態となる。フロー制御バッファ23に保存されるデータ量に応じて、図5(a)に示したように、ライトポインタWPの値は増加する。
【0038】
ここで、入力されるデータ量が少ない場合には、リードポインタRPの値に対するライトポインタWPの値の差が値Δ0よりも小さいため、バッファ監視部27からはフロー制御バッファ23からのデータ読み出しを許可するリードイネーブル信号は出力されない。ローカルエリアネットワークN1から回線接続装置1aへのデータ送信が継続されると、フロー制御バッファ23に一時的に保存されるデータ量が増加し、リードポインタRPの値に対するライトポインタWPの値の差が値Δ0よりも大きくなると、フロー制御バッファ23がバッファ監視部27に対してリードイネーブル要求信号を出力し、これを受けてバッファ監視部27がフロー制御バッファ23に対してリードイネーブル信号REを出力する。このリードイネーブル信号REによって、フロー制御バッファ23はデータの読み出しが可能な状態となる。尚、フロー制御バッファ23からデータが読み出されると、読み出された分だけリードポインタRPの値は増加する。
【0039】
ローカルエリアネットワークN1から回線接続装置1aへのデータ送信が継続されると、フロー制御バッファ23へのデータの書き込み及びフロー制御バッファ23からのデータの読み出しが共に行われていても、ライトポインタWPの値の増加率がリードポインタRPの値の増加率が大きくなる傾向がある。これは、専用線Nの伝送速度よりもローカルエリアネットワークN1の伝送速度の方が高速だからである。バッファ監視部27は、常時ライトポインタWPの値とリードポインタRPの値との差が予め定められた閾値Δ1(図5(b)参照)以上になったか否かを監視している(第1監視ステップ)。
【0040】
いま、図5(b)に示すように、ライトポインタWPの値とリードポインタRPの値との差が、予め定められた閾値Δ1以上になったとすると、バッファ監視部27は、PAUSEパケット生成部38に対して、PAUSEパケットを生成させる制御信号(データ出力停止要求信号)を出力する。この制御信号を受けると、PAUSE生成部38はPAUSEパケットを生成し、セレクタ部35を介してMACスイッチ21へ送出する。このPAUSEパケットはMACスイッチ21内のバッファ部21bに一時的に保存される。PAUSEパケットがMACスイッチ21内のバッファ部21bに一時的に保存されると、MACスイッチ21内に設けられたバッファ制御部21cによって検出され、バッファ制御部21cはバッファ部21aに対してデータの出力を停止させる(停止ステップ)。
【0041】
ここで、バッファ部21aからのデータ出力が停止された状態において、ローカルエリアネットワークN1から回線接続装置1aへのデータ送信が継続されると、バッファ部21aに保存されるデータ量は徐々に増加する。MACスイッチ21内のバッファ制御部21cは、バッファ部21aに保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になったか否かを常時監視している(第2監視ステップ)。
【0042】
バッファ部21aに保存されているデータ量が予め定められた閾値以上になると、バッファ制御部21aは、制御部30に対してBP信号を出力する。制御部30は、このBP信号を受けてショートパケット生成部28に対して、BPパケットを生成させる制御信号を出力する(出力ステップ)。ショートパケット生成部28は、制御部30から出力される制御信号に基づいてBPパケットを生成する(通知データ生成ステップ)。このBPパケットは、セレクタ部24、CLK位相変換バッファ25、及びHSDフレーム部26を介して専用線Nへ送出され(送信ステップ)、対向側の回線接続装置(本実施形態では事業者側に設けられた回線接続装置1b)で受信される。尚、バッファ部21aからのデータ出力が停止された状態においては、フロー制御バッファ23からのデータの読み出しは継続されている。
【0043】
上記のBPパケットは、そのデータ長が6バイトであり、ローカルエリアネットワークN1,N2でデータ送信のために用いられる通常のパケットのデータ長(最低64バイト)に満たず、送信時には通常のパケット間に挿入されて送信される。このため、ショートパケットを送信するために専用線Nの帯域を占有することがなく、スループットの低下を招くことがない。また、専用線Nに送出されたBPパケットは、上述したように、そのデータ長が通常のパケットの最低のデータ長よりも短く、対向側の回線接続装置が備えるショートパケット検出部37(図1参照)で検出された後で、MACスイッチ21で破棄されるため、加入者に提供するサービスに支障をきたすことがない。
【0044】
ここで、バッファ部21aからのデータ出力が停止された状態において、更にローカルエリアネットワークN1から回線接続装置1aへのデータ送信が継続されて、バッファ部21aがオーバーフローすると、バッファ制御部21cは制御部30に対してBOF信号を出力する。制御部30は、このBOF信号を受けてショートパケット生成部28に対して、BOFパケットを生成させる制御信号を出力する(出力ステップ)。
【0045】
ショートパケット生成部28は、制御部30から出力される制御信号に基づいてBOFパケットを生成し(通知データ生成ステップ)、BPパケットと同様に、専用線Nへ送出され(送信ステップ)、対向側の回線接続装置で受信される。ここで、BOFパケットを送出するときも、上述したBPパケットと同様の理由により、専用線Nの帯域を占有することがなく、スループットの低下を招くことがない。また、加入者に提供するサービスに支障をきたすことがない。
【0046】
このようにして、本実施形態においては、BPパケット又はBOFパケットが専用線Nを介して対向側の回線接続装置1bに送出されることにより回線接続装置1aで生じた輻輳状態を回線接続装置1bに通知している。尚、制御部30から制御信号が出力された場合には、制御部30は、LINKランプ3a(図2(a)参照)を点灯させる。
【0047】
一方、PAUSEパケット生成部38からPAUSEパケットが出力されて、バッファ部21aのデータ出力が停止された後においても、フロー制御バッファ23からはデータが読み出されている。バッファ監視部27は、フロー制御バッファ23に一時的に保存されているデータ量が閾値Δ2(図5(c)参照)よりも小さくなったか否かを常時監視している(第3監視ステップ)。図5(c)に示すように、ライトポインタWPの値とリードポインタRPの値との差が閾値Δ2よりも小さくなると、バッファ監視部27はPAUSEケット生成部38に対して、PAUSE解除パケットを生成させる制御信号(データ出力停止解除信号)を出力する。この制御信号を受けると、PAUSE生成部38はPAUSE解除パケットを生成し、セレクタ部35を介してMACスイッチ21へ送出する(解除ステップ)。
【0048】
このPAUSE解除パケットはMACスイッチ21内のバッファ部21bに一時的に保存される。PAUSE解除パケットがMACスイッチ21内のバッファ部21bに一時的に保存されると、MACスイッチ21内に設けられたバッファ制御部21cによって検出され、バッファ制御部21cはバッファ部21aに対してデータ出力の停止を解除させる。これにより、バッファ部21に一時的に保存されていたデータがPACK部22を介してフロー制御バッファ23に入力される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の回線接続装置は、ローカルエリアネットワークから専用線Nに送信するデータの経路に2つのバッファ(バッファ部21a及びフロー制御バッファ23)を設け、後段に設けられたフロー制御バッファ23に一時的に保存されるデータ量を監視して、オーバーフローしないように前段に設けられたバッファ部21aからのデータ出力を制御している。このような制御を行うことによって、フロー制御バッファ23でのオーバーフローによるパケットの損失を防止することができ、その結果として通信品質を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の接続装置は、上記の制御を行うとともに、MACスイッチ21内に設けられたバッファ部21aに一時的に保存されているデータ量を監視して、データ量が閾値以上になった場合、及び、バッファ部21aがオーバーフローした場合に、輻輳状態を示すショットパケット(BPパケット及びBOFパケット)を生成して、通常のデータと同様に専用線Nに送信することで、対向側の回線接続装置1bに輻輳状態が生じた旨を通知している。これにより事業者は、加入者に提供する専用線のサービスに支障をきたすことなく、加入者側に設けられた回線接続装置の動作状態を効率よく監視することができる。また、事業者側にも上述した回線接続装置本体10と同様のものが回線接続装置1bの一部として設けられるため、事業者側に設けられた回線接続装置1bで生ずる輻輳状態についても同様に監視することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ネットワークから専用線に送信するデータの経路に第1バッファ部及び第2バッファ部を順に設け、後段に設けられた第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量を監視して、オーバーフローしないように前段に設けられた第1バッファ部からのデータ出力を停止させ、更に第1バッファ部に一時的に保存されるデータ量を監視し、これが予め定められた閾値以上になった場合に輻輳状態を通知する通知信号を出力するようにしているため、加入者に提供する専用線のサービスに支障をきたすことなく、加入者側に設けられた回線接続装置及び事業者側に設けられた回線接続装置の動作状態を効率よく監視することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による回線接続装置の設置例を示す図である。
【図2】 本発明の一実施形態による回線接続装置の外観を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
【図3】 本発明の一実施形態による回線接続装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】 回線接続装置本体10の特徴部分のみを抜き出したブロック図である。
【図5】 フロー制御バッファ23へのデータの書き込み及びフロー制御バッファ23からのデータの読み出し制御を説明するための図である。
【符号の説明】
3a LINKランプ(表示部)
21a バッファ部(第1バッファ部)
21c バッファ制御部(制御部)
23 フロー制御バッファ(第2バッファ部)
24 セレクタ部(データ出力部)
25 CLK位相変換バッファ(データ出力部)
26 HSDフレーム部(データ出力部)
27 バッファ監視部(監視制御部)
28 ショートパケット生成部(通知データ生成部)
30 制御部
38 PAUSEパケット生成部(制御データ生成部)
N 専用線
N1,N2 ローカルエリアネットワーク(ネットワーク)
Δ1 フロー制御バッファに予め定められた閾値
Δ2 閾値(Δ1)よりも小さい値に設定された閾値
Claims (9)
- ネットワークと専用線とを接続する回線接続装置において、
前記ネットワークからのデータを一時的に保存する第1バッファ部と、
前記第1バッファ部から出力されるデータを一時的に保存する第2バッファ部と、
前記第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になった場合に、前記第1バッファ部のデータ出力の停止を要求するデータ出力停止要求信号を出力する監視制御部と、
前記監視制御部から前記データ出力停止要求信号が出力された場合に、前記第1バッファ部から前記第2バッファ部へのデータ出力を停止させるとともに、前記第1バッファ部に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になった場合に、前記専用線を介して輻輳状態を通知する通知信号を出力する制御部と
を備えることを特徴とする回線接続装置。 - 前記監視制御部は、前記第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量が前記予め定められた閾値よりも小さい値に設定された閾値以下になった場合に、前記制御部に対して前記第1バッファ部から前記第2バッファ部へのデータ出力の停止を解除するデータ出力停止解除信号を出力することを特徴とする請求項1記載の回線接続装置。
- 前記ネットワークからのデータはパケット形式のデータであり、
前記制御部から出力される前記通知信号に基づいて、輻輳状態が生じた旨を通知するパケット形式の通知データを生成する通知データ生成部と、
前記第2バッファ部から出力されるパケット形式のデータ及び前記通知データ生成部で生成されたパケット形式の通知データを前記専用線で送受信されるデータの形式に変換して前記専用線へ出力するデータ出力部と
を備えることを特徴とする請求項2記載の回線接続装置。 - 前記監視制御部からの前記データ出力停止要求信号又は前記データ出力停止解除信号に基づいて、パケット形式の制御データを生成する制御データ生成部を備え、
前記制御データ生成部で生成されたパケット形式の制御データは、前記専用線から前記ネットワークへ向かう方向のデータとして前記制御部へ出力されることを特徴とする請求項3記載の回線接続装置。 - 前記制御部から出力される通知信号に基づいて、輻輳状態である旨を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の回線接続装置。
- 前記制御部から出力される通知信号は、前記第1バッファ部に一時的に記憶されるデータ量が前記第1バッファ部に予め設定された前記閾値以上になった旨を示す信号又は前記第1バッファ部に一時的に保存されるデータ量が前記第1バッファ部の容量一杯になった旨を示す信号を含むことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の回線接続装置。
- ネットワークと専用線とを接続する回線接続装置の輻輳状態監視方法において、
前記ネットワークからのデータを一時的に保存するために順に設けられた第1バッファ部及び第2バッファ部の内の第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になったか否かを監視する第1監視ステップと、前記第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量が前記予め定められた閾値以上になったときに、前記第1バッファ部から前記第2バッファ部へのデータ出力を停止させる停止ステップと、
前記停止ステップの後に、前記第1バッファ部に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になったか否かを監視する第2監視ステップと、
前記第1バッファ部に一時的に保存されるデータ量が予め定められた閾値以上になったときに、前記専用線を介して輻輳状態を通知する通知信号を出力する出力ステップと
を含むことを特徴とする回線接続装置の輻輳状態監視方法。 - 前記第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量が、前記予め定められた閾値よりも小さい値に設定された閾値以下になったか否かを監視する第3監視ステップと、
前記第3監視ステップの監視により、前記第2バッファ部に一時的に保存されるデータ量がが前記閾値以下になったときに、前記第1バッファ部から前記第2バッファ部へのデータ出力の停止を解除する解除ステップと
を更に含むことを特徴とする請求項7記載の回線接続装置の輻輳状態監視方法。 - 前記出力ステップで出力される通知信号を、前記専用線で送受信されるデータの形式に変換した通知データを生成する通知データ生成ステップと、
前記通知データ生成ステップで生成された前記通知データを前記専用線へ送信する送信ステップと
を更に含むことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の回線接続装置の輻輳状態監視方法。
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