JP3843631B2 - エンジンのアイドル制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トルクコンバータ付の自動変速機を結合したエンジンに装着されるアイドル制御装置、特に、変速レンジのシフト時の負荷変動に対応してエンジンの回転数を変化させることができるようにしたエンジンのアイドル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、エンジンのアイドル回転数はエンストを起こさない範囲で低く設定され、燃費の向上を図るようにしており、その上で、エンジン負荷の変動時のアイドル回転数の落ち込みや吹き上がり等の回転変動を検出した際に、エンジン出力を増減操作して回転変動を防止している。しかし、アイドル回転数の落ち込み等の回転変動を検出して出力調整を行っても、追加した調整量がエンジン回転数の落ち込みや回転変動に対して有効に作用するトルクを発生するのは回転数の低下後より所定時間の経過後であり、その応答性は機関形式や制御手段固有の特性によって個々に異なり、この応答性のバラツキによる制御性の低下が問題となっていた。
【0003】
ところで、車両の動力伝達系内にトルクコンバータ付の自動変速機を装備した車両のアイドル回転数制御においては、停車時のシフトレバーの切り換え位置、例えば、P,R,N,D,3,2,L等の各レンジに応じてアイドル時の出力値をそれぞれ増減切り換える制御が一般的に行われている。即ち、走行レンジであるD,R,3,2,L等の場合と停止レンジであるP,N等の場合とで自動変速機側からエンジンに加わる負荷が増減変化する。このため、シフトレンジに応じた負荷と釣り合う出力を発生するようエンジン出力制御を行い、アイドル回転数の過度の増減変動を防止するようにしている。
【0004】
例えば、シフトレンジの位置信号であるインヒビタスイッチ信号を用い、停止レンジより走行レンジへの切り換えが検出された時に、そのシフトに伴い自動変速機側の負荷が増変化するが、ISC(アイドルスピードコントロール)バルブにより吸入空気量の増大処理を行い、出力アップを図り、目標アイドル回転数の低下を防止する。あるいは、走行レンジより停止レンジへの切り換え時に、そのシフトに伴い自動変速機側の負荷が減少するが、ISCバルブにより吸入空気量の減処理を行い、出力ダウンを図り、目標アイドル回転数の急増を抑えている。
【0005】
このようなトルクコンバータ付の自動変速機では、シフトレバーのシフト操作に対して実際にエンジンが受ける負荷の変動が生じるまでに時間的なずれが生じる。例えば、Nレンジ(停止レンジ)からDレンジ(走行レンジ)へのシフトアップ時には、自動変速機側の負荷がエンジンに加わる前に、シフトレバーのシフト操作の検出に応答してアイドル回転数調整手段が作動し、エンジン回転数が高められ、いわゆる、空吹きが発生し易い。また、DレンジからNレンジへのシフトダウン時には、Dレンジでエンジンが受けている負荷が解除されないうちにシフト操作の検出に応答して回転数調整手段が作動し、エンジン回転数が落ちて、エンストを発生する可能性がある。
【0006】
そこで、NレンジからDレンジヘのシフト操作後、所定の遅延時間経過後に所定のエンジン出力増を図るようにしたり、あるいは、特公平6−65855号公報に開示されるように、トルクコンバータのタービン回転数変化により自動変速機側の負荷変動を検出し、この後エンジンのアイドル回転数を補正するものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、停止レンジと走行レンジでの自動変速機側の負荷の違い分、エンジン出力を変更するアイドル制御において、特に、極低温時は自動変速機内のオイル(ATF)の粘性増大により、ドライバに与える違和感が増大する状況がある。即ち、自動変速機側の負荷がオイル粘性に比例するため、極低温ではエンジン出力で補強すべき出力差が大きくなり、大きめの補正を必要とする。更に、極低温では自動変速機内部のクラッチ等の摩擦係合要素に連通する管路抵抗が増大し、クラッチ等の作動にレスポンス遅れが大きく生じ、切り換えタイミングがずれ易い。このように、極低温では大きめのエンジン出力補正が必要であり、クラッチ等作動のレスポンス遅れ大きく、これらが共に影響してエンジンの吹き上がりが生じ、ドライバに違和感を与える。
そこで、特公平6−65855号公報に開示されるように、トルクコンバータのタービン回転数変化により負荷変動を検出してからエンジンのアイドル回転数を補正して吹き上がりやエンストの防止を図り、ドライバの違和感を低減させたものがある。
【0008】
しかしながら、このようにタービン回転数変化に応じてアイドル制御を開始した場合、自動変速機の油温が低い領域では効果があるものの、油温が比較的高い領域ではオイルの粘性が低く、応答性が高くなるため、タービン回転数が変化を生じてからエンジンの出力変更制御を開始していたのでは、自動変速機側の負荷変動に対してエンジン出力の補正が遅れ、エンストが生じ、ドライバに違和感を与えてしまう問題がある。
【0009】
本発明の目的は、オイルの温度による粘性変化に応じて自動変速機側の応答性の違いを考慮してエンジン出力の補正を適正タイミングで行い、ドライバの違和感を排除できるエンジンのアイドル制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、エンジン出力を車輪に伝達する動力伝達経路に配置される自動変速機を備え、同自動変速機が流体式トルクコンバータを有し、上記自動変速機のシフトレンジを切り換えるセレクタレバーの操作位置をレバー位置検出手段で検出し、油温検知手段により上記自動変速機の油温を検出し、タービン回転数検出手段により上記トルクコンバータのタービン回転数を検出し、上記エンジンの出力をエンジン出力調整手段により調整し、制御手段を備え、同制御手段は上記セレクタレバーの中立レンジと走行レンジとの間での切り換えが行われる際に、上記油温が所定値以上の場合は直ちに、所定値未満の場合は上記タービン回転数の変化値が上記自動変速機の摩擦係合手段が確実に駆動車輸側と回転伝達状態に切換わったと判断できるしきい値を上回ってから、それぞれレンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジン出力補正を行うよう上記エンジン出力調整手段の作動を制御するようにしている。
【0011】
ここで油温が所定値以上の場合はレンジの切り換えを検出してから、レンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジンの出力補正を行うので、自動変速機の応答性が高い油温領域ではエンジンの出力補正を早めることができるし、上記油温が所定値以上の場合は直ちに、所定値未満の場合は上記タービン回転数の変化値が上記自動変速機の摩擦係合手段が確実に駆動車輸側と回転伝達状態に切換わったと判断できるしきい値を上回ったことを検出してからレンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジンの出力補正を遅らせることができる。これにより、自動変速機の油温により粘性の違いに起因して発生する自動変速機側の応答性の違いに合わせてエンジン出力補正のタイミングを適切に設定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1、図2には本発明の適用されたエンジンのアイドル制御装置1を示した。このアイドル制御装置1は、直列4気筒のエンジンEに装着される。
エンジンEの出力は動力伝達経路PTを介して駆動車輪21に接続される。動力伝達経路PTはエンジンEの出力軸に連結されるトルクコンバータ22及び前後進切り換え機構23及び図示しない自動変速機構を有した自動変速機18、ペラシャフト19、ディファレンシャル20及び駆動車輪Wを備え、この順に回転力が伝達される。
【0013】
エンジンEはその吸気通路2にスロットル弁3を有し、スロットル弁3の回転軸301は吸気通路2の外部でスロットルレバー4に連結される。スロットルレバー4はステップモータ5によって開閉駆動され、ステップモータ5は後述のコントロールユニット6により制御される。回転軸301の他端側にはスロットル弁3の開度情報を吸入空気量情報として出力するスロットル開度センサ7が取付けられ、その検出信号はコントロールユニット6に出力される。
吸気通路2内のスロットル弁2を迂回して吸気バイパス路8が形成され、同路8がISCバルブ9によって開閉制御される。ISCバルブ9はバネ901によって閉弁付勢され、アクチュエータとしてのステップモータ11によって一定量づつ開弁作動でき、同モータは後述のコントロールユニット6に接続されている。なお、符号12はファーストアイドルエアバルブを示し、同バルブがアイドル時の暖機補正を冷却水温に応じて自動的に行うように構成されている。
【0014】
ここで、スロットル弁3の開度θsを操作するステップモータ5及びISCバルブ9のポジション(開度位置)を操作するステップモータ11とがエンジンの出力を調整するエンジン出力調整手段を構成する。なお、ISCバルブ9には同バルブ9のポジション(開度位置)に対応する開度位置情報を発するISCポジションセンサ13が装着される。
吸気通路2は吸入気体をスロットルボデー14からサージタンク15を介してインテークマニホールド16に流入し、エンジンE内の図示しない燃焼室で燃料と混合されて燃焼後排気ガスとなり、排気マニホルド17を経て図示しない排気系を通過して大気中に放出される。
【0015】
自動変速機18のトルクコンバータ22はエンジンの出力軸に直結されたポンプ221と、このポンプの回転エネルギをオイルを介して受けるタービン222と、ポンプ221からタービン222に伝達されるトルクを増大させるステータ223と、タービン222に一体結合され前後進切り換え機構23に回転力を出力するタービン軸224と、ポンプ221に駆動されオイル(ATF)の供給源となるギアポンプ225とを備える。前後進切り換え機構23は、図示しない遊星歯車列とその遊星歯車列の各回転要素の駆動を規制する摩擦係合手段である前進クラッチ231及び後進ブレーキ232と、これら摩擦係合手段への圧油の給排を行うオイル供給回路24とを備える。前後進切り換え機構23は、前進クラッチ231のみが接合するとタービン軸224と図示しない遊星歯車列内のキャリアと一体の出力軸233側が図示しない変速機構で変速されながら一体化されることにより、エンジン回転と同方向の回転が出力軸233側に出力され、後進ブレーキ232のみが接合するとタービン軸224の回転が図示しない遊星歯車列内で反転して出力軸233側に出力される。
【0016】
オイル供給回路24は、ギアポンプ225からの圧油を前進クラッチ231と後進ブレーキ232及び図示しない遊星歯車列内の潤滑及び冷却機構部に供給する。ギアポンプ225からの圧油はエンジン回転変動にかかわらず、所定のライン圧に調整され、更にその圧油はマニュアルバルブ25で油路を選択的に切り換えられ、それぞれ油圧制御されて前進クラッチ231あるいは後進ブレーキ232に所定の給油モードで供給される。マニュアルバルブ25は手動のシフトレバー26にリンク系261を介し連結され、シフトレバーの切り換え位置、例えば、P,R,N,D,3,2,L等の各シフトレンジに切り換え保持される。ここで前進レンジであるD,3,2,Lに保持されると圧油を前進クラッチ231側に供給する回路を開放し、後進レンジRに保持されると圧油を後進ブレーキ232側に供給する回路を開放し、停止レンジP,Nに保持されると前進クラッチ231及び後進ブレーキ232の圧油を共に排除し、駆動車輪21側とタービン軸224側とを遮断し、タービン軸224側をフリー状態に保持する。
【0017】
このようなエンジンEの出力調整手段を成すステップモータ5及びステップモータ11と、自動変速機18の油圧制御がコントロールユニット6で成される。コントロールユニット6は、各種制御を行うCPU(中央処理装置)601を有し、このCPU601にはデータバス等のバスラインを介してROM(リード・オンリー・メモリ)602及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)603、入出力ポート604,605がそれぞれ接続されている。ROM602には入力ポート604を介し入力された各種の信号に基づいてCPU601が運転状態等を判断し、各部を適切に制御するための各種プログラムやデータが格納されている。
【0018】
なお、ここでのコントロールユニット6は、エンジン制御機能、動力伝達経路制御機能の他に、特に、セレクタレバー26が中立レンジNと走行レンジR,D,3,2,Lとの間で切り換えられると、油温Otが所定値Ot1以上の場合はシフトレンジ26の切り換えを検出してから、所定値Ot1未満の場合はタービン回転数Ntに変化Δntが生じたことを検出してから、それぞれレンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジン出力補正ΔDtを行うようエンジン出力調整手段(ステップモータ11)の作動を制御するアイドル制御手段としての機能を備える。ここで、所定値Ot1はオイル供給回路24内の各摩擦係合手段が極低温オイルの流動抵抗で作動に顕著な遅れを生じさせるということが生じない状態にあると見做される油温として予め設定されている。
RAM603はCPU601が処理を行うためのワーキングメモリであり、各種信号や制御信号が一時的に格納されるようになっている。
【0019】
入力ポート604には、シフトレバー26に対設されたレバー位置検出手段としてのインヒビタスイッチ27からシフトレバ位置信号S(P,Nレンジの時にオン、それ以外でオフ)が、スロットルセンサ7からスロットル開度θsが、タービン軸224に対設されるタービン回転数センサ28からタービン回転数Nt(車速V相当値)が、オイル供給回路24内に配設されるオイル温度センサ29から油温Otが、ISCポジションセンサ13からISCバルブ9の目標ポジション(開度位置)Poiが、エンジン回転センサ30からエンジン回転数Neが、水温センサ31から水温Wtが、アクセル開度センサ32より図示しないアクセルペダルの開度θaが、吸気温センサ33より吸気温Atがそれぞれ入力されるようになっている。
【0020】
出力ポート605には、エンジンEの出力調整手段を成すステップモータ5やステップモータ11、あるいは前進クラッチ231や後進ブレーキ232の図示しない油圧制御弁がそれぞれの図示しない駆動回路を介し接続される。
このように構成されたエンジンのアイドル制御装置1の動作について図3及び図4の制御プログラムや図2のブロック図を参照して説明する。
コントロールユニット6はエンジンキーのオンに応じメインルーチンを実行する。図3に示すように、ステップa1で初期値、フラグセット等の機能をセットし、ステップa2で各センサよりのデータを読み込む。そしてステップa3では周知の点火時期制御処理を、ステップa4では周知の燃料噴射量制御処理を、ステップa5では後述するアイドル回転速度制御処理を、ステップa6ではその他のエンジン制御処理を順次行い、リターンするようにしている。
【0021】
メインルーチン内のアイドル制御ルーチンに達した際の制御処理を図4に沿って説明する。ここでのステップb1では各運転データ、各アイドル制御パラメータ等が取り込まれ、続いてステップb2で図示しないクランキングスイッチのオンか否かを判断し、これよりクランキング時であるとステップb3に進み、水温Wtに応じた始動基本目標ポジションPo(Wt)をマップm1によって算出し、同ポジションPo(Wt)をここでの目標ポジションPoaとし、ステップb4に進む。ステップb4,b5では目標ポジションPoaの外乱規制のため上下限のクリップ処理を行い、クリップ処理済の目標ポジションPobを算出し、次いで、ISCバルブ9の現ポジションPiをクリップ処理済の目標ポジションPobに修正すべくステップモータ11をフィードバック制御する。
【0022】
一方、ステップb2においてクランキング時でないことより、ステップb6に進むと、ここではセレクタレバー26が中立レンジN,Pと走行レンジR,D,3,2,Lとの間で切り換えられたか否かを、インヒビタスイッチ27からのシフトレバ位置信号Sで判定し、非切り換え時にはステップb7に進み、切り換え時にはステップb8に進む。
ステップb7ではセレクタレバー26が安定状態にあり、現エンジン運転情報よりポジションフィードバック制御に入る。ここでは水温Wtや吸気温Atに応じた各基本目標ポジションP(Wt),P(At)をマップm2、m3より読取り、その中の最大値をここでの目標ポジションPoaとして設定する。その上で、ステップb4,b5に進み、目標ポジションPoaの上下限のクリップ処理を行い、クリップ処理済の目標ポジションPobを算出し、ISCバルブ9の現ポジションPiを目標ポジションPobに修正すべくステッパモータ11をフィードバック制御することとなる。
【0023】
ステップb6でセレクタレバー26が中立レンジN,Pと走行レンジR,D,3,2,Lとの間で切り換えられたとしてステップb8に達するとする。ここでは、オイル温度センサ29から求めた油温Otが所定値Ot1以上か否か判断し、以上の場合はステップb9に、そうでないとステップb10に進む。
オイル供給回路24内の油温Otが所定値Ot1未満の場合、ステップb10,b11,b12,b13に進む。ここでは、まず、ステップb8経由後のタービン回転数Ntの最大値Ntmaxを逐次求めながら、タービン回転数センサ28から求めたタービン回転数Ntの変化を今回値と最大値Ntmaxとの差より変化値Δnt〔=Ntmax−Nt(n)〕として求め、次いで、変化値Δntが変化判定用のしきい値Δnt1を上回るのを待つ。即ち、オイル供給回路24内の各摩擦係合手段が極低温オイルの流動抵抗で作動に顕著な遅れを生じる可能性があるとして、同部の各摩擦係合手段が確実に切り換えられタービン軸224に駆動車輪21側の回転負荷が加わった状態を変化値Δntがしきい値Δnt1を上回ることにより検出する。
【0024】
タービン回転数Ntの変化値Δntがしきい値Δnt1を上回ると、ステップb9に達し、ここで回転数フィードバック制御に入る。ステップb9では、水温(Wt)に応じた基本目標回転数Ne(Wt)をマップm4より読取り、これを目標回転数Neoaとして算出する。更にステップb14,d15では実エンジン回転数Neiと目標回転数Neoaの偏差ΔNeを求め、その偏差ΔNe相当の目標偏差補正ゲインIをマップm5より求める。次いで、ここでの目標ポジションPoaを目標偏差補正ゲインI(ΔNe)と前回の目標ポジションPobの加算によって求め、ステップb4,b5に進む。そして、目標ポジションPoaの上下限のクリップ処理を行い、クリップ処理済の最新の目標ポジションPobを算出し、ISCバルブ11の現ポジションPiを目標ポジションPobに修正すべくフィードバック制御することとなる。
【0025】
なお、ステップb8で油温Otが所定値Ot1以上と判定される場合、すなわち、オイル供給回路24内の各摩擦係合手段がオイルの流動抵抗で作動遅れを生じさせることのない温度雰囲気下にあると判定される場合は、P,NレンジとR,D,3,2,Lレンジとの間でのセレクタレバーの切り換えが検出されると、直ちに、ステップb9、b14、d15、b4、d5の回転数フィードバック制御に入り、上述と同様に基本目標回転数Ne(Wt)を目標回転数Neoとし、実エンジン回転数Neiと目標回転数Neoaの偏差ΔNeを求め、偏差ΔNe相当の目標偏差補正ゲインI(ΔNe)を求め、同ゲインIと現目標ポジションPoの加算によって目標ポジションPoaを求め、同目標ポジションのクリップ処理を行ってクリップ処理済の目標ポジションPobを算出し、ISCバルブ9の現ポジションPoiを目標ポジションPobに修正すべくフィードバック制御することとなる。
【0026】
このようなアイドル回転制御の後、メインルーチン側でアクセル開度θaが所定量変化したとの判定が成されると、アイドル制御ルーチンから離脱して、現車速が所定の停車判定速度より小さい場合に周知の発進処理に進み、そこで、アクセル開度θa及びエンジン回転数Neに応じた目標トルクを発生できるような目標スロットル開度を算出し、同スロットル開度に実スロットル開度θsを調整すべくエンジン出力調整手段としてのステップモータ5が駆動され、スロットル弁3が回動制御されることとなる。
【0027】
このように、上述のエンジンのアイドル制御装置1では、油温Otが所定値Ot1以上の場合はレンジの切り換えを検出したら直ちに、レンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジンの出力補正をステップb9、b12、d13、b4、d5の回転数フィードバック制御により行うので、即ち、自動変速機18の応答性が高い油温領域ではこれにエンジンの出力補正が遅れないように早めに出力補正することができる。一方、油温Otが所定値Ot1未満の場合はタービン回転数に変化が生じ、摩擦係合手段である前進クラッチ231及び後進ブレーキ232の切り換えが完了したことをタービン回転数Ntの変化値Δntより検出してから(ステップb13)、レンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジンの出力補正を同じくステップb9、b14、d15、b4、d5の回転数フィードバック制御により遅らせて行うことができ、エンジンの出力補正がレンジの切り換え前に先行して行われることを防止できる。
【0028】
このように、上述のエンジンのアイドル制御装置1では、自動変速機の油温による粘性の違いに起因して発生する自動変速機側の応答性の違いに合わせてエンジン出力補正のタイミングを適切に設定することができる。
上述のエンジンのアイドル制御装置1は、油温Otと所定値Ot1を比較し、油温が所定値以上ではシフトレンジの切り換えを検出してから、所定値未満ではタービン回転数Ntの変化値Δntに変化(Δnt>変化判定値Δnt1)が生じたことを検出してから、それぞれレンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジン出力補正を行うようエンジン出力調整手段であるISCバルブ9の現ポジションPiを目標ポジションPoに修正するが、この油温Otに代えて、冷却水温度Wt等の油温に相関する状態量を検出又は推定するその他の油温検知手段を用いても良く、この場合も、図1のエンジンのアイドル制御装置と同様の作用効果を得られる。
【0029】
上述のエンジンのアイドル制御装置1はエンジンの出力を調整するエンジン出力調整手段としてステップモータ11駆動のISCバルブ9及びステップモータ5駆動のスロットル弁3を併設していたが、場合によりステップモータ5駆動のスロットル弁3のみ用い、エンジンの全運転域でのエンジンの出力調整を行うよう構成しても良く、この場合も、図1のエンジンのアイドル制御装置と同様の作用効果を得られる。
【0030】
上述のエンジンのアイドル制御装置1はタービン回転数Ntの変化をその今回値とステップb8経由後の最大値との差である変化値Δnt〔=Ntmax−Nt(n)〕として求め、その変化値Δntが一定回転数であるしきい値Δnt1以上変化したらタービン回転数Ntが変化と判定していたが、これに代えて、タービン回転数Ntの今回値Nt(n)がステップb8開始後の最大値Ntmaxの設定比率Ntmax×α以上変化するとタービン回転数Ntが変化したと判定してもよく、あるいはタービン回転数Ntの変化率Ntt/dtが負になったらタービン回転数Ntが変化と判定しても良く、更に、タービン回転数Ntの今回値と前回値との差や比に基づいてタービン回転数に変化が生じたことを検出するようにしても良く、これらの場合も、図1のエンジンのアイドル制御装置と同様の作用効果を得られる。
【0031】
また、上述のエンジンのアイドル制御装置は電制スロットル+ステッパモータ式ISCとして説明したが、もちろん通常のスロットル+バイパスソレノイド式ISCの場合でもよく、要はコントロールユニット(ECU)によってコントロールされるISCバルブがあれば何れにでも適用可能である。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明では、ここで油温が所定値以上の場合は直ちに、レンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジンの出力補正を行うので、自動変速機の応答性が高い油温領域ではエンジンの出力補正を早めることができるし、油温が所定値未満の場合は上記タービン回転数の変化値が上記自動変速機の摩擦係合手段が確実に駆動車輸側と回転伝達状態に切換わったと判断できるしきい値を上回ったことを検出してからレンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジンの出力補正を遅らせることができる。これにより、自動変速機の油温により粘性の違いに起因して発生する自動変速機側の応答性の違いに合わせてエンジン出力補正のタイミングを適切に設定することができ、エンストや空吹きの発生によりドライバへ違和感を与えるということを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例としてのエンジンのアイドル制御装置の全体構成図である。
【図2】図1のエンジンのアイドル制御装置の制御ブロック図である。
【図3】図1のエンジンのアイドル制御装置内の制御手段が用いるメイン制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】図1のエンジンのアイドル制御装置内の制御手段が用いるアイドル制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジンのアイドル制御装置
6 コントロールユニット
9 ISCバルブ
11 ステップモータ
18 自動変速機
21 車輪
22 トルクコンバータ
26 セレクタレバー
27 インヒビタスイッチ
28 タービン回転数センサ
31 水温センサ
E エンジン
Nt タービン回転数
Ot 油温
Ot1 所定値
PT 動力伝達経路
Δnt 変化
Claims (1)
- エンジン出力を車輪に伝達する動力伝達経路に配置され流体式トルクコンバータを有する自動変速機と、
同自動変速機のシフトレンジを選択するセレクタレバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段と、
上記自動変速機の油温を検出する油温検知手段と、
上記トルクコンバータのタービン回転数を検出するタービン回転数検出手段と、 上記エンジンの出力を調整するエンジン出力調整手段と、
上記セレクタレバーが中立レンジと走行レンジとの間で切り換えられると、上記油温が所定値以上の場合は直ちに、所定値未満の場合は上記タービン回転数の変化値が上記自動変速機の摩擦係合手段が確実に駆動車輸側と回転伝達状態に切換わったと判断できるしきい値を上回ってから、それぞれレンジの切り換えによる負荷変動に対応したエンジン出力補正を行うよう上記エンジン出力調整手段の作動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするエンジンのアイドル制御装置。
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