JP3843496B2 - 車両用折り畳みシート - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートクッションを車体上に倒した使用状態と車体に対し起立させた折畳み状態の間で起伏可能とした車両用折り畳みシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ワンボックスカーまたはツーボックスカー等の後部座席としてよく使用されるこの種の折畳式シートとしては、例えば特願平7−257252号公報に開示されたものがある。これは、後部にシートバックを起伏可能に設けたシートクッションの前側をヒンジにより回動可能に車体のフロアに取り付けてシートクッションをフロア上に倒した使用状態とフロアに対し起立させた折畳み状態の間で起伏可能としたものである。シートクッションを使用状態に係止するロックは、シートクッションフレームに回動可能に設けてリンク装置によりヒンジと連結させ、折畳み状態ではシートクッションのアンダカバー内に収納され、使用状態では突出してフロアに設けたストライカに離脱可能に係止されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の折畳式シートは、フロアに対し起立させた折畳み状態から使用状態に倒す際に、シートの荷重により勢い余って、折畳み状態でシートクッションのすぐ後側に置いてあった物品を、シートクッションとフロアの間に挟み込んで損傷させるおそれがある。
【0004】
本発明はこのような問題を解決し、またシートクッションを折畳み状態に保持するためのロックとこれを解除する機構の一部を他の機構と兼用させて、コストを低減させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、後部にシートバックを起伏可能に設けたシートクッションのフレームの一側を折畳みヒンジにより水平軸線回りに回動可能に車体に取り付けてシートクッションを車体上に倒した使用状態と車体に対し起立させた折畳み状態の間で起伏可能とした車両用折り畳みシートに関するものであり、シートクッションのフレームの底部には折畳みヒンジの軸線とほゞ直角に延びるシート側レールを設け、車体側には使用状態においてシート側レールの下側でこれに沿ったほゞ水平方向に延びる車体側レールを設け、この車体側レールに長手方向摺動のみ可能に下部が案内支持されて上方に立ち上がる可動脚の上部をシート側レールに長手方向摺動可能に係合させ、この可動脚の立ち上がり部分に折畳みヒンジの軸線と平行方向に延びる押退けプレートを取り付けたものである。シートクッションを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、押退けプレートを取り付けた可動脚は、折畳みヒンジから離れる向きに移動する。
【0006】
シート側レールは折畳みヒンジから離れた端部においてシートバック側に向けて湾曲させることが好ましい。
【0007】
可動脚の下部にはその移動方向と直交する水平方向軸線回りに回転自在に支持されて車体側レールに長手方向の異なる位置においてそれぞれ転動可能に係合される複数の下部ローラを設け、可動脚の上部には前記下部ローラの軸線と平行な軸線回りに回転自在に支持されてシート側レールに転動可能に係合される上部ローラを設けることが好ましい。
【0008】
シートクッションのフレームには折畳みフックを作動可能に設け、可動脚の上部には折畳み状態において可動脚と共に折畳みヒンジ側に接近して折畳みフックと離脱可能に係合される当接部材を設けることが好ましい。
【0009】
シートクッションのフレームの後部に収納位置と突出位置の間で回動可能に支持されて収納位置に向けて弾性的に付勢されたシートロックを設け、可動脚に設けた当接部材は同可動脚が前記折畳みヒンジから離れる向きに移動するにつれてシートロックの一部に当接して弾性的付勢に抗して同シートロックを突出位置に回動させ、前記シートロックはこの突出位置において車体に固定したストライカに離脱可能に係合するように設けることが好ましい。
【0010】
折畳みフックと当接部材の係合、及びシートロックとストライカの係合を手動により離脱させる単一の操作部材を設けることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図1〜図11に示す実施の形態により本発明の説明をする。
図1に示すように、後部にリクライニング装置などのヒンジ機構Cを介してシートバックBが起伏可能に設けられた2組のシートクッションAは、その下部前側が折畳みヒンジ25を介して水平軸線回りに回動可能にフロア(車体)10に取り付けられ、フロア10に対し起立させた折畳み状態(図1の左半部及び図8参照)とフロア10上に倒した使用状態(図1の右半部及び図11参照)との間で起伏可能である。シートクッションAは、図8〜図11に示すように、フレーム20の上側にカバーにより覆われたクッションパッド29を取り付けたもので、その下側には使用状態においてフロア10に当接する支持脚28が設けられ、また下側の大部分はアンダカバー27により覆われている(図1参照)。
【0012】
フレーム20は、主として図2に示すように、後部が立ち上がったループ状のメインパイプ21と、その前後のパイプ部材に両端が溶接などにより固定された1本のシート側レール22と、左右のパイプ部材に両端が固定されたロックヒンジ軸23及び支持ロッド24により構成されている。シート側レール22は、前端がメインパイプ21の前側のパイプ部材の中央部に固定されて折畳みヒンジ25の軸線と直角にフレーム20の後部に延び、後端部は上方に湾曲されてその上端が後側のパイプ部材に固定され、全長にわたり横向きコ字形の一定断面形状(図4参照)である。ロックヒンジ軸23の中央部に溶接固定されたブラケット23aは、シート側レール22の上面に固定されている。図1及び図4に示すように、シート側レール22の下側となる面の側縁とシートクッションAの下側を覆うアンダカバー27との間には、スリット27aが形成されている。
【0013】
図1、図2、図8〜図11に示すように、折畳みヒンジ25は、メインパイプ21の前側のパイプ部材の左右部分に溶接固定された1対のヒンジ金具25a、フロア10にねじ止め固定された1対のブラケット25b、及びこの両者を連結するヒンジピン25cよりなっている。シート側レール22よりも右寄りの部分においてメインパイプ21の前側のパイプ部材に溶接固定された支持金具26aの先端部には、折畳みロック26がピン26bにより枢支されて支持金具26aとの間に設けたスプリング(図示省略)により反時計回転方向に付勢され、自由状態ではストッパ(図示省略)により各図に示した位置で停止されている。シート側レール22よりも右寄りの部分においてメインパイプ21の後側のパイプ部材に溶接固定された支持ワイヤ52aに前後方向移動可能に支持されたストラップ(操作部材)52は、ロック解除ベルト50を介して折畳みロック26に連結され、シートクッションAの後側からこのストラップ52を引くことにより折畳みフック26はスプリングに抗して時計回転方向に回動される。
【0014】
図1、図3、図4、図8〜図11に示すように、フロア10には各シートクッションAの左右の折畳みヒンジ25の中央部分からその枢支軸線と直角に後方に延びる溝11が形成され、この溝11内には横向きコ字形の一定断面形状の車体側レール12がボルト止めなどにより固定されている。この車体側レール12は、シートクッションAをフロア10上に倒した使用状態では、シート側レール22の下側でこれに沿ったほゞ水平方向となるように設けられている。車体側レール12の断面形状はコ字形であるが下側となる部分の方が長く、上側となる部分の先端縁とフロア10との間には、スリット11aが形成されている。
【0015】
次に主として図3及び図4により、本発明の要部を構成する押退け機構30の説明をする。車体側レール12に移動可能に案内支持される可動脚31は、図3に示すように、交差角度が90度より小さい略L字形の側面形状で、その下辺部には2本の軸32が移動方向と直角でかつ図4において右向き突出するようにかしめ固定され、各軸32には下部ローラ33が回転自在に取り付けられている。可動脚31の上部に軸32と平行で図4において左向きに突出するようかしめ固定された軸34には上部ローラ35が回転自在に取り付けられ、軸34よりも上方となる可動脚31の上端部には軸32と平行で右向きに突出するストライカピン(当接部材)36がかしめ固定されている。
【0016】
この可動脚31は、両下部ローラ33を車体側レール12の長手方向で異なる位置に側方から差し込んで転動可能に係合させることにより、長手方向摺動のみ可能に車体側レール12に案内支持させて、スリット11aを通って立ち上がらせる。可動脚31の上部はスリット27aを通してシートクッションA内に入れ、上部ローラ35をシート側レール22の側方から差し込んで転動可能に係合させることにより長手方向摺動可能に係合させている。可動脚31の後側となる立ち上がり部分の中間に一体的に形成した支持部31aには、横方向の長さがシートクッションAの幅よりも多少小さい押退けプレート37が、前上がりとなるように傾斜してボルト止めにより固定されている。
【0017】
次に、シートクッションAをフロア10上に倒れた使用状態に係止するシートロック40の説明をする。図2に示すように、メインパイプ21後部のロックヒンジ軸23の中間部には略円盤状のカム46が固定され、その両側にはケーシング41と跳ね上げレバー48が回動可能に支持されている。ケーシング41は偏平な角筒形で、ロックヒンジ軸23との間に設けた捩りばね45により時計回転方向に付勢され、自由状態ではロックヒンジ軸23との間に設けたストッパ(図示省略)に当接されてアンダカバー27内に収納される収納位置(図2、図8及び図9参照)となっている。
【0018】
図5〜図7に示すように、シートロック40は基本的には特開平7−257252公報に開示されたものと同様な公知の構造で、ケーシング41内に枢支ピン42cにより回動可能に支持されたフック42と、軸部43bにより回動可能に支持されたラチェット43と、この両部材42,43の先端の間に張設されたスプリング44を有している。フック42はストライカ13と係合していない状態では図5及び図6に示すように開いているが、ケーシング41のノッチ41a内にストライカ13が押し込まれればカム面42bが押されることにより図7に示すように閉じてストライカ13と係合し、軸部43bを介してラチェット43と一体連結されたアーム43cを矢印X方向に回せば係止凹部42aと爪部43aの係合が外れて開いた状態に戻るものである。ロック解除ベルト50の途中に連結されて前方に延びる分岐ベルト51は支持ロッド24の上側を通り、その先端はアーム43c先端の折曲部43dに連結されている。
【0019】
図5〜図7に示すように、ロックヒンジ軸23に固定されたカム46は、その外周の大半がロックヒンジ軸23を中心とする円周面であり、外周の残りは係合凹部46a及びこれに続くランプ面46bとなっている。カム46の外側となるケーシング41の一側にピン47dにより基端部が揺動自在に支持されポール47は、根元側を除く背面47cがカム46外周の円周面と等しい半径の円弧面となっている。シートロック40が収納位置(図8及び図9参照)にあるときは、図5に示すように、ポール47は実質的に全部がカム46の円周面の外側にあるが、シートロック40が回動してアンダカバー27の窓穴27bから下方に突出する突出位置(図10及び図11参照)となれば、図6及び図7に示すように、ポール47の先端部47aは係合凹部46a内に入り、ポール47の残りの一部はランプ面46bに沿い、ポール47の背面47cはカム46外周の円周面の延長と一致した円周面となる。
【0020】
図2、図5〜図7に示すように、カム46の他側に回動自在に設けらた跳ね上げレバー48は、ロックヒンジ軸23との間に設けた捩りばね49により時計回転方向に付勢され、自由状態ではシートロック40のケーシング41に固定したストッパ48cに当接されてケーシング41の長手方向とほゞ直交する方向に突出している。跳ね上げレバー48の中間部には、ケーシング41側に突出してポール47の先端部47aの傾斜面47bと当接する傾斜面を有するブロック48bが一体的に形成されている。この跳ね上げレバー48を捩りばね49に抗して回動すれば、収納位置にあったシートロック40は突出位置まで回動されて係止されるが、この係止後も跳ね上げレバー48は更に回動可能となっている。
【0021】
次に以上に述べた実施の形態の作動の説明をする。先ず図8に示す折畳み状態では、可動脚31はその移動範囲の最前部に位置しており、上部ローラ35はシート側レール22の根元近くに係合され、可動脚31のストライカピン36は折畳みフック26に係合されてシートクッションAは折畳み状態に保持されている。シートロック40は捩りばね45により図略のストッパに当接された収納位置にある。この状態では図5に示すように、シートロック40のフック42は開いており、また跳ね上げレバー48は捩りばね49によりストッパ48cに当接され、ポール47の先端部47aの傾斜面47bはブロック48bと当接されている。なお、傾斜面47bとブロック48bとは多少離れていてもよい。
【0022】
この状態でストラップ52を引けば、ロック解除ベルト50を介して折畳みフック26が回動してストライカピン36との係合が解除され、シートクッションAは折畳みヒンジ25を中心として使用状態に向けて倒すことが可能になる。図9に示すように、シートクッションAを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、押退けプレート37を取り付けた可動脚31は、下部及び上部のローラ33,35が各レール12,22に沿って案内されて、折畳みヒンジ25から離れる後向きに移動する。可動脚31が所定位置まで移動すればその上端部のストライカピン36が跳ね上げレバー48に当接し、それ以後は可動脚31の移動につれて跳ね上げレバー48は捩りばね49に抗してロックヒンジ軸23回りに回動し、この跳ね上げレバー48はブロック48bを介してポール47の先端部47aの傾斜面47bを押すので、この先端部47aはカム46外周の円周面に沿って滑り、ピン47dによりこれに連結されたケーシング41も跳ね上げレバー48と共に回動して次第に立ち上がる。この時点では可動脚31の上部の上部ローラ35はシート側レール22後部の湾曲した部分に係合されて移動する。
【0023】
カム46外周の円周面に沿って滑る先端部47aが係合凹部46aに達してこれに係合されればシートロック40は突出位置となり、それ以上回動しなくなる。この状態は図6及び図10に示す通りであり、ストライカ13はまだシートロック40のフック42に係合されていない。シートクッションAを使用状態に向けて更に回動すれば、シートロック40は回動しないが、跳ね上げレバー48はブロック48bがポール47の円弧状の背面47cに沿って摺動するので回動する。そしてフック42のカム面42bがストライカ13に当接してからシートクッションAの後部を下向きに押せば、フック42はスプリング44に抗して回動して図7に示すように閉じてストライカ13に係合し、シートクッションAは図11に示す使用状態となる。フック42の戻りはラチェット43の爪部43aがフック42の係止凹部42aに係合することにより阻止される。
【0024】
上述のように、シートクッションAを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、可動脚31は折畳みヒンジ25から離れる後向きに移動し、折畳み状態のシートクッションのすぐ後側に置いてあった物品は、このように移動する可動脚31に取り付けられた押退けプレート37により押し退けられる。従って、そのような物品がシートクッションとフロアの間に挟み込まれて損傷を被るおそれはない。シートクッションAが使用状態に接近するにつれて、車体側レール12とシート側レール22の間の角度は減少するが、シート側レール22の後部は上向きに湾曲されているので、可動脚31に取り付けられた押退けプレート37による押し退け力はそれほどは減少しない。また、押退けプレート37の機能を高めるためにその上下幅及びこれを取り付ける可動脚31の高さを大きくしても、使用状態においてシート側レール22を車体側レール12に接近させることができ、シートクッションA下側のデッドスペースを少なくすることができる。
【0025】
図7及び図11に示す使用状態においてストラップ52を引けば、ロック解除ベルト50及び分岐ベルト51を介してアーム43cはX方向に回動され、ラチェット43が回動されて係止凹部42aと爪部43aの係合が外れ、フック42が開いてカム面42bによりシートクッションAの後部は多少押し上げられる。これによりシートクッションAは折畳みヒンジ25回りに回動自在となり、シートクッションAの後部を持ち上げれば、図10及び図9に示すように、起立されるにつれて押退けプレート37を設けた可動脚31は前向きに移動し、折畳み状態直前で可動脚31のストライカピン36が折畳みフック26先端の斜面に当接してこれを戻しばねに抗して回動させて係合し、図8に示す折畳み状態となる。
【0026】
図7に示す使用状態からシートクッションAの後部を持ち上げれば、可動脚31のストライカピン36により捩りばね49に抗して押されていた跳ね上げレバー48はブロック48bがポール47の背面47cに沿って戻るが、図6に示す状態まではポール47の先端部47aがカム46の係合凹部46aに係合されているのでケーシング41は突出位置のままである。この状態よりシートクッションAの後部を持ち上げれば、ブロック48bが背面47cから外れるので、ケーシング41に対する捩りばね45の作用によりポール47の先端部47aが係合凹部46aの斜面に乗り上げ、ポール47は外向きに回動して先端部47aと係合凹部46aの係合が外れ、跳ね上げレバー48がストッパ48cと当接する状態となる。これ以後はケーシング41と跳ね上げレバー48は一体となって、可動脚31のストライカピン36の移動につれて捩りばね45によりフレーム20に対して回動され、図5に示す収納位置となれば図略のストッパに当接してそれ以上の回動は阻止される。
【0027】
なお図示は省略したが、フロア10に対しフレーム20を起立させるように作用する捩りばねを折畳みヒンジ25部に設ければ、シートクッションAを起立させるに必要な力を減少させることができる。このような捩りばねの代わりに、可動脚31を折畳みヒンジ25側に引き寄せるスプリングを設けても、同じ目的を達成することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、シートクッションを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、可動脚は折畳みヒンジから離れる向きに移動し、折畳み状態のシートクッションのすぐ後側に置いてあった物品は、このように移動する可動脚に取り付けられた押退けプレートにより押し退けられる。従ってそのような物品がシートクッションとフロアの間に挟み込まれて損傷を被るおそれはなくなる。
【0029】
シート側レールを折畳みヒンジから離れた端部においてシートバック側に向けて湾曲させたものによれば、使用状態において可動脚の上部はシート側レールの湾曲した部分に係合されるので、押退けプレートの機能を高めるためにその上下幅及びこれを取り付ける可動脚の高さを大きくしても、使用状態においてシート側レールを車体側レールに接近させることができ、シートクッション下側のデッドスペースを少なくすることができる。また使用状態近くまでシートクッションを倒した際の可動脚の動きを円滑にすることができる。
【0030】
可動脚の上下部にローラを設けて各レールと転動可能に係合させたものによれば、シートクッションの起伏に伴う可動脚及び押退けプレートの作動を円滑にすることができる。
【0031】
可動脚の上部に設けた当接部材を、シートクッションのフレームに設けた折畳みフックと離脱可能に係合したものによれば、シートクッションを折畳み状態に保持するロックの一部が可動脚により兼用されるので、製造コストを低減させることができる。
【0032】
また、シートクッションのフレームの後部に回動可能に支持されたシートロックを収納位置に向けて弾性的に付勢し、シートクッションの起伏に伴い移動する可動脚の当接部材を利用してこれを突出位置に回動させて車体のストライカに離脱可能に係合させるようにしたものによれば、シートロックを突出位置にするためのリンク装置が不要となるので、製造コストを低減させることができる。
【0033】
折畳みフックと当接部材の係合、及びシートロックとストライカの係合を手動により離脱させる単一の操作部材を設けたものによれば、折畳みロックとシートロックの離脱操作を1つの操作部材で行うことができるので、操作が簡単になりまた製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による車両用折り畳みシートの1つの実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】 図1に示す実施形態のフレームを示す斜視図である。
【図3】 図1に示す実施形態の押退け機構付近を示す一部破断した拡大側断面図である。
【図4】 図3の4−4断面図である。
【図5】 図1に示す実施形態の収納位置におけるシートロックを示す側面図である。
【図6】 図5に示すシートロックの突出位置でストライカが係合される直前における側面図である。
【図7】 図5に示すシートロックの突出位置でストライカが係合された状態における側面図である。
【図8】 図1に示す実施形態の折畳み状態における全体側面図である。
【図9】 図1に示す実施形態の使用状態に向けて倒している途中における全体側面図である。
【図10】 図1に示す実施形態の使用状態直前における全体側面図である。
【図11】 図1に示す実施形態の使用状態における全体側面図である。
【符号の説明】
10…車体(フロア)、12…車体側レール、13…ストライカ、20…フレーム、22…シート側レール、25…折畳みヒンジ、26…折畳みフック、31…可動脚、33…下部ローラ、35…上部ローラ、36…当接部材(ストライカピン)、37…押退けプレート、40…シートロック、52…操作部材(ストラップ)、A…シートクッション、B…シートバック。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートクッションを車体上に倒した使用状態と車体に対し起立させた折畳み状態の間で起伏可能とした車両用折り畳みシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ワンボックスカーまたはツーボックスカー等の後部座席としてよく使用されるこの種の折畳式シートとしては、例えば特願平7−257252号公報に開示されたものがある。これは、後部にシートバックを起伏可能に設けたシートクッションの前側をヒンジにより回動可能に車体のフロアに取り付けてシートクッションをフロア上に倒した使用状態とフロアに対し起立させた折畳み状態の間で起伏可能としたものである。シートクッションを使用状態に係止するロックは、シートクッションフレームに回動可能に設けてリンク装置によりヒンジと連結させ、折畳み状態ではシートクッションのアンダカバー内に収納され、使用状態では突出してフロアに設けたストライカに離脱可能に係止されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の折畳式シートは、フロアに対し起立させた折畳み状態から使用状態に倒す際に、シートの荷重により勢い余って、折畳み状態でシートクッションのすぐ後側に置いてあった物品を、シートクッションとフロアの間に挟み込んで損傷させるおそれがある。
【0004】
本発明はこのような問題を解決し、またシートクッションを折畳み状態に保持するためのロックとこれを解除する機構の一部を他の機構と兼用させて、コストを低減させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、後部にシートバックを起伏可能に設けたシートクッションのフレームの一側を折畳みヒンジにより水平軸線回りに回動可能に車体に取り付けてシートクッションを車体上に倒した使用状態と車体に対し起立させた折畳み状態の間で起伏可能とした車両用折り畳みシートに関するものであり、シートクッションのフレームの底部には折畳みヒンジの軸線とほゞ直角に延びるシート側レールを設け、車体側には使用状態においてシート側レールの下側でこれに沿ったほゞ水平方向に延びる車体側レールを設け、この車体側レールに長手方向摺動のみ可能に下部が案内支持されて上方に立ち上がる可動脚の上部をシート側レールに長手方向摺動可能に係合させ、この可動脚の立ち上がり部分に折畳みヒンジの軸線と平行方向に延びる押退けプレートを取り付けたものである。シートクッションを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、押退けプレートを取り付けた可動脚は、折畳みヒンジから離れる向きに移動する。
【0006】
シート側レールは折畳みヒンジから離れた端部においてシートバック側に向けて湾曲させることが好ましい。
【0007】
可動脚の下部にはその移動方向と直交する水平方向軸線回りに回転自在に支持されて車体側レールに長手方向の異なる位置においてそれぞれ転動可能に係合される複数の下部ローラを設け、可動脚の上部には前記下部ローラの軸線と平行な軸線回りに回転自在に支持されてシート側レールに転動可能に係合される上部ローラを設けることが好ましい。
【0008】
シートクッションのフレームには折畳みフックを作動可能に設け、可動脚の上部には折畳み状態において可動脚と共に折畳みヒンジ側に接近して折畳みフックと離脱可能に係合される当接部材を設けることが好ましい。
【0009】
シートクッションのフレームの後部に収納位置と突出位置の間で回動可能に支持されて収納位置に向けて弾性的に付勢されたシートロックを設け、可動脚に設けた当接部材は同可動脚が前記折畳みヒンジから離れる向きに移動するにつれてシートロックの一部に当接して弾性的付勢に抗して同シートロックを突出位置に回動させ、前記シートロックはこの突出位置において車体に固定したストライカに離脱可能に係合するように設けることが好ましい。
【0010】
折畳みフックと当接部材の係合、及びシートロックとストライカの係合を手動により離脱させる単一の操作部材を設けることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図1〜図11に示す実施の形態により本発明の説明をする。
図1に示すように、後部にリクライニング装置などのヒンジ機構Cを介してシートバックBが起伏可能に設けられた2組のシートクッションAは、その下部前側が折畳みヒンジ25を介して水平軸線回りに回動可能にフロア(車体)10に取り付けられ、フロア10に対し起立させた折畳み状態(図1の左半部及び図8参照)とフロア10上に倒した使用状態(図1の右半部及び図11参照)との間で起伏可能である。シートクッションAは、図8〜図11に示すように、フレーム20の上側にカバーにより覆われたクッションパッド29を取り付けたもので、その下側には使用状態においてフロア10に当接する支持脚28が設けられ、また下側の大部分はアンダカバー27により覆われている(図1参照)。
【0012】
フレーム20は、主として図2に示すように、後部が立ち上がったループ状のメインパイプ21と、その前後のパイプ部材に両端が溶接などにより固定された1本のシート側レール22と、左右のパイプ部材に両端が固定されたロックヒンジ軸23及び支持ロッド24により構成されている。シート側レール22は、前端がメインパイプ21の前側のパイプ部材の中央部に固定されて折畳みヒンジ25の軸線と直角にフレーム20の後部に延び、後端部は上方に湾曲されてその上端が後側のパイプ部材に固定され、全長にわたり横向きコ字形の一定断面形状(図4参照)である。ロックヒンジ軸23の中央部に溶接固定されたブラケット23aは、シート側レール22の上面に固定されている。図1及び図4に示すように、シート側レール22の下側となる面の側縁とシートクッションAの下側を覆うアンダカバー27との間には、スリット27aが形成されている。
【0013】
図1、図2、図8〜図11に示すように、折畳みヒンジ25は、メインパイプ21の前側のパイプ部材の左右部分に溶接固定された1対のヒンジ金具25a、フロア10にねじ止め固定された1対のブラケット25b、及びこの両者を連結するヒンジピン25cよりなっている。シート側レール22よりも右寄りの部分においてメインパイプ21の前側のパイプ部材に溶接固定された支持金具26aの先端部には、折畳みロック26がピン26bにより枢支されて支持金具26aとの間に設けたスプリング(図示省略)により反時計回転方向に付勢され、自由状態ではストッパ(図示省略)により各図に示した位置で停止されている。シート側レール22よりも右寄りの部分においてメインパイプ21の後側のパイプ部材に溶接固定された支持ワイヤ52aに前後方向移動可能に支持されたストラップ(操作部材)52は、ロック解除ベルト50を介して折畳みロック26に連結され、シートクッションAの後側からこのストラップ52を引くことにより折畳みフック26はスプリングに抗して時計回転方向に回動される。
【0014】
図1、図3、図4、図8〜図11に示すように、フロア10には各シートクッションAの左右の折畳みヒンジ25の中央部分からその枢支軸線と直角に後方に延びる溝11が形成され、この溝11内には横向きコ字形の一定断面形状の車体側レール12がボルト止めなどにより固定されている。この車体側レール12は、シートクッションAをフロア10上に倒した使用状態では、シート側レール22の下側でこれに沿ったほゞ水平方向となるように設けられている。車体側レール12の断面形状はコ字形であるが下側となる部分の方が長く、上側となる部分の先端縁とフロア10との間には、スリット11aが形成されている。
【0015】
次に主として図3及び図4により、本発明の要部を構成する押退け機構30の説明をする。車体側レール12に移動可能に案内支持される可動脚31は、図3に示すように、交差角度が90度より小さい略L字形の側面形状で、その下辺部には2本の軸32が移動方向と直角でかつ図4において右向き突出するようにかしめ固定され、各軸32には下部ローラ33が回転自在に取り付けられている。可動脚31の上部に軸32と平行で図4において左向きに突出するようかしめ固定された軸34には上部ローラ35が回転自在に取り付けられ、軸34よりも上方となる可動脚31の上端部には軸32と平行で右向きに突出するストライカピン(当接部材)36がかしめ固定されている。
【0016】
この可動脚31は、両下部ローラ33を車体側レール12の長手方向で異なる位置に側方から差し込んで転動可能に係合させることにより、長手方向摺動のみ可能に車体側レール12に案内支持させて、スリット11aを通って立ち上がらせる。可動脚31の上部はスリット27aを通してシートクッションA内に入れ、上部ローラ35をシート側レール22の側方から差し込んで転動可能に係合させることにより長手方向摺動可能に係合させている。可動脚31の後側となる立ち上がり部分の中間に一体的に形成した支持部31aには、横方向の長さがシートクッションAの幅よりも多少小さい押退けプレート37が、前上がりとなるように傾斜してボルト止めにより固定されている。
【0017】
次に、シートクッションAをフロア10上に倒れた使用状態に係止するシートロック40の説明をする。図2に示すように、メインパイプ21後部のロックヒンジ軸23の中間部には略円盤状のカム46が固定され、その両側にはケーシング41と跳ね上げレバー48が回動可能に支持されている。ケーシング41は偏平な角筒形で、ロックヒンジ軸23との間に設けた捩りばね45により時計回転方向に付勢され、自由状態ではロックヒンジ軸23との間に設けたストッパ(図示省略)に当接されてアンダカバー27内に収納される収納位置(図2、図8及び図9参照)となっている。
【0018】
図5〜図7に示すように、シートロック40は基本的には特開平7−257252公報に開示されたものと同様な公知の構造で、ケーシング41内に枢支ピン42cにより回動可能に支持されたフック42と、軸部43bにより回動可能に支持されたラチェット43と、この両部材42,43の先端の間に張設されたスプリング44を有している。フック42はストライカ13と係合していない状態では図5及び図6に示すように開いているが、ケーシング41のノッチ41a内にストライカ13が押し込まれればカム面42bが押されることにより図7に示すように閉じてストライカ13と係合し、軸部43bを介してラチェット43と一体連結されたアーム43cを矢印X方向に回せば係止凹部42aと爪部43aの係合が外れて開いた状態に戻るものである。ロック解除ベルト50の途中に連結されて前方に延びる分岐ベルト51は支持ロッド24の上側を通り、その先端はアーム43c先端の折曲部43dに連結されている。
【0019】
図5〜図7に示すように、ロックヒンジ軸23に固定されたカム46は、その外周の大半がロックヒンジ軸23を中心とする円周面であり、外周の残りは係合凹部46a及びこれに続くランプ面46bとなっている。カム46の外側となるケーシング41の一側にピン47dにより基端部が揺動自在に支持されポール47は、根元側を除く背面47cがカム46外周の円周面と等しい半径の円弧面となっている。シートロック40が収納位置(図8及び図9参照)にあるときは、図5に示すように、ポール47は実質的に全部がカム46の円周面の外側にあるが、シートロック40が回動してアンダカバー27の窓穴27bから下方に突出する突出位置(図10及び図11参照)となれば、図6及び図7に示すように、ポール47の先端部47aは係合凹部46a内に入り、ポール47の残りの一部はランプ面46bに沿い、ポール47の背面47cはカム46外周の円周面の延長と一致した円周面となる。
【0020】
図2、図5〜図7に示すように、カム46の他側に回動自在に設けらた跳ね上げレバー48は、ロックヒンジ軸23との間に設けた捩りばね49により時計回転方向に付勢され、自由状態ではシートロック40のケーシング41に固定したストッパ48cに当接されてケーシング41の長手方向とほゞ直交する方向に突出している。跳ね上げレバー48の中間部には、ケーシング41側に突出してポール47の先端部47aの傾斜面47bと当接する傾斜面を有するブロック48bが一体的に形成されている。この跳ね上げレバー48を捩りばね49に抗して回動すれば、収納位置にあったシートロック40は突出位置まで回動されて係止されるが、この係止後も跳ね上げレバー48は更に回動可能となっている。
【0021】
次に以上に述べた実施の形態の作動の説明をする。先ず図8に示す折畳み状態では、可動脚31はその移動範囲の最前部に位置しており、上部ローラ35はシート側レール22の根元近くに係合され、可動脚31のストライカピン36は折畳みフック26に係合されてシートクッションAは折畳み状態に保持されている。シートロック40は捩りばね45により図略のストッパに当接された収納位置にある。この状態では図5に示すように、シートロック40のフック42は開いており、また跳ね上げレバー48は捩りばね49によりストッパ48cに当接され、ポール47の先端部47aの傾斜面47bはブロック48bと当接されている。なお、傾斜面47bとブロック48bとは多少離れていてもよい。
【0022】
この状態でストラップ52を引けば、ロック解除ベルト50を介して折畳みフック26が回動してストライカピン36との係合が解除され、シートクッションAは折畳みヒンジ25を中心として使用状態に向けて倒すことが可能になる。図9に示すように、シートクッションAを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、押退けプレート37を取り付けた可動脚31は、下部及び上部のローラ33,35が各レール12,22に沿って案内されて、折畳みヒンジ25から離れる後向きに移動する。可動脚31が所定位置まで移動すればその上端部のストライカピン36が跳ね上げレバー48に当接し、それ以後は可動脚31の移動につれて跳ね上げレバー48は捩りばね49に抗してロックヒンジ軸23回りに回動し、この跳ね上げレバー48はブロック48bを介してポール47の先端部47aの傾斜面47bを押すので、この先端部47aはカム46外周の円周面に沿って滑り、ピン47dによりこれに連結されたケーシング41も跳ね上げレバー48と共に回動して次第に立ち上がる。この時点では可動脚31の上部の上部ローラ35はシート側レール22後部の湾曲した部分に係合されて移動する。
【0023】
カム46外周の円周面に沿って滑る先端部47aが係合凹部46aに達してこれに係合されればシートロック40は突出位置となり、それ以上回動しなくなる。この状態は図6及び図10に示す通りであり、ストライカ13はまだシートロック40のフック42に係合されていない。シートクッションAを使用状態に向けて更に回動すれば、シートロック40は回動しないが、跳ね上げレバー48はブロック48bがポール47の円弧状の背面47cに沿って摺動するので回動する。そしてフック42のカム面42bがストライカ13に当接してからシートクッションAの後部を下向きに押せば、フック42はスプリング44に抗して回動して図7に示すように閉じてストライカ13に係合し、シートクッションAは図11に示す使用状態となる。フック42の戻りはラチェット43の爪部43aがフック42の係止凹部42aに係合することにより阻止される。
【0024】
上述のように、シートクッションAを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、可動脚31は折畳みヒンジ25から離れる後向きに移動し、折畳み状態のシートクッションのすぐ後側に置いてあった物品は、このように移動する可動脚31に取り付けられた押退けプレート37により押し退けられる。従って、そのような物品がシートクッションとフロアの間に挟み込まれて損傷を被るおそれはない。シートクッションAが使用状態に接近するにつれて、車体側レール12とシート側レール22の間の角度は減少するが、シート側レール22の後部は上向きに湾曲されているので、可動脚31に取り付けられた押退けプレート37による押し退け力はそれほどは減少しない。また、押退けプレート37の機能を高めるためにその上下幅及びこれを取り付ける可動脚31の高さを大きくしても、使用状態においてシート側レール22を車体側レール12に接近させることができ、シートクッションA下側のデッドスペースを少なくすることができる。
【0025】
図7及び図11に示す使用状態においてストラップ52を引けば、ロック解除ベルト50及び分岐ベルト51を介してアーム43cはX方向に回動され、ラチェット43が回動されて係止凹部42aと爪部43aの係合が外れ、フック42が開いてカム面42bによりシートクッションAの後部は多少押し上げられる。これによりシートクッションAは折畳みヒンジ25回りに回動自在となり、シートクッションAの後部を持ち上げれば、図10及び図9に示すように、起立されるにつれて押退けプレート37を設けた可動脚31は前向きに移動し、折畳み状態直前で可動脚31のストライカピン36が折畳みフック26先端の斜面に当接してこれを戻しばねに抗して回動させて係合し、図8に示す折畳み状態となる。
【0026】
図7に示す使用状態からシートクッションAの後部を持ち上げれば、可動脚31のストライカピン36により捩りばね49に抗して押されていた跳ね上げレバー48はブロック48bがポール47の背面47cに沿って戻るが、図6に示す状態まではポール47の先端部47aがカム46の係合凹部46aに係合されているのでケーシング41は突出位置のままである。この状態よりシートクッションAの後部を持ち上げれば、ブロック48bが背面47cから外れるので、ケーシング41に対する捩りばね45の作用によりポール47の先端部47aが係合凹部46aの斜面に乗り上げ、ポール47は外向きに回動して先端部47aと係合凹部46aの係合が外れ、跳ね上げレバー48がストッパ48cと当接する状態となる。これ以後はケーシング41と跳ね上げレバー48は一体となって、可動脚31のストライカピン36の移動につれて捩りばね45によりフレーム20に対して回動され、図5に示す収納位置となれば図略のストッパに当接してそれ以上の回動は阻止される。
【0027】
なお図示は省略したが、フロア10に対しフレーム20を起立させるように作用する捩りばねを折畳みヒンジ25部に設ければ、シートクッションAを起立させるに必要な力を減少させることができる。このような捩りばねの代わりに、可動脚31を折畳みヒンジ25側に引き寄せるスプリングを設けても、同じ目的を達成することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、シートクッションを折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて、可動脚は折畳みヒンジから離れる向きに移動し、折畳み状態のシートクッションのすぐ後側に置いてあった物品は、このように移動する可動脚に取り付けられた押退けプレートにより押し退けられる。従ってそのような物品がシートクッションとフロアの間に挟み込まれて損傷を被るおそれはなくなる。
【0029】
シート側レールを折畳みヒンジから離れた端部においてシートバック側に向けて湾曲させたものによれば、使用状態において可動脚の上部はシート側レールの湾曲した部分に係合されるので、押退けプレートの機能を高めるためにその上下幅及びこれを取り付ける可動脚の高さを大きくしても、使用状態においてシート側レールを車体側レールに接近させることができ、シートクッション下側のデッドスペースを少なくすることができる。また使用状態近くまでシートクッションを倒した際の可動脚の動きを円滑にすることができる。
【0030】
可動脚の上下部にローラを設けて各レールと転動可能に係合させたものによれば、シートクッションの起伏に伴う可動脚及び押退けプレートの作動を円滑にすることができる。
【0031】
可動脚の上部に設けた当接部材を、シートクッションのフレームに設けた折畳みフックと離脱可能に係合したものによれば、シートクッションを折畳み状態に保持するロックの一部が可動脚により兼用されるので、製造コストを低減させることができる。
【0032】
また、シートクッションのフレームの後部に回動可能に支持されたシートロックを収納位置に向けて弾性的に付勢し、シートクッションの起伏に伴い移動する可動脚の当接部材を利用してこれを突出位置に回動させて車体のストライカに離脱可能に係合させるようにしたものによれば、シートロックを突出位置にするためのリンク装置が不要となるので、製造コストを低減させることができる。
【0033】
折畳みフックと当接部材の係合、及びシートロックとストライカの係合を手動により離脱させる単一の操作部材を設けたものによれば、折畳みロックとシートロックの離脱操作を1つの操作部材で行うことができるので、操作が簡単になりまた製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による車両用折り畳みシートの1つの実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】 図1に示す実施形態のフレームを示す斜視図である。
【図3】 図1に示す実施形態の押退け機構付近を示す一部破断した拡大側断面図である。
【図4】 図3の4−4断面図である。
【図5】 図1に示す実施形態の収納位置におけるシートロックを示す側面図である。
【図6】 図5に示すシートロックの突出位置でストライカが係合される直前における側面図である。
【図7】 図5に示すシートロックの突出位置でストライカが係合された状態における側面図である。
【図8】 図1に示す実施形態の折畳み状態における全体側面図である。
【図9】 図1に示す実施形態の使用状態に向けて倒している途中における全体側面図である。
【図10】 図1に示す実施形態の使用状態直前における全体側面図である。
【図11】 図1に示す実施形態の使用状態における全体側面図である。
【符号の説明】
10…車体(フロア)、12…車体側レール、13…ストライカ、20…フレーム、22…シート側レール、25…折畳みヒンジ、26…折畳みフック、31…可動脚、33…下部ローラ、35…上部ローラ、36…当接部材(ストライカピン)、37…押退けプレート、40…シートロック、52…操作部材(ストラップ)、A…シートクッション、B…シートバック。
Claims (6)
- 後部にシートバックを起伏可能に設けたシートクッションのフレームの一側を折畳みヒンジにより水平軸線回りに回動可能に車体に取り付けて前記シートクッションを車体上に倒した使用状態と車体に対し起立させた折畳み状態の間で起伏可能とした車両用折り畳みシートにおいて、前記シートクッションのフレームの底部に設けられて前記折畳みヒンジの軸線とほゞ直角に延びるシート側レールと、前記車体側に取り付けられ前記使用状態において前記シート側レールの下側でこれに沿ったほゞ水平方向に延びる車体側レールと、この車体側レールに長手方向摺動のみ可能に下部が案内支持されて上方に立ち上がると共に上部が前記シート側レールに長手方向摺動可能に係合され前記シートクッションを前記折畳み状態から使用状態に向けて倒すにつれて前記折畳みヒンジから離れる向きに移動される可動脚と、この可動脚の立ち上がり部分に固定されて前記折畳みヒンジの軸線と平行方向に延びる押退けプレートを備えたことを特徴とする車両用折り畳みシート。
- 前記シート側レールは前記シートクッションの前記折畳みヒンジから離れた端部において前記シートバック側に向けて湾曲させたことを特徴とする請求項1に記載の車両用折り畳みシート。
- 前記可動脚の下部にその移動方向と直交する水平方向軸線回りに回転自在に支持されて前記車体側レールに長手方向の異なる位置においてそれぞれ転動可能に係合される複数の下部ローラと、前記可動脚の上部に前記下部ローラの軸線と平行な軸線回りに回転自在に支持されて前記シート側レールに転動可能に係合される上部ローラを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用折り畳みシート。
- 前記シートクッションのフレームに作動可能に設けられた折畳みフックと、前記可動脚の上部に固定され前記折畳み状態において前記可動脚と共に前記折畳みヒンジ側に接近して前記折畳みフックと離脱可能に係合される当接部材を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用折り畳みシート。
- 前記シートクッションのフレームの後部に収納位置と突出位置の間で回動可能に支持されて収納位置に向けて弾性的に付勢されたシートロックを備え、前記可動脚に設けた当接部材は同可動脚が前記折畳みヒンジから離れる向きに移動するにつれて前記シートロックの一部に当接して前記弾性的付勢に抗して同シートロックを前記突出位置に回動させ、前記シートロックはこの突出位置において前記車体に固定したストライカに離脱可能に係合するように設けことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用折り畳みシート。
- 前記折畳みフックと当接部材の係合、及び前記シートロックとストライカの係合を手動により離脱させる単一の操作部材を備えたことを特徴とする請求項5に記載の車両用折り畳みシート。
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