JP3843386B2 - 小型ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポンプ室を形成するダイヤフラム部と弁室内に配置された弁体部とを一体に構成したダイヤフラム本体を備えた小型ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のダイヤフラム部を有する小型ポンプは、例えば二つのポンプ室を有するポンプの場合図7、8に示す通りの構成である。
【0003】
この図8において、1は小型直流モータ、2はモータ1の出力軸、3はカップ形に形成され底面がねじ4によりモータ1の出力軸側の面に取付けられたケース、5は出力軸2に固定されたカラー、6は出力軸2に対して所定角度傾斜し、かつその先端が出力軸2の中心軸上に存在するようにカラー5に固定された駆動軸、7は穴8を有する板状の駆動体、9は駆動体7の中心に下方に伸びて一体に形成された筒形の支持部、10は駆動軸6と駆動体7の間の摩擦を小さくするためのスチールボールである。支持部9は駆動部6にゆるくはめ込まれており、出力軸2が回転すると駆動軸6が傾斜した状態で回転するため、駆動体7は中心に対して穴8のある周辺部が交互に上下動する。11は図9に示すように例えば板状部材に二つの孔12を形成しこれに二つのシリンダーを固定させた構成のシリンダー部で、このシリンダー部11には四つのねじ孔13が形成されている。
【0004】
14は柔らかいゴムからなるダイヤフラム本体、15は図8に示すようにダイヤフラム本体14から下方に伸びて一体に形成されたつり鐘形の2個のダイヤフラム部、16はその中心の駆動部、17は駆動部16の先端に細い頚部を介して形成された頭部、18はダイヤフラム本体14の中心部から上方に伸びて一体に形成された例えば円筒形をした弁体部である。頭部17は駆動体7の穴8を貫通して駆動体7の下面側に突出ており、これによって駆動部16は駆動体7に保持されている。また図10に示すように、ダイヤフラム本体14のシリンダー部11のねじ孔13に対応する位置には、同様にねじ孔19が形成され、更にダイヤフラム部15の周囲には凸部45が形成されている。
【0005】
上記のようなダイヤフラム本体14は、二つのダイヤフラム部15、弁体部18等を一体に構成したものでゴム等の弾性材料にて形成されている。
【0006】
20は図11に示すように円形の凹部21を有するバルブハウジングを兼ねた蓋体、22は蓋体(バルブハウジング)20の凹部21の中心に形成された孔、23は孔22の周囲に各6個形成された吸気孔、24は蓋体20の中心部に上方に向かって形成された弁室部、25は弁室部24の先端が細くなって形成された排気孔である。
【0007】
この蓋体20はダイヤフラム本体14を挟んでシリンダー部11にねじ孔26を用いてねじ27にて固定され、蓋体20の凹部21とダイヤフラム部15とによって2個のポンプ室28が形成される。蓋体20は弁室部24内に共通室29が形成され、各凹部21は内方(蓋体の中心の方向)に切欠き状の溝部30が形成されてそれぞれ共通室29につながっている。従って、各ポンプ室28は共通室29に中心部で共通に連通されていることになる。なお、弁体部18は弁室部24の内周面に接触しており、この連通路を塞ぐようになっている。
【0008】
31は柔らかいゴムからなる傘形の弁体、32は弁体31の中心に上方に伸びて一体に形成された支持柱、33は支持柱32の先端に形成されたこれより太い頭部である。弁体31は吸気孔23を十分に覆うような大きさに形成されており、支持柱32が孔22を貫通して頭部33が外側に出て蓋体20に抜けないように取り付けられている。
【0009】
次に、このように構成された小型ポンプの動作について説明する。モータ1が通電されて出力軸2が回転すると駆動軸6も回転し、これにより駆動体7の両端が交互に上下動して各ダイヤフラム部15の駆動部16は上下方向に運動する。このダイヤフラム部のピストン運動で、ポンプ室28は容積が周期的に変化する。駆動部16が下方に移動して容積が増えるときは、ポンプ室28は減圧されて弁体部18は弁室部24に密着して閉じ、反対に弁体31は開いて吸気孔23から空気が流入する。次に、駆動部16が上方に移動して容積が減るときは、ポンプ室28は増圧されて弁体31は蓋体20に密着して閉じ、反対に弁体部18はこのポンプ室28の溝部30を塞いでいる部分が開いてポンプ室28の空気は溝部30、共通室29を通って排気孔25から排出される。
【0010】
この小型ポンプは、二つのダイヤフラム部が交互に夫々上記の運動を繰り返すことにより夫々別々の吸気孔23より空気を吸入し、共通の弁室29を通り排気口25より排出され、これによりポンプ作用をする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような構成のダイヤフラムポンプは、モータの出力軸2に取り付けられたカラー5、駆動軸6、駆動体7等よりなる駆動部を収納するケース3と、シリンダー部11と、ダイヤフラム本体14と蓋体(バルブハウジング)20とを組み合わせ、ねじ27にて全体を固定している。又、これらケース3、シリンダー部11、蓋体20等は、合成樹脂材料にて形成され、これら合成樹脂材料よりなる各部を金属のねじにて固定してある。そのため、ポンプの運転及び使用環境により温度が上昇すると、合成樹脂製の上記各部は、膨張し、特にシリンダー部や蓋体等は撓み等の変形が生ずる。またその膨張係数は、金属製ねじよりも大であるため、特にねじにて固定した部分とその周辺部において変形する。実際には、ねじにて固定された部分は、ねじによりあまり動き得ないためにその変形はねじより遠い部分が大になる。そのため特に蓋体の中央部分の変形が大になり、蓋の中央部が盛り上がるように変形する。又、運転の停止等により温度が低下すると膨張したケース等は、収縮して元の状態に戻る。このように温度上昇と温度の低下を繰り返すことによるねじによる固定にゆるみを生ずることもあり、時にはエアーが洩れることがある。
【0012】
図12は一つのポンプ室(ダイヤフラム部15)を用いたポンプのダイヤフラム部15等の配置を示す図である。このポンプもねじ27にて固定されており、同様に前述のような欠点を有している。
【0013】
本発明は、ダイヤフラム部の性能の低下なしに外径寸法を小にし得るような構成で、更に、ケース、シリンダー部、蓋体(バルブハウジング)等の組み合わせ固定が容易であって、しかも、前記各部分の変形特にバルブハウジングが変形してその中央部分が盛り上がり湾曲するのを防止して気密性等を一層向上させた小型ポンプを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の小型ポンプは、前述のような構成のダイヤフラムを用いたポンプで、駆動部を収納するケースと、シリンダー部と、ダイヤフラム本体と、蓋体(バルブハウジング)とを組み合わせ、それらをばねを用いて締め付け固定するようにし、しかもばねによる締め付けた際に蓋体(バルブハウジング)への押圧力が強くなるようにばねに押圧部を設けたことを特徴とする。
【0015】
具体的には、締め付けのためのばねを、帯状でその両端がケース下端部にかかるようにし、ケース、シリンダー部、蓋体の外周面に沿って伸びる構成であって、ケース、シリンダー部、蓋体を一体に締め付け固定するもので、更にばねの蓋体表面に接する部分の少なくとも一部分を蓋体側に湾曲または突出するような形状にしたもので、このばねの湾曲部または突出部(押圧部)により蓋体をケース側に強く押して、シリンダー部や蓋体等の変形その他を防止するようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の小型ポンプの実施の形態を図面にもとづき説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態の小型ポンプの外観の概要を示す斜視図、図2は縦断面図である。
【0018】
図2に示す本発明の小型ポンプにおいて、1はモータ、2は回転軸、3は駆動部を収納するケース、5はカラー、6は駆動軸、7は駆動体、11はシリンダー部、14はダイヤフラム本体、15はダイヤフラム部、18は弁体部、20は蓋体(バルブハウジング)、25は吐出口、29は共通室であり、これらは図8に示す従来の小型ポンプと実質上同じである。
【0019】
これら図に示すように、本発明の小型ポンプは、ケース3、シリンダー部11、ダイヤフラム本体14、蓋体20を組み合わせた上で、図1の外観図のように板ばね40、41により締め付けて固定したものである。また、ばね40、41のうち例えば長方形状のケース等の短辺側に掛けられたばね41は、蓋体20の表面20bに沿って伸びる形状で、更に蓋体側に湾曲した押圧部41aを有する形状である。尚ケース3の下方に伸びる凸部3aは、ばねの先端を掛けるためのものであり、又凸部20aは板ばね40の先端が蓋体から外れるのを防ぐために設けられている。
【0020】
このばね41は、図3に示すような形状で帯状の板ばねよりなり、その上部には、図面下方に湾曲する突出部(押圧部)41aを有し、また両端にはケース3の凸部3aに引掛けるかぎ状部分41bを有している。また41cは吐出口25等の蓋体20の表面より突出している部分を通す孔である。
【0021】
また図4はばね41の他の例を示す図で、ばね41の上側、蓋体20の表面20bの側全体を下方(蓋体20の表面20bの方向)に向けて突出するように湾曲させたものである。
【0022】
このように本発明のポンプは、ケース、シリンダー部、蓋体等の組み合わせ固定が板ばねによる締め付けによるため極めて簡単である。しかも、ポンプの運転および停止等による温度の上昇および低下(および高温、低温がくり返し起きる様な環境下)があっても、ねじ止めと異なり、常に確実に締め付け固定された状態を保持し得る。更に、ばね41には押圧部41aを形成した形状であり、これによりばね41は、ケース、シリンダー部、蓋体の固定と共に蓋体20の表面20bを強く押圧し、これによりシリンダー部11や蓋体20等の変形防止がより確実になる。特に蓋体20の中央部分が盛り上がるように変形しようとしても前記押圧部41aによる押圧によりその変形を阻止し得る。
【0023】
尚図1に示すばね40は用いなくとも、ばね41のみにてシリンダー部11、蓋体20等の固定は確実に行なわれる。
【0024】
又、図7〜図11に示す従来例と同様に、ダイヤフラム本体14のダイヤフラム部15の周囲に図10に示すような凸部45を形成することにより、図1に示すような板ばね40、41により締め付け固定すると前記凸部45を圧縮してポンプ室のシールが完全なものになる。しかも締め付けねじを用いずに板ばねを利用したためにポンプを運転した時の温度上昇による膨張および運転停止後の温度低下による収縮によってポンプ全体の体積が変化しても(外径寸法が変化しても)板ばねによる締め付けが弱くなることがなく、がたつきの問題はない。したがって、ダイヤフラム周囲に形成した凸部によるシールは、常に確実に行なわれ気密性が高くしかもその状態が永続する極めて性能のよいポンプになし得る。特にばね41のように押圧部を有する形状にすることにより、前述の蓋体の中央部の盛り上がりを防止することができ気密性を一層高くしたものである。
【0025】
図5は、三つのポンプ室を有する本発明の小型ポンプの実施の形態の概要を示す外観図である。
【0026】
この実施の形態のポンプは、ポンプ室28が図5の(B)に示すような配置になるためポンプ全体が円筒状をなし、そのためばねの形状も、図3、図4に示すものとは異なっている。つまりこの実施の形態は、図6に示す通りのばねによりケース、シリンダー部、蓋体等を締め付け固定するもので、図5において42はばね、42a、42bは夫々ばね42の一部を蓋体側へ折り曲げた押圧部である。このばね42は図6に示す通りの形状であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【0027】
この実施の形態のポンプは、図5(A)に示すようにばね42の先端42cをケース3の凸部3aに掛けて、ケース3、シリンダー部11、蓋体20を締め付け固定すると共にばね42の押圧部42a、42bにより蓋体20の表面20bを押圧して、締め付けを確実なものとし、シリンダー部11や蓋体20等の変形を防止し、気密性の良いポンプにしてある。
【0028】
【発明の効果】
本発明の小型ポンプは、ねじ止めではなく板ばねを用いて固定したので、固定が簡単であり、温度の上昇、下降による外径寸法の変化に影響を受けることがない。特に板ばねに押圧部を設けたことを特徴とするもので、これにより締め付けが確実になり、又温度変化等による変形のない気密性の極めて良いポンプになし得る。またこの押圧部による蓋体の中央部分の押圧によって蓋体の変形を防止し得るので、気密性は一層高く、エアーが洩れるおそれがなく、安定したポンプ作用を行なうことができる。又ねじ止め用のスペースを必要としないため、より小型化が可能であり、特に一つ又は二つのポンプ室を有するポンプの場合、ねじ止めによる場合に比べて大幅な小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の小型ポンプの斜視図
【図2】 本発明の小型ポンプの断面図
【図3】 本発明の小型ポンプで用いるばねの形状を示す図
【図4】 本発明の小型ポンプで用いるばねの形状の他の例を示す図
【図5】 本発明の二つのポンプ室を有する小型ポンプの構成を示す図
【図6】 図5に示すポンプで用いるばねの形状を示す図
【図7】 従来の小型ポンプの外観の概要を示す図
【図8】 従来の小型ポンプの断面図
【図9】 従来の小型ポンプで用いるシリンダーの平面図
【図10】 従来の小型ポンプで用いるダイヤフラム本体の平面図
【図11】 従来の小型ポンプで用いる蓋体の底面図
【図12】 従来の一つのポンプ室を有する小型ポンプのポンプ室の配置等を示す図
【符号の説明】
3 ケース
11 シリンダー部
14 ダイヤフラム本体
40、41,42 板ばね
Claims (1)
- ポンプ室を形成するダイヤフラム部を少なくとも一つ有し又ダイヤフラム部の一部にてほぼ接する弁体部を有しこれらダイヤフラム部および弁体部が一体に形成されたダイヤフラム本体と、前記ダイヤフラム本体のダイヤフラム部が挿入されるシリンダーを少なくとも一つ有するシリンダー部と、前記ダイヤフラム本体の弁体部が配置される弁室とこれに通ずる吐出口を有するバルブハウジングと、前記ダイヤフラム本体のダイヤフラム部を駆動する駆動部を収納するケースとを組み合わせ、ばねにより締め付け固定したポンプで、前記ばねがその両端を前記ケースに掛け前記ケース、シリンダー部、バルブハウジングの外周面、表面に沿って伸びる構成であり、前記ばねに先端がバルブハウジング側に突出しその先端にてバルブハウジング表面で吐出口近傍を押圧する押圧部を有することを特徴とする小型ポンプ。
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