JP3843026B2 - 調理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、病院,レストランチェーン等に料理を供給する調理センター等における調理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、病院の入院患者用食事は、それぞれの患者の病状に合わせて多彩なメニューを用意する必要があるが、従来は、それぞれの病院内に厨房を設け、そこで病院自らが調理して提供するか、あるいは、調理を外部の料理供給会社に依頼して提供するようにしていた。
【0003】
しかし、そのように、それぞれの病院毎に調理を行うには、設備的及び人的に無駄が大きく非効率的である。そこで、それを解決するため、例えば、特許第2644187号公報(A47B 31/02)に示されるように、次のような給食システムが提案されている。
【0004】
すなわち、複数の病院の患者用食事を調理センターで調理し、クックチル処理を施した後、食器と共にパックする。それらパックされた料理は、クールワゴンあるいは配膳カート等に収納した状態で配送用冷凍冷蔵車に載せて、それぞれの病院に配送する。
【0005】
その場合、調理センターでは、ブレージングパン、蒸気オーブン、ケトル等の各種調理機器が備え付けられていて、それらを使って各種メニューの調理が行われる。調理は、予め、それぞれの病院から、メニューと数量の注文を受け付けてから行う。そして、受け付けた注文に必要な食材の調達を行うとともに、その日の各種調理機器の作業手順書を作成する。
【0006】
当日になったら、作業員は、作業手順書に基づいて、各種調理機器への食材の出し入れ、及び、各種調理機器のオンオフを行って調理を行い、冷却した後、食器と共にパックする。それらパックされた料理は、配膳カート等に収納した状態で配送用冷凍冷蔵車に載せて、それぞれの病院に配送する。
【0007】
しかしながら、そのような給食システムにおける調理センターでは、受け付けた注文に対応して作業手順書を作成する必要があって、非常に手間がかかるというだけでなく、作成した作業手順書に基づいて、各種調理機器への食材の出し入れ、及び、各種調理機器の操作を行う必要があるため作業が繁雑になる。そのため、作業員は作業に熟練している必要があって、アルバイト等の臨時作業員では対応できず、人件費の高騰が避けられない。
【0008】
そこで、本出願人は、先に特願2001-262846として次のような調理システムを提案した。すなわち、その調理システムでは、調理制御コンピュータで、外部から通信手段を介して注文を受け付け、受け付けた注文に基づいて運転スケジュールを作成し、該運転スケジュールに基づいて各種調理機器に制御データを送信する。それを受信した各調理機器は、受信した制御データに基づいて調理を行う。その際、各調理機器では、受信した制御データに基づいて各調理機器の表示器に次の作業内容を表示する。
【0009】
このようにすれば、作業手順書の作成は不要になって作業が簡素化され、作業員は必ずしも作業に熟練している必要がなくなり、アルバイト等の臨時作業員でも対応可能になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、そのような調理システムにおいて、何回も調理をくり返す調理機器では、調理制御コンピュータから受信した制御データのデータ量が大きくなりそれを保持するため大容量のメモリが必要になるという問題点がある。また、各調理機器内で時刻を管理して、所定の時刻になったら、所定の条件で調理を行うことになって、各調理機器に高度なデータ処理能力が必要になるという問題点もある。
【0011】
本発明は、そのような問題点を解決すること、すなわち、各調理機器に大容量のメモリや高度なデータ処理能力が必要なくなるようにすることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の調理システムは、制御データに基づいて自動調理が可能な各種調理機器及び該各種調理機器と通信可能な調理制御コンピュータからなる調理システムであって、前記調理制御コンピュータは、計時手段と、当該調理センターの運転スケジュールを管理する運転スケジュール管理手段と、前記計時手段の出力と運転スケジュールとに基づいて、各種調理機器の調理開始予定時刻に、該当する調理機器に必要な1動作分の制御データを送信する制御データ送信手段とを具え、前記各種調理機器は、調理開始を指令するための調理開始手段と、前記調理制御コンピュータから制御データを受信する制御データ受信手段と、前記調理開始手段の開始指令があったことと前記制御データを受信したこととを条件として調理を開始し、受信した制御データに基づいて調理を実行する調理手段とを具えたことを特徴とする。このようにすると、各調理機器に大容量のメモリや高度なデータ処理能力が不要になる。その上、各調理機器の調理開始が運転スケジュールで決められた調理開始予定時刻より早くならないように管理できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のシステム構成図である。ここでは、一定の地域内に調理センターが2箇所ある場合で説明する。それらの調理センターA,Bは、それぞれ、ブレージングパン2A,2B、蒸気オーブン3A,3B、ケトル4A,4B、フライヤ5A,5B、ブラストチラー6A,6B、タンブルチラー7A,7B、解凍庫8A,8B等の調理機器を具えており、それらにより各種料理の調理を行う。
【0014】
各調理機器は、それぞれ、通信線により調理制御コンピュータ1A,1Bと接続されており、同じ種類のものが複数台設けられている場合もありうる。調理制御コンピュータ1A,1Bでは、例えば、図3に示すような、調理制御データテーブルを保持しており、各調理機器は、調理制御データテーブルから取り出した制御データを調理制御コンピュータ1A,1Bから受け取って調理の制御が行われる。
【0015】
図2は、調理センター内の制御システムブロック図である。ブレージングパン2A,蒸気オーブン3A,・・・の各調理機器は、マイコンよりなるブレージングパン制御部20,蒸気オーブン制御部30,・・・を有しており、それら制御部により調理制御回路22,32,・・・を介してヒータ等の調理手段が制御されて調理が行われる。
【0016】
その際、調理制御コンピュータ1Aから受け取った制御データをメモリ21,31,・・・に格納し、その制御データに基づいて制御が行われる。また、ブレージングパン2A,蒸気オーブン3A等の各調理機器には、調理開始用のスタートボタン24,34とデータ表示用の表示器26,36が設けられており、それらは、入力制御回路23,33、表示制御回路25,35、・・・を介してブレージングパン制御部20,蒸気オーブン制御部30,・・・に接続されている。
【0017】
料理供給会社の管理コンピュータ10は、通信回線15を介して調理センターA,Bの調理制御コンピュータ1A,1B、及び、病院11,社員食堂13,レストランチェーン14等のユーザコンピュータと接続されている。そして、病院11,社員食堂13,レストランチェーン14等からの予約注文を、通信回線15を介して受け付ける。例えば、病院11からの予約注文は、ユーザコンピュータ12から行う。
【0018】
その際、病院11,社員食堂13,レストランチェーン14の料理を、それぞれどの調理センターが担当するかは、調理センターからの距離等を考慮して予め決められており、管理コンピュータ10は、注文を受け付けたら、その注文主の料理を担当する調理センター、例えば、調理センターAの調理制御コンピュータ1Aに注文の内容を送信する。調理制御コンピュータ1Aでは、管理コンピュータ10から注文の内容を受信したら、運転スケジュール管理手段により、注文に含まれる全メニューの調理制御データを、図3の調理制御データテーブルから取り出し、それらに基づいて各調理機器の使用時間を計算して、例えば、図4に示すような、各調理機器の運転スケジュールを作成する。
【0019】
その場合、注文を受け付けた順に運転スケジュールを作成していき、その過程で、受け付けた注文の内容が運転スケジュールに組み込み可能であるか否かを判定し、不可能である場合は当該注文を受け付けないようにする。そのようにすれば、注文を受け付ける段階で注文に対応可能か否かを判別でき、過大な注文を受け付けてしまうことを防止できる。
【0020】
調理制御コンピュータ1A,1Bは、内部に計時手段を具えていて、それにより常時時刻をチェックしており、運転スケジュールの各種調理機器の調理開始時刻になったら、該当する調理機器に必要な1動作分の制御データを送信する。例えば、図4に示す運転スケジュールの場合で説明すると、調理センターAにおいて、ブレージングパン2Aの調理開始時刻、13時になったら、調理制御コンピュータ1Aは、ブレージングパン2Aに1動作分の制御データ、すなわち、作業内容,調理開始時刻,調理温度及び加熱時間を示すデータを送信する。
【0021】
ブレージングパン2Aは、調理制御コンピュータ1Aから1動作分の制御データを受信したら、それをメモリ31に格納してスタートボタン24が押されるのを待つ。また、受信した制御データに従って、前記表示器26に次の作業内容と調理開始時刻を表示する。作業員は、その表示に従ってブレージングパン2Aに食材を載せ、スタートボタン24を押す。スタートボタン24が押されたら、ブレージングパン制御部20は、調理制御回路32を介して、受信した制御データが示す調理温度で、制御データが示す時間だけ調理を実行する。
【0022】
このようにすれば、メモリ31では1動作分の制御データを記憶するだけですむので、大容量のメモリは不要になり、また、ブレージングパン制御部20は、1動作分の制御データを読み出して実行するだけなので高度なデータ処理能力は必要なくなる。
【0023】
そのようにして調理し、ブラストチラー6Aで急速冷却した後、冷蔵保存される。その後、蒸気オーブン3Aの調理開始時刻である13時30分になったら、調理制御コンピュータ1Aは、今度は、蒸気オーブン3Aに1動作分の制御データを送信し、蒸気オーブン3Aにおいて、同様にして調理を行う。さらに、ブレージングパン2Aの2回目の調理開始時刻である13時40分になったら、調理制御コンピュータ1Aは、ブレージングパン2Aに次の1動作分の制御データを送信し、ブレージングパン2Aにおいて同様に調理を行う。そして、蒸気オーブン3Aでの調理とブレージングパン2Aでの2回目の調理が、14時15分に同時に終了するようにしており、それらの料理は、調理後、ブラストチラー6Aで同時に冷却するようにしている。
【0024】
また、ブレージングパン2A,蒸気オーブン3A等の各種調理機器は、スタートボタン24が押されたことと制御データを受信したこととを条件として調理を開始する。すなわち、調理制御コンピュータ1Aから制御データを受信する前は、たとえスタートボタン24が押されても調理を開始しない。
【0025】
そのことにより、各調理機器の調理開始が運転スケジュールで決められた調理開始予定時刻より早くならないように管理できる。その結果、上記蒸気オーブン3Aでの調理とブレージングパン2Aでの2回目の調理のように、次の冷却処理を一緒に行うような場合に、一方の料理だけが早くできあがってしまい、もう一方の料理ができあがるまで待たされて、料理の温度が徐々に下がり、衛生上望ましくない状態におかれるというようなことが防止できる。
【0026】
そのようにして調理後、冷却された料理を、配膳カート9A,9Bに収納した後、調理制御コンピュータ1A,1Bは、それらを加熱する際に用いる加熱制御データを配膳カート9A,9Bに書き込む。その後、配膳カート9A,9Bを、病院11,社員食堂13,レストランチェーン14等に配送用冷凍冷蔵車で配送する。
【0027】
病院11等では、配膳カート9A,9Bが送られてきたら、配膳室に移して配膳カート9A,9Bの電源ケーブルをセットする。その結果、配膳カート9A,9Bでは、加熱制御データに基づいて加熱を開始し、所定の時間だけ加熱を行う。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の調理システムは、調理制御コンピュータが各種調理機器の調理開始予定時刻に、該当する調理機器に必要な1動作分の制御データを送信し、各種調理機器は、調理開始手段の開始指令があったことと制御データを受信したこととを条件として調理を開始し、受信した制御データに基づいて調理を実行するようにした。その結果、各調理機器に大容量のメモリや高度なデータ処理能力が不要になる上、各調理機器の調理開始が運転スケジュールで決められた調理開始予定時刻より早くならないように管理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシステム構成図である。
【図2】 調理センター内の制御システムブロック図である。
【図3】 調理制御データテーブルの一例を示す図である。
【図4】 各調理機器の運転スケジュールを示す図である。
【符号の説明】
1A,1B…調理制御コンピュータ
9A,9B…配膳カート
10…管理コンピュータ
12…ユーザコンピュータ
15…通信回線
Claims (1)
- 制御データに基づいて自動調理が可能な各種調理機器及び該各種調理機器と通信可能な調理制御コンピュータからなる調理システムであって、
前記調理制御コンピュータは、計時手段と、当該調理センターの運転スケジュールを管理する運転スケジュール管理手段と、前記計時手段の出力と運転スケジュールとに基づいて、各種調理機器の調理開始予定時刻に、該当する調理機器に必要な1動作分の制御データを送信する制御データ送信手段とを具え、
前記各種調理機器は、調理開始を指令するための調理開始手段と、前記調理制御コンピュータから制御データを受信する制御データ受信手段と、前記調理開始手段の開始指令があったことと前記制御データを受信したこととを条件として調理を開始し、受信した制御データに基づいて調理を実行する調理手段とを具えたことを特徴とする調理システム。
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