JP3842842B2 - 半導体レーザ装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大口径、且つ、高不純物濃度を有する化合物よりなる半導体結晶体を用いた半導体レーザ装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体結晶体、とりわけIII-V族を代表とする化合物半導体に対して行なう不純物拡散処理は閉管拡散法により行われており、不純物の拡散深さは拡散処理に要する処理時間により制御されてきた。この場合は、拡散濃度は拡散炉の温度と不純物拡散の材料である拡散種の量とによって決まるが、拡散炉の温度や拡散種の量のばらつきによる影響を大きく受けるため、通常必要とされる以上の拡散種を供給することにより、拡散の対象とする半導体材料に固有の飽和濃度にまで拡散濃度を上昇させていた。
【0003】
しかしながら、閉管拡散法においては拡散処理を行なうたびにその都度半導体試料を閉管内に封入する必要があるため、半導体試料の大口径化には対応できなかった。
【0004】
そこで、近年、「粕川昭彦他、1992年秋期応用物理学学術講演会、18p−V−2」にも示されている開管拡散法が注目されてきている。
【0005】
開管拡散法は半導体試料を反応させるための反応管の径を閉管よりも大きくして大口径の半導体試料を扱えるようにしている。
【0006】
図35は従来の開管拡散法による拡散時間と拡散深さとの相関関係を示しており、拡散時間の平方根と拡散深さは比例していることが分かる。不純物の拡散種をジメチル亜鉛(DMZ)とし、供給量を6.5×10-6cm-3、反応温度を500度として測定している。なお、図35に示す白丸はC−V法によりホールの数を測定し、黒丸は2次元イオン質量分析(SIMS)法により亜鉛の数を測定したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の開管拡散法は、図35に示すように、拡散深さの時間依存性が明らかになった程度であり、十分な制御性が得られていない。従って、拡散濃度の制御が困難であるという問題を有しており、これにより、半導体結晶中に低濃度拡散領域が形成されるという問題や、半導体結晶の界面からの拡散距離又は拡散濃度を制御できないという問題を有していた。
【0008】
さらに、拡散処理中は常に排気しながら真空度を保つ必要があり、閉管拡散法によるよりもその真空度を高くできないため、不純物濃度は閉管拡散法に比べて小さくなったり、拡散後の表面状態が悪化したりするという問題をも有していた。
【0009】
本発明は前記従来の問題を解決し、大口径の半導体結晶体に、鏡面状態で且つ高濃度の不純物拡散を行なえるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、拡散の対象とする半導体結晶体の上に、拡散処理の反応条件における温度又は圧力を下げることにより不純物が高濃度にドーピングされた結晶層を成長させながら、拡散対象の前記半導体結晶体に固相拡散により不純物拡散を行なうものである。
【0011】
具体的に、本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法は、基板の上に活性層形成膜を成長させる活性層形成膜成長工程と、活性層形成膜に対してエッチングを行なってストライプ状の活性層を形成する活性層形成工程と、基板の上における活性層の短辺方向の周縁部を埋める埋込み層を成長させる埋込み層成長工程と、電流阻止層を成長する電流阻止層成長工程と、活性層及び電流阻止層の上に全面にわたってクラッド層を成長するクラッド層成長工程と、不純物拡散の拡散種が原料に供給され、活性層及び埋込み層の上に全面にわたって電極とのオーミック接合を図るコンタクト層を成長させるコンタクト層成長工程と、コンタクト層の上に電極形成膜を蒸着する蒸着工程とを備え、コンタクト層成長工程は、コンタクト層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つコンタクト層の第1の結晶成長温度の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件でコンタクト層を成長させ、電流阻止層成長工程は、不純物拡散の拡散種が原料に供給され、電流阻止層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つ電流阻止層の第1の結晶成長温度の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で電流阻止層を成長させ、電流阻止層成長工程の後には、第1の結晶成長温度で基板を加熱して、埋込み層及び電流阻止層の界面から埋込み層中に電流阻止層中の拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備えている。
【0012】
本発明の半導体レーザ装置の製造方法によると、コンタクト層成長工程において、コンタクト層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度に設定されているため、半導体の原料の分解効率が低下するので、コンタクト層における結晶格子の空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散濃度の飽和濃度が上昇する。さらに、コンタクト層の第1の結晶成長温度の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度になるまで空孔に拡散種が捕獲されると共に格子間にも拡散種が入り込むことになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、結晶体における拡散の基本概念を説明すると、高濃度拡散とは、拡散種が結晶を構成する原子が欠けた空孔を次々に置換して移動する現象であり、低濃度拡散とは、空孔と結びつかない拡散種が結晶内の格子間を移動する現象である。以後、前者を格子置換型拡散種と呼び、後者を格子間拡散種と呼ぶことにする。なお、高濃度拡散の飽和濃度とは、所定の条件下において、空孔が格子置換型拡散種によってすべて置換されている状態と考えても差し支えがない。
【0014】
これにより、高濃度の不純物拡散を行なうには空孔の濃度を高くすればよいことが分かる。
【0015】
III-V族元素よりなる化合物半導体を例にとると、拡散工程において以下の論理が成り立つ。
【0016】
1.結晶を構成する原子の空孔、例えば、V族元素の空孔濃度を高める。
【0017】
2.1はV族元素の分圧を下げることにより実現できる。
【0018】
3.2はV族元素を含む原料ガスの分解効率を下げるか、または原料ガスの流量を減らすかすることにより実現できる。
【0019】
4.3は結晶成長温度を下げるか、またはV族元素を含む原料ガスの流量を下げるかすることにより実現できる。
【0020】
従って、本発明は、前記の項目番号4.を実施し、V族元素の空孔濃度を高めることにより、高濃度に不純物が拡散した半導体結晶体が得られると共に、該半導体結晶体を用いた固相拡散を制御して、表面状態の良好な高濃度の半導体結晶体を得られるようにする。
【0021】
以下、不純物拡散領域の制御性を説明するために、結晶成長温度と拡散種の供給量と拡散距離との関係を図面に基づいて説明する。
【0022】
第1の参考例
第1の参考例においては、成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度としての通常の結晶成長温度に設定し、拡散種の供給量を変化させた場合の拡散距離を測定する。
【0023】
図1は本発明の第1の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図、及び(c)は不純物濃度プロファイルを示したグラフである。なお、本参考例においては、III-V族元素よりなる化合物半導体としてInP(インジウムリン)を用い、不純物の拡散種としてp型のドーパントであるZn(亜鉛)を用いた。他の参考例及び実施形態においても同様である。
【0024】
図1(a)において、11はSn(スズ)がドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0025】
以下、アンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0026】
まず、半導体の原料として、III 族元素を含む有機金属からなる化合物にTMIn(トリメチルインジウム)及びV族元素を含む化合物にPH3 (ホスフィン)を用い、不純物拡散種の原料としてII族元素のZnを含む有機金属からなる化合物であるDMZn(ジメチル亜鉛)を用いた。
【0027】
気相成長法としてMOVPE法を用い、半導体結晶の成長界面に鏡面状態が得られる成長温度である通常の600℃に結晶成長温度を設定しておいて、基板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に1×1018cm-3の濃度の拡散種Znをドープした厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0028】
Znドープ層13のZn濃度として、他に2×1018cm-3の場合と5×1018cm-3の場合とを実験した。
【0029】
次に、図1(b)に示すように、Znドープ層13とアンドープ層12の界面からアンドープ層12に拡散種であるZnが拡散することにより、アンドープ層12中に界面からの深さ1μmの高濃度領域12aと高濃度領域12aよりも下方(図中においては右方を示す。以下同じ。)に厚さが0.8μmの低濃度領域12bが形成された。
【0030】
図1(c)は2次イオン質量分析(SIMS)法を用いたZn濃度プロファイルを示している。拡散種Znが5×1018cm-3の濃度で供給された場合の直線101に示すように、アンドープ層12における高濃度領域のZn濃度は2×1018cm-3でアンドープ層12とZnドープ層13との界面からの高濃度拡散距離Dsは1μmとなり、アンドープ層12における低濃度領域のZn濃度は0.5×1018cm-3でありアンドープ層12とZnドープ層13との界面からの低濃度拡散距離Diは1.8μmとなる。
【0031】
このように、結晶成長温度が通常の600℃の場合には、拡散種Znの取り込み量がInPにおける拡散種Znの通常の成長条件下の飽和濃度である2×1018cm-3を越える場合には低濃度領域が形成されることが分かる。
【0032】
一方、拡散種Znが1×1018cm-3で供給された場合の直線102に示すように、Zn濃度は供給量と同程度であって飽和濃度以下となり拡散は観測されなかった。
【0033】
同様に、拡散種Znが2×1018cm-3で供給された場合の直線103に示すように、Zn濃度は供給量と同値の飽和濃度となり拡散は観測されなかった。
【0034】
図2はZnドープ層13へのZn供給量に対するアンドープ層12の高濃度領域の拡散距離Ds及び低濃度領域の拡散距離Diを表わしている。拡散種Znの供給量が2×1018cm-3を越えると拡散が発生し、拡散種Znの供給量が増加するにつれて拡散距離が増大している。
【0035】
これにより、結晶成長温度(=Tg)が600℃の場合は、Znドープ層13に対する拡散種Znの供給量によって界面からの拡散距離を制御できることがわかる。
【0036】
第2の参考例
第2の参考例は、拡散種の供給量を結晶の成長界面に鏡面状態が得られる第1の結晶成長温度の成長条件における飽和濃度以上に設定し、この通常の第1の結晶成長温度の場合と、第1の結晶成長温度よりも低く成長界面に鏡面状態が得られない第2の結晶成長温度としての非鏡面成長温度の場合との拡散距離をそれぞれ測定する。
【0037】
以下、第1の結晶成長温度を通常の結晶成長温度と呼び、第2の結晶成長温度を非鏡面成長温度と呼ぶことにする。
【0038】
図3は本発明の第2の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はSIMS法による不純物濃度プロファイルを示したグラフである。
【0039】
図3(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0040】
以下、アンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0041】
まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度である420℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に5×1018cm-3の濃度の拡散種Znを供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0042】
図3(b)には比較のために結晶成長温度が通常の600℃の場合の結果も示している。Csは格子置換型拡散種の濃度を表わし、Ciは格子間拡散種の濃度を表わしている。前記第1の参考例において説明したように、結晶成長温度を600℃に設定して成長させた場合の直線104に示すように、アンドープ層12における高濃度領域のZn濃度は2×1018cm-3でありアンドープ層12とZnドープ層13との界面からの拡散距離は1μmとなり、アンドープ層12における低濃度領域のZn濃度は0.5×1018cm-3でありアンドープ層12とZnドープ層13との界面からの拡散距離は1.8μmとなる。
【0043】
一方、結晶成長温度を420℃に設定して成長させた場合の直線105に示すように、Znドープ層13のZn濃度は4×1018cm-3となると共に、アンドープ層12中の高濃度領域12aのZn濃度も4×1018cm-3となりアンドープ層12とZnドープ層13との界面からの拡散距離は0.4μmとなった。アンドープ層12には低濃度領域は形成されず、Zn濃度は高濃度領域とアンドープとの境界で急峻に変化している。
【0044】
図4は高濃度領域のZn濃度の成長温度依存性を表わしている。横軸はアンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長温度であり、縦軸はアンドープ層12中のZn拡散濃度である。Csmaxは所定の成長温度におけるアンドープ層12の格子置換型拡散種の最大置換量であり、CznはZnドープ層13のZn取り込み量である。
【0045】
図4はZnドープ層13に濃度Cznの拡散種Znがドープされた場合に、アンドープ層12に対してどれだけの量の拡散種Znが拡散するかを示している。結晶成長温度を500℃以上に上げていくと、Znドープ層13の拡散種Znの飽和濃度が減少すると共に、アンドープ層12に拡散するZn濃度も減少する。逆に、結晶成長温度を500℃以下にすると、アンドープ層12の拡散種Znの飽和濃度が上昇し、結晶成長温度を400℃とした場合にはアンドープ層12の拡散種Znの飽和濃度は5×1018cm-3以上に増大する。
【0046】
これにより、結晶成長温度によってアンドープ層12における拡散種Znの飽和濃度を制御することができる。
【0047】
第3の参考例
第3の参考例は、拡散種の供給量を通常の成長条件における飽和濃度以上に設定し、成長界面が鏡面状態となる通常の結晶成長温度の場合と、通常の結晶成長温度よりも低い非鏡面成長温度の場合との拡散距離をそれぞれ測定する。
【0048】
前記第2の参考例においては拡散濃度の温度依存性を説明したが、本参考例においては拡散距離の温度依存性を説明する。
【0049】
図5は本発明の第3の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図、(b)はSIMS法による不純物濃度プロファイルを示したグラフである。
【0050】
図5(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0051】
以下、アンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0052】
まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の450℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に7×1018cm-3の濃度の拡散種Znを供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0053】
図5(b)に示すように、結晶成長温度を450℃に設定して成長させた場合の直線106に示すように、アンドープ層12の高濃度領域のZn濃度は3×1018cm-3でありアンドープ層12とZnドープ層13との界面からの拡散距離は0.4μmとなった。結晶成長温度が通常の600℃の場合の直線107に示すように、高濃度領域のZn濃度は2×1018cm-3で拡散距離は1μmとなり、低濃度領域のZn濃度は0.5×1018cm-3で拡散距離は1.8μmとなる。Dsは高濃度拡散距離を表わし、Diは低濃度拡散距離を表わしている。
【0054】
図6は高濃度領域及び低濃度領域の各拡散距離の成長温度依存性を表わしている。図6に示すように、結晶成長温度が400℃から500℃までの間は温度が上昇するにつれて高濃度拡散距離Dsが増加し、結晶成長温度が500℃を越えると低濃度領域が発生するため、低濃度拡散距離距離Diが高濃度拡散距離Dsよりも大きくなる。
【0055】
これにより、結晶成長温度によってアンドープ層12における拡散種Znの拡散距離を制御することができる。
【0056】
ここで、拡散種をZnとする拡散領域を微視的に観察すると、高濃度拡散距離DsはZn原子よりなる格子置換型拡散種の拡散距離であり、低濃度拡散距離DiはZn原子よりなる格子間拡散種の拡散距離である。また、低濃度領域はZn原子よりなる格子間原子で構成され、高濃度領域はZn原子よりなる置換型原子により構成されている。高濃度領域においては、空孔の拡散が速く、格子間原子の拡散が遅い。逆に、低濃度領域においては、格子間原子の拡散の方が空孔の拡散よりも速いので、空孔が拡散した領域までが高濃度領域となり、空孔が拡散していない格子間原子のみの領域が低濃度領域となる。
【0057】
従って、結晶成長温度が500℃よりも低い場合は、空孔の拡散速度が大きいため、正常な結晶構造が得られないので、成長界面が鏡面状態にはなり得ない。
【0058】
これにより、非鏡面成長温度により成長した高不純物濃度を有するZnドープ層13から、拡散種Znが固相拡散するアンドープ層12の拡散領域には、格子間に位置する拡散種のみからなる低濃度拡散領域が存在しないことが分かる。
【0059】
第4の参考例
第4の参考例は、結晶成長温度と拡散種の供給量とを変化させた場合の拡散濃度の変化を測定する。
【0060】
図7は本発明の第4の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図、(b)は拡散種の供給量と不純物濃度との関係を表わすグラフである。
【0061】
図7(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0062】
以下、アンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0063】
まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の420℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に拡散種Znを供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。さらに、比較のために、結晶成長温度を通常の600℃に設定した場合も測定した。
【0064】
図7(b)において、横軸は拡散種Znの供給量を表わし、縦軸はアンドープ層12に拡散される拡散種Znの濃度を表わす。また、Znsは格子置換型拡散種であり、Zniは格子間拡散種である。図7(b)に示すように、拡散種Znの供給量が増えるにつれて、格子置換型拡散種Znsの濃度もほぼ比例して増えていく。さらに拡散種Znの供給量を増やしていき、結晶成長温度によって決まる結晶の飽和濃度に達すると格子置換型拡散種Znsの濃度は飽和する。
【0065】
結晶成長温度を非鏡面温度の420℃に設定した場合の曲線108Aは約5×1018cm-3となる濃度で飽和に達し、結晶成長温度を通常の600℃に設定した場合の曲線109Aは約2×1018cm-3となる濃度で飽和に達する。
【0066】
曲線108Aが飽和濃度に達すると曲線108Bに示す格子間拡散種Zniが発生し始め、同様に、曲線109Aが飽和濃度に達すると曲線109Bに示す格子間拡散種Zniが発生し始める。
【0067】
図7に示すように、結晶成長温度を500℃以下の低温にして成長させた場合は、V族元素の空孔濃度が上昇するため、格子置換型拡散種Znsの濃度の増加量は500℃以上の温度にして成長させた場合に比べて大きな値をとる。
【0068】
これにより、結晶成長温度と拡散種Znの供給量とによって格子置換型拡散種Znsの濃度及び格子間拡散種Zniの濃度を制御することができる。
【0069】
第5の参考例
第5の参考例は、第2の半導体結晶層であるZnドープ層における拡散種の取り込み量とホール濃度との関係を測定する。
【0070】
図8は本発明の第5の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はZnドープ層の拡散種の取り込み量とホール濃度との関係を表わすグラフであり、(c)は拡散種の取り込み量と拡散濃度との関係を表わすグラフである。
【0071】
図8(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0072】
以下、アンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0073】
まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の420℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に拡散種Znを5×1018cm-3の濃度で供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0074】
図8(b)はVDP(van der Pauw)法により測定したZnドープ層13におけるホール濃度のZn取り込み量依存性を示している。ホール濃度はZn取り込み量が増すにつれて増加するが、Zn取り込み量が3×1018cm-3に達したときにホール濃度も3×1018cm-3程度となり、さらにZn取り込み量を増加させると逆にホール濃度は低下した。
【0075】
これは、図8(c)に示すように、Znドープ層13のZnの取り込み量を3×1018cm-3以上に増やした場合は、格子間拡散種Zniが発生するためである。結晶格子の空孔に位置する格子置換型拡散種Znsはホールとして作用し、格子間に位置するZniはドナーとして作用するため、Zniによりホールが補償されるので、ホール濃度が低下することになる。従って、拡散種Znの飽和濃度は420℃の成長温度においては5×1018cm-3であるのに対し、ホール濃度はZniが発生するため、3×1018cm-3の濃度で飽和してしまう。
【0076】
このホール濃度の低下を抑制するには、Znドープ層13からアンドープ層12に格子間拡散種Zniを拡散させることによって除去すればよい。
【0077】
すなわち、図9(a)に示すように、通常の結晶成長温度である600℃に図8(a)に示す結晶体に対して5分間程度の熱処理を行なうことにより、Znドープ層13の格子間拡散種Zniはアンドープ層12の高濃度領域12aに拡散除去される。
【0078】
図9(b)に示すように、熱処理前には拡散種Znの濃度が3×1018cm-3になると飽和していたのに対し、5×1018cm-3までホール濃度を向上させることができる。
【0079】
これにより、600℃の熱処理によってホール濃度の低下を緩和することができるため、拡散種Znの飽和濃度と同程度のホール濃度を得ることができる。
【0080】
第6の参考例
第6の参考例は、Znドープ層の上にも第2のアンドープ層を成長した後、通常の結晶成長温度により熱処理を行なって、第2のアンドープ層にも固相拡散を行なう。
【0081】
図10は本発明の第6の参考例に係る半導体結晶体の断面図及び結晶成長温度プロファイルであって、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は半導体結晶体の結晶成長温度プロファイルである。
【0082】
図10(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmの第1のアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層、14は第3の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmの第2のアンドープ層である。結晶の成長方向は基板11から第2のアンドープ層14に向かう方向である。
【0083】
以下、本参考例に係る半導体結晶体の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0084】
まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の450℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μmの第1のアンドープ層12と、第1のアンドープ層12の上に拡散種Znを4×1018cm-3の濃度で供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13と、Znドープ層13の上に厚さが2μmの第2のアンドープ層14とを順次成長させた。
【0085】
次に、図10(b)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に昇温し、V族元素のAs(ヒ素)雰囲気中において半導体結晶体に30分間の熱処理を行なうと、Znドープ領域15がZnドープ層13と第1のアンドープ層12の界面から第1のアンドープ層12に拡散して形成されると共に、Znドープ層13と第2のアンドープ層14の界面から第2のアンドープ層14にも拡散して形成される。
【0086】
Znドープ層13のZn濃度は3×1018cm-3となり、第1のアンドープ層12及び第2のアンドープ層14のZns濃度はともに2×1018cm-3で拡散深さは0.5μmとなった。また、第1のアンドープ層12及び第2のアンドープ層14の各高濃度領域の先に低濃度領域が0.2μmの厚さに形成された。
【0087】
これは、Znドープ層13中に存在していた格子間拡散種Zniが温度上昇により第1のアンドープ層12及び第2のアンドープ層14に拡散したためである。
【0088】
これにより、図10(c)に示すように、結晶成長工程110において結晶の成長界面に鏡面状態が得られない非鏡面成長温度に設定してZn供給層であるZnドープ層13を成長し、その後、熱処理工程111において半導体結晶体を加熱することにより、Znドープ層13から第1のアンドープ層12のみならず第2のアンドープ層14にも拡散種Znが拡散した半導体結晶体を得ることができる。
【0089】
第7の参考例
前記第1〜6の各参考例は、結晶成長温度を下げることによりV族元素の空孔濃度を高めることを行なったが、本参考例はもう1つの条件であるV族元素を含む原料ガスの流量を下げ、V族元素の分圧を下げることによりV族元素の空孔濃度を高め、高濃度拡散を行なう。
【0090】
図11は本発明の第7の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はV族元素を含む原料ガスの分圧、拡散濃度及び拡散種の供給量の関係を表わすグラフである。
【0091】
図11(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0092】
以下、アンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0093】
まず、結晶成長温度を通常の600℃に、V族元素を含む原料ガスであるPH3 の分圧を1×10-3Torr以下にそれぞれ設定し、基板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に拡散種Znを4×1018cm-3の濃度で供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0094】
図11(b)に示すように、Znドープ層13とアンドープ層12との界面からアンドープ層12に固相拡散する際の格子置換型拡散種の拡散濃度Cs はPH3 の分圧に依存する。
【0095】
すなわち、Znドープ層13のZn取り込み量Cznが2×1018cm-3以下の場合は、拡散濃度Cs はZn取り込み量Cznと同程度の値を示し、Znドープ層13のZn取り込み量Cznが2×1018cm-3以上の場合は、拡散種ZnのInPにおける飽和濃度がPH3 分圧の低下にともなって上昇する。その結果、PH3 分圧を1×10-5Torr以下まで下げた場合には、結晶成長温度が通常の600℃のままであっても4×1018cm-3の高濃度のZn濃度が得られた。
【0096】
Zn濃度や拡散距離を結晶成長温度により制御する場合は、結晶成長温度が安定するまでに5分程度の時間が必要となるが、原料ガスの圧力を変化させることはほとんど瞬間的に実施できるため、結晶成長時間の短縮や結晶に与えるダメージの低減等のメリットがある。
【0097】
これにより、V族元素を含む原料ガスであるPH3 の分圧を変化させることによりアンドープ層12に対する拡散種Znの飽和濃度を制御することができる。
【0098】
第8の参考例
第8の参考例は、拡散種の供給量を通常の成長条件における飽和濃度以上に設定し、V族元素を含む原料ガスの分圧と拡散距離との関係を測定する。
【0099】
図12は本発明の第8の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はV族元素を含む原料ガスの分圧と拡散距離との関係を表わすグラフである。
【0100】
図12(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0101】
以下、アンドープ層12及びZnドープ層13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0102】
まず、結晶成長温度を通常の600℃に、V族元素を含む原料ガスであるPH3 の分圧を1×10-3Torr以下にそれぞれ設定し、基板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に拡散種Znを、PH3 の分圧が1×10-3Torrを越える成長条件における飽和濃度の2×1018cm-3よりも大きな3×1018cm-3の濃度で供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0103】
この結果、図12(a)に示すように、アンドープ層12とZnドープ層13との界面からの拡散距離が1μmの高濃度領域12a及び該界面からの拡散距離1.8μmの低濃度領域12bが形成される。
【0104】
図12(b)に高濃度領域12aの拡散距離Ds及び低濃度領域の拡散距離DiのPH3 分圧依存性を示す。図12(b)に示すように、格子置換型拡散種Znsの拡散距離DsはPH3 の分圧が上昇するにつれて減少するのに対して、格子間拡散種Zniの拡散距離DiはPH3 の分圧が上昇するにつれて増大する。
【0105】
これは、拡散種Znの取り込み量が3×1018cm-3の場合は、PH3 の分圧が5×10-5Torr以上である場合は、格子間拡散種Zniを格子置換型拡散種Znsとするのに十分な空孔が供給されなくなるため、格子間拡散種Zniが発生するからである。PH3 の分圧が上昇するほど、導入される空孔の数が減少するため、格子置換型拡散種Znsの濃度も減少するので、格子間拡散種Zniの濃度が増大することになる。その結果、格子間拡散種Zniの拡散距離Diが増大する。
【0106】
これにより、格子置換型拡散種Zns及び格子間拡散種Zniの拡散距離をPH3 の分圧により制御することができる。
【0107】
第9の参考例
第9の参考例は、Znドープ層の上にも第2のアンドープ層を成長させた後、通常のPH3 の分圧に戻す処理を行なって、第2のアンドープ層にも固相拡散を行なう。
【0108】
図13は本発明の第9の参考例に係る半導体結晶体の断面図及びPH3 分圧のプロファイルであって、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は半導体結晶体の成長工程のPH3 分圧プロファイルである。
【0109】
図13(a)において、11はSnがドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmの第1のアンドープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが1μmのZnドープ層、14は第3の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmの第2のアンドープ層である。結晶の成長方向は基板11から第2のアンドープ層14に向かう方向である。
【0110】
以下、本参考例に係る半導体結晶体の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0111】
まず、結晶成長温度を通常の600℃に、PH3 の分圧を通常よりも低圧の1×10-5Torrにそれぞれ設定しておいて、基板11の上に厚さが2μmの第1のアンドープ層12と、第1のアンドープ層12の上に拡散種Znを4×1018cm-3の濃度で供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた後、PH3 の分圧を通常の1×10-2Torrにまで昇圧してZnドープ層13の上に厚さが2μmの第2のアンドープ層14を連続して成長させた。
【0112】
この結果、図13(b)に示すように、Znドープ領域15がZnドープ層13と第1のアンドープ層12の界面から第1のアンドープ層12に拡散して形成されると共に、Znドープ層13と第2のアンドープ層14の界面から第2のアンドープ層14にも拡散して形成される。
【0113】
Znドープ層13のZn濃度は3×1018cm-3となり、第1のアンドープ層12及び第2のアンドープ層14の格子置換型拡散種Znsの濃度はともに2×1018cm-3で拡散深さは0.5μmとなった。また、第1のアンドープ層12には低濃度領域は確認されなかった。
【0114】
これは、PH3 の分圧が低下するのに応じてV族の空孔濃度が上昇するため、600℃の高温でも拡散種Znは置換位置に存在するので、拡散種Znの飽和濃度が4×1018cm-3以上の高濃度となるのに対して、PH3 の分圧が上昇した場合には、V族の空孔濃度が減少するため、置換位置に存在していた格子置換型拡散種Znsが放出されて格子間位置に移動する格子間拡散種Zniとなるためである。
【0115】
さらに、第1のアンドープ層12に低濃度領域が形成されないのは、第1のアンドープ層12が低圧で成長したため、結晶内に高濃度のV族の空孔が存在するので、Znドープ層13から第1のアンドープ層12に拡散してきた格子間拡散種Zniがすぐに格子置換型拡散種Znsとなるからである。
【0116】
これにより、通常よりもPH3 の分圧を低く設定して、拡散種Znの供給層であるZnドープ層13を成長させた後、通常のPH3 の分圧に再設定して第2のアンドープ層14を成長させることにより、Znドープ層13から第1のアンドープ層12のみならず第2のアンドープ層14にも拡散種Znが拡散した半導体結晶体を得ることができる。
【0117】
第10の参考例
前記第1〜9の各参考例は、V族元素の空孔濃度を高めることにより不純物の拡散濃度を高めるようにしたが、本参考例は観点を変え、拡散種が結晶体から再蒸発するのを抑制することにより不純物の拡散濃度を高めている。
【0118】
具体的には、基板の上に半導体結晶を選択的に成長させるものである。以後、選択的に成長する半導体結晶を選択成長による半導体結晶と呼ぶ。
【0119】
図14は本発明の第10の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は選択成長前の基板の構成断面図であり、(b)は選択成長後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は基板上に成長した各結晶の膜厚比と拡散濃度比との関係を表わすグラフである。
【0120】
以下、選択成長による高不純物濃度の半導体結晶体の結晶成長方法を説明する。
【0121】
まず、図14(a)に示すように、SnがドープされたInPよりなる基板11の上に、選択成長用のマスクとなるSiN(窒化シリコン)膜を全面に堆積した後、SiN膜に対してエッチングを行なって、短辺方向の開口幅が5μmの選択成長領域11aとなるストライプ状の開口部、及び開口幅が1mmの方形の通常の成長領域11bとなる比較のための開口部を有するマスクパターン16を形成する。11c及び11dはマスク領域であって、マスク領域11cの幅は30μmである。
【0122】
次に、図14(b)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に、拡散種Znの不純物濃度を0.5×1018cm-3にそれぞれ設定し、基板11上に半導体結晶を成長させた。基板11上のマスク領域11c及び11dの上には結晶は成長しないが、選択成長領域11aには、厚さが2μmで2×1018cm-3の濃度の高濃度結晶層17が形成され、通常の成長領域11bには、厚さが1μmで0.5×1018cm-3の濃度の低濃度結晶層19が形成される。
【0123】
選択成長領域11aの厚さが通常の成長領域11bの厚さよりも大きくなるのは、基板11上のマスク領域11c及び11d上に結晶成長が進まないため、開口幅の小さい選択成長領域11aに成長種の供給が増大するので、結晶の成長速度が通常の成長領域11bに比べて速くなるからである。
【0124】
また、選択成長領域11aのZn濃度が通常の成長領域11bのZn濃度よりも大きいのは、拡散種Znの結晶内への取り込み量がZnの供給量とZnの結晶からの離脱量とのバランスにより決定されているためであり、選択成長領域11aにおいては成長種の供給が増大しているためZnの取り込み量が増大するが、Znの結晶からの離脱量は温度の関数として与えられるので、その結果、Znの結晶内への取り込み量が増大することになる。
【0125】
通常の成長領域11bの膜厚d1 に対する選択成長領域11aの膜厚d2 の比を膜厚比d2 /d1 とすると、膜厚比d2 /d1 は、マスク領域11c及び11dを大きくするほど増大し、また、選択成長領域11aを小さくするほど増大する。
【0126】
図14(c)は通常の成長領域11bのZn濃度C1 に対する選択成長領域11aのZn濃度C2 の比をZn濃度比C2 /C1 として、各成長領域の膜厚比d2 /d1 とZn濃度比C2 /C1 との関係を表わしたグラフである。図14(c)に示すように、膜厚比d2 /d1 が増大するほどZn濃度比C2 /C1 が増大していることが分かる。
【0127】
これにより、選択成長領域11aの開口幅が減少することにより膜厚比d2 /d1 が増大し、さらに、選択成長領域11aの膜厚比d2 /d1 が増大することによりZn濃度比C2 /C1 が増大するという関係を得ることができる。
【0128】
第11の参考例
前記第10の参考例は、選択成長における、拡散種が結晶体から再蒸発するのを抑制することにより高不純物濃度を有する半導体結晶体を求めたが、本参考例においては、高不純物層からの固相拡散に着目する。
【0129】
図15は本発明の第11の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は選択成長後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は基板上に成長した各結晶の膜厚比と拡散濃度比との関係を表わすグラフであり、(c)は基板上に成長した各結晶の膜厚比と拡散距離との関係を表わすグラフである。
【0130】
図15(a)において、SnがドープされたInPよりなる基板11の上に、SiN膜よりなる選択成長用のマスクパターン16が形成されており、基板11上のマスク領域11c,11d及び11eの幅は共に50μmである。高濃度結晶層17は短辺方向の開口幅が5μmのストライプ状の第1の選択成長領域に形成され、膜厚d3 が2.2μmでZn濃度C3 が2×1018cm-3であり、中濃度結晶層18は短辺方向の開口幅が10μmのストライプ状の第2の選択成長領域に形成され、膜厚d2 が1.8μmでZn濃度C2 が2×1018cm-3であり、低濃度結晶層19は開口部が1mmの方形の通常の成長領域に形成され、膜厚d1 が1μmでZn濃度C1 が1×1018cm-3である。
【0131】
図15(a)に示す各結晶層17,18,19の成長方法は、結晶成長温度を通常の600℃に、拡散種Znの不純物濃度を1×1018cm-3にそれぞれ設定して、前記第10の参考例において説明した方法と同様の方法を採った。
【0132】
また、図15(b)に示す膜厚比dn /d1 (n=1,2,3) と拡散濃度比Cn /C1 (n=1,2,3) との関係をみると、結晶成長温度を通常の600℃に設定しているため、高濃度結晶層17も中濃度結晶層18も共にZn濃度が成長条件による飽和濃度の2×1018cm-3で飽和してしまっている。従って、本参考例においては実線に示す関係しか得られない。
【0133】
しかしながら、図15(a)に示すように、各結晶層17,18,19は、飽和濃度に達するまでは、それぞれの拡散種Znの取り込み量に応じて基板11に対する拡散深さが変化しているので、低濃度結晶層19の拡散距離をD1 、中濃度結晶層18の拡散距離をD2 及び高濃度結晶層17の拡散距離をD3 とすると、図15(c)に示す膜厚比dn /d1 (n=1,2,3) と拡散距離dn (n=1,2,3) との関係が得られる。
【0134】
これにより、選択成長領域の膜厚比が増大すると拡散距離が増大するという関係が得られるため、複数の選択成長領域の形状を互いに変えることによって、同一基板面の複数の結晶体に対してただ一度の結晶成長により各結晶体の拡散距離をそれぞれ異なるようにすることができる。
【0135】
第12の参考例
前記第11の参考例は、選択成長における通常の結晶成長温度による高不純物層からの固相拡散を行なったが、本参考例においては、通常の結晶成長温度よりも低い非鏡面成長温度による高不純物層からの固相拡散に着目する。
【0136】
図16は本発明の第12の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は選択成長後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は基板上に成長した各結晶の膜厚比と拡散濃度比との関係を表わすグラフである。
【0137】
図16(a)は結晶成長温度が400℃に、拡散種Znの不純物濃度が1×1018cm-3にそれぞれ設定され、選択成長による各結晶層であって、SnがドープされたInPよりなる基板11の上に、SiN膜よりなるマスクパターン16が形成されており、基板11上のマスク領域11c,11d及び11eの幅は共に50μmである。高濃度結晶層17は短辺方向の開口幅が5μmのストライプ状の第1の選択成長領域に形成され、膜厚d3 が2.2μmでZn濃度C3 が4×1018cm-3であり、中濃度結晶層18は短辺方向の開口幅が10μmのストライプ状の第2の選択成長領域に形成され、膜厚d2 が1.8μmでZn濃度C2 が2×1018cm-3であり、低濃度結晶層19は開口部が1mmの方形の通常の成長領域に形成され、膜厚d1 が1μmでZn濃度C1 が1×1018cm-3である。17aは高濃度結晶層17と基板11との界面から高濃度結晶層17の拡散種Znが拡散したZn濃度がCs3の高濃度拡散領域であり、18aは中濃度結晶層18と基板11との界面から中濃度結晶層18の拡散種Znが拡散したZn濃度がCs2の中濃度拡散領域であり、19aは低濃度結晶層19と基板11との界面から低濃度結晶層19の拡散種Znが拡散したZn濃度がCs3の低濃度拡散領域である。
【0138】
図16(b)は低濃度結晶層19の膜厚d1 に対する各選択成長領域の膜厚d1 ,d2 ,d3 の比を膜厚比dn /d1 (n=1,2,3) とし、各成長領域のZn濃度の濃度比Cn /C1 (n=1,2,3) 及び各拡散領域のZn濃度の濃度比Csn/C1 (n=1,2,3) の関係を表わしている。
【0139】
図16(b)に示すように、膜厚比dn /d1 が増大するにつれて選択成長する結晶層に対して拡散種Znの取り込み量が増大すると共に拡散領域のZn濃度も増大していることがわかる。
【0140】
これは、前記第11の参考例と異なり、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃に設定しているため、結晶中のV族元素の空孔濃度が上昇し、飽和濃度が6×1018cm-3程度にまで上昇するので、拡散種Znの取り込み量に応じて格子置換型拡散種の濃度であるZns濃度が増減するからである。その結果、各拡散領域17a,18a,19aの基板11面からの拡散距離はほとんど変化しない。
【0141】
なお、図16(b)に示すように、膜厚比dn /d1 が2.5以上になる場合はZn供給量が飽和濃度を越えるため、拡散領域のZns濃度Cs は飽和傾向を示す。
【0142】
本参考例によると、選択成長領域の膜厚比が増大するとZn濃度が増大するという関係が得られるため、結晶の成長界面に鏡面が得られない程度の低温成長を行ない且つ複数の選択成長領域の形状を変えることにより、同一基板面の複数の結晶体に対してただ一度の結晶成長により各結晶体の拡散濃度をそれぞれ異なるようにすることができる。
【0143】
第13の参考例
本参考例は選択成長による高不純物結晶体を回折格子に用いる。
【0144】
図17(a)〜(c)は本発明の第13の参考例に係る選択拡散による半導体結晶体の製造方法の工程順断面図であって、(d)は熱処理工程及び埋込み工程の結晶成長温度プロファイルである。
【0145】
以下、回折格子に選択成長を用いた半導体結晶体の結晶成長方法を説明する。
【0146】
まず、図17(a)に示すように、第1の結晶層としてのSnがドープされたInPよりなる基板11に対して、フォトリソグラフィーとして電子ビーム露光法による露光及びドライエッチングを行なうことにより、基板11上に周期が200nmの凹部又は凸部を有する回折格子を形成する。
【0147】
次に、図17(d)に示す熱処理工程114において、熱処理温度を非鏡面成長温度の400℃にまで昇温しながらPH3 及びDMZnの雰囲気中で10分間加熱する。PH3 の分圧は1×10-2Torrとし、DMZnの分圧は1×10-5Torrとした。これにより、図17(b)に示すように回折格子の各凹部に拡散種Znの高濃度領域27が形成される。なお、PH3 の分圧を1×10-3Torrに下げても高濃度領域27は形成される。
【0148】
次に、図17(d)に示す埋込み工程115において、結晶成長温度を通常の600℃に上昇し、PH3 及びTMInを原料にして、基板11の上に全面にわたって第2の結晶層としてのアンドープのInPよりなる埋込み層12を2μmの厚さに成長させる。この結果、図17(c)に示したように、回折格子の各凹部に逆三角形状の拡散種Znの高濃度領域27が格子形状に埋めこまれた構造が形成される。
【0149】
本参考例においては、埋込み層12の結晶成長時に600℃にまで成長温度を上昇したが、400℃のまま行なってもよい。高濃度領域27の濃度は、DMZnの濃度を上昇させるにつれて増大することがSEM観察により定性的に確認されるが、Zn濃度の定量化は行なっていない。
【0150】
これにより、回折格子の上に拡散種の原料であるDMZnを供給しながら昇温することにより、回折格子の凹部に高濃度領域を選択的に形成することができる。
【0151】
第14の参考例
本参考例は高濃度不純物結晶体からの固相拡散により得られた結晶体のみを分離する方法を示す。
【0152】
図18は本発明の第14の参考例に係る半導体結晶体の製造方法の工程順断面図である。
【0153】
まず、図18(a)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定して、SnがドープされたInPよりなる基板11の上に第1の半導体結晶層としての厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に厚さが10nmの保護膜としてのInGaAsPよりなるエッチングストップ層28とを順次成長させた後、結晶成長温度を非鏡面成長温度である400℃に設定して、エッチングストップ層28の上に5×1018cm-3の濃度の拡散種Znを供給しながら第2の半導体結晶層としての厚さが1μmのZnドープ層13を成長した。図18(a)に示すように、400℃程度の低温により結晶成長を行なうと、リン(P)原子がZnドープ層13の結晶から脱離するため、Znドープ層13の結晶表面が凸凹状になっている。
【0154】
次に、図18(b)に示すように、塩酸(HCl)とリン酸(H3 PO4 )との混合溶液等を用いると、InPを選択的にエッチングすることができるため、Znドープ層13に対してウェットエッチングを行なうことによりZnドープ層13のみを除去し、エッチングストップ層28の直前でエッチングを停止することができる。なお、エッチングストップ層28は600℃で成長しているため鏡面になっており、また、エッチングストップ層28にも拡散種であるZnが拡散されているため、コンタクト層として用いてもよい。
【0155】
さらに、図17(c)に示すように、エッチングストップ層28に対してもH2 SO4 (硫酸)とH22 (過酸化水素)とH2 O(水)との混合溶液を用いたエッチング処理の後に続いてHClとCH3 COOH(酢酸)との混合溶液を用いてエッチングを行なうか、又はHClとCH3 COOHとの混合溶液のみを用いた時間制御によるエッチングを行なってエッチングストップ層28を除去してもよい。
【0156】
これにより、拡散種Znが拡散された高濃度領域12aと鏡面状態の結晶表面とを有するアンドープ層12を得ることができる。
【0157】
また、本参考例によると、アンドープ層12とZnドープ層13との間にエッチングストップ層28を挿入しているが、このエッチングストップ層28による拡散濃度プロファイルの変化は認められず、エッチングストップ層28の有無は拡散濃度プロファイルに何ら影響を与えないことが分かっている。
【0158】
第15の参考例
本参考例から高濃度不純物拡散層を有する半導体結晶体を半導体素子に利用する具体例を示す。
【0159】
以下、本発明の第15の参考例を図面を参照しながら説明する。
【0160】
図19は本発明の第15の参考例に係る半導体レーザ装置の構成図及び測定図であって、(a)は半導体レーザ装置の構成断面図であり、(b)はコンタクト層のキャリア濃度と抵抗値との関係を示すグラフである。図19(a)において、201はn型クラッド層でありSnがドープされたInPよりなる基板、202はレーザビームを放射する活性層、203はp型InPよりなり活性層202の短辺方向の周縁部を埋める埋込み層、204はn型InPよりなり活性層202に流入する電流の効率を高める電流阻止層、205はp型クラッド層、206はp型InPよりなりp型クラッド層205と電極とのオーミック接合を図るコンタクト層、207はp側電極形成膜、208はn側電極形成膜である。
【0161】
以下、第15の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明する。
【0162】
まず、図20(a)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板201の上に厚さが0.2μmの活性層形成膜202Aを堆積した後、活性層形成膜202Aの上の活性層形成領域にストライプ状のSiNよりなるマスクパターン209を選択的に形成する。
【0163】
次に、図20(b)に示すように、活性層形成膜202A及び基板201に対してエッチングを行なって短辺方向の幅が1.5μmのストライプ形状の活性層202を形成する。
【0164】
次に、図20(c)に示すように、マスクパターン209を選択成長用のマスクとして膜厚が1μmで不純物濃度が1×1018cm-3のp型InPよりなる埋込み層203と膜厚が1μmで不純物濃度が1×1018cm-3のn型InPよりなる電流阻止層204を成長させる。
【0165】
次に、図20(d)に示すように、マスクパターン209に対してエッチングを行なってマスクパターン209を除去した後、図20(d)に示すように、膜厚が3μmで不純物濃度が1×1018cm-3のp型クラッド層205を成長させた後、結晶成長温度を非鏡面成長温度である400℃に設定し、膜厚が1μmで不純物濃度が4×1018cm-3のコンタクト層206を成長させる。その後、結晶成長温度を通常の600℃に再び昇温し、コンタクト層206の結晶内のキャリアを補償する格子間拡散種Zniを除去するために10分間の熱処理を行なう。
【0166】
次に、図20(e)に示すように、コンタクト層206の上面に全面にわたってTiPtよりなるp側電極形成膜207を蒸着し、基板201の下面に全面にわたってTiPtよりなるn側電極形成膜208を蒸着する。
【0167】
図21(a)にp型クラッド層成長工程116及びコンタクト層成長工程117の結晶成長温度プロファイルを示す。
【0168】
従来は図19(b)に示すように、コンタクト層成長工程において、結晶成長温度を600℃にした場合は、キャリア濃度が2×1018cm-3で飽和するため、p側電極形成膜207のコンタクト抵抗は、1×10-5ohm/cm2 であった。
【0169】
本参考例は図21(a)に示すように、コンタクト層成長工程117において、結晶成長温度を400℃に低下させたことによりコンタクト層のキャリア濃度は4×1018cm-3に上昇するため、p側電極形成膜208のノンアロイ電極においても図19(b)に示すようにコンタクト抵抗は1×10-7ohm/cm2 となって1/100に低減した。
【0170】
また、本参考例はコンタクト層成長工程において結晶成長温度を変化させたが、結晶成長温度を600℃の一定として、PH3 の分圧を10-5Torrに低下させた条件下でコンタクト層206を成長させることによってもキャリア濃度が4×1018cm-3となる。
【0171】
これにより、従来からコンタクト層として用いられているInGaAsPよりなる4元混晶に代えて、高不純物濃度を有するInPを用いることにより熱抵抗が低減したり、光吸収が低減したりすると共に、p型クラッド層205とコンタクト層206とは結晶構造が同一になるため、従来必要とされた結晶条件の導出が低減されるというメリットを生ずる。
【0172】
従って、コンタクト層206をInPよりなる半導体結晶体を用いて構成しても低コンタクト抵抗となるノンアロイ電極の半導体レーザ装置を得ることができる。
【0173】
第16の参考例
以下、本発明の第16の参考例を図面を参照しながら説明する。
【0174】
図22は本発明の第16の参考例に係る半導体受光素子の構成図及び測定図であって、(a)は受光素子の構成断面図であり、(b)は逆方向電圧とリーク電流との関係を示すグラフである。図22(a)において、210はSnがドープされたn型InPよりなる基板、211は基板210の上に形成されたアンドープInGaAsPよりなる活性層、211aは活性層211の上面部に形成されたp型不純物拡散領域、212は活性層211の上面に形成され活性層211を保護するエッチングストップ層、213はp側電極、214はn側電極形成膜、215はエッチングストップ層の表面を保護するパッシベーション膜である。
【0175】
以下、第16の参考例に係る半導体受光素子の製造方法を説明する。
【0176】
まず、図23(a)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板210の上に厚さが2μmの活性層211と活性層211の上にエッチングストップ層212とを順次成長させる。その後、エッチングストップ層212の上に全面にわたってSiNよりなるマスク形成膜を堆積した後、受光領域のマスク形成膜に対してエッチングを行なってマスクパターン216を形成する。
【0177】
次に、図23(b)に示すように、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃に設定してエッチングストップ層212を臨む受光領域に拡散種Znの濃度が3×1018cm-3にドープされた不純物供給層217を成長させると共に、不純物供給層217とエッチングストップ層212の界面を介して拡散種Znよりなるp型不純物が活性層211の上面部に拡散して不純物拡散領域211aを形成する。
【0178】
次に、図23(c)に示すように、不純物供給層217に対してHClとH3 PO4 との混合溶液を用いてエッチングを行なって不純物供給層217を除去した後、マスクパターン216に対してHF(フッ酸)とNH4 F(フッ化アンモニウム)との混合溶液を用いてエッチングを行なってマスクパターン216を除去してエッチングストップ層212を露出する。
【0179】
次に、図23(d)に示すように、p側電極213を形成すると共にn側電極形成膜を蒸着した後、パッシベーション膜215を堆積する。
【0180】
従来は、図23(b)に示す不純物供給層成長工程において、結晶成長温度を600℃にして不純物拡散を行なっていたため、不純物拡散領域211aの周縁部に低濃度領域が発生し、この周縁部から空乏層が発生するので、図22(b)の曲線119に示すようにブレークダウン電圧は10V程度と低い値を示していた。さらに、不純物濃度が低いため、空乏層の広がりが小さいので、高周波特性も2GHz程度と低かった。
【0181】
一方、本参考例に示したように、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃にして結晶成長すると、活性層211の不純物拡散領域211aには、低濃度領域が形成されないため、図22(b)の曲線120に示すようにブレークダウン電圧は20Vと増大すると共に、不純物拡散領域211aは3×1018cm-3の高不純物濃度となるため、高周波特性も10GHzに増大する。
【0182】
これにより、ブレークダウン電圧が高く且つ高周波特性が優れた半導体受光素子を得ることができる。
【0183】
なお、不純物供給層成長工程において、結晶成長温度を通常の600℃に設定し、PH3 ガスの分圧を1×10-5Torrに設定しても高濃度の不純物拡散領域211aが形成されるのはいうまでもない。
【0184】
第17の参考例
以下、本発明の第17の参考例を図面を参照しながら説明する。
【0185】
図24は本発明の第17の参考例に係る接合型電界効果トランジスタを示す図であって、(a)はその構成断面図であり、(b)はその回路図である。図24(a)において、218はFeがドープされた反絶縁性のInPよりなる基板、219は基板218の上に形成されたn型InPよりなるチャネル層、219aはチャネル層219の上面部に選択的に形成されたp型の第1の不純物拡散領域、219cは第1の不純物拡散領域219aにより形成された第1の空乏層、219bはチャネル層219の上面部に選択的に形成されたp型の第2の不純物拡散領域、219dは第2の不純物拡散領域219bにより形成された第2の空乏層、220はチャネル層219を保護するエッチングストップ層、221はエッチングストップ層220の上における第1の不純物拡散領域219aの上に選択的に形成された第1のゲート電極、222はエッチングストップ層220の上における第2の不純物拡散領域219bに選択的に形成された第2のゲート電極、223はエッチングストップ層220の上における、第1のゲート電極221と第1のゲート電極221のゲート長方向の反第2のゲート電極222側のエッチングストップ層220の端部との間に形成された第1のソース電極、224はエッチングストップ層220の上における、第2のゲート電極222と第2のゲート電極222との間に形成された第2のソース電極、225はエッチングストップ層220の上における、第2のゲート電極222と反第1のソース電極223側のエッチングストップ層220の端部との間に形成されたドレイン電極、226はエッチングストップ層220の表面を保護するパッシベーション膜である。
【0186】
図24(b)の回路図に示すように、第1のゲート電極221及び第1のソース電極223により形成されるトランジスタをJFET1と呼び、第2のゲート電極222及び第2のソース電極224により形成されるトランジスタをJFET2と呼ぶことにすると、JFET1の第1のソース電極223とJFET2の第2のソース電極224が接続されているため、JFET1はコンプリメント型、JFET2はディプレッション型として動作する。
【0187】
すなわち、JFET1は第1の空乏層219cが基板218に接していないため、第1のゲート電極221に逆バイアスを印加してスイッチングするのに対し、JFET2は拡散が深いために既に第2の空乏層219dが基板218の上面と接しているため、第2のゲート電極222に順バイアスを印加して動作することになる。このJFET1とJFET2とからなる構造は演算素子の基本構造である。
【0188】
従来は、このように不純物拡散領域の深さが異なる複数のFETを構成する場合は拡散処理を2回に分けて行なっていた。その結果、1回目に実施した拡散領域が2回目の拡散処理においても熱処理されるため、1回目に実施した拡散領域の形状が劣化する問題を有していた。
【0189】
しかしながら、本参考例によると、ただ1回の結晶成長工程により、目的とする拡散深さを実現することができるため、拡散形状の劣化がないので、拡散の深さが異なる所望の不純物拡散領域を形成することができる。
【0190】
以下、第17の参考例に係る接合型電界効果トランジスタの製造方法を説明する。
【0191】
まず、図25(a)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板218の上に厚さが2μmのチャネル層219とチャネル層219の上にエッチングストップ層220とを順次成長する。その後、エッチングストップ層220の上に全面にわたってSiNよりなる絶縁膜を堆積した後、該絶縁膜の第1及び第2の不純物拡散形成領域に対してエッチングを行なって、各不純物拡散形成領域のゲート長方向の幅により所望の拡散濃度を与える膜厚比に設定した選択成長用マスクパターン227を形成する。本参考例の場合は第2の不純物拡散形成領域のゲート長方向の開口幅を第1の不純物拡散形成領域のゲート長方向の開口幅よりも小さくなるように設定している。
【0192】
次に、図25(b)に示すように、結晶成長温度を600℃のままとし、拡散種Znの取り込み量を2×1018cm-3として、エッチングストップ層220の上の第1の不純物拡散形成領域に第1の不純物供給層228Aを成長させ、第2の不純物拡散形成領域に第2の不純物供給層228Bを成長させることにより、チャネル層219の第1の不純物拡散形成領域に第1の不純物拡散領域219aとチャネル層219の第2の不純物拡散形成領域に第2の不純物拡散領域219bとを形成する。
【0193】
図14及び図15を用いて説明したように、第1及び第2の各不純物供給層228A,228Bはエッチングストップ層220の上において、選択成長用マスクパターン227の開口部である各不純物拡散形成領域にのみ成長することができるため、各不純物供給層228A,228Bの結晶の成長速度が選択成長用マスクのない状態に比べて速くなるので、拡散種Znの気相への再蒸発が抑制されることになり、これにより、各不純物供給層の拡散濃度は飽和点にまで達することになる。また、各不純物供給層228A,228Bからエッチングストップ層220を通してチャネル層219の上面部に飽和した拡散種Znが拡散することになるが、第2の不純物供給層228Bは、第2の不純物供給層228Bの方が第1の不純物供給層228Aよりも開口幅の小さい領域に成長しており、膜厚が大きくなるため、図15(c)に示した関係により、チャネル層219の上面からの第2の不純物拡散領域219bの拡散距離は、第1の不純物拡散領域219aの拡散距離よりも大きくなる。
【0194】
次に、図25(c)に示すように、各不純物供給層228A,228Bに対してHClとH3 PO4 との混合溶液を用いてエッチングを行なって各不純物供給層228A,228Bを除去した後、選択成長用マスクパターン227に対してHFとNH4 Fとの混合溶液を用いてエッチングを行なって選択成長用マスクパターン227を除去してエッチングストップ層220を露出する。
【0195】
次に、図25(d)に示すように、エッチングストップ層220の各電極形成領域を除く領域にパッシベーション膜226を堆積した後、第1のゲート電極221、第2のゲート電極222、第1のソース電極223、第2のソース電極224及びドレイン電極225をそれぞれ所定の形成領域に蒸着する。
【0196】
本参考例においては選択成長領域である各不純物拡散形成領域の開口幅をそれぞれ変えることにより各不純物供給層228A,228Bの膜厚比を変えているが、開口幅を一定にしておいて選択成長用マスクパターン227のマスク幅を変えることによっても各不純物供給層228A,228Bの膜厚比を変化させることができるため、デバイスに必要な不純物拡散領域の大きさを設定できる。
【0197】
これにより、一回の不純物供給層の成長工程により、深い不純物拡散領域と浅い不純物拡散領域を形成できるため、不純物拡散領域の形状が優れているので、動作電圧が安定するモノリシック集積化された接合型電界効果トランジスタによる演算素子を得ることができる。
【0198】
第18の参考例
以下、本発明の第18の参考例を図面を参照しながら説明する。
【0199】
図26は本発明の第18の参考例に係る接合型電界効果トランジスタを示す構成断面図である。図26において、図24(a)に示した接合型電界効果トランジスタと同一の部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図26において、チャネル層219における第2の不純物拡散領域219fの拡散濃度は、第1の不純物拡散領域219eの拡散濃度よりも大きくなるように形成されているため、第1の不純物拡散領域219eにより形成される第1の空乏層219cは基板218に接しておらず、また、高濃度の第2の不純物拡散領域219fにより形成される第2の空乏層219dは基板218の上面と接している。
【0200】
従って、本参考例の接合型電界効果トランジスタの回路図も図24(b)に示したのと同様の回路図となり、その結果、動作も同様となる。
【0201】
以下、第18の参考例に係る接合型電界効果トランジスタの製造方法を説明する。
【0202】
前記第17の参考例と異なる製造工程のみを説明すると、図27(b)に示す不純物供給層成長工程において、結晶成長温度を非鏡面成長温度である400℃に、また、拡散種Znの取り込み量を4×1018cm-3の高濃度にそれぞれ設定して、エッチングストップ層220の上の第1の不純物拡散形成領域に第1の不純物供給層228Cを成長させ、第2の不純物拡散形成領域に第2の不純物供給層228Dを成長させることにより、チャネル層219の第1の不純物拡散形成領域に第1の不純物拡散領域219eとチャネル層219の第2の不純物拡散形成領域に第2の不純物拡散領域219fとを形成する。その後、基板218全体を10分間程度熱処理して各不純物拡散領域内の格子間拡散種Zniを除去する。
【0203】
図14及び図16を用いて説明したように、第1及び第2の各不純物供給層228C,228Dはエッチングストップ層220の上において、選択成長用マスクパターン227の開口部である各不純物拡散形成領域にのみ成長することができるため、各不純物供給層228C,228Dの結晶の成長速度が選択成長用マスクのない状態に比べて速くなるので、拡散種Znの気相への再蒸発が抑制されることになり、これにより、各不純物供給層の拡散濃度はそれぞれの飽和点が上昇することになる。また、各不純物供給層228C,228Dからエッチングストップ層220を通してチャネル層219の上面部に拡散種Znが拡散することになるが、第2の不純物供給層228Dは、第2の不純物供給層228Dの方が第1の不純物供給層228Cよりも開口幅の小さい領域に成長しており、膜厚が大きくなるため、図16(b)に示した関係により、チャネル層219の第2の不純物拡散領域219fの拡散濃度は、第1の不純物拡散領域219eの拡散濃度よりも大きくなる。
【0204】
本参考例によると、非鏡面成長温度である400℃という低温下で各不純物供給層228C,228Dを成長させているため、前記第17の参考例と異なり格子間拡散種Zniよりなる低濃度領域が形成されないという長所がある。
【0205】
これにより、一回の不純物供給層の成長工程により、濃度が異なる各不純物拡散領域を形成できると共に、格子間拡散種Zniよりなる低濃度拡散領域が形成されないため、さらに不純物拡散領域の形状に優れているので、動作電圧が安定するモノリシック集積化された接合型電界効果トランジスタによる演算素子を得ることができる。
【0206】
なお、図27(b)に示す不純物供給層成長工程において、結晶成長温度を通常の600℃に設定し、PH3 ガスの分圧を1×10-5Torrに設定しても高濃度の各不純物拡散領域219e及び219fが形成されるのはいうまでもない。
【0207】
この場合、格子間拡散種Zniを除去するための熱処理は不要となる。
【0208】
実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0209】
図28は本発明の実施形態に係る半導体レーザ装置の構成図及び特性図であって、(a)は半導体レーザ装置の構成断面図であり、(b)は従来の電流阻止層とキャリアの流れとを示した模式断面図であり、(c)は本実施形態に係る電流阻止層とキャリアの流れとを示した模式断面図であり、(d)は電流と光出力との関係を示すグラフである。図28(a)において、229はクラッド層でありZnがドープされたp型InPよりなる基板、230はレーザビームを放射する活性層、231はn型InPよりなり活性層230の短辺方向の周縁部を埋める埋込み層、232はp型InPよりなり活性層230に流入するキャリアの効率を高める電流阻止層、233はn型クラッド層、234はn型InPよりなりn型クラッド層233と電極とのオーミック接合を図るコンタクト層、235はn側電極形成膜、236はp側電極形成膜、237は電流阻止層232から拡散種のZnが拡散したZnドープ領域である。
【0210】
以下、実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明する。
【0211】
まず、図29(a)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板229の上に厚さが0.2μmの活性層形成膜230Aを堆積した後、活性層形成膜230Aの上の活性層形成領域に短辺方向の幅が1.5μmのストライプ状のSiNよりなるマスクパターン238を選択的に形成する。
【0212】
次に、図29(b)に示すように、活性層形成膜230A及び基板229に対してエッチングを行なってストライプ状の活性層230を形成する。
【0213】
次に、図29(c)に示すように、マスクパターン238を選択成長用のマスクとして膜厚が0.5μmで不純物濃度が1×1018cm-3のn型InPよりなる埋込み層231を成長させた後、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃に設定して、膜厚が1μmで不純物濃度が4×1018cm-3のp型InPよりなる電流阻止層232を成長させる。
【0214】
次に、図29(d)に示すように、マスクパターン238に対してエッチングを行なってこれを除去した後、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃に、n型不純物濃度を5×1017cm-3にそれぞれ設定して、活性層230及び電流阻止層232の上に全面にわたって膜厚が3μmのn型クラッド層233を成長させる。
【0215】
次に、図29(e)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に、n型不純物濃度を1×1018cm-3にそれぞれ設定して、膜厚が0.5μmのコンタクト層234を成長させる。
【0216】
次に、図29(f)に示すように、コンタクト層234の上に全面にわたってn側電極形成膜235を蒸着し、基板229の下面に全面にわたってp側電極形成膜236を蒸着する。
【0217】
図30(a)は各製造工程における結晶成長温度プロファイルである。図30(a)において、123は埋込み層成長工程、124は電流阻止層成長工程、125はクラッド層成長工程及び126はコンタクト層成長工程を表わしている。図30(a)に示すように、電流阻止層成長工程124及びクラッド層成長工程125においては結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃に設定しているため、不純物濃度が4×1018cm-3まで上昇しても飽和しないが、次のコンタクト層成長工程126において結晶成長温度を通常の600℃に再設定するため、図10を用いて説明したように、この高い結晶成長温度の熱処理効果によって、電流阻止層232の周縁部から拡散種Znが埋込み層231及びn型クラッド層233に拡散することにより、Znドープ層237が形成される。
【0218】
なお、図30(b)に示すように、電流阻止層成長工程124及びクラッド層成長工程125において、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃の低温にするのではなく、結晶成長温度は通常の600℃にし、V族元素を含む原料ガスであるPH3 の分圧を1×10-5Torrに低下させても同様のZnドープ層237が形成されるのは前述したとおりである。
【0219】
従来は、図28(b)に示すように、電流阻止層232の結晶成長領域が不純物濃度の境界になっていたために、活性層230に十分に近づいておらず活性層230に注入されないキャリアが存在していた。
【0220】
一方、本実施形態によると、図28(c)に示すように、不純物の再拡散によって電流阻止層232の領域が増大してZnドープ層237が形成されるため、無効となるキャリアの流れを低減することができる。
【0221】
さらに、再拡散した埋込み層231及びn型クラッド層233には、n型ドーパントも存在するため、補償されて高抵抗となるので、さらに無効なキャリアの流れが低減されることになる。
【0222】
その結果、図28(d)に示すように、従来のレーザ装置における電流曲線121によると、しきい値電流は20mAであり、10mW程度の光出力でリーク電流の増大に伴う飽和傾向を示しているのに対し、本実施形態のレーザ装置における電流曲線122によると、しきい値電流が15mAに低減すると共に光出力の飽和現象も抑制されている。
【0223】
これにより、電流阻止層232が活性層230に近接していることにより無効電流が低減される半導体レーザ装置を得ることができる。
【0224】
第19の参考例
以下、本発明の第19の参考例を図面を参照しながら説明する。
【0225】
図31は本発明の第19の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す工程順断面図である。
【0226】
本参考例においては、多重量子井戸構造を有する活性層(以下、MQW活性層と略称する。)を形成した後、図17に示した回折格子による高濃度ドーピング方法を用いて量子細線構造を形成する。この量子細線構造を有する活性層(以下、量子細線活性層と略称する。)を用いて量子細線レーザ装置又は利得結合型レーザ装置を得る。
【0227】
以下、第19の参考例に係る量子細線レーザ装置及び利得結合型レーザ装置の製造方法を説明する。
【0228】
まず、図31(a)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定しておいて、SnがドープされたInPよりなる基板239の上に全面にわたってヘテロ接合の、複数の井戸層と障壁層とを交互に積層したMQW活性層形成膜240Aと、MQW活性層形成膜240Aの上にアンドープのInPよりなる回折格子形成膜241Aとを順次成長させる。
【0229】
次に、図31(b)に示すように、回折格子形成膜241Aの上面部に対して電子ビーム露光法及びドライエッチング法を用いて格子の周期が10nmから200nm程度の凹部又は凸部を有する回折格子241Bを形成する。
【0230】
次に、図31(c)に示すように、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃にまで昇温し、昇温時からPH3 とDMZnとの雰囲気に基板239を10分間さらす熱処理を行なう。これにより、回折格子241Bの各凹部に拡散種Znの高濃度領域242が形成される。なお、PH3 の分圧を1×10-3Torrにまで下げても同様に高濃度領域242が形成されることはいうまでもない。
【0231】
次に、図31(d)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定し、回折格子241Bの上に全面にわたってp型InPよりなるクラッド層である回折格子埋込み層243Aを成長させる。結晶成長温度を600℃に設定しているため、MQW活性層形成膜240Aには、等間隔で且つ部分的に存在する高濃度領域242に含まれていた拡散種Znが拡散してくるので、各高濃度領域242に対応する、MQW活性層形成膜240Aが部分的かつ規則的に崩壊したMQW崩壊領域240aが形成されることになる。これにより、MQW活性層形成膜240Aは、MQW崩壊領域240aにおいて利得が減少するので、量子細線活性層形成膜240Bに変わることになる。
【0232】
次に、図31(e)に示すように、回折格子埋込み層243Aの上に長辺方向を光導波路層方向とし、幅が1.5μmのストライプ状のSiNよりなるマスクパターンを形成した後、回折格子埋込み層243A、量子細線活性層形成膜240B及び基板239に対してエッチングを行なってストライプ状の量子細線活性層240Cを形成する。その後、マスクパターンを選択成長用のマスクとして膜厚が1μmで不純物濃度が1×1018cm-3のp型InPよりなる活性層埋込み層244と、膜厚が0.5μmで不純物濃度が1×1018cm-3のn型InPよりなる電流阻止層245を成長さた後、マスクパターンをエッチング除去する。その後、p型不純物濃度を1×1017cm-3に設定して、回折格子埋込み層243A及び電流阻止層245の上に全面にわたってp型InPよりなるクラッド層246を成長させる。その後、p型不純物濃度を5×1018cm-3に設定して、p型InGaAsよりなるコンタクト層247を成長させた後、コンタクト層247の上に全面にわたってp側電極形成膜248を蒸着し、続いて基板239の下面に全面にわたってn側電極形成膜249を蒸着する。
【0233】
前記の製造工程により以下に示す2通りの半導体レーザ装置が得られる。すなわち、図31(e)に示す半導体レーザ装置は、回折格子241Bが量子細線活性層240Cのストライプの長辺方向(導波路方向)に沿って形成されているため、利得結合型のDFBレーザ装置が得られることになり、また、図31(f)に示す半導体レーザ装置は、回折格子241Bが量子細線活性層243Bのストライプの長辺方向(導波路方向)に対して垂直な方向に形成されているため、回折格子の周期を50nm程度とすれば量子細線レーザが得られる。
【0234】
なお、回折格子241Bが量子細線活性層243Bのストライプの長辺方向(導波路方向)に沿って形成されていても、回折格子の周期を50nm程度とすれば量子細線レーザが得られる。
【0235】
また、図32はチャネル層に量子細線構造を有するH(=High electron)FETの斜視図である。図32において、250はSnがドープされたn型InPよりなる基板、251は基板250の上に形成された量子細線構造を有するチャネル層、252は拡散種Znよりなる高濃度領域、251aは高濃度領域252の拡散種が拡散してできたMQW崩壊領域、253はソース・ドレイン拡散領域、254はゲート電極である。
【0236】
量子細線構造を有するチャネル層は、図31(a)〜(d)に示した製造方法により形成することができる。チャネル層251が量子細線構造を有しているため、チャネル層内の電子の移動度が増大するので、FETの高速化を図ることができる。
【0237】
さらに、歪量子井戸構造においては低温成長時にオーダリング構造が発生して発光特性が劣化するという問題を有していた。このオーダリング構造も拡散種Znの拡散により崩れるために、回折格子を用いた拡散種Znの拡散を行なうことによって、本参考例と同様に利得結合型DFBレーザ装置や量子細線レーザ装置を得ることができる。
【0238】
本参考例により、回折格子を用いてMQW層を部分的に崩壊したり、オーダリング構造を消滅させたりできるので、利得結合型DFBレーザ装置や量子細線レーザ装置が得られる。
【0239】
第20の参考例
以下、本発明の第20の参考例を図面を参照しながら説明する。
【0240】
図33は本発明の第20の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す工程順断面図である。
【0241】
本参考例においては、MQW活性層が製造時に破壊されることがない変調ドープ型の半導体レーザ装置とその製造方法とを説明する。
【0242】
以下、第20の参考例に係る変調ドープ型半導体レーザ装置の製造方法を説明する。
【0243】
まず、図33(a)に示すように、結晶成長温度を通常の600℃に設定しておいて、SnがドープされたInPよりなる基板255の上に全面にわたってヘテロ接合の、複数の井戸層と拡散種をZnとする高濃度の不純物がドーピングされた障壁層とを交互に積層した変調ドープ活性層形成膜256Aを成長させた後、変調ドープ活性層形成膜256Aの上に長辺方向を光導波路層の方向とし、幅が1.5μmのストライプ状のSiNよりなるマスクパターン257を形成する。
次に、図33(b)に示すように、変調ドープ活性層形成膜256A及び基板255に対してエッチングを行なってストライプ状の変調ドープ活性層256Bを形成する。
【0244】
次に、図33(c)に示すように、マスクパターン257を選択成長用のマスクとして膜厚が1μmで不純物濃度が5×1017cm-3のp型InPよりなる埋込み層258と、膜厚が0.5μmで不純物濃度が1×1018cm-3のn型InPよりなる電流阻止層259を成長さる。
【0245】
次に、図33(d)に示すように、マスクパターン257に対してエッチングを行なってこれを除去した後、結晶成長温度を非鏡面成長温度の500℃とし、p型不純物濃度を5×1017cm-3に設定して、膜厚が0.5μmのp型InGaAsPよりなる拡散抑制層260を成長させる。その後、結晶成長温度を再度通常の600℃に設定し、拡散抑制層260の上に全面にわたって膜厚が1μmでp型不純物濃度が5×1017cm-3のp型InPよりなるクラッド層261を成長させる。その後、p型不純物濃度を5×1018cm-3に設定して、p型InGaAsよりなるコンタクト層262を成長させた後、コンタクト層262の上に全面にわたってp側電極形成膜263を蒸着し、基板255の下面に全面にわたってn側電極形成膜264を蒸着する。
【0246】
以上の製造工程を経て図33(d)に示す本発明に係る変調ドープ型半導体レーザ装置を得ることができる。
【0247】
図34(a)に拡散抑制層成長工程127、クラッド層成長工程128及びコンタクト層成長工程129の各成長工程の結晶成長温度プロファイルを示す。
【0248】
なお、図34(b)に示すように、結晶成長温度ではなくV族ガスであるPH3 の分圧を変化させても同様の効果を得ることができる。すなわち、拡散抑制層成長工程127においてのみV族ガスの分圧を1×10-5Torrとし、それ以外の工程においてはV族ガスの分圧を通常の1×10-2Torrとすればよい。
【0249】
このように、拡散抑制層成長工程127において、拡散抑制層260が低温又は低分圧に設定され、且つ、p型不純物濃度を飽和濃度の4分の1となる5×1017cm-3で成長させるため、図6に示したように、格子間拡散種Zniの発生が抑制されるので、変調ドープ活性層256Bの変調ドープ構造を壊すことがない。
【0250】
さらに、次のクラッド層成長工程128において、拡散抑制層260に対して拡散種Znの供給量が少ないため、拡散抑制層260の空孔濃度が上昇するので、拡散抑制層260は変調ドープ活性層256Bの近傍に拡散する格子間拡散種Zniを捕獲することができる。
【0251】
従って、変調ドープ活性層256Bに格子間拡散種Zniが拡散しないため、変調ドープ構造の消滅が抑制される。
【0252】
これにより、2×1018cm-3程度の高濃度の変調ドープ構造が安定したまま形成されている変調ドープ型半導体レーザ装置を得ることができる。
【0253】
また、変調ドープ構造を実現するために添加するドーパントとしてはp型を示したが、n型でもよい。
【0254】
なお、これまで説明したすべての実施形態及び参考例において、InP系化合物半導体の結晶を用いたが、その他の半導体結晶、例えばSi系、GaAs系、ZnSeS系、InAlAs系、AlGaAs系又はInGaAlAsP系等の半導体材料であってもよい。
【0255】
また、Znをドーパントとして使用しているが、Be(ベリリウム),Mg(マグネシウム)、Cd(カドミウム)、Se(セレン),S(イオウ)、Te(テルル)又はC(炭素)であってもよい。
【0256】
また、V族ガスを用いたが、非金属元素であるVI族又はVII 族であってもよい。
【0257】
半導体レーザ装置の構造をDH(Double Hetero)レーザとしたが、DFB(Distributed Feedback)レーザ、DBR(Districted Bragg Reflector)レーザなど付加価値の高いレーザへの適応が可能である。また、活性層の構造をPBH(Planer Buried Hetero)タイプとしたが、その他の構造でもよい。
【0258】
さらに、本参考例においてはバルクタイプの活性層構造としたが、MQW構造、歪MQW構造、量子細線、量子箱構造よりなる活性層構造でもよい。また、光導波路層としてInGaAsPを用いたが、GRIN(Graded Index)構造を有するInGaAsPであってもよい。
【0259】
なお、本参考例においては、デバイスとして、レーザ装置、受光素子、JFET及びHFETとしたが、他のデバイス、例えば、光導波路、光スイッチ、HEMT及びHBT等であってもよい。
【0260】
また、結晶成長方法はMOVPE法としたが、ガスソースMBE、MOMBE法のみならず、ハイドライドVPE法など他の成長方法を用いてもよい。また、半導体レーザ装置の製造方法と同様な方法により光導波路を作製することもできる。
【0261】
さらに、結晶基板の導電性としてn型基板を用いたが、高光出力レーザ装置とする場合にはp側電極の金属と半導体との接触抵抗を下げるためにp型基板が用いられる。この場合も添加元素はp型とすればよい。
【0262】
回折格子の形成方法もEB法を用いたが、干渉露光法であってもよい。
【0263】
【発明の効果】
本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法によると、コンタクト層における結晶格子の空孔の濃度が上昇するため、不純物拡散濃度の飽和濃度が上昇する。また、コンタクト層の通常の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度になるまで空孔に拡散種が捕獲されると共に格子間にも拡散種が入り込むので、コンタクト層は拡散種が高濃度にドーピングされることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は不純物濃度プロファイル図である。
【図2】本発明の第1の参考例に係る半導体結晶体の拡散距離に対する不純物供給量依存性を表わす特性図である。
【図3】本発明の第2の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はSIMS法による不純物濃度プロファイル図である。
【図4】本発明の第2の参考例に係る半導体結晶体の拡散濃度に対する結晶の成長温度依存性を表わす特性図である。
【図5】本発明の第3の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はSIMS法による不純物濃度プロファイル図である。
【図6】本発明の第3の参考例に係る半導体結晶体の高濃度領域及び低濃度領域の各拡散距離に対する結晶の成長温度依存性を表わす特性図である。
【図7】本発明の第4の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は格子置換型及び格子間型の各不純物濃度に対する不純物の取り込み量依存性を表わす特性図である。
【図8】本発明の第5の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は高濃度拡散後のホール濃度に対するZnドープ層の拡散種の取り込み量依存性を表わす特性図であり、(c)は不純物濃度に対する不純物濃度の取り込み量依存性を表わす特性図である。
【図9】熱処理後のホール濃度に対するZnドープ層の拡散種の取り込み量依存性を表わす特性図である。
【図10】本発明の第6の参考例に係る半導体結晶体の断面図及び結晶成長温度プロファイル図であって、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は半導体結晶体の成長工程の結晶成長温度プロファイル図である。
【図11】本発明の第7の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は格子置換型の拡散濃度に対するV族元素を含む原料ガス(=PH3 )の分圧及び拡散種の供給量依存性を表わす特性図である。
【図12】本発明の第8の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は高濃度領域及び低濃度領域の各拡散距離に対するV族元素を含む原料ガス(=PH3 )の分圧依存性を表わす特性図である。
【図13】本発明の第9の参考例に係る半導体結晶体の断面図及び結晶成長温度プロファイルであって、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は半導体結晶体の成長工程のPH3 分圧プロファイルである。
【図14】本発明の第10の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び特性図であって、(a)は選択成長前の基板の構成断面図であり、(b)は選択成長後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は拡散濃度比に対する結晶の膜厚比依存性を表わす特性図である。
【図15】本発明の第11の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び特性図であって、(a)は選択成長後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散濃度比に対する結晶の膜厚比依存性を表わす特性図であり、(c)は拡散距離に対する結晶の膜厚比依存性を表わす特性図である。
【図16】本発明の第12の参考例に係る半導体結晶体の構成図及び特性図であって、(a)は選択成長後の基板の構成断面図であり、(b)は拡散濃度比に対する結晶の膜厚比依存性を表わす特性図である。
【図17】(a)〜(c)は本発明の第13の参考例に係る選択拡散による半導体結晶体の製造方法の工程順断面図であって、(d)は熱処理工程及び埋込み工程の結晶成長温度プロファイル図である。
【図18】(a)〜(c)は本発明の第14の参考例に係る半導体結晶体の製造方法の工程順断面図である。
【図19】本発明の第15の参考例に係る半導体レーザ装置の構成図及び特性図であって、(a)は半導体レーザ装置の構成断面図であり、(b)はコンタクト抵抗に対するコンタクト層のキャリア濃度依存性を表わす特性図である。
【図20】(a)〜(e)は本発明の第15の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図である。
【図21】本発明の第15の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法のプロファイル図であって、(a)は結晶成長温度プロファイルを表わし、(b)は原料ガスの分圧プロファイルを表わす。
【図22】本発明の第16の参考例に係る半導体受光素子の構成図及び特性図であって、(a)は半導体受光素子の構成断面図であり、(b)はリーク電流に対する逆方向電圧(=逆バイアス)依存性を表わす特性図である。
【図23】(a)〜(d)は本発明の第16の参考例に係る半導体受光素子の製造方法の工程順断面図である。
【図24】本発明の第17の参考例に係る接合型電界効果トランジスタを示す図であって、(a)は構成断面図であり、(b)は回路図である。
【図25】(a)〜(d)は本発明の第17の参考例に係る接合型電界効果トランジスタの製造方法の工程順断面図である。
【図26】本発明の第18の参考例に係る接合型電界効果トランジスタを示す構成断面図である。
【図27】(a)〜(d)は本発明の第18の参考例に係る接合型電界効果トランジスタの製造方法の工程順断面図である。
【図28】本発明の実施形態に係る半導体レーザ装置の構成図及び特性図であって、(a)は構成断面図であり、(b)は従来の電流阻止層とキャリアの流れとを示した模式断面図であり、(c)は本実施形態に係る電流阻止層とキャリアの流れとを示した模式断面図であり、(d)は光出力に対する電流依存性を表わす特性図である。
【図29】(a)〜(e)は本発明の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図である。
【図30】本発明の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法のプロファイル図であって、(a)は結晶成長温度プロファイルを表わし、(b)は原料ガスの分圧プロファイルを表わす。
【図31】(a)〜(f)は本発明の第19の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図である。
【図32】本発明の第19の参考例に係る量子細線構造のチャネル層を有する電界効果トランジスタの斜視図である。
【図33】(a)〜(d)は本発明の第20の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図である。
【図34】本発明の第20の参考例に係る半導体レーザ装置の製造方法のプロファイル図であって、(a)は結晶成長温度プロファイルを表わし、(b)は原料ガスの分圧プロファイルを表わす。
【図35】従来の開管拡散法による拡散深さに対する拡散時間依存性を表わす特性図である。
【符号の説明】
11 基板
12 アンドープ層
12 第1のアンドープ層
12a 高濃度領域
12b 低濃度領域
13 Znドープ層
14 第2のアンドープ層
15 Znドープ領域
16 マスクパターン
17 高濃度結晶層
17a 高濃度拡散領域
18 中濃度結晶層
18a 中濃度拡散領域
19 低濃度結晶層
19a 低濃度拡散領域
11a 選択成長領域
11b 通常の成長領域
11c マスク領域
11d マスク領域
11e マスク領域
27 高濃度領域
28 エッチングストップ層
110 結晶成長工程
111 熱処理工程
114 熱処理工程
115 埋込み工程
116 p型クラッド成長工程
117 コンタクト層成長工程
118 熱処理工程
123 埋込み層成長工程
124 電流阻止層成長工程
125 クラッド層成長工程
126 コンタクト層成長工程
127 拡散抑制層成長工程
128 クラッド層成長工程
129 コンタクト層成長工程
201 基板
202 活性層
203 埋込み層
204 電流阻止層
205 p型クラッド層
206 コンタクト層
207 p側電極形成膜
208 n側電極形成膜
210 基板
211 活性層
211a p型不純物拡散領域
212 エッチングストップ層
213 p側電極
214 n側電極形成膜
215 パッシベーション膜
216 マスクパターン
217 不純物供給層
218 基板
219 チャネル層
219a 第1の不純物拡散領域
219b 第2の不純物拡散領域
219c 第1の空乏層
219d 第2の空乏層
219e 第1の不純物拡散領域
219f 第2の不純物拡散領域
220 エッチングストップ層
221 第1のゲート電極
222 第2のゲート電極
223 第1のソース電極
224 第2のソース電極
225 ドレイン電極
226 パッシベーション膜
227 マスクパターン
228A 第1の不純物供給層
228B 第2の不純物供給層
228C 第1の不純物供給層
228D 第2の不純物供給層
229 基板
230 活性層
230A 活性層形成膜
231 埋込み層
232 電流阻止層
233 n型クラッド層
234 コンタクト層
235 n側電極形成膜
236 p側電極形成膜
237 Znドープ領域
238 マスクパターン
239 基板
240A MQW活性層形成膜
240a MQW崩壊領域
240B 量子細線活性層形成膜
240C 量子細線活性層
241A 回折格子形成膜
241B 回折格子
242 高濃度領域
243A 回折格子埋込み層
244 活性層埋込み層
245 電流阻止層
246 クラッド層
247 コンタクト層
248 p側電極形成膜
249 n側電極形成膜
250 基板
251 チャネル層
251a MQW崩壊領域
252 高濃度領域
253 ソース・ドレイン拡散領域
254 ゲート電極
255 基板
256A 変調ドープ活性層形成膜
256B 変調ドープ活性層
257 マスクパターン
258 埋込み層
259 電流阻止層
260 拡散抑制層
261 クラッド層
262 コンタクト層
263 p側電極形成膜
264 n側電極形成膜

Claims (1)

  1. 基板の上に活性層形成膜を成長させる活性層形成膜成長工程と、
    前記活性層形成膜に対してエッチングを行なってストライプ状の活性層を形成する活性層形成工程と、
    前記基板の上における前記活性層の短辺方向の周縁部を埋める埋込み層を成長させる埋込み層成長工程と、
    電流阻止層を成長する電流阻止層成長工程と、
    前記活性層及び電流阻止層の上に全面にわたってクラッド層を成長するクラッド層成長工程と、
    不純物拡散の拡散種が原料に供給され、前記活性層及び埋込み層の上に全面にわたって電極とのオーミック接合を図るコンタクト層を成長させるコンタクト層成長工程と、
    前記コンタクト層の上に電極形成膜を蒸着する蒸着工程とを備え、
    前記コンタクト層成長工程は、前記コンタクト層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つ前記コンタクト層の前記第1の結晶成長温度の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記コンタクト層を成長させ
    前記電流阻止層成長工程は、不純物拡散の拡散種が原料に供給され、前記電流阻止層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つ前記電流阻止層の前記第1の結晶成長温度の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記電流阻止層を成長させ、
    前記電流阻止層成長工程の後に、前記第1の結晶成長温度で前記基板を加熱して、埋込み層及び前記電流阻止層の界面から前記埋込み層中に前記電流阻止層中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備えていることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
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