JPH09330882A - 半導体結晶体及びその製造方法、半導体レーザ装置及びその製造方法、半導体受光素子及びその製造方法並びに電界効果トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

半導体結晶体及びその製造方法、半導体レーザ装置及びその製造方法、半導体受光素子及びその製造方法並びに電界効果トランジスタ及びその製造方法

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JPH09330882A
JPH09330882A JP8149007A JP14900796A JPH09330882A JP H09330882 A JPH09330882 A JP H09330882A JP 8149007 A JP8149007 A JP 8149007A JP 14900796 A JP14900796 A JP 14900796A JP H09330882 A JPH09330882 A JP H09330882A
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信之 大塚
Masahiro Kito
雅弘 鬼頭
Yuichi Inaba
雄一 稲葉
Masato Ishino
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大口径の半導体結晶体に、鏡面状態で且つ高
濃度の不純物拡散を行なえるようにする。 【解決手段】 半導体の原料にIII 族元素を含む化合物
にTMIn及びV族元素を含む化合物にPH3 を用い、
不純物拡散種の原料としてII族元素のZnを含む化合物
であるDMZnを用いた気相成長法による半導体結晶体
の製造方法であって、結晶の成長界面に鏡面状態が得ら
れない通常よりも低い温度、例えば420℃に結晶成長
温度を設定し、SnがドープされたInPよりなる基板
11の上に、厚さが2μmのアンドープ層12と、アン
ドープ層12の上に、通常の拡散種Znの飽和濃度より
も大きい5×1018cm-3の濃度の拡散種Znを供給し
ながら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大口径、且つ、高
不純物濃度を有する半導体結晶体及びその製造方法に関
し、特に化合物よりなる高不純物濃度を有する半導体結
晶体を用いた半導体レーザ装置及び半導体受光素子等並
びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体結晶体、とりわけIII-
V族を代表とする化合物半導体に対して行なう不純物拡
散処理は閉管拡散法により行われており、不純物の拡散
深さは拡散処理に要する処理時間により制御されてき
た。この場合は、拡散濃度は拡散炉の温度と不純物拡散
の材料である拡散種の量とによって決まるが、拡散炉の
温度や拡散種の量のばらつきによる影響を大きく受ける
ため、通常必要とされる以上の拡散種を供給することに
より、拡散の対象とする半導体材料に固有の飽和濃度に
まで拡散濃度を上昇させていた。
【0003】しかしながら、閉管拡散法においては拡散
処理を行なうたびにその都度半導体試料を閉管内に封入
する必要があるため、半導体試料の大口径化には対応で
きなかった。
【0004】そこで、近年、「粕川昭彦他、1992年
秋期応用物理学学術講演会、18p−V−2」にも示さ
れている開管拡散法が注目されてきている。
【0005】開管拡散法は半導体試料を反応させるため
の反応管の径を閉管よりも大きくして大口径の半導体試
料を扱えるようにしている。
【0006】図35は従来の開管拡散法による拡散時間
と拡散深さとの相関関係を示しており、拡散時間の平方
根と拡散深さは比例していることが分かる。不純物の拡
散種をジメチル亜鉛(DMZ)とし、供給量を6.5×
10-6cm-3、反応温度を500度として測定してい
る。なお、図35に示す白丸はC−V法によりホールの
数を測定し、黒丸は2次元イオン質量分析(SIMS)
法により亜鉛の数を測定したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の開管拡散法は、図35に示すように、拡散深さの時
間依存性が明らかになった程度であり、十分な制御性が
得られていない。従って、拡散濃度の制御が困難である
という問題を有しており、これにより、半導体結晶中に
低濃度拡散領域が形成されるという問題や、半導体結晶
の界面からの拡散距離又は拡散濃度を制御できないとい
う問題を有していた。
【0008】さらに、拡散処理中は常に排気しながら真
空度を保つ必要があり、閉管拡散法によるよりもその真
空度を高くできないため、不純物濃度は閉管拡散法に比
べて小さくなったり、拡散後の表面状態が悪化したりす
るという問題をも有していた。
【0009】本発明は前記従来の問題を解決し、大口径
の半導体結晶体に、鏡面状態で且つ高濃度の不純物拡散
を行なえるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明は、拡散の対象とする半導体結晶体の上に、
拡散処理の反応条件における温度又は圧力を下げること
により不純物が高濃度にドーピングされた結晶層を成長
させながら、拡散対象の前記半導体結晶体に固相拡散に
より不純物拡散を行なうものである。
【0011】具体的に請求項1の発明が講じた解決手段
は、半導体の原料に不純物拡散の拡散種を供給して反応
させることにより、前記拡散種が結晶中に拡散する半導
体結晶体を基板上に成長させる半導体結晶体の製造方法
を対象とし、前記半導体結晶体の成長界面が鏡面状態と
なる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度
で前記半導体結晶体を成長させる成長工程を備えている
構成とするものである。
【0012】請求項1の構成により、半導体結晶体の成
長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い
第2の結晶成長温度に結晶成長温度を設定するため、半
導体の原料の分解効率が低下するので、半導体結晶体に
おける結晶格子の空孔の濃度が上昇することになり、従
って、空孔の移動速度が拡散種の結晶格子間の移動速度
よりも大きくなるので、拡散種は空孔に捕獲されること
になる。
【0013】請求項2の発明は、請求項1の構成に、前
記半導体の原料は、III 族元素を含む化合物とV族元素
を含むガスよりなる化合物とを含む構成を付加するもの
である。
【0014】請求項3の発明は、請求項2の構成に、前
記第2の結晶成長温度は前記拡散種の格子間拡散種の拡
散速度が前記V族元素の空孔拡散速度よりも小さくなる
温度である構成を付加するものである。
【0015】請求項4の発明は、請求項1〜3の構成
に、前記成長工程は、前記半導体結晶体の前記第1の結
晶成長温度の成長条件における前記拡散種の飽和濃度以
上に拡散種を供給する工程を含む構成を付加するもので
ある。
【0016】請求項5の発明が講じた解決手段は、半導
体結晶体を、基板上に、半導体結晶体の成長界面が鏡面
状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成
長温度に設定され且つ前記半導体結晶体の前記第1の結
晶成長温度の成長条件における不純物拡散の拡散種の飽
和濃度よりも大きい濃度の拡散種が原料に供給されるこ
とにより成長し、前記拡散種の前記飽和濃度よりも大き
い不純物濃度を有している構成とするものである。
【0017】請求項5の構成により、半導体結晶体の成
長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い
第2の結晶成長温度に設定されるため、半導体の原料の
分解効率が低下するので、半導体結晶体における結晶格
子の空孔の移動速度が拡散種の結晶格子間の移動速度よ
りも大きくなり、拡散種は空孔に捕獲されることにな
る。
【0018】請求項6の発明が講じた解決手段は、半導
体の原料に不純物拡散の拡散種を供給して反応させるこ
とにより、前記拡散種が結晶中に拡散する半導体結晶体
を基板上に成長させる半導体結晶体の製造方法を対象と
し、前記基板上に前記半導体結晶体を選択的に成長させ
るための開口部を有するマスクパターンを形成するマス
クパターン形成工程を備えている構成とするものであ
る。
【0019】請求項6の構成により、基板上に選択的に
成長させるための開口部を有するマスクパターンが形成
されているため、基板上で反応する半導体の原料は開口
部の領域にのみ成長することができるので、基板にマス
クパターンを設けない場合に比べて、マスクされた領域
の半導体の原料がマスクパターンの開口領域に供給され
ることになり、これにより、結晶の成長速度が速くなる
ので、拡散種が気相中に再蒸発しにくくなる。
【0020】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する結
晶体の膜厚が大きく且つ高不純物濃度になる。
【0021】請求項7の発明は、請求項6の構成に、前
記半導体の原料は、III 族元素を含む化合物とV族元素
を含むガスよりなる化合物とを含む構成を付加するもの
である。
【0022】請求項8の発明が講じた解決手段は、半導
体結晶体を、選択的に結晶を成長させるためのマスクパ
ターンが形成された基板の上に、不純物拡散の拡散種が
原料に供給されて前記マスクパターンの開口部に成長
し、前記開口部を除く基板上に成長した結晶層の不純物
濃度よりも大きい不純物濃度を有している構成とするも
のである。
【0023】請求項8の構成により、基板上で反応する
半導体の原料はマスクパターンの開口部の領域にのみ成
長しているため、基板にマスクパターンを設けない場合
に比べて結晶の成長速度が速くなるので、拡散種が気相
中に再蒸発しにくくなる。
【0024】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する結
晶体の膜厚が大きく且つ高不純物濃度になる。
【0025】請求項9の発明が講じた解決手段は、半導
体の原料に不純物拡散の拡散種を供給して反応させるこ
とにより、前記拡散種が結晶中に拡散する半導体結晶体
を基板上に成長させる半導体結晶体の製造方法を対象と
し、前記半導体の原料は少なくともガスよりなる原料を
含み、前記ガスの分圧を1×10-3Torr以下の成長
条件で前記半導体結晶体を成長させる成長工程を備えて
いる構成とするものである。
【0026】請求項9の構成により、半導体の原料とな
る原料ガスの分圧を通常よりも低い1×10-3Torr
以下に設定するため、原料ガスの分解効率が低下するの
で、半導体結晶体における結晶格子の空孔の濃度が上昇
することになり、従って、空孔の移動速度が拡散種の結
晶格子間の移動速度よりも大きくなるので、拡散種は空
孔に捕獲されることになる。
【0027】請求項10の発明は、請求項9の構成に、
前記半導体の原料は、III 族元素を含む化合物とV族元
素を含むガスよりなる化合物とを含む構成を付加するも
のである。
【0028】請求項11の発明は、請求項9又は10の
構成に、前記成長工程は、前記ガスの分圧が1×10-3
Torrを越える前記半導体結晶体の通常の成長条件に
おける前記拡散種の飽和濃度以上に前記拡散種を供給す
る構成を付加するものである。
【0029】請求項12の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体を、基板上に、少なくともV族元素を含む原
料ガスに不純物拡散の拡散種が供給され、前記原料ガス
の分圧を1×10-3Torr以下で且つ半導体結晶体の
前記分圧が1×10-3Torrを越える通常の成長条件
における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度の前記
拡散種が供給されることにより成長し、前記拡散種の前
記飽和濃度よりも大きい不純物濃度を有している構成と
するものである。
【0030】請求項12の構成により、半導体の原料と
なるV族元素を含む原料ガスの分圧が通常よりも低い1
×10-3Torr以下に設定されているため、原料ガス
の分解効率が低下するので、半導体結晶体における結晶
格子のV族元素の空孔の濃度が上昇することになり、従
って、空孔の移動速度が拡散種の結晶格子間の移動速度
よりも大きくなるので、拡散種は空孔に捕獲されること
になる。
【0031】請求項13の発明が講じた解決手段は、半
導体の原料に不純物拡散の拡散種を供給して反応させる
ことにより、前記拡散種が結晶中に拡散する半導体結晶
体を基板上に成長させる半導体結晶体の製造方法を対象
とし、前記基板上に前記半導体結晶体を選択的に成長さ
せるための開口部を有するマスクパターンを形成するマ
スクパターン形成工程と、前記半導体の原料は少なくと
もガスよりなる原料を含み、前記ガスの分圧を1×10
-3Torr以下の成長条件で前記半導体結晶体を成長さ
せる成長工程とを備えている構成とするものである。
【0032】請求項13の構成により、基板上に選択成
長用の開口部を有するマスクパターンが形成されている
ため、基板上で反応する半導体の原料は開口部の領域に
のみ成長することができるので、基板にマスクパターン
を設けない場合に比べて結晶の成長速度が速くなり、従
って、拡散種が気相中に再蒸発しにくくなる。
【0033】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する結
晶体の膜厚が大きく且つ高不純物濃度になる。
【0034】さらに、半導体の原料となる原料ガスの分
圧を通常よりも低い1×10-3Torr以下に設定する
ため、原料ガスの分解効率が低下するので、半導体結晶
体における結晶格子の空孔の濃度が上昇することにな
り、従って、空孔の移動速度が拡散種の結晶格子間の移
動速度よりも大きくなるので、拡散種は空孔に捕獲され
ることになる。
【0035】請求項14の発明は、請求項13の構成
に、前記半導体の原料は、III 族元素を含む化合物とV
族元素を含むガスよりなる化合物とを含む構成を付加す
るものである。
【0036】請求項15の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体を、選択的に結晶を成長させるためのマスク
パターンが形成された基板の上に、少なくともV族元素
を含む原料ガスに不純物拡散の拡散種が供給され、前記
マスクパターンの開口部に前記原料ガスの分圧を1×1
-3Torr以下の成長条件で成長しており、前記開口
部を除く基板上に成長する半導体結晶体の不純物濃度よ
りも大きい不純物濃度を有している構成とするものであ
る。
【0037】請求項15の構成により、基板上で反応す
る半導体の原料はマスクパターンの開口部の領域にのみ
成長しているため、基板にマスクパターンを設けない場
合に比べて結晶の成長速度が速くなる。さらに、半導体
の原料となるV族元素を含む原料ガスの分圧が通常より
も低い1×10-3Torr以下に設定されているため、
原料ガスの分解効率が低下するので、半導体結晶体にお
ける結晶格子の空孔の濃度が上昇することになり、従っ
て、空孔の移動速度が拡散種の結晶格子間の移動速度よ
りも大きくなるので、拡散種は空孔に捕獲されることに
なる。
【0038】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する結
晶体の膜厚が大きく且つ高不純物濃度になる。
【0039】請求項16の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、原料に不純物拡散の拡散種を
供給して反応させることにより第2の半導体結晶層を成
長させる結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半導体
結晶層の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2
の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工
程とを備え、前記結晶層成長工程は、前記第2の半導体
結晶層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度
よりも低い第2の結晶成長温度で且つ該第2の半導体結
晶層の第1の結晶成長温度における前記拡散種の飽和濃
度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前
記第2の半導体結晶層を成長させる構成とするものであ
る。
【0040】請求項16の構成により、第2の半導体結
晶層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よ
りも低い第2の結晶成長温度に設定するため、半導体の
原料の分解効率が低下するので、第2の半導体結晶層に
おける結晶格子の空孔の濃度が上昇することになり、従
って、空孔の移動速度が拡散種の結晶格子間の移動速度
よりも大きくなるので、拡散種は空孔に捕獲されて格子
置換型拡散種となる。さらに、第2の半導体結晶層は拡
散対象である第1の半導体結晶層の上に成長しているた
め、前記格子置換型拡散種が第1の半導体結晶層に拡散
する。
【0041】請求項17の発明は、請求項16の構成
に、前記第2の半導体結晶層の原料は、III 族元素を含
む化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物とを含む
構成を付加するものである。
【0042】請求項18の発明は、請求項16又は17
の構成に、前記拡散工程の後に、前記第1の結晶成長温
度に前記第1及び第2の半導体結晶層よりなる半導体結
晶体を加熱する熱処理工程を含む構成を付加するもので
ある。
【0043】請求項19の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、原
料に不純物拡散の拡散種を供給して反応させることによ
り第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成長工程と、
前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記第1の
半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記結晶層成長
工程は、前記第2の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態
となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温
度で且つ該第2の半導体結晶層の第1の結晶成長温度に
おける前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散
種を供給する成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長
させる製造方法により製造された半導体結晶体を対象と
し、前記半導体結晶体は前記第1の半導体結晶層におけ
る、該第1及び前記第2の半導体結晶層の界面部に前記
拡散種の前記飽和濃度よりも大きい不純物拡散領域を有
している構成とするものである。
【0044】請求項19の構成により、第2の半導体結
晶層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よ
りも低い第2の結晶成長温度に設定されているため、半
導体の原料の分解効率が低下するので、第2の半導体結
晶層における結晶格子の空孔の濃度が上昇することにな
り、従って、空孔の移動速度が拡散種の結晶格子間の移
動速度よりも大きくなるので、拡散種は空孔に捕獲され
て格子置換型拡散種となる。さらに、第2の半導体結晶
層は拡散対象である第1の半導体結晶層の上に成長して
いるため、前記格子置換型拡散種が第1の半導体結晶層
に拡散される。
【0045】請求項20の発明は、請求項19の構成
に、前記半導体結晶体の不純物拡散領域には低濃度拡散
領域が形成されていない構成を付加するものである。
【0046】請求項21の発明は、請求項19の構成
に、前記半導体結晶体の不純物拡散領域には結晶格子に
おける格子間拡散種のみからなる領域が形成されていな
い構成を付加するものである。
【0047】請求項22の発明は、請求項19の構成
に、前記半導体結晶体の前記第2の半導体結晶層には結
晶格子における格子間拡散種と格子置換型拡散種とが混
在しており、前記格子置換型拡散種よりなるキャリアが
前記格子間拡散種によって補償されている構成を付加す
るものである。
【0048】請求項23の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、開口部を有するマスクパター
ンを選択的に形成するマスクパターン形成工程と、原料
に不純物拡散の拡散種を供給して反応させることにより
前記第1の半導体結晶層における前記マスクパターンの
開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成長工
程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記
第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前
記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備えている構成
とするものである。
【0049】請求項23の構成により、第1の半導体結
晶層の上面に選択成長用の開口部を有するマスクパター
ンが形成されているため、第1の半導体結晶層の上面で
反応して成長する第2の半導体結晶層はマスクパターン
の開口領域にのみ成長することができるので、第1の半
導体結晶層にマスクパターンを設けない場合に比べて結
晶の成長速度が速くなる。従って、第2の半導体結晶層
の拡散種は気相中に再蒸発しにくくなるので、飽和濃度
以下の拡散種を供給したとしても、第2の半導体結晶層
は飽和濃度に達することができる。
【0050】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する第
2の半導体結晶層の膜厚が大きく且つ高不純物濃度にな
る。
【0051】さらに、第2の半導体結晶層は第1の半導
体結晶層におけるマスクパターンの開口領域に成長して
いるため、飽和濃度に達した拡散種は該開口領域から第
1の半導体結晶層に拡散することになる。
【0052】請求項24の発明は、請求項23の構成
に、前記結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の
成長界面が鏡面状態となる成長条件における前記拡散種
の飽和濃度よりも大きい濃度の該拡散種を供給する成長
条件で前記第2の半導体結晶層を成長させる構成を付加
するものである。
【0053】請求項25の発明は、請求項23又は24
の構成に、前記第2の半導体結晶層の原料は、III 族元
素を含む化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物と
を含む構成を付加するものである。
【0054】請求項26の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、開
口部を有するマスクパターンを選択的に形成するマスク
パターン形成工程と、不純物拡散の拡散種が原料に供給
され、前記第1の半導体結晶層における前記マスクパタ
ーンの開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層
成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の界面か
ら前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層
中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備えた製
造方法により製造された半導体結晶体を対象とし、前記
マスクパターンの開口部からの拡散により形成された前
記第1の半導体結晶層の不純物拡散領域の上面からの深
さが、前記開口部の大きさに反比例している構成とする
ものである。
【0055】請求項26の構成により、第1の半導体結
晶層の上面に選択成長用の開口部を有するマスクパター
ンが形成されているため、第1の半導体結晶層の上面で
反応して成長する第2の半導体結晶層はマスクパターン
の開口領域にのみ成長しているので、第1の半導体結晶
層にマスクパターンを設けない場合に比べて第2の半導
体結晶層の成長速度が速くなっている。従って、第2の
半導体結晶層の拡散種は気相中に再蒸発しにくくなるの
で、飽和濃度以下の拡散種を供給したとしても、第2の
半導体結晶層は飽和濃度に達することができる。
【0056】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する第
2の半導体結晶層の膜厚が大きく且つ高不純物濃度にな
る。
【0057】さらに、第2の半導体結晶層は第1の半導
体結晶層におけるマスクパターンの開口領域に成長して
いるため、飽和濃度に達した拡散種は該開口領域から第
1の半導体結晶層に拡散することになる。
【0058】請求項27の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、開口部を有するマスクパター
ンを選択的に形成するマスクパターン形成工程と、原料
に不純物拡散の拡散種を供給して反応させることにより
前記第1の半導体結晶層における前記マスクパターンの
開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成長工
程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記
第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前
記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記結晶
層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の成長界面が鏡
面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶
成長温度で前記第2の半導体結晶層を成長させる工程を
含む構成とするものである。
【0059】請求項27の構成により、第1の半導体結
晶層の上面に選択成長用の開口部を有するマスクパター
ンが形成されているため、第1の半導体結晶層の上面で
反応して成長する第2の半導体結晶層はマスクパターン
の開口領域にのみ成長することができるので、第1の半
導体結晶層にマスクパターンを設けない場合に比べて結
晶の成長速度が速くなる。従って、第2の半導体結晶層
の拡散種は気相中に再蒸発しにくいので、飽和濃度以下
の拡散種を供給したとしても、第2の半導体結晶層は飽
和濃度に達することができる。
【0060】また、第2の半導体結晶層の成長界面が鏡
面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶
成長温度に設定されているため、半導体の原料の分解効
率が低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格
子の空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物
拡散濃度の飽和濃度が上昇する。
【0061】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する第
2の半導体結晶層の膜厚が大きく且つ高不純物濃度にな
る。
【0062】さらに、第2の半導体結晶層は第1の半導
体結晶層におけるマスクパターンの開口領域に成長して
いるため、通常の飽和濃度以上の濃度に達した拡散種が
開口領域から第1の半導体結晶層に拡散することにな
る。
【0063】請求項28の発明は、請求項27の構成
に、前記結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の
前記第1の結晶成長温度の成長条件における前記拡散種
の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長
条件で前記第2の半導体結晶層を成長させる構成を付加
するものである。
【0064】請求項29の発明は、請求項27又は28
の構成に、前記第2の半導体結晶層の原料は、III 族元
素を含む化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物と
を含む構成を付加するものである。
【0065】請求項30の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、開
口部を有するマスクパターンを選択的に形成するマスク
パターン形成工程と、不純物拡散の拡散種が原料に供給
され、前記第1の半導体結晶層における前記マスクパタ
ーンの開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層
成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の界面か
ら前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層
中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前
記結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の成長界
面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2
の結晶成長温度で前記第2の半導体結晶層を成長させる
製造方法により製造された半導体結晶体を対象とし、前
記マスクパターンの開口部から拡散することにより形成
された前記第1の半導体結晶層の不純物拡散領域の不純
物濃度が、前記開口部の大きさに反比例している構成と
するものである。
【0066】請求項30の構成により、第1の半導体結
晶層の上面に選択成長用の開口部を有するマスクパター
ンが形成されているため、第1の半導体結晶層の上面で
反応して成長する第2の半導体結晶層はマスクパターン
の開口領域にのみ成長しているので、第1の半導体結晶
層にマスクパターンを設けない場合に比べて結晶の成長
速度が速くなっている。従って、第2の半導体結晶層の
拡散種は気相中に再蒸発しにくくなるので、飽和濃度以
下の拡散種を供給したとしても、第2の半導体結晶層は
飽和濃度に達することになる。
【0067】また、第2の半導体結晶層の成長界面が鏡
面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶
成長温度に設定されているため、半導体の原料の分解効
率が低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格
子の空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物
拡散濃度の飽和濃度が上昇する。
【0068】また、マスクパターンの開口部の開口幅が
小さくなるにつれて、半導体の原料がさらに多く開口領
域に供給されるため、成長速度が増すので、成長する第
2の半導体結晶層の膜厚が大きく且つ高不純物濃度にな
る。
【0069】さらに、第2の半導体結晶層は第1の半導
体結晶層におけるマスクパターンの開口領域に成長して
いるため、通常の飽和濃度以上の濃度に達した拡散種が
開口領域から第1の半導体結晶層に拡散することにな
る。
【0070】請求項31の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、半導体の原料に少なくともガ
スよりなる原料を含み、該原料に不純物拡散の拡散種を
供給して反応させることにより第2の半導体結晶層を成
長させる結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半導体
結晶層の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2
の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工
程とを備え、前記結晶層成長工程は、前記ガスの分圧を
1×10-3Torr以下で且つ前記ガスの分圧が1×1
-3Torrを越える前記第2の半導体結晶層の通常の
成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃
度に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導体結
晶層を成長させる構成とするものである。
【0071】請求項31の構成により、原料となる原料
ガスの分圧を通常よりも低い1×10-3Torr以下に
設定するため、半導体の原料ガスの分解効率が低下する
ので、第2の半導体結晶層における結晶格子の空孔の濃
度が上昇することになり、従って、空孔の移動速度が拡
散種の結晶格子間の移動速度よりも大きくなるので、拡
散種は空孔に捕獲されて格子置換型拡散種となる。さら
に、第2の半導体結晶層は拡散対象である第1の半導体
結晶層の上に成長しているため、前記格子置換型拡散種
が第1の半導体結晶層に拡散する。
【0072】請求項32の発明は、請求項31の構成
に、前記第2の半導体結晶層の原料は、III 族元素を含
む化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物とを含む
構成を付加するものである。
【0073】請求項33の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、少
なくともV族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散種
を供給し第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成長工
程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記
第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前
記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記結晶
層成長工程は、前記ガスの分圧を1×10-3Torr以
下で且つ前記ガスの分圧が1×10-3Torrを越える
前記第2の半導体結晶層の通常の成長条件における前記
拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給す
る成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長させる製造
方法により製造された半導体結晶体を対象とし、前記半
導体結晶体は前記第1の半導体結晶層における、該第1
及び前記第2の半導体結晶層の界面部に前記拡散種の前
記飽和濃度よりも大きい不純物拡散領域を有している構
成とするものである。
【0074】請求項33の構成により、半導体の原料ガ
スの分圧を通常よりも低い1×10-3Torr以下に設
定するため、原料ガスの分解効率が低下するので、第2
の半導体結晶層における結晶格子の空孔の濃度が上昇す
ることになり、従って、空孔の移動速度が拡散種の結晶
格子間の移動速度よりも大きくなるので、拡散種は空孔
に捕獲されて格子置換型拡散種となる。さらに、第2の
半導体結晶層は拡散対象である第1の半導体結晶層の上
に成長しているため、前記格子置換型拡散種が第1の半
導体結晶層に拡散する。
【0075】請求項34の発明は、請求項33の構成
に、前記半導体結晶体の不純物拡散領域には低濃度拡散
領域が形成されていない構成を付加するものである。
【0076】請求項35の発明は、請求項33の構成
に、前記半導体結晶体の不純物拡散領域には格子間拡散
種のみからなる領域が形成されていない構成を付加する
ものである。
【0077】請求項36の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、開口部を有するマスクパター
ンを選択的に形成するマスクパターン形成工程と、半導
体の原料に少なくともガスよりなる原料を含み、該原料
に不純物拡散の拡散種を供給して反応させることにより
前記第1の半導体結晶層における前記マスクパターンの
開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成長工
程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記
第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前
記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記結晶
層成長工程は、前記ガスの分圧を1×10-3Torr以
下の成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長させる構
成とするものである。
【0078】請求項36の構成により、第1の半導体結
晶層の上面に選択成長用の開口部を有するマスクパター
ンが形成されているため、第1の半導体結晶層の上面で
反応して成長する第2の半導体結晶層はマスクパターン
の開口領域にのみ成長することができるので、第1の半
導体結晶層にマスクパターンを設けない場合に比べて結
晶の成長速度が速くなる。従って、第2の半導体結晶層
の拡散種は気相中に再蒸発しにくいので、飽和濃度以下
の拡散種を供給したとしても、第2の半導体結晶層は飽
和濃度に達することができる。
【0079】また、原料となるガスの分圧を1×10-3
Torr以下に設定するため、半導体の原料の分解効率
が低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子
の空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡
散濃度の飽和濃度が上昇する。
【0080】さらに、第2の半導体結晶層は第1の半導
体結晶層におけるマスクパターンの開口領域に成長して
いるため、通常の飽和濃度以上の濃度に達した拡散種が
開口領域から第1の半導体結晶層に拡散することにな
る。
【0081】請求項37の発明は、請求項36の構成
に、前記第2の半導体結晶層の原料は、III 族元素を含
む化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物とを含む
構成を付加するものである。
【0082】請求項38の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、開
口部を有するマスクパターンを選択的に形成するマスク
パターン形成工程と、少なくともV族元素を含む原料ガ
スに不純物拡散の拡散種を供給し前記第1の半導体結晶
層における前記マスクパターンの開口部に第2の半導体
結晶層を成長させる結晶層成長工程と、前記第1及び第
2の半導体結晶層の界面から前記第1の半導体結晶層中
に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散さ
せる拡散工程とを備え、前記結晶層成長工程は、前記ガ
スの分圧を1×10-3Torr以下の成長条件で前記第
2の半導体結晶層を成長させる製造方法により製造され
た半導体結晶体を対象とし、前記マスクパターンの開口
部から拡散することにより形成された前記第1の半導体
結晶層の不純物拡散領域の不純物濃度が、前記開口部の
大きさに反比例している構成を付加するものである。
【0083】請求項38の構成により、第1の半導体結
晶層の上面に選択成長用の開口部を有するマスクパター
ンが形成されているため、第1の半導体結晶層の上面で
反応して成長する第2の半導体結晶層はマスクパターン
の開口領域にのみ成長しているので、第1の半導体結晶
層にマスクパターンを設けない場合に比べて結晶の成長
速度が速くなっている。従って、第2の半導体結晶層の
拡散種は気相中に再蒸発しにくいので、飽和濃度以下の
拡散種を供給したとしても、第2の半導体結晶層は飽和
濃度に達することができる。
【0084】また、原料ガスの分圧が1×10-3Tor
r以下に設定されるため、半導体の原料の分解効率が低
下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子の空
孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散濃
度の飽和濃度が上昇する。
【0085】さらに、第2の半導体結晶層は第1の半導
体結晶層におけるマスクパターンの開口領域に成長して
いるため、通常の飽和濃度以上の濃度に達した拡散種が
開口領域から第1の半導体結晶層に拡散することにな
る。
【0086】請求項39の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、不純物拡散の拡散種が原料に
供給され、第2の半導体結晶層を成長させる第1の結晶
層成長工程と、前記第2の半導体結晶層の上面に不純物
拡散の対象である第3の半導体結晶層を成長させる第2
の結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶層
の第1の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2
の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させると共
に、前記第2及び第3の半導体結晶層の第2の界面から
前記第3の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中
の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記
第1の結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の成
長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い
第2の結晶成長温度で且つ該第2の半導体結晶層の前記
第1の結晶成長温度における前記拡散種の飽和濃度より
も大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記第2
の半導体結晶層を成長させ、前記拡散工程は、前記第3
の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温
度で前記第3の半導体結晶層を加熱する構成とするもの
である。
【0087】請求項39の構成により、第1の結晶層成
長工程において、第2の半導体結晶層の成長界面が鏡面
状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成
長温度に設定されているため、半導体の原料の分解効率
が低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子
の空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡
散濃度の飽和濃度が上昇する。さらに、第2の半導体結
晶層の第1の結晶成長温度の成長条件における拡散種の
飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を供給しているた
め、上昇した飽和濃度になるまで空孔に拡散種が捕獲さ
れると共に格子間にも拡散種が入り込むことになる。
【0088】また、拡散工程において、第3の半導体結
晶層を第3の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる
結晶成長温度によって熱処理するため、高濃度にドーピ
ングされた第2の半導体結晶層の格子間拡散種が、第2
の半導体結晶層と第1の半導体結晶層との界面から第1
の半導体結晶層に、また、第2の半導体結晶層と第3の
半導体結晶層との界面から第3の半導体結晶層に、鏡面
状態となる結晶成長温度により決定される通常の飽和濃
度になるまでそれぞれ拡散する。
【0089】請求項40の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、不
純物拡散の拡散種が原料に供給され、第2の半導体結晶
層を成長させる第1の結晶層成長工程と、前記第2の半
導体結晶層の上面に不純物拡散の対象である第3の半導
体結晶層を成長させる第2の結晶層成長工程と、前記第
1及び第2の半導体結晶層の第1の界面から前記第1の
半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
種を固相拡散させると共に、前記第2及び第3の半導体
結晶層の第2の界面から前記第3の半導体結晶層中に前
記第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる
拡散工程とを備え、前記第1の結晶層成長工程は、前記
第2の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる第1の
結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つ該第
2の半導体結晶層の前記第1の結晶成長温度における前
記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給
する成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長させ、前
記拡散工程は、前記第3の半導体結晶層の成長界面が鏡
面状態となる結晶成長温度で前記第3の半導体結晶層を
加熱する製造方法により製造された半導体結晶体を対象
とし、前記半導体結晶体の各不純物拡散領域には結晶格
子における格子置換型拡散種による飽和濃度領域と格子
間拡散種のみからなる低濃度領域とがそれぞれ形成され
ている構成とするものである。
【0090】請求項40の構成により、第1の結晶層成
長工程において、第2の半導体結晶層の成長界面が鏡面
状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成
長温度に設定されているため、半導体の原料の分解効率
が低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子
の空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡
散濃度の飽和濃度が上昇する。さらに、第2の半導体結
晶層の第1の結晶成長温度の成長条件における拡散種の
飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を供給しているた
め、上昇した飽和濃度になるまで空孔に拡散種が捕獲さ
れると共に格子間にも拡散種が入り込むことになる。
【0091】また、拡散工程において、第3の半導体結
晶層を第3の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる
結晶成長温度によって熱処理するため、高濃度にドーピ
ングされた第2の半導体結晶層の格子間拡散種が、第2
の半導体結晶層と第1の半導体結晶層との界面から第1
の半導体結晶層に、また、第2の半導体結晶層と第3の
半導体結晶層との界面から第3の半導体結晶層に、鏡面
状態となる結晶成長温度により決定される通常の飽和濃
度になるまでそれぞれ拡散する。
【0092】従って、第1及び第2の半導体結晶体の各
不純物拡散領域には結晶格子における格子置換型拡散種
による通常の飽和濃度領域と格子間拡散種のみからなる
低濃度領域とがそれぞれ形成される。
【0093】請求項41の発明は、請求項5、8、2
6、30又は40の構成に、前記半導体結晶体の原料
は、少なくともV族元素を含む化合物を含む構成を付加
するものである。
【0094】請求項42の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、少なくともV族元素を含む原
料ガスに不純物拡散の拡散種を供給し第2の半導体結晶
層を成長させる第1の結晶層成長工程と、前記第2の半
導体結晶層の上面に第3の半導体結晶層を成長させる第
2の結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶
層の第1の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第
2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させると共
に、前記第2及び第3の半導体結晶層の第2の界面から
前記第3の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中
の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記
第1の結晶層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1×1
-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×10
-3Torrを越える前記第2の半導体結晶層の通常の成
長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度
に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導体結晶
層を成長させ、前記拡散工程は、前記第3の半導体結晶
層の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度で前記第3
の半導体結晶層を加熱する構成とするものである。
【0095】請求項42の構成により、第1の結晶層成
長工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr
以下に設定されているため、半導体の原料の分解効率が
低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子の
空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散
濃度の飽和濃度が上昇する。さらに、原料ガスの分圧が
1×10-3Torrを越える第2の半導体結晶層の通常
の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度
に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度になる
まで空孔に拡散種が捕獲されることになる。
【0096】また、拡散工程において、第3の半導体結
晶層を第3の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる
結晶成長温度によって熱処理するため、高濃度にドーピ
ングされた第2の半導体結晶層の格子置換型拡散種が、
第2の半導体結晶層と第1の半導体結晶層との界面から
第1の半導体結晶層に、また、第2の半導体結晶層と第
3の半導体結晶層との界面から第3の半導体結晶層に、
鏡面状態となる結晶成長温度により決定される通常の飽
和濃度になるまでそれぞれ拡散する。
【0097】請求項43の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、少
なくともV族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散種
を供給し第2の半導体結晶層を成長させる第1の結晶層
成長工程と、前記第2の半導体結晶層の上面に第3の半
導体結晶層を成長させる第2の結晶成長工程と、前記第
1及び第2の半導体結晶層の第1の界面から前記第1の
半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
種を固相拡散させると共に、前記第2及び第3の半導体
結晶層の第2の界面から前記第3の半導体結晶層中に前
記第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる
拡散工程とを備え、前記第1の結晶層成長工程は、前記
原料ガスの分圧を1×10-3Torr以下で且つ前記原
料ガスの分圧が1×10-3Torrを越える前記第2の
半導体結晶層の通常の成長条件における前記拡散種の飽
和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件
で前記第2の半導体結晶層を成長させ、前記拡散工程
は、前記第3の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態とな
る結晶成長温度で前記第3の半導体結晶層を加熱する製
造方法により製造された半導体結晶を対象とし、前記半
導体結晶体の各不純物拡散領域には結晶格子における格
子置換型拡散種による飽和濃度領域のみがそれぞれ形成
されている構成とするものである。
【0098】請求項43の構成により、第1の結晶層成
長工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr
以下に設定されているため、半導体の原料の分解効率が
低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子の
空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散
濃度の飽和濃度が上昇する。さらに、前記原料ガスの分
圧が1×10-3Torrを越える第2の半導体結晶層の
通常の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい
濃度に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度に
なるまで空孔に拡散種が捕獲されることになる。
【0099】また、拡散工程において、第3の半導体結
晶層を第3の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる
結晶成長温度によって熱処理するため、高濃度にドーピ
ングされた第2の半導体結晶層の格子置換型拡散種が、
第2の半導体結晶層と第1の半導体結晶層との界面から
第1の半導体結晶層に、また、第2の半導体結晶層と第
3の半導体結晶層との界面から第3の半導体結晶層に、
鏡面状態となる結晶成長温度により決定される通常の飽
和濃度になるまでそれぞれ拡散する。
【0100】従って、第1及び第2の半導体結晶体の各
不純物拡散領域には結晶格子における格子置換型拡散種
による通常の飽和濃度領域のみがそれぞれ形成される。
【0101】請求項44の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、少なくともV族元素を含む原
料ガスに不純物拡散の拡散種を供給し第2の半導体結晶
層を成長させる第1の結晶層成長工程と、前記第2の半
導体結晶層の上面に第3の半導体結晶層を成長させる第
2の結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶
層の第1の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第
2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させると共
に、前記第2及び第3の半導体結晶層の第2の界面から
前記第3の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中
の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記
第1の結晶層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1×1
-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×10
-3Torrを越える前記第2の半導体結晶層の通常の成
長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度
に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導体結晶
層を成長させ、前記第2の結晶層成長工程は、前記原料
ガスの分圧が1×10-3Torrを越える通常の圧力で
前記第3の半導体結晶層を成長させる構成とするもので
ある。
【0102】請求項44の構成により、第1の結晶層成
長工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr
以下に設定されているため、半導体の原料の分解効率が
低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子の
空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散
濃度の飽和濃度が上昇する。さらに、第2の半導体結晶
層の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃
度に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度にな
るまで空孔に拡散種が捕獲されることになる。
【0103】また、拡散工程において、第3の半導体結
晶層を、原料ガスの分圧が通常の圧力となるように設定
して熱処理するため、高濃度にドーピングされた第2の
半導体結晶層の格子置換型拡散種が、第2の半導体結晶
層と第1の半導体結晶層との界面から第1の半導体結晶
層に、また、第2の半導体結晶層と第3の半導体結晶層
との界面から第3の半導体結晶層に、原料ガスの通常の
分圧により決定される通常の飽和濃度になるまでそれぞ
れ拡散する。
【0104】請求項45の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面に、少
なくともV族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散種
を供給し第2の半導体結晶層を成長させる第1の結晶層
成長工程と、前記第2の半導体結晶層の上面に第3の半
導体結晶層を成長させる第2の結晶層成長工程と、前記
第1及び第2の半導体結晶層の第1の界面から前記第1
の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡
散種を固相拡散させると共に、前記第2及び第3の半導
体結晶層の第2の界面から前記第3の半導体結晶層中に
前記第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させ
る拡散工程とを備え、前記第1の結晶層成長工程は、前
記原料ガスの分圧を1×10-3Torr以下で且つ前記
原料ガスの分圧が1×10-3Torrを越える前記第2
の半導体結晶層の通常の成長条件における前記拡散種の
飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条
件で前記第2の半導体結晶層を成長させ、前記第2の結
晶層成長工程は、前記原料ガスの分圧を通常の圧力で前
記第3の半導体結晶層を成長させる製造方法により製造
された半導体結晶体でを対象とし、前記半導体結晶体の
各不純物拡散領域には結晶格子における格子置換型拡散
種による飽和濃度領域のみがそれぞれ形成されている構
成とするものである。
【0105】請求項45の構成により、第1の結晶層成
長工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr
以下に設定されているため、半導体の原料の分解効率が
低下するので、第2の半導体結晶層における結晶格子の
空孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散
濃度の飽和濃度が上昇する。さらに、前記原料ガスの分
圧が1×10-3Torrを越える第2の半導体結晶層の
通常の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい
濃度に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度に
なるまで空孔に拡散種が捕獲されることになる。
【0106】また、拡散工程において、第3の半導体結
晶層を第3の半導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる
結晶成長温度によって熱処理するため、高濃度にドーピ
ングされた第2の半導体結晶層の格子置換型拡散種が、
第2の半導体結晶層と第1の半導体結晶層との界面から
第1の半導体結晶層に、また、第2の半導体結晶層と第
3の半導体結晶層との界面から第3の半導体結晶層に、
原料ガスの通常の分圧により決定される通常の飽和濃度
になるまでそれぞれ拡散する。
【0107】従って、第1及び第2の半導体結晶体の各
不純物拡散領域には結晶格子における格子置換型拡散種
による通常の飽和濃度領域のみがそれぞれ形成される。
【0108】請求項46の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面部に多数の凹部又は凸部を有する
回折格子を形成する回折格子形成工程と、前記第1の半
導体結晶層を熱処理する熱処理工程と、前記第1の半導
体結晶層における前記結晶格子の上に第2の半導体結晶
層を成長させて前記回折格子を埋め込む埋込み工程とを
備え、前記熱処理工程は、前記第1の半導体結晶層が不
純物の拡散種が供給されることにより、前記回折格子の
各凹部に前記拡散種よりなる高濃度の拡散領域を選択的
に形成する工程を含む構成とするものである。
【0109】請求項46の構成により、熱処理工程にお
いて、第1の半導体結晶層に不純物の拡散種が供給され
るため、第1の半導体結晶層の上面部に多数の凹部又は
凸部を有する回折格子が形成されているので、第1の半
導体結晶層の上面で反応する拡散種は回折格子の各凹部
に拡散しやすくなり、上面部に回折格子を設けない場合
に比べて回折格子の各凹部に拡散する拡散種の拡散速度
が速くなる。
【0110】請求項47の発明は、請求項46の構成
に、前記熱処理工程は、前記第1の半導体結晶層の成長
界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第
2の結晶成長温度で前記第1の半導体結晶層を加熱する
構成を付加するものである。
【0111】請求項48の発明は、請求項46の構成
に、前記第1及び第2の半導体結晶層は少なくともV族
元素を含む原料ガスを原料に含み、前記熱処理工程は、
前記原料ガスの分圧を1×10-3Torr以下で前記第
1の半導体結晶層を加熱する構成を付加するものであ
る。
【0112】請求項49の発明が講じた解決手段は、不
純物拡散の対象である第1の半導体結晶層の上面部に多
数の凹部又は凸部を有する回折格子を形成する回折格子
形成工程と、前記第1の半導体結晶層を熱処理する熱処
理工程と、前記第1の半導体結晶層における前記結晶格
子の上に第2の半導体結晶層を成長させて前記回折格子
を埋め込む埋込み工程とを備え、前記熱処理工程は、前
記第1の半導体結晶層が不純物の拡散種が供給されるこ
とにより、前記回折格子の各凹部に前記拡散種よりなる
高濃度の拡散領域を選択的に形成する工程を含む製造方
法により製造された半導体結晶体を対象とし、前記高濃
度の拡散領域が格子状に形成されている構成とするもの
である。
【0113】請求項49の構成により、熱処理工程にお
いて、第1の半導体結晶層に不純物の拡散種が供給され
るため、第1の半導体結晶層の上面部に多数の凹部又は
凸部を有する回折格子が形成されているので、第1の半
導体結晶層の上面で反応する半導体の原料は回折格子の
各凹部に拡散しやすくなり、上面部に回折格子を設けな
い場合に比べて回折格子の各凹部の拡散速度が速くな
る。
【0114】請求項50の発明が講じた解決手段は、半
導体結晶体の製造方法を、不純物拡散の対象である第1
の半導体結晶層の上面に、該第1の半導体結晶層の表面
を保護する保護膜を堆積する保護膜堆積工程と、原料に
不純物拡散の拡散種を供給し前記保護膜の上面に第2の
半導体結晶層を成長させる第1の結晶層成長工程と、前
記保護膜を通して前記第1及び第2の半導体結晶層の界
面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結
晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程と、前記
第2の半導体結晶層と前記保護膜とに対してそれぞれエ
ッチングを行なって除去するエッチング工程とを備え、
前記保護膜のエッチングレートは前記第2の半導体結晶
層のエッチングレートに比べて小さい構成とするもので
ある。
【0115】請求項50の構成により、エッチング工程
において、保護膜のエッチングレートは前記第2の半導
体結晶層のエッチングレートに比べて小さいため、第2
の半導体結晶層のみを確実に除去することができる。
【0116】請求項51の発明が講じた解決手段は、半
導体レーザ装置を、クラッド層である基板上に形成さ
れ、レーザビームを放射する活性層と、前記基板の上に
形成され、前記活性層の短辺方向の周縁部を埋める埋込
み層と、前記埋込み層の上に形成され、電極とのオーミ
ック接合を図るコンタクト層を備え、前記コンタクト層
の一部が3×1018cm-3以上のキャリア濃度を有して
いる構成とするものである。
【0117】請求項51の構成により、コンタクト層の
一部は3×1018cm-3以上のキャリア濃度を有してい
るため、コンタクト層の抵抗が低減する。
【0118】請求項52の発明が講じた解決手段は、半
導体レーザ装置の製造方法を、基板の上に活性層形成膜
を成長させる活性層形成膜成長工程と、前記活性層形成
膜に対してエッチングを行なってストライプ状の活性層
を形成する活性層形成工程と、前記基板の上における前
記活性層の短辺方向の周縁部を埋める埋込み層を成長さ
せる埋込み層成長工程と、不純物拡散の拡散種が原料に
供給され、前記活性層及び埋込み層の上に全面にわたっ
て電極とのオーミック接合を図るコンタクト層を成長さ
せるコンタクト層成長工程と、前記コンタクト層の上に
電極形成膜を蒸着する蒸着工程とを備え、前記コンタク
ト層成長工程は、前記コンタクト層の成長界面が鏡面状
態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長
温度で且つ前記コンタクト層の前記第1の結晶成長温度
の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい
濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記コンタクト層
を成長させる構成とするものである。
【0119】請求項52の構成により、コンタクト層成
長工程において、コンタクト層の成長界面が鏡面状態と
なる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度
に設定されているため、半導体の原料の分解効率が低下
するので、コンタクト層における結晶格子の空孔の濃度
が上昇することになり、従って、不純物拡散濃度の飽和
濃度が上昇する。さらに、コンタクト層の第1の結晶成
長温度の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大き
い濃度に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度
になるまで空孔に拡散種が捕獲されると共に格子間にも
拡散種が入り込むことになる。
【0120】請求項53の発明が講じた解決手段は、半
導体レーザ装置の製造方法を、基板の上に活性層形成膜
を成長させる活性層形成膜成長工程と、前記活性層形成
膜に対してエッチングを行なってストライプ状の活性層
を形成する活性層形成工程と、前記基板の上における前
記活性層の短辺方向の周縁部を埋める埋込み層を成長さ
せる埋込み層成長工程と、少なくともV族元素を含む原
料ガスに不純物拡散の拡散種を供給し、前記活性層及び
埋込み層の上に全面にわたって電極とのオーミック接合
を図るコンタクト層を成長させるコンタクト層成長工程
と、前記コンタクト層の上に電極形成膜を蒸着する蒸着
工程とを備え、前記コンタクト層成長工程は、前記原料
ガスの分圧を1×10-3Torr以下で且つ前記原料ガ
スの分圧が1×10-3Torrを越える前記コンタクト
層の通常の成長条件における前記拡散種の飽和濃度より
も大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記コン
タクト層を成長させる構成とするものである。
【0121】請求項53の構成により、コンタクト層成
長工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr
以下に設定されているため、半導体の原料ガスの分解効
率が低下するので、コンタクト層における結晶格子の空
孔の濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散濃
度の飽和濃度が上昇する。さらに、前記原料ガスの分圧
が1×10-3Torrを越えるコンタクト層の成長条件
における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を
供給しているため、上昇した飽和濃度になるまで空孔に
拡散種が捕獲されることになる。
【0122】請求項54の発明が講じた解決手段は、半
導体受光素子を、第1導電型の基板と、前記基板の上に
形成され、第2導電型の不純物拡散領域を有する活性層
とを備え、前記不純物拡散領域には低濃度拡散領域が形
成されておらず、且つ、該不純物拡散領域は3×1018
cm-3以上のキャリア濃度を有している構成とするもの
である。
【0123】請求項54の構成により、活性層の不純物
拡散領域には低濃度拡散領域が形成されていないため、
低濃度拡散領域による空乏層が発生しなくなる。さら
に、不純物拡散領域が3×1018cm-3以上の高濃度の
キャリア濃度を有しているため、高濃度拡散領域による
空乏層の広がりは大きくなる。
【0124】請求項55の発明が講じた解決手段は、半
導体受光素子の製造方法を、第1導電型の基板の上に活
性層と、該活性層を保護するエッチングストップ層とを
順次成長させる活性層成長工程と、第2導電型の不純物
拡散の拡散種が原料に供給され、前記エッチングストッ
プ層の上に、前記活性層における受光領域に前記拡散種
を拡散する不純物供給層を選択的に成長させる不純物供
給層成長工程と、前記不純物供給層に対して選択的にエ
ッチングを行なって該不純物供給層を除去するエッチン
グ工程とを備え、前記不純物供給層成長工程は、前記不
純物供給層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長
温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つ前記不純物供
給層の前記第1の結晶成長温度の成長条件における前記
拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給す
る成長条件で前記不純物供給層を成長させる構成とする
ものである。
【0125】請求項55の構成により、不純物供給層成
長工程において、不純物供給層の成長界面が鏡面状態と
なる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度
に設定されているため、半導体の原料の分解効率が低下
するので、不純物供給層における結晶格子の空孔の濃度
が上昇することになり、従って、不純物拡散濃度の飽和
濃度が上昇する。さらに、不純物供給層の第1の結晶成
長温度の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大き
い濃度に拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度
になるまで空孔に拡散種が捕獲されると共に格子間にも
拡散種が入り込むことになる。
【0126】請求項56の発明が講じた解決手段は、半
導体受光素子の製造方法を、第1導電型の基板の上に活
性層と、該活性層を保護するエッチングストップ層とを
成長させる活性層成長工程と、少なくともV族元素を含
む原料ガスに第2導電型の不純物拡散の拡散種を供給
し、前記エッチングストップ層の上に、前記活性層にお
ける受光領域に前記拡散種を拡散する不純物供給層を選
択的に成長させる不純物供給層成長工程と、前記不純物
供給層に対して選択的にエッチングを行なって該不純物
供給層を除去するエッチング工程とを備え、前記原料ガ
スの分圧を1×10-3Torr以下で且つ前記原料ガス
の分圧が1×10-3Torrを越える前記不純物供給層
の通常の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも
大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記不純物
供給層を成長させる構成とするものである。
【0127】請求項56の構成により、不純物供給層成
長工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr
以下に設定されているため、半導体の原料の分解効率が
低下するので、不純物供給層における結晶格子の空孔の
濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散濃度の
飽和濃度が上昇する。さらに、前記原料ガスの分圧が1
×10-3Torrを越える不純物供給層の成長条件にお
ける拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を供給
しているため、上昇した飽和濃度になるまで空孔に拡散
種が捕獲されることになる。
【0128】請求項57の発明が講じた解決手段は、接
合型の電界効果トランジスタを、基板上にチャネル層
と、前記チャネル層の上面部に該チャネル層とは導電型
が異なる第1及び第2の各不純物拡散領域がそれぞれ形
成され、前記第2の不純物拡散領域は、前記第1の不純
物拡散領域よりも前記チャネル層の内方に大きい構成と
するものである。
【0129】請求項57の構成により、第2の不純物拡
散領域は、第1の不純物拡散領域よりもチャネル層の上
面に対して垂直な方向に大きいため、第2の不純物拡散
領域の空乏層の広がりが大きいので、ディプレッション
型のトランジスタとして動作させることができる。
【0130】請求項58の発明が講じた解決手段は、接
合型の電界効果トランジスタを、基板上にチャネル層
と、前記チャネル層の上面部に該チャネル層とは導電型
が異なる第1及び第2の各不純物拡散領域がそれぞれ形
成され、前記第2の不純物拡散領域の不純物濃度は、前
記第1の不純物拡散領域の不純物濃度よりも大きい構成
とするものである。
【0131】請求項58の構成により、第2の不純物拡
散領域の不純物濃度は第1の不純物拡散領域の不純物濃
度よりも大きいため、ディプレッション型のトランジス
タとして動作させることができる。
【0132】請求項59の発明が講じた解決手段は、接
合型の電界効果トランジスタの製造方法を、基板の上に
チャネル層と、該チャネル層を保護するエッチングスト
ップ層とを順次成長させるチャネル層成長工程と、前記
エッチングストップ層の上に全面にわたって絶縁膜を堆
積し、該絶縁膜に対して選択的にエッチングを行なうこ
とにより、第1及び第2の不純物拡散形成領域をそれぞ
れ形成する不純物拡散形成領域形成工程と、前記チャネ
ル層と導電型が異なる不純物拡散の拡散種が原料に供給
され、前記エッチングストップ層の上における第1及び
第2の各不純物拡散形成領域に前記拡散種をそれぞれ拡
散する不純物供給層を選択的に成長させる不純物供給層
成長工程と、前記不純物供給層に対して選択的にエッチ
ングを行なって該不純物供給層を除去するエッチング工
程とを備え、前記不純物拡散形成領域形成工程は、前記
第2の不純物拡散形成領域のゲート長方向の幅を前記第
1の不純物拡散形成領域のゲート長方向の幅よりも小さ
くなるように形成する工程を含む構成とするものであ
る。
【0133】請求項59の構成により、不純物拡散形成
領域形成工程において、第2の不純物拡散形成領域のゲ
ート長方向の幅が第1の不純物拡散形成領域のゲート長
方向の幅よりも小さくなるように形成され、不純物供給
層成長工程において、エッチングストップ層の上におけ
る第1及び第2の各不純物拡散形成領域に拡散種をそれ
ぞれ拡散する不純物供給層を選択的に成長させるため、
エッチングストップ層の上で成長する不純物供給層は、
第1の不純物拡散形成領域に比べてゲート長方向に幅の
小さい第2の不純物拡散形成領域の方が結晶の成長速度
が速いので、拡散種が気相中に再蒸発しにくくなる。
【0134】請求項60の発明は、請求項59の構成
に、前記不純物供給層成長工程は、前記不純物供給層の
成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低
い第2の結晶成長温度で且つ前記不純物供給層の前記第
1の結晶成長温度の成長条件における前記拡散種の飽和
濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で
前記不純物供給層を成長させる構成を付加するものであ
る。
【0135】請求項61の発明は、請求項59の構成
に、前記不純物供給層成長工程は、前記原料ガスの分圧
を1×10-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分圧が
1×10-3Torrを越える前記不純物供給層の通常の
成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃
度に該拡散種を供給する成長条件で前記不純物供給層を
成長させる構成を付加するものである。
【0136】請求項62の発明が講じた解決手段は、半
導体レーザ装置を、クラッド層である基板上に形成さ
れ、レーザビームを放射する活性層と、前記基板の上に
おける、前記活性層の短辺方向の周縁部に形成されてお
り、前記活性層に注入されるキャリアの密度を高めるた
めの不純物が拡散された電流阻止層とを備え、前記電流
阻止層における前記不純物の拡散種が該電流阻止層の周
縁部にも存在している構成とするものである。
【0137】請求項62の構成により、電流阻止層にお
ける不純物の拡散種が電流阻止層の周縁部にも存在して
いるため、活性層からそれる無効電流を低減することが
できる。
【0138】請求項63の発明が講じた解決手段は、半
導体レーザ装置の製造方法を、第1導電型のクラッド層
である基板の上に活性層形成膜を成長させる活性層形成
膜成長工程と、前記活性層形成膜に対して選択的にエッ
チングを行なってストライプ状の活性層を形成する活性
層形成工程と、不純物拡散の拡散種が原料に供給され、
前記活性層の短辺方向の周縁部に、前記活性層に注入さ
れるキャリアの密度を高めるための電流阻止層を成長さ
せる電流阻止層成長工程と、前記活性層及び電流阻止層
の上に全面にわたって第2導電型のクラッド層を成長さ
せるクラッド層成長工程とを備え、前記電流阻止層成長
工程は、前記電流阻止層の成長界面が鏡面状態となる第
1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つ
前記電流阻止層の前記第1の結晶成長温度の成長条件に
おける前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散
種を供給する成長条件で前記電流阻止層を成長させ、前
記電流阻止層成長工程の後に、前記第1の結晶成長温度
で前記基板を加熱する構成とするものである。
【0139】請求項63の構成により、電流阻止層成長
工程において、電流阻止層の成長界面が鏡面状態となる
第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度に設
定されているため、半導体の原料の分解効率が低下する
ので、電流阻止層における結晶格子の空孔の濃度が上昇
することになり、従って、不純物拡散濃度の飽和濃度が
上昇する。さらに、電流阻止層の第1の結晶成長温度の
成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に
拡散種を供給しているため、上昇した飽和濃度になるま
で空孔に拡散種が捕獲されると共に格子間にも拡散種が
入り込むことになる。
【0140】また、熱処理工程において、電流阻止層を
該電流阻止層の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度
によって加熱するため、高濃度にドーピングされた電流
阻止層の格子間拡散種が、電流阻止層から該電流阻止層
の周縁部に鏡面状態となる結晶成長温度により決定され
る通常の飽和濃度になるまで拡散する。
【0141】請求項64の発明が講じた解決手段は、半
導体レーザ装置の製造方法を、第1導電型のクラッド層
である基板の上に活性層形成膜を成長させる活性層形成
膜成長工程と、前記活性層形成膜に対して選択的にエッ
チングを行なってストライプ状の活性層を形成する活性
層形成工程と、少なくともV族元素を含む原料ガスに不
純物拡散の拡散種を供給し、前記活性層の短辺方向の周
縁部に、前記活性層に注入されるキャリアの密度を高め
るための電流阻止層を成長させる電流阻止層成長工程
と、前記活性層及び電流阻止層の上に全面にわたって第
2導電型のクラッド層を成長させるクラッド層成長工程
とを備え、前記電流阻止層成長工程は、前記原料ガスの
分圧を1×10-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分
圧が1×10-3Torrを越える前記電流阻止層の通常
の成長条件の前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に
該拡散種を供給する成長条件で前記電流阻止層を成長さ
せ、前記電流阻止層成長工程の後に、結晶の成長界面が
鏡面状態となる結晶成長温度で前記基板を加熱する構成
とするものである。
【0142】請求項64の構成により、電流阻止層成長
工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr以
下に設定されているため、半導体の原料ガスの分解効率
が低下するので、電流阻止層における結晶格子の空孔の
濃度が上昇することになり、従って、不純物拡散濃度の
飽和濃度が上昇する。さらに、前記原料ガスの分圧が1
×10-3Torrを越える電流阻止層の成長条件におけ
る拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を供給し
ているため、上昇した飽和濃度になるまで空孔に拡散種
が捕獲されることになる。
【0143】また、熱処理工程において、電流阻止層を
該電流阻止層の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度
によって加熱するため、高濃度にドーピングされた電流
阻止層の格子置換型拡散種が、電流阻止層から該電流阻
止層の周縁部に鏡面状態となる結晶成長温度により決定
される通常の飽和濃度になるまで拡散する。
【0144】請求項65の発明が講じた解決手段は、利
得結合型の半導体レーザ装置を、第1導電型のクラッド
層である基板上に形成され、部分的に高濃度の不純物拡
散領域を有し、井戸層と障壁層とが交互に積層された活
性層と、前記活性層の上に形成され、該活性層を埋め込
む第2導電型のクラッド層とを備え、前記活性層には前
記不純物拡散領域が導波路方向に沿って10nm〜20
0nmの間隔に形成されている構成とするものである。
【0145】請求項65の構成により、活性層には不純
物拡散領域が導波路方向に沿って10nm〜200nm
の間隔に形成されているため、不純物拡散領域が単一縦
モード用の回折格子となる。
【0146】請求項66の発明が講じた解決手段は、量
子細線型の半導体レーザ装置を、第1導電型のクラッド
層である基板上に形成され、部分的に高濃度の不純物拡
散領域を有し、井戸層と障壁層とが交互に積層された活
性層と、前記活性層の上に形成され、該活性層を埋め込
む第2導電型のクラッド層とを備え、前記活性層には前
記不純物拡散領域が導波路方向に沿って10nm〜20
0nmの間隔に形成されている構成とするものである。
【0147】請求項66の構成により、井戸層と障壁層
とが交互に積層された活性層には前記不純物拡散領域が
導波路方向に沿って10nm〜200nmの間隔に形成
されているため、活性層の量子井戸構造は導波路方向に
沿った不純物により破壊されている。
【0148】請求項67の発明が講じた解決手段は、量
子細線型の半導体レーザ装置を、第1導電型のクラッド
層である基板上に形成され、部分的に高濃度の不純物拡
散領域を有する活性層と、前記活性層の上に形成され、
該活性層を埋め込む第2導電型のクラッド層とを備え、
前記活性層には前記不純物拡散領域が導波路方向に対し
て垂直な方向で且つ10nm〜200nmの間隔に形成
されている構成とするものである。
【0149】請求項67の構成により、井戸層と障壁層
とが交互に積層された活性層には前記不純物拡散領域が
導波路方向に沿って10nm〜200nmの間隔に形成
されているため、活性層の量子井戸構造は導波路方向に
対して垂直に形成された不純物により破壊されている。
【0150】請求項68の発明が講じた解決手段は、半
導体レーザ装置の製造方法を、第1導電型のクラッド層
である基板の上に井戸層と障壁層とが交互に積層された
量子井戸活性層形成膜を成長させる活性層形成膜成長工
程と、前記量子井戸活性層形成膜の上に全面にわたって
回折格子形成膜を成長させ、該回折格子形成膜の上面部
に多数の凹部又は凸部を有する回折格子を形成する回折
格子形成工程と、前記量子井戸活性層形成膜に対して選
択的にエッチングを行なってストライプ状の量子井戸活
性層を形成する量子井戸活性層形成工程と、前記量子井
戸活性層及び基板の上に全面にわたって第2導電型のク
ラッド層を成長させるクラッド層成長工程とを備え、前
記回折格子形成工程は、不純物拡散種を供給しながら前
記回折格子を加熱する熱処理工程を含む構成とするもの
である。
【0151】請求項68の構成により、回折格子形成工
程において、不純物拡散種を供給しながら回折格子を加
熱するため、回折格子形成膜の上面部に多数の凹部又は
凸部を有する回折格子が形成されているので、回折格子
形成膜の上面で反応する半導体の原料は回折格子の各凹
部に拡散しやすくなり、回折格子形成膜の各凸部に比べ
て回折格子の各凹部の拡散速度が速くなる。従って、回
折格子の各凹部に不純物濃度が大きい領域が形成される
ことになる。
【0152】請求項69の発明は、請求項68の構成
に、前記熱処理工程における加熱温度は、前記回折格子
形成膜の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度よりも
低い温度であり、前記クラッド層成長工程は、前記量子
井戸活性層形成膜の成長界面が鏡面状態となる結晶成長
温度で第2導電型のクラッド層を成長させる構成を付加
するものである。
【0153】請求項70の発明は、請求項68の構成
に、前記回折格子形成工程における前記回折格子形成膜
は少なくともV族元素を含む原料ガスを原料に含み、前
記熱処理工程における前記原料ガスの分圧は、1×10
-3Torr以下に設定される構成を付加するものであ
る。
【0154】請求項71の発明が講じた解決手段は、電
界効果トランジスタを、基板上に形成され、部分的に高
濃度の不純物拡散領域を有するチャネル層を備え、前記
チャネル層には前記不純物拡散領域がゲート長方向に沿
って10nm〜200nmの間隔に形成されている構成
とするものである。
【0155】請求項71の構成により、チャネル層には
不純物拡散領域がゲート長方向に沿って10nm〜20
0nmの間隔に形成されているため、チャネル層はゲー
ト長方向に延びる量子細線構造を有することになる。
【0156】請求項72の発明が講じた解決手段は、変
調ドープ型の半導体レーザ装置を、第1導電型のクラッ
ド層である基板上に形成され、井戸層と障壁層とが交互
に積層され、該障壁層に高濃度の不純物がドーピングさ
れた変調ドープ活性層と、前記変調ドープ活性層の上に
形成された第2導電型の拡散抑制層と、前記拡散抑制層
の上に形成された第2導電型のクラッド層とを備え、前
記拡散抑制層の不純物濃度は飽和濃度のほぼ2分の1で
ある構成とするものである。
【0157】請求項72の構成により、変調ドープ活性
層の上に形成された拡散抑制層の不純物濃度を飽和濃度
のほぼ2分の1としているため、第2導電型のクラッド
層が形成される際に、第2導電型のクラッド層から変調
ドープ活性層に向かって拡散する格子間拡散種を取り込
むことができる。
【0158】請求項73の発明が講じた解決手段は、変
調ドープ型の半導体レーザ装置の製造方法を、第1導電
型のクラッド層である基板の上に複数の井戸層と高濃度
の不純物がドーピングされた障壁層とを交互に積層した
変調ドープ活性層形成膜を成長させる変調ドープ活性層
形成膜成長工程と、前記変調ドープ活性層形成膜に対し
て選択的にエッチングを行なってストライプ状の変調ド
ープ活性層を形成する変調ドープ活性層形成工程と、不
純物拡散の拡散種が原料に供給され、前記変調ドープ活
性層の上に、前記変調ドープ活性層に拡散する格子間拡
散種を抑制する拡散抑制層を成長させる拡散抑制層成長
工程と、前記拡散抑制層の上に全面にわたって第2導電
型のクラッド層を成長させるクラッド層成長工程とを備
え、前記拡散抑制層成長工程は、前記拡散抑制層の成長
界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第
2の結晶成長温度で前記拡散抑制層を成長させる構成と
するものである。
【0159】請求項73の構成により、拡散抑制層成長
工程において、拡散抑制層の成長界面が鏡面状態となる
第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度に設
定されるため、半導体の原料の分解効率が低下するの
で、拡散抑制層における結晶格子の空孔の濃度が上昇す
ることになる。
【0160】請求項74の発明が講じた解決手段は、変
調ドープ型の半導体レーザ装置の製造方法を、第1導電
型のクラッド層である基板の上に複数の井戸層と高濃度
の不純物がドーピングされた障壁層とを交互に積層した
変調ドープ活性層形成膜を成長させる変調ドープ活性層
形成膜成長工程と、前記変調ドープ活性層形成膜に対し
て選択的にエッチングを行なってストライプ状の変調ド
ープ活性層を形成する変調ドープ活性層形成工程と、少
なくともV族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散種
を供給し、前記変調ドープ活性層の上に、前記変調ドー
プ活性層に拡散する格子間拡散種を抑制する拡散抑制層
を成長させる拡散抑制層成長工程と、前記拡散抑制層の
上に全面にわたって第2導電型のクラッド層を成長させ
るクラッド層成長工程とを備え、前記拡散抑制層成長工
程は、前記原料ガスの分圧を1×10-3Torr以下の
成長条件で前記拡散抑制層を成長させる構成とするもの
である。
【0161】請求項74の構成により、拡散抑制層成長
工程において、原料ガスの分圧が1×10-3Torr以
下に設定されるため、半導体の原料ガスの分解効率が低
下するので、拡散抑制層における結晶格子の空孔の濃度
が上昇することになる。
【0162】請求項75の発明は、請求項73又は74
の構成に、前記拡散抑制層成長工程は、前記不純物拡散
の拡散種が結晶の成長界面が鏡面状態となる通常の結晶
成長条件における飽和濃度のほぼ2分の1になるように
供給される構成を付加するものである。
【0163】
【発明の実施の形態】まず、結晶体における拡散の基本
概念を説明すると、高濃度拡散とは、拡散種が結晶を構
成する原子が欠けた空孔を次々に置換して移動する現象
であり、低濃度拡散とは、空孔と結びつかない拡散種が
結晶内の格子間を移動する現象である。以後、前者を格
子置換型拡散種と呼び、後者を格子間拡散種と呼ぶこと
にする。 なお、高濃度拡散の飽和濃度とは、所定の条
件下において、空孔が格子置換型拡散種によってすべて
置換されている状態と考えても差し支えがない。
【0164】これにより、高濃度の不純物拡散を行なう
には空孔の濃度を高くすればよいことが分かる。
【0165】III-V族元素よりなる化合物半導体を例に
とると、拡散工程において以下の論理が成り立つ。
【0166】1.結晶を構成する原子の空孔、例えば、
V族元素の空孔濃度を高める。
【0167】2.1はV族元素の分圧を下げることによ
り実現できる。
【0168】3.2はV族元素を含む原料ガスの分解効
率を下げるか、または原料ガスの流量を減らすかするこ
とにより実現できる。
【0169】4.3は結晶成長温度を下げるか、または
V族元素を含む原料ガスの流量を下げるかすることによ
り実現できる。
【0170】従って、本発明は、前記の項目番号4.を
実施し、V族元素の空孔濃度を高めることにより、高濃
度に不純物が拡散した半導体結晶体が得られると共に、
該半導体結晶体を用いた固相拡散を制御して、表面状態
の良好な高濃度の半導体結晶体を得られるようにする。
【0171】以下、不純物拡散領域の制御性を説明する
ために、結晶成長温度と拡散種の供給量と拡散距離との
関係を図面に基づいて説明する。
【0172】(第1の実施形態)第1の実施形態におい
ては、成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度と
しての通常の結晶成長温度に設定し、拡散種の供給量を
変化させた場合の拡散距離を測定する。
【0173】図1は本発明の第1の実施形態に係る半導
体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は結晶成
長直後の半導体結晶体の構成断面図、(b)は拡散後の
半導体結晶体の構成断面図、及び(c)は不純物濃度プ
ロファイルを示したグラフである。なお、本実施形態に
おいては、III-V族元素よりなる化合物半導体としてI
nP(インジウムリン)を用い、不純物の拡散種として
p型のドーパントであるZn(亜鉛)を用いた。他の実
施形態においても同様である。
【0174】図1(a)において、11はSn(スズ)
がドープされたInPよりなる基板、12は第1の半導
体結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンド
ープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPより
なり厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方
向は基板11からZnドープ層13に向かう方向であ
る。
【0175】以下、アンドープ層12及びZnドープ層
13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0176】まず、半導体の原料として、III 族元素を
含む有機金属からなる化合物にTMIn(トリメチルイ
ンジウム)及びV族元素を含む化合物にPH3 (ホスフ
ィン)を用い、不純物拡散種の原料としてII族元素のZ
nを含む有機金属からなる化合物であるDMZn(ジメ
チル亜鉛)を用いた。
【0177】気相成長法としてMOVPE法を用い、半
導体結晶の成長界面に鏡面状態が得られる成長温度であ
る通常の600℃に結晶成長温度を設定しておいて、基
板11の上に厚さが2μmのアンドープ層12と、アン
ドープ層12の上に1×1018cm-3の濃度の拡散種Z
nをドープした厚さが1μmのZnドープ層13とを順
次成長させた。
【0178】Znドープ層13のZn濃度として、他に
2×1018cm-3の場合と5×1018cm-3の場合とを
実験した。
【0179】次に、図1(b)に示すように、Znドー
プ層13とアンドープ層12の界面からアンドープ層1
2に拡散種であるZnが拡散することにより、アンドー
プ層12中に界面からの深さ1μmの高濃度領域12a
と高濃度領域12aよりも下方(図中においては右方を
示す。以下同じ。)に厚さが0.8μmの低濃度領域1
2bが形成された。
【0180】図1(c)は2次イオン質量分析(SIM
S)法を用いたZn濃度プロファイルを示している。拡
散種Znが5×1018cm-3の濃度で供給された場合の
直線101に示すように、アンドープ層12における高
濃度領域のZn濃度は2×1018cm-3でアンドープ層
12とZnドープ層13との界面からの高濃度拡散距離
Dsは1μmとなり、アンドープ層12における低濃度
領域のZn濃度は0.5×1018cm-3でありアンドー
プ層12とZnドープ層13との界面からの低濃度拡散
距離Diは1.8μmとなる。
【0181】このように、結晶成長温度が通常の600
℃の場合には、拡散種Znの取り込み量がInPにおけ
る拡散種Znの通常の成長条件下の飽和濃度である2×
1018cm-3を越える場合には低濃度領域が形成される
ことが分かる。
【0182】一方、拡散種Znが1×1018cm-3で供
給された場合の直線102に示すように、Zn濃度は供
給量と同程度であって飽和濃度以下となり拡散は観測さ
れなかった。
【0183】同様に、拡散種Znが2×1018cm-3
供給された場合の直線103に示すように、Zn濃度は
供給量と同値の飽和濃度となり拡散は観測されなかっ
た。
【0184】図2はZnドープ層13へのZn供給量に
対するアンドープ層12の高濃度領域の拡散距離Ds及
び低濃度領域の拡散距離Diを表わしている。拡散種Z
nの供給量が2×1018cm-3を越えると拡散が発生
し、拡散種Znの供給量が増加するにつれて拡散距離が
増大している。
【0185】これにより、結晶成長温度(=Tg)が6
00℃の場合は、Znドープ層13に対する拡散種Zn
の供給量によって界面からの拡散距離を制御できること
がわかる。
【0186】(第2の実施形態)第2の実施形態は、拡
散種の供給量を結晶の成長界面に鏡面状態が得られる第
1の結晶成長温度の成長条件における飽和濃度以上に設
定し、この通常の第1の結晶成長温度の場合と、第1の
結晶成長温度よりも低く成長界面に鏡面状態が得られな
い第2の結晶成長温度としての非鏡面成長温度の場合と
の拡散距離をそれぞれ測定する。
【0187】以下、第1の結晶成長温度を通常の結晶成
長温度と呼び、第2の結晶成長温度を非鏡面成長温度と
呼ぶことにする。
【0188】図3は本発明の第2の実施形態に係る半導
体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後
の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はSIMS
法による不純物濃度プロファイルを示したグラフであ
る。
【0189】図3(a)において、11はSnがドープ
されたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層
としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、
13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さ
が1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板
11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0190】以下、アンドープ層12及びZnドープ層
13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0191】まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度であ
る420℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2
μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上に5
×1018cm-3の濃度の拡散種Znを供給しながら厚さ
が1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0192】図3(b)には比較のために結晶成長温度
が通常の600℃の場合の結果も示している。Csは格
子置換型拡散種の濃度を表わし、Ciは格子間拡散種の
濃度を表わしている。前記第1の実施形態において説明
したように、結晶成長温度を600℃に設定して成長さ
せた場合の直線104に示すように、アンドープ層12
における高濃度領域のZn濃度は2×1018cm-3であ
りアンドープ層12とZnドープ層13との界面からの
拡散距離は1μmとなり、アンドープ層12における低
濃度領域のZn濃度は0.5×1018cm-3でありアン
ドープ層12とZnドープ層13との界面からの拡散距
離は1.8μmとなる。
【0193】一方、結晶成長温度を420℃に設定して
成長させた場合の直線105に示すように、Znドープ
層13のZn濃度は4×1018cm-3となると共に、ア
ンドープ層12中の高濃度領域12aのZn濃度も4×
1018cm-3となりアンドープ層12とZnドープ層1
3との界面からの拡散距離は0.4μmとなった。アン
ドープ層12には低濃度領域は形成されず、Zn濃度は
高濃度領域とアンドープとの境界で急峻に変化してい
る。
【0194】図4は高濃度領域のZn濃度の成長温度依
存性を表わしている。横軸はアンドープ層12及びZn
ドープ層13の結晶成長温度であり、縦軸はアンドープ
層12中のZn拡散濃度である。Csmaxは所定の成長温
度におけるアンドープ層12の格子置換型拡散種の最大
置換量であり、CznはZnドープ層13のZn取り込み
量である。
【0195】図4はZnドープ層13に濃度Cznの拡散
種Znがドープされた場合に、アンドープ層12に対し
てどれだけの量の拡散種Znが拡散するかを示してい
る。結晶成長温度を500℃以上に上げていくと、Zn
ドープ層13の拡散種Znの飽和濃度が減少すると共
に、アンドープ層12に拡散するZn濃度も減少する。
逆に、結晶成長温度を500℃以下にすると、アンドー
プ層12の拡散種Znの飽和濃度が上昇し、結晶成長温
度を400℃とした場合にはアンドープ層12の拡散種
Znの飽和濃度は5×1018cm-3以上に増大する。
【0196】これにより、結晶成長温度によってアンド
ープ層12における拡散種Znの飽和濃度を制御するこ
とができる。
【0197】(第3の実施形態)第3の実施形態は、拡
散種の供給量を通常の成長条件における飽和濃度以上に
設定し、成長界面が鏡面状態となる通常の結晶成長温度
の場合と、通常の結晶成長温度よりも低い非鏡面成長温
度の場合との拡散距離をそれぞれ測定する。
【0198】前記第2の実施形態においては拡散濃度の
温度依存性を説明したが、本実施形態においては拡散距
離の温度依存性を説明する。
【0199】図5は本発明の第3の実施形態に係る半導
体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後
の半導体結晶体の構成断面図、(b)はSIMS法によ
る不純物濃度プロファイルを示したグラフである。
【0200】図5(a)において、11はSnがドープ
されたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層
としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、
13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さ
が1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板
11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0201】以下、アンドープ層12及びZnドープ層
13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0202】まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の4
50℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μm
のアンドープ層12と、アンドープ層12の上に7×1
18cm-3の濃度の拡散種Znを供給しながら厚さが1
μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0203】図5(b)に示すように、結晶成長温度を
450℃に設定して成長させた場合の直線106に示す
ように、アンドープ層12の高濃度領域のZn濃度は3
×1018cm-3でありアンドープ層12とZnドープ層
13との界面からの拡散距離は0.4μmとなった。結
晶成長温度が通常の600℃の場合の直線107に示す
ように、高濃度領域のZn濃度は2×1018cm-3で拡
散距離は1μmとなり、低濃度領域のZn濃度は0.5
×1018cm-3で拡散距離は1.8μmとなる。Dsは
高濃度拡散距離を表わし、Diは低濃度拡散距離を表わ
している。
【0204】図6は高濃度領域及び低濃度領域の各拡散
距離の成長温度依存性を表わしている。図6に示すよう
に、結晶成長温度が400℃から500℃までの間は温
度が上昇するにつれて高濃度拡散距離Dsが増加し、結
晶成長温度が500℃を越えると低濃度領域が発生する
ため、低濃度拡散距離距離Diが高濃度拡散距離Dsよ
りも大きくなる。
【0205】これにより、結晶成長温度によってアンド
ープ層12における拡散種Znの拡散距離を制御するこ
とができる。
【0206】ここで、拡散種をZnとする拡散領域を微
視的に観察すると、高濃度拡散距離DsはZn原子より
なる格子置換型拡散種の拡散距離であり、低濃度拡散距
離DiはZn原子よりなる格子間拡散種の拡散距離であ
る。また、低濃度領域はZn原子よりなる格子間原子で
構成され、高濃度領域はZn原子よりなる置換型原子に
より構成されている。高濃度領域においては、空孔の拡
散が速く、格子間原子の拡散が遅い。逆に、低濃度領域
においては、格子間原子の拡散の方が空孔の拡散よりも
速いので、空孔が拡散した領域までが高濃度領域とな
り、空孔が拡散していない格子間原子のみの領域が低濃
度領域となる。
【0207】従って、結晶成長温度が500℃よりも低
い場合は、空孔の拡散速度が大きいため、正常な結晶構
造が得られないので、成長界面が鏡面状態にはなり得な
い。これにより、非鏡面成長温度により成長した高不純
物濃度を有するZnドープ層13から、拡散種Znが固
相拡散するアンドープ層12の拡散領域には、格子間に
位置する拡散種のみからなる低濃度拡散領域が存在しな
いことが分かる。
【0208】(第4の実施形態)第4の実施形態は、結
晶成長温度と拡散種の供給量とを変化させた場合の拡散
濃度の変化を測定する。
【0209】図7は本発明の第4の実施形態に係る半導
体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後
の半導体結晶体の構成断面図、(b)は拡散種の供給量
と不純物濃度との関係を表わすグラフである。
【0210】図7(a)において、11はSnがドープ
されたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層
としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、
13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さ
が1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板
11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0211】以下、アンドープ層12及びZnドープ層
13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0212】まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の4
20℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μm
のアンドープ層12と、アンドープ層12の上に拡散種
Znを供給しながら厚さが1μmのZnドープ層13と
を順次成長させた。さらに、比較のために、結晶成長温
度を通常の600℃に設定した場合も測定した。
【0213】図7(b)において、横軸は拡散種Znの
供給量を表わし、縦軸はアンドープ層12に拡散される
拡散種Znの濃度を表わす。また、Znsは格子置換型
拡散種であり、Zniは格子間拡散種である。図7
(b)に示すように、拡散種Znの供給量が増えるにつ
れて、格子置換型拡散種Znsの濃度もほぼ比例して増
えていく。さらに拡散種Znの供給量を増やしていき、
結晶成長温度によって決まる結晶の飽和濃度に達すると
格子置換型拡散種Znsの濃度は飽和する。
【0214】結晶成長温度を非鏡面温度の420℃に設
定した場合の曲線108Aは約5×1018cm-3となる
濃度で飽和に達し、結晶成長温度を通常の600℃に設
定した場合の曲線109Aは約2×1018cm-3となる
濃度で飽和に達する。
【0215】曲線108Aが飽和濃度に達すると曲線1
08Bに示す格子間拡散種Zniが発生し始め、同様
に、曲線109Aが飽和濃度に達すると曲線109Bに
示す格子間拡散種Zniが発生し始める。
【0216】図7に示すように、結晶成長温度を500
℃以下の低温にして成長させた場合は、V族元素の空孔
濃度が上昇するため、格子置換型拡散種Znsの濃度の
増加量は500℃以上の温度にして成長させた場合に比
べて大きな値をとる。
【0217】これにより、結晶成長温度と拡散種Znの
供給量とによって格子置換型拡散種Znsの濃度及び格
子間拡散種Zniの濃度を制御することができる。
【0218】(第5の実施形態)第5の実施形態は、第
2の半導体結晶層であるZnドープ層における拡散種の
取り込み量とホール濃度との関係を測定する。
【0219】図8は本発明の第5の実施形態に係る半導
体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散後
の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はZnドー
プ層の拡散種の取り込み量とホール濃度との関係を表わ
すグラフであり、(c)は拡散種の取り込み量と拡散濃
度との関係を表わすグラフである。
【0220】図8(a)において、11はSnがドープ
されたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶層
としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ層、
13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり厚さ
が1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は基板
11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0221】以下、アンドープ層12及びZnドープ層
13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0222】まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の4
20℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μm
のアンドープ層12と、アンドープ層12の上に拡散種
Znを5×1018cm-3の濃度で供給しながら厚さが1
μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0223】図8(b)はVDP(van der P
auw)法により測定したZnドープ層13におけるホ
ール濃度のZn取り込み量依存性を示している。ホール
濃度はZn取り込み量が増すにつれて増加するが、Zn
取り込み量が3×1018cm-3に達したときにホール濃
度も3×1018cm-3程度となり、さらにZn取り込み
量を増加させると逆にホール濃度は低下した。
【0224】これは、図8(c)に示すように、Znド
ープ層13のZnの取り込み量を3×1018cm-3以上
に増やした場合は、格子間拡散種Zniが発生するため
である。結晶格子の空孔に位置する格子置換型拡散種Z
nsはホールとして作用し、格子間に位置するZniは
ドナーとして作用するため、Zniによりホールが補償
されるので、ホール濃度が低下することになる。従っ
て、拡散種Znの飽和濃度は420℃の成長温度におい
ては5×1018cm-3であるのに対し、ホール濃度はZ
niが発生するため、3×1018cm-3の濃度で飽和し
てしまう。
【0225】このホール濃度の低下を抑制するには、Z
nドープ層13からアンドープ層12に格子間拡散種Z
niを拡散させることによって除去すればよい。
【0226】すなわち、図9(a)に示すように、通常
の結晶成長温度である600℃に図8(a)に示す結晶
体に対して5分間程度の熱処理を行なうことにより、Z
nドープ層13の格子間拡散種Zniはアンドープ層1
2の高濃度領域12aに拡散除去される。
【0227】図9(b)に示すように、熱処理前には拡
散種Znの濃度が3×1018cm-3になると飽和してい
たのに対し、5×1018cm-3までホール濃度を向上さ
せることができる。
【0228】これにより、600℃の熱処理によってホ
ール濃度の低下を緩和することができるため、拡散種Z
nの飽和濃度と同程度のホール濃度を得ることができ
る。
【0229】(第6の実施形態)第6の実施形態は、Z
nドープ層の上にも第2のアンドープ層を成長した後、
通常の結晶成長温度により熱処理を行なって、第2のア
ンドープ層にも固相拡散を行なう。
【0230】図10は本発明の第6の実施形態に係る半
導体結晶体の断面図及び結晶成長温度プロファイルであ
って、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面
図であり、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図
であり、(c)は半導体結晶体の結晶成長温度プロファ
イルである。
【0231】図10(a)において、11はSnがドー
プされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶
層としてのInPよりなり厚さが2μmの第1のアンド
ープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPより
なり厚さが1μmのZnドープ層、14は第3の半導体
結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmの第2のア
ンドープ層である。結晶の成長方向は基板11から第2
のアンドープ層14に向かう方向である。
【0232】以下、本実施形態に係る半導体結晶体の結
晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0233】まず、結晶成長温度を非鏡面成長温度の4
50℃に設定しておいて、基板11の上に厚さが2μm
の第1のアンドープ層12と、第1のアンドープ層12
の上に拡散種Znを4×1018cm-3の濃度で供給しな
がら厚さが1μmのZnドープ層13と、Znドープ層
13の上に厚さが2μmの第2のアンドープ層14とを
順次成長させた。
【0234】次に、図10(b)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に昇温し、V族元素のAs(ヒ
素)雰囲気中において半導体結晶体に30分間の熱処理
を行なうと、Znドープ領域15がZnドープ層13と
第1のアンドープ層12の界面から第1のアンドープ層
12に拡散して形成されると共に、Znドープ層13と
第2のアンドープ層14の界面から第2のアンドープ層
14にも拡散して形成される。
【0235】Znドープ層13のZn濃度は3×1018
cm-3となり、第1のアンドープ層12及び第2のアン
ドープ層14のZns濃度はともに2×1018cm-3
拡散深さは0.5μmとなった。また、第1のアンドー
プ層12及び第2のアンドープ層14の各高濃度領域の
先に低濃度領域が0.2μmの厚さに形成された。
【0236】これは、Znドープ層13中に存在してい
た格子間拡散種Zniが温度上昇により第1のアンドー
プ層12及び第2のアンドープ層14に拡散したためで
ある。
【0237】これにより、図10(c)に示すように、
結晶成長工程110において結晶の成長界面に鏡面状態
が得られない非鏡面成長温度に設定してZn供給層であ
るZnドープ層13を成長し、その後、熱処理工程11
1において半導体結晶体を加熱することにより、Znド
ープ層13から第1のアンドープ層12のみならず第2
のアンドープ層14にも拡散種Znが拡散した半導体結
晶体を得ることができる。
【0238】(第7の実施形態)前記第1〜6の各実施
形態は、結晶成長温度を下げることによりV族元素の空
孔濃度を高めることを行なったが、本実施形態はもう1
つの条件であるV族元素を含む原料ガスの流量を下げ、
V族元素の分圧を下げることによりV族元素の空孔濃度
を高め、高濃度拡散を行なう。
【0239】図11は本発明の第7の実施形態に係る半
導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散
後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はV族元
素を含む原料ガスの分圧、拡散濃度及び拡散種の供給量
の関係を表わすグラフである。
【0240】図11(a)において、11はSnがドー
プされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶
層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ
層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり
厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は
基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0241】以下、アンドープ層12及びZnドープ層
13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0242】まず、結晶成長温度を通常の600℃に、
V族元素を含む原料ガスであるPH3 の分圧を1×10
-3Torr以下にそれぞれ設定し、基板11の上に厚さ
が2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上
に拡散種Znを4×1018cm-3の濃度で供給しながら
厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0243】図11(b)に示すように、Znドープ層
13とアンドープ層12との界面からアンドープ層12
に固相拡散する際の格子置換型拡散種の拡散濃度Cs は
PH3 の分圧に依存する。
【0244】すなわち、Znドープ層13のZn取り込
み量Cznが2×1018cm-3以下の場合は、拡散濃度C
s はZn取り込み量Cznと同程度の値を示し、Znドー
プ層13のZn取り込み量Cznが2×1018cm-3以上
の場合は、拡散種ZnのInPにおける飽和濃度がPH
3 分圧の低下にともなって上昇する。その結果、PH3
分圧を1×10-5Torr以下まで下げた場合には、結
晶成長温度が通常の600℃のままであっても4×10
18cm-3の高濃度のZn濃度が得られた。
【0245】Zn濃度や拡散距離を結晶成長温度により
制御する場合は、結晶成長温度が安定するまでに5分程
度の時間が必要となるが、原料ガスの圧力を変化させる
ことはほとんど瞬間的に実施できるため、結晶成長時間
の短縮や結晶に与えるダメージの低減等のメリットがあ
る。
【0246】これにより、V族元素を含む原料ガスであ
るPH3 の分圧を変化させることによりアンドープ層1
2に対する拡散種Znの飽和濃度を制御することができ
る。
【0247】(第8の実施形態)第8の実施形態は、拡
散種の供給量を通常の成長条件における飽和濃度以上に
設定し、V族元素を含む原料ガスの分圧と拡散距離との
関係を測定する。
【0248】図12は本発明の第8の実施形態に係る半
導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は拡散
後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)はV族元
素を含む原料ガスの分圧と拡散距離との関係を表わすグ
ラフである。
【0249】図12(a)において、11はSnがドー
プされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶
層としてのInPよりなり厚さが2μmのアンドープ
層、13は第2の半導体結晶層としてのInPよりなり
厚さが1μmのZnドープ層である。結晶の成長方向は
基板11からZnドープ層13に向かう方向である。
【0250】以下、アンドープ層12及びZnドープ層
13の結晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0251】まず、結晶成長温度を通常の600℃に、
V族元素を含む原料ガスであるPH3 の分圧を1×10
-3Torr以下にそれぞれ設定し、基板11の上に厚さ
が2μmのアンドープ層12と、アンドープ層12の上
に拡散種Znを、PH3 の分圧が1×10-3Torrを
越える成長条件における飽和濃度の2×1018cm-3
りも大きな3×1018cm-3の濃度で供給しながら厚さ
が1μmのZnドープ層13とを順次成長させた。
【0252】この結果、図12(a)に示すように、ア
ンドープ層12とZnドープ層13との界面からの拡散
距離が1μmの高濃度領域12a及び該界面からの拡散
距離1.8μmの低濃度領域12bが形成される。
【0253】図12(b)に高濃度領域12aの拡散距
離Ds及び低濃度領域の拡散距離DiのPH3 分圧依存
性を示す。図12(b)に示すように、格子置換型拡散
種Znsの拡散距離DsはPH3 の分圧が上昇するにつ
れて減少するのに対して、格子間拡散種Zniの拡散距
離DiはPH3 の分圧が上昇するにつれて増大する。
【0254】これは、拡散種Znの取り込み量が3×1
18cm-3の場合は、PH3 の分圧が5×10-5Tor
r以上である場合は、格子間拡散種Zniを格子置換型
拡散種Znsとするのに十分な空孔が供給されなくなる
ため、格子間拡散種Zniが発生するからである。PH
3 の分圧が上昇するほど、導入される空孔の数が減少す
るため、格子置換型拡散種Znsの濃度も減少するの
で、格子間拡散種Zniの濃度が増大することになる。
その結果、格子間拡散種Zniの拡散距離Diが増大す
る。
【0255】これにより、格子置換型拡散種Zns及び
格子間拡散種Zniの拡散距離をPH3 の分圧により制
御することができる。
【0256】(第9の実施形態)第9の実施形態は、Z
nドープ層の上にも第2のアンドープ層を成長させた
後、通常のPH3 の分圧に戻す処理を行なって、第2の
アンドープ層にも固相拡散を行なう。
【0257】図13は本発明の第9の実施形態に係る半
導体結晶体の断面図及びPH3 分圧のプロファイルであ
って、(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面
図であり、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図
であり、(c)は半導体結晶体の成長工程のPH3 分圧
プロファイルである。
【0258】図13(a)において、11はSnがドー
プされたInPよりなる基板、12は第1の半導体結晶
層としてのInPよりなり厚さが2μmの第1のアンド
ープ層、13は第2の半導体結晶層としてのInPより
なり厚さが1μmのZnドープ層、14は第3の半導体
結晶層としてのInPよりなり厚さが2μmの第2のア
ンドープ層である。結晶の成長方向は基板11から第2
のアンドープ層14に向かう方向である。
【0259】以下、本実施形態に係る半導体結晶体の結
晶成長方法及び拡散方法を説明する。
【0260】まず、結晶成長温度を通常の600℃に、
PH3 の分圧を通常よりも低圧の1×10-5Torrに
それぞれ設定しておいて、基板11の上に厚さが2μm
の第1のアンドープ層12と、第1のアンドープ層12
の上に拡散種Znを4×1018cm-3の濃度で供給しな
がら厚さが1μmのZnドープ層13とを順次成長させ
た後、PH3 の分圧を通常の1×10-2Torrにまで
昇圧してZnドープ層13の上に厚さが2μmの第2の
アンドープ層14を連続して成長させた。
【0261】この結果、図13(b)に示すように、Z
nドープ領域15がZnドープ層13と第1のアンドー
プ層12の界面から第1のアンドープ層12に拡散して
形成されると共に、Znドープ層13と第2のアンドー
プ層14の界面から第2のアンドープ層14にも拡散し
て形成される。
【0262】Znドープ層13のZn濃度は3×1018
cm-3となり、第1のアンドープ層12及び第2のアン
ドープ層14の格子置換型拡散種Znsの濃度はともに
2×1018cm-3で拡散深さは0.5μmとなった。ま
た、第1のアンドープ層12には低濃度領域は確認され
なかった。
【0263】これは、PH3 の分圧が低下するのに応じ
てV族の空孔濃度が上昇するため、600℃の高温でも
拡散種Znは置換位置に存在するので、拡散種Znの飽
和濃度が4×1018cm-3以上の高濃度となるのに対し
て、PH3 の分圧が上昇した場合には、V族の空孔濃度
が減少するため、置換位置に存在していた格子置換型拡
散種Znsが放出されて格子間位置に移動する格子間拡
散種Zniとなるためである。
【0264】さらに、第1のアンドープ層12に低濃度
領域が形成されないのは、第1のアンドープ層12が低
圧で成長したため、結晶内に高濃度のV族の空孔が存在
するので、Znドープ層13から第1のアンドープ層1
2に拡散してきた格子間拡散種Zniがすぐに格子置換
型拡散種Znsとなるからである。
【0265】これにより、通常よりもPH3 の分圧を低
く設定して、拡散種Znの供給層であるZnドープ層1
3を成長させた後、通常のPH3 の分圧に再設定して第
2のアンドープ層14を成長させることにより、Znド
ープ層13から第1のアンドープ層12のみならず第2
のアンドープ層14にも拡散種Znが拡散した半導体結
晶体を得ることができる。
【0266】(第10の実施形態)前記第1〜9の各実
施形態は、V族元素の空孔濃度を高めることにより不純
物の拡散濃度を高めるようにしたが、本実施形態は観点
を変え、拡散種が結晶体から再蒸発するのを抑制するこ
とにより不純物の拡散濃度を高めている。
【0267】具体的には、基板の上に半導体結晶を選択
的に成長させるものである。以後、選択的に成長する半
導体結晶を選択成長による半導体結晶と呼ぶ。
【0268】図14は本発明の第10の実施形態に係る
半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は選
択成長前の基板の構成断面図であり、(b)は選択成長
後の半導体結晶体の構成断面図であり、(c)は基板上
に成長した各結晶の膜厚比と拡散濃度比との関係を表わ
すグラフである。
【0269】以下、選択成長による高不純物濃度の半導
体結晶体の結晶成長方法を説明する。
【0270】まず、図14(a)に示すように、Snが
ドープされたInPよりなる基板11の上に、選択成長
用のマスクとなるSiN(窒化シリコン)膜を全面に堆
積した後、SiN膜に対してエッチングを行なって、短
辺方向の開口幅が5μmの選択成長領域11aとなるス
トライプ状の開口部、及び開口幅が1mmの方形の通常
の成長領域11bとなる比較のための開口部を有するマ
スクパターン16を形成する。11c及び11dはマス
ク領域であって、マスク領域11cの幅は30μmであ
る。
【0271】次に、図14(b)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に、拡散種Znの不純物濃度を
0.5×1018cm-3にそれぞれ設定し、基板11上に
半導体結晶を成長させた。基板11上のマスク領域11
c及び11dの上には結晶は成長しないが、選択成長領
域11aには、厚さが2μmで2×1018cm-3の濃度
の高濃度結晶層17が形成され、通常の成長領域11b
には、厚さが1μmで0.5×1018cm-3の濃度の低
濃度結晶層19が形成される。
【0272】選択成長領域11aの厚さが通常の成長領
域11bの厚さよりも大きくなるのは、基板11上のマ
スク領域11c及び11d上に結晶成長が進まないた
め、開口幅の小さい選択成長領域11aに成長種の供給
が増大するので、結晶の成長速度が通常の成長領域11
bに比べて速くなるからである。
【0273】また、選択成長領域11aのZn濃度が通
常の成長領域11bのZn濃度よりも大きいのは、拡散
種Znの結晶内への取り込み量がZnの供給量とZnの
結晶からの離脱量とのバランスにより決定されているた
めであり、選択成長領域11aにおいては成長種の供給
が増大しているためZnの取り込み量が増大するが、Z
nの結晶からの離脱量は温度の関数として与えられるの
で、その結果、Znの結晶内への取り込み量が増大する
ことになる。
【0274】通常の成長領域11bの膜厚d1 に対する
選択成長領域11aの膜厚d2 の比を膜厚比d2 /d1
とすると、膜厚比d2 /d1 は、マスク領域11c及び
11dを大きくするほど増大し、また、選択成長領域1
1aを小さくするほど増大する。
【0275】図14(c)は通常の成長領域11bのZ
n濃度C1 に対する選択成長領域11aのZn濃度C2
の比をZn濃度比C2 /C1 として、各成長領域の膜厚
比d2 /d1 とZn濃度比C2 /C1 との関係を表わし
たグラフである。図14(c)に示すように、膜厚比d
2 /d1 が増大するほどZn濃度比C2 /C1 が増大し
ていることが分かる。
【0276】これにより、選択成長領域11aの開口幅
が減少することにより膜厚比d2 /d1 が増大し、さら
に、選択成長領域11aの膜厚比d2 /d1 が増大する
ことによりZn濃度比C2 /C1 が増大するという関係
を得ることができる。
【0277】(第11の実施形態)前記第10の実施形
態は、選択成長における、拡散種が結晶体から再蒸発す
るのを抑制することにより高不純物濃度を有する半導体
結晶体を求めたが、本実施形態においては、高不純物層
からの固相拡散に着目する。
【0278】図15は本発明の第11の実施形態に係る
半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は選
択成長後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は
基板上に成長した各結晶の膜厚比と拡散濃度比との関係
を表わすグラフであり、(c)は基板上に成長した各結
晶の膜厚比と拡散距離との関係を表わすグラフである。
【0279】図15(a)において、Snがドープされ
たInPよりなる基板11の上に、SiN膜よりなる選
択成長用のマスクパターン16が形成されており、基板
11上のマスク領域11c,11d及び11eの幅は共
に50μmである。高濃度結晶層17は短辺方向の開口
幅が5μmのストライプ状の第1の選択成長領域に形成
され、膜厚d3 が2.2μmでZn濃度C3 が2×10
18cm-3であり、中濃度結晶層18は短辺方向の開口幅
が10μmのストライプ状の第2の選択成長領域に形成
され、膜厚d2 が1.8μmでZn濃度C2 が2×10
18cm-3であり、低濃度結晶層19は開口部が1mmの
方形の通常の成長領域に形成され、膜厚d1 が1μmで
Zn濃度C1 が1×1018cm-3である。
【0280】図15(a)に示す各結晶層17,18,
19の成長方法は、結晶成長温度を通常の600℃に、
拡散種Znの不純物濃度を1×1018cm-3にそれぞれ
設定して、前記第10の実施形態において説明した方法
と同様の方法を採った。
【0281】また、図15(b)に示す膜厚比dn /d
1 (n=1,2,3) と拡散濃度比Cn /C1 (n=1,2,3) との関
係をみると、結晶成長温度を通常の600℃に設定して
いるため、高濃度結晶層17も中濃度結晶層18も共に
Zn濃度が成長条件による飽和濃度の2×1018cm-3
で飽和してしまっている。従って、本実施形態において
は実線に示す関係しか得られない。
【0282】しかしながら、図15(a)に示すよう
に、各結晶層17,18,19は、飽和濃度に達するま
では、それぞれの拡散種Znの取り込み量に応じて基板
11に対する拡散深さが変化しているので、低濃度結晶
層19の拡散距離をD1 、中濃度結晶層18の拡散距離
をD2 及び高濃度結晶層17の拡散距離をD3 とする
と、図15(c)に示す膜厚比dn /d1 (n=1,2,3) と
拡散距離dn (n=1,2,3) との関係が得られる。
【0283】これにより、選択成長領域の膜厚比が増大
すると拡散距離が増大するという関係が得られるため、
複数の選択成長領域の形状を互いに変えることによっ
て、同一基板面の複数の結晶体に対してただ一度の結晶
成長により各結晶体の拡散距離をそれぞれ異なるように
することができる。
【0284】(第12の実施形態)前記第11の実施形
態は、選択成長における通常の結晶成長温度による高不
純物層からの固相拡散を行なったが、本実施形態におい
ては、通常の結晶成長温度よりも低い非鏡面成長温度に
よる高不純物層からの固相拡散に着目する。
【0285】図16は本発明の第12の実施形態に係る
半導体結晶体の構成図及び測定図であって、(a)は選
択成長後の半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は
基板上に成長した各結晶の膜厚比と拡散濃度比との関係
を表わすグラフである。
【0286】図16(a)は結晶成長温度が400℃
に、拡散種Znの不純物濃度が1×1018cm-3にそれ
ぞれ設定され、選択成長による各結晶層であって、Sn
がドープされたInPよりなる基板11の上に、SiN
膜よりなるマスクパターン16が形成されており、基板
11上のマスク領域11c,11d及び11eの幅は共
に50μmである。高濃度結晶層17は短辺方向の開口
幅が5μmのストライプ状の第1の選択成長領域に形成
され、膜厚d3 が2.2μmでZn濃度C3 が4×10
18cm-3であり、中濃度結晶層18は短辺方向の開口幅
が10μmのストライプ状の第2の選択成長領域に形成
され、膜厚d2 が1.8μmでZn濃度C2 が2×10
18cm-3であり、低濃度結晶層19は開口部が1mmの
方形の通常の成長領域に形成され、膜厚d1 が1μmで
Zn濃度C1 が1×1018cm-3である。17aは高濃
度結晶層17と基板11との界面から高濃度結晶層17
の拡散種Znが拡散したZn濃度がCs3の高濃度拡散領
域であり、18aは中濃度結晶層18と基板11との界
面から中濃度結晶層18の拡散種Znが拡散したZn濃
度がCs2の中濃度拡散領域であり、19aは低濃度結晶
層19と基板11との界面から低濃度結晶層19の拡散
種Znが拡散したZn濃度がCs3の低濃度拡散領域であ
る。
【0287】図16(b)は低濃度結晶層19の膜厚d
1 に対する各選択成長領域の膜厚d1 ,d2 ,d3 の比
を膜厚比dn /d1 (n=1,2,3) とし、各成長領域のZn
濃度の濃度比Cn /C1 (n=1,2,3) 及び各拡散領域のZ
n濃度の濃度比Csn/C1 (n=1,2,3) の関係を表わして
いる。
【0288】図16(b)に示すように、膜厚比dn
1 が増大するにつれて選択成長する結晶層に対して拡
散種Znの取り込み量が増大すると共に拡散領域のZn
濃度も増大していることがわかる。
【0289】これは、前記第11の実施形態と異なり、
結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃に設定してい
るため、結晶中のV族元素の空孔濃度が上昇し、飽和濃
度が6×1018cm-3程度にまで上昇するので、拡散種
Znの取り込み量に応じて格子置換型拡散種の濃度であ
るZns濃度が増減するからである。その結果、各拡散
領域17a,18a,19aの基板11面からの拡散距
離はほとんど変化しない。
【0290】なお、図16(b)に示すように、膜厚比
n /d1 が2.5以上になる場合はZn供給量が飽和
濃度を越えるため、拡散領域のZns濃度Cs は飽和傾
向を示す。
【0291】本実施形態によると、選択成長領域の膜厚
比が増大するとZn濃度が増大するという関係が得られ
るため、結晶の成長界面に鏡面が得られない程度の低温
成長を行ない且つ複数の選択成長領域の形状を変えるこ
とにより、同一基板面の複数の結晶体に対してただ一度
の結晶成長により各結晶体の拡散濃度をそれぞれ異なる
ようにすることができる。
【0292】(第13の実施形態)本実施形態は選択成
長による高不純物結晶体を回折格子に用いる。
【0293】図17(a)〜(c)は本発明の第13の
実施形態に係る選択拡散による半導体結晶体の製造方法
の工程順断面図であって、(d)は熱処理工程及び埋込
み工程の結晶成長温度プロファイルである。
【0294】以下、回折格子に選択成長を用いた半導体
結晶体の結晶成長方法を説明する。
【0295】まず、図17(a)に示すように、第1の
結晶層としてのSnがドープされたInPよりなる基板
11に対して、フォトリソグラフィーとして電子ビーム
露光法による露光及びドライエッチングを行なうことに
より、基板11上に周期が200nmの凹部又は凸部を
有する回折格子を形成する。
【0296】次に、図17(d)に示す熱処理工程11
4において、熱処理温度を非鏡面成長温度の400℃に
まで昇温しながらPH3 及びDMZnの雰囲気中で10
分間加熱する。PH3 の分圧は1×10-2Torrと
し、DMZnの分圧は1×10-5Torrとした。これ
により、図17(b)に示すように回折格子の各凹部に
拡散種Znの高濃度領域27が形成される。なお、PH
3 の分圧を1×10-3Torrに下げても高濃度領域2
7は形成される。
【0297】次に、図17(d)に示す埋込み工程11
5において、結晶成長温度を通常の600℃に上昇し、
PH3 及びTMInを原料にして、基板11の上に全面
にわたって第2の結晶層としてのアンドープのInPよ
りなる埋込み層12を2μmの厚さに成長させる。この
結果、図17(c)に示したように、回折格子の各凹部
に逆三角形状の拡散種Znの高濃度領域27が格子形状
に埋めこまれた構造が形成される。
【0298】本実施形態においては、埋込み層12の結
晶成長時に600℃にまで成長温度を上昇したが、40
0℃のまま行なってもよい。高濃度領域27の濃度は、
DMZnの濃度を上昇させるにつれて増大することがS
EM観察により定性的に確認されるが、Zn濃度の定量
化は行なっていない。
【0299】これにより、回折格子の上に拡散種の原料
であるDMZnを供給しながら昇温することにより、回
折格子の凹部に高濃度領域を選択的に形成することがで
きる。
【0300】(第14の実施形態)本実施形態は高濃度
不純物結晶体からの固相拡散により得られた結晶体のみ
を分離する方法を示す。
【0301】図18は本発明の第14の実施形態に係る
半導体結晶体の製造方法の工程順断面図である。
【0302】まず、図18(a)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定して、Snがドープされ
たInPよりなる基板11の上に第1の半導体結晶層と
しての厚さが2μmのアンドープ層12と、アンドープ
層12の上に厚さが10nmの保護膜としてのInGa
AsPよりなるエッチングストップ層28とを順次成長
させた後、結晶成長温度を非鏡面成長温度である400
℃に設定して、エッチングストップ層28の上に5×1
18cm-3の濃度の拡散種Znを供給しながら第2の半
導体結晶層としての厚さが1μmのZnドープ層13を
成長した。図18(a)に示すように、400℃程度の
低温により結晶成長を行なうと、リン(P)原子がZn
ドープ層13の結晶から脱離するため、Znドープ層1
3の結晶表面が凸凹状になっている。
【0303】次に、図18(b)に示すように、塩酸
(HCl)とリン酸(H3 PO4 )との混合溶液等を用
いると、InPを選択的にエッチングすることができる
ため、Znドープ層13に対してウェットエッチングを
行なうことによりZnドープ層13のみを除去し、エッ
チングストップ層28の直前でエッチングを停止するこ
とができる。なお、エッチングストップ層28は600
℃で成長しているため鏡面になっており、また、エッチ
ングストップ層28にも拡散種であるZnが拡散されて
いるため、コンタクト層として用いてもよい。
【0304】さらに、図17(c)に示すように、エッ
チングストップ層28に対してもH2 SO4 (硫酸)と
2 2 (過酸化水素)とH2 O(水)との混合溶液を
用いたエッチング処理の後に続いてHClとCH3 CO
OH(酢酸)との混合溶液を用いてエッチングを行なう
か、又はHClとCH3 COOHとの混合溶液のみを用
いた時間制御によるエッチングを行なってエッチングス
トップ層28を除去してもよい。
【0305】これにより、拡散種Znが拡散された高濃
度領域12aと鏡面状態の結晶表面とを有するアンドー
プ層12を得ることができる。
【0306】また、本実施形態によると、アンドープ層
12とZnドープ層13との間にエッチングストップ層
28を挿入しているが、このエッチングストップ層28
による拡散濃度プロファイルの変化は認められず、エッ
チングストップ層28の有無は拡散濃度プロファイルに
何ら影響を与えないことが分かっている。
【0307】(第15の実施形態)本実施形態から高濃
度不純物拡散層を有する半導体結晶体を半導体素子に利
用する具体例を示す。
【0308】以下、本発明の第15の実施形態を図面を
参照しながら説明する。
【0309】図19は本発明の第15の実施形態に係る
半導体レーザ装置の構成図及び測定図であって、(a)
は半導体レーザ装置の構成断面図であり、(b)はコン
タクト層のキャリア濃度と抵抗値との関係を示すグラフ
である。図19(a)において、201はn型クラッド
層でありSnがドープされたInPよりなる基板、20
2はレーザビームを放射する活性層、203はp型In
Pよりなり活性層202の短辺方向の周縁部を埋める埋
込み層、204はn型InPよりなり活性層202に流
入する電流の効率を高める電流阻止層、205はp型ク
ラッド層、206はp型InPよりなりp型クラッド層
205と電極とのオーミック接合を図るコンタクト層、
207はp側電極形成膜、208はn側電極形成膜であ
る。
【0310】以下、第15の実施形態に係る半導体レー
ザ装置の製造方法を説明する。
【0311】まず、図20(a)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板201
の上に厚さが0.2μmの活性層形成膜202Aを堆積
した後、活性層形成膜202Aの上の活性層形成領域に
ストライプ状のSiNよりなるマスクパターン209を
選択的に形成する。
【0312】次に、図20(b)に示すように、活性層
形成膜202A及び基板201に対してエッチングを行
なって短辺方向の幅が1.5μmのストライプ形状の活
性層202を形成する。
【0313】次に、図20(c)に示すように、マスク
パターン209を選択成長用のマスクとして膜厚が1μ
mで不純物濃度が1×1018cm-3のp型InPよりな
る埋込み層203と膜厚が1μmで不純物濃度が1×1
18cm-3のn型InPよりなる電流阻止層204を成
長させる。
【0314】次に、図20(d)に示すように、マスク
パターン209に対してエッチングを行なってマスクパ
ターン209を除去した後、図20(d)に示すよう
に、膜厚が3μmで不純物濃度が1×1018cm-3のp
型クラッド層205を成長させた後、結晶成長温度を非
鏡面成長温度である400℃に設定し、膜厚が1μmで
不純物濃度が4×1018cm-3のコンタクト層206を
成長させる。その後、結晶成長温度を通常の600℃に
再び昇温し、コンタクト層206の結晶内のキャリアを
補償する格子間拡散種Zniを除去するために10分間
の熱処理を行なう。
【0315】次に、図20(e)に示すように、コンタ
クト層206の上面に全面にわたってTiPtよりなる
p側電極形成膜207を蒸着し、基板201の下面に全
面にわたってTiPtよりなるn側電極形成膜208を
蒸着する。
【0316】図21(a)にp型クラッド層成長工程1
16及びコンタクト層成長工程117の結晶成長温度プ
ロファイルを示す。
【0317】従来は図19(b)に示すように、コンタ
クト層成長工程において、結晶成長温度を600℃にし
た場合は、キャリア濃度が2×1018cm-3で飽和する
ため、p側電極形成膜207のコンタクト抵抗は、1×
10-5ohm/cm2 であった。
【0318】本実施形態は図21(a)に示すように、
コンタクト層成長工程117において、結晶成長温度を
400℃に低下させたことによりコンタクト層のキャリ
ア濃度は4×1018cm-3に上昇するため、p側電極形
成膜208のノンアロイ電極においても図19(b)に
示すようにコンタクト抵抗は1×10-7ohm/cm2
となって1/100に低減した。
【0319】また、本実施形態はコンタクト層成長工程
において結晶成長温度を変化させたが、結晶成長温度を
600℃の一定として、PH3 の分圧を10-5Torr
に低下させた条件下でコンタクト層206を成長させる
ことによってもキャリア濃度が4×1018cm-3とな
る。
【0320】これにより、従来からコンタクト層として
用いられているInGaAsPよりなる4元混晶に代え
て、高不純物濃度を有するInPを用いることにより熱
抵抗が低減したり、光吸収が低減したりすると共に、p
型クラッド層205とコンタクト層206とは結晶構造
が同一になるため、従来必要とされた結晶条件の導出が
低減されるというメリットを生ずる。
【0321】従って、コンタクト層206をInPより
なる半導体結晶体を用いて構成しても低コンタクト抵抗
となるノンアロイ電極の半導体レーザ装置を得ることが
できる。
【0322】(第16の実施形態)以下、本発明の第1
6の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0323】図22は本発明の第16の実施形態に係る
半導体受光素子の構成図及び測定図であって、(a)は
受光素子の構成断面図であり、(b)は逆方向電圧とリ
ーク電流との関係を示すグラフである。図22(a)に
おいて、210はSnがドープされたn型InPよりな
る基板、211は基板210の上に形成されたアンドー
プInGaAsPよりなる活性層、211aは活性層2
11の上面部に形成されたp型不純物拡散領域、212
は活性層211の上面に形成され活性層211を保護す
るエッチングストップ層、213はp側電極、214は
n側電極形成膜、215はエッチングストップ層の表面
を保護するパッシベーション膜である。
【0324】以下、第16の実施形態に係る半導体受光
素子の製造方法を説明する。
【0325】まず、図23(a)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板210
の上に厚さが2μmの活性層211と活性層211の上
にエッチングストップ層212とを順次成長させる。そ
の後、エッチングストップ層212の上に全面にわたっ
てSiNよりなるマスク形成膜を堆積した後、受光領域
のマスク形成膜に対してエッチングを行なってマスクパ
ターン216を形成する。
【0326】次に、図23(b)に示すように、結晶成
長温度を非鏡面成長温度の400℃に設定してエッチン
グストップ層212を臨む受光領域に拡散種Znの濃度
が3×1018cm-3にドープされた不純物供給層217
を成長させると共に、不純物供給層217とエッチング
ストップ層212の界面を介して拡散種Znよりなるp
型不純物が活性層211の上面部に拡散して不純物拡散
領域211aを形成する。
【0327】次に、図23(c)に示すように、不純物
供給層217に対してHClとH3PO4 との混合溶液
を用いてエッチングを行なって不純物供給層217を除
去した後、マスクパターン216に対してHF(フッ
酸)とNH4 F(フッ化アンモニウム)との混合溶液を
用いてエッチングを行なってマスクパターン216を除
去してエッチングストップ層212を露出する。
【0328】次に、図23(d)に示すように、p側電
極213を形成すると共にn側電極形成膜を蒸着した
後、パッシベーション膜215を堆積する。
【0329】従来は、図23(b)に示す不純物供給層
成長工程において、結晶成長温度を600℃にして不純
物拡散を行なっていたため、不純物拡散領域211aの
周縁部に低濃度領域が発生し、この周縁部から空乏層が
発生するので、図22(b)の曲線119に示すように
ブレークダウン電圧は10V程度と低い値を示してい
た。さらに、不純物濃度が低いため、空乏層の広がりが
小さいので、高周波特性も2GHz程度と低かった。
【0330】一方、本実施形態に示したように、結晶成
長温度を非鏡面成長温度の400℃にして結晶成長する
と、活性層211の不純物拡散領域211aには、低濃
度領域が形成されないため、図22(b)の曲線120
に示すようにブレークダウン電圧は20Vと増大すると
共に、不純物拡散領域211aは3×1018cm-3の高
不純物濃度となるため、高周波特性も10GHzに増大
する。
【0331】これにより、ブレークダウン電圧が高く且
つ高周波特性が優れた半導体受光素子を得ることができ
る。
【0332】なお、不純物供給層成長工程において、結
晶成長温度を通常の600℃に設定し、PH3 ガスの分
圧を1×10-5Torrに設定しても高濃度の不純物拡
散領域211aが形成されるのはいうまでもない。
【0333】(第17の実施形態)以下、本発明の第1
7の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0334】図24は本発明の第17の実施形態に係る
接合型電界効果トランジスタを示す図であって、(a)
はその構成断面図であり、(b)はその回路図である。
図24(a)において、218はFeがドープされた反
絶縁性のInPよりなる基板、219は基板218の上
に形成されたn型InPよりなるチャネル層、219a
はチャネル層219の上面部に選択的に形成されたp型
の第1の不純物拡散領域、219cは第1の不純物拡散
領域219aにより形成された第1の空乏層、219b
はチャネル層219の上面部に選択的に形成されたp型
の第2の不純物拡散領域、219dは第2の不純物拡散
領域219bにより形成された第2の空乏層、220は
チャネル層219を保護するエッチングストップ層、2
21はエッチングストップ層220の上における第1の
不純物拡散領域219aの上に選択的に形成された第1
のゲート電極、222はエッチングストップ層220の
上における第2の不純物拡散領域219bに選択的に形
成された第2のゲート電極、223はエッチングストッ
プ層220の上における、第1のゲート電極221と第
1のゲート電極221のゲート長方向の反第2のゲート
電極222側のエッチングストップ層220の端部との
間に形成された第1のソース電極、224はエッチング
ストップ層220の上における、第2のゲート電極22
2と第2のゲート電極222との間に形成された第2の
ソース電極、225はエッチングストップ層220の上
における、第2のゲート電極222と反第1のソース電
極223側のエッチングストップ層220の端部との間
に形成されたドレイン電極、226はエッチングストッ
プ層220の表面を保護するパッシベーション膜であ
る。
【0335】図24(b)の回路図に示すように、第1
のゲート電極221及び第1のソース電極223により
形成されるトランジスタをJFET1と呼び、第2のゲ
ート電極222及び第2のソース電極224により形成
されるトランジスタをJFET2と呼ぶことにすると、
JFET1の第1のソース電極223とJFET2の第
2のソース電極224が接続されているため、JFET
1はコンプリメント型、JFET2はディプレッション
型として動作する。
【0336】すなわち、JFET1は第1の空乏層21
9cが基板218に接していないため、第1のゲート電
極221に逆バイアスを印加してスイッチングするのに
対し、JFET2は拡散が深いために既に第2の空乏層
219dが基板218の上面と接しているため、第2の
ゲート電極222に順バイアスを印加して動作すること
になる。このJFET1とJFET2とからなる構造は
演算素子の基本構造である。
【0337】従来は、このように不純物拡散領域の深さ
が異なる複数のFETを構成する場合は拡散処理を2回
に分けて行なっていた。その結果、1回目に実施した拡
散領域が2回目の拡散処理においても熱処理されるた
め、1回目に実施した拡散領域の形状が劣化する問題を
有していた。
【0338】しかしながら、本実施形態によると、ただ
1回の結晶成長工程により、目的とする拡散深さを実現
することができるため、拡散形状の劣化がないので、拡
散の深さが異なる所望の不純物拡散領域を形成すること
ができる。
【0339】以下、第17の実施形態に係る接合型電界
効果トランジスタの製造方法を説明する。
【0340】まず、図25(a)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板218
の上に厚さが2μmのチャネル層219とチャネル層2
19の上にエッチングストップ層220とを順次成長す
る。その後、エッチングストップ層220の上に全面に
わたってSiNよりなる絶縁膜を堆積した後、該絶縁膜
の第1及び第2の不純物拡散形成領域に対してエッチン
グを行なって、各不純物拡散形成領域のゲート長方向の
幅により所望の拡散濃度を与える膜厚比に設定した選択
成長用マスクパターン227を形成する。本実施形態の
場合は第2の不純物拡散形成領域のゲート長方向の開口
幅を第1の不純物拡散形成領域のゲート長方向の開口幅
よりも小さくなるように設定している。
【0341】次に、図25(b)に示すように、結晶成
長温度を600℃のままとし、拡散種Znの取り込み量
を2×1018cm-3として、エッチングストップ層22
0の上の第1の不純物拡散形成領域に第1の不純物供給
層228Aを成長させ、第2の不純物拡散形成領域に第
2の不純物供給層228Bを成長させることにより、チ
ャネル層219の第1の不純物拡散形成領域に第1の不
純物拡散領域219aとチャネル層219の第2の不純
物拡散形成領域に第2の不純物拡散領域219bとを形
成する。
【0342】図14及び図15を用いて説明したよう
に、第1及び第2の各不純物供給層228A,228B
はエッチングストップ層220の上において、選択成長
用マスクパターン227の開口部である各不純物拡散形
成領域にのみ成長することができるため、各不純物供給
層228A,228Bの結晶の成長速度が選択成長用マ
スクのない状態に比べて速くなるので、拡散種Znの気
相への再蒸発が抑制されることになり、これにより、各
不純物供給層の拡散濃度は飽和点にまで達することにな
る。また、各不純物供給層228A,228Bからエッ
チングストップ層220を通してチャネル層219の上
面部に飽和した拡散種Znが拡散することになるが、第
2の不純物供給層228Bは、第2の不純物供給層22
8Bの方が第1の不純物供給層228Aよりも開口幅の
小さい領域に成長しており、膜厚が大きくなるため、図
15(c)に示した関係により、チャネル層219の上
面からの第2の不純物拡散領域219bの拡散距離は、
第1の不純物拡散領域219aの拡散距離よりも大きく
なる。
【0343】次に、図25(c)に示すように、各不純
物供給層228A,228Bに対してHClとH3 PO
4 との混合溶液を用いてエッチングを行なって各不純物
供給層228A,228Bを除去した後、選択成長用マ
スクパターン227に対してHFとNH4 Fとの混合溶
液を用いてエッチングを行なって選択成長用マスクパタ
ーン227を除去してエッチングストップ層220を露
出する。
【0344】次に、図25(d)に示すように、エッチ
ングストップ層220の各電極形成領域を除く領域にパ
ッシベーション膜226を堆積した後、第1のゲート電
極221、第2のゲート電極222、第1のソース電極
223、第2のソース電極224及びドレイン電極22
5をそれぞれ所定の形成領域に蒸着する。
【0345】本実施形態においては選択成長領域である
各不純物拡散形成領域の開口幅をそれぞれ変えることに
より各不純物供給層228A,228Bの膜厚比を変え
ているが、開口幅を一定にしておいて選択成長用マスク
パターン227のマスク幅を変えることによっても各不
純物供給層228A,228Bの膜厚比を変化させるこ
とができるため、デバイスに必要な不純物拡散領域の大
きさを設定できる。
【0346】これにより、一回の不純物供給層の成長工
程により、深い不純物拡散領域と浅い不純物拡散領域を
形成できるため、不純物拡散領域の形状が優れているの
で、動作電圧が安定するモノリシック集積化された接合
型電界効果トランジスタによる演算素子を得ることがで
きる。
【0347】(第18の実施形態)以下、本発明の第1
8の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0348】図26は本発明の第18の実施形態に係る
接合型電界効果トランジスタを示す構成断面図である。
図26において、図24(a)に示した接合型電界効果
トランジスタと同一の部材には同一の符号を付すことに
より説明を省略する。図26において、チャネル層21
9における第2の不純物拡散領域219fの拡散濃度
は、第1の不純物拡散領域219eの拡散濃度よりも大
きくなるように形成されているため、第1の不純物拡散
領域219eにより形成される第1の空乏層219cは
基板218に接しておらず、また、高濃度の第2の不純
物拡散領域219fにより形成される第2の空乏層21
9dは基板218の上面と接している。
【0349】従って、本実施形態の接合型電界効果トラ
ンジスタの回路図も図24(b)に示したのと同様の回
路図となり、その結果、動作も同様となる。
【0350】以下、第18の実施形態に係る接合型電界
効果トランジスタの製造方法を説明する。
【0351】前記第17の実施形態と異なる製造工程の
みを説明すると、図27(b)に示す不純物供給層成長
工程において、結晶成長温度を非鏡面成長温度である4
00℃に、また、拡散種Znの取り込み量を4×1018
cm-3の高濃度にそれぞれ設定して、エッチングストッ
プ層220の上の第1の不純物拡散形成領域に第1の不
純物供給層228Cを成長させ、第2の不純物拡散形成
領域に第2の不純物供給層228Dを成長させることに
より、チャネル層219の第1の不純物拡散形成領域に
第1の不純物拡散領域219eとチャネル層219の第
2の不純物拡散形成領域に第2の不純物拡散領域219
fとを形成する。その後、基板218全体を10分間程
度熱処理して各不純物拡散領域内の格子間拡散種Zni
を除去する。
【0352】図14及び図16を用いて説明したよう
に、第1及び第2の各不純物供給層228C,228D
はエッチングストップ層220の上において、選択成長
用マスクパターン227の開口部である各不純物拡散形
成領域にのみ成長することができるため、各不純物供給
層228C,228Dの結晶の成長速度が選択成長用マ
スクのない状態に比べて速くなるので、拡散種Znの気
相への再蒸発が抑制されることになり、これにより、各
不純物供給層の拡散濃度はそれぞれの飽和点が上昇する
ことになる。また、各不純物供給層228C,228D
からエッチングストップ層220を通してチャネル層2
19の上面部に拡散種Znが拡散することになるが、第
2の不純物供給層228Dは、第2の不純物供給層22
8Dの方が第1の不純物供給層228Cよりも開口幅の
小さい領域に成長しており、膜厚が大きくなるため、図
16(b)に示した関係により、チャネル層219の第
2の不純物拡散領域219fの拡散濃度は、第1の不純
物拡散領域219eの拡散濃度よりも大きくなる。
【0353】本実施形態によると、非鏡面成長温度であ
る400℃という低温下で各不純物供給層228C,2
28Dを成長させているため、前記第17の実施形態と
異なり格子間拡散種Zniよりなる低濃度領域が形成さ
れないという長所がある。
【0354】これにより、一回の不純物供給層の成長工
程により、濃度が異なる各不純物拡散領域を形成できる
と共に、格子間拡散種Zniよりなる低濃度拡散領域が
形成されないため、さらに不純物拡散領域の形状に優れ
ているので、動作電圧が安定するモノリシック集積化さ
れた接合型電界効果トランジスタによる演算素子を得る
ことができる。
【0355】なお、図27(b)に示す不純物供給層成
長工程において、結晶成長温度を通常の600℃に設定
し、PH3 ガスの分圧を1×10-5Torrに設定して
も高濃度の各不純物拡散領域219e及び219fが形
成されるのはいうまでもない。
【0356】この場合、格子間拡散種Zniを除去する
ための熱処理は不要となる。
【0357】(第19の実施形態)以下、本発明の第1
9の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0358】図28は本発明の第19の実施形態に係る
半導体レーザ装置の構成図及び特性図であって、(a)
は半導体レーザ装置の構成断面図であり、(b)は従来
の電流阻止層とキャリアの流れとを示した模式断面図で
あり、(c)は本実施形態に係る電流阻止層とキャリア
の流れとを示した模式断面図であり、(d)は電流と光
出力との関係を示すグラフである。図28(a)におい
て、229はクラッド層でありZnがドープされたp型
InPよりなる基板、230はレーザビームを放射する
活性層、231はn型InPよりなり活性層230の短
辺方向の周縁部を埋める埋込み層、232はp型InP
よりなり活性層230に流入するキャリアの効率を高め
る電流阻止層、233はn型クラッド層、234はn型
InPよりなりn型クラッド層233と電極とのオーミ
ック接合を図るコンタクト層、235はn側電極形成
膜、236はp側電極形成膜、237は電流阻止層23
2から拡散種のZnが拡散したZnドープ領域である。
【0359】以下、第19の実施形態に係る半導体レー
ザ装置の製造方法を説明する。
【0360】まず、図29(a)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定しておいて、基板229
の上に厚さが0.2μmの活性層形成膜230Aを堆積
した後、活性層形成膜230Aの上の活性層形成領域に
短辺方向の幅が1.5μmのストライプ状のSiNより
なるマスクパターン238を選択的に形成する。
【0361】次に、図29(b)に示すように、活性層
形成膜230A及び基板229に対してエッチングを行
なってストライプ状の活性層230を形成する。
【0362】次に、図29(c)に示すように、マスク
パターン238を選択成長用のマスクとして膜厚が0.
5μmで不純物濃度が1×1018cm-3のn型InPよ
りなる埋込み層231を成長させた後、結晶成長温度を
非鏡面成長温度の400℃に設定して、膜厚が1μmで
不純物濃度が4×1018cm-3のp型InPよりなる電
流阻止層232を成長させる。
【0363】次に、図29(d)に示すように、マスク
パターン238に対してエッチングを行なってこれを除
去した後、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃
に、n型不純物濃度を5×1017cm-3にそれぞれ設定
して、活性層230及び電流阻止層232の上に全面に
わたって膜厚が3μmのn型クラッド層233を成長さ
せる。
【0364】次に、図29(e)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に、n型不純物濃度を1×10
18cm-3にそれぞれ設定して、膜厚が0.5μmのコン
タクト層234を成長させる。
【0365】次に、図29(f)に示すように、コンタ
クト層234の上に全面にわたってn側電極形成膜23
5を蒸着し、基板229の下面に全面にわたってp側電
極形成膜236を蒸着する。
【0366】図30(a)は各製造工程における結晶成
長温度プロファイルである。図30(a)において、1
23は埋込み層成長工程、124は電流阻止層成長工
程、125はクラッド層成長工程及び126はコンタク
ト層成長工程を表わしている。図30(a)に示すよう
に、電流阻止層成長工程124及びクラッド層成長工程
125においては結晶成長温度を非鏡面成長温度の40
0℃に設定しているため、不純物濃度が4×1018cm
-3まで上昇しても飽和しないが、次のコンタクト層成長
工程126において結晶成長温度を通常の600℃に再
設定するため、図10を用いて説明したように、この高
い結晶成長温度の熱処理効果によって、電流阻止層23
2の周縁部から拡散種Znが埋込み層231及びn型ク
ラッド層233に拡散することにより、Znドープ層2
37が形成される。
【0367】なお、図30(b)に示すように、電流阻
止層成長工程124及びクラッド層成長工程125にお
いて、結晶成長温度を非鏡面成長温度の400℃の低温
にするのではなく、結晶成長温度は通常の600℃に
し、V族元素を含む原料ガスであるPH3 の分圧を1×
10-5Torrに低下させても同様のZnドープ層23
7が形成されるのは前述したとおりである。
【0368】従来は、図28(b)に示すように、電流
阻止層232の結晶成長領域が不純物濃度の境界になっ
ていたために、活性層230に十分に近づいておらず活
性層230に注入されないキャリアが存在していた。
【0369】一方、本実施形態によると、図28(c)
に示すように、不純物の再拡散によって電流阻止層23
2の領域が増大してZnドープ層237が形成されるた
め、無効となるキャリアの流れを低減することができ
る。
【0370】さらに、再拡散した埋込み層231及びn
型クラッド層233には、n型ドーパントも存在するた
め、補償されて高抵抗となるので、さらに無効なキャリ
アの流れが低減されることになる。
【0371】その結果、図28(d)に示すように、従
来のレーザ装置における電流曲線121によると、しき
い値電流は20mAであり、10mW程度の光出力でリ
ーク電流の増大に伴う飽和傾向を示しているのに対し、
本実施形態のレーザ装置における電流曲線122による
と、しきい値電流が15mAに低減すると共に光出力の
飽和現象も抑制されている。
【0372】これにより、電流阻止層232が活性層2
30に近接していることにより無効電流が低減される半
導体レーザ装置を得ることができる。
【0373】(第20の実施形態)以下、本発明の第2
0の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0374】図31は本発明の第20の実施形態に係る
半導体レーザ装置の製造方法を示す工程順断面図であ
る。
【0375】本実施形態においては、多重量子井戸構造
を有する活性層(以下、MQW活性層と略称する。)を
形成した後、図17に示した回折格子による高濃度ドー
ピング方法を用いて量子細線構造を形成する。この量子
細線構造を有する活性層(以下、量子細線活性層と略称
する。)を用いて量子細線レーザ装置又は利得結合型レ
ーザ装置を得る。
【0376】以下、第20の実施形態に係る量子細線レ
ーザ装置及び利得結合型レーザ装置の製造方法を説明す
る。
【0377】まず、図31(a)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定しておいて、Snがドー
プされたInPよりなる基板239の上に全面にわたっ
てヘテロ接合の、複数の井戸層と障壁層とを交互に積層
したMQW活性層形成膜240Aと、MQW活性層形成
膜240Aの上にアンドープのInPよりなる回折格子
形成膜241Aとを順次成長させる。
【0378】次に、図31(b)に示すように、回折格
子形成膜241Aの上面部に対して電子ビーム露光法及
びドライエッチング法を用いて格子の周期が10nmか
ら200nm程度の凹部又は凸部を有する回折格子24
1Bを形成する。
【0379】次に、図31(c)に示すように、結晶成
長温度を非鏡面成長温度の400℃にまで昇温し、昇温
時からPH3 とDMZnとの雰囲気に基板239を10
分間さらす熱処理を行なう。これにより、回折格子24
1Bの各凹部に拡散種Znの高濃度領域242が形成さ
れる。なお、PH3 の分圧を1×10-3Torrにまで
下げても同様に高濃度領域242が形成されることはい
うまでもない。
【0380】次に、図31(d)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定し、回折格子241Bの
上に全面にわたってp型InPよりなるクラッド層であ
る回折格子埋込み層243Aを成長させる。結晶成長温
度を600℃に設定しているため、MQW活性層形成膜
240Aには、等間隔で且つ部分的に存在する高濃度領
域242に含まれていた拡散種Znが拡散してくるの
で、各高濃度領域242に対応する、MQW活性層形成
膜240Aが部分的かつ規則的に崩壊したMQW崩壊領
域240aが形成されることになる。これにより、MQ
W活性層形成膜240Aは、MQW崩壊領域240aに
おいて利得が減少するので、量子細線活性層形成膜24
0Bに変わることになる。
【0381】次に、図31(e)に示すように、回折格
子埋込み層243Aの上に長辺方向を光導波路層方向と
し、幅が1.5μmのストライプ状のSiNよりなるマ
スクパターンを形成した後、回折格子埋込み層243
A、量子細線活性層形成膜240B及び基板239に対
してエッチングを行なってストライプ状の量子細線活性
層240Cを形成する。その後、マスクパターンを選択
成長用のマスクとして膜厚が1μmで不純物濃度が1×
1018cm-3のp型InPよりなる活性層埋込み層24
4と、膜厚が0.5μmで不純物濃度が1×1018cm
-3のn型InPよりなる電流阻止層245を成長さた
後、マスクパターンをエッチング除去する。その後、p
型不純物濃度を1×1017cm-3に設定して、回折格子
埋込み層243A及び電流阻止層245の上に全面にわ
たってp型InPよりなるクラッド層246を成長させ
る。その後、p型不純物濃度を5×1018cm-3に設定
して、p型InGaAsよりなるコンタクト層247を
成長させた後、コンタクト層247の上に全面にわたっ
てp側電極形成膜248を蒸着し、続いて基板239の
下面に全面にわたってn側電極形成膜249を蒸着す
る。
【0382】前記の製造工程により以下に示す2通りの
半導体レーザ装置が得られる。すなわち、図31(e)
に示す半導体レーザ装置は、回折格子241Bが量子細
線活性層240Cのストライプの長辺方向(導波路方
向)に沿って形成されているため、利得結合型のDFB
レーザ装置が得られることになり、また、図31(f)
に示す半導体レーザ装置は、回折格子241Bが量子細
線活性層243Bのストライプの長辺方向(導波路方
向)に対して垂直な方向に形成されているため、回折格
子の周期を50nm程度とすれば量子細線レーザが得ら
れる。
【0383】なお、回折格子241Bが量子細線活性層
243Bのストライプの長辺方向(導波路方向)に沿っ
て形成されていても、回折格子の周期を50nm程度と
すれば量子細線レーザが得られる。
【0384】また、図32はチャネル層に量子細線構造
を有するH(=High electron)FETの
斜視図である。図32において、250はSnがドープ
されたn型InPよりなる基板、251は基板250の
上に形成された量子細線構造を有するチャネル層、25
2は拡散種Znよりなる高濃度領域、251aは高濃度
領域252の拡散種が拡散してできたMQW崩壊領域、
253はソース・ドレイン拡散領域、254はゲート電
極である。
【0385】量子細線構造を有するチャネル層は、図3
1(a)〜(d)に示した製造方法により形成すること
ができる。チャネル層251が量子細線構造を有してい
るため、チャネル層内の電子の移動度が増大するので、
FETの高速化を図ることができる。
【0386】さらに、歪量子井戸構造においては低温成
長時にオーダリング構造が発生して発光特性が劣化する
という問題を有していた。このオーダリング構造も拡散
種Znの拡散により崩れるために、回折格子を用いた拡
散種Znの拡散を行なうことによって、本実施形態と同
様に利得結合型DFBレーザ装置や量子細線レーザ装置
を得ることができる。
【0387】本実施形態により、回折格子を用いてMQ
W層を部分的に崩壊したり、オーダリング構造を消滅さ
せたりできるので、利得結合型DFBレーザ装置や量子
細線レーザ装置が得られる。
【0388】(第21の実施形態)以下、本発明の第2
1の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0389】図33は本発明の第21の実施形態に係る
半導体レーザ装置の製造方法を示す工程順断面図であ
る。
【0390】本実施形態においては、MQW活性層が製
造時に破壊されることがない変調ドープ型の半導体レー
ザ装置とその製造方法とを説明する。
【0391】以下、第21の実施形態に係る変調ドープ
型半導体レーザ装置の製造方法を説明する。
【0392】まず、図33(a)に示すように、結晶成
長温度を通常の600℃に設定しておいて、Snがドー
プされたInPよりなる基板255の上に全面にわたっ
てヘテロ接合の、複数の井戸層と拡散種をZnとする高
濃度の不純物がドーピングされた障壁層とを交互に積層
した変調ドープ活性層形成膜256Aを成長させた後、
変調ドープ活性層形成膜256Aの上に長辺方向を光導
波路層の方向とし、幅が1.5μmのストライプ状のS
iNよりなるマスクパターン257を形成する。
【0393】次に、図33(b)に示すように、変調ド
ープ活性層形成膜256A及び基板255に対してエッ
チングを行なってストライプ状の変調ドープ活性層25
6Bを形成する。
【0394】次に、図33(c)に示すように、マスク
パターン257を選択成長用のマスクとして膜厚が1μ
mで不純物濃度が5×1017cm-3のp型InPよりな
る埋込み層258と、膜厚が0.5μmで不純物濃度が
1×1018cm-3のn型InPよりなる電流阻止層25
9を成長さる。
【0395】次に、図33(d)に示すように、マスク
パターン257に対してエッチングを行なってこれを除
去した後、結晶成長温度を非鏡面成長温度の500℃と
し、p型不純物濃度を5×1017cm-3に設定して、膜
厚が0.5μmのp型InGaAsPよりなる拡散抑制
層260を成長させる。その後、結晶成長温度を再度通
常の600℃に設定し、拡散抑制層260の上に全面に
わたって膜厚が1μmでp型不純物濃度が5×1017
-3のp型InPよりなるクラッド層261を成長させ
る。その後、p型不純物濃度を5×1018cm-3に設定
して、p型InGaAsよりなるコンタクト層262を
成長させた後、コンタクト層262の上に全面にわたっ
てp側電極形成膜263を蒸着し、基板255の下面に
全面にわたってn側電極形成膜264を蒸着する。
【0396】以上の製造工程を経て図33(d)に示す
本発明に係る変調ドープ型半導体レーザ装置を得ること
ができる。
【0397】図34(a)に拡散抑制層成長工程12
7、クラッド層成長工程128及びコンタクト層成長工
程129の各成長工程の結晶成長温度プロファイルを示
す。
【0398】なお、図34(b)に示すように、結晶成
長温度ではなくV族ガスであるPH3 の分圧を変化させ
ても同様の効果を得ることができる。すなわち、拡散抑
制層成長工程127においてのみV族ガスの分圧を1×
10-5Torrとし、それ以外の工程においてはV族ガ
スの分圧を通常の1×10-2Torrとすればよい。
【0399】このように、拡散抑制層成長工程127に
おいて、拡散抑制層260が低温又は低分圧に設定さ
れ、且つ、p型不純物濃度を飽和濃度の4分の1となる
5×1017cm-3で成長させるため、図6に示したよう
に、格子間拡散種Zniの発生が抑制されるので、変調
ドープ活性層256Bの変調ドープ構造を壊すことがな
い。
【0400】さらに、次のクラッド層成長工程128に
おいて、拡散抑制層260に対して拡散種Znの供給量
が少ないため、拡散抑制層260の空孔濃度が上昇する
ので、拡散抑制層260は変調ドープ活性層256Bの
近傍に拡散する格子間拡散種Zniを捕獲することがで
きる。
【0401】従って、変調ドープ活性層256Bに格子
間拡散種Zniが拡散しないため、変調ドープ構造の消
滅が抑制される。
【0402】これにより、2×1018cm-3程度の高濃
度の変調ドープ構造が安定したまま形成されている変調
ドープ型半導体レーザ装置を得ることができる。
【0403】また、変調ドープ構造を実現するために添
加するドーパントとしてはp型を示したが、n型でもよ
い。
【0404】なお、これまで説明したすべての実施形態
において、InP系化合物半導体の結晶を用いたが、そ
の他の半導体結晶、例えばSi系、GaAs系、ZnS
eS系、InAlAs系、AlGaAs系又はInGa
AlAsP系等の半導体材料であってもよい。
【0405】また、Znをドーパントとして使用してい
るが、Be(ベリリウム),Mg(マグネシウム)、C
d(カドミウム)、Se(セレン),S(イオウ)、T
e(テルル)又はC(炭素)であってもよい。
【0406】また、V族ガスを用いたが、非金属元素で
あるVI族又はVII 族であってもよい。
【0407】半導体レーザ装置の構造をDH(Doub
le Hetero)レーザとしたが、DFB(Dis
tributed Feedback)レーザ、DBR
(Districted Bragg Reflect
or)レーザなど付加価値の高いレーザへの適応が可能
である。また、活性層の構造をPBH(PlanerB
uried Hetero)タイプとしたが、その他の
構造でもよい。
【0408】さらに、本実施形態においてはバルクタイ
プの活性層構造としたが、MQW構造、歪MQW構造、
量子細線、量子箱構造よりなる活性層構造でもよい。ま
た、光導波路層としてInGaAsPを用いたが、GR
IN(Graded Index)構造を有するInG
aAsPであってもよい。
【0409】なお、本実施形態においては、デバイスと
して、レーザ装置、受光素子、JFET及びHFETと
したが、他のデバイス、例えば、光導波路、光スイッ
チ、HEMT及びHBT等であってもよい。
【0410】また、結晶成長方法はMOVPE法とした
が、ガスソースMBE、MOMBE法のみならず、ハイ
ドライドVPE法など他の成長方法を用いてもよい。ま
た、半導体レーザ装置の製造方法と同様な方法により光
導波路を作製することもできる。
【0411】さらに、結晶基板の導電性としてn型基板
を用いたが、高光出力レーザ装置とする場合にはp側電
極の金属と半導体との接触抵抗を下げるためにp型基板
が用いられる。この場合も添加元素はp型とすればよ
い。
【0412】回折格子の形成方法もEB法を用いたが、
干渉露光法であってもよい。
【0413】
【発明の効果】請求項1の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、結晶格子の空孔の濃度が上昇するた
め、空孔の移動速度が格子間拡散種の移動速度よりも大
きくなるので、拡散種は空孔に捕獲されて格子置換型拡
散種となる。従って、格子置換型拡散種が結晶体の内部
を順次移動する拡散が行なわれるため、格子間に位置す
る格子間拡散種のみの低濃度領域が存在しないので、高
濃度領域のみを有し且つ開管成長法による大口径の半導
体結晶体を得ることができる。
【0414】請求項2、7、10、14、17、25、
29、32又は37の発明に係る半導体結晶体の製造方
法によると、半導体の原料はIII 族元素とV族元素より
なる化合物とを含んでいるため、V族元素の空孔濃度を
確実に上昇させることができる。
【0415】請求項3の発明に係る半導体結晶体の製造
方法によると、請求項2の発明に係る半導体結晶体の製
造方法の効果が得られる上に、結晶の成長界面に鏡面状
態が得られない非鏡面成長温度を、格子間拡散種の移動
速度が格子置換型拡散種の移動速度よりも小さくなる温
度としているため、格子置換型拡散種が結晶体の内部を
移動して高濃度領域のみからなる拡散が確実に行なわれ
ることになる。
【0416】請求項4又は11の発明に係る半導体結晶
体の製造方法によると、半導体結晶体の第1の結晶成長
温度の成長条件における拡散種の飽和濃度以上の拡散種
を供給するため、濃度が上昇した空孔に拡散種がさらに
取り込まれるので、格子置換型拡散種の濃度を確実に高
めることができる。
【0417】請求項5の発明に係る半導体結晶体による
と、結晶体を構成する元素の空孔の移動速度が格子間拡
散種の移動速度よりも大きくなるため、拡散種が空孔に
捕獲されるので、半導体結晶体は高濃度にドープされる
ことになる。
【0418】請求項6の発明に係る半導体結晶体の製造
方法によると、結晶成長用の基板の上面に選択的に結晶
を成長させるためのマスクパターンを設けない場合に比
べて、結晶成長温度を変えなくても、結晶の成長速度が
大きくなるため、成長中の結晶界面から拡散種が気相中
に再蒸発しにくくなるので、拡散種が高濃度にドープさ
れた半導体結晶体を得ることができる。
【0419】また、選択成長用のマスクパターンの開口
幅を小さくするにつれて、マスクされた領域の半導体原
料が開口領域に供給されることになるため、開口領域に
成長する半導体結晶体の成長速度も大きくなる。
【0420】請求項8の発明に係る半導体結晶体は、結
晶成長用の基板の上面に選択的に結晶を成長させるため
のマスクパターンの開口部に成長しているため、拡散種
が気相中に再蒸発しにくくなるので、半導体結晶体は拡
散種が高濃度にドープされることになる。
【0421】請求項9の発明に係る半導体結晶体による
と、請求項1の発明に係る半導体結晶体の製造方法の効
果が得られる上に、結晶成長温度の設定温度を変更する
のに比べて、原料ガスの分圧を変更する方が短時間に行
なえるため、成長工程に要する処理時間を短縮すること
ができると共に、成長する結晶体に与えるダメージを減
らすことができる。
【0422】請求項12の発明に係る半導体結晶体によ
ると、V族元素の空孔の移動速度が格子間拡散種の移動
速度よりも大きくなるため、拡散種が空孔に捕獲される
ので、半導体結晶体は高濃度にドープされることにな
る。
【0423】請求項13の発明に係る半導体結晶体によ
ると、請求項6の発明に係る半導体結晶体の製造方法の
効果が得られる上に、原料ガスの分解効率が低下するた
め、結晶格子の空孔の濃度が上昇するので、さらに高濃
度にドープされる。
【0424】請求項15の発明に係る半導体結晶体は、
請求項8の発明に係る半導体結晶体の効果が得られる上
に、V族元素を含む原料ガスの分解効率が低下する環境
下で成長しているため、V族元素の空孔の移動速度が格
子間拡散種の移動速度よりも大きくなるので、拡散種は
空孔に捕獲されることになり、これにより、半導体結晶
体は高濃度にドープされることになる。
【0425】請求項16の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1の半導体
結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求
項1及び4に係る半導体結晶体の製造方法により生成さ
れているため、格子置換型拡散種が第2の半導体結晶層
と第1の半導体結晶層の界面から第1の半導体結晶層に
固相拡散により拡散し、格子間に位置する格子間拡散種
のみの低濃度領域が存在しないので、高濃度領域のみを
有し且つ開管成長法による大口径の半導体結晶体を得る
ことができる。
【0426】請求項18の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、請求項16の発明に係る半導体結晶体
の製造方法の効果が得られる上に、拡散工程の後に、第
1の結晶成長温度下で熱処理を行なっているため、第1
の半導体結晶層において高濃度領域の拡散種が格子間に
移動するので、第1の半導体結晶層には格子間拡散種と
なる低濃度領域が形成される。
【0427】請求項19の発明に係る半導体結晶体によ
ると、不純物の拡散対象である第1の半導体結晶層に拡
散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求項16に係
る半導体結晶体の製造方法により生成されているため、
格子置換型拡散種が第2の半導体結晶層と第1の半導体
結晶層の界面から第1の半導体結晶層に固相拡散により
拡散し、格子間に位置する格子間拡散種のみの低濃度領
域が存在しないので、開管成長法により大口径を有する
半導体結晶体は、高濃度領域のみが形成されている。
【0428】請求項20又は34の発明に係る半導体結
晶体によると、不純物拡散領域に低濃度拡散領域が形成
されていないため、この半導体結晶体を半導体素子に用
いた場合に、キャリア等の制御性を高めることができ
る。
【0429】請求項21又は35の発明に係る半導体結
晶体によると、不純物拡散領域に格子間拡散種のみから
なる領域が形成されていないため、この半導体結晶体を
半導体素子に用いた場合に、キャリア等の制御性を高め
ることができる。
【0430】請求項22の発明に係る半導体結晶体によ
ると、第2の半導体結晶層は、格子置換型拡散種よりな
るキャリアが格子間拡散種によって補償されているため
高抵抗となる。
【0431】請求項23の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1の半導体
結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求
項6に係る半導体結晶体の製造方法により生成されてい
るため、飽和濃度に達した拡散種が第2の半導体結晶層
と第1の半導体結晶層の界面から第1の半導体結晶層に
固相拡散により拡散すると共に、選択成長用のマスクパ
ターンの開口部の開口幅を小さくすると拡散距離が大き
くなり、開口幅を大きくすると拡散距離が小さくなると
いう拡散距離の制御を行なうことができる。
【0432】請求項24の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、請求項23の発明に係る半導体結晶体
の製造方法の効果が得られる上に、拡散種の飽和濃度よ
りも大きい濃度の拡散種が供給されているため、第1の
半導体結晶層に拡散する拡散種の量が増えるので、拡散
距離が大きくなる。
【0433】請求項26の発明に係る半導体結晶体によ
ると、不純物の拡散対象である第1の半導体結晶層に拡
散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求項23に係
る半導体結晶体の製造方法により生成されているため、
第1の半導体結晶層の拡散領域は、選択成長用のマスク
パターンの開口幅に反比例して拡散距離が変化するの
で、半導体素子が互いに異なる拡散距離を有する複数の
拡散領域を必要とする場合に有効となる。
【0434】請求項27の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1の半導体
結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求
項6に係る半導体結晶体の製造方法により生成され且つ
第2の結晶成長温度の非鏡面成長温度に設定されている
ため、通常の成長条件下における拡散種の飽和濃度より
も大きくなるので、格子置換型拡散種が第2の半導体結
晶層と第1の半導体結晶層の界面から第1の半導体結晶
層に固相拡散により拡散すると共に、選択成長用のマス
クパターンの開口部の開口幅を小さくすると拡散濃度が
大きくなり、開口幅を大きくすると拡散濃度が小さくな
るという拡散濃度の制御を行なうことができる。
【0435】請求項28の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、請求項27の発明に係る半導体結晶体
の製造方法の効果が得られる上に、第1の結晶成長温度
の成長条件における拡散種の飽和濃度よりも大きくなる
ように拡散種を供給しているため、拡散種が第2の半導
体結晶層の高濃度領域にさらに取り込まれるので、第2
の半導体結晶層から第1の半導体結晶層に拡散する格子
置換型拡散種の拡散量も増加する。従って、第1の半導
体結晶層の拡散領域の拡散濃度がさらに大きくなる。
【0436】請求項30の発明に係る半導体結晶体によ
ると、不純物の拡散対象である第1の半導体結晶層に拡
散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求項27に係
る半導体結晶体の製造方法により生成されているため、
第1の半導体結晶層の拡散領域は、選択成長用のマスク
パターンの開口幅に反比例して拡散濃度が変化するの
で、半導体素子が互いに異なる拡散濃度を有する複数の
拡散領域を必要とする場合に有効となる。
【0437】請求項31の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1の半導体
結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求
項9及び11に係る半導体結晶体の製造方法により生成
されているため、格子置換型拡散種が第2の半導体結晶
層と第1の半導体結晶層の界面から第1の半導体結晶層
に固相拡散により拡散し、格子間に位置する格子間拡散
種のみの低濃度領域が存在しないので、高濃度領域のみ
を有し且つ開管成長法による大口径の半導体結晶体を得
ることができる。
【0438】請求項33の発明に係る半導体結晶体によ
ると、不純物の拡散対象である第1の半導体結晶層に拡
散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求項31に係
る半導体結晶体の製造方法により生成されているため、
格子置換型拡散種が第2の半導体結晶層と第1の半導体
結晶層の界面から第1の半導体結晶層に固相拡散により
拡散し、格子間に位置する格子間拡散種のみの低濃度領
域が存在しないので、開管成長法により大口径を有する
半導体結晶体は高濃度領域のみが形成されている。
【0439】請求項36の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1の半導体
結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求
項13に係る半導体結晶体の製造方法により生成されて
いるため、通常の成長条件下における拡散種の飽和濃度
よりも大きくなるので、格子置換型拡散種が第2の半導
体結晶層と第1の半導体結晶層の界面から第1の半導体
結晶層に固相拡散により拡散すると共に、選択成長用の
マスクパターンの開口部の開口幅を小さくすると拡散濃
度が大きくなり、開口幅を大きくすると拡散濃度が小さ
くなるという拡散濃度の制御を行なうことができる。
【0440】請求項38の発明に係る半導体結晶体によ
ると、不純物の拡散対象である第1の半導体結晶層に拡
散種を供給する第2の半導体結晶層は、請求項36に係
る半導体結晶体の製造方法により生成されているため、
第1の半導体結晶層の拡散領域は、選択成長用のマスク
パターンの開口幅に反比例して拡散濃度が変化するの
で、半導体素子が互いに異なる拡散濃度を有する複数の
拡散領域を必要とする場合に有効となる。
【0441】請求項39の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1及び第3
の半導体結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層
は、請求項1及び4に係る半導体結晶体の製造方法によ
り生成されているため、通常の第1の結晶成長温度の成
長条件下における拡散種の飽和濃度よりも大きくなる。
【0442】また、拡散工程において、通常の結晶成長
温度下で熱処理されるため、第2の半導体結晶体中の格
子間拡散種が第1及び第3の半導体結晶層に拡散する。
【0443】請求項40の発明に係る半導体結晶体によ
ると、請求項39の発明に係る半導体結晶体の製造方法
により生成されているため、拡散種が第2の半導体結晶
層から供給される第1及び第3の半導体結晶層には、格
子置換型拡散種からなる高濃度領域が形成され、通常の
界面が鏡面状態になる結晶成長温度下では格子置換型拡
散種よりも移動速度が大きいため、格子間拡散種からな
る低濃度領域が高濃度領域よりも内方に形成されてい
る。
【0444】請求項41の発明に係る半導体結晶体によ
ると、請求項5、8、26、30又は40の半導体結晶
体の効果が得られる上に、半導体結晶体の原料に少なく
ともV族元素を含む化合物を含むため、V族元素の空孔
濃度が確実に上昇することになる。
【0445】請求項42の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1及び第3
の半導体結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層
は、請求項9及び11に係る半導体結晶体の製造方法に
より生成されているため、原料ガスの分圧が1×10-3
Torrを越える通常の成長条件下における拡散種の飽
和濃度よりも大きくなる。
【0446】また、拡散工程において、通常の結晶成長
温度下で熱処理されるため、第2の半導体結晶体中の格
子置換型拡散種が第1及び3の半導体結晶層に拡散す
る。
【0447】請求項43の発明に係る半導体結晶体によ
ると、請求項42の発明に係る半導体結晶体の製造方法
により生成されているため、拡散種が第2の半導体結晶
層から供給される第1及び第3の半導体結晶層には、格
子置換型拡散種からなる高濃度領域のみが形成されてい
る。
【0448】請求項44の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、不純物の拡散対象である第1及び第3
の半導体結晶層に拡散種を供給する第2の半導体結晶層
は、請求項9及び11に係る半導体結晶体の製造方法に
より生成されているため、通常の成長条件下における拡
散種の飽和濃度よりも大きくなる。
【0449】また、第2の結晶層成長工程において、原
料ガスの分圧が1×10-3Torrを越える通常の圧力
に設定されるため、第2の半導体結晶体中の格子置換型
拡散種が第1及び3の半導体結晶層に拡散する。
【0450】請求項45の発明に係る半導体結晶体によ
ると、請求項44の発明に係る半導体結晶体の製造方法
により生成されているため、拡散種が第2の半導体結晶
層から供給される第1及び第3の半導体結晶層には、格
子置換型拡散種からなる高濃度領域のみが形成されてい
る。
【0451】請求項46の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、第1の半導体結晶層の上面部に多数の
凹部又は凸部を有する回折格子が形成されているため、
第1の半導体結晶層の上面において反応する拡散種は、
回折格子の各凹部が選択成長用のマスクとなるため、回
折格子の各凹部に拡散しやすくなるので、上面部に回折
格子を設けない場合に比べて回折格子の各凹部に拡散す
る拡散種の拡散速度が速くなる。これにより、回折格子
の各凹部に高濃度の拡散領域が格子状に形成された半導
体結晶体を得ることができる。
【0452】請求項47の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、請求項46の発明に係る半導体結晶体
の製造方法の効果が得られる上に、結晶の成長界面に鏡
面状態が得られない低温下で熱処理されるため、空孔の
濃度が上昇するので、さらに高濃度の拡散領域が回折格
子の各凹部に形成される。
【0453】請求項48の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、請求項46の発明に係る半導体結晶体
の製造方法の効果が得られる上に、原料ガスの分圧が通
常よりも低く設定された条件下で熱処理されるため、空
孔の濃度が上昇するので、さらに高濃度の拡散領域が回
折格子の各凹部に形成される。
【0454】請求項49の発明に係る半導体結晶体によ
ると、請求項46の発明に係る半導体結晶体の製造方法
により生成されているため、高濃度の拡散領域が格子状
に形成されているので、例えば、格子状にMQW層を崩
壊させることができる。これにより、MQW層を容易か
つ確実に量子細線構造にすることができる。
【0455】請求項50の発明に係る半導体結晶体の製
造方法によると、保護膜のエッチングレートは第2の半
導体結晶層のエッチングレートに比べて小さいため、第
2の半導体結晶層のみを確実に除去することができるた
め、続いて、保護膜を除去することにより、表面が鏡面
状態の第1の半導体結晶層を得ることができる。
【0456】請求項51の発明に係る半導体レーザ装置
によると、コンタクト層の一部は3×1018cm-3以上
のキャリア濃度を有しているため、コンタクト層の抵抗
が低減するので、従来コンタクト層に用いられているI
nGaAsPよりなる4元混晶に代えて、本発明に係る
コンタクト層を用いることにより熱抵抗が低減し、ま
た、光吸収が低減すると共に、クラッド層と結晶構造が
同一の場合は、従来必要とされてきた結晶条件の導出が
低減されることになる。
【0457】請求項52又は53の発明に係る半導体レ
ーザ装置の製造方法によると、コンタクト層における結
晶格子の空孔の濃度が上昇するため、不純物拡散濃度の
飽和濃度が上昇する。また、コンタクト層の通常の成長
条件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散
種を供給しているため、上昇した飽和濃度になるまで空
孔に拡散種が捕獲されると共に格子間にも拡散種が入り
込むので、コンタクト層は拡散種が高濃度にドーピング
されることになる。
【0458】請求項54の発明に係る半導体受光素子に
よると、活性層の不純物拡散領域には低濃度拡散領域が
形成されていないため、低濃度拡散領域による空乏層が
発生しなくなると共に、不純物拡散領域が3×1018
-3以上の高濃度のキャリア濃度を有しているため、高
濃度拡散領域による空乏層の広がりは大きくなる。従っ
て、ブレークダウン電圧が高く、且つ、高周波特性を良
好にすることができる。
【0459】請求項55又は56の発明に係る半導体受
光素子の製造方法によると、不純物供給層における結晶
格子の空孔の濃度が上昇するため、不純物拡散濃度の飽
和濃度が上昇する。また、不純物供給層の通常の成長条
件における拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種
を供給しているため、上昇した飽和濃度になるまで空孔
に拡散種が捕獲されると共に格子間にも拡散種が入り込
むので、不純物供給層は高濃度になる。従って、高濃度
の拡散種が不純物供給層から活性層に拡散するため、活
性層には高濃度の不純物拡散領域が形成されるので、ブ
レークダウン電圧が高く、且つ、高周波特性が優れた半
導体受光素子を得ることができる。
【0460】請求項57の発明に係る電界効果トランジ
スタによると、第2の不純物拡散領域は、第1の不純物
拡散領域よりもチャネル層の内方に大きいため、第2の
不純物拡散領域の空乏層の広がりが大きいので、第2の
不純物拡散領域を有するFETをディプレッション型と
して動作させることができると共に、第1の不純物拡散
領域を有するFETをコンプリメント型として動作させ
ることができる。
【0461】請求項58の発明に係る電界効果トランジ
スタによると、第2の不純物拡散領域は、第1の不純物
拡散領域よりも高濃度であるため、第2の不純物拡散領
域の空乏層の広がりが大きいので、第2の不純物拡散領
域を有するFETをディプレッション型として動作させ
ることができると共に、第1の不純物拡散領域を有する
FETをコンプリメント型として動作させることができ
る。
【0462】請求項59の発明に係る電界効果トランジ
スタの製造方法によると、エッチングストップ層の上に
成長する不純物供給層は、第1の不純物拡散形成領域に
比べてゲート長方向に幅の小さい第2の不純物拡散形成
領域の方が結晶の成長速度が速いため、拡散種が気相中
に再蒸発しにくくなるので、チャネル層における第2の
不純物拡散形成領域に形成される不純物供給層の方が早
く飽和濃度に達することになり、これにより、第2の不
純物拡散形成領域に形成される不純物拡散領域は第1の
不純物拡散形成領域に比べてチャネル層の内方に大きく
なる。
【0463】従って、ただ一回の不純物供給層成長工程
によって、ディプレッション型及びコンプリメント型と
して動作する接合型の電界効果トランジスタを得ること
ができるため、各不純物拡散領域の形状が優れているの
で、動作電圧が安定するモノリシック集積化された接合
型電界効果トランジスタによる演算素子を得ることがで
きる。
【0464】請求項60又は61の発明に係る電界効果
トランジスタの製造方法によると、エッチングストップ
層の上に成長する不純物供給層は、第1の不純物拡散形
成領域に比べてゲート長方向に幅の小さい第2の不純物
拡散形成領域の方が結晶の成長速度が速いため、拡散種
が気相中に再蒸発しにくくなるので、チャネル層におけ
る第2の不純物拡散形成領域に形成される不純物供給層
の方が飽和濃度が上昇することになり、これにより、第
2の不純物拡散形成領域に形成される不純物拡散領域の
第1の不純物拡散形成領域に比べて濃度が大きくなる。
【0465】従って、ただ一回の不純物供給層成長工程
によって、ディプレッション型及びコンプリメント型と
して動作する接合型の電界効果トランジスタを得ること
ができるため、各不純物拡散領域の形状が優れているの
で、動作電圧が安定するモノリシックに集積化された接
合型電界効果トランジスタによる演算素子を得ることが
できる。
【0466】請求項62の発明に係る半導体レーザ装置
によると、電流阻止層における不純物の拡散種が電流阻
止層の周縁部にも存在しているため、活性層からそれる
無効電流が低減される。
【0467】請求項63又は64の発明に係る半導体レ
ーザ装置の製造方法によると、電流阻止層における結晶
格子の空孔の濃度が上昇するため、不純物拡散濃度の飽
和濃度が上昇する。また、電流阻止層の成長条件におけ
る拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に拡散種を供給し
ているため、上昇した飽和濃度になるまで空孔に拡散種
が捕獲されると共に格子間にも拡散種が入り込むことに
なる。
【0468】また、熱処理工程において、電流阻止層を
該電流阻止層の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度
によって加熱するため、高濃度にドーピングされた電流
阻止層の格子間拡散種が、電流阻止層から該電流阻止層
の周縁部に鏡面状態となる結晶成長温度により決定され
る通常の飽和濃度になるまで拡散する。
【0469】従って、電流阻止層が活性層に近接してい
ることにより無効電流が低減される半導体レーザ装置を
得ることができる。
【0470】請求項65の発明に係る半導体レーザ装置
によると、活性層には不純物拡散領域が導波路方向に沿
って10nm〜200nmの間隔に形成されているた
め、不純物拡散領域が単一縦モード用の回折格子となる
ので、利得結合型の半導体レーザ装置を得ることができ
る。
【0471】請求項66の発明に係る半導体レーザによ
ると、光導波路層と障壁層とが交互に積層された活性層
には前記不純物拡散領域が導波路方向に沿って10nm
〜200nmの間隔に形成されているため、活性層の量
子井戸構造は導波路方向に沿った不純物により破壊され
ているので、活性層は量子細線構造となる。これによ
り、量子細線型の半導体レーザ装置を得ることができ
る。
【0472】請求項67の発明に係る半導体レーザによ
ると、光導波路層と障壁層とが交互に積層された活性層
には前記不純物拡散領域が導波路方向に沿って10nm
〜200nmの間隔に形成されているため、活性層の量
子井戸構造は導波路方向に対して垂直に形成された不純
物により破壊されているので、活性層は量子細線構造と
なる。これにより、量子細線型の半導体レーザ装置を得
ることができる。
【0473】請求項68の発明に係る半導体レーザ装置
の製造方法によると、回折格子形成工程において、不純
物拡散種を供給しながら回折格子を加熱するため、回折
格子形成膜の上面部に多数の凹部又は凸部を有する回折
格子が形成されているので、回折格子の各凹部が選択成
長用のマスクとなって、回折格子形成膜の上面で反応す
る半導体の原料は回折格子の各凹部に拡散しやすくな
り、回折格子形成膜の各凸部に比べて回折格子の各凹部
の拡散速度が速くなる。従って、回折格子の各凹部に不
純物濃度が大きい領域が形成されるため、量子井戸活性
層は格子状に崩壊して量子細線構造となる。
【0474】請求項69の発明に係る半導体レーザ装置
の製造方法によると、請求項68の発明に係る半導体レ
ーザ装置の製造方法の効果が得られる上に、回折格子形
成膜の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度よりも低
い温度に設定され、クラッド層成長工程は量子井戸活性
層形成膜の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度に設
定されるため、量子井戸活性層から容易に且つ確実に量
子細線活性層を形成できるので、利得結合型の半導体レ
ーザ装置又は量子細線型の半導体レーザ装置を確実に得
ることができる。
【0475】請求項70の発明に係る半導体レーザ装置
の製造方法によると、請求項68の発明に係る半導体レ
ーザ装置の製造方法の効果が得られる上に、熱処理工程
は原料ガスの分圧を1×10-3Torr以下に設定され
るため、量子井戸活性層から容易に且つ確実に量子細線
活性層を形成できるので、利得結合型の半導体レーザ装
置又は量子細線型の半導体レーザ装置を確実に得ること
ができる。
【0476】請求項71の発明に係る電界効果トランジ
スタによると、チャネル層に不純物拡散領域がゲート長
方向に沿って10nm〜200nmの間隔に形成されて
いるため、チャネル層はゲート長方向に延びる量子細線
構造を有することになるので、チャネル層内の電子の移
動度が増大するので、電界効果トランジスタの高速化を
図ることができる。
【0477】請求項72の発明に係る半導体レーザ装置
によると、第2導電型のクラッド層が形成される際に、
第2導電型のクラッド層から変調ドープ活性層に向かっ
て拡散する低濃度の拡散種を取り込むことができるた
め、変調ドープ活性層の変調ドープ構造を壊すことがな
いので、安定した特性の変調ドープ型の半導体レーザ装
置を得ることができる。
【0478】請求項73又は74の発明に係る半導体レ
ーザ装置の製造方法によると、拡散抑制層成長工程にお
いて、拡散抑制層における結晶格子の空孔の濃度が上昇
するため、格子置換型拡散種の移動速度は格子間拡散種
の移動速度よりも大きいので、低濃度領域のみの拡散領
域が形成されなくなり、これにより、変調ドープ活性層
の変調ドープ構造を壊すことがない。
【0479】さらに、次のクラッド層成長工程におい
て、拡散抑制層の空孔の濃度が上昇しているため、クラ
ッド層から変調ドープ活性層に向かって拡散する低濃度
の拡散種を取り込むことができるので、クラッド層成長
工程においても変調ドープ活性層の変調ドープ構造を壊
すことがない。
【0480】請求項75の発明に係る半導体レーザ装置
の製造方法によると、請求項73又は74の発明に係る
半導体レーザ装置の製造方法の効果が得られる上に、拡
散抑制層成長工程において、不純物拡散の拡散種を通常
の結晶成長条件における飽和濃度のほぼ2分の1に設定
するため、拡散種の供給量が少ないので、拡散抑制層に
おける結晶格子の空孔の濃度がさらに上昇することにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体結晶体の
構成図及び測定図であって、(a)は結晶成長直後の半
導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散後の半導
体結晶体の構成断面図であり、(c)は不純物濃度プロ
ファイル図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体結晶体の
拡散距離に対する不純物供給量依存性を表わす特性図で
ある。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体結晶体の
構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結
晶体の構成断面図であり、(b)はSIMS法による不
純物濃度プロファイル図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体結晶体の
拡散濃度に対する結晶の成長温度依存性を表わす特性図
である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る半導体結晶体の
構成図及び測定図であって、(a)は拡散後の半導体結
晶体の構成断面図であり、(b)はSIMS法による不
純物濃度プロファイル図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る半導体結晶体の
高濃度領域及び低濃度領域の各拡散距離に対する結晶の
成長温度依存性を表わす特性図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る半導体結晶体の
構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体結
晶体の構成断面図であり、(b)は格子置換型及び格子
間型の各不純物濃度に対する不純物の取り込み量依存性
を表わす特性図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る半導体結晶体の
構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体結
晶体の構成断面図であり、(b)は高濃度拡散後のホー
ル濃度に対するZnドープ層の拡散種の取り込み量依存
性を表わす特性図であり、(c)は不純物濃度に対する
不純物濃度の取り込み量依存性を表わす特性図である。
【図9】熱処理後のホール濃度に対するZnドープ層の
拡散種の取り込み量依存性を表わす特性図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る半導体結晶体
の断面図及び結晶成長温度プロファイル図であって、
(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図であ
り、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であ
り、(c)は半導体結晶体の成長工程の結晶成長温度プ
ロファイル図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る半導体結晶体
の構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体
結晶体の構成断面図であり、(b)は格子置換型の拡散
濃度に対するV族元素を含む原料ガス(=PH3 )の分
圧及び拡散種の供給量依存性を表わす特性図である。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る半導体結晶体
の構成図及び特性図であって、(a)は拡散後の半導体
結晶体の構成断面図であり、(b)は高濃度領域及び低
濃度領域の各拡散距離に対するV族元素を含む原料ガス
(=PH3 )の分圧依存性を表わす特性図である。
【図13】本発明の第9の実施形態に係る半導体結晶体
の断面図及び結晶成長温度プロファイルであって、
(a)は結晶成長直後の半導体結晶体の構成断面図であ
り、(b)は拡散後の半導体結晶体の構成断面図であ
り、(c)は半導体結晶体の成長工程のPH3 分圧プロ
ファイルである。
【図14】本発明の第10の実施形態に係る半導体結晶
体の構成図及び特性図であって、(a)は選択成長前の
基板の構成断面図であり、(b)は選択成長後の半導体
結晶体の構成断面図であり、(c)は拡散濃度比に対す
る結晶の膜厚比依存性を表わす特性図である。
【図15】本発明の第11の実施形態に係る半導体結晶
体の構成図及び特性図であって、(a)は選択成長後の
半導体結晶体の構成断面図であり、(b)は拡散濃度比
に対する結晶の膜厚比依存性を表わす特性図であり、
(c)は拡散距離に対する結晶の膜厚比依存性を表わす
特性図である。
【図16】本発明の第12の実施形態に係る半導体結晶
体の構成図及び特性図であって、(a)は選択成長後の
基板の構成断面図であり、(b)は拡散濃度比に対する
結晶の膜厚比依存性を表わす特性図である。
【図17】(a)〜(c)は本発明の第13の実施形態
に係る選択拡散による半導体結晶体の製造方法の工程順
断面図であって、(d)は熱処理工程及び埋込み工程の
結晶成長温度プロファイル図である。
【図18】(a)〜(c)は本発明の第14の実施形態
に係る半導体結晶体の製造方法の工程順断面図である。
【図19】本発明の第15の実施形態に係る半導体レー
ザ装置の構成図及び特性図であって、(a)は半導体レ
ーザ装置の構成断面図であり、(b)はコンタクト抵抗
に対するコンタクト層のキャリア濃度依存性を表わす特
性図である。
【図20】(a)〜(e)は本発明の第15の実施形態
に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図であ
る。
【図21】本発明の第15の実施形態に係る半導体レー
ザ装置の製造方法のプロファイル図であって、(a)は
結晶成長温度プロファイルを表わし、(b)は原料ガス
の分圧プロファイルを表わす。
【図22】本発明の第16の実施形態に係る半導体受光
素子の構成図及び特性図であって、(a)は半導体受光
素子の構成断面図であり、(b)はリーク電流に対する
逆方向電圧(=逆バイアス)依存性を表わす特性図であ
る。
【図23】(a)〜(d)は本発明の第16の実施形態
に係る半導体受光素子の製造方法の工程順断面図であ
る。
【図24】本発明の第17の実施形態に係る接合型電界
効果トランジスタを示す図であって、(a)は構成断面
図であり、(b)は回路図である。
【図25】(a)〜(d)は本発明の第17の実施形態
に係る接合型電界効果トランジスタの製造方法の工程順
断面図である。
【図26】本発明の第18の実施形態に係る接合型電界
効果トランジスタを示す構成断面図である。
【図27】(a)〜(d)は本発明の第18の実施形態
に係る接合型電界効果トランジスタの製造方法の工程順
断面図である。
【図28】本発明の第19の実施形態に係る半導体レー
ザ装置の構成図及び特性図であって、(a)は構成断面
図であり、(b)は従来の電流阻止層とキャリアの流れ
とを示した模式断面図であり、(c)は本実施形態に係
る電流阻止層とキャリアの流れとを示した模式断面図で
あり、(d)は光出力に対する電流依存性を表わす特性
図である。
【図29】(a)〜(e)は本発明の第19の実施形態
に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図であ
る。
【図30】本発明の第19の実施形態に係る半導体レー
ザ装置の製造方法のプロファイル図であって、(a)は
結晶成長温度プロファイルを表わし、(b)は原料ガス
の分圧プロファイルを表わす。
【図31】(a)〜(f)は本発明の第20の実施形態
に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図であ
る。
【図32】本発明の第20の実施形態に係る量子細線構
造のチャネル層を有する電界効果トランジスタの斜視図
である。
【図33】(a)〜(d)は本発明の第21の実施形態
に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順断面図であ
る。
【図34】本発明の第21の実施形態に係る半導体レー
ザ装置の製造方法のプロファイル図であって、(a)は
結晶成長温度プロファイルを表わし、(b)は原料ガス
の分圧プロファイルを表わす。
【図35】従来の開管拡散法による拡散深さに対する拡
散時間依存性を表わす特性図である。
【符号の説明】
11 基板 12 アンドープ層 12 第1のアンドープ層 12a 高濃度領域 12b 低濃度領域 13 Znドープ層 14 第2のアンドープ層 15 Znドープ領域 16 マスクパターン 17 高濃度結晶層 17a 高濃度拡散領域 18 中濃度結晶層 18a 中濃度拡散領域 19 低濃度結晶層 19a 低濃度拡散領域 11a 選択成長領域 11b 通常の成長領域 11c マスク領域 11d マスク領域 11e マスク領域 27 高濃度領域 28 エッチングストップ層 110 結晶成長工程 111 熱処理工程 114 熱処理工程 115 埋込み工程 116 p型クラッド成長工程 117 コンタクト層成長工程 118 熱処理工程 123 埋込み層成長工程 124 電流阻止層成長工程 125 クラッド層成長工程 126 コンタクト層成長工程 127 拡散抑制層成長工程 128 クラッド層成長工程 129 コンタクト層成長工程 201 基板 202 活性層 203 埋込み層 204 電流阻止層 205 p型クラッド層 206 コンタクト層 207 p側電極形成膜 208 n側電極形成膜 210 基板 211 活性層 211a p型不純物拡散領域 212 エッチングストップ層 213 p側電極 214 n側電極形成膜 215 パッシベーション膜 216 マスクパターン 217 不純物供給層 218 基板 219 チャネル層 219a 第1の不純物拡散領域 219b 第2の不純物拡散領域 219c 第1の空乏層 219d 第2の空乏層 219e 第1の不純物拡散領域 219f 第2の不純物拡散領域 220 エッチングストップ層 221 第1のゲート電極 222 第2のゲート電極 223 第1のソース電極 224 第2のソース電極 225 ドレイン電極 226 パッシベーション膜 227 マスクパターン 228A 第1の不純物供給層 228B 第2の不純物供給層 228C 第1の不純物供給層 228D 第2の不純物供給層 229 基板 230 活性層 230A 活性層形成膜 231 埋込み層 232 電流阻止層 233 n型クラッド層 234 コンタクト層 235 n側電極形成膜 236 p側電極形成膜 237 Znドープ領域 238 マスクパターン 239 基板 240A MQW活性層形成膜 240a MQW崩壊領域 240B 量子細線活性層形成膜 240C 量子細線活性層 241A 回折格子形成膜 241B 回折格子 242 高濃度領域 243A 回折格子埋込み層 244 活性層埋込み層 245 電流阻止層 246 クラッド層 247 コンタクト層 248 p側電極形成膜 249 n側電極形成膜 250 基板 251 チャネル層 251a MQW崩壊領域 252 高濃度領域 253 ソース・ドレイン拡散領域 254 ゲート電極 255 基板 256A 変調ドープ活性層形成膜 256B 変調ドープ活性層 257 マスクパターン 258 埋込み層 259 電流阻止層 260 拡散抑制層 261 クラッド層 262 コンタクト層 263 p側電極形成膜 264 n側電極形成膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/06 H01L 29/06 29/66 29/66 21/338 H01S 3/18 29/812 9447−4M H01L 29/80 B 21/337 9447−4M C 29/808 H01S 3/18 (72)発明者 石野 正人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (75)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体の原料に不純物拡散の拡散種を供
    給して反応させることにより、前記拡散種が結晶中に拡
    散する半導体結晶体を基板上に成長させる半導体結晶体
    の製造方法であって、 前記半導体結晶体の成長界面が鏡面状態となる第1の結
    晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度で前記半導体
    結晶体を成長させる成長工程を備えていることを特徴と
    する半導体結晶体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記半導体の原料は、III 族元素を含む
    化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物とを含むこ
    とを特徴とする請求項1に記載の半導体結晶体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記第2の結晶成長温度は前記拡散種の
    格子間拡散種の拡散速度が前記V族元素の空孔拡散速度
    よりも小さくなる温度であることを特徴とする請求項2
    に記載の半導体結晶体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記成長工程は、前記半導体結晶体の前
    記第1の結晶成長温度の成長条件における前記拡散種の
    飽和濃度以上に拡散種を供給することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の半導体結晶体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 基板上に、半導体結晶体の成長界面が鏡
    面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結晶
    成長温度に設定され、且つ、前記半導体結晶体の前記第
    1の結晶成長温度の成長条件における不純物拡散の拡散
    種の飽和濃度よりも大きい濃度の拡散種が原料に供給さ
    れることにより成長し、 前記拡散種の前記飽和濃度よりも大きい不純物濃度を有
    していることを特徴とする半導体結晶体。
  6. 【請求項6】 半導体の原料に不純物拡散の拡散種を供
    給して反応させることにより、前記拡散種が結晶中に拡
    散する半導体結晶体を基板上に成長させる半導体結晶体
    の製造方法であって、 前記基板上に前記半導体結晶体を選択的に成長させるた
    めの開口部を有するマスクパターンを形成するマスクパ
    ターン形成工程を備えていることを特徴とする半導体結
    晶体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記半導体の原料は、III 族元素を含む
    化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物とを含むこ
    とを特徴とする請求項6に記載の半導体結晶体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 選択的に結晶を成長させるためのマスク
    パターンが形成された基板の上に、不純物拡散の拡散種
    が原料に供給されて前記マスクパターンの開口部に成長
    し、 前記開口部を除く基板上に成長した結晶層の不純物濃度
    よりも大きい不純物濃度を有していることを特徴とする
    半導体結晶体。
  9. 【請求項9】 半導体の原料に不純物拡散の拡散種を供
    給して反応させることにより、前記拡散種が結晶中に拡
    散する半導体結晶体を基板上に成長させる半導体結晶体
    の製造方法であって、 前記半導体の原料は少なくともガスよりなる原料を含
    み、前記ガスの分圧を1×10-3Torr以下の成長条
    件で前記半導体結晶体を成長させる成長工程を備えてい
    ることを特徴とする半導体結晶体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記半導体の原料は、III 族元素を含
    む化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物とを含む
    ことを特徴とする請求項9に記載の半導体結晶体の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記成長工程は、前記ガスの分圧が1
    ×10-3Torrを越える前記半導体結晶体の通常の成
    長条件における前記拡散種の飽和濃度以上に前記拡散種
    を供給することを特徴とする請求項9又は10に記載の
    半導体結晶体の製造方法。
  12. 【請求項12】 基板上に、少なくともV族元素を含む
    原料ガスに不純物拡散の拡散種が供給され、前記原料ガ
    スの分圧を1×10-3Torr以下で且つ半導体結晶体
    の前記分圧が1×10-3Torrを越える通常の成長条
    件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度の前
    記拡散種が供給されることにより成長し、 前記拡散種の前記飽和濃度よりも大きい不純物濃度を有
    していることを特徴とする半導体結晶体。
  13. 【請求項13】 半導体の原料に不純物拡散の拡散種を
    供給して反応させることにより、前記拡散種が結晶中に
    拡散する半導体結晶体を基板上に成長させる半導体結晶
    体の製造方法であって、 前記基板上に前記半導体結晶体を選択的に成長させるた
    めの開口部を有するマスクパターンを形成するマスクパ
    ターン形成工程と、 前記半導体の原料は少なくともガスよりなる原料を含
    み、前記ガスの分圧を1×10-3Torr以下の成長条
    件で前記半導体結晶体を成長させる成長工程とを備えて
    いることを特徴とする半導体結晶体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記半導体の原料は、III 族元素を含
    む化合物とV族元素を含むガスよりなる化合物とを含む
    ことを特徴とする請求項13に記載の半導体結晶体の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 選択的に結晶を成長させるためのマス
    クパターンが形成された基板の上に、少なくともV族元
    素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散種が供給され、前
    記マスクパターンの開口部に前記原料ガスの分圧を1×
    10-3Torr以下の成長条件で成長しており、 前記開口部を除く基板上に成長する半導体結晶体の不純
    物濃度よりも大きい不純物濃度を有していることを特徴
    とする半導体結晶体。
  16. 【請求項16】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、原料に不純物拡散の拡散種を供給して
    反応させることにより第2の半導体結晶層を成長させる
    結晶層成長工程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記第1の
    半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
    種を固相拡散させる拡散工程とを備え、 前記結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の成長
    界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第
    2の結晶成長温度で且つ該第2の半導体結晶層の第1の
    結晶成長温度における前記拡散種の飽和濃度よりも大き
    い濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導
    体結晶層を成長させることを特徴とする半導体結晶体の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第2の半導体結晶層の原料は、II
    I 族元素を含む化合物とV族元素を含むガスよりなる化
    合物とを含むことを特徴とする請求項16に記載の半導
    体結晶体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記拡散工程の後に、前記第1の結晶
    成長温度に前記第1及び第2の半導体結晶層よりなる半
    導体結晶体を加熱する熱処理工程を含むことを特徴とす
    る請求項16又は17に記載の半導体結晶体の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、原料に不純物拡散の拡散種を供給して
    反応させることにより第2の半導体結晶層を成長させる
    結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の
    界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体
    結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備
    え、前記結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の
    成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低
    い第2の結晶成長温度で且つ該第2の半導体結晶層の第
    1の結晶成長温度における前記拡散種の飽和濃度よりも
    大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の
    半導体結晶層を成長させる製造方法により製造された半
    導体結晶体であって、 前記半導体結晶体は前記第1の半導体結晶層における、
    該第1及び前記第2の半導体結晶層の界面部に前記拡散
    種の前記飽和濃度よりも大きい不純物拡散領域を有して
    いることを特徴とする半導体結晶体。
  20. 【請求項20】 前記半導体結晶体の不純物拡散領域に
    は低濃度拡散領域が形成されていないことを特徴とする
    請求項19に記載の半導体結晶体。
  21. 【請求項21】 前記半導体結晶体の不純物拡散領域に
    は結晶格子における格子間拡散種のみからなる領域が形
    成されていないことを特徴とする請求項19に記載の半
    導体結晶体。
  22. 【請求項22】 前記半導体結晶体の前記第2の半導体
    結晶層には結晶格子における格子間拡散種と格子置換型
    拡散種とが混在しており、 前記格子置換型拡散種よりなるキャリアが前記格子間拡
    散種によって補償されていることを特徴とする請求項1
    9に記載の半導体結晶体。
  23. 【請求項23】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、開口部を有するマスクパターンを選択
    的に形成するマスクパターン形成工程と、 原料に不純物拡散の拡散種を供給して反応させることに
    より前記第1の半導体結晶層における前記マスクパター
    ンの開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成
    長工程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記第1の
    半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
    種を固相拡散させる拡散工程とを備えていることを特徴
    とする半導体結晶体の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記結晶層成長工程は、前記第2の半
    導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる成長条件におけ
    る前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度の該拡散種を
    供給する成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長させ
    ることを特徴とする請求項23に記載の半導体結晶体の
    製造方法。
  25. 【請求項25】 前記第2の半導体結晶層の原料は、II
    I 族元素を含む化合物とV族元素を含むガスよりなる化
    合物とを含むことを特徴とする請求項23又は24に記
    載の半導体結晶体の製造方法。
  26. 【請求項26】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、開口部を有するマスクパターンを選択
    的に形成するマスクパターン形成工程と、不純物拡散の
    拡散種が原料に供給され、前記第1の半導体結晶層にお
    ける前記マスクパターンの開口部に第2の半導体結晶層
    を成長させる結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半
    導体結晶層の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記
    第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡
    散工程とを備えた製造方法により製造された半導体結晶
    体であって、 前記マスクパターンの開口部からの拡散により形成され
    た前記第1の半導体結晶層の不純物拡散領域の上面から
    の深さが、前記開口部の大きさに反比例していることを
    特徴とする半導体結晶体。
  27. 【請求項27】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、開口部を有するマスクパターンを選択
    的に形成するマスクパターン形成工程と、 原料に不純物拡散の拡散種を供給して反応させることに
    より前記第1の半導体結晶層における前記マスクパター
    ンの開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成
    長工程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記第1の
    半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
    種を固相拡散させる拡散工程とを備え、 前記結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の成長
    界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第
    2の結晶成長温度で前記第2の半導体結晶層を成長させ
    ることを特徴とする半導体結晶体の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記結晶層成長工程は、前記第2の半
    導体結晶層の前記第1の結晶成長温度の成長条件におけ
    る前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を
    供給する成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長させ
    ることを特徴とする請求項27に記載の半導体結晶体の
    製造方法。
  29. 【請求項29】 前記第2の半導体結晶層の原料は、II
    I 族元素を含む化合物とV族元素を含むガスよりなる化
    合物とを含むことを特徴とする請求項27又は28に記
    載の半導体結晶体の製造方法。
  30. 【請求項30】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、開口部を有するマスクパターンを選択
    的に形成するマスクパターン形成工程と、不純物拡散の
    拡散種が原料に供給され、前記第1の半導体結晶層にお
    ける前記マスクパターンの開口部に第2の半導体結晶層
    を成長させる結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半
    導体結晶層の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記
    第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡
    散工程とを備え、前記結晶層成長工程は、前記第2の半
    導体結晶層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長
    温度よりも低い第2の結晶成長温度で前記第2の半導体
    結晶層を成長させる製造方法により製造された半導体結
    晶体であって、 前記マスクパターンの開口部から拡散することにより形
    成された前記第1の半導体結晶層の不純物拡散領域の不
    純物濃度が、前記開口部の大きさに反比例していること
    を特徴とする半導体結晶体。
  31. 【請求項31】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、半導体の原料に少なくともガスよりな
    る原料を含み、該原料に不純物拡散の拡散種を供給して
    反応させることにより第2の半導体結晶層を成長させる
    結晶層成長工程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記第1の
    半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
    種を固相拡散させる拡散工程とを備え、 前記結晶層成長工程は、前記ガスの分圧を1×10-3
    orr以下で且つ前記ガスの分圧が1×10-3Torr
    を越える前記第2の半導体結晶層の通常の成長条件にお
    ける前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種
    を供給する成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長さ
    せることを特徴とする半導体結晶体の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記第2の半導体結晶層の原料は、II
    I 族元素を含む化合物とV族元素を含むガスよりなる化
    合物とを含むことを特徴とする請求項31に記載の半導
    体結晶体の製造方法。
  33. 【請求項33】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、少なくともV族元素を含む原料ガスに
    不純物拡散の拡散種を供給し第2の半導体結晶層を成長
    させる結晶層成長工程と、前記第1及び第2の半導体結
    晶層の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2の
    半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程
    とを備え、前記結晶層成長工程は、前記ガスの分圧を1
    ×10-3Torr以下で且つ前記ガスの分圧が1×10
    -3Torrを越える前記第2の半導体結晶層の通常の成
    長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度
    に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導体結晶
    層を成長させる製造方法により製造された半導体結晶体
    であって、 前記半導体結晶体は前記第1の半導体結晶層における、
    該第1及び前記第2の半導体結晶層の界面部に前記拡散
    種の前記飽和濃度よりも大きい不純物拡散領域を有して
    いることを特徴とする半導体結晶体。
  34. 【請求項34】 前記半導体結晶体の不純物拡散領域に
    は低濃度拡散領域が形成されていないことを特徴とする
    請求項33に記載の半導体結晶体。
  35. 【請求項35】 前記半導体結晶体の不純物拡散領域に
    は格子間拡散種のみからなる領域が形成されていないこ
    とを特徴とする請求項33に記載の半導体結晶体。
  36. 【請求項36】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、開口部を有するマスクパターンを選択
    的に形成するマスクパターン形成工程と、 半導体の原料に少なくともガスよりなる原料を含み、該
    原料に不純物拡散の拡散種を供給して反応させることに
    より前記第1の半導体結晶層における前記マスクパター
    ンの開口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成
    長工程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記第1の
    半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
    種を固相拡散させる拡散工程とを備え、 前記結晶層成長工程は、前記ガスの分圧を1×10-3
    orr以下の成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長
    させることを特徴とする半導体結晶体の製造方法。
  37. 【請求項37】 前記第2の半導体結晶層の原料は、II
    I 族元素を含む化合物とV族元素を含むガスよりなる化
    合物とを含むことを特徴とする請求項36に記載の半導
    体結晶体の製造方法。
  38. 【請求項38】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、開口部を有するマスクパターンを選択
    的に形成するマスクパターン形成工程と、少なくともV
    族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散種を供給し前
    記第1の半導体結晶層における前記マスクパターンの開
    口部に第2の半導体結晶層を成長させる結晶層成長工程
    と、前記第1及び第2の半導体結晶層の界面から前記第
    1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記
    拡散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記結晶層
    成長工程は、前記ガスの分圧を1×10-3Torr以下
    の成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長させる製造
    方法により製造された半導体結晶体であって、 前記マスクパターンの開口部から拡散することにより形
    成された前記第1の半導体結晶層の不純物拡散領域の不
    純物濃度が、前記開口部の大きさに反比例していること
    を特徴とする半導体結晶体。
  39. 【請求項39】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、不純物拡散の拡散種が原料に供給さ
    れ、第2の半導体結晶層を成長させる第1の結晶層成長
    工程と、 前記第2の半導体結晶層の上面に不純物拡散の対象であ
    る第3の半導体結晶層を成長させる第2の結晶層成長工
    程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の第1の界面から前記
    第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前
    記拡散種を固相拡散させると共に、前記第2及び第3の
    半導体結晶層の第2の界面から前記第3の半導体結晶層
    中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散
    させる拡散工程とを備え、 前記第1の結晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層
    の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも
    低い第2の結晶成長温度で且つ該第2の半導体結晶層の
    前記第1の結晶成長温度における前記拡散種の飽和濃度
    よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記
    第2の半導体結晶層を成長させ、 前記拡散工程は、前記第3の半導体結晶層の成長界面が
    鏡面状態となる結晶成長温度で前記第3の半導体結晶層
    を加熱することを特徴とする半導体結晶体の製造方法。
  40. 【請求項40】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、不純物拡散の拡散種が原料に供給さ
    れ、第2の半導体結晶層を成長させる第1の結晶層成長
    工程と、前記第2の半導体結晶層の上面に不純物拡散の
    対象である第3の半導体結晶層を成長させる第2の結晶
    層成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の第1
    の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導
    体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させると共に、前記
    第2及び第3の半導体結晶層の第2の界面から前記第3
    の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡
    散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記第1の結
    晶層成長工程は、前記第2の半導体結晶層の成長界面が
    鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の結
    晶成長温度で且つ該第2の半導体結晶層の前記第1の結
    晶成長温度における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい
    濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導体
    結晶層を成長させ、前記拡散工程は、前記第3の半導体
    結晶層の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度で前記
    第3の半導体結晶層を加熱する製造方法により製造され
    た半導体結晶体であって、 前記半導体結晶体の各不純物拡散領域には結晶格子にお
    ける格子置換型拡散種による飽和濃度領域と格子間拡散
    種のみからなる低濃度領域とがそれぞれ形成されている
    ことを特徴とする半導体結晶体。
  41. 【請求項41】 前記半導体結晶体の原料は、少なくと
    もV族元素を含む化合物を含むことを特徴とする請求項
    5、8、26、30及び40のいずれか1項に記載の半
    導体結晶体。
  42. 【請求項42】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、少なくともV族元素を含む原料ガスに
    不純物拡散の拡散種を供給し第2の半導体結晶層を成長
    させる第1の結晶層成長工程と、 前記第2の半導体結晶層の上面に第3の半導体結晶層を
    成長させる第2の結晶層成長工程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の第1の界面から前記
    第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前
    記拡散種を固相拡散させると共に、前記第2及び第3の
    半導体結晶層の第2の界面から前記第3の半導体結晶層
    中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散
    させる拡散工程とを備え、 前記第1の結晶層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1
    ×10-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×
    10-3Torrを越える前記第2の半導体結晶層の通常
    の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい
    濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導体
    結晶層を成長させ、 前記拡散工程は、前記第3の半導体結晶層の成長界面が
    鏡面状態となる結晶成長温度で前記第3の半導体結晶層
    を加熱することを特徴とする半導体結晶体の製造方法。
  43. 【請求項43】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、少なくともV族元素を含む原料ガスに
    不純物拡散の拡散種を供給し第2の半導体結晶層を成長
    させる第1の結晶層成長工程と、前記第2の半導体結晶
    層の上面に第3の半導体結晶層を成長させる第2の結晶
    成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の第1の
    界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体
    結晶層中の前記拡散種を固相拡散させると共に、前記第
    2及び第3の半導体結晶層の第2の界面から前記第3の
    半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散
    種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記第1の結晶
    層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1×10-3Tor
    r以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×10-3Torr
    を越える前記第2の半導体結晶層の通常の成長条件にお
    ける前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種
    を供給する成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長さ
    せ、前記拡散工程は、前記第3の半導体結晶層の成長界
    面が鏡面状態となる結晶成長温度で前記第3の半導体結
    晶層を加熱する製造方法により製造された半導体結晶で
    あって、 前記半導体結晶体の各不純物拡散領域には結晶格子にお
    ける格子置換型拡散種による飽和濃度領域のみがそれぞ
    れ形成されていることを特徴とする半導体結晶体。
  44. 【請求項44】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、少なくともV族元素を含む原料ガスに
    不純物拡散の拡散種を供給し第2の半導体結晶層を成長
    させる第1の結晶層成長工程と、 前記第2の半導体結晶層の上面に第3の半導体結晶層を
    成長させる第2の結晶層成長工程と、 前記第1及び第2の半導体結晶層の第1の界面から前記
    第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前
    記拡散種を固相拡散させると共に、前記第2及び第3の
    半導体結晶層の第2の界面から前記第3の半導体結晶層
    中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡散種を固相拡散
    させる拡散工程とを備え、 前記第1の結晶層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1
    ×10-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×
    10-3Torrを越える前記第2の半導体結晶層の通常
    の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい
    濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記第2の半導体
    結晶層を成長させ、 前記第2の結晶層成長工程は、前記原料ガスの分圧が1
    ×10-3Torrを越える通常の圧力で前記第3の半導
    体結晶層を成長させることを特徴とする半導体結晶体の
    製造方法。
  45. 【請求項45】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、少なくともV族元素を含む原料ガスに
    不純物拡散の拡散種を供給し第2の半導体結晶層を成長
    させる第1の結晶層成長工程と、前記第2の半導体結晶
    層の上面に第3の半導体結晶層を成長させる第2の結晶
    層成長工程と、前記第1及び第2の半導体結晶層の第1
    の界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導
    体結晶層中の前記拡散種を固相拡散させると共に、前記
    第2及び第3の半導体結晶層の第2の界面から前記第3
    の半導体結晶層中に前記第2の半導体結晶層中の前記拡
    散種を固相拡散させる拡散工程とを備え、前記第1の結
    晶層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1×10-3To
    rr以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×10-3Tor
    rを越える前記第2の半導体結晶層の通常の成長条件に
    おける前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散
    種を供給する成長条件で前記第2の半導体結晶層を成長
    させ、前記第2の結晶層成長工程は、前記原料ガスの分
    圧を通常の圧力で前記第3の半導体結晶層を成長させる
    製造方法により製造された半導体結晶体であって、 前記半導体結晶体の各不純物拡散領域には結晶格子にお
    ける格子置換型拡散種による飽和濃度領域のみがそれぞ
    れ形成されていることを特徴とする半導体結晶体。
  46. 【請求項46】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面部に多数の凹部又は凸部を有する回折格子
    を形成する回折格子形成工程と、 前記第1の半導体結晶層を熱処理する熱処理工程と、 前記第1の半導体結晶層における前記結晶格子の上に第
    2の半導体結晶層を成長させて前記回折格子を埋め込む
    埋込み工程とを備え、 前記熱処理工程は、前記第1の半導体結晶層が不純物の
    拡散種が供給されることにより、前記回折格子の各凹部
    に前記拡散種よりなる高濃度の拡散領域を選択的に形成
    する工程を含むことを特徴とする半導体結晶体の製造方
    法。
  47. 【請求項47】 前記熱処理工程は、前記第1の半導体
    結晶層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度
    よりも低い第2の結晶成長温度で前記第1の半導体結晶
    層を加熱することを特徴とする請求項46に記載の半導
    体結晶体の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記第1及び第2の半導体結晶層は少
    なくともV族元素を含む原料ガスを原料に含み、 前記熱処理工程は、前記原料ガスの分圧を1×10-3
    orr以下で前記第1の半導体結晶層を加熱することを
    特徴とする請求項46に記載の半導体結晶体の製造方
    法。
  49. 【請求項49】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面部に多数の凹部又は凸部を有する回折格子
    を形成する回折格子形成工程と、前記第1の半導体結晶
    層を熱処理する熱処理工程と、前記第1の半導体結晶層
    における前記結晶格子の上に第2の半導体結晶層を成長
    させて前記回折格子を埋め込む埋込み工程とを備え、前
    記熱処理工程は、前記第1の半導体結晶層が不純物の拡
    散種が供給されることにより、前記回折格子の各凹部に
    前記拡散種よりなる高濃度の拡散領域を選択的に形成す
    る工程を含む製造方法により製造された半導体結晶体で
    あって、 前記高濃度の拡散領域が格子状に形成されていることを
    特徴とする半導体結晶体。
  50. 【請求項50】 不純物拡散の対象である第1の半導体
    結晶層の上面に、該第1の半導体結晶層の表面を保護す
    る保護膜を堆積する保護膜堆積工程と、 原料に不純物拡散の拡散種を供給し前記保護膜の上面に
    第2の半導体結晶層を成長させる第1の結晶層成長工程
    と、 前記保護膜を通して前記第1及び第2の半導体結晶層の
    界面から前記第1の半導体結晶層中に前記第2の半導体
    結晶層中の前記拡散種を固相拡散させる拡散工程と、 前記第2の半導体結晶層と前記保護膜とに対してそれぞ
    れエッチングを行なって除去するエッチング工程とを備
    え、 前記保護膜のエッチングレートは前記第2の半導体結晶
    層のエッチングレートに比べて小さいことを特徴とする
    半導体結晶体の製造方法。
  51. 【請求項51】 クラッド層である基板上に形成され、
    レーザビームを放射する活性層と、 前記基板の上に形成され、前記活性層の短辺方向の周縁
    部を埋める埋込み層と、 前記埋込み層の上に形成され、電極とのオーミック接合
    を図るコンタクト層を備え、 前記コンタクト層の一部が3×1018cm-3以上のキャ
    リア濃度を有していることを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  52. 【請求項52】 基板の上に活性層形成膜を成長させる
    活性層形成膜成長工程と、 前記活性層形成膜に対してエッチングを行なってストラ
    イプ状の活性層を形成する活性層形成工程と、 前記基板の上における前記活性層の短辺方向の周縁部を
    埋める埋込み層を成長させる埋込み層成長工程と、 不純物拡散の拡散種が原料に供給され、前記活性層及び
    埋込み層の上に全面にわたって電極とのオーミック接合
    を図るコンタクト層を成長させるコンタクト層成長工程
    と、 前記コンタクト層の上に電極形成膜を蒸着する蒸着工程
    とを備え、 前記コンタクト層成長工程は、前記コンタクト層の成長
    界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第
    2の結晶成長温度で且つ前記コンタクト層の前記第1の
    結晶成長温度の成長条件における前記拡散種の飽和濃度
    よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記
    コンタクト層を成長させることを特徴とする半導体レー
    ザ装置の製造方法。
  53. 【請求項53】 基板の上に活性層形成膜を成長させる
    活性層形成膜成長工程と、 前記活性層形成膜に対してエッチングを行なってストラ
    イプ状の活性層を形成する活性層形成工程と、 前記基板の上における前記活性層の短辺方向の周縁部を
    埋める埋込み層を成長させる埋込み層成長工程と、 少なくともV族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散
    種を供給し、前記活性層及び埋込み層の上に全面にわた
    って電極とのオーミック接合を図るコンタクト層を成長
    させるコンタクト層成長工程と、 前記コンタクト層の上に電極形成膜を蒸着する蒸着工程
    とを備え、 前記コンタクト層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1
    ×10-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×
    10-3Torrを越える前記コンタクト層の通常の成長
    条件における前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に
    該拡散種を供給する成長条件で前記コンタクト層を成長
    させることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
  54. 【請求項54】 第1導電型の基板と、 前記基板の上に形成され、第2導電型の不純物拡散領域
    を有する活性層とを備え、 前記不純物拡散領域には低濃度拡散領域が形成されてお
    らず、且つ、該不純物拡散領域は3×1018cm-3以上
    のキャリア濃度を有していることを特徴とする半導体受
    光素子。
  55. 【請求項55】 第1導電型の基板の上に活性層と、該
    活性層を保護するエッチングストップ層とを順次成長さ
    せる活性層成長工程と、 第2導電型の不純物拡散の拡散種が原料に供給され、前
    記エッチングストップ層の上に、前記活性層における受
    光領域に前記拡散種を拡散する不純物供給層を選択的に
    成長させる不純物供給層成長工程と、 前記不純物供給層に対して選択的にエッチングを行なっ
    て該不純物供給層を除去するエッチング工程とを備え、 前記不純物供給層成長工程は、前記不純物供給層の成長
    界面が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第
    2の結晶成長温度で且つ前記不純物供給層の前記第1の
    結晶成長温度の成長条件における前記拡散種の飽和濃度
    よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記
    不純物供給層を成長させることを特徴とする半導体受光
    素子の製造方法。
  56. 【請求項56】 第1導電型の基板の上に活性層と、該
    活性層を保護するエッチングストップ層とを成長させる
    活性層成長工程と、 少なくともV族元素を含む原料ガスに第2導電型の不純
    物拡散の拡散種を供給し、前記エッチングストップ層の
    上に、前記活性層における受光領域に前記拡散種を拡散
    する不純物供給層を選択的に成長させる不純物供給層成
    長工程と、 前記不純物供給層に対して選択的にエッチングを行なっ
    て該不純物供給層を除去するエッチング工程とを備え、 前記原料ガスの分圧を1×10-3Torr以下で且つ前
    記原料ガスの分圧が1×10-3Torrを越える前記不
    純物供給層の通常の成長条件における前記拡散種の飽和
    濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で
    前記不純物供給層を成長させることを特徴とする半導体
    受光素子の製造方法。
  57. 【請求項57】 基板上にチャネル層と、 前記チャネル層の上面部に該チャネル層とは導電型が異
    なる第1及び第2の各不純物拡散領域がそれぞれ形成さ
    れ、 前記第2の不純物拡散領域は前記第1の不純物拡散領域
    よりも前記チャネル層の内方に大きいことを特徴とする
    接合型の電界効果トランジスタ。
  58. 【請求項58】 基板上にチャネル層と、 前記チャネル層の上面部に該チャネル層とは導電型が異
    なる第1及び第2の各不純物拡散領域がそれぞれ形成さ
    れ、 前記第2の不純物拡散領域の不純物濃度は、前記第1の
    不純物拡散領域の不純物濃度よりも大きいことを特徴と
    する接合型の電界効果トランジスタ。
  59. 【請求項59】 基板の上にチャネル層と、該チャネル
    層を保護するエッチングストップ層とを順次成長させる
    チャネル層成長工程と、 前記エッチングストップ層の上に全面にわたって絶縁膜
    を堆積し、該絶縁膜に対して選択的にエッチングを行な
    うことにより、第1及び第2の不純物拡散形成領域をそ
    れぞれ形成する不純物拡散形成領域形成工程と、 前記チャネル層と導電型が異なる不純物拡散の拡散種が
    原料に供給され、前記エッチングストップ層の上におけ
    る第1及び第2の各不純物拡散形成領域に前記拡散種を
    それぞれ拡散する不純物供給層を選択的に成長させる不
    純物供給層成長工程と、 前記不純物供給層に対して選択的にエッチングを行なっ
    て該不純物供給層を除去するエッチング工程とを備え、 前記不純物拡散形成領域形成工程は、前記第2の不純物
    拡散形成領域のゲート長方向の幅を前記第1の不純物拡
    散形成領域のゲート長方向の幅よりも小さくなるように
    形成する工程を含むことを特徴とする接合型の電界効果
    トランジスタの製造方法。
  60. 【請求項60】 前記不純物供給層成長工程は、前記不
    純物供給層の成長界面が鏡面状態となる第1の結晶成長
    温度よりも低い第2の結晶成長温度で且つ前記不純物供
    給層の前記第1の結晶成長温度の成長条件における前記
    拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を供給す
    る成長条件で前記不純物供給層を成長させることを特徴
    とする請求項59に記載の電界効果トランジスタの製造
    方法。
  61. 【請求項61】 前記不純物供給層成長工程は、前記原
    料ガスの分圧を1×10-3Torr以下で且つ前記原料
    ガスの分圧が1×10-3Torrを越える前記不純物供
    給層の通常の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よ
    りも大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記不
    純物供給層を成長させることを特徴とする請求項59に
    記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  62. 【請求項62】 クラッド層である基板上に形成され、
    レーザビームを放射する活性層と、 前記基板の上における、前記活性層の短辺方向の周縁部
    に形成されており、前記活性層に注入されるキャリアの
    密度を高めるための不純物が拡散された電流阻止層とを
    備え、 前記電流阻止層における前記不純物の拡散種が該電流阻
    止層の周縁部にも存在していることを特徴とする半導体
    レーザ装置。
  63. 【請求項63】 第1導電型のクラッド層である基板の
    上に活性層形成膜を成長させる活性層形成膜成長工程
    と、 前記活性層形成膜に対して選択的にエッチングを行なっ
    てストライプ状の活性層を形成する活性層形成工程と、 不純物拡散の拡散種が原料に供給され、前記活性層の短
    辺方向の周縁部に、前記活性層に注入されるキャリアの
    密度を高めるための電流阻止層を成長させる電流阻止層
    成長工程と、 前記活性層及び電流阻止層の上に全面にわたって第2導
    電型のクラッド層を成長させるクラッド層成長工程とを
    備え、 前記電流阻止層成長工程は、前記電流阻止層の成長界面
    が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の
    結晶成長温度で且つ前記電流阻止層の前記第1の結晶成
    長温度の成長条件における前記拡散種の飽和濃度よりも
    大きい濃度に該拡散種を供給する成長条件で前記電流阻
    止層を成長させ、 前記電流阻止層成長工程の後に、前記第1の結晶成長温
    度で前記基板を加熱することを特徴とする半導体レーザ
    装置の製造方法。
  64. 【請求項64】 第1導電型のクラッド層である基板の
    上に活性層形成膜を成長させる活性層形成膜成長工程
    と、 前記活性層形成膜に対して選択的にエッチングを行なっ
    てストライプ状の活性層を形成する活性層形成工程と、 少なくともV族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散
    種を供給し、前記活性層の短辺方向の周縁部に、前記活
    性層に注入されるキャリアの密度を高めるための電流阻
    止層を成長させる電流阻止層成長工程と、 前記活性層及び電流阻止層の上に全面にわたって第2導
    電型のクラッド層を成長させるクラッド層成長工程とを
    備え、 前記電流阻止層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1×
    10-3Torr以下で且つ前記原料ガスの分圧が1×1
    -3Torrを越える前記電流阻止層の通常の成長条件
    の前記拡散種の飽和濃度よりも大きい濃度に該拡散種を
    供給する成長条件で前記電流阻止層を成長させ、 前記電流阻止層成長工程の後に、結晶の成長界面が鏡面
    状態となる結晶成長温度で前記基板を加熱することを特
    徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
  65. 【請求項65】 第1導電型のクラッド層である基板上
    に形成され、部分的に高濃度の不純物拡散領域を有し、
    井戸層と障壁層とが交互に積層された活性層と、 前記活性層の上に形成され、該活性層を埋め込む第2導
    電型のクラッド層とを備え、 前記活性層には前記不純物拡散領域が導波路方向に沿っ
    て10nm〜200nmの間隔に形成されていることを
    特徴とする利得結合型の半導体レーザ装置。
  66. 【請求項66】 第1導電型のクラッド層である基板上
    に形成され、部分的に高濃度の不純物拡散領域を有し、
    井戸層と障壁層とが交互に積層された活性層と、 前記活性層の上に形成され、該活性層を埋め込む第2導
    電型のクラッド層とを備え、 前記活性層には前記不純物拡散領域が導波路方向に沿っ
    て10nm〜200nmの間隔に形成されていることを
    特徴とする量子細線型の半導体レーザ装置。
  67. 【請求項67】 第1導電型のクラッド層である基板上
    に形成され、部分的に高濃度の不純物拡散領域を有する
    活性層と、 前記活性層の上に形成され、該活性層を埋め込む第2導
    電型のクラッド層とを備え、 前記活性層には前記不純物拡散領域が導波路方向に対し
    て垂直な方向で且つ10nm〜200nmの間隔に形成
    されていることを特徴とする量子細線型の半導体レーザ
    装置。
  68. 【請求項68】 第1導電型のクラッド層である基板の
    上に井戸層と障壁層とが交互に積層された量子井戸活性
    層形成膜を成長させる活性層形成膜成長工程と、 前記量子井戸活性層形成膜の上に全面にわたって回折格
    子形成膜を成長させ、該回折格子形成膜の上面部に多数
    の凹部又は凸部を有する回折格子を形成する回折格子形
    成工程と、 前記量子井戸活性層形成膜に対して選択的にエッチング
    を行なってストライプ状の量子井戸活性層を形成する量
    子井戸活性層形成工程と、 前記量子井戸活性層及び基板の上に全面にわたって第2
    導電型のクラッド層を成長させるクラッド層成長工程と
    を備え、 前記回折格子形成工程は、不純物拡散種を供給しながら
    前記回折格子を加熱する熱処理工程を含むことを特徴と
    する半導体レーザ装置の製造方法。
  69. 【請求項69】 前記熱処理工程における加熱温度は、
    前記回折格子形成膜の成長界面が鏡面状態となる第1の
    結晶成長温度よりも低い第2の結晶成長温度であり、 前記クラッド層成長工程は、前記量子井戸活性層形成膜
    の成長界面が鏡面状態となる結晶成長温度で第2導電型
    のクラッド層を成長させることを特徴とする請求項68
    に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  70. 【請求項70】 前記回折格子形成工程における前記回
    折格子形成膜は少なくともV族元素を含む原料ガスを原
    料に含み、 前記熱処理工程における前記原料ガスの分圧は、1×1
    -3Torr以下に設定されることを特徴とする請求項
    68に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  71. 【請求項71】 基板上に形成され、部分的に高濃度の
    不純物拡散領域を有するチャネル層を備え、 前記チャネル層には前記不純物拡散領域がゲート長方向
    に沿って10nm〜200nmの間隔に形成されている
    ことを特徴とする電界効果トランジスタ。
  72. 【請求項72】 第1導電型のクラッド層である基板上
    に形成され、井戸層と障壁層とが交互に積層され、該障
    壁層に高濃度の不純物がドーピングされた変調ドープ活
    性層と、 前記変調ドープ活性層の上に形成された第2導電型の拡
    散抑制層と、 前記拡散抑制層の上に形成された第2導電型のクラッド
    層とを備え、 前記拡散抑制層の不純物濃度は飽和濃度のほぼ2分の1
    であることを特徴とする変調ドープ型の半導体レーザ装
    置。
  73. 【請求項73】 第1導電型のクラッド層である基板の
    上に複数の井戸層と高濃度の不純物がドーピングされた
    障壁層とを交互に積層した変調ドープ活性層形成膜を成
    長させる変調ドープ活性層形成膜成長工程と、 前記変調ドープ活性層形成膜に対して選択的にエッチン
    グを行なってストライプ状の変調ドープ活性層を形成す
    る変調ドープ活性層形成工程と、 不純物拡散の拡散種が原料に供給され、前記変調ドープ
    活性層の上に、前記変調ドープ活性層に拡散する格子間
    拡散種を抑制する拡散抑制層を成長させる拡散抑制層成
    長工程と、 前記拡散抑制層の上に全面にわたって第2導電型のクラ
    ッド層を成長させるクラッド層成長工程とを備え、 前記拡散抑制層成長工程は、前記拡散抑制層の成長界面
    が鏡面状態となる第1の結晶成長温度よりも低い第2の
    結晶成長温度で前記拡散抑制層を成長させることを特徴
    とする変調ドープ型の半導体レーザ装置の製造方法。
  74. 【請求項74】 第1導電型のクラッド層である基板の
    上に複数の井戸層と高濃度の不純物がドーピングされた
    障壁層とを交互に積層した変調ドープ活性層形成膜を成
    長させる変調ドープ活性層形成膜成長工程と、 前記変調ドープ活性層形成膜に対して選択的にエッチン
    グを行なってストライプ状の変調ドープ活性層を形成す
    る変調ドープ活性層形成工程と、 少なくともV族元素を含む原料ガスに不純物拡散の拡散
    種を供給し、前記変調ドープ活性層の上に、前記変調ド
    ープ活性層に拡散する格子間拡散種を抑制する拡散抑制
    層を成長させる拡散抑制層成長工程と、 前記拡散抑制層の上に全面にわたって第2導電型のクラ
    ッド層を成長させるクラッド層成長工程とを備え、 前記拡散抑制層成長工程は、前記原料ガスの分圧を1×
    10-3Torr以下の成長条件で前記拡散抑制層を成長
    させることを特徴とする変調ドープ型の半導体レーザ装
    置の製造方法。
  75. 【請求項75】 前記拡散抑制層成長工程は、前記不純
    物拡散の拡散種が結晶の成長界面が鏡面状態となる通常
    の結晶成長条件における飽和濃度のほぼ2分の1になる
    ように供給されることを特徴とする請求項73又は74
    に記載の変調ドープ型の半導体レーザ装置の製造方法。
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