JP3266114B2 - 半導体レーザの製造方法 - Google Patents

半導体レーザの製造方法

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JP3266114B2
JP3266114B2 JP31148698A JP31148698A JP3266114B2 JP 3266114 B2 JP3266114 B2 JP 3266114B2 JP 31148698 A JP31148698 A JP 31148698A JP 31148698 A JP31148698 A JP 31148698A JP 3266114 B2 JP3266114 B2 JP 3266114B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体レーザの
製造方法に係り、詳しくは、発光層として働く活性層が
埋込層により覆われた埋込型構造を有する半導体レーザ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザは、低損失の光ファイバー
の開発に伴って光通信システムの光源として、あるいは
ディジタル・オーディオ・ディスクやレーザプリンタな
どのAV(Audio Video)機器、情報機器などの光源とし
て広く用いられている。このような半導体レーザで優れ
た特性を得るには、発光層として働く活性層内にうまく
光を閉じ込めること、この活性層に効率良く電流を注入
する(電流を狭窄させる)ことなどが要件となる。
【0003】上述のような要件を満足するために、従来
から、活性層の両面を互いに異なった半導体層からなる
下部クラッド層及び上部クラッド層により挟んだダブル
ヘテロ接合構造、及び活性層を半導体層からなる埋込層
により覆った埋込型構造を採用した半導体レーザが開発
されている。
【0004】図8は、従来の半導体レーザの構成を示す
断面図である。同図において、p型InP(インジュウ
ム・燐)基板51上には、p型InPからなる下部クラ
ッド層52及びn型InPからなる上部クラッド層53
によって両面が挟まれた、平面形状がストライプ状のI
nGaAsP(インジウム・ガリウム・砒素・燐)から
なる活性層54が形成されて、ダブルヘテロ接合構造に
なっている。活性層54の側面にはp型InPからなる
第1埋込層55、n型InPからなる第1電流ブロック
層56及びp型InPからなる第2電流ブロック層57
が形成されている。そして、上部クラッド層53及び第
2電流ブロック層57は、n型InPからなる第2埋込
層58により覆われている。ここで、下部クラッド層5
2及び上部クラッド層53によって両面が挟まれた活性
層54の平面形状をストライプ状に形成するのは、レー
ザ光を活性層54の一部のみに閉じ込めることにより、
pn接合に平行方向の光強度分布を得る、いわゆる、水
平横モードの半導体レーザを形成するためである。
【0005】このような構造の半導体レーザにおいて、
p型InP基板51と第2埋込層58との間に順方向電
圧を加えると、上部クラッド層53からは電子が活性層
54に流入する一方、下部クラッド層52からは正孔が
活性層54に流入して、電子及び正孔は活性層54内に
閉じ込められる。そして、電子と正孔との再結合が繰り
返えされることにより、誘導放出と光増幅とが促進され
て、活性層54からレーザ光が発生することになる。
【0006】次に、図7(a)〜(d)を参照して、同
半導体レーザの製造方法について工程順に説明する。ま
ず、図7(a)に示すように、p型InP基板51上
に、p型InPからなる下部クラッド層52、InGa
AsPからなる活性層54及びn型InPからなる上部
クラッド層53を順次に積層して、半導体積層構造60
を形成する。次に、半導体積層構造60の上部クラッド
層53上にシリコン酸化膜からなるストライプ状のマス
ク膜59を形成した後、図7(b)に示すように、この
マスク膜59をエッチングマスクとして用いて下部クラ
ッド層52、活性層54及び上部クラッド層53を選択
的にエッチングして、半導体積層構造60をメサ(台
地)状に形成する。この場合、半導体積層構造60の平
面形状はマスク膜59の形状に従って、ストライプ状に
なる。
【0007】次に、図7(c)に示すように、MOVP
E(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相
成長)法により、マスク膜59を選択成長用マスクとし
て用いて、マスク膜59の周囲にp型InPからなる第
1埋込層55、n型InPからなる第1電流ブロック層
56及びp型InPからなる第2電流ブロック層57を
順次に形成する。次に、マスク膜59を除去した後、図
(d)に示すように、MOVPE法により露出された上
部クラッド層53及び第2電流ブロック層57を含む全
面にn型InPからなる第2埋込層58を形成して、図
8に示したような半導体レーザを完成させる。
【0008】しかしながら、上述したような従来の半導
体レーザの製造方法では、図7(c)に示すように、第
1埋込層55上に第1電流ブロック層56を形成すると
きに、この第1電流ブロック層56の先端部56Aがマ
スク膜59及び上部クラッド層53の付け根部分まで成
長して、第1電流ブロック層56と上部クラッド層53
とが接触し易いという欠点がある。このため、両層5
6、53間にリーク電流が流れて、半導体レーザの特に
高温高出力時に特性劣化を招く可能性があった。
【0009】そのような第1電流ブロック層56の先端
部56Aの成長を抑制して両層56、53間の接触を回
避するようにした半導体レーザの製造方法が、Y.Ohkura
etal.Electron.Lett. vol.28, p1844, Fig.2(1992)、
に開示されている。この文献では、上述の第1電流ブロ
ック層56の成長前に、成長速度の遅い(211)B面
を成長させることにより、第1電流ブロック層56の成
長を抑制している。しかしながら、上記文献の製造方法
では上述の(211)B面を安定良く成長させるのは困
難なので、第1電流ブロック層56と上部クラッド層5
3との接触を回避することはあまり期待できない。
【0010】上記両層56、53間の接触を回避するよ
うにした他の半導体レーザの製造方法が、特開平7−9
4828号公報に開示されている。同公報では、第1電
流ブロック層56を構成するn型InP層の成長時にド
ーパントとしてセレン(Se)を用いることにより、同
n型InP層の成長を抑制して、第1電流ブロック層5
6と上部クラッド層53との接触を回避するようにして
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特開平
7−94828号公報記載の従来の半導体レーザの製造
方法では、第1電流ブロック層の成長時のドーピング濃
度がゆらぎ易いため、同第1電流ブロック層の成長速度
を確実に抑制できないので、依然として第1電流ブロッ
ク層と上部クラッド層との接触を回避できない、という
問題がある。したがって、第1電流ブロック層56と上
部クラッド層53との間にリーク電流が流れるので、半
導体レーザの高温高出力時に特性劣化を招くという不具
合は解決されない。
【0012】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、電流ブロック層とクラッド層との接触を回避し
て、高温高出力時の特性劣化を防止することができるよ
うにした半導体レーザの製造方法を提供することを目的
としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、半導体基板上に、下部クラ
ッド層及び上部クラッド層によって両面が挟まれた活性
層が形成され、該活性層の側面が電流ブロック層により
囲まれ、かつ少なくとも上記上部クラッド層が埋込層に
より覆われてなる半導体レーザの製造方法であって、上
記半導体基板上に、上記下部クラッド層、上記活性層及
び上記上部クラッド層を構成する半導体層を順次に積層
する半導体積層構造形成工程と、上記半導体積層構造の
上記上部クラッド層上に第1マスク膜を形成する第1マ
スク膜形成工程と、上記第1マスク膜をエッチングマス
クとして上記下部クラッド層、上記活性層及び上記上部
クラッド層を選択的にエッチングする半導体積層構造エ
ッチング工程と、上記第1マスク膜の周囲に第1埋込層
を構成する第1半導体層を形成する第1半導体層形成工
程と、上記第1マスク膜を囲むように第2マスク膜を形
成する第2マスク膜形成工程と、上記第2マスク膜の周
囲に第1電流ブロック層を構成する第2半導体層を形成
する第2半導体層形成工程と、上記第2マスク膜を除去
した後、上記第1マスク膜の周囲に第2電流ブロック層
を構成する第3半導体層を形成する第3半導体層形成工
程と、上記第1マスク膜を除去した後、露出された上記
上部クラッド層及び上記第3半導体層を含む全面に第2
埋込層を構成する第4半導体層を形成する第4半導体層
形成工程とを含むことを特徴としている。
【0014】請求項2記載の発明は、半導体基板上に、
下部クラッド層及び上部クラッド層によって両面が挟ま
れた活性層が形成され、該活性層の側面が電流ブロック
層により囲まれ、かつ少なくとも上記上部クラッド層が
埋込層により覆われてなる半導体レーザの製造方法であ
って、上記半導体基板上に、上記下部クラッド層、上記
活性層及び上記上部クラッド層を構成する半導体層を順
次に積層する半導体積層構造形成工程と、上記半導体積
層構造の上記上部クラッド層上に第1マスク膜を形成す
る第1マスク膜形成工程と、上記第1マスク膜をエッチ
ングマスクとして上記下部クラッド層、上記活性層及び
上記上部クラッド層を選択的にエッチングする半導体積
層構造エッチング工程と、上記第1マスク膜を囲むよう
にエッチング速度が該第1マスク膜のそれよりも大きい
第2マスク膜を形成する第2マスク膜形成工程と、上記
第2マスク膜の周囲に第1電流ブロック層を構成する第
2半導体層を形成する第2半導体層形成工程と、上記第
2マスク膜を上記第1マスク膜よりも上記エッチング速
度が大きい性質を利用して選択的に除去した後、上記第
1マスク膜の周囲に第2電流ブロック層を構成する第3
半導体層を形成する第3半導体層形成工程と、上記第1
マスク膜を除去した後、露出された上記上部クラッド層
及び上記第3半導体層を含む全面に第2埋込層を構成す
る第4半導体層を形成する第4半導体層形成工程とを含
むことを特徴としている。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の半導体レーザの製造方法に係り、上記第1マスク膜
形成工程において、上記第1マスク膜の形成と同時に、
この後の第2マスク膜形成工程において用いられる目合
せ用マーカを形成することを特徴としている。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項2又は3記
載の半導体レーザの製造方法に係り、上記第2マスク膜
形成工程と上記第2半導体層形成工程との間に、上記第
2マスク膜の周囲に第1埋込層を構成する第1半導体層
を形成する第1半導体層形成工程を含むことを特徴とし
ている。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれか1に記載の半導体レーザの製造方法に係り、上
記第1マスク膜の平面形状をストライプ状に形成するこ
とを特徴としている。
【0018】また、請求項6記載の発明は、請求項1乃
至5のいずれか1に記載の半導体レーザの製造方法に係
り、上記第1マスク膜としてシリコン窒化膜を用いるこ
とを特徴としている。
【0019】また、請求項7記載の発明は、請求項1乃
至6のいずれか1に記載の半導体レーザの製造方法に係
り、上記第2マスク膜としてシリコン酸化膜を用いるこ
とを特徴としている。
【0020】また、請求項8記載の発明は、請求項1乃
至7のいずれか1に記載の半導体レーザの製造方法に係
り、上記活性層としてインジウム・ガリウム・砒素・燐
化合物半導体を用いることを特徴としている。
【0021】また、請求項9記載の発明は、請求項1乃
至8のいずれか1に記載の半導体レーザの製造方法に係
り、上記半導体基板、上記下部クラッド層及び上記上部
クラッド層としてインジウム・燐化合物半導体を用いる
ことを特徴としている。
【0022】また、請求項10記載の発明は、請求項1
乃至9のいずれか1に記載の半導体レーザの製造方法に
係り、上記第1及び第2埋込層、上記第1及び第2電流
ブロック層としてインジウム・燐化合物半導体を用いる
ことを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行う。 ◇第1実施例 図1(a)〜(d)及び図2(e)〜(h)は、この発
明の第1実施例である半導体レーザの製造方法を工程順
に示す工程図である。以下、図1及び図2を参照して、
同半導体レーザの製造方法について工程順に説明する。
まず、図1(a)に示すように、MOVPE法により、
p型InP基板1上に、厚さが略0.1μm、不純物濃
度が略5×1017/cmのp型InPからなる下部
クラッド層2、厚さが略0.2μm、発光波長が略1.
3μmの量子井戸構造を有するInGaAsPからなる
活性層4及び厚さが略0.4μm、不純物濃度が略1×
1018/cmのn型InPからなる上部クラッド層
3を順次に積層して、半導体積層構造10を形成する。
このときのMOVPE法は、温度が略650℃、成長圧
力が略100mbar(略76Torr:Torricelli)、V族元素
供給量とIII族元素供給量との比(V族/III族)が、I
nP成長時は120、InGaAsP成長時は100、
に設定した成長条件で行った。なお、原料としては、T
MIn(トリメチル・インジウム)、TEGa(トリエ
チル・ガリウム)、TBP(ターシャル・ブチル・フォ
スフィン)、TBAs(ターシャル・ブチル・アルシ
ン)、PH(フォスフィン)、p型ドーパントはDE
Zn(ジエチル・ジンク)、n型ドーパントはSi
(ジシラン)を用いた。
【0024】続いて、CVD(Chemical Vapor Deposit
ion)法により、半導体積層構造10の上部クラッド層3
上に、幅が略2μmのシリコン窒化膜からなるストライ
プ状の第1マスク膜9を形成する。このとき、同時に上
部クラッド層3上の第1マスク膜9の周囲に一対の目合
せ用マーカ11を形成する。図6は、図1(a)に対応
した上面図を示している。この目合せ用マーカ11は、
後の工程で形成される第2マスク膜をストライプ状の活
性層に対して正確に左右対称に位置決めするように行う
フォトリソグラフィ法に用いるためのものである。目合
せ用マーカ11の形状は、例えば矩形状、L字状、トン
ボ状、ストライプ状などを選ぶことができる。
【0025】次に、図1(b)に示すように、第1マス
ク膜9をエッチングマスクとして用いて下部クラッド層
2、活性層4及び上部クラッド層3を選択的にエッチン
グして、半導体積層構造10をメサ状に形成する。エッ
チャアントとしては、HBr(臭化水素)、H
(過酸化水素水)及びHO(水)の混合液を用い
た。このエッチングによって、半導体積層構造10の平
面形状、すなわち活性層4の平面形状は第1マスク膜9
の形状に従って、ストライプ状になる。また、このエッ
チング時に、目合せ用マーカ11に対応した位置のp型
InP基板1の表面には凹凸部1Aが形成され、この凹
凸部1Aは目合せ用マーカ11と同じ機能を有してい
る。
【0026】次に、図1(c)に示すように、MOVP
E法により、第1マスク膜9を選択成長用マスクとして
用いて、厚さが略0.5μm、不純物濃度が略5×10
17/cmのp型InPからなる第1埋込層5を形成
する。
【0027】次に、図1(d)に示すように、CVD法
により、第1マスク膜9を含む全面にシリコン酸化膜1
2を堆積する。続いて、このシリコン酸化膜12の第2
マスク膜とすべき領域上のみにフォトリソグラフィ法に
よりフォトレジスト膜13を形成する。
【0028】次に、フォトレジスト膜13をエッチング
マスクとして用いて、図2(e)に示すように、HF
(弗酸)によりシリコン酸化膜12の不要部をエッチン
グして、第1マスク膜9を囲むように幅が略2.5μm
のシリコン酸化膜からなる第2マスク膜14を形成す
る。このとき、上述の凹凸部1A(目合せ用マーカ11
に相当)を用いてフォトリソグラフィを行うことによ
り、第2マスク膜14を第1マスク膜9に正確に囲むよ
うに位置合わせして形成することができる。すなわち、
フォトリソグラフィ時に凹凸部1Aは目合せ用マーカ1
1と同じように認識されるので、凹凸部1Aは目合せ用
マーカ11がなくともこれと同じ役割を果たすことがで
きる。したがって、第2マスク膜14をストライプ状の
活性層4に対して正確に左右対称に位置決めすることが
できるので、第2マスク膜14は第1マスク膜9を正確
に囲むように形成される。また、上述の凹凸部1Aを、
この後の電極形成工程などにおいて行われるフォトリソ
グラフィの目合わせ用マーカとして用いることにより、
電極パターン形成時の精度を向上させることができるな
どの利点が得られる。
【0029】次に、図2(f)に示すように、MOVP
Eにより、第2マスク膜14を選択成長用マスクとして
用いて、第2マスク膜14の周囲に、厚さが略0.5μ
m、不純物濃度が略1×1018/cmのn型InP
からなる第1電流ブロック層6を形成する。このとき、
既に形成されている第1埋込層5の先端部が第2マスク
膜14により完全に覆われた状態で、第1電流ブロック
層6の形成が行われるので、この第1電流ブロック層6
の先端部6Aは第2マスク膜14の存在によって上部ク
ラッド層3に接触しないように成長する。したがって、
第1電流ブロック層6と上部クラッド層3との接触を確
実に回避することができる。
【0030】次に、第2マスク膜14を除去して、第1
マスク膜9のみを残すようにする。これは、図2(f)
に示した構造のp型InP基板1を弗酸液に浸すことに
より、弗酸に対するシリコン酸化膜のエッチング速度が
シリコン窒化膜のそれより大きい性質を利用して、第2
マスク膜14を選択的に除去するようにする。続いて、
図2(g)に示すように、MOVPEにより、残ってい
る第1マスク膜9を選択成長用マスクとして用いて、第
1マスク膜9の周囲に、厚さが略0.5μm、不純物濃
度が略1×1018/cmのp型InPからなる第2
電流ブロック層7を形成する。このとき、第2マスク膜
14が除去されて第1埋込層5の先端部にできる空間に
はすぐに第2電流ブロック層7が埋め込まれるため、第
1電流ブロック層6と上部クラッド層3との間はその第
2電流ブロック層7により分離されているので、両層
6、3間の接触のおそれは全くない。
【0031】次に、第1マスク膜9を熱燐酸(HPO
)でエッチングした後、図2(h)に示すように、M
OVPE法により露出された上部クラッド層3及び第2
電流ブロック層7を含む全面に、厚さが略1.5μm、
不純物濃度が略1×1018/cmのn型InPから
なる第2埋込層8を形成して、図8に示したのと略同一
構造の半導体レーザを完成させる。
【0032】このように、この例の構成によれば、第1
マスク膜9をエッチングマスクとして上部クラッド層3
を含む半導体積層構造10をメサ状に形成した後、第1
マスク膜9を囲むように第2マスク膜14を形成して、
この第2マスク膜14を選択成長用マスクとして用いて
第2マスク膜14の周囲に第1電流ブロック層6を形成
するようにしたので、第2マスク膜14の存在によって
第1電流ブロック層6と上部クラッド層3との接触を回
避することができる。したがって、高温高出力時の特性
劣化を防止することができる。また、特性劣化を防止で
きることに伴い、製造歩留りを向上させることができる
ので、コストダウンを図ることができる。
【0033】◇第2実施例 図3(a)〜(d)及び図4(e)〜(h)は、この発
明の第2実施例である半導体レーザの製造方法を工程順
に示す工程図である。この例の半導体レーザの製造方法
の構成が、上述の第1実施例のそれと大きく異なるとこ
ろは、第1マスク膜をエッチングマスクとして半導体積
層構造をメサ状に形成した後、すぐに第1マスク膜を囲
むように第2マスク膜を形成して、この第2マスク膜を
選択成長用マスクとして用いるようにした点である。以
下、図3及び図4を参照して、同半導体レーザの製造方
法について工程順に説明する。まず、図3(a)に示す
ように、MOVPE法により、p型InP基板21上
に、厚さが略0.1μm、不純物濃度が略5×1017
/cmのp型InPからなる下部クラッド層22、厚
さが略0.2μm、発光波長が略1.3μmの量子井戸
構造を有するInGaAsPからなる活性層24及び厚
さが略0.4μm、不純物濃度が略1×1018/cm
のn型InPからなる上部クラッド層23を順次に積
層して、半導体積層構造30を形成する。このときのM
OVPE法は、第1実施例と略同じ成長条件で行った。
続いて、CVD法により、半導体積層構造30の上部ク
ラッド層23上に、幅が略2μmのシリコン窒化膜から
なるストライプ状の第1マスク膜29を形成する。この
とき、同時に上部クラッド層23上の第1マスク膜29
の周囲に一対の目合せ用マーカ31を形成する。このと
きの基板21の上面形状は図6と略同じになる。
【0034】次に、図3(b)に示すように、第1マス
ク膜29をエッチングマスクとして用いて下部クラッド
層22、活性層24及び上部クラッド層23を選択的に
エッチングして、半導体積層構造30をメサ状に形成す
る。このエッチングによって、半導体積層構造30の平
面形状、すなわち活性層24の平面形状は第1マスク膜
29の形状に従って、ストライプ状になる。また、この
エッチング時に、目合せ用マーカ31に対応した位置の
p型InP基板21の表面には凹凸部21Aが形成され
る。
【0035】次に、図3(c)に示すように、CVD法
により、第1マスク膜29を含む全面にシリコン酸化膜
32を堆積する。続いて、このシリコン酸化膜32の第
2マスク膜とすべき領域上のみにフォトリソグラフィ法
によりフォトレジスト膜33を形成する。
【0036】次に、フォトレジスト膜33をエッチング
マスクとして用いて、図3(d)に示すように、弗酸に
よりシリコン酸化膜32の不要部をエッチングして、第
1マスク膜29を囲むように幅が略2.5μmのシリコ
ン酸化膜からなる第2マスク膜34を形成する。このと
き、上述の凹凸部21A(目合せ用マーカ31に相当)
を用いてフォトリソグラフィを行うことにより、第2マ
スク膜34を第1マスク膜29に正確に囲むように位置
合わせして形成することができる。
【0037】次に、図4(e)に示すように、MOVP
Eにより、第2マスク膜34を選択成長用マスクとして
用いて、第2マスク膜34の周囲に、厚さが略0.5μ
m、不純物濃度が略5×1017/cmのp型InP
からなる第1埋込層25及び厚さが略0.5μm、不純
物濃度が略1×1018/cmのn型InPからなる
第1電流ブロック層26を形成する。すなわち、第2マ
スク膜34を選択成長用マスクとして用いて、第1埋込
層25及び第1電流ブロック層26を連続的に形成す
る。このとき、既に形成されている第2マスク膜34を
選択成長用マスクとして用いて、第1電流ブロック層2
6の形成が行われるので、この第1電流ブロック層26
の先端部26Aは第2マスク膜34の存在によって上部
クラッド層23に接触しないように成長する。したがっ
て、第1電流ブロック層26と上部クラッド層23との
接触を確実に回避することができる。
【0038】次に、図4(f)に示すように、弗酸に対
するシリコン酸化膜のエッチング速度がシリコン窒化膜
のそれより大きい性質を利用して、第2マスク膜34を
選択的に除去して、第1マスク膜29のみを残すように
する。
【0039】次に、図4(g)に示すように、MOVP
Eにより、残っている第1マスク膜29を選択成長用マ
スクとして用いて、第1マスク膜29の周囲に、厚さが
略0.5μm、不純物濃度が略1×1018/cm
p型InPからなる第2電流ブロック層27を形成す
る。このとき、第2マスク膜34が除去されて第1埋込
層25の先端部にできる空間にはすぐに第2電流ブロッ
ク層27が埋め込まれるため、第1電流ブロック層26
と上部クラッド層23との間はその第2電流ブロック層
27により分離されているので、両層26、23間の接
触のおそれは全くない。
【0040】次に、第1マスク膜29を熱燐酸でエッチ
ングした後、図4(h)に示すように、MOVPE法に
より露出された上部クラッド層23及び第2電流ブロッ
ク層27を含む全面に、厚さが略1.5μm、不純物濃
度が略1×1018/cmのn型InPからなる第2
埋込層28を形成して、半導体レーザを完成させる。
【0041】このように、この例の構成によっても、第
1実施例において述べたのと略同様の効果を得ることが
できる。加えて、この例によれば、第1マスク膜をエッ
チングマスクとして半導体積層構造をメサ状に形成した
後、すぐに第1マスク膜を囲むように第2マスク膜を形
成して、この第2マスク膜を選択成長用マスクとして用
いて第1埋込層及び第1電流ブロック層を連続的に形成
するので、工程を簡略化できる。
【0042】◇第3実施例 図5(a)〜(d)は、この発明の第3実施例である半
導体レーザの製造方法を工程順に示す工程図である。こ
の第3実施例の半導体レーザの製造方法の構成が、上述
の第2実施例のそれと大きく異なるところは、この第2
マスク膜を選択成長用マスクとして用いたとき、第1埋
込層の形成を省略するようにした点である。以下、図5
を参照して、同半導体レーザの製造方法について工程順
に説明する。
【0043】上述の第2実施例における図3(a)〜
(d)に示した工程と略同様な工程により、図5(a)
に示したように、第1マスク膜39を囲むように第2マ
スク膜44を形成した後、MOVPEにより、第2マス
ク膜44を選択成長用マスクとして用いて、第2マスク
膜44の周囲にn型InPからなる第1電流ブロック層
46を形成する。このとき、既に形成されている第2マ
スク膜44を選択成長用マスクとして用いて、第1電流
ブロック層46の形成が行われるので、この第1電流ブ
ロック層46の先端部46Aは第2マスク膜44の存在
によって上部クラッド層23に接触しないように成長す
る。したがって、第1電流ブロック層46と上部クラッ
ド層23との接触を確実に回避することができる。
【0044】次に、図5(b)に示すように、弗酸に対
するシリコン酸化膜のエッチング速度がシリコン窒化膜
のそれより大きい性質を利用して、第2マスク膜44を
選択的に除去して、第1マスク膜29のみを残すように
する。
【0045】次に、図5(c)に示すように、MOVP
Eにより、残っている第1マスク膜29を選択成長用マ
スクとして用いて、第1マスク膜29の周囲にp型In
Pからなる第2電流ブロック層47を形成する。このと
き、第2マスク膜44が除去されて第1電流ブロック層
46の先端部46Aにできる空間にはすぐに第2電流ブ
ロック層47が埋め込まれるため、第1電流ブロック層
46と上部クラッド層23との間はその第2電流ブロッ
ク層47により分離されているので、両層46、23間
の接触のおそれは全くない。
【0046】次に、第1マスク膜29を熱燐酸でエッチ
ングした後、図5(d)に示すように、MOVPE法に
より露出された上部クラッド層23及び第2電流ブロッ
ク層47を含む全面にn型InPからなる第2埋込層4
8を形成して、半導体レーザを完成させる。
【0047】この例の場合、上述の第1及び第2実施例
と比較して、第1埋込層の形成を省略しているが、この
第1埋込層の働きはp型InP基板21及び下部クラッ
ド層22によって補われて、電流狭窄の作用が行われる
ので、問題はない。
【0048】このように、この例の構成によっても、第
2実施例において述べたのと略同様の効果を得ることが
できる。加えて、この例によれば、第1埋込層の形成を
省略しているので、その分工程をより簡略化することが
できる。
【0049】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更などがあってもこの発明に含まれる。例えば、エッチ
ングマスクとしての第1マスク膜はシリコン窒化膜を、
選択成長用マスクとしての第2マスク膜はシリコン酸化
膜を用いる例で説明したが、逆に第1マスクとしてシリ
コン酸化膜を、第2マスクとしてシリコン窒化膜を用い
るようにしても良い。これら第1及び第2マスク膜は、
選択的にエッチング除去できるマスク膜の組み合わせで
あればそれらの例に限ることなく、他の絶縁膜を用いる
ことができる。
【0050】また、発光層としての活性層は、インジウ
ム・ガリウム・砒素・燐化合物半導体に限らず、インジ
ウム・ガリウム・砒素(InGaAs)、インジウム・砒素・
燐(InAsP)などを用いることができる。また、発光部
の構造は量子井戸構造でもバルク構造でも良い。また、
各半導体層の厚さ及び不純物濃度、半導体層の形成手段
などの条件は一例を示したものであり、目的、用途など
により変更することができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の半導体
レーザの製造方法によれば、第1マスク膜をエッチング
マスクとしてクラッド層を含む半導体積層構造をメサ状
に形成した後、第1マスク膜を囲むように第2マスク膜
を形成して、この第2マスク膜を選択成長用マスクとし
て用いて第2マスク膜の周囲に電流ブロック層を形成す
るようにしたので、第2マスク膜の存在によって電流ブ
ロック層とクラッド層との接触を回避することができ
る。したがって、高温高出力時の特性劣化を防止するこ
とができる。また、特性劣化を防止できることに伴い、
製造歩留りを向上させることができるので、コストダウ
ンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例である半導体レーザの製
造方法を工程順に示す工程図である。
【図2】同半導体レーザの製造方法を工程順に示す工程
図である。
【図3】この発明の第2実施例である半導体レーザの製
造方法を工程順に示す工程図である。
【図4】同半導体レーザの製造方法を工程順に示す工程
図である。
【図5】この発明の第3実施例である半導体レーザの製
造方法を工程順に示す工程図である。
【図6】同半導体レーザの製造方法の一工程における半
導体基板を概略示す上面図である。
【図7】従来の半導体レーザの製造方法を工程順に示す
工程図である。
【図8】従来の半導体レーザの構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1、21 p型InP基板 1A、21A 凹凸部(目合せ用マーカ) 2、22 下部クラッド層(p型InP) 3、23 上部クラッド層(n型InP) 4、24 活性層(InGaAsP) 5、25 第1埋込層(p型InP) 6、26、46 第1電流ブロック層(n型In
P) 6A、26A、46A 第1電流ブロック層の先端
部 7、27 第2電流ブロック層(p型InP) 8、28、48 第2埋込層(n型InP) 9、29、39 第1マスク膜 10、30 半導体積層構造 11、31 目合せ用マーカ 12、32 シリコン酸化膜 13、33 フォトレジスト膜 14、34、44 第2マスク膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−165685(JP,A) 特開 平3−102890(JP,A) 特開 平6−125131(JP,A) 特開 平6−291416(JP,A) 特開 平7−94828(JP,A) 特開 平1−300581(JP,A) Electronics Lette rs,28[19],p.1844−1845 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、下部クラッド層及び上
    部クラッド層によって両面が挟まれた活性層が形成さ
    れ、該活性層の側面が電流ブロック層により囲まれ、か
    つ少なくとも前記上部クラッド層が埋込層により覆われ
    てなる半導体レーザの製造方法であって、 前記半導体基板上に、前記下部クラッド層、前記活性層
    及び前記上部クラッド層を構成する半導体層を順次に積
    層する半導体積層構造形成工程と、 前記半導体積層構造の前記上部クラッド層上に第1マス
    ク膜を形成する第1マスク膜形成工程と、 前記第1マスク膜をエッチングマスクとして前記下部ク
    ラッド層、前記活性層及び前記上部クラッド層を選択的
    にエッチングする半導体積層構造エッチング工程と、 前記第1マスク膜の周囲に第1埋込層を構成する第1半
    導体層を形成する第1半導体層形成工程と、 前記第1マスク膜を囲むように第2マスク膜を形成する
    第2マスク膜形成工程と、 前記第2マスク膜の周囲に第1電流ブロック層を構成す
    る第2半導体層を形成する第2半導体層形成工程と、 前記第2マスク膜を除去した後、前記第1マスク膜の周
    囲に第2電流ブロック層を構成する第3半導体層を形成
    する第3半導体層形成工程と、 前記第1マスク膜を除去した後、露出された前記上部ク
    ラッド層及び前記第3半導体層を含む全面に第2埋込層
    を構成する第4半導体層を形成する第4半導体層形成工
    程とを含むことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  2. 【請求項2】 半導体基板上に、下部クラッド層及び上
    部クラッド層によって両面が挟まれた活性層が形成さ
    れ、該活性層の側面が電流ブロック層により囲まれ、か
    つ少なくとも前記上部クラッド層が埋込層により覆われ
    てなる半導体レーザの製造方法であって、 前記半導体基板上に、前記下部クラッド層、前記活性層
    及び前記上部クラッド層を構成する半導体層を順次に積
    層する半導体積層構造形成工程と、 前記半導体積層構造の前記上部クラッド層上に第1マス
    ク膜を形成する第1マスク膜形成工程と、 前記第1マスク膜をエッチングマスクとして前記下部ク
    ラッド層、前記活性層及び前記上部クラッド層を選択的
    にエッチングする半導体積層構造エッチング工程と、 前記第1マスク膜を囲むようにエッチング速度が該第1
    マスク膜のそれよりも大きい第2マスク膜を形成する第
    2マスク膜形成工程と、 前記第2マスク膜の周囲に第1電流ブロック層を構成す
    る第2半導体層を形成する第2半導体層形成工程と、 前記第2マスク膜を前記第1マスク膜よりも前記エッチ
    ング速度が大きい性質を利用して選択的に除去した後、
    前記第1マスク膜の周囲に第2電流ブロック層を構成す
    る第3半導体層を形成する第3半導体層形成工程と、 前記第1マスク膜を除去した後、露出された前記上部ク
    ラッド層及び前記第3半導体層を含む全面に第2埋込層
    を構成する第4半導体層を形成する第4半導体層形成工
    程とを含むことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1マスク膜形成工程において、前
    記第1マスク膜の形成と同時に、この後の第2マスク膜
    形成工程において用いられる目合せ用マーカを形成する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体レーザの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2マスク膜形成工程と前記第2半
    導体層形成工程との間に、前記第2マスク膜の周囲に第
    1埋込層を構成する第1半導体層を形成する第1半導体
    層形成工程を含むことを特徴とする請求項2又は3記載
    の半導体レーザの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1マスク膜の平面形状をストライ
    プ状に形成することを特徴とする請求項1乃至4のいず
    れか1に記載の半導体レーザの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1マスク膜としてシリコン窒化膜
    を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1
    に記載の半導体レーザの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2マスク膜としてシリコン酸化膜
    を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1
    に記載の半導体レーザの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記活性層としてインジウム・ガリウム
    ・砒素・燐化合物半導体を用いることを特徴とする請求
    項1乃至7のいずれか1に記載の半導体レーザの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記半導体基板、前記下部クラッド層及
    び前記上部クラッド層としてインジウム・燐化合物半導
    体を用いることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか
    1に記載の半導体レーザの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第1及び第2埋込層、前記第1及
    び第2電流ブロック層としてインジウム・燐化合物半導
    体を用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか
    1に記載の半導体レーザの製造方法。
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