JP3842344B2 - 内燃機関の燃焼状態検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃焼状態検出装置に係わり、特にイオン電流に基づいてノッキングだけでなく失火も検出することの可能な内燃機関の燃焼状態検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンを燃料とする内燃機関では、ピストンで圧縮した混合気に点火栓で着火し、混合気を燃焼させることによって出力を得ている。即ち正常な燃焼においては、点火栓のギャップの近傍に混合気の火炎核が形成され、この火炎核が燃焼室全体に伝播する。
【0003】
点火栓による点火時期は内燃機関出力と密接に関係しており、点火時期が遅すぎると火炎伝播速度も遅くなるため燃焼は緩慢となり燃焼効率の低下を招き、ひいては内燃機関出力も低下する。
逆に点火時期を早めると火炎の伝播が早まり燃焼最大圧力が上昇して内燃機関出力は増加する。しかし点火時期を過度に早めると、混合気が火炎の伝播を待たずに自己着火するノッキングが発生し、内燃機関を損傷するおそれも生じる。
【0004】
即ち、点火時期をノッキングが発生する直前の領域(MBT=Minimum Spark Advance for Best Torque )として内燃機関を運転することが燃費、出力の点で有利であり、ノッキングの発生を確実に検出することは極めて重要である。
従来からノッキングを検出するために振動センサの一種であるノックセンサが使用されてきたが、混合気の燃焼により燃焼室内にイオンが発生し、イオン電流が流れることを利用したノッキング検出装置も検討されている。
【0005】
図1は内燃機関の点火回路の概略図であって、イグニッションコイル11の1次コイル111の一端はバッテリ12の正電極に接続されている。そして他の一端はイグナイタに含まれるスイッチング用のトランジスタ13のコレクタ、エミッタを介して接地される。
なお、トランジスタ13のベースは点火時期制御部14に接続され、点火時期制御部14からイグニッション信号IGTが出力されたときに導通する。
【0006】
イグニッションコイル11の2次コイル112の一端もバッテリ12の正電極に接続されているが、他端は逆流防止用ダイオード15、ディストビュータ16およびハイテンションケーブル17を介して点火栓18に接続される。
イオン電流検出部19はディストリビュータ16の出力側で点火栓18と並列に接続される。
【0007】
イオン電流は、保護ダイオード191を介して電流−電圧変換抵抗192、バイアス電源193の直列回路に導かれる。電流−電圧変換抵抗192と保護ダイオード191との接続点に発生する電圧は直流成分カット用のコンデンサ194を介して、演算増幅器、抵抗等で構成される増幅回路195に導かれる。
従ってイオン電流検出部19の出力端子196にはイオン電流の交流成分に比例した電圧信号が出力される。
【0008】
図2は点火回路(図1)の各部の電圧波形図であって、上から順に、イグニッション信号IGT、1次コイル接地端側(P点)電圧、2次コイル高電圧側(S点)電圧、増幅回路入力(I点)電圧を表す。なお、横軸は時間を表す。
時刻t1 においてイグニッション信号IGTが“H”レベルとなりトランジスタ13が導通状態となると、イグニッションコイル11の1次コイル111の接地側端子Pの電圧は低下する。2次コイルの高電圧側端子Sには時刻t1 の直後に負の高電圧パルスが発生するが、点火栓18およびイオン電流検出部19への流れ込みは逆流防止用ダイオード15に阻止される。
【0009】
時刻t2 においてイグニッション信号IGTが“L”レベルとなりトランジスタ13が遮断状態となると、1次コイル111の接地側端子Pの電圧は急激に上昇し、2次コイルの接地側端子Sに正の高電圧パルスが発生する。
この正の高電圧パルスは逆流防止用ダイオード15に阻止されることなく点火栓18に流れ込み放電するが、イオン検出部19への流れ込みは保護ダイオード191によって阻止される。
【0010】
さらに、点火栓18の放電後の時刻t3 〜t4 にかけて、ハイテンションケーブル18等が浮遊インダクタンスおよび浮遊キャパシタンスを有することに起因してイグニッションコイル11に残留しているエネルギによるLC共振が発生する。
気筒内の混合気は点火栓18の放電により着火し、火炎が拡散するに応じて気筒内にイオンが発生するためイオン電流が流れ始める。イオン電流は気筒内圧力の上昇に応じて増加し、気筒内圧力の低下とともに減少する。
【0011】
そして、内燃機関にノッキングが発生した場合には、イオン電流がピークに到達した後の減少時期に特定の周波数(6〜7KHz)のノッキング信号が重畳する。
従って、イオン電流によってノッキングを検出するためには、この特定周波数のノッキング信号だけを検出し他の信号(例えばLC共振波)は除去することが好ましいため、余分な信号のなくなる時刻以後の時刻t5 で開となりイオン電流減少後の適当な時刻(例えばATDC60゜)t6 で閉となるノッキングウインドを設け、ノッキングウインドが開となっている期間のイオン電流検出部17の出力に基づきノッキングを検出することが好ましい。
【0012】
図3はノッキングウインド通過後のイオン電流の時間領域(イ)および周波数領域(ロ)の波形図であって、ノッキング発生時にノッキングウインド通過後のイオン電流信号を周波数分析するとイオン電流の上昇および下降により4KHz以下の帯域に高レベルの成分が存在し、さらにノッキングにより6〜7KHz付近にピークが発生する。
【0013】
また、気筒内の混合気が着火しない場合、即ち失火が発生した場合には排気管に排出された混合気が排気浄化用触媒内で燃焼し排気浄化用触媒に損傷を与えるおそれがあるため失火を検出することも重要であるが、失火が発生するとイオンは発生しないためイオン電流の有無を検出することにより失火を検出することも提案されている(特開平6−299941公報参照)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イオン電流によってノッキングおよび失火の両方を検出する場合には以下の課題を生じる。
即ちノッキングを検出するためにはイオン電流漸減時の6〜7KHzの振動を検出する必要があるため、イオン電流のピーク時にイオン電流検出部19の増幅回路195の出力が飽和しないように増幅回路195のゲインを5万倍程度に設定する必要がある。
【0015】
一方、失火を検出するためにはイオン電流の有無さえ検出できればピーク時の飽和は問題とならないので、低負荷時にはイオン電流が減少することを考慮すると増加回路195のゲインはできる限り大きくする必要があり、50万倍程度に設定することが一般的である。なお、イオン電流検出部19はイグニッションコイル11の近傍に設置する必要がある。
【0016】
従って、イオン電流によってノッキングおよび失火の両方を検出するにはイオン電流検出部19内にノッキング検出用増加回路および失火検出用増加回路の双方を搭載する必要があるが、この場合には搭載場所が課題となるだけでなくイオン電流検出部19と信号処理用のマイクロコンピュータとを接続するワイヤハーネスの本数も増加し経済的に不利となるという課題を生じる。
【0017】
図4は課題の説明図であって、イオン電流信号は直流成分カット用コンデンサ194の出力で分岐し、ノッキング検出用増加回路195aおよび失火検出用増加回路195bに供給される。そして2つの増幅回路195a、195bの出力は2本の配線を含むワイヤハーネス41を介してマイクロコンピュータ42に供給される。即ちイオン電流によってノッキングおよび失火の両方を検出する場合には1つの気筒に対して2本の配線が必要となるため、各気筒毎に両方を検出するには2倍の配線を含むワイヤハーネス41を使用する必要がある。
【0018】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、イオン電流に基づいてノッキングだけでなく失火も検出することが可能であり、かつ経済的な内燃機関の燃焼状態検出装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、内燃機関の燃焼室内に設置される一対の電極に電圧を印加し、燃焼室内の混合気が燃焼する際に発生するイオンを介してこの一対の電極間を流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、イオン電流検出手段の出力信号からノッキングの発生を表すノッキング周波数成分を抽出するための第1の周波数成分抽出手段と、イオン電流検出手段の出力信号から着火後混合気が正常に燃焼したことを表す正常燃焼周波数成分を抽出する第2の周波数成分抽出手段と、第1の周波数成分抽出手段によって抽出されたノッキング周波数成分に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定するノッキング発生判定手段と、第2の周波数成分抽出手段によって抽出された正常燃焼周波数成分に基づいて失火が発生しているか否かを判定する失火発生判定手段と、を具備し、第1および第2の周波数成分抽出手段をイオン電流検出手段に対して並列に接続している。なお、この第1、第2の周波数成分抽出手段は、バンドパスフィルタによって構成されていても良い。
【0020】
本装置にあっては、イオン電流信号からノッキング周波数成分および正常燃焼周波数成分を抽出し、所定のノッキングレベル以上のノッキング周波数成分が検出されたときはノッキングが発生したものと判定し、正常燃焼周波数成分が所定の失火レベル以下であるときには失火が発生したものと判定する。
【0021】
【発明の実施の形態】
図5は本発明に係る内燃機関のノッキング検出装置の実施例の構成図であって、内燃機関5においてピストン500、吸気弁510および排気弁520で画成される燃焼室501には、エアクリーナ511から吸入される吸入空気と燃料噴射弁515から噴射される燃料の混合気が供給される。
【0022】
なお吸入空気量はエアフローメータ512で計測され、吸気管513の途中に配置されるスロットル弁514で調整される。
ピストン500で圧縮された混合気は、ピストン500の上死点近傍において点火栓18の放電により着火し、燃焼により膨張してピストン500を押し下げ駆動力を発生する。
【0023】
燃焼後の排気ガスは排気弁520から排気管521に排出されるが、排気ガス中の酸素濃度は排気管521に設置される空燃比センサ522によって検出される。
また内燃機関5を冷却する冷却水の温度はウオータジャケット502に挿入された冷却水温度センサ503によって検出される。
【0024】
燃焼室501内を流れるイオン電流は点火栓18、イオン検出部19を介してLC共振マスク部31に導かれる。LC共振マスク部31の出力は、ノッキングに特有の周波数成分(6KHz)だけを通過させるバンドパスフィルタ32を介してバンドパスフィルタ32の出力のピーク値を保持するピークホールド部33に供給されるだけでなく、燃焼室501内の混合気が点火栓18により着火し正常に燃焼したことを検出するためにノッキング周波数より低い周波数成分だけを通過させる低周波数バンドパスフィルタ321を介して低周波数ピークホールド部331にも供給される。
【0025】
ピークホールド部33および低周波数ピークホールド部331はそれぞれ処理部55に接続される。
処理部55はマイクロコンピュータシステムであって、バス550を中心として、アナログ入力インターフェイス(I/F)551、ディジタル入力I/F552、出力I/F553、CPU554およびメモリ555から構成される。
【0026】
即ちピークホールド部33および低負荷時ノイズピークホールド部331の出力はアナログ入力I/F551に接続されるが、アナログ入力I/F551にはエアフローメータ512、冷却水温度センサ503および空燃比センサ522も接続される。
出力I/F553からは燃料噴射弁515に対する開弁指令が出力されるほか、点火指令信号IGTおよびイオン電流取り込み制御信号が出力される。
【0027】
即ち点火指令信号IGTはイグニッションコイル11で昇圧され、ディストリビュータ16、ハイテンションケーブル17を介して点火栓18に送られる。なお、ディストリビュータ16は例えば30°CA(クランク角)ごとにパルス信号を発生するクランク角センサ505および例えば720°CAごとにパルス信号を発生する基準角センサ506を内蔵し、それぞれの出力はディジタル入力I/F552を介して処理部55に取り込まれ、内燃機関回転数Neの算出、燃料噴射弁515の開閉時期制御および点火指令信号IGTの出力時期制御に使用される。
【0028】
また、イオン電流取り込み制御信号はLC共振マスク部31をLC共振が発生している間オフとしてLC共振波形が取り込まれることを防止するほか、ピークホールド部33、低周波数ピークホールド部331にも供給され前記のノッキングウインドの期間内のピークホールド部33、低周波数ピークホールド部331の動作を許容する。
【0029】
図6は、処理部55のCPU554で実行される燃焼状態検出ルーチンのフローチャートであって、内燃機関5の各気筒の点火時期演算タイミング毎に実行される。即ち各変数は気筒毎に定められる。
ステップ60で低周波数ピークホールド部331にホールドされた低周波数ピーク値VLLを、ステップ61でピークホールド部33にホールドされたノッキング周波数ピーク値VKNを読み込む。
【0030】
そして、ステップ62で失火検出処理、ステップ63でノッキング制御処理を実行してこのルーチンを終了するが、それぞれの処理の内容は後述する。
図7は燃焼状態検出ルーチンのステップ62で実行される失火検出処理のフローチャートであって、ステップ620で低周波数ピーク値VLLがほぼ “0" であるかをVLL<ε(εは正の微小値)が成立するかによって判定する。
【0031】
ステップ620で肯定判定されたときは、ステップ621で失火検出信号を出力してこの処理を終了する。なお、ステップ620で否定判定されたときは失火は発生していないものとして直接この処理を終了する。
図8は燃焼状態検出ルーチンのステップ63で実行されるノッキング制御処理のフローチャートであって、ステップ630でバックグランドVBG算出処理を実行するが、処理の内容は後述する。
【0032】
ステップ631において、イオン電流のピークVKNがバックグランドVBGの予め定められた第1の係数(K1)倍以上であるかを判定する。そして肯定判定されたときは、ステップ632においてイオン電流のピークVKNがバックグランドVBGの予め定められた第2の係数(K2)倍以上であるかを判定する。ここで、0<K1<K2とする。
【0033】
ステップ632で肯定判定されたとき、即ちノッキングが大きいときには、ステップ633で点火時期補正値ΔTIを予め定められた大遅角量(−DTH)に設定してステップ636に進む。
ステップ632で否定判定されたとき、即ちノッキングは発生しているものの小さいと判断されるときは、ステップ634で点火時期補正値ΔTIを予め定められた小遅角量(−DTL)に設定してステップ636に進む。
【0034】
なお、ステップ631で否定判定されたとき、即ち実際にノッキングが発生していないと判断されるときはステップ635に進み、点火時期補正値ΔTIを予め定められた進角量LTに設定してステップ636に進む。
ここで0<LT<<DTL<DTHとするが、これはノッキングが発生していないときに徐々に点火時期を進角してMBT領域での運転を実行するとともに、ノッキングが発生したときには一挙に点火時期を遅角させてノッキングを抑制するためである。さらに本実施例においてはノッキングレベルが高いときには遅角量を大きくしてノッキングの抑制効果を高めている。
【0035】
そして、ステップ636で点火時期制御処理を実行してこの処理を終了するが、点火時期制御処理については後述する。
図9はノッキング制御処理のステップ630で実行されるバックグランド算出処理のフローチャートであって、ステップ6300で次式に基づいて更新量DLBGが算出される。
【0036】
DLBG←|VBGi-1 −VKN|/4
ここでVBGi-1 は前回の演算で算出されたバックグランドであり、更新量DLBGは前回の演算までのバックグランドと今回のピーク値VKNとの差の絶対値の1/4の値として算出される。
ステップ6301およびステップ6302において更新量DLBGが予め定められた上限ガード値GDLBG以下に制限される。
【0037】
ステップ6303およびステップ6304において今回のピーク値VKNがVBGi-1 ×1.0以上の所定係数(例えば1.5)以上であるか、VBGi-1 ×所定係数以下VBGi-1 以上であるか、VBGi-1 以下であるかが判定される。
そしてVBGi-1 ×所定係数以上であるときは、ステップ6305で次式によりバックグランドVBGを更新する。
【0038】
VBG←VBGi-1 +DLBG
VBGi-1 ×所定係数以下VBGi-1 以上であるときは、ステップ6306で次式によりバックグランドVBGを更新する。
VBG←VBGi-1 +DLBG+α
VBGi-1 以下であるときは、ステップ6307で次式によりバックグランドVBGを更新する。
【0039】
VBG←VBGi-1 +DLBG−α
ここで、αはバックグランドVBGを適切な範囲の値とするための調整係数である。
最後に、ステップ6308において次回の演算に備えてVBGi-1 を今回算出されたバックグランドVBGに設定してこの処理を終了する。
【0040】
図10はノッキング制御処理のステップ636で実行される点火時期制御処理のフローチャートであって、ステップ6360でクランク角センサ505から出力されるパルスに基づいて決定される内燃機関回転数Neおよびエアフローメタ512で検出される吸入空気量Qaを読み込み、ステップ6361で内燃機関回転数Neおよび吸入空気量Qaの関数として次式により基準点火時期TBが算出される。
【0041】
TB←TB(Ne,Qa)
ステップ6362で前回算出された点火時期TIi-1 に点火時期補正値ΔTIを加算して今回の点火時期TIを算出する。
TI←TIi-1 +ΔTI
なお、本実施例においては正数を加算したときに点火時期は進角し、正数を減算したときに点火時期は遅角するものとする。
【0042】
そして、ステップ6363および6364で今回の点火時期TIが最進角点火時期である基準点火時期TBと予め定められた最遅角点火時期TDの間にあるかが判定される。
即ち、今回の点火時期TIが基準点火時期TB以上であればステップ6363で肯定判定され、ステップ6365で今回の点火時期TIを基準点火時期TBに置き換えてステップ6367に進む。
【0043】
逆に、今回の点火時期TIが最遅角点火時期TD以下であればステップ6364で肯定判定され、ステップ6366で今回の点火時期TIを最遅角点火時期TDに置き換えてステップ6367に進む。なお、今回の点火時期TIが基準点火時期TBと最遅角点火時期TDの間にあるときは直接ステップ6367に進む。
そして、ステップ6367で出力I/F553を介してイグニッションコイル11に点火指令信号IGTを出力し、ステップ6368で次回の演算に備えて前回算出された点火時期TIi-1 を今回の点火時期TIに更新してこの処理を終了する。
【0044】
図11は上記実施例で使用されるバンドパスフィルタ32および低周波数バンドパスフィルタ321のゲイン特性図であって、横軸は規格化周波数、縦軸は規格化ゲインであり、選択度(Q)は約20である。なおバンドパスフィルタ32の中心周波数は6KHz、低周波数バンドパスフィルタ321は中心周波数は0.5KHzである。
【0045】
なお、上記実施例においては、バンドパスフィルタ32および低周波数バンドパスフィルタ321の出力はピークホールド部33および低周波数ピークホールド部331でピークホールドされるが、ピークホールド部33および低周波数ピークホールド部331に代えて積分部および低周波数積分部とすることも可能である。また、低周波数ピークホールド部331に代えて比較部とラッチ部を使用することも可能である。
【0046】
上記実施例においては、バンドパスフィルタ32、ピークホールド部33、低周波数バンドパスフィルタ321および低周波数ピークホールド部331等はハードウエアを使用しているが、LC共振マスク部31の出力を直接コンピュータに取り込みFFT等を使用して周波数分析し、周波数スペクトルパターンに基づいて失火およびノッキングの検出を行うことも可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る燃焼状態検出装置によれば、1つの増幅回路を有するイオン電流検出部で検出されたイオン電流信号からノッキング周波数成分および正常燃焼周波数成分を抽出することによって、ノッキング周波数成分に基づきノッキングの有無および正常燃焼周波数成分に基づき失火の有無を判定することが経済性を維持したまま可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の点火回路の概略図である。
【図2】点火回路の各部の電圧波形図である。
【図3】ノッキングウインド通過後のイオン電流の時間領域および周波数領域の波形図である。
【図4】課題の説明図である。
【図5】本発明に係る内燃機関のノッキング検出装置の実施例の構成図である。
【図6】燃焼状態検出ルーチンのフローチャートである。
【図7】失火検出処理のフローチャートである。
【図8】ノッキング制御処理のフローチャートである。
【図9】バックグランド算出処理のフローチャートである。
【図10】点火時期制御処理のフローチャートである。
【図11】バンドパスフィルタのゲイン特性図である。
【符号の説明】
5…内燃機関
11…イグニッションコイル
16…デストリビュータ
17…ハイテンションケーブル
18…点火栓
19…イオン電流検出部
31…LC共振マスク部
32…バンドパスフィルタ
321…低周波数バンドパスフィルタ
33…ピークホールド部
331…低周波数ピークホールド部
500…ピストン
501…燃焼室
502…ウオータジャケット
503…冷却水温度センサ
505…クランク角センサ
506…基準角センサ
510…吸気弁
511…エアクリーナ
512…エアフローメータ
513…吸気管
514…スロットル弁
515…燃料噴射弁
520…排気弁
521…排気管
522…空燃比センサ
55…処理部
550…バス
551…アナログ入力I/F
552…ディジタル入力I/F
553…出力I/F
554…CPU
555…メモリ
Claims (2)
- 内燃機関の燃焼室内に設置される一対の電極に電圧を印加し、燃焼室内の混合気が燃焼する際に発生するイオンを介してこの一対の電極間を流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
前記イオン電流検出手段の出力信号からノッキングの発生を表すノッキング周波数成分を抽出するための第1の周波数成分抽出手段と、
前記イオン電流検出手段の出力信号から着火後混合気が正常に燃焼したことを表す正常燃焼周波数成分を抽出する第2の周波数成分抽出手段と、
前記第1の周波数成分抽出手段によって抽出されたノッキング周波数成分に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定するノッキング発生判定手段と、
前記第2の周波数成分抽出手段によって抽出された正常燃焼周波数成分に基づいて失火が発生しているか否かを判定する失火発生判定手段と、を具備し、
前記第1および第2の周波数成分抽出手段は前記イオン電流検出手段に対して並列に接続されて互いに独立して動作する、内燃機関の燃焼状態検出装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置において、前記第1、第2の周波数成分抽出手段はバンドパスフィルタである、内燃機関の燃焼状態検出装置。
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