JP3842032B2 - 移床式上向流濾過装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は下水処理の用水設備・高度処理設備において使用する砂等の濾粒材層中に原水を上向きに流すことにより原水を濾過する移床式上向流濾過装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来のこの種の移床式上向流濾過装置の構成を示す図である。移床式上向流濾過装置は原水W0が濾過砂層を上向きに通過する際に濾過される上向流砂濾過機構1と、該上向流砂濾過機構1の上部に配置された汚れた砂を洗浄する砂洗浄機構2を具備している。上向流砂濾過機構1は濾過用の砂4が収容される筒状の槽体3を具備し、該槽体3内にはディストリビュータ5、コーンバッフル6、及びエアーリフト管7等が配置されて構成されている。
【0003】
砂洗浄機構2は洗浄排水ボックス8を具備し、該洗浄排水ボックス8内にはエアーリフト管7の吐出口9が配置され、該エアーリフト管7で運ばれた汚れた砂4が該吐出口9を通して吐出されるようになっている。ポンプ(図示せず)で送られた原水W0は原水流入管10より立ち上がり管11を流れてディストリビュータ5に噴出し、上向流砂濾過機構1の下部の砂層に均一に分散され、砂4の層を通って濾過される。濾過水W1は集水トラフ12を越流して濾過水吐出口13から吐出される。
【0004】
SS等の汚染物を捕捉し汚れた砂4はエアーリフト管7内を上昇中に攪拌され、汚染物は分離され、砂4は上記のように洗浄排水ボックス8内に排出される。洗浄排水ボックス8内には濾過水導入口14から濾過水W1が導入されるようになっており、洗浄排水ボックス8内に排出された砂4はこの濾過水W1により洗浄され、洗浄排水ボックス8の傾斜した底面とバッフル板15の間の間隙を通って洗浄排水ボックス8の底部に設けられた砂排出筒16内に堆積する。
【0005】
砂排出筒16の下端開口はボール等のフロート式閉塞体17で閉塞されており、上記砂排出筒16内に堆積した砂4の下降力がフロート式閉塞体17の浮上力を越えるとフロート式閉塞体17が沈み該砂4は排出され、上向流砂濾過機構1の砂層内に戻る。上記砂4を洗浄した洗浄排水W2は流量調整板18を越流して洗浄水排出口19から排出される。洗浄排水ボックス8内の水面に溜まったスカムは、スカム排出板20より越流し、洗浄排水W2と共に排出される。なお、図1において、21は原水エアー抜管である。
【0006】
図2は、エアーリフト管7の一部構成を示す図である。図示するようにエアーリフト管7はエアーリフト保護管26内を貫通して配置されている。該エアーリフト保護管26内で、且つエアーリフト管7の外周に図1の空気流入管22、23に連通する空気流入管22、23が配置されている。空気流入管22の先端は中間供給口24としてエアーリフト保護管26内に開口し、空気流入管23の先端は下部供給口25としてエアーリフト管7の先端に設けられた筒体27の頂部に開口している。中間供給口24及び下部供給口25から空気を噴出することにより、上向流砂濾過機構1の下部の砂層の汚れた砂4が筒体27の先端開口(砂入口)から流入し、更にエアーリフト管7の先端開口から該エアーリフト管7内を通って上昇するようになっている。
【0007】
上記構成のエアーリフト管7において、筒体27の内部、即ちエアーリフト管7の先端開口近傍の外周部は下部供給口25から供給された空気と上向流砂濾過機構1の下部の砂層内の水が乱流状態で混ざり、エアーリフト管7の外周部にサンドブラストを掛けている状態となり、エアーリフト管7の外周部が激しく摩耗するという問題がある。特に図3及び図4に示すように、エアーリフト管7の先端開口近傍で下部供給口25から見て0°〜180°の所定部分Bが局所的に摩耗量が多くなるという問題がある。なお、図3はエアーリフト管7の先端部の構成を、図4は図3のA−A断面をそれぞれ示す図である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、エアーリフト管の先端近傍外周部の局所的摩耗を防止、均一な摩耗で且つ摩耗量が少なく、耐用年数の長いエアーリフト管を具備する移床式上向流濾過装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、原水が濾粒材層を上向きに通過する際に濾過される上向流濾過機構と、該上向流濾過機構の上部に配置された汚れた濾粒材を洗浄する濾粒材洗浄機構と、該濾粒材洗浄機構に濾粒材を運び込むエアーリフト管を具備し、該エアーリフト管は下端の濾粒材入口部近傍外周が筒体で覆われ、該筒体頂部に空気供給口が開口する空気流入管から空気を流入させることにより、濾粒材層下部からの濾粒材が前記濾粒材入口部から前記エアーリフト管を通って上昇し、濾粒材洗浄機構に運び込まれるように構成された移床式上向流濾過装置において、筒体内壁面とエアーリフト管外壁面の間の空間内に空気流入管の空気供給口に対向し所定の間隔を設けて該空間の水平断面全面を覆い該空間を上下に仕切る板材を設け、該板材に空気供給口から該筒体内に流入した空気を該板材の下方に位置する前記エアーリフト管の外周に均一に分散させて流し込む複数の空気通過口を設けたことを特徴とする。
【0010】
上記のようにエアーリフト管の濾粒材入口部近傍に空気流入管で導かれた空気を分散させる空気分散機構を設けたことにより、濾粒材入口部近傍外周に空気が均一に分散されると共に、空気と水の乱流の勢いが緩和されるから、エアーリフト管の濾粒材入口部近傍外周の局部的摩耗が防止され、且つ摩耗量も減少する。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移床式上向流濾過装置において、空気分散機構は、エアーリフト管の濾粒材入口部近傍外周に空気流入管先端の空気供給口に対向して所定の間隔を設けて板材を設け、該板材に複数の空気通過口を設けたことを特徴とする。
【0012】
上記のように空気分散機構をエアーリフト管の濾粒材入口部近傍外周に空気供給口に対向して所定の間隔を設けて板材を設け、該板材に複数の空気通過口を設けた構成とすることにより、簡単な構成で、空気供給口から噴出された空気は該複数の空気通過口を通して分散され、エアーリフト管の濾粒材入口部近傍外周に均一に分散されるから、エアーリフト管の局部的摩耗が防止され、且つ摩耗量も減少する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図5及び図6は本発明に係る移床式上向流濾過装置に用いるエアーリフト管の先端部の構成を示す図で、図5は断面図、図6は図5のD−D断面図である。なお、本発明に係る移床式上向流濾過装置の全体的構成は図1に示すものと同じであるのでその説明は省略する。図5及び図6において、図1乃至図4と同一部分は同一符号を付している。
【0014】
図示するように、エアーリフト管7の先端の砂入口部近傍外周に空気流入管22で導かれ、下部供給口25から筒体27内に噴出した空気を分散させる空気分散機構28が設けられている。空気分散機構28はエアーリフト管7の先端の砂入口部近傍外周に下部供給口25に対向して所定の間隔を設けて板材29を設け、該板材29に複数の空気通過口29a(図では120°間隔で3個)を設けた構成である。
【0015】
上記のようにエアーリフト管7の先端砂入口部近傍外周に下部供給口25に対向して所定の間隔を設けて複数の空気通過口29aを形成した板材29を設けた構成の空気分散機構28を設けたことにより、空気流入管22を通って下部供給口25から筒体27内に噴出した空気は、板材29の複数の空気通過口29aを通って分散され、該板材29下方のエアーリフト管7の外周部に均一に分散されて流れ込むから、空気と水の乱流の勢いが緩和され、エアーリフト管7外周部の局部的摩耗が防止され、且つ摩耗量も減少する。従って、エアーリフト管7の耐用年数も長くなる。
【0016】
なお、上記例では下部供給口25に対向して所定の間隔を設けて複数の空気通過口29aを形成した板材29を設けた空気分散機構28を示したが、空気分散機構の構成はこれに限定されるものではなく、要は空気流入管22を通って筒体27内のエアーリフト管7外周部に噴出される空気を均一に分散させる機構であればどのような構成を採用してもよい。
【0017】
また、上記例では濾粒材として砂4を用いる例を示したが、濾粒材は砂に限定されるものではなく、原水を濾過する作用を有する材料からなる粒状のものであればよく、例えば、珪粒、セラミック粒でもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上、説明したように各請求項に記載の発明によれば、下記のような優れた効果が得られる。
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、筒体内壁面とエアーリフト管外壁面の間の空間内に空気流入管の空気供給口に対向し所定の間隔を設けて該空間の水平断面全面を覆い該空間を上下に仕切る板材を設け、該板材に空気供給口から該筒体内に流入した空気を該板材の下方に位置するエアーリフト管の外周に均一に分散させて流し込む複数の空気通過口を設けたので、空気流入管の空気供給口から板材で仕切られた上方の空間に流入した空気は、該板材に設けられた複数の空気通過口を通って、板材の下方に位置するエアーリフト管の外周に均一に分散されて流し込むから、空気と水の乱流の勢いが緩和され、エアーリフト管の濾粒材入口部近傍外周の局部的摩耗が防止され、且つ摩耗量も減少し、エアーリフト管の耐用年数が長くなる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明によれば、空気分散機構をエアーリフト管の濾粒材入口部近傍外周に空気供給口に対向して所定の間隔を設けて板材を設け、該板材に複数の空気通過口を設けた構成とすることにより、簡単な構成で、空気供給口から噴出された空気は該複数の空気通過口を通して分散され、エアーリフト管の濾粒材入口部近傍外周部に均一に分散されるから、エアーリフト管の局部的摩耗が防止され、且つ摩耗量も減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の移床式上向流濾過装置の構成を示す図である。
【図2】従来の移床式上向流濾過装置に用いるエアーリフト管の要部構成を示す図である。
【図3】従来の移床式上向流濾過装置に用いるエアーリフト管の先端部構成を示す図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】本発明に係る移床式上向流濾過装置に用いるエアーリフト管の先端部構成を示す図である。
【図6】図5のD−D断面図である。
【符号の説明】
1 上向流砂濾過機構
2 砂洗浄機構
3 槽体
4 砂
5 ディストリビュータ
6 コーンバッフル
7 エアーリフト管
8 洗浄排水ボックス
9 吐出口
10 原水流入管
11 立ち上がり管
12 集水トラフ
13 濾過水吐出口
14 濾過水導入口
15 バッフル板
16 砂排出筒
17 フロート式閉塞体
18 流量調整板
19 洗浄水排出口
20 スカム排出板
21 原水エアー抜管
22 空気流入管
23 空気流入管
24 中間供給口
25 下部供給口
26 エアーリフト保護管
27 筒体
28 空気分散機構
29 板材

Claims (1)

  1. 原水が濾粒材層を上向きに通過する際に濾過される上向流濾過機構と、該上向流濾過機構の上部に配置された汚れた濾粒材を洗浄する濾粒材洗浄機構と、該濾粒材洗浄機構に濾粒材を運び込むエアーリフト管を具備し、該エアーリフト管は下端の濾粒材入口部近傍外周が筒体で覆われ、該筒体頂部に空気供給口が開口する空気流入管から空気を流入させることにより、前記濾粒材層下部からの濾粒材が前記濾粒材入口部から前記エアーリフト管を通って上昇し、前記濾粒材洗浄機構に運び込まれるように構成された移床式上向流濾過装置において、
    前記筒体内壁面と前記エアーリフト管外壁面の間の空間内に前記空気流入管の空気供給口に対向し所定の間隔を設けて該空間の水平断面全面を覆い該空間を上下に仕切る板材を設け、該板材に前記空気供給口から該筒体内に流入した空気を該板材の下方に位置する前記エアーリフト管の外周に均一に分散させて流し込む複数の空気通過口を設けたことを特徴とする移床式上向流濾過装置。
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