JP3841204B2 - 壁パネルの接続具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室や化粧室などの設備ユニットの内壁を構成する壁パネルの接続具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浴室や化粧室などのユニット化された住宅用設備は、工場で製造された内装用壁パネルの端縁同士を突き合わせて連結することによって内壁を形成することが一般的であり、例えば、特許第2627394号公報には、拡開頭部を有するピン(ジョイントピース)を壁パネルの裏面側端縁部に立設し、これをチャンネル材の支柱(ジョイナー)に形成されただるま孔に係合させるようにした構造の壁パネル組立具が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、壁パネルの取り付け順序は、現場の状況に応じて右回りに順次取り付けた方が良い場合もあれば、その反対の方が良い場合もある。またコーナー部を基点にする場合は、必然的に右回りと左回りとが混在してしまう。このような場合に、上記公報に開示の構造によると、支柱に設けられただるま孔の形状の都合で壁パネルの取り付け順序が決まってしまうため、現場の状況に応じて左右勝手違いの部材を揃える必要があった。このことは部材の製造工程や在庫の管理を繁雑化させる上、現場での作業効率を低下させる要因となるので好ましくはない。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、共通の部材で左右勝手違いに対応することができるように構成された壁パネルの接続具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明においては、拡開頭部(5)と首部(6)とを備え、壁パネル(1)の裏面側縦縁に設けられる結合部材(2)と、拡開頭部が通過可能な孔(台形孔12・13)および首部のみが摺合可能なスリット(14・15)を縦方向に連続させた対をなす透かし孔(10・11)を並列配置してなる連結部材(3)とからなり、2つの壁パネルの端縁同士を突き合わせて接続するための壁パネルの接続具であって、前記対をなす透かし孔は、スリットの上端の位置を揃え、孔のスリットとの接続位置を段違いにし、上下対称形をなすことを特徴とするものとした。
【0006】
このようにすれば、連結部材の上下を反転させるだけで左右勝手違いに容易に対応することができる。
【0007】
対をなす透かし孔は、連結部材の上下対称位置に複数対設けられることを特徴とするもの(請求項2)とすれば、例えばパネルの上下各端に結合部材を設けた場合にも対応することができる。特に前記対をなす透かし孔を、前記連結部材の中央部と上下部との各々に少なくとも一ずつ設けるもの(請求項3)とすれば、高い結合剛性を容易に確保することができる。
【0008】
首部の摺動に抵抗を加えるための突起(内向突起16)を、短い孔と接続したスリットに設けたことを特徴とするもの(請求項4)とすれば、連結部材と結合部材との仮止め状態を保持することができる。
【0009】
スリットと孔とが傾斜面(S)を介して連続することを特徴とするもの(請求項5)とすれば、拡開頭部を孔へ挿入した後にスリットを首部に係合させる作業を円滑に行うことができる。
【0010】
対をなす透かし孔は、スリットの中心に対して孔の中心が外側へオフセットしていることを特徴とするもの(請求項6)とすれば、結合部材を孔へ挿入する時に2枚のパネル同士間に隙間が開くので、コーキングや止水材の充填作業が容易になる上、壁パネルの端縁同士間に指先を入れられるので、壁パネルの取り付け作業が容易になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0012】
図1〜3は、本発明に基づき構成された壁パネルの接続具を示している。この接続具は、壁パネル1(1a)の裏面側の縦縁の要所に固定された結合部材2と、2つの壁パネル1・1aの端縁同士を互いに突き合わせた状態で両パネル1・1aに固定された結合部材2に同時に係合して両パネル1・1aを連結する連結部材3とからなっている。
【0013】
結合部材2は、図4〜6に示したように、例えば合成樹脂材の射出成型で形成されており、上下に長い長方形をなすベース部4と、外形輪郭が長方形をなす拡開頭部5と、ベース部4と拡開頭部5とを結ぶ首部6とからなっており、そのベース部4をビス止めすることにより、互いに突き合わせる2枚の壁パネル1・1aの裏面側における縦縁の同じ高さ位置に固定されている。なお、拡開頭部5の各稜線並びに首部6の上下各端には、全て面取りが施されている。
【0014】
連結部材3は、適宜な幅の金属帯板からロール成型法あるいはプレス成型法によって一定の断面形状に連続形成したのものを、対応する壁パネル1の高さ寸法に応じて切り分けたものであり、図7に併せて示すように、中央の平坦部7と、その両脇の凸部8と、さらにその両脇のフランジ部9とからなり、凸部8を長手方向に延設することによって所期の剛性を得るものとしている。
【0015】
平坦部7には、互いに異なる形状の左右一対の透かし孔10・11が並列に形成されている。これらの透かし孔10・11は、結合部材2の拡開頭部5が通過可能な幅と高さの台形孔12・13と、両台形孔12・13の上下各端から上下に延出された結合部材2の首部6のみが摺合可能な幅のスリット14・15とからなっており、スリット14・15の端末の位置は上下共に揃えられ、高さ方向の全長は互いに等しくされている。そして一方の台形孔12が他方のそれ13より長くされており、つまり台形孔12・13とスリット14・15との接続位置が左右で段違いとなっている。
【0016】
これら左右の透かし孔10・11は、それぞれ上下対称形とされている。またこれら一対の透かし孔10・11は、連結部材3の中央部に一対設けると共に、上下各端部の上下対称位置に複数対(各2対)ずつ設けても良い(図7参照)。
【0017】
短い方の台形孔13から延出されたスリット15の中間部には、半円形の内向突起16が形成されている。そして両スリット14・15の縦方向の中心線に対して各台形孔12・13の中心位置はそれぞれ外側へオフセットしており、つまり台形孔12・13の底辺は、対応するスリット14・15と直線的に連続している。
【0018】
次に本発明による壁パネルの接続具の使用要領について図1〜3を参照して説明する。
【0019】
先ず、例えば背面から見て連結部材3の右側に位置する壁パネル1に固定された結合部材2の拡開頭部5を、連結部材3に形成された一対の透かし孔の内の右側に位置するもの11の短寸な台形孔13に通し、右側の壁パネル1の縦縁に連結部材3を装着する。この作業は、壁パネル1を立てかけた状態でも床に寝かせた状態でもどちらの状態で行っても良い。
【0020】
台形孔13に拡開頭部5を通したならば、連結部材3を下向きに滑らせて結合部材2の首部6にスリット15を係合させる。ここでスリット15には内向突起16が形成してあるので、この突起16に首部6が係止して仮止め状態となる。なお、スリット15は台形孔13の上下各端から延出されているので、その境界は傾斜面Sを介して連続しており、首部6に施された面取りと相俟って、首部6は円滑にスリット15へと誘導される。
【0021】
この状態では、右側の壁パネル1の裏面左側の縦縁に、縦縁から左方へ且つ上方へ出っ張った形で連結部材3が装着されることとなる(図2参照)。
【0022】
この状態で立てかけた壁パネル1の左隣に後付けする別の壁パネル1aを並べると、後付け壁パネル1aに固定された結合部材2aの拡開頭部5aが長い方の台形孔12の上部に整合するように両透かし孔10・11の台形孔12・13の長さが設定してあるので、そのままの位置で長い方の台形孔12に後付け壁パネル1aの裏面右側の縦縁に固定された結合部材2aの拡開頭部5aを通過させることができる。また一対の透かし孔10・11は、両スリット14・15の縦方向の中心線に対して両台形孔12・13の中心が共に外側へオフセットしているので、長い方の台形孔12に対応する拡開頭部5aを通過させる時は、先付けされた右隣の壁パネル1との間に隙間が空くので、コーキングや止水材の充填作業が容易になる上、壁パネルの端縁同士間に指先を入れられるので、後付け壁パネル1aの取り付け作業が容易になる。
【0023】
後付け壁パネル1aに固定された結合部材2aの拡開頭部5aが長い台形孔12を通過した状態で連結部材3の上端を叩いて連結部材3を下向きに滑らせれば、両スリット14・15の上端まで両結合部材2・2aの首部が入り込み、これによって連結部材3を介して2枚の壁パネル1・1aが連結されることとなる。なお、後付け壁パネル1aに固定された結合部材2aに対応する台形孔12とスリット14との境界も傾斜面Sを介して連続しているので、こちら側の首部もスリット14へと円滑に誘導される。
【0024】
左右の透かし孔10・11は、それぞれ上下対称形とされているので、連結部材3における高さ方向の中心に対して上下対称位置に複数対の透かし孔10・11を設けておけば、例えば壁パネルの上下各端に結合部材2(2a)を設けた場合にも、連結部材3の天地を逆にするだけで左右勝手反対となるので、壁パネル1・1aの取り付け順序を容易に違えることができる。特に、連結部材3の中央部に一対設けると共に、上下各端部の上下対称位置に複数対(各2対)ずつ設けるもの(図7参照)とすれば、壁パネル1・1aの上下両端と上下方向の中間部とが固定されるので、壁面の剛性感を高めることができる。
【0025】
【発明の効果】
このように本発明によれば、壁パネルの裏面側縦縁に固定された結合部材に係合させる一対の透かし孔を、スリットの上端の位置を揃え、孔のスリットとの接続位置を段違いにし、上下対称形をなすことを特徴とするものとしたので、上下を反転させるだけで、同一部材で左右勝手違いに容易に対応することが可能となり、取り付け順序を選ばないので、左回り又は右回りのいずれでも良いことは勿論のこと、コーナー部を基点にしての左右両方向への同時作業も可能となり、部材の製造工程及び在庫管理を簡略化すると共に、現場での作業効率を向上する上に多大な効果を奏することができる。
【0026】
特に一対の透かし孔を、連結部材の上下対称位置に複数対設けるものとすれば、例えばパネルの上下各端に結合部材を設けた場合にも対応することができ、中央部と上下部とに各一対以上設けるものとすれば、高い結合剛性を容易に確保することができる。
【0027】
また、首部の摺動に抵抗を加えるための突起を短い孔と接続したスリットに設けるものとすれば、連結部材と結合部材との仮止め状態を保持することができ、スリットと孔とが傾斜面を介して連続するものとすれば、拡開頭部を孔へ挿入した後にスリットを首部に係合させる作業を円滑に行うことができ、一対の透かし孔を、スリットの縦方向の中心線に対して孔の中心が外側へオフセットしたものとすれば、結合部材を孔へ挿入する時に2枚のパネル同士間に隙間が開くので、コーキングや止水材の充填作業が容易になる上、壁パネルの端縁同士間に指先を入れられるので、壁パネルの取り付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による結合部材が取り付けられた壁パネルと連結部材との関係を示す要部斜視図
【図2】一方の壁パネルに連結部材を装着した状態を示す要部斜視図
【図3】一対の壁パネルの連結状態を示す要部斜視図
【図4】結合部材の上面図
【図5】結合部材の側面図
【図6】結合部材の正面図
【図7】連結部材の全体正面図
【符号の説明】
1 壁パネル
2 結合部材
3 連結部材
4 ベース部
5 拡開頭部
6 首部
7 平坦部
8 凸部
9 フランジ部
10・11 透かし孔
12・13 台形孔
14・15 スリット
16 内向き突起

Claims (6)

  1. 拡開頭部と首部とを備え、壁パネルの裏面側縦縁に設けられる結合部材と、前記拡開頭部が通過可能な孔および前記首部のみが摺合可能なスリットを縦方向に連続させた対をなす透かし孔を並列配置してなる連結部材とからなり、2つの壁パネルの端縁同士を突き合わせて接続するための壁パネルの接続具であって、
    前記対をなす透かし孔は、前記スリットの端末の位置が揃い、前記孔の前記スリットとの接続位置が段違いであり、上下対称形をなすものであることを特徴とする壁パネルの接続具。
  2. 前記対をなす透かし孔は、前記連結部材の上下対称位置に複数対設けられることを特徴とする請求項1に記載の壁パネルの接続具。
  3. 前記対をなす透かし孔は、前記連結部材の中央部と上下部との各々に少なくとも一対ずつ設けられることを特徴とする請求項1に記載の壁パネルの接続具。
  4. 前記首部の摺動に抵抗を加えるための突起を、短い孔と接続したスリットに設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の壁パネルの接続具。
  5. 前記スリットと前記孔とが傾斜面を介して連続していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の壁パネルの接続具。
  6. 前記対をなす透かし孔は、前記スリットの縦方向の中心線に対して前記孔の中心が外側へオフセットしていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の壁パネルの接続具。
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