JP3841086B2 - 生態系保全・再生護岸ブロック - Google Patents
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Description
(1)あたかもコンクリート一体成形品のように図示されているが、空洞を有する複雑な箱状ブロックであるため、一度のコンクリート打設で製品化できる可能性が低く、数箇所による継ぎ合わせ等によらなければならないのが実態と思われる。従って、それに要する経費や強度に問題がある。
(2)有底の箱状ブロックであり、その箱底部で基礎工を被う形態で、しかも基礎工は栗石上に捨てコンクリートを打設したものであるため、基礎工との間で気密性(水密)が発揮されて、地下水が抜け出ることができず、間隙水圧が上がって護岸法面を圧迫し、流速作用で生じる揚圧力と合算して護岸構造を不安定にする。また、構造上湧水機能を阻止するため、生態系にとって水温変化からの回避が阻止される。
(3)法留ブロックの敷設を必要としているため、これが護岸構造の弱点となり、法留ブロックが河床の洗掘に倒壊する可能性が高いので、護岸構造が破壊に至り不安定となる。
(4)植生床となるブロック上面の凹部は浅皿状となっており、しかもそこに孔が設けられていることから、排水効果が先行し保水機能が減衰する可能性が高い。また、洪水流に伴う急激な流速に対しては、孔が設けられていたとしても、植生の根が頑丈に絡まるまでは、流速によるせん断力及び揚力・抗力や流水による剥離作用などの力学的力に不安定となる可能性が高い。また、陸生の芝草は、長時間の水没に枯死してしまう特性をもっている。
(5)箱状ブロックに設けられた皿状凹部及び空洞内に玉石を敷詰めても、皿状凹部に関しては高流速によって流失してしまう可能性が高い。また、空洞内に詰め込んだ玉石の間隙の大小によって、対象魚種を特定することが極めて困難であり、適否の判断が難しい。
(6)箱状ブロックの空洞内は日陰構造となるとともに、ブロック内に発生する流速が速くなり過ぎるきらいがある。
(7)ブロック内は空洞のまま又は玉石詰となっており、皿状凹部に植栽したとしても、餌の繁殖環境を創出するとは考えにくい。
(8)鳥類営巣環境改善機能を有するとは言うものの、適用できる種が限られると思われ、しかも、植生できるのは芝草のみであるから、営巣の可能性としては極めて低いと考えられる。
(9)皿状凹部に玉石を敷並べると、護岸上面の凹凸が複雑となり、とても歩行が困難となる。たとえ凹凸部に芝を張ったとしても、流速で流失したり、雑草化して踏み足場となる環境の保持が困難と考えられる。
(1)ブロック製造の容易性・高強度
単純なブロック形状であるため、鋼製型枠を用いて一度のコンクリート打設で製造でき、その製造が容易であるとともに、偏平な下盤部と同じく偏平な上盤部とが複数の中間台部で一体化されているため、強度も高い。
(2)護岸構造物の安定性
下盤部と上盤部とに、上下の流水を許容する開口部が有り、下盤部の開口部が地下水や間隙水圧の上下の流れを許容するため、ブロックの安定性が良い。
更に、ブロック同士を連結金具で連結することで、屈撓性に富み、安定性が一層高い護岸構造にできる。
(3)法尻構造の安定性
ブロック同士を連結して法面から河床に連続して敷設できるので、河床の洗掘がおきてもブロックが追随し、護岸構造の安定性に影響を与えない。
(4)植栽に対する保水機能と安定性
下盤部に設けられた開口部(孔等)が基礎地盤へ根が張る植生床となり、その回りで刈り草等がリング状に結束して、保水性を適度に維持する乾燥防止用の囲い構造となるため、植生に対する保水機能が高い。しかも、植生の安定性については、下盤部の下に防砂マットを敷設すると、その下の基礎地盤と合体するので剥離したりすることがない。
なお、根部が未成熟期であっても、各ブロックにおいて上盤部が下盤部に対して傾斜していて、その間の空間が上下方向に次第に狭くなっているため、流速が早くならない構造となっており、さらに下盤部の開口部の周囲にできる刈草等のリングによって、さらに安定性が確保される。
(5)魚介類の産卵・生息機能
魚種ごとの適応性に応じて、ブロックへの詰め込み土砂の種類や植生の種類を臨機に適宜選択して行うことができる。例えば、湿生植物(ヤナギ等)、抽水植物(ヨシ、マコモ等)、沈水植物(バイカモ、ヤナギモ等)を植栽すると、昆虫等の餌環境やフナ類、コイ類、ワカサギ、イトヨ、トミヨ、エゾトミヨ、キタノトミヨなどへの産卵環境を創出できる。更に、砂礫を詰め込むと、ヤツメ類、カジカ類、ウグイ類、アメマス、ウキゴリなどが産卵できる環境を創出できる。
(6)魚の安定生息機能
生態系保全・再生護岸ブロックに嵌合して設置する淵穴は、自然河岸に見られる淵機能の創出を図ったもので、魚が容易に、越冬・水温変化・洪水時の高流速・外敵等から避難・回避できる安定生息機能が創出される。
(7)野鳥の繁殖・生息機能
生態系保全・再生護岸ブロックに、ヤナギ、ヨシ等を植栽することによって、これらの環境に依存するキジバト、ヨシキリ類、カワラヒワ、オオジュリンなどの多様な野鳥の繁殖・生息環境を創出できる。
(8)景観の再生・創出
生態系保全・再生護岸ブロックに、ヤナギ、ヨシ等を植栽することによって、殺風景なコンクリート面が緑化され、景観の再生や創出ができる。
B 法肩・法尻用ブロック
C 淵穴用ブロック
d 淵穴用筒体
1 下盤部
2・3 中間台部
2a・3a 中間欠如部分
4 上盤部
5 連結金具
6 中央空間
7・8 左右両側空間
9 下開口部
10 上開口部
11 根腐れ防止用排水溝
12 ギザギザ
13 防砂マット
14・15 凸部
16 切欠部
17 淵穴
Claims (2)
- 偏平な横長長方形状の下盤部(1)と、前後に長い長方形状で、前端から後端に向かって高さが次第に低くなっているとともに、中間部分が欠如した中間欠如部分(2a)・(3a)となっている左右の中間台部(2)・(3)と、下盤部(1)に対して前端から後端に向かって低くなるように傾斜した偏平な横長長方形状の上盤部(4)とを一体に成形し、左右の中間台部(2)・(3)は、互いに間隔S1をおき、しかも下盤部(1)及び上盤部(4)の左辺縁及び右辺縁よりも左右同じ間隔S2(但し、S1>S2)だけ内側に寄ったところに設けられ、下盤部(1)と上盤部(4)との間において、左右の中間台部(2)・(3)の左右両側が、側面を開口したまま前後に抜ける溝状の左右両側空間(7)・(8)となっているとともに、左右の中間台部(2)・(3)の間が、前記左右両側空間(7)・(8)よりも幅員が大きい前後に抜ける角筒状の中央空間(6)となっており、下盤部(1)の中央には、土を詰めて植栽するための大きく開口した孔である下開口部(9)が形成されているとともに、下盤部(1)の下面に、この下開口部(9)の周縁から下盤部1の前端に達する根腐れ防止用排水溝(11)が形成され、また上盤部4には、この下開口部(9)の真上から平面U形に開口するとともに、そのU形開口部分の端で左右に長方形に拡がり上盤部(4)の後端面で大きく開口する切欠凹部である上開口部(10)が形成されていることを特徴とする生態系保全・再生護岸ブロック。
- 偏平な横長長方形状の下盤部(1)と、前後に長い長方形状で、前端から後端に向かって高さが次第に低くなっているとともに、中間部分が欠如した中間欠如部分(2a)・(3a)となっている左右の中間台部(2)・(3)と、下盤部(1)に対して前端から後端に向かって低くなるように傾斜した偏平な横長長方形状の上盤部(4)とを一体に成形し、左右の中間台部(2)・(3)は、互いに間隔S1をおき、しかも下盤部(1)及び上盤部(4)の左辺縁及び右辺縁よりも左右同じ間隔S2(但し、S1>S2)だけ内側に寄ったところに設けられ、下盤部(1)と上盤部(4)との間において、左右の中間台部(2)・(3)の左右両側が、側面を開口したまま前後に抜ける溝状の左右両側空間(7)・(8)となっているとともに、左右の中間台部(2)・(3)の間が、前記左右両側空間(7)・(8)よりも幅員が大きい前後に抜ける角筒状の中央空間(6)となっており、下盤部(1)の中央には、大きく開口した孔である下開口部(9)が形成され、また上盤部(4)の後端には、左右の中間台部(2)・(3)と一体な左右の凸部(14)・(15)が形成されているとともに、これら凸部(14)・(15)によりその間とその左右両側に分かれた切欠部(16)が形成され、前記下開口部(9)の下側に淵穴用筒体(d)を設置して魚のすみかとなる淵穴(17)を形成することを特徴とする生態系保全・再生護岸ブロック。
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JP2004031949A JP3841086B2 (ja) | 2004-02-09 | 2004-02-09 | 生態系保全・再生護岸ブロック |
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