JP3841086B2 - 生態系保全・再生護岸ブロック - Google Patents

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Description

本発明は、河川や湖沼等において、植物や魚介類や鳥類等の生態系の環境を保全・再生しながら護岸できる生態系保全・再生護岸ブロックに関する。
この種の護岸ブロックとして、特許文献1(特開平10−121437号公報)に記載のものがある。この護岸ブロックは、全体として有底の箱状で、前面及び左右側面が開口し後面が閉じた空洞を有し、底面が水辺の法面の傾斜に沿う平面、上面がほぼ水平で、前面には、上下のブロック同士を係合させて階段状にするための係合凹部を形成し、上面には、植生床や排水路となる皿状凹部を形成したものである。
しかし、これによると次のような問題点がある。
(1)あたかもコンクリート一体成形品のように図示されているが、空洞を有する複雑な箱状ブロックであるため、一度のコンクリート打設で製品化できる可能性が低く、数箇所による継ぎ合わせ等によらなければならないのが実態と思われる。従って、それに要する経費や強度に問題がある。
(2)有底の箱状ブロックであり、その箱底部で基礎工を被う形態で、しかも基礎工は栗石上に捨てコンクリートを打設したものであるため、基礎工との間で気密性(水密)が発揮されて、地下水が抜け出ることができず、間隙水圧が上がって護岸法面を圧迫し、流速作用で生じる揚圧力と合算して護岸構造を不安定にする。また、構造上湧水機能を阻止するため、生態系にとって水温変化からの回避が阻止される。
(3)法留ブロックの敷設を必要としているため、これが護岸構造の弱点となり、法留ブロックが河床の洗掘に倒壊する可能性が高いので、護岸構造が破壊に至り不安定となる。
(4)植生床となるブロック上面の凹部は浅皿状となっており、しかもそこに孔が設けられていることから、排水効果が先行し保水機能が減衰する可能性が高い。また、洪水流に伴う急激な流速に対しては、孔が設けられていたとしても、植生の根が頑丈に絡まるまでは、流速によるせん断力及び揚力・抗力や流水による剥離作用などの力学的力に不安定となる可能性が高い。また、陸生の芝草は、長時間の水没に枯死してしまう特性をもっている。
(5)箱状ブロックに設けられた皿状凹部及び空洞内に玉石を敷詰めても、皿状凹部に関しては高流速によって流失してしまう可能性が高い。また、空洞内に詰め込んだ玉石の間隙の大小によって、対象魚種を特定することが極めて困難であり、適否の判断が難しい。
(6)箱状ブロックの空洞内は日陰構造となるとともに、ブロック内に発生する流速が速くなり過ぎるきらいがある。
(7)ブロック内は空洞のまま又は玉石詰となっており、皿状凹部に植栽したとしても、餌の繁殖環境を創出するとは考えにくい。
(8)鳥類営巣環境改善機能を有するとは言うものの、適用できる種が限られると思われ、しかも、植生できるのは芝草のみであるから、営巣の可能性としては極めて低いと考えられる。
(9)皿状凹部に玉石を敷並べると、護岸上面の凹凸が複雑となり、とても歩行が困難となる。たとえ凹凸部に芝を張ったとしても、流速で流失したり、雑草化して踏み足場となる環境の保持が困難と考えられる。
特開平10−121437号公報
本発明の課題は、このような問題が全くない、つまり一体成形が容易なブロック形状であるのは勿論のこと、流水等に対して安定した護岸構造にできるとともに、植物や魚介類や鳥類等に対して優れた生態環境を与えることができ、しかも植生に好適な親水性を維持しながら人によっても歩行しやすい護岸面にできる、生態系保全・再生護岸ブロックを提供することにある。
本発明の第1の形態の生態系保全・再生護岸ブロックは、植栽できるようにしたもので、偏平な横長長方形状の下盤部1と、前後に長い長方形状で、前端から後端に向かって高さが次第に低くなっているとともに、中間部分が欠如した中間欠如部分2a・3aとなっている左右の中間台部2・3と、下盤部1に対して前端から後端に向かって低くなるように傾斜した偏平な横長長方形状の上盤部4とを一体に成形し、左右の中間台部2・3は、互いに間隔S1をおき、しかも下盤部1及び上盤部4の左辺縁及び右辺縁よりも左右同じ間隔S2(但し、S1>S2)だけ内側に寄ったところに設けられ、下盤部1と上盤部4との間において、左右の中間台部2・3の左右両側が、側面を開口したまま前後に抜ける溝状の左右両側空間7・8となっているとともに、左右の中間台部2・3の間が、前記左右両側空間7・8よりも幅員が大きい前後に抜ける角筒状の中央空間6となっており、下盤部1の中央には、土を詰めて植栽するための大きく開口した孔である下開口部9が形成されているとともに、下盤部1の下面に、この下開口部9の周縁から下盤部1の前端に達する根腐れ防止用排水溝11が形成され、また上盤部4には、この下開口部9の真上から平面U形に開口するとともに、そのU形開口部分の端で左右に長方形に拡がり上盤部4の後端面で大きく開口する切欠凹部である上開口部10が形成されていることを特徴とする。
このブロックによると、偏平な横長長方形状の下盤部と同じく偏平な横長長方形状の上盤部との間の空間が、魚介類が回避して生息するに適した回避生息空間になるとともに、上下方向に次第に狭くなっているため、水流の流速を減速したり雨水等の排水路にもなる。また、下側の開口部、つまり下盤部の大きく開口した開口部は、そこに土砂や小石等を詰めることで基礎地盤へ根が張る植生床となるとともに、地下水や間隙水圧の上下の流れを許容することでブロックの安定性を高め、また上側の開口部、つまり上盤部の開口部は、下開口部の真上から平面U形に開口するとともに、そのU形開口部分の端で左右に長方形に拡がり上盤部の後端面で大きく開口する切欠凹部であるため、植物繁殖のための光合成を促すとともに、詰め土及び植栽の作業性を容易にする。一方、下盤部の下面には、植生床となる下開口部の周縁から下盤部の前端に達する根腐れ防止用排水溝が形成されているので、植生床となる下開口部への排水が、下盤部の下面で許容されるため、植生床となる下開口部での根腐れを防止できる。左右の中間台部の間に形成される中央空間は、その左右外側に形成される左右両側空間よりも幅員が大きいので、敷設された左右のブロック同士では、互いの左右の空間が併合して中央空間と幅員が同程度となる。更に、これら中央空間と左右両側空間とは、上下方向に次第に狭くなりながら、左右の中間台部の中間欠如部分によって中間が連通しているので、この中間欠如部分でも水流の減速が図れるとともに、ここが脇道の魚道にもなる。
本発明の第2の形態の生態系保全・再生護岸ブロックは、魚にとって絶好の避難・逃避場所となる淵穴を提供できるようにしたもので、偏平な横長長方形状の下盤部1と、前後に長い長方形状で、前端から後端に向かって高さが次第に低くなっているとともに、中間部分が欠如した中間欠如部分2a・3aとなっている左右の中間台部2・3と、下盤部1に対して前端から後端に向かって低くなるように傾斜した偏平な横長長方形状の上盤部4とを一体に成形し、左右の中間台部2・3は、互いに間隔S1をおき、しかも下盤部1及び上盤部4の左辺縁及び右辺縁よりも左右同じ間隔S2(但し、S1>S2)だけ内側に寄ったところに設けられ、下盤部1と上盤部4との間において、左右の中間台部2・3の左右両側が、側面を開口したまま前後に抜ける溝状の左右両側空間7・8となっているとともに、左右の中間台部2・3の間が、前記左右両側空間7・8よりも幅員が大きい前後に抜ける角筒状の中央空間6となっており、下盤部1の中央には、大きく開口した孔である下開口部9が形成され、また上盤部4の後端には、左右の中間台部2・3と一体な左右の凸部14・15が形成されているとともに、これら凸部14・15によりその間とその左右両側に分かれた切欠部16が形成され、前記下開口部9の下側に淵穴用筒体dを設置して魚のすみかとなる淵穴17を形成することを特徴とする。
このブロックによると、下盤部と上盤部との間での作用は上記と同様であるが、上盤部に上記のような開口部が無く、下盤部の開口部の下側に、魚にとって絶好の避難・逃避場所となる淵穴を形成でき、また上盤部の切欠部はこの淵穴へ通ずる通路の出入り口となる。
本発明によれば、上述した従来例の問題点を一掃できる次のような効果がある。
(1)ブロック製造の容易性・高強度
単純なブロック形状であるため、鋼製型枠を用いて一度のコンクリート打設で製造でき、その製造が容易であるとともに、偏平な下盤部と同じく偏平な上盤部とが複数の中間台部で一体化されているため、強度も高い。
(2)護岸構造物の安定性
下盤部と上盤部とに、上下の流水を許容する開口部が有り、下盤部の開口部が地下水や間隙水圧の上下の流れを許容するため、ブロックの安定性が良い。
更に、ブロック同士を連結金具で連結することで、屈撓性に富み、安定性が一層高い護岸構造にできる。
(3)法尻構造の安定性
ブロック同士を連結して法面から河床に連続して敷設できるので、河床の洗掘がおきてもブロックが追随し、護岸構造の安定性に影響を与えない。
(4)植栽に対する保水機能と安定性
下盤部に設けられた開口部(孔等)が基礎地盤へ根が張る植生床となり、その回りで刈り草等がリング状に結束して、保水性を適度に維持する乾燥防止用の囲い構造となるため、植生に対する保水機能が高い。しかも、植生の安定性については、下盤部の下に防砂マットを敷設すると、その下の基礎地盤と合体するので剥離したりすることがない。
なお、根部が未成熟期であっても、各ブロックにおいて上盤部が下盤部に対して傾斜していて、その間の空間が上下方向に次第に狭くなっているため、流速が早くならない構造となっており、さらに下盤部の開口部の周囲にできる刈草等のリングによって、さらに安定性が確保される。
(5)魚介類の産卵・生息機能
魚種ごとの適応性に応じて、ブロックへの詰め込み土砂の種類や植生の種類を臨機に適宜選択して行うことができる。例えば、湿生植物(ヤナギ等)、抽水植物(ヨシ、マコモ等)、沈水植物(バイカモ、ヤナギモ等)を植栽すると、昆虫等の餌環境やフナ類、コイ類、ワカサギ、イトヨ、トミヨ、エゾトミヨ、キタノトミヨなどへの産卵環境を創出できる。更に、砂礫を詰め込むと、ヤツメ類、カジカ類、ウグイ類、アメマス、ウキゴリなどが産卵できる環境を創出できる。
(6)魚の安定生息機能
生態系保全・再生護岸ブロックに嵌合して設置する淵穴は、自然河岸に見られる淵機能の創出を図ったもので、魚が容易に、越冬・水温変化・洪水時の高流速・外敵等から避難・回避できる安定生息機能が創出される。
(7)野鳥の繁殖・生息機能
生態系保全・再生護岸ブロックに、ヤナギ、ヨシ等を植栽することによって、これらの環境に依存するキジバト、ヨシキリ類、カワラヒワ、オオジュリンなどの多様な野鳥の繁殖・生息環境を創出できる。
(8)景観の再生・創出
生態系保全・再生護岸ブロックに、ヤナギ、ヨシ等を植栽することによって、殺風景なコンクリート面が緑化され、景観の再生や創出ができる。
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
実施例1では、護岸の法面に敷設する法面用ブロックAと、法肩(天端)及び法尻に敷設する法肩・法尻用ブロックBとの2つのタイプのブロックを用いるが、法面用ブロックAが主たるもので、法肩・法尻用ブロックBはそれと形状が僅かに異なるだけであるので、先に法面用ブロックAについて説明する。
法面用ブロックAは、図1〜図7に示すように、下盤部1と、互いに平行な左右の中間台部2・3と、下盤部1に対して前端から後端に向かって次第に低くなる傾斜した上盤部4とを鉄筋入りコンクリートで一体成型したものである。下盤部1と上盤部4とは偏平な同じ大きさの横長長方形状であり、左右の中間台部2・3は同じ大きさの前後に長い長方形状である。下盤部1の4つの角部は全て斜めにカットされ、そのカットされた角部には、U形部分を突出させた連結金具5が埋設されている。また、上盤部4については、その前端の左右の角部が斜めにカットされ、後端の左右の角部が、連結金具5によるブロック同士の連結作業を容易にするためL形にカットされている。
左右の中間台部2・3は、上盤部4を上記のように傾斜させるため、前端から後端に向かって高さが次第に低くなって、下盤部1及び上盤部4の前後端に達しているが、その前後方向の中間部分は欠如した中間欠如部分2a・3aとなっている。
また、下盤部1と上盤部4との間は、魚介類が生息するための回避生息空間となるが、左右の中間台部2・3は、図4に示すように互いに間隔S1をおき、しかも下盤部1及び上盤部4の左辺縁及び右辺縁よりも左右同じ間隔S2だけ内側に寄ったところに設けられているため、左右の中間台部2・3の間が前後に抜ける角筒状の中央空間6となり、左右の中間台部2・3の左右両側が、側面を開口したまま前後に抜ける溝状の左右両側空間7・8となる。ここで、S1>S2の関係になっているため、中央空間6は左右両側空間7・8よりも幅員が大きい。これら中央空間6と左右両側空間7・8とは、中間台部2・3の中間欠如部分2a・3aによって中間が連通していることになる。
下盤部1の中央(左右の中間台部2・3の間)には、大きく開口した円形孔である下開口部9が形成され、また上盤部4には、この下開口部9の真上から平面U形に開口するとともに、そのU形開口部分の端で左右に長方形に拡がり上盤部4の後端面で大きく開口する切欠凹部である上開口部10が形成されている。
下盤部1の下面には、下開口部9の周縁から下盤部1の前端中央へ達する細長い根腐れ防止用排水溝11が形成され、また上盤部4の上面全域には、無数のギザギザ(キズ)12が線状に形成されている。ギザギザ12は、上盤部4の更に側面にも部分的又は全面的に形成するのが良いが、ギザギザ12を全く形成しない場合もある。
このような法面用ブロックAに対して、法肩・法尻用ブロックBは、図8〜図11に示すように、上盤部4を下盤部1に対して傾斜させずに平行(水平)にしたことが相違するだけで、その他については実質的に同じである。
寸法(単位はmm)の一例を示すと、下盤部1及び上盤部4の左右長1800、それらの前後長1200、それらの厚さ150、左右の中間台部2・3の左右幅300、中央空間6の左右幅700、左右両側空間7・8の左右幅250、下開口部9の直径600、上開口部10のU形部分の幅400、その後端開口幅700で、これらの寸法は法面用ブロックAと法肩・法尻用ブロックBで共通である。上盤部4が傾斜している法面用ブロックAの場合、下盤部1の下面から上盤部4の上面前端までの高さ(最大高さ)が600、同じく上盤部4の上面前端までの高さ(最小高さ)が352である。上盤部4が水平な法肩・法尻用ブロックBの場合、下盤部1の下面から上盤部4の上面までの高さが一律に450である。
図12及び図13に、上記のような法面用ブロックAと法肩・法尻用ブロックBとを用いて河川護岸として構築した本発明による生態系保全・再生護岸構造物の一例を示す。
法肩、法面及び法尻の基礎整備をして吸い出し防止のために防砂マット(防砂シート)13を敷設してから、その防砂マット13上で法面には法面用ブロックAを左右前後に敷き並べ、法肩と法尻には法肩・法尻用ブロックBを左右前後に敷き並べる。隣接するブロック同士は連結金具5を用いて互いに連結する。
このように敷設された法面用ブロックA及び法肩・法尻用ブロックBは、左右に並ぶブロック相互において左右両側空間7・8が併合し、それが前後に並ぶブロック相互で連通するとともに、前後に並ぶブロック相互で中央空間6が連通し、しかもこれらの空間が、中間台部2・3の中間欠如部分2a・3aによって左右にも連通する。法面用ブロックAは上盤部4が傾斜しているため、その前端と後端で法面用ブロックA同士が段差を形成し、基礎法面の勾配よりも緩い勾配の階段状となる。法肩・法尻用ブロックBは上盤部4が水平であるため、法肩・法尻用ブロックB同士も水平となる。
上記のように連通した中央空間6及び左右両側空間7・8は、魚介類が回避して生息するに適した回避生息空間になるとともに、水流の流速を減速したり雨水等の排水路にもなる。また、下開口部9に土を詰めて水生植物や草花を植栽することにより、上開口部10から伸びて成長する恰好の植生環境となる。この場合、図14及び図15に示すように、土を詰めた下開口部9の回りに、乾燥した刈草等を筵状に編み上げて筒状に囲めば、植生の乾燥防止となるとともに、根付いた後は勿論のこと根付くまでにも魚にとっては恰好の住みかとなり、また廃棄処理に困っている刈草の有効利用も図れる。下盤部1の下面には根腐れ防止用排水溝11があるため、根腐れを防止できる。
上盤部4の上面、更には側面のギザギザ12は、人が歩行する際の滑り止めになり、日光の乱反射により温度上昇を抑えるとともに藻類の付着を促進できる。
護岸構造全体としては、個々のブロック自体の安定性が良いのに加え、水流の流速を減速する効果が大であり、しかも下開口部9から基礎地盤へ植物が根付くので、安定性が高く生態系の保全・再生環境としても、また自然環境として景観も良好な護岸構造となる。
実施例2では、法面用ブロックAと法肩・法尻用ブロックBの他に更に淵穴用ブロックCを用いるもので、図16〜図19にその淵穴用ブロックCを示す。
淵穴用ブロックCは、その下盤部1については法面用ブロックAのものと同じであるが、上盤部4が法面用ブロックAのものとは異なり、上開口部10に代え、上盤部4の後端部に、左右二箇所の凸部14・15を左右の中間台部2・3と一体に残して切欠部16を形成したものである。切欠部16は、左右の凸部14・15によって、これらの中間と左右両側とに分けられた恰好になっている。この切欠部16が法面用ブロックAの切欠部10に比べて小さくなっているのは魚にとって不都合な直射日光の回避、および淵穴17に堆積する土砂を軽減する効果がある。
図20及び図21は、淵穴用ブロックCも用いて構築した生態系保全・再生護岸構造物の一例を示す。この場合、淵穴用ブロックCと共に図22に示すような淵穴用筒体dを用いる。淵穴用筒体dは、下盤部1の下開口部9に嵌合する大きさの上下両端が開口した円筒体(例えば、直径550mm、長さ1000mm)である。
淵穴用ブロックCは、図20に示すように、基礎法面の一部分について法面用ブロックAに代えて敷設するが、その前に基礎地盤に穴を掘って淵穴用筒体dを埋めておいてから、淵穴用ブロックCの下開口部9を図21及び図23に示すように淵穴用筒体dと嵌合させて淵穴用ブロックCを敷設し、各淵穴用ブロックCの下盤部1の下側に淵穴用筒体dによる淵穴17を形成する。
前後に並ぶ淵穴用ブロックC同士の間、及び淵穴用ブロックCとこれに隣接する法面用ブロックAの間には、淵穴用ブロックCの切欠部16による横長の開口が形成されるので、この開口は、魚にとって淵穴17へ通ずる出入り口となる。淵穴17は、魚の越冬や水温変化・直射日光・洪水流・外敵等からの絶好の避難・逃避場所となる。また中間切欠部2a・3aにより流水が継続されることから、淵穴17の水塊に餌が供給され、水質の嫌気が起こらない。
以上、本発明の好適例について説明したが、中間台部2・3の数を増やしてブロックの左右長さを実施例よりも長くすることができる。また、図12及び図13ではブロックを整然と揃えて敷設したが、千鳥状配置にしてもよい。
本発明の実施例である法面用ブロックの正面側斜視図である。 その後面側斜視図である。 その裏側の斜視図である。 その正面図である。 その側面図である。 その上盤部の上面図である。 その下盤部の下面図である。 本発明の実施例である法肩・法尻用ブロックの正面側斜視図である。 その後面側斜視図である。 その正面図である。 その側面図である。 法面用ブロックと法肩・法尻用ブロックとを用いて構築した本発明による生態系保全・再生護岸構造物の一例の断面図である。 その平面図である。 法面用ブロックへの植生例を示す正面側斜視図である。 同じく背面側斜視図である。 本発明の実施例である淵穴用ブロックの上盤部の平面図である。 同じく下盤部の平面図である。 淵穴用ブロックの側面図である。 同じく正面図である。 この淵穴用ブロックと法面用ブロックと法肩・法尻用ブロックとを用いて構築した本発明による生態系保全・再生護岸構造物の一例の平面図である。 その部分断面図である。 淵穴用ブロックと共に用いる淵穴用筒体の斜視図である。 これら淵穴用ブロックと淵穴用筒体とを組み合わせた平面図である。
符号の説明
A 法面用ブロック
B 法肩・法尻用ブロック
C 淵穴用ブロック
d 淵穴用筒体
1 下盤部
2・3 中間台部
2a・3a 中間欠如部分
4 上盤部
5 連結金具
6 中央空間
7・8 左右両側空間
9 下開口部
10 上開口部
11 根腐れ防止用排水溝
12 ギザギザ
13 防砂マット
14・15 凸部
16 切欠部
17 淵穴

Claims (2)

  1. 偏平な横長長方形状の下盤部(1)と、前後に長い長方形状で、前端から後端に向かって高さが次第に低くなっているとともに、中間部分が欠如した中間欠如部分(2a)・(3a)となっている左右の中間台部(2)・(3)と、下盤部(1)に対して前端から後端に向かって低くなるように傾斜した偏平な横長長方形状の上盤部(4)とを一体に成形し、左右の中間台部(2)・(3)は、互いに間隔S1をおき、しかも下盤部(1)及び上盤部(4)の左辺縁及び右辺縁よりも左右同じ間隔S2(但し、S1>S2)だけ内側に寄ったところに設けられ、下盤部(1)と上盤部(4)との間において、左右の中間台部(2)・(3)の左右両側が、側面を開口したまま前後に抜ける溝状の左右両側空間(7)・(8)となっているとともに、左右の中間台部(2)・(3)の間が、前記左右両側空間(7)・(8)よりも幅員が大きい前後に抜ける角筒状の中央空間(6)となっており、下盤部(1)の中央には、土を詰めて植栽するための大きく開口した孔である下開口部(9)が形成されているとともに、下盤部(1)の下面に、この下開口部(9)の周縁から下盤部1の前端に達する根腐れ防止用排水溝(11)が形成され、また上盤部4には、この下開口部(9)の真上から平面U形に開口するとともに、そのU形開口部分の端で左右に長方形に拡がり上盤部(4)の後端面で大きく開口する切欠凹部である上開口部(10)が形成されていることを特徴とする生態系保全・再生護岸ブロック。
  2. 偏平な横長長方形状の下盤部(1)と、前後に長い長方形状で、前端から後端に向かって高さが次第に低くなっているとともに、中間部分が欠如した中間欠如部分(2a)・(3a)となっている左右の中間台部(2)・(3)と、下盤部(1)に対して前端から後端に向かって低くなるように傾斜した偏平な横長長方形状の上盤部(4)とを一体に成形し、左右の中間台部(2)・(3)は、互いに間隔S1をおき、しかも下盤部(1)及び上盤部(4)の左辺縁及び右辺縁よりも左右同じ間隔S2(但し、S1>S2)だけ内側に寄ったところに設けられ、下盤部(1)と上盤部(4)との間において、左右の中間台部(2)・(3)の左右両側が、側面を開口したまま前後に抜ける溝状の左右両側空間(7)・(8)となっているとともに、左右の中間台部(2)・(3)の間が、前記左右両側空間(7)・(8)よりも幅員が大きい前後に抜ける角筒状の中央空間(6)となっており、下盤部(1)の中央には、大きく開口した孔である下開口部(9)が形成され、また上盤部(4)の後端には、左右の中間台部(2)・(3)と一体な左右の凸部(14)・(15)が形成されているとともに、これら凸部(14)・(15)によりその間とその左右両側に分かれた切欠部(16)が形成され、前記下開口部(9)の下側に淵穴用筒体(d)を設置して魚のすみかとなる淵穴(17)を形成することを特徴とする生態系保全・再生護岸ブロック。
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