JP3840805B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液リチウム二次電池、特に優れた充放電サイクル特性と高容量を備えた電池を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、民生用電子機器のポータブル化、コードレス化が急激に進んでいる。従来から、これら電子機器の駆動用電源としての役割を、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル水素蓄電池あるいは密閉型小型鉛蓄電池が担っているが、これら機器の小型軽量化、多機能化が進むにしたがい、駆動用電源となる二次電池の高エネルギー密度化、小型軽量化の要望がさらに強くなっている。このような状況から様々な正極活物質が提案されている。これらの内の主なものとして、高い充放電電圧を示すリチウム複合遷移金属酸化物、例えばLiCoO(例えば特公昭63−59507号公報)、さらには高容量を目指したLiNiO(例えば米国特許第4302518号)、複数の金属元素とリチウムの複合酸化物、例えばLiNiCo1−x(特開昭63−299056号公報)、Li (M:Fe、Co、Niの中から選ばれた少なくとも一種、N:Ti、V、Cr、Mnの中から選ばれた少なくとも1種)(特開平4−267053号公報)がある。これらを正極活物質に用い、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な炭素材料を負極に用いた種々の非水電解液二次電池が提案されており、既に、LiCoOを正極に用い、負極に炭素を用いた電池が実用化されている。また、これらの正極活物質の内、LiNiOは特に原料であるNiの供給が安定しており、安価でしかも高容量が期待されるため有望な活物質として活発に研究開発が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これまで報告されている正極活物質、特にLiNix1-x2(MはCo、Mn、Cr、Fe、V、Alのいずれか1種類以上、x:1≧x≧0.5)では、通常的に電池として使用される電位領域(Liに対して4.3V〜2V)において1サイクル目の充電(リチウムの放出反応)と、放電(リチウムの吸蔵反応)の間に大きな充放電容量差があることが知られている(例えばA.Rouger et al.Solid State Ionics 90,83(1996)。この充放電容量差(正極不可逆容量)に相当するリチウムイオン(Li+)は不可逆であり、充電で正極から放出されたが放電では吸蔵されることができないイオンである。そして、通常、この1サイクル目の充電によるLi+の放出量に対する放電によるLi+の吸蔵量の百分率を正極活物質の充放電効率と呼んでおり、特に上記のLiNix1-x2の場合に充放電効率が低い。
【0004】
また、負極材料の場合は、この1サイクル目の充電によるLi+の吸蔵量に対する放電によるLi+の放出量の百分率を充放電効率と呼んでいる。このような非水電解液二次電池の負極材料としては、凡そ90%以上の高い充放電効率を示す黒鉛のような炭素材料が用いられる。
【0005】
図1に示すように、充放電効率が負極より低い正極を用いた二次電池を構成した場合、1サイクル目の充電により正極から放出されたLi+は負極に吸蔵され、放電により、正極可逆容量に相当するLi+が負極から放出されるが、上記の正極不可逆容量に相当する量のLi+は放電終了後でも負極に残存している。この負極に残存したLi+には、本来は放電可能であるに拘わらず、負極よりも正極の可逆容量が小さいために、電池の放電終了後も未放電状態で負極に残存する可逆容量(図1のAに示す容量)に相当するものと、負極に固定されまま、放電反応では本質的に放出されることができない容量(負極不可逆容量)に相当するものとが含まれる。
【0006】
そして、負極の炭素材料の可逆的なLi+の吸蔵量、即ち、可逆的な充電容量には限界があり、例えば黒鉛を負極に用いた場合はC6Liに相当する372mAh/gが限界であり、黒鉛以外の非晶質炭素材料においてはこれより大きい限界量を示すものもある。しかし、この限界量を超えて充電をしようとするとLi+が還元さて負極の表面に金属リチウムが析出し、この析出した金属リチウムが電解液と化学的に反応し易く、しかも電気化学的に不活性であることや負極本体から脱離することにより、充放電効率が低下し電池のサイクル特性を著しく低下させることになる。
【0007】
即ち、上記の図1のAに示す充放電に関与できない残存可逆容量に相当するLi+を負極炭素中に保持したままの状態では、2サイクル目以降に充電できる負極の可逆電気容量が小さくなる。このため、電池の充放電可能な電気容量が減少するとともに、充電時に可逆電気容量の限界を越えた電気量が通電され易くなるため負極表面に金属リチウムが析出し易くなる問題がある。
【0008】
上記問題点を解決するための方策として、正極が1サイクル目の充電で放出するLi+を全て負極に吸蔵させた状態でも、負極の吸蔵能力に十分な余力を残すために、負極に用いる炭素量を増量する方法が考えられる。これにより、充電による金属リチウムの析出は抑制されるが、増量分の炭素が占めるスペースが大きく、これに対応させて活物質の充填量を減少させる必要が生じ、結果的に電池容量を減少させることになる。
【0009】
本発明は、充放電によりLi+を可逆的に放出吸蔵可能な正極と炭素負極を備えた非水電解質電池の上記の問題点を解決し、電池容量を十分に確保した上で、充放電サイクル特性を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、充放電でリチウムイオンを放出吸蔵可能な正極活物質を含む正極と、充放電でリチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素を含む負極と非水電解質とを備えた非水電解液二次電池の負極中にフッ化炭素の1種類単独または複数種類の混合物を添加したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明では添加剤の体積当りのLi+との反応量が炭素より多いので、添加剤の負極への添加に伴う正極活物質の充填量の減少を最小限に止めたうえで、充電による負極へのリチウムの析出を抑制することができ、高エネルギー密度で、かつサイクル特性の良好な電池が実現可能となる。
【0012】
また、添加剤とLi+との反応によって生成する炭素によって負極の導電性が向上し、電池の充放電特性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、正極の不可逆容量を消費する目的でフッ化炭素を負極に添加するものである。ここでフッ化炭素は、炭素質材料をフッ素化した物であって、一般式(CxF)nで表される。それらの中の代表的なものとして、(CF)n、(C2F)nがあり、リチウム一次電池の正極活物質として一般的に知られている。以下、これらのフッ化炭素の単体、または混合物を(CxF)nと表現して本発明を説明する。
【0014】
先ず、フッ化炭素とLi+とは非水電解液中で(化1)で示されるような不可逆的電気化学反応を行うものとして一般的に知られている。
【0015】
【化1】
(CxF)n+nLi++ne-→nxC+nLiF
この反応は、リチウム金属を用いた参照極に対して2〜3Vの電位領域で進行するため、本発明では、電池の最初の充電において正極から放出されたLi+は、負極炭素に吸蔵される反応に優先して、負極に添加した(CxF)nと反応する。その結果、正極の不可逆容量分のLi+は1サイクル目の充電で不可逆なLiFとして負極に固定され、2サイクル目以降の放電では負極から放出されない。また、負極極板中で(化1)の反応により生成した炭素は負極極板中の導電性を向上させるため、負極の抵抗分極を低減できる。また、この炭素は負極炭素と類似な反応機構で充放電によるLi+の吸蔵放出にも寄与するので、電池の高容量化にも効果がある。
【0016】
即ち、図2に示すように、正極からの不可逆なリチウムイオン(図2のBの容量)を負極に添加した(CxF)nで消費すれば、充電状態の負極の負荷が(CxF)nを添加していない場合と比較して小さくなり、正極の可逆容量と負極の可逆容量を最大限に活用することが可能となり、充放電サイクルによって金属リチウムを負極に析出させることなく、従来よりも放電容量の大きい二次電池を実現できる。
【0017】
ここで負極の負荷とは、充電状態で負極に存在する可逆及び不可逆なリチウムの量の総和のことを指し、これが増大するとLi+の吸蔵限界に近づき金属リチウムが析出しやすくなる。本発明により、この現象が効果的に抑制される。
【0018】
本発明の添加剤は、例えば(CF)n、(C2F)nの場合、真密度は2.6、2.8g/ccと炭素の2.2g/ccよりも若干大きな値を持つため、上述の従来法における負極炭素の増量分と比較して、重量当たり添加剤の体積がより少ない。さらに(CF)n、(C2F)nがLi+と電気化学的に反応する理論電気容量はそれぞれ864、623mAh/gであり、炭素にLi+が挿入される反応の372mAh/gに対して、重量当たり約1.7〜2倍のLi+の反応量を持つ。さらに、[1]式の反応により生成した炭素中にLi+が挿入される要素を加味すると、正極の不可逆容量を消費して負極に固定するために必要な添加剤の量は、負極炭素を増量する場合に対して、極板の重量、体積とも大幅に減少させることができ、その分に相当する正極活物質の充填量を増量できるので、従来法に対して電池容量を増大させることができる。上記の内、Li+がLiFに変化する反応量の影響が支配的であることから、本発明で負極への添加剤として用いる(CxF)nはLi+との反応電気容量が、少なくとも、負極炭素にLi+が挿入される反応の電気量である372mAh/gを上回るものを用いることにより本発明の効果が顕著に得られることになる。言い換えると、添加剤としての(CxF)nの平均的なx値は、Li+との反応電気容量が372mAh/g以上となる4.38以下であるべきことが計算される。然し、実際的には(CxF)nはLi+との反応で生成する炭素が若干のLi+のを吸蔵することや、真密度が大きい事などが加味されるため、x値が約4.5以下の場合に本発明の効果が顕著に得られることが実験的に明らかになった。x値の最小値は(CF)nに相当する1であるが、完全にフッ素化された(CF)nは、通常は若干フッ素過剰の組成を示し、約0.9の実効値を示す場合があり得る。これらのことから、0.9≦x≦4.5の添加剤を用いることが好ましい。
【0019】
また、本発明においてはフッ化炭素の添加量は、添加剤とLi+との反応電気容量が正極不可逆容量から負極不可逆容量を差し引いた容量と同容量程度であることが望ましい。
【0020】
ちなみに、これまでに炭素負極への添加剤の先行例としてLiを吸蔵もしくは含有しえる化合物(例えばFeO、FeO、Fe、SnO、SnO、MoO、V、BiSn、WO、WO、Nb:特開平7−192723号公報、リチウムを含有しうる金属酸化物、硫化物、水酸化物、セレン化物:特開平8−213053、リチウム吸蔵・放出できる遷移金属酸化物でLiNi1−q、P=0.4〜3、q=0〜1、r=1.2〜5.5:特開平6−44972号公報)を添加する例が報告されているが、これらの報告例はいずれも放電末期、もしくは過放電時の負極特性の安定性向上のために添加されており、いずれも可逆性が要求されるものである。これらの添加剤は本発明と同様に正極の不可逆容量に相当するLi を負極で消費する機能も合わせ持っているが、充放電中の状態は金属酸化物もしくはリチウム含有酸化物であるため本発明の上記反応で生成する炭素に匹敵する導電性向上の効果が得られず、体積当りのLi との反応量も少なく、サイクル特性を向上させるためには、電池容量を犠牲にせざるを得ない問題があった。本発明はこれらの方法に対しても上述のような選りすぐれた有効な効果を発揮できる。
【0021】
本発明で用いる(CxF)nのうち、(C2F)nは、炭素材料を300℃〜600℃でフッ素ガスでフッ素化することにより合成される。またこの手法により、フッ素の流量を制御することで(CF)nを合成することもできる。また、石油コークスなどの炭素材料はフッ素化合物と共に100℃程度で加熱することによってもフッ素化される。
【0022】
ここで原料として用いられる炭素材料には、例えばサーマルブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維、熱分解炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズマイクロビーズ、石油コークス、石炭コークス、石油系炭素繊維、石炭系炭素繊維、木炭、活性炭、ガラス状炭素、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維などがある。
【0023】
また、本発明において、正極活物質は、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn24などのLi+を放出し、吸蔵するリチウム含有金属化合物の何れをも用いることが出来、これらの1サイクル目の充放電効率{(放電によるLi+吸蔵量/充電によるLi+放出量)×100(%)}は概ね75〜95%の範囲にある。
【0024】
これらの中でも、正極活物質としてLiNix1-x2(MはCo、Mn、Cr、Fe、V、Alのいずれか1種類以上、x:1≧x≧0.5)で示されるリチウム含有ニッケル酸化物である場合には充放電効率が小さく、通常用いられる材料では75〜90%である。このように充放電効率が特に小さい場合に本発明を適用することは、正極の不可逆容量が大きいために生じる弊害を最小限に止めるという本発明の添加剤の添加目的に最も合致しており、特に本発明の実施効果が大きい。
【0025】
尚、一般に用いられるLiNix1-x2の代表例として、例えば、ニッケルを主体とする複合水酸化物と水酸化リチウムとを混合し、750℃〜900℃の温度範囲で合成されたものがあり、750℃以下で合成した場合はやや熱安定性が低下し、一方900℃以上の高温で合成した場合に1サイクル目の充放電効率が極端に小さくなり、放電特性が悪くなる傾向がある。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の実施例を図面に沿って説明する。
【0027】
図3に実施例1で用いた円筒系電池の縦断面図を示す。図3において1は耐有機電解液性のステンレス鋼板を加工した電池ケース、2は安全弁を設けた封口板、3は絶縁パッキングを示す。4は極板群であり、正極板5および負極板6がセパレータ7を介して複数回渦巻状に巻回されて電池ケース1内に収納されている。そして正極板5からはアルミニウム製の正極リード5aが引き出されて封口板2に接続され、負極板6からはニッケル製の負極リード6aが引き出されて電池ケース1の底部に接続されている。8は絶縁リングで極板群4の上下部にそれぞれ設けられている。
【0028】
次に、正極活物質の合成法について説明する。まず、硫酸ニッケル溶液、硫酸コバルト溶液を一定流量で容器内に導入し、十分撹拌しながら水酸化ナトリウム溶液を添加し、生成した沈殿物を水洗、乾燥しニッケル−コバルト複合水酸化物(Ni0.85Co0.15(OH)2)を得た。得られたニッケル−コバルト複合水酸化物を水酸化リチウムと混合し、酸化雰囲気下において800℃で10時間焼成してLiNi0.85Co0.152を合成した。
【0029】
正極板5は、まず正極活物質であるLiNi0.85Co0.152の粉末100重量部に、アセチレンブラック3重量部、フッ素樹脂系結着剤5重量部を混合し、N−メチルピロリドン溶液に懸濁させてペースト状にした。このペーストを厚さ0.020mmのアルミ箔の両面に塗着し、乾燥後厚み0.130mm、幅35mm、長さ270mmの正極板5を作成した。また正極リード5aとしてアルミニウム片を取り付けた。
【0030】
この正極の正極不可逆容量は20mAh/gであり、充放電効率は85%であった。
【0031】
負極板6は、黒鉛粉100重量部に、(CF)n4重量部を添加した後、スチレン−ブタジエンゴム系結着剤を混合し、カルボキシメチルセルロース水溶液に懸濁させてペースト状にした。なお、この(CF)nの添加量は、(CF)nの電気容量と炭素材料の不可逆容量の総和が正極の不可逆容量と等しくなるよう計算したものである。ここで用いた(CF)nは石油コークスをフッ素化した物であり、C:Fの分析値は原子比で0.9:1であり、このうち、実質的に電気化学反応を行う実効フッ素と炭素の比率は1:1であり、(CF)nの電気容量は実効値から算出した。
【0032】
そしてこのペーストを厚さ0.015mmの銅箔の表面に塗着し、乾燥後厚み0.2mm、幅37mm、長さ300mmの負極板を作成した。
【0033】
そして正極板と負極板を、セパレータを介して渦巻き状に巻回し、直径13.8mm、高さ50mmの電池ケース内に収納した。
【0034】
電解液には炭酸エチレン(EC)、炭酸エチルメチル(EMC)と炭酸ジメチル(DMC)を30:20:50の容量比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム1mol/lの割合で溶解したものを用いて極板群4に注入した後、電池を密封口して作成した電池を試験電池Aとした。
【0035】
同様に電解液の溶媒にECとジエチルカーボネート(DEC)とプロピオン酸メチル(MP)を30:20:50の容積比で混合した溶媒を用いた電池を試験電池B、ECとDECとプロピオン酸エチル(EP)を30:20:50の容積比で混合した溶媒を用いた電池を試験電池C、ECとEMCとDMCとMPを30:20:30:20の容積比で混合した溶媒を用いた試験電池Dとした。
【0036】
比較例として、負極に添加剤を入れない他は実施例(試験電池A〜D)と同様に電池を構成し電池E〜Hとした。
【0037】
以上の各電池を20℃、充放電電流100mAで充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.5Vで充放電サイクルを行った。3サイクル目の放電容量に対し、放電容量が70%の容量に減少したサイクル数をサイクル寿命とした。
【0038】
尚、上記の正極の不可逆容量は1サイクル目の充電で正極から放出したLi+量から、1サイクル目の放電で正極が吸蔵できるLi+量を差し引いた値であり、充放電効率はこれらの比率{(吸蔵量/放出量)×100(%)}である。この測定試験は負極板として金属リチウム板を用い、充放電の電圧が正極電位で支配される構成とした以外は上記の試験電池Aと同様の製法で電池を作成し、約20℃で行った。測定方法は定電圧充電(4.2V/2.5時間)を行った後、これを2.5Vまで定電流放電(2mA/cm2)させた場合の正極板の充放電の電気量を計測し、その電気量をLi+の放出量、或いは吸蔵量に換算して算出したものである。また、負極の不可逆容量は約20mAh/gで、充放電効率は92%であった。これらの測定には、金属リチウム板を正極板に代えて用い、充放電の電圧が炭素負極の電位で支配される構成とした以外は上記の試験電池Aと同様の製法で電池を作成し、正極の場合と同様の方法で測定を行った。但し、この場合の充電は定電圧充電(0V/2.5時間)、放電は0.5Vまで行い、その時の充放電容量から負極の不可逆容量と充放電効率を算出した。
【0039】
これらの電池の1サイクル目の充電、放電容量及び末期サイクルを(表1)に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003840805
【0041】
実施例および比較例の電池において、1サイクル目の充電容量と放電容量の差は各々の電池においてほとんど同じであることがわかる。
【0042】
このことは、いずれの場合も正極の可逆容量によって電池の放電容量が決定されていることを示している。
【0043】
しかしながら、これらの電池の充放電サイクルを継続して行うと比較例の添加剤を加えていない電池に比べ、添加剤を加えている本発明の電池のサイクル特性は著しく向上していることがわかる。
【0044】
サイクル試験後の電池を分解し観察した結果、比較例の電池の負極表面には金属光沢を有するリチウム金属の析出が観測され、実施例の電池では析出が観測されなかった。
【0045】
この結果から、比較例では、サイクル初期の電池容量は実施例と同じであっても、正極の不可逆容量分(図1のAの容量)が負極の炭素中に残存したまま充放電サイクルが進行するので実質的な可逆容量が減少し、充電によって負極の可逆な充放電容量を越えて充電が行われたため負極板表面に金属リチウムが析出し、放電容量が著しく減少したものと考えられる。ちなみに、比較例の場合、正極活物質量を減ずるか、充電電圧を下げることによって、負極の可逆容量に余裕を持たせることにより、サイクル特性の良好な電池は実現できるが、放電容量自体が小さくなるため電池の高容量化は実現できない。
【0046】
これに対し本発明の電池は図1のAに相当する充放電に関与できない容量を添加した(CF)nで消費(図2のBの容量)するために正極の可逆容量と負極可逆容量が最大限利用でき、サイクル特性も良好な電池が得られる。
【0047】
また、他の混合溶媒を用いた電池(B、C、D)の場合でも、比較例の電池よりはサイクル特性が優れている。
【0048】
(実施例2)
実施例2として、負極に添加する(CF)nの添加量を負極炭素に対し0.05、1、4、6、10重量部としたこと以外は実施例1の試験電池Aと同じ条件で試験電池I、J、K、Lを作製し、実施例1の場合と同条件で充放電サイクル試験を行った。尚、この(CF)nの分析値は原子比でC:F=0.9:1であった。(表2)に実施例1の試験電池Aと実施例2の試験電池(I〜L)および比較例(E)の電池の試験結果を示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003840805
【0050】
実施例2の電池は何れも1サイクル目の充電容量は、実施例1の場合と同様に電池によって大きな変化は見られない。しかし、(CF)nを6重量部以上添加した電池の1サイクル目の放電容量が他の電池の放電容量と比較して減少している。これは実施例1の項で述べた計算値、即ち4重量部の(CF)nの添加量に対して過剰に添加された(CF)nが、正極の可逆容量の一部に相当するLi+と反応したためと考えられる。
【0051】
それぞれの電池のサイクル特性は、(CF)n0.05重量部の添加の場合、正極不可逆容量分のLi+のすべてが添加剤で消費されないため、一部が負極の炭素中に吸蔵され、その部分が実質的には不可逆な容量となるためサイクル特性の改良効果が顕著には認められない。しかし、添加物を入れない比較例と比べるとこのような少量の添加でも、その弊害が軽くなっているためサイクル特性は向上している。
【0052】
一方、(CF)nを6重量部添加した電池は、正極の可逆容量そのものを(CF)nに一部消費されているため放電容量が若干減少しているが、優れたサイクル特性を示している。
【0053】
(CF)nを10重量部添加した場合は電池の容量が大幅に減少しているがサイクル特性は優れている。
【0054】
以上のことより、添加剤に(CF)n単独を用いた場合の添加量は、負極の炭素材料100重量部に対して0.5〜6重量部であることが好ましい。
【0055】
(実施例3)
実施例3として、(CF)n、(C2F)n、(C4F)n、(C6F)nを単独又は混合比を変化させて混合し、(CxF)nの平均x値が分析値で0.9、4、4.5、6となるように調製して添加剤として用いたこと以外は実施例1の試験電池Aと同じ条件の各種の電池を作製し、実施例1と同条件で充放電サイクル試験を行った。
【0056】
(表3)に実施例3および比較例の電池の試験結果を示す。
【0057】
【表3】
Figure 0003840805
【0058】
実施例3の結果から、添加量が一定(4重量部)の場合xの値が増加すると添加剤が正極不可逆容量をすべて消費できないため、の値が6になると、の値が4.5以下のものと比べて、ややサイクル特性が劣る結果を示している。つまり、(CF)を単独で用いたx=0.9の場合と(CF)を主体に調製したx=4、4.5の場合にはほぼ同等に放電容量、サイクル特性ともに優れており本発明の効果が顕著に得られた。一方これらよりFの含有率が低いx=6の場合は添加剤を用いない場合よりはサイクル特性は優れているが本発明の効果は必ずしも十分とは言えない。
【0059】
また、(C4F)nを主成分としするx=4の添加剤の場合は、重量当たりのLi+との反応量が小さく正極不可逆容量を十分に消費させるためには(CF)nや(C2F)nを主体とした添加剤を用いた場合よりも添加量を増加させる必要が生じる。しかし、過剰に添加し過ぎると大幅に負極の炭素量を減らす必要が生じ、電池容量が小さくなる。その限界は18重量部であり、20重量部添加した場合には過剰添加となり、サイクル特性は向上させることは出来るが放電容量を犠牲にせざるをえないことが明らかになった。このため(C4F)nのみを添加する場合、添加量は18%以下であることが望ましい。
【0060】
以上のことにより、負極添加剤として(CxF)nを単独または混合物として添加する場合、添加剤のxの平均値は0.9≦x≦4.5であることが好ましいことが実験的に確認された、その添加量はxの値に対応する適量の添加量が存在し、例えば、x値が4近辺の場合は18重量部以下とすることが好ましいことが確認された。
【0061】
実施例においては正極活物質としてLiNix1-x2(MはCo、Mn、Cr、Fe、V、Alのいずれか1種類以上、x:1≧x≧0.5)の内、代表的な材料を用いたが、本発明を適用する電池の正極活物質はこれらに限定するものでなく、Mn、Co、Fe、Niを主体とする金属のリチウム含有酸化物等の、充放電によりリチウムイオンを放出し、吸蔵する正極活物質を用いる場合に広く適用でき、特に、充放電効率が75〜95%の範囲の正極活物質を用いた場合に、大きな効果が得られる。
【0062】
実施例では溶媒の1種、環状カーボネートとしてエチレンカーボネートを用いたが、他の環状カーボネート、例えばプロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどでもよく、鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを用いたが、他の鎖状カーボネート、例えば、ジプロピルカーボネート、プロピルメチルカーボネート、プロピルエチルカーボネートなどでもよい。
【0063】
また、脂肪族カルボン酸エステルとしてプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルを用いたが、他の脂肪族カルボン酸エステル、例えば酪酸メチル、酪酸エチルなどでもよい。
【0064】
また、必要に応じて適宜エーテル類やラクトン類などの溶媒も混合可能である。
【0065】
また、上記実施例において電解質として六フッ化リン酸リチウムを使用したが、他のリチウム含有塩、例えば過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウムなどでも同様の効果が得られた。さらに本発明は、電解液として有機溶媒にリチウム塩を溶解させた上記以外の溶液を用いた電池にも広く適用できる。
【0066】
上記実施例においては円筒型の電池を用いて評価を行ったが、角型など電池形状が異なっても同様の効果が得られる。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、充放電によりリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素質材料を主体とする負極にフッ化炭素を添加することにより、高容量でサイクル特性が優れた非水電解液二次電池を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用しない場合のリチウム二次電池の1回目の充放電の概念図
【図2】本発明のリチウム二次電池の1回目の充放電の概念図
【図3】本実施例および比較例における円筒型電池の縦断面図
【符号の説明】
1 電池ケース
2 封口板
3 絶縁パッキング
4 極板群
5 正極板
5a 正極リード
6 負極板
6a 負極リード
7 セパレータ
8 絶縁リング

Claims (3)

  1. 充放電でリチウムイオンを放出吸蔵可能な正極活物質を含む正極と、充放電でリチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素を含む負極と非水電解液とを備え、前記負極において、フッ化炭素のうちの1種類単独あるいは複数種類を前記炭素100重量部に対して1〜6重量部添加した非水電解液二次電池。
  2. 負極に添加したフッ化炭素単独もしくはそれらの混合物中の、フッ素に対する炭素の平均的原子比率をxとした場合、0.9≦x≦4.5である請求項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 正極活物質が、LiNix1-x2(MはCo、Mn、Cr、Fe、V、Alのいずれか1種類以上、x:1≧x≧0.5)で示されるリチウム含有ニッケル酸化物である請求項2記載の非水電解液二次電池。
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