JP3840758B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、文字等のキャラクタやマーク等を、複数色のインク領域を順番に備えるインクリボンを介して、被記録媒体上に記録する記録装置に関し、特に、そのインク領域の色を検出する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の記録装置においては、記録ヘッドが、マゼンタ色、シアン色、イエロ色のインク領域を一定長さ毎に順番に備えるインクリボンを介して、被記録媒体上にカラー記録している。
この記録に際し、インクリボンを順番に搬送させた状態で記録ヘッドを駆動させることにより、マゼンタ色、シアン色、イエロ色のインクのそれ自体の色で、被記録媒体に記録する他に、複数色のインクを混ぜ合わせるように、被記録媒体の同一箇所で重ねて記録動作を行うことにより、インクリボンが単色として有しない色、例えば、赤、青等についても記録できる。
【0003】
鮮明なカラー記録を行うため、前記各インクの色を検出する色検出装置を別個に設けて、そのインク領域の色をそれぞれ検出する方法がある。また、各インク領域の色に対応したバーコードを、リボン基材上に色毎に異なるように設けて、そのバーコードをそれぞれ検出することにより、各インクの色を検出する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各インク領域の色を検出する検出装置を別個に設けると、記録装置が大型化したり、コストアップする問題がある。また、各インク領域の色に対応したバーコードを色毎に異ならせて設けると、バーコードが占める領域が大きくなって、インクリボンのインク領域が小さくなり、インクリボンを有効に利用できないという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するために為されたものであり、装置の小型化等を図るとともに、インク領域以外が占める部分をできるだけ小さくしてインクリボンを有効に利用することができる記録装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明の記録装置によれば、記録ヘッドが、複数色のインク領域を順番に備えるインクリボンを介して、被記録媒体上に記録する際に、そのインク領域の色を色検出部により検出する記録装置において、前記複数色毎に所定長さのインク領域を繰り返し有するとともに各色のインク領域の境界に検出用マークを有し、該複数色の内の搬送方向第1番目に配置される特定色のインク領域は所定第1長さに設定されたインクリボンが、前記記録ヘッドに向かってリボン送りされ、前記色検出部は前記記録ヘッドよりもインクリボン搬送方向上流側に配置されて、前記検出用マークを検出するとともに前記複数色の内の特定色を検出し、前記インクリボンの終端部には、前記所定第1長さよりも短い長さで、且つ前記色検出部から前記記録ヘッドまでのインクリボンの搬送距離以下の所定第2長さの前記特定色のインク領域が設けられた後に、終端用マークが設けられ、前記インクリボンの終端を判別する終端判別部と、前記インクリボンの搬送量を検出する搬送量検出部とを有し、前記終端判別部は、前記色検出部がインクリボンの特定色を検出後、該インクリボンの搬送量が前記所定第2長さだけ搬送された際に、該色検出部を介して終端用マークを検出した場合に、このインクリボンの終端と判別することを特徴とする。
【0006】
それにより、記録ヘッドよりもインクリボン搬送方向上流側に配置された色検出部が、複数色のインク領域の内の特定色を検出した後に、インク領域の境界の検出用マークを検出すると、各色のインク領域を搬送したことになり、特定色以外の色判別を行う検出装置が不必要となって、記録装置の小型化等を図ることができる。尚、この場合、複数色のインク領域を順番に備えるインクリボンについて、該複数色のインク領域の内の特定色のインク領域は搬送方向第1番目に配置されると共に所定第1長さに設定され、それ以外の色のインク領域との関係、例えば、配列順番等は事前に分かっている。
また、インクリボンの終端部には、特定色のインク領域が他の特定色のインク領域の所定第1長さよりも短い長さで、且つ色検出部から記録ヘッドまでのインクリボンの搬送距離以下の所定第2長さで設けられた後に、終端用マークが設けられている。従って、最後の特定色の一つ前の色のインク領域の終端部が記録ヘッドに到達する前に、色検出部を介して終端用マークを検出することができる、即ち、インクリボンの終端部を検出することができる。
【0007】
また、請求項2に係る発明の記録装置によれば、請求項1に係る発明において、前記終端用マークは、前記検出用マークと異なっていることを特徴とする。それにより、この検出機構は、検出用マーク、終端用マークび複数色の内の特定色を検出することができる。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
更に、請求項に記載された記録装置によれば、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記色検出部は、発光部と受光部とからなり、前記インク領域を色検出する際に、受光部の感度を事前に調整することを特徴とする。それにより、発光部及び受光部の経年変化、及び、各色のインク領域の透過光量のばらつき等を、事前に調整して色検出の誤動作等を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の記録装置は、例えば、ひらがなや漢字や記号などの多数のキャラクタまたはマーク等を、テープ等の被記録媒体に印字するテープ印字装置や、インクリボンを介して記録用紙に印字するプリンター等で実施される。
図1は、記録装置に備えられているキャリッジに装填されるリボンカセット等を示す正面図であり、図2は、その記録装置の電気的構成を示すブロック図であり、図3は、リボンカセット内に収納されるインクリボンを引き出した状態を概略的に示す正面図である。
【0013】
前記キャリッジCAは、図1に示されるように、カラーのリボンカセットRCを装着することができ、図示しないキャリッジ搬送機構によって、そのリボンカセットRCの長手方向(矢印Y1方向)を搬送されるように構成されている。
また、キャリッジCAの下方側には、記録ヘッドHDが取り付けられ、この記録ヘッドHDの記録面HD1側には、1ドット単位で発熱可能な発熱素子が、矢印Y1方向と交差する方向(矢印Z1方向)に一ライン状に配設されている。その記録ヘッドHDの記録面HD1側の下方を、例えば、記録用紙等の被記録媒体P1が前記矢印Z1方向に搬送されるように、被記録媒体P1の搬送機構(図示せず)が設けられている。尚、前記リボンカセットRCは、キャリッジCA上に着脱可能に装着できる構成になっているので、リボンカセットRCを、キャリッジCA上に装着した状態で、リボンカセットRCの開口部RC3に記録ヘッドHDがはまり込むようになっている。
【0014】
前記記録ヘッドHDは、被記録媒体P1から離間したり(実線)または当接したり(2点鎖線)するように構成されている。そして、被記録媒体P1に記録動作を行う際には当接するのに対し、記録動作を行なわない場合には被記録媒体P1から離間する。その記録ヘッドHDが被記録媒体P1に当接した状態で、キャリッジCAは、主走査方向(矢印Y1方向)に記録ヘッドHDを1ライン分搬送しながら、前記発熱素子が1ドット単位で発熱するので、インクリボンIRのインクが1ドット単位で溶けて、被記録媒体P1に付着し記録動作が行われる。
そして、被記録媒体P1の主走査方向(矢印Y1方向)の記録開始位置から記録終了位置までの1ライン分、記録ヘッドHDを搬送すると、インクリボンIRは記録ヘッドHDに向かって順次搬送されるので、1ライン分の記録が終了した時点で、インクリボンIRは、同じ1ライン分使用される。
【0015】
矢印Y1方向の1ライン分の記録終了後に、インクリボンIRのリボン送りをすることなく、キャリッジCAは、記録ヘッドHDを被記録媒体P1から離間させた状態で、主走査方向の記録終了位置から記録開始位置まで搬送する。その搬送の際に、被記録媒体P1を前記搬送方向(矢印Z1方向)に所定量(発熱素子の配列分)だけ搬送する。被記録媒体P1が停止した状態で、キャリッジCAが再び主走査方向の記録開始位置から記録終了位置まで記録ヘッドHDを搬送することにより、記録ヘッドHDが被記録媒体P1に同様に記録動作を行う。以下その態様を繰り返すことにより、被記録媒体P1には、文字、記号等の画像が形成される。
もっとも、複数色のインクリボンIRを利用して、同一ラインに重ねて記録動作を行う場合は、矢印Y1方向の1ライン分の記録終了後に、インクリボンIRのリボン送りをすることなく、また、キャリッジCAが主走査方向の記録終了位置から記録開始位置に記録ヘッドHDを搬送する間に、被記録媒体P1を前記搬送方向(矢印Z1方向)に搬送しない。そして、再び主走査方向の記録開始位置から記録終了位置まで、キャリッジCAが記録ヘッドHDを搬送することにより、記録ヘッドHDが被記録媒体P1の同一ラインに重ねて記録動作を行う。
【0016】
前記リボンカセットRCは、図3に示されるように、シアン色、マゼンタ色、イエロ色のインクの領域(以下、シアン色(C)、マゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)と略称する)等の複数色のインク領域を順番に備えるインクリボンIRを、ほぼ矩形状のカセット内に収納する。具体的には、インクリボンIRの長手方向の両先端部が、未使用リボン巻取り用のリールRC1及び使用済みリボン巻取り用のリールRC2にそれぞれ巻回して収納されている。そして、前記リールRC2が駆動モータ7(図2参照)の駆動力を受けて時計回りに回転することによって、前記リールRC1から引き出されたインクリボンIRは、センサSEを通過した後、ガイド部材RB1、リボンカセットRCの開口部RC3を通過し、更に、ガイド部材RB2を経由して、前記リールRC2に巻回される。
【0017】
前記センサSEは、唯一の検出機構を構成し、発光部としての発光素子SE1と、受光部としての受光素子SE2とからなる。この場合、キャリッジCA上には、色検出部としてのセンサSEが図1紙面手前側に突き出るように配設されており、リボンカセットRCをキャリッジCA上に装着すると、リボンカセットRCの一対の貫通孔RC5内に、発光素子SE1及び受光素子SE2がそれぞれはまり込むようなっている。そして、発光素子SE1が発した光は、発光素子SE1及び受光素子SE2間に介在するインクリボンIRを透過して、受光素子SE2を照射する。
【0018】
具体的には、発光素子SE1は、例えば、赤色光を発する赤色LEDを使用し、受光素子SE2は、インクリボンIRの透過光量に対応した電圧値の出力信号を制御装置CP(図2参照)に出力することにより、制御装置CPは、リボンカセットRC内のインクリボンIRのシアン色(C)と、それ以外のマゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)とを区別できるように構成されている。
すなわち、マゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)がセンサSEの検出位置(発光素子SE1及び受光素子SE2間)に搬送されると、発光素子SE1の照射光は、マゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)のインクによっては、それほど遮光されないので、受光素子SE2の出力信号は大きい。それに対し、シアン色(C)がセンサSEの前記検出位置に搬送されると、発光素子SE1の照射光は、シアン色(C)のインクによって十分に遮光されるため、受光素子SE2の出力信号は小さく、シアン色(C)のインクとそれ以外の色のインクとを判別できる。
【0019】
また、リボンカセットRCの右側上部には、図1に示されるように、複数の標識部RC6が設けられており、これら標識部RC6が、凹部となっているか、あるいは、凹部になっていないかによって、例えば、リボンカセットRCの種類等を示している。そして、標識部RC6に対向配置される検出センサSQが、標識部RC6の凹部の有無を検出することによって、前記制御装置CPは、カセットRC内のインクリボンIRの種類等を識別することができる。
【0020】
記録装置1の制御装置CPは、図2に示されるように、中央制御装置(以下CPUという)を中核として、入力装置としてのキーボード3と、文字等の表示時や印字時に使用されるキャラクタジェネレータ用メモリ(CG−ROM)4と、表示装置としてのディスプレイ(LCD)5と、インクリボンIRの搬送等に使用する駆動モータ7を駆動するモータ駆動回路6と、前記記録ヘッドHDと、前記センサSE等を含むセンサ類8と、記録装置1の駆動用の電源9等とに接続されている。また、その制御装置CPには、前記CPU、読み出し専用メモリ(以下ROMという)及び読み書き自在メモリ(以下RAMという)が内蔵されている。
キーボード3上には、ひらがななどを入力するための文字等を示す複数のキー3a等の他に、例えば、実行キーや取消しキーなどの編集キー3bなどが配設されている。そして、キーボード3は、各種キーを介して入力されたデータ等の信号を、制御装置CPとの間で送受信することができる。
【0021】
また、モータ駆動回路6は、前記駆動モータ7を駆動するための回路であって、制御装置CPによって制御される。そして、制御装置CPがモータ駆動回路6を介して駆動モータ7を所定量だけ駆動すると、リールRC2が所定量回転して、インクリボンIRを所定量だけ搬送するので、制御装置CPがモータ駆動回路6を介して駆動モータ7の駆動量を検出制御することにより、インクリボンIRの搬送量を検出制御できる。従って、制御装置CPはインクリボンIRの搬送量を検出する搬送量検出部を構成する。もっとも、インクリボンIRの搬送量を検出するセンサ(図示せず)を別途設けて、搬送量検出部を構成してもよい。
また、前記センサSE等を含むセンサ類8は、インクリボンIRの色検出等の他に、カセットRCの装着の有無、被記録媒体P1の種類等を検出し、その検出信号を制御装置CPに送出する。また、記録ヘッドHDは、前述したごとく、一列状に形成された多数の発熱素子を有しており、制御装置CPが各発熱素子を選択的に発熱することができる。
【0022】
前記CG−ROM4は、文字等の表示時や印字時にそのイメージデータを発生するためのキャラクタジェネレータであって、文字等を示すデータをイメージデータに変換して、制御装置CPに送出する。前記ディスプレイ5は、キーボード3から入力されたキャラクタやマーク等を、イメージデータとして、複数行に渡ってその画面上に表示する。
また、ROMには、駆動モータ7の駆動制御用プログラム、キーボード3の各キーを介して入力された文字等をディスプレイ5に表示させるための表示プログラム、その他記録装置1の操作上必要な各種のプログラム等その他の制御プログラムが記憶されている。一方、RAMには、表示バッファ、印字バッファ等の各種のデータ記憶領域が設けられており、この記憶領域には、例えば、前記イメージデータ等が一時的に記憶される。
【0023】
インクリボンIRは、図3に示されるように、各色毎にほぼ同一長さL1のインク領域、すなわち、シアン色(C)、マゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)等を有するとともに各色のシアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロ色(Y)の境界に検出用マークM1を備えている。
また、図3に示されるインクリボンIRの終端部(リボンエンド)は、検出用マークM1とは異なる終端用マーク(エンドマーク)M2を備えているが、この場合、前記シアン色(C)領域の長さL1より短い長さL2のシアン色(C)があった後に、終端用マークM2が存在する。これは、長さL2がセンサSEの検出位置から記録ヘッドHDの記録面HD1までの距離以下に設定され、センサSEがシアン色(C)を検出して、長さL2だけ搬送して、シアン色(C)の先端部、すなわち、イエロ色(Y)の終端部が記録面HD1に到達する前に、センサSEが終端用マークM2を検出できるようにするためである。
【0024】
前記検出用マークM1は、この実施の形態の場合、透明部分Ma、黒色部分Mb、透明部分Maを順番に配置してなる。その透明部分MaがセンサSEの前記検出位置に搬送されると、発光素子SE1の照射光は透過するのに対し、黒色部分MbがセンサSEの検出位置に搬送されると、発光素子SE1の照射光は遮光されるため、前記制御装置CPは、受光素子SE2が透明部分Ma、黒色部分Mb、透明部分Maに対応した電圧値の出力信号を受信することによって、境界であることを判別できる。
もっとも、検出用マークM1は、必ずしも透明部分Ma、黒色部分Mb、透明部分Maを順番に配置してなる必要がなく、インクリボンIRの色領域と判別できればいかなるものあってもよい。但し、検出用マークM1については、インク領域以外が占める部分をできるだけ小さくしてインクリボンIRを有効に利用する観点から、できるだけ小さいのが望ましい。
【0025】
また、図3に示される前記終端用マークM2は、透明部分Ma、黒色部分Mb、透明部分Ma、黒色部分Mb、・・を交互に多数配置してなる。その透明部分MaがセンサSEの検出位置に搬送されると、発光素子SE1の照射光は透過するのに対し、黒色部分MbがセンサSEの検出位置に搬送されると、発光素子SE1の照射光は遮光されるため、前記制御装置CPは、受光素子SE2が透明部分Ma、黒色部分Mb、透明部分Ma、・・に対応した電圧値の出力信号を受信することによって、インクリボンIRの終端部(リボンエンド)であることを判別できる。つまり、受光素子SE2が透明部分Maから黒色部分Mbへの変化を2回以上検出することで、制御装置CPはインクリボンIRが終端部になったことが判別できる。
【0026】
もっとも、終端用マークM2は、必ずしも透明部分Ma、黒色部分Mb、透明部分Maを順番に配置してなる必要がなく、検出用マークM1及びインクリボンIRの色領域と判別できれば、いかなるものあってもよい。また、黒色部分Mbは、例えば、シアン色であってもよい。
他の実施の形態としては、終端用マークM2は、図7に示されるように、黒色部分Mbの長さQ2を、境界マークM1の黒色部分Maの長さQ1よりも長く設定して、終端用マークM2を境界マークM1と異ならせても良い。この場合、制御装置CPは、既述したごとく、インクリボンIRの搬送量を検出する搬送量検出部として機能することから、前記黒色部分Mbを検出した際のインクリボンIRの搬送量を検出すれば、境界マークM1と終端用マークM2とを判別できる。
もっとも、図7とは反対に、終端用マークM2の黒色部分Mbの長さQ2を、境界マークM1の黒色部分Maの長さQ1よりも短くして、終端用マークM2を境界マークM1と異ならせても良い。
【0027】
また、他の実施の形態としては、終端用マークM2を、境界マークM1と同一のマークにすることが可能である。すなわち、制御装置CPがインクリボンIRの搬送量を検出する搬送量検出部として機能することから、境界マークM1を検出した後に次の境界マークM1を検出した際に、前記制御装置CPは、前記インクリボンIRの搬送量が所定未満(L1未満)であることを検出した場合には、終端用マークM2が境界マークM1と同一であっても、インクリボンIRの終端部と判別することができる。
つまり、前記シアン色(C)領域の長さL1より短い長さL2のシアン色(C)があった後に、境界マークM1があった場合には、制御装置CPは、終端判別部と機能して、インクリボンIRの終端部と判別することができる。
【0028】
次に、センサSEの検出量の調整(レベル制御)について説明する。
センサSEは、既述したように、発光素子SE1と受光素子SE2との間に介在するインクリボンIRの透過光量を検出して、インクリボンIRの色を判別することができる。
前記赤色LEDからなる発光素子SE1は、一定の発光量で赤色光を発することから、受光素子SE2は、インクリボンIRを透過した発光素子SE1の照射光を受けて、インクリボンIRの透過光量に対応した電圧値を出力する。その場合、受光素子SE2は、検出量としての電圧値(すなわち、出力電流と抵抗値との積)の調整を図るため、その抵抗値の大きさを、例えば、15段階に切り換えれるように構成されている。
【0029】
そして、図3に示されるインクリボンIRのマゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)を、発光素子SE1と受光素子SE2との間に介在させた状態で、抵抗値の大きさを順番に大きくなるように抵抗1から抵抗15まで切り換えた場合に、受光素子SE2が出力する電圧値は、例えば、図4の信号値aに示される。尚、マゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)の赤色光に対する透過率は、ほぼ同じであるため、出力される電圧値もほぼ同じになる。
一方、インクリボンIRのシアン色(C)を、発光素子SE1と受光素子SE2との間に介在させた状態で、抵抗値の大きさを順番に大きくなるように抵抗1から抵抗15まで切り換えた場合に、受光素子SE2が出力する電圧値は、例えば、図4の信号値bに示される。そして、これら信号値aと信号値bとを、制御装置CPが前記RAMに記憶させることができる。
【0030】
この信号値aと信号値bとの差の大小を、制御装置CPが検出して、その差T0の最も大きいところの抵抗値を、制御装置CPは、最も適切な抵抗値として設定する(この場合、抵抗11である。)とともに、その差T0の半分を信号値bに加えた電圧値(すなわち、信号値aから差T0の半分を引いたもの)をしきい値T1として設定する。
そして、インクリボンIRを発光素子SE1と受光素子SE2との間に介在させ、受光素子SE2が出力する電圧値と前記しきい値T1とを比較した結果、その電圧値が前記しきい値T1より大きい場合、マゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)が、発光素子SE1と受光素子SE2との間に介在していることがわかる。また、その電圧値が前記しきい値T1より小さい場合、インクリボンIRのシアン色(C)が、発光素子SE1と受光素子SE2との間に介在していることがわかる。
【0031】
このように赤色LEDを発光素子SE1として使用する結果、インクリボンIRのシアン色(C)と、インクリボンIRのマゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)との違いを判別することができる。また、抵抗値の大きさを順次切り換えて、最適の抵抗値及びしきい値T1を設定(レベル制御)することにより、発光素子SE1と受光素子SE2との経年変化及びインクリボンIRの透過光量の相違に対して適切に対応することができる。
尚、センサSEの検出量の調整方法として、必ずしも抵抗値の大きさを切り換える方法を採用する必要がある訳ではなく、例えば、発光素子SE1の発光量またはしきい値の大きさ等を適宜変更する方法を採用しても良い。
そして、インク領域を色検出する際に、例えば、受光素子SE2の感度を事前に調整して、センサSEの経年変化等を調整することにより、色検出の誤動作等を防止することができる。
【0032】
次に、制御装置CPの動作を、図5及び6に示されるフローチャートに従って説明する。尚、そのフローチャートのステップを、Sと略記する。
制御装置CPは、図5に示されるように、電源9がオフからオン状態になったか否かを判断する(S1)。S1において、S1でNOと判断した場合、制御装置CPは、カセット交換したか否かを判別する(S2)。この場合、「カセット交換」とは、具体的には、リボンカセットRCがキャリッジCAから外された後に、キャリッジCA上に再び取り付けたことを意味しており、別のリボンカセットRCに交換した場合の他に、同一のリボンカセットRCが着脱した場合も含む。
S1でYES、または、S1でNO且つS2でYESの場合、すなわち、電源9がオンされた直後、あるいは、電源9がオンされた状態におけるカセット交換直後に、制御装置CPは、インクリボンIRを所定量搬送し(S3)、センサSEの出力に基づいて、検出位置に搬送されたのが終端用マークM2であるか否かを判断する(S4)。S4で終端用マークM2であると判断した場合(S4でYES)、リボンエンドのメッセージをLCD5で表示するとともに、記録動作を終了させる(S5)。S4で終端用マークM2でないと判断した場合、制御装置CPは、センサSEの前記レベル制御を行う(S6)。
【0033】
S2でNOの場合、先に行なったセンサSEのレベル制御調整で十分役に立ち、そのレベル制御を再び行う必要がないので、制御装置CPはインクリボンIRを所定量搬送し(S7)、検出位置に搬送されたのがシアン色(C)であるか否かを判断する(S8)。S8でシアン色(C)でないと判断した場合(S8でNO)、シアン色(C)を検出するまで、制御装置CPは、インクリボンIRを搬送する(S7、S8)。
S8でシアン色(C)である場合(S8でYES)、制御装置CPは、シアン色(C)を記録ヘッドHDの記録面HD1に位置するように、インクリボンIRを所定量だけ搬送する(S9)。そして、制御装置CPは、検出位置に搬送されたのが終端用マークM2であるか否かを判断する(S10)。S10で終端用マークM2であると判断した場合(S10でYES)、制御装置CPは、リボンエンドのメッセージをLCD5に表示するとともに、記録動作を終了させる(S11)。
【0034】
S10で終端用マークM2でないと判断した場合(S10でNO)、制御装置CPは、シアン色用の記録データがあるか否かを判断する(S12)。シアン色用の記録データがあると判断した場合(S12でYES)、制御装置CPは、インクリボンIRを搬送しながら、シアン色用の記録を行い(S13)、境界マークM1を検出するまで(S14)、インクリボンIRの搬送動作と、シアン色用の記録動作とを繰り返す(S13、S14)。この場合、既述の態様と同様に、キャリッジCAは、記録ヘッドHDを主走査方向の記録開始位置から記録終了位置まで搬送しながら、シアン色用のインクリボンIRを搬送することにより、記録ヘッドHDが被記録媒体P1にシアン色の記録動作を行う。
シアン色用の記録データがないと判断した場合(S12でNO)、制御装置CPは、シアン色用の記録を行なわずにインクリボンIRを搬送し(S15)、境界マークM1を検出するまで(S16)、インクリボンIRの搬送動作を繰り返す(S15、S16)。
【0035】
S14及びS16で境界マークM1が検出された場合(S14、S16でYES)、記録ヘッドHDと被記録媒体P1とが離間した状態で、キャリッジCAが主走査方向の記録終了位置から記録開始位置に記録ヘッドHDを搬送する。
次に、制御装置CPは、マゼンタ色用の記録データがあるか否かを判断する(S17)。マゼンタ色用の記録データがあると判断した場合(S17でYES)、制御装置CPは、インクリボンIRを搬送しながら、既述した態様でマゼンタ色用の記録を行う(S18)。すなわち、キャリッジCAは、記録ヘッドHDを主走査方向の記録開始位置から記録終了位置まで搬送しながら、マゼンタ色用のインクリボンIRを搬送することにより、記録ヘッドHDが被記録媒体P1に記録動作を行う。
制御装置CPは、境界マークM1を検出するまで(S19)、インクリボンIRの搬送動作と、マゼンタ色用の記録動作とを繰り返す(S18、S19)。マゼンタ色用の記録データがないと判断した場合(S17でNO)、制御装置CPは、マゼンタ色用の記録を行なわずにインクリボンIRを搬送し(S20)、境界マークM1を検出するまで(S21)、インクリボンIRの搬送動作を繰り返す(S20、S21)。
【0036】
S19及びS21で境界マークM1が検出された場合(S19、S21でYES)、記録ヘッドHDと被記録媒体P1とが離間した状態で、キャリッジCAが主走査方向の記録終了位置から記録開始位置に記録ヘッドHDを搬送する。
次に、制御装置CPは、イエロ色用の記録データがあるか否かを判断する(S22)。イエロ色用の記録データがあると判断した場合(S22でYES)、制御装置CPは、インクリボンIRを搬送しながら、イエロ色用の記録を行い(S23)、境界マークM1を検出するまで(S24)、インクリボンIRの搬送動作とイエロ色用の記録動作とを繰り返す(S23、S24)。イエロ色用の記録データがないと判断した場合(S22でNO)、制御装置CPは、イエロ色用の記録を行なわずにインクリボンIRを搬送し(S25)、境界マークM1を検出するまで(S26)、インクリボンIRの搬送動作を繰り返す(S25、S26)。
【0037】
制御装置CPは、印刷終了か否かを判断し(S27)、S27でYESであると判断した場合、その動作を終了させる。S27でNOであると判断した場合、S9からS27までの動作を繰り返す。
それにより、この実施の形態の記録装置1は、1ライン分の記録範囲に対応するシアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロ色(Y)を基材長手方向に順番に備えるインクリボンIRを、被記録媒体P1の主走査方向に搬送させながら、記録ヘッドHDが、インクリボンIRを介して、被記録媒体P1にシアン色、マゼンタ色、イエロ色で1ライン分記録したり、これらインクを混ぜ合わせた、例えば、赤、青、黒等色で1ライン分記録したりすることができる。
【0038】
この場合、インク領域の内の特定色(シアン色)のインク領域と、それ以外の色のインク領域との配列順番等は事前に分かっているため、センサSEがシアン色(C)を検出するとともに境界の検出用マークM1を検出することにより、制御装置CPは一定長さL1分ずつ有する各シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロ色(Y)を正しく搬送制御でき、記録ヘッドHDは間違った色を記録しない。そして、センサSEは、シアン色(C)及び検出用マークM1、及び終端用マークM2のみを検出し、他の色であるマゼンタ色(M)、イエロ色(Y)を検出しなくても、記録装置1は確実なインクリボンの搬送制御を行えるので、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロ色(Y)全てを検出する検出機構が不要になる。
【0039】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、色検出部としてセンサSEは、シアン色以外のマゼンタ色、イエロ色のいずれかを検出するようにしてもよいし、これら以外のその他の色を検出するようにしてもよい。
また、本発明の記録装置は、例えば、テープ印字装置である必要はなく、例えば、一般的なラインサーマルプリンター等の記録装置であってよい。また、色検出部は、唯一の検出機構である必要はなく、終端用マークM2、検出用マークM1及び前記特定色を検出する検出機構をそれぞれ設けてもよい。更に、インクリボンIRは、インク領域として、シアン色(C)、マゼンタ色(M)またはイエロ色(Y)以外のもの、例えば、黒のインク等を備えていても良い。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る発明の記録装置によれば、複数色毎に所定長さのインク領域を繰り返し備えるとともに各色のインク領域の境界に検出用マークを備えたインクリボンが、記録ヘッドに向かってリボン送りされ、この記録ヘッドよりもインクリボン搬送方向上流側に配置された色検出部が、前記検出用マークを検出するとともに前記複数色の内の搬送方向第1番目に配置された特定色を検出するので、色検出部は複数色のインク領域の内の特定色を検出した後に、インク領域の境界の検出用マークを検出すると、各色のインク領域を正しく搬送したことになり、特定色以外の色判別を行う検出装置が不必要となって、記録装置の小型化等を図ることができる。尚、この場合、複数色のインク領域を順番に備えるインクリボンについて、該複数色のインク領域の内の特定色のインク領域は搬送方向第1番目に配置されると共に所定第1長さに設定され、それ以外の色のインク領域との関係、例えば、配列順番等は事前に分かっている。
また、インクリボンの終端部には、特定色のインク領域が他の特定色のインク領域の所定第1長さよりも短い長さで、且つ色検出部から記録ヘッドまでのインクリボンの搬送距離以下の所定第2長さで設けられた後に、終端用マークが設けられている。従って、最後の特定色の一つ前の色のインク領域の終端部が記録ヘッドに到達する前に、色検出部を介して終端用マークを検出することができる、即ち、インクリボンの終端部を検出することができる。
【0041】
また、請求項2に係る発明の記録装置によれば、前記終端用マークは、前記検出用マークと異なっているため、この検出機構は、検出用マーク、終端用マーク及び複数色の内の特定色を検出することができる。
【0042】
【0043】
【0044】
更に、請求項に係る発明の記録装置によれば、前記色検出部は、発光部と受光部とからなり、前記インク領域を色検出する際に、受光部の感度を事前に調整するので、発光部及び受光部の経年変化、及び、各色のインク領域の透過光量のばらつき等を、事前に調整して色検出の誤動作等を防止することができ、誤動作による記録間違い等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る記録装置の一実施の形態に使用されるキャリッジに装着されたリボンカセット等を示す正面図である。
【図2】 この実施の形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】 この実施の形態のリボンカセット内に収納されるインクリボンを引き出した状態を概略的に示す正面図である。
【図4】 この実施の形態の受光素子から出力した信号値を示す図である。
【図5】 この実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】 この実施の形態の動作を示すフローチャートであって、図5の続きを示すフローチャートである。
【図7】 他の実施の形態のインクリボンの終端部を示す正面図である。
【符号の説明】
1 記録装置
HD 記録ヘッド
CA キャリッジ
IR インクリボン
SE センサ(色検出部、検出機構)
SE1 発光素子(発光部)
SE2 受光素子(受光部)
L1、L2 インク領域の長さ
M1 検出用マーク
M2 終端用マーク
CP 制御装置(終端判別部)

Claims (3)

  1. 記録ヘッドが、複数色のインク領域を順番に備えるインクリボンを介して、被記録媒体上に記録する際に、そのインク領域の色を色検出部により検出する記録装置において、
    前記複数色毎に所定長さのインク領域を繰り返し有するとともに各色のインク領域の境界に検出用マークを有し、該複数色の内の搬送方向第1番目に配置される特定色のインク領域は所定第1長さに設定されたインクリボンが、前記記録ヘッドに向かってリボン送りされ、
    前記色検出部は前記記録ヘッドよりもインクリボン搬送方向上流側に配置されて、前記検出用マークを検出するとともに前記複数色の内の特定色を検出し、
    前記インクリボンの終端部には、前記所定第1長さよりも短い長さで、且つ前記色検出部から前記記録ヘッドまでのインクリボンの搬送距離以下の所定第2長さの前記特定色のインク領域が設けられた後に、終端用マークが設けられ、
    前記インクリボンの終端を判別する終端判別部と、前記インクリボンの搬送量を検出する搬送量検出部とを有し、
    前記終端判別部は、前記色検出部がインクリボンの特定色を検出後、該インクリボンの搬送量が前記所定第2長さだけ搬送された際に、該色検出部を介して終端用マークを検出した場合に、このインクリボンの終端と判別することを特徴とする記録装置。
  2. 請求項1に記載する記録装置において、
    前記終端用マークは、前記検出用マークと異なっていることを特徴とする記録装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する記録装置において、
    前記色検出部は、発光部と受光部とからなり、前記インク領域を色検出する際に、受光部の感度を事前に調整することを特徴とする記録装置。
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