以下、発明を実施するための実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。
画像消去装置は、消色可能トナーや消色可能インク等の消色可能な色材により画像を形成された記録用紙等のシートに対し、画像の色を消す消色処理を施す。消色可能な色材は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えばロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。消色可能な色材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため、消色する。以下、消色可能な色材を単に記録材料と呼ぶ。
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態の画像消去装置の構成及び動作について説明する。本実施形態の画像消去装置は、シートを再利用した回数を読取部及びユーザが分かるように、シートの所定の位置へマークを印字する。
図1は、第1の実施形態における画像消去装置100の構成を説明する断面図である。画像消去装置100は、詳細は後述するが、装置筐体上部に設けた給紙トレイ110及び給紙部材120、第1搬送路190、第1搬送路190から分岐点220を介して枝分かれした第2搬送路195及び第3搬送路200、第3搬送路200から分岐した第4搬送路205を有する。尚、これら搬送路は、シートの各種処理要求に応じてシートを選択的に搬送する搬送経路であり、例えば、本実施形態で全体としてシートの搬送路を構成する。画像消去装置100はさらに、第1及び第2搬送路190、195の合流点225、分岐点220に設けられた第1分岐部材210、第3及び第4搬送路200、205の分岐点に設けられた第2分岐部材215、第2搬送路215及び後述する反転機構160の分岐点に設けられた第3分岐部材218、並びに第1乃至第4搬送路190、195、200、205に配置された複数の搬送ローラ286を有する。画像消去装置100は、上記搬送路により搬送されたシートを収容するために、装置筐体下部に設けられた第1トレイ165及び第2トレイ170、並びに第1及び第2トレイ165、170にそれぞれ対応して設けられた排出部材180を有する。さらに、画像消去装置100は、本実施形態でのシートの画像消去を行う為、第1搬送路190に配置された読取部130、第2搬送路195に配置された消色部150及び反転機構160、第3搬送路200に配置された印字部230、並びに装置筐体上部に設けられた操作部240を有する。
給紙トレイ110は、再利用するシートを積載する。再利用するシートは、例えば、記録材料で画像形成されたシートである。尚、シートはA3、A4、B5等、様々なサイズであって良い。給紙部材120は、ピックアップローラ、シート供給ローラ、及びシート供給ローラに対向配置される分離ローラ等を有する。給紙部材120は、給紙トレイ110上のシートを1枚ずつ画像消去装置100内部の第1搬送路190へ搬送する。
給紙トレイ110は、給紙トレイ110上のシートの有無を検知する検知センサ112を有する。検知センサ112は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。
第1搬送路190は、複数の搬送ローラ286を有し、給紙トレイ110から分岐点220へ向かう搬送路を形成する。第1搬送路190は、読取部130を介して給紙されたシートを分岐点220へ搬送する。
読取部130は、第1搬送路190に沿って給紙トレイ110及び第2搬送路195の合流点225の下流に配置される。読取部130は、例えば、第1搬送路190を挟んで対向して位置する第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bを有する。第1及び第2読取ユニット132a、132bは、搬送されるシートの第1面の画像及び裏面である第2面の画像を読み取る。すなわち読取部130は、第1及び第2読取ユニット132a、132bにより、第1搬送路190を搬送されるシートの両面の画像を読み取る。
第1分岐部材210は、読取部130の下流で第1搬送路190と第2搬送路195の分岐点220に配置される。第1分岐部材210は、読取部130を出て分岐点220へ搬送されるシートの搬送方向を切り替える。第1分岐部材210は、第1搬送路190を搬送されるシートを第2搬送路195又は第3搬送路200へ選択的に振り分ける。第1分岐部材210は、例えば、通常の状態(非駆動状態)では、第1搬送路190から第3搬送路200へのシートの搬送を許容する。他方、駆動状態では、シートの第1搬送路190から第3の搬送路200への搬送を阻止する。従って、シートは、第2搬送路195へ搬送される。
第2搬送路195は複数の搬送ローラ286を有し、分岐点220において第1搬送路190より分岐する。さらに、第2搬送路195は、読取部130よりも上流に位置する合流点225へ向かって湾曲部を有している。このため、第2搬送路195は、合流点225において、第1搬送路190と合流する。すなわち、第1搬送路190と第2搬送路195は、分岐点220及び合流点225を介して循環する搬送路を形成する。前述のように第2搬送路195には、後述する消色部150及び反転機構160が配置される。従って循環する搬送路は、読取部130から搬送されてきたシートを、消色部150を経由して、再び、読取部130へ搬送することを可能とする。詳述すれば、本実施形態の画像消去装置100は、給紙部材120から供給されたシートを、第1搬送路190により合流点225を経由して読取部130へ導き、読取部130で処理されたシートを、第1分岐部材210を制御して分岐点220で第2搬送路195へ導き、消色部150、更に合流点225を経由して読取部130の順に搬送する。
消色部150は、例えば、第1消色ユニット152a及び第2消色ユニット152bを有し、この両ユニットは、図1に示すように第2搬送路195に沿って対向して配置され、搬送されるシート両面の画像の色を消す消色処理を行う。消色部150は、例えば、搬送されるシートへ接触した状態でシートを消色温度まで加熱することにより、記録材料によりシート上に形成された画像の色を消色する。消色部150の第1消色ユニット152aは、シートの一方の面側からシートへ当接して加熱する。第2消色ユニット152bは、シートの他方の面側からシートへ当接して加熱する。すなわち、消色部150は、搬送されるシート両面の画像を一度の搬送で消色する。
反転機構160は、第2搬送路195に沿って消色部150の下流に位置する。反転機構160は、後述する印字部230がマークを印字する印字面に応じてシートを反転させる。本実施形態の反転機構160は、入口搬送路162、出口搬送路163、搬送ローラ164、及びセンサ(図示せず)を有する。シートを反転させる場合、シートは第2搬送路195から分岐した入口搬送路162へ搬送される。搬送ローラ164によって搬送され、センサがシートの後端を検知すると、搬送ローラ164を逆回転させ、シートを後端から出口搬送路163へ搬送する。シートは、表裏が反転された状態で第2搬送路195へ合流する。
第3分岐部材218は、消色部の下流で第2搬送路190と反転機構160の入口搬送路162との分岐点に配置される。第3分岐部材218は、消色部150から搬送されるシートのうち、表裏の反転が必要なシートを反転機構160へ振り分ける。第3分岐部材218は、例えば、通常の状態(非駆動状態)では、シートが反転機構160へ搬送されるのを阻止する。他方、駆動状態では、シートを反転部材160へ搬送する。
印字部230は、分岐点220より分岐された第3搬送路200に沿って配置される。本実施形態の印字部230は、搬送されるシートに対して消色回数を印字する印字処理を行う例えばインクジェットヘッドを有する。インクジェットヘッドは、シートの例えば第1面に消色しないインクを吐出させ、シート表面に消色回数を表すマークを形成する。
図1に示す第3搬送路200は分岐点220を介して第1搬送路190と繋がっており、分岐点220を通過したシートを第2分岐部材215へ搬送する。第2分岐部材215を介して搬送されるシートは、図1に示すように、上下に配置される第1トレイ165又は第2トレイ170のいずれかに収容される。例えば、第2分岐部材215は、第1トレイ165の後述する排出部材180の近傍に配置され、第1分岐部材210を介して搬送されたシートを第1トレイ165又は、第3搬送路200に第2分岐部材215を介して接続された第4搬送路205へ搬送する。第2分岐部材215は、例えば、通常の状態(非駆動状態)では、第3搬送路200から第4搬送路205へのシートの搬送を阻止し、シートは第1トレイ165に排紙される。他方、駆動状態では、シートの第3搬送路200から第1トレイ165への搬送を阻止し、シートは、第4搬送路205に搬送される。第4搬送路205は搬送ローラ286を有し、シートを第2トレイ170へ搬送する。
排出部材180は、詳述すると、画像消去装置100の下部に上下に配置された第1トレイ165、第2トレイ170にそれぞれ備えられる。排出部材180は、それぞれ第1トレイ165又は第2トレイ170へシートを排紙する。例えば、第1トレイ165は、シートの画像が消色され、再利用可能となったシートを収容する。第2トレイ170は、再利用不可能と判断されたシートを収容する。以下、第1トレイ165をリユーストレイと呼び、第2トレイ170をリジェクトトレイと呼ぶ。尚、リユーストレイ及びリジェクトトレイは、受け入れる対象とするシートを入れ替えることも可能である。それぞれのトレイがどのようなシートを収容するかの設定、すなわち、シートの搬送先の設定は、例えば、操作部240から可能である。
画像消去装置100は、第1乃至第4搬送路190,195、200、205を搬送されるシートを検知する複数のシート検知センサを有する。シート検知センサは、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。シート検知センサは、搬送路の適切な位置に配置される。
操作部240は、例えば、タッチパネル式の表示部と各種の操作キーとを有し、画像消去装置100本体の上部に配置される。操作キーは、例えば、テンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。ユーザは、操作部240を介して、消色処理の開始又は消色するシートの画像の読み込み等の画像消去装置100の機能動作を指示する。操作部240は、画像消去装置100の設定情報や動作ステータスやログ情報等を表示する。
尚、操作部240は、例えば、ネットワークを介して外部装置の操作装置と接続され、外部の操作装置から操作出来る構成であっても良い。又は、操作部240は、画像消去装置100本体から独立した形態で、有線又は無線通信によって画像消去装置100を操作する構成であっても良い。すなわち、本実施形態の操作部240は、画像消去装置100に対して処理の指示や情報の閲覧等が出来るものであれば良い。
以下に、上述の構成を有する画像消去装置100の制御について説明する。
図2は、図1に示す画像消去装置100のハードウェア構成の制御ブロック図である。画像消去装置100は、読取部130、消色部150、印字部230、操作部240、制御部250、記憶部260、検知部270、搬送部280、及び通信インターフェース(I/F)部290を有する。画像消去装置100の各部は、バスライン300を介して接続される。
制御部250は、CPU(Central Processing Unit)或いはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ252とメモリ254を有する。メモリ254は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)256と、プロセッサ252に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)258を有する。例えば、ROM256は、再利用可否の閾値とするシートの印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値等を格納する。RAM258は、読取部130で読み取った画像を一時的に保存しても良い。制御部250は、ROM256又は記憶部260に格納された各種プログラム等に基づいて、画像消去装置100の各部を制御する。
記憶部260は、読取部130が読み取った画像を保存する。記憶部260は、例えば、ハードディスクドライブ、その他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、若しくはフラッシュ・メモリ等の半導体記憶装置、又はこれらの任意の組み合わせであって良い。例えば、消色部150が消色処理する前に、制御部250は、読取部130が読み取ったシートの画像を記憶部260へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することが出来る。
検知部270は、図1に示す検知センサ112及び前述した各搬送路において搬送されるシートを検知するシート検知センサ(図示せず)を有する。制御部250は、検知センサ112からの信号に基づいて給紙トレイ110上のシートの有無、及びジャムの有無を判断する。
搬送部280は、図1に示す第1乃至第4搬送路190、195、200、205、上記搬送路に配置される複数の搬送ローラ286、排出部材180、及びこれら各ローラを駆動する複数の搬送モータを有する。
通信I/F部290は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F部290は、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE3304等の適切な無線又は有線を介してネットワーク上の外部装置と通信する。通信I/F部290は、更に、USB規格の接続端子が接続されるUSB接続部やパラレルインターフェース等を含んでも良い。制御部250は、通信I/F部290を介して複合機、その他外部機器と通信する。尚、読取部130、消色部150、印字部230及び操作部240については、既に説明済みであるのでその説明については省略する。
以下に、本実施形態の画像消去装置100が実行する各処理について説明する。
画像消去装置100は、例えば、以下の各処理モードを有する。前述のシート搬送路は、画像消去装置100が実行する各処理モードに基づいて第1又は第2分岐部材210、215を制御して適宜変更される。以下に参照される分別処理は、読取部130が読み取ったシートの表面状態を示す画像を基に、シートが再利用可能か否かを制御部250が判定し、判定結果に応じてリユーストレイ165又はリジェクトトレイ170へ選択的に振り分ける処理である。保存処理は、読取部130が読み取ったシート上の画像を記憶部260へ保存する処理である。尚、分別処理及び保存処理については詳細を後述する。
(1)第1消色モード:保存処理を行わず、消色処理のみを行う。
(2)第2消色モード:保存処理後、消色処理を行う。
(3)第3消色モード:保存処理を行わず、消色処理後、分別処理を行う。
(4)第4消色モード:保存処理後、消色処理を行い、さらに分別処理を行う。
(5)第5消色モード:分別処理後、必要に応じて消色処理を行い、さらに分別処理を行う。
(6)読取モード:消色処理を行わず、保存処理を行う。
上述の各処理モードは、画像消去装置100の操作部240で選択出来る。また、各処理モードの選択は、画像消去装置100の操作部240に限らず、外部の端末から設定しても良い。第1乃至第5消色モードでは、シートは必ず消色部150へ搬送される。一方、読取モードでは、画像消去装置100は、第1搬送路190を搬送されるシートを、第2搬送路195を介して消色部150へ搬送することなく、読取部130から分岐点220及び第3搬送路200を経由して排紙する。この場合、前述のように、第1分岐部材210は非駆動状態にあり、第1搬送路190と第3搬送路200は接続状態にある。
制御部250は、例えば、操作部240で設定された上述の各処理モードに応じて、読取部130、消色部150、及びその他の構成を制御する。例えば、第1乃至第5消色モードが選択された場合には、制御部250は、消色部150にシートの画像を消色させる。
消色部150がシートの画像を消色した後に、この消色されたシートの画像を読取部130が読み取る場合(第3消色モード、第4消色モード、第5消色モード)、制御部250は、読取部130が読み取った画像のデータに基づいて、シートの折り目、破れ目、又はしわ等による影の有無、並びに消し残りの割合を基にシートが再利用可能か否かを判定する。制御部250は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先をリユーストレイ165又はリジェクトトレイ170に決定する(分別処理)。
尚、第5消色モードにおける1回目の分別処理においては、制御部250は、読取部130が読み取った画像のデータに基づいて、シートの折り目、破れ目、又はしわ等による影の有無、並びに印字率を基にシートが再利用可能か否かを判定する。制御部250は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先を消色部150又はリジェクトトレイ170に決定する。また、この分別処理は、後述する保存処理を兼ねても良い。すなわち制御部250は、読み取った画像を基に再利用可能か否かの判定をするとともに、この画像を記憶部260へ保存する。
他方、消色部150へシートが搬送される前に、読取部130がシートの画像を読み取る場合(第2消色モード、第4消色モード)、制御部250は、読取部130で読み取った画像を記憶部260へ保存する(保存処理)。ここで、制御部250は、読取部130が読み取ったシートの画像のデータ中に機密データ等の消色を禁止すべき禁止データが含まれているか否かを判定しても良い。
消色処理を行わずに、シートの画像を読み取る読取モードが設定された場合、読取部130がシートの画像を読み取り、読み取った画像を記憶部260へ保存する(保存処理)。制御部250は、第1分岐部材210を駆動せず、従って読み取りが終了したシートを、消色部150へ搬送せず、第2分岐部材215を制御してリジェクトトレイ170へ排紙する。尚、この読取モードにおいて、制御部250は保存処理ではなく分別処理又は、保存処理と分別処理の両方を行っても良い。すなわち制御部250は、読取モードにおいて読取部130がシートの画像を読み取り、読み取った画像を記憶部260へ保存した上で、当該画像を基に、例えばシートの再利用可否を判定することにより、シートをリユーストレイ165又はリジェクトトレイ170へ分別しても良い。
次に、読取部130によるマークの読取処理について説明する。本実施形態の読取部130は、第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bによりシートの表面及び裏面を読み取る。制御部250は、第1及び第2読取ユニット132a、132bで読み取った画像のそれぞれ左上・右上・左下・右下に印字されているマークを確認する。これはユーザがシート毎に前後反対方向に挿入したり、表裏を逆にして挿入したりする場合が考えられるためである。制御部250は、シートに印字されているマークの総数を計数するとともに、マークの印字位置及び計数結果を基に、印字部230が印字するマークの印字面及び印字位置を決定する。
次に、印字部230の印字処理について説明する。本実施形態の画像消去装置100においては、インクジェットヘッドが再利用可能なシートの所定の位置に対してマークを印字する。マークが印字されることで、読取部130又はユーザは、シートの再利用回数が分かる。尚、シートは繰り返し消色処理を施されることで、熱によるダメージが蓄積され、ジャムを起こし易くなる。そのため、本実施形態の画像消去装置100は、同一のシートの再利用回数を制限している。再利用可能な回数の上限値は、例えば5回である。尚、この上限値は例示したものであり、任意に設定可能である。
本実施形態のインクジェットヘッドは、例えば、シート搬送方向と直交する幅方向(以下、単に幅方向とする)に沿って3本のノズルを有する。ノズルから吐出されるインクは、消去可能なトナーとは異なり、第1及び第2消色ユニット152a、152bでは消去不能である。インクの色は、例えば、赤色である。インクの色は、読取部130及び目視にて認識可能な色であれば、赤色インクに限らない。黒色又は他の色を用いることも可能である。
印字部230は、シートが消色部150を通過するごとに所定の位置にマークを印字する。本実施形態で印字するマークは、例えば、ノズル3本×5滴分の長方形である。シートが消色部150を通過するごとにマークを印字するので、本実施形態においては、印字されたマークの個数がシートの再利用回数を示す。
印字部230が印字するマークは、シートの幅方向端部に印字される。消去可能なトナー画像はシートの端部まで印刷されず、シート端部に所定幅でトナー画像を形成しない余白の領域を設けている。インクジェットヘッドは、この余白の領域にマークを印字する。インクジェットヘッドは、マークがシート端部の所定幅内に印字されるように画像消去装置100に固定されている。本実施形態では、ユーザがシートを目視した時に左側に位置する余白の領域にマークを印字するようにインクジェットヘッドを位置付けている。すなわち、シートの左側の余白部分がインクジェットヘッドの印字可能領域となる。
次に、マークの具体的な印字位置について説明する。1回目の消色処理後に印字される1つ目のマークは、シート搬送方向(以下、単に搬送方向とする)の先端から10mm、シートの幅方向端部から2mm離れた位置にマークを印字する。2つ目以降のマークは、固定されているインクジェットヘッドが印字可能な領域の中で、既に印字されているマーク(以下、既存のマークとする)に最も近い位置に印字する。ここで最も近い位置について、図3及び図4を参照して具体的に説明する。尚、図中の白抜きの長方形は、既存のマークの印字位置を示しており、黒で塗りつぶされた長方形は、新たに印字するマークの印字位置を示す。また、矢印はシートの搬送方向を示す。
(1)既存のマークがシートの先端部左側の余白に印字されている場合、すなわち、既存のマークを印字した時のシートの給紙方向と、今回のシートの給紙方向が前後同じである場合、印字部130は、搬送方向に向かって既存のマークよりもさらに10mmずつ進めた位置に印字する(図3参照)。
(2)既存のマークがシートの後端部右側の余白に印字されている場合、すなわち、既存のマークを印字した時のシートの給紙方向と、今回のシートの給紙方向が前後逆である場合、新しいマークを後端部左側の余白に印字する(図4(a)参照)。
尚、(1)と(2)が混在する場合、すなわち、既存のマークがシートの先端部左側及び後端部右側の両方に印字されている場合、(1)に従い、先端部左側に印字されている既存のマークの次に順次マークしていく(図4(b)参照)。上記の処理を行うことで、複数のマーク同士が近い位置に印字されるため、ユーザが計数するのが容易になる。
次に、マークを印字する印字面について説明する。既存のマークが印字されていないシートの場合、マークの印字面は、印字部230へ搬送された時のインクジェットヘッドと対向する面で良い。また、既存のマークが印字されたシートの場合、以下の規則に従ってマークの印字面を決定する。
(A)既存のマークが片面のみに印字されている場合、制御部250は、既存のマークが印字されている面を印字面に設定する。
(B)既存のマークが両面に印字されている場合、制御部250は、シート両面のうち印字されている既存のマークの数が多い面を印字面に設定する。尚、両面に印字されたマークの個数が同数である場合、印字面はどちらでも良い。例えば、反転機構160を介さず印字部230に搬送されるシートがインクジェットヘッドと対向する面(第1面)を印字面に設定するのが好ましい。
以下、画像の消去及びマークの印字に関する制御フローについて、説明する。本実施形態では、第2消色モード(保存処理後、消色処理を行う)を例にとって説明する。図5は、本実施形態の制御フローチャートである。
ユーザによって第2消色モードが選択されると、制御部250は、給紙部材120のピックアップローラを駆動させて給紙トレイ110に載置されたシートの給紙を行う。制御部250は、給紙されたシートを搬送ローラ286により第1搬送路190へ搬送する(ACT101)。次に制御部250は、シート上の画像の保存処理を行う(ACT102)。読取部130において、第1及び第2読取ユニット132a、132bがシート両面の画像を読み取り、読み取った画像を記憶部260へ保存する。次に制御部250は、シートの再利用回数が再利用可能な回数の上限値である5回を超えているか否かを判断する(ACT103)。すなわちマークの個数が6つである場合(ACT103、Yes)、シートは、第1分岐部材210(非駆動)及び第2分岐部材215(駆動)を介して第3及び第4搬送路200、205まで搬送され、リジェクトトレイ170へ排紙される(ACT104)。他方、マークの個数が5つ以下の場合(ACT103、No)、制御部250は、印字面・印字位置決定のフローへ遷移する(図6参照)。
図6に示す印字面・印字位置決定のフローにおいて、制御部250は、読み取った画像からマークを確認し、印字部230により印字するマークの印字面及び印字位置を決定する。まず制御部250は、搬送されて来るシートに既存のマークが印字されているか否かを判断する(ACT201)。すなわち、当該シートに1回目の消色処理を行うのか、2回目以降の消色処理を行うのかを判断する。1回目の消色処理を施す(既存のマークが無い)場合(ACT201、No)、印字面を第1面に設定し(ACT202)、印字位置は先端部左側に設定する(ACT208)。他方、2回目以降の消色処理を行う(既存のマークがある)場合(ACT201、Yes)、既存のマークが片面又は両面のどちらに印字されているかを判断する(ACT203)。片面に印字されている場合(ACT203、Yes)、シートの第1面又は第2面のどちらに印字されているかを判断する(ACT204)。第1面に既存のマークが印字されている場合(ACT204、Yes)、印字面を第1面に設定する(ACT205)。他方、第2面に既存のマークが印字されている場合(ACT204、No)、印字面を第2面に設定する(ACT206)。両面に既存のマークが印字されている場合(ACT203、No)、制御部250は第1面と第2面とでどちらの面に印字されたマークの数が多いかを判断する(ACT207)。第1面に印字されているマークの個数よりも第2面に印字されているマークの個数が少ないか或いは同数の場合(ACT207、Yes)、印字面を第1面に設定する(ACT205)。即ち、反転機構160を介さず搬送されたシートがインクジェットヘッドと対向する面が印字面に設定される。他方、第1面に印字されているマークの個数が第2面に印字されているマークの個数以下の場合(ACT207、No)、印字面を第2面に設定する(ACT206)。以上の処理によってマークを印字する印字面が決定すると、次に印字位置を決める。決定した印字面において、先端部左側に既存のマークが印字されている場合(ACT207、Yes)、当該既存のマークに続いた位置を印字位置に設定する(ACT208)。他方、既存のマークが先端部左側に印字されていない場合(ACT207、No)、すなわち、シートが前後反対に挿入されることによりマークが後端部右側に印字されている場合、後端部左側を印字位置に設定する(ACT209)。印字面及び印字位置が決定すると、制御部250は、再度制御フローへ遷移する(図5参照)。
制御部250は、保存処理が済んだシートを第2搬送路195へ搬送する。制御部250は、第1分岐部材210を駆動することにより、シートを第1搬送路190から第2搬送路195へ搬送する。第2搬送路195へ搬送されてくるシートに対して制御部250は、消色部150を介して消色処理を施す(ACT105)。制御部250は、消色処理が済んだシートを第2搬送路195より合流点225を介して第1搬送路190へ搬送する。この時、印字面が第2面に設定された場合には(ACT106、Yes)、反転機構160を介し、シートを反転させた上でシートを第1搬送路190へ搬送する(ACT107)。制御部250は、第1搬送路190へ搬送されたシートを、第1分岐部材210を制御し、第3搬送路200上の印字部230へ搬送する。
制御部250は、搬送されて来るシートに対して、設定された印字面及び印字位置に印字部230によるマークの印字処理を行う(ACT108)。制御部250は、印字処理が施されたシートをリユーストレイ165へ排紙する(ACT109)。
上述した第1の実施形態によれば、印字部が印字するマークの印字面及び印字位置を制御することで、ユーザがシートの再利用回数を確認するのを容易にすることが出来る。
尚、マークの形状は長方形で例示している。マークの形状は四角に限らず、使用者に消去した回数を示す模様であれば、どのような形を選択することも可能である。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態の画像消去装置について図5乃至図7を参照して説明する。本実施形態の画像消去装置が第1の実施形態の画像消去装置と異なる点は、印字部230が印字するマークの形である。本実施形態で使用するマークは、1つのマークで再利用回数が認識可能な形状である。すなわち、マーク単体で数値を表すことが出来る形状である。マークは、例えば、ローマ数字(以降、単に数字とする)、ギリシャ数字、正の字、再利用回数の本数だけ並べた線、又は再利用回数に応じて割り当てられた図形若しくは記号等でも良い。以下の説明では数字を例にとって説明する。
本実施形態の画像消去装置は、第1の実施形態と同様のフローによりシートにマークを印字する。印字部230は、制御部250からの指示に従い、インクジェットヘッドの各ノズルを独立的に制御することで再利用回数を示す数字を所定の印字面及び印字位置に印字する(図7(a)参照)。
尚、印字部230が再利用回数を示す数字を印字する際にインクジェットヘッドが印字可能な領域内に既存の数字が印字されている場合、この既存の数字の視認性を低下させるために、印字部230はその既存の数字に対して別の印字を上書きしても良い。印字部は、例えば、既存の数字を長方形に塗りつぶす。また、印字部は、既存の数字の空白部分を埋めることで、既存の数字を長方形に変えても良い。これにより、最新の数値情報をより明確にすることが出来る(図7(b)参照)。
上述した第2の実施形態によれば、再利用回数を示す数値情報をシートに印字することで、ユーザは、シートに印字された複数のマークの数を計数することなく、直感的に再利用回数を認識することが可能である。また、新しく数値情報のマークを印字する際に、既存のマークを例えば長方形に塗りつぶすことで、最新の数値情報の視認性をより高めることが出来る。
上記各実施形態では、印字手段としてインクジェットヘッドを用いている。インクジェットヘッドとして、圧電体アクチュエータによってインク圧力室の容積を変化させて、圧力室に連通するノズルからインク滴を吐出させる圧電体方式のヘッド、インク圧力室に設けられた発熱体を加熱しインク中に気泡を発生させ、その気泡によって圧力室に連通するノズルからインク滴を吐出させるサーマルインクジェット方式が利用可能である。また、印字手段はインクジェットヘッドに限らず、ワイヤドットプリンタヘッド、サーマルプリントヘッド、電子写真方式を適用することも可能である。
また、シートを第2搬送路に設けられた反転機構を搬送させることで、シートの第2面にもマークの印字処理を行うことを可能としたが、反転機構は第2搬送路上に限らず、印字部よりも上流であれば、例えば、第1搬送路上に設けても良い。また、反転機構を設けず、例えば、インクジェットヘッドを第2面側にも設けても良い。
尚、印字面・印字位置決定のフローへ遷移するタイミングは上記実施形態に記載のタイミングに限るものではない。読取部がシートを読み取った後から、シートが消色部を経て印字部へ搬送されるまでの間に、印字面及び印字位置が決定していれば良い。
上記各実施形態の説明では、「消色処理」は、画像の色を消すと記述したが、画像を消去するという意味を含んで良い。すなわち、本実施形態に記載の画像消去装置は、熱により画像の色を消す装置に限定されるものではない。例えば、光の照射によってシート上の画像の色を消す装置でも、特殊シートに形成された画像の消す装置でもよい。或いは、画像消去装置は、シート上の画像を除去(消去)する装置であっても良い。画像消去装置は、シートを再利用可能にするために、シート上の画像を見えなくする構成であれば良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。