JP3840334B2 - 醤油醸造原料の製造法並びに醤油の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、醤油醸造原料の製造法並びに醤油の製造方法に関し、詳しくは丸大豆(全脂大豆)を原料として用いる醤油醸造原料の効率的な製造法並びに前記方法により得られた醤油醸造原料を使用して旨味のある高品位の醤油を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在、本醸造醤油の原料としては、脱脂大豆と小麦が主に用いられている。しかし、近年における消費者の高級志向と自然志向に反映されて、醸造醤油の蛋白質原料として丸大豆(全脂大豆)が使用される傾向にある。
醤油醸造原料の丸大豆の処理法においては、一般に、丸大豆を洗浄した後、水に浸漬し、十分に吸水させたのち、水切りを行い、高温・高圧下にて蒸煮処理を行うことにより蛋白質の変性を行った後、冷却する方法が採用されている。
しかしながら、かかる通常法では、丸大豆の浸漬・蒸煮・冷却工程において、多大な設備・時間・労力を要し、しかも蒸煮時に「あめ」と言われる大豆煮汁が発生するため、大豆内容物のロスは避けられない上に、その処理も非常に煩雑であるという欠点があった。加えて、製麹の際に、蒸豆と炒ごう割砕小麦との両味混合物が一体化したものとはなり難く、水分の均一化が困難であり、該混合物の水分の不均一さ故に、製麹時の麹菌菌糸の生育に少なからず支障を来すものと思われる。
【0003】
更に、仕込み後の諸味熟成中において、蛋白質原料である丸大豆の形状に起因して溶出成分、特に醤油の主な呈味成分であるアミノ酸、いわゆる窒素の溶出が緩慢で、長期間の熟成を余儀なくされており、窒素利用率も脱脂大豆と比べて低いものであった。
また、熟成諸味の圧搾工程においても、その効率化が望まれており、特に圧搾後の粕の処理が現在、非常に問題視されている。
【0004】
近年、醸造原料の前処理方法として、エクストルーダー等の加熱加圧押出機を用いる方法が開発されている。
この方法は主に、蛋白質原料と炭水化物原料とを各々単独に、或いは混合した形でエクストルーダー等の加熱加圧押出機に供給し、大気中に押し出し、膨化・変性せしめる方法である。
これにより、蛋白質の変性、或いは澱粉質のα化を行うことができ、得られる物は膨化された形の多孔性形状であるため、麹菌の繁殖に好適であると共に、既に蛋白質の変性及び澱粉質のα化がなされているので、蒸煮・炒ごう割砕設備が不要で、かつ労力が削減できる等の利点がある。
【0005】
かかる技術は、脱脂大豆を蛋白質原料とした場合については非常に優れた技術であり、確かに上述した利点・効果が認められる。
しかしながら、蛋白質原料として、丸大豆(全脂大豆)をエクストルーダーに供給した場合、脱脂大豆と比べ、その変性度合い、即ち水溶性窒素指数(以下、「N.S.I.」と称する。)が高く、より強固な蛋白構造となっているため、蛋白質の変性が十分に行われず、いわゆるN性が残存してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明者らは、かかる問題を解決すべく検討を重ね、圧扁した丸大豆を2軸エクストルーダーに供給し、加水率15〜25%(対丸大豆)、品温170〜190℃、滞留時間92〜120秒間、かつ下記の式で表される軸動力エネルギーが500kj/kg以上の条件下で処理し、大気中に押し出して膨化させることによって、N性が(−)であり、蒸煮設備が不要で、しかも労力が削減できる醤油醸造用蛋白質原料が得られることを見出し、先に特許出願した(特開平7−51022号公報)。
【0007】
E=3.6×(10×10×10)×W/m
(ここで、E:軸動力エネルギー(kj/kg)、W:駆動モーターにかかる負荷電力(kw)、m:原料フィード量(kg/h)を表す。)
【0008】
しかしながら、このN性が(−)で、蒸煮を省略した原料を、加水後、炒ごう割砕小麦と両味混合し、種付けを行い、そのまま製麹に持ち込んだ場合、常法により得られた一般生菌汚染のない蒸豆を同様に炒ごう割砕小麦と両味混合し、種付けを行って製麹を行った麹に比べて一般生菌汚染が多くなり、出麹の酵素活性に悪影響を及ぼし、ひいては製品醤油の品質にまで影響を与えるという欠点があった。更に、この方法では粒度が均一なものが得られず、粉っぽくなり、最終製品の醤油に好ましくない影響を与える。
【0009】
また、2軸エクストルーダーを用いて醸造用原料を加工製造することは、一般的に1軸エクストルーダーを使用して加工する場合に比べ、設備費も高くなり、結果的に製造コストの上昇が避けられず、実用的ではないという欠点がある。
一方、通常、丸大豆(全脂大豆)のような高油分の原料のエクストルーダー加工処理に関しては、その高油分故に1軸型のエクストルーダーを用いた場合、原料がスリップし、スクリューと共に共回りを起こしてしまい、処理が非常に困難となるため、必然的に2軸型のエクストルーダーを使用することとなり、製品のコスト高を引き起こす原因となる。
このような事情から、従来より、1軸型のエクストルーダーによる丸大豆(全脂大豆)のような高油分原料の加工処理技術の改善が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、このような現況に鑑みて、高油分原料の1つである丸大豆(全脂大豆)の1軸エクストルーダー加工処理方法について鋭意検討を重ねた結果、割砕した後、必要に応じて圧扁した丸大豆(全脂大豆)を、予めクッカー等の加熱機にて70〜130℃、処理時間30〜120分、加水率2〜15重量%の条件下で加熱処理することにより、前もって丸大豆(全脂大豆)中の蛋白質を適度に変性させたのち、短軸型の1軸エクストルーダーにて加工処理すれば、滞留時間が30秒以下という短時間で加工可能となる醤油醸造用丸大豆原料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
尚、この原料丸大豆は、1軸エクストルーダーにて加工処理されるため、N性は(+)で残存し、蒸煮処理が必要であるが、蛋白質が適度に変性されているので、通常の丸大豆の蒸煮時の負荷(圧力・温度・時間)に比べて軽減された負荷にて蒸煮を行うことができる。しかも、蒸煮による殺菌効果により、2軸エクストルーダーにて加工処理した醸造用原料に比べて、原料から持ち込まれた雑菌による汚染の影響がなく、通常通りの一般生菌管理での製麹が可能である。
また、原料丸大豆は1軸エクストルーダーにて加工処理し、大気中に押し出して膨化され、多孔性形状となり、製麹時において麹菌菌糸の生育が良好な特徴を有する。
【0012】
請求項1記載の本発明は、割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆に、大豆重量当たり2 〜15%の水を加え、70〜130℃で30〜120分間加熱処理を行い、次いで品温130〜190℃、滞留時間30秒以下の条件で1軸エクストルーダー加工処理を行うことを特徴とする醤油醸造原料の製造法である。
請求項2記載の本発明は、醤油を製造するに当たり、請求項1記載の方法により得られた醤油醸造原料を用いることを特徴とする醤油の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の方法は、醤油醸造原料の製造法に関し、割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆に、大豆重量当たり2〜15%の水を加え、70〜130℃で30〜120分間加熱処理を行い、次いで品温130〜190℃、滞留時間30秒以下の条件で1軸エクストルーダー加工処理を行うことを特徴とするものである。以下に、この方法について説明する。
割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆(全脂大豆)を、予めクッカー等の加熱機にて加熱処理する。
原料の丸大豆(全脂大豆)が有姿状、即ち何ら加工せず丸の形状のままであると、丸大豆内部にまで水分が浸透しにくく、加水後の吸水が著しく困難となる上、丸大豆への温度履歴も不均一となり、蛋白質変性度及び丸大豆の色にムラを生じてしまう。
また、均一な膨化形状を得るためには、原料は粉状であることが望ましいが、粉状でクッカー等の加熱機へ供給すると、吸水能力が高い故に、逆に吸水ムラを引き起こし、水分の過多及び過少の分布ムラが生じる。更に、N.S.I.が高く、かつ表面積の大きいことも要因となり、該加熱機内での滞留中に物料がダンゴ状になり易く、作業性に著しい支障をきたすことが避けられない。加えて、大豆等の油分の高い原料の粉砕は極めて困難であることは周知のとおりである。
【0014】
そこで、本発明においては、割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆(全脂大豆)を加熱機に供給することにより、該加熱機内に装着されたフライト(羽根)による撹拌によって、加水時の加熱ムラ及び吸水ムラを防ぐことができる。
また、本発明において、原料として用いる割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆(全脂大豆)は、加熱機内での加水後の吸水をよりし易くする為に、予め脱皮されたものを用いることが好ましい。従って、本発明においては、丸大豆(全脂大豆)を予め割砕・脱皮し、間接加熱により予熱した後、ローラー等を用いて圧扁したものを原料として用いることが好ましい。割砕された丸大豆(全脂大豆)としては、丸大豆(全脂大豆)を割砕した後に脱皮したものを用いることが好ましい。
【0015】
尚、ここでいう割砕及び脱皮は、通常の方法で行えばよく、圧扁は丸大豆(全脂大豆)を原料とする製油工程における圧扁と同様にして行えばよい。通常は、ローラー等を用いて、厚さ0.1〜1.0mm程度に押しつぶして扁平にする。また、この圧扁処理を行う際には、予め割砕・脱皮した丸大豆(全脂大豆)を間接加熱により予熱し、十分に丸大豆(全脂大豆)を軟化させておくことが好ましい。
【0016】
次に、本発明においては、このようにして割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆(全脂大豆)をクッカー等の加熱機に供給し、下記の如き特定条件下で加熱処理を行う。
加水率は2〜15重量%、好ましくは5〜10重量%、品温は70〜130℃、好ましくは90〜110℃、処理時間は30〜120分、好ましくは40〜70分の条件下で加熱処理を行う。
【0017】
ここで加水率とは、加える水の量であって、丸大豆中の水分量ではない。本発明においては、上記のようにして割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆(全脂大豆)に対して、2〜15重量%の割合で水を加える。加水率が2%未満であると、吐出品に焦げを生じやすく、所定品温にコントロールすることが難しくなり、運転に支障をきたす。一方、丸大豆(全脂大豆)に添加する水の量(加水率)が15%を越えると、加熱・加圧が不十分となり、大豆蛋白質が 十分に変性せず、本発明に目的に適った適度な変性度合いの蛋白質とはなりにくく、吐出品も膨化せず、湿り気を帯びた性状のものとなってしまうので、好ましくない。
また、上述した水の添加は、加熱機内にて行うことが好ましい。予め、水を添加した割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆(全脂大豆)を加熱機にフィードすると、粘性を帯びてダンゴ状となり、均一にフィードされ難い。従って、水の添加は加熱機本体内で実施するのが好ましい。
【0018】
加熱機は、所定の滞留時間を確保する為に、多段のクッカー形式になっていることが好ましい。尚、その際の水の添加は、最上段部(滞留初期)にて行うことが好ましい。加熱は間接蒸気により行い、70〜130℃の範囲内にて加熱処理する。ここでの加熱は、蛋白質を変性させるためには必須であり、この加熱によって、後に続く1軸エクストルーダー加工処理において、極めて短時間処理となる故、この加熱操作はとりわけ重要な役割を果たすこととなる。
加熱温度が70℃未満及び処理時間が30分未満であると、十分な蛋白質の変性が行われず、後に続く1軸エクストルーダー処理後の製品は生大豆臭のするものとなってしまい、加工品として適当ではない。
また、加熱温度が130℃を超え、処理時間が120分を超えると、後に続く1軸エクストルーダー処理後の製品に焦げを生じ、蛋白質の過変性が起こり、好ましくない。
【0019】
次に、加熱機において加熱された丸大豆(全脂大豆)は、1軸エクストルーダーにて、品温が130〜190℃、好ましくは160〜170℃の条件下で処理する。
ここで処理品温が130℃未満であると、丸大豆(全脂大豆)の場合、未変性蛋白質の残存量が多くなり、吐出品も膨化せず、生大豆臭のするものになってしまう。一方、処理品温が190℃を越えると、前述したように、吐出品に焦げが見られるようになり、好ましくない。
【0020】
また、高油分である丸大豆(全脂大豆)の1軸エクストルーダー加工処理を可能とさせる為には、極めて短時間に処理されねばならない。それ故、使用する1軸エクストルーダーは短軸型で高回転タイプのものが要求され、滞留時間は30秒以下、好ましくは10秒以下となるようにする。滞留時間が30秒以上、即ち、軸長の長い1軸エクストルーダーを使用すると、原料の丸大豆が高油分故にスリップ現象を引き起こし、物料がスクリューと共に共回りしてしまい、継続運転が不可能となってしまう。
このようにして予め加熱した後、1軸エクストルーダー加工処理せしめられた丸大豆(全脂大豆)は、次いで大気中に押し出し、膨化せしめて、醤油醸造原料とされる。
【0021】
次に、このようにして得られた醤油醸造原料を使用して醤油を製造する方法について説明する。
請求項2記載の本発明は、醤油を製造するに当たり、上記請求項1記載の方法により得られた醤油醸造原料を用いることを特徴とする醤油の製造方法である。
この方法は、上記の丸大豆(全脂大豆)加工品に、撒水した後、蒸煮を行い、炒ごう割砕小麦と混合し、種付けを行って製麹を行う方法である。従って、この方法によれば、通常丸大豆を大豆原料として用いた場合に必須とされる浸漬工程が不要となる上に、通常丸大豆を大豆原料として用いた時の原料処理の為の蒸煮条件(温度・圧力・時間)よりも軽減された条件設定にて蒸煮が可能となる。加えて、本発明では自己発熱型の1軸エクストルーダーを用いる為、電力消費も少なくなり、極めて実用的である。
【0022】
請求項2記載の本発明の醤油の製造方法においては、水に浸漬させて吸水させた丸大豆(全脂大豆)を使用する代わりに、上記本発明の醤油醸造原料に撒水して吸水させたものを用いること以外は、常法により行えばよい。すなわち、重量比90〜120%、好ましくは100〜110%の水を撒水して吸水させた、本発明の醤油醸造原料を、通常丸大豆蒸煮時の条件(温度・圧力・時間)よりも軽負荷の条件にて蒸煮し、冷却した後、炒ごう割砕小麦と混合する。
次いで、種付けを行った後、常法に従って製麹を行い、食塩水を仕込んで発酵熟成させることにより、目的とする醤油を製造することができる。
【0023】
得られた醤油麹を食塩水と混合し、発酵槽に入れて、時々撹拌しつつ発酵を促進させ、その後熟成を行う。熟成させた諸味を圧搾し、次いで液汁(生醤油)と醤油粕とを分離する。液汁(生醤油)を火入れ加熱を行い、おり(加熱沈殿物)を除去した後に、必要に応じて保存料等を加えて目的とする醤油が得られる。
【0024】
請求項1記載の本発明の醤油醸造原料を用いて醤油を製造した場合、諸味窒素利用率及び圧搾収率(自然垂れ量)が、通常の丸大豆を原料として用いた場合と比べて向上し、圧搾粕を減少させることが可能となる。更に、製造された醤油も、旨味のある、芳醇なものとなる。
通常、丸大豆(全脂大豆)を大豆原料として用いる醤油の製造法は、丸大豆(全脂大豆)を水中に浸漬し、大豆種子内部にまで水分を浸透させた後に、蒸煮処理を行う方法がとられているが、本発明の醤油醸造原料においては、1軸エクストルーダー加工処理により多孔性形状とされているが故に、水中への浸漬の必要性がなく、撒水のみで大豆内部にまで水分を浸透させることが可能で、しかも蛋白質の変性がある程度進んでいるために、通常よりも軽減された条件で蒸煮処理を行うことができる。それ故、エネルギー、時間及びそれに伴う労力が大幅に軽減されるという利点がある。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
実施例1
脱皮した大豆を割砕機(クラッシングローラー)にて1/4〜1/8程度にまで割砕したもの(割砕大豆)を、加熱機(クッカー)に供給し、重量比8%の水を加え、品温100℃にて60分加熱処理を行った後、1軸型エクストルーダーに供給し、品温165℃にて急速処理(滞留時間5〜6秒)を施したのち、冷却して丸大豆醤油用の加工原料を得た。
この丸大豆醤油用加工原料100部に水100部を撒水し、常法により蒸煮、製麹、醸造を行い、風味まろやかで良好な丸大豆醤油を得た。
【0026】
実施例2
脱皮した大豆を割砕機(クラッシングローラー)にて1/4〜1/8程度にまで割砕した後、ローラーにて圧扁したもの(圧扁大豆)を、加熱機(クッカー)に供給し、重量比8%の水を加え、品温100℃にて60分加熱処理を行った。
しかる後、これを1軸型エクストルーダーに供給し、品温165℃で急速処理(滞留時間5〜6秒)を施したのち、冷却して丸大豆醤油用の加工原料を得た。
この丸大豆醤油用加工原料100部に水100部を撒水し、常法により蒸煮、製麹、醸造を行い、風味まろやかで良好な丸大豆醤油を得た。
【0027】
比較例1
丸大豆を常法に従って浸漬、蒸煮を行い、両味混合、種付け、製麹の後に、塩水に仕込み、6ヶ月間醸造、熟成を行って、風味まろやかで良好な丸大豆醤油を得た。しかし、この醤油は窒素利用率が上記実施例1、2で得られた醤油と比較して5〜6%程度低かった。
【0028】
【発明の効果】
本発明の方法により得られる醤油醸造原料は、消費者の高級志向及び自然志向に応えて丸大豆(全脂大豆)を原料としたものである。丸大豆(全脂大豆)は、いわゆるN性が高く、脱脂大豆よりも強固な蛋白質構造を有するものであるが、含まれている殆どの蛋白質が未変性であり、その変性処理(蒸煮処理)において多大の時間や労力を要し、窒素利用率も脱脂大豆に比べて低いものとなっている。
【0029】
しかるに、本発明の方法により得られる醤油醸造原料は1軸エクストルーダー加工処理を実施してあるため、従来技術では、通常の丸大豆の変性処理(蒸煮処理)に必要とされていた、多大なる時間と労力を要する浸漬操作を、撒水操作のみで代替することができ、それに伴い製造される醤油の窒素利用率も向上する。
従って、本発明の方法により得られる醤油醸造原料を用いて醤油を製造した場合、旨味を有し、濃厚感のある、高品位な醤油を得ることができ、しかも浸漬工程を要せず、更に圧搾効率が良く、圧搾粕を減少させることができる。
また、そのような丸大豆醤油に用いる蛋白質原料を、1軸エクストルーダーにて加工処理することにより、安価に醤油醸造原料を提供することができる。
Claims (2)
- 割砕し、必要に応じて圧扁した丸大豆に、大豆重量当たり2〜15%の水を加え、70〜130℃で30〜120分間加熱処理を行い、次いで品温130〜190℃、滞留時間30秒以下の条件で1軸エクストルーダー加工処理を行うことを特徴とする醤油醸造原料の製造法。
- 醤油を製造するに当たり、請求項1記載の方法により得られた醤油醸造原料を用いることを特徴とする醤油の製造方法。
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