JP3840072B2 - 現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体あるいは静電記録誘電体等の像担持体に潜像を形成し、前記潜像を顕像化するための現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ等の外部装置の出力手段や、複写機としては従来より電子写真法を用いた画像形成装置が提案されている。
【0003】
図15に示すように、前記電子写真法を用いた画像形成装置50は、回転ドラム型を一般的とする電子写真感光体28を所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動させ、この回転感光ドラム28面を帯電手段29により所定の極性・電位に帯電し、その帯電面をレーザスキャナ部54から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザ光Lで走査露光することで、回転感光ドラム28面に目的の画像情報に対応した静電潜像を形成させる。その静電潜像を現像手段である現像スリーブ24によりトナー画像として現像し、このトナー画像を、給送トレイ52から給送ローラ53により回転感光ドラムの転写部へ所定のタイミングで給送させた記録シートに対して転写手段33により転写させる。そしてこのトナー画像(未定着画像)の転写を受けた記録シートを定着手段30に導入して、トナー画像を記録シートに永久固着画像として定着させて画像形成物として出力するものである。
【0004】
従来、図16に示すように、電子写真方式による画像形成で用いる現像手段として、非磁性一成分接触現像方式をとるものが知られている。この一成分接触現像方式は、現像剤担持体としての現像スリーブ24上に一成分現像剤であるトナーを担持し、トナー規制ブレード25により規制してトナー薄層に形成し、トナー薄層を担持した現像スリーブ24を像担持体である感光ドラム28の表面に接触させた態様で、感光ドラム28上の潜像の現像を行うものである。
【0005】
上記の非磁性一成分接触現像方式は、トナーの他に磁性キャリアを用いる2成分現像方式に比べて、装置構成が簡単で低コストであり、また感光ドラム28と現像スリーブ24が所定の間隔を有して現像を行う非接触方式に比べて、エッジ効果の少ない均一な画像を得やすいというメリットがあり、一般によく用いられている。
【0006】
非磁性一成分現像装置は、絶縁性一成分現像剤であるトナーTを収容した現像容器20を有する。トナーTは負帯電性非磁性トナーである。
【0007】
現像容器20中には、各種形状に加工されたトナー撹拌部材21が図中矢印の方向に回転して存在しており、現像容器20中のトナーTを現像スリーブ24方向に搬送して、トナー供給路Aを形成している。
【0008】
撹拌部材16は2個ではなく、各種現像器51A〜51Dの構成にあわせて、現像容器20端部から感光ドラム28近傍までトナーを搬送するよう複数配置されている場合もある。
【0009】
非磁性一成分現像法においては、磁力によるトナー供給が不可能となるため、現像スリーブ24にはウレタンスポンジ製の供給ローラ23が当接されている。供給ローラ23は、現像スリーブ24とニップ部でカウンタ方向に回転することでトナーTを現像スリーブ24上に供給すると同時に、感光ドラム28対向位置を通過しても現像されなかった現像スリーブ24上のトナーを剥ぎ取っている。
【0010】
また、図中22は現像容器仕切板であり、常に一定量のトナーを現像スリーブ24近傍の設けられた供給ローラ23上に供給すべく仕切板22の高さは適正化されている。
【0011】
現像スリーブには、トナー量規制部材としてウレタンゴム等の弾性体から成型される規制ブレード25が当接されており、現像スリーブ24上のトナーを規制してトナー薄層を形成し、現像領域(ドラム対向位置)に搬送されるトナー量を規定している。現像領域に搬送されるトナー量は、現像スリーブ24上に接触する規制ブレード25の当接圧や当接長さ等により決定される。
【0012】
規制ブレード25は、厚さ数百μmのリン青銅・ステンレス等の金属薄板26上に接着もしくは溶着されており、金属薄板26の弾性によって規制ブレード25は均一に現像スリーブ24に当接されているチップブレードである。このとき金属薄板26の材質、厚さ、侵入量、設定角によって規制ブレード25の当接条件が決定され、現像スリーブ24上に適切な量のトナーが但持されるよう前記当接条件が決定されている。
【0013】
現像領域に搬送されたトナーは、前述した磁性一成分現像法と同様に、感光ドラム28上の潜像に付着し、潜像をトナー像として可視化する。
【0014】
近年、画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにはその取り扱いの容易化等を図るべく小型化の要請が強い。一方、多色画像の形成可能な画像形成装置においては像担持体である感光ドラム周りに複数の現像装置、クリーニング器、帯電器等が配設されるため、これ等の機器を有するプロセスカートリッジの小型化を図るためには、感光ドラムの小型化が必要となる。
【0015】
この場合、感光ドラム周りには上記機器の他、転写ドラム等の転写部材も配設されるため、感光ドラムの小型化により複数の現像装置の配置にも制約がでてくる。即ち、現像装置は感光ドラムに対して、トナーを感光ドラム側に落下させるように取り付けるか、又は少なくとも現像装置51A〜51Dのように感光ドラム28に対して水平に取り付けることが望ましいが、現像装置51Dように、感光ドラム28の下方にが配設され、現像剤担持体である現像スリーブ24がトナーを収容する現像容器20の上方に位置してしまう場合もある。
【0016】
かかる現像装置51Dの現像部においては、現像スリーブ24にトナーを付与する供給ローラ23の周りに、該供給ローラ23が現像スリーブ24に十分にトナーを供給できるよう、一定量のトナーがこの供給ローラ23に接するような現像剤保持領域を確保する必要がある。
【0017】
これに対して特開平5−61334号公報では現像剤搬送用のベルト状シート部材を斜状に配設し、現像スリーブにトナーを供給する機構が提案されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記提案の更なる改善策として発明されたものであり、その目的とする処は、現像部が現像剤収納部の上方に配設されるものであっても、トナーを現像部に簡単な機構で容易に汲み上げ、かつトナーを劣化させることなく現像スリーブに充分な量を供給可能な小型で低コストな現像装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る現像装置の代表的な構成は、現像剤を収容する現像容器と、像担持体上に形成した静電潜像に現像剤を供給して可視化せしめる現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を搬送する現像剤搬送手段と、を備えた電子写真記録装置の現像装置において、
前記現像剤搬送手段は、現像剤担持体に対向して設けられた第一の懸架ローラと、前記第一の懸架ローラよりも下方に設けられた第二の懸架ローラとを含む少なくとも2本以上の懸架ローラと、前記複数の懸架ローラに懸架され、ポリウレタンフォームで形成された無端状の搬送部材と、を有し、
前記第一の懸架ローラと前記第二の懸架ローラとの間に周速差を設ける、又は、前記第一の懸架ローラを駆動して前記第二の懸架ローラを従動とすることにより、前記搬送部材において下方に移動する領域の張力よりも、上方に移動する領域の張力を大きくして、前記下方に移動する領域よりも前記上方に移動する領域における前記搬送部材の表面の空孔を大きくしたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第一実施形態]
本発明に係る現像装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。図1は本実施形態に係る現像装置の概略断面図、図2は現像装置においてトナー供給ベルトを3軸で懸架した際の概略断面図、図3は比較例1の現像装置の概略断面図、図4は比較例2の現像装置の概略断面図、図5は比較例3の現像装置の概略断面図、図6は比較例4の現像装置の概略断面図、図7は現像装置と従来の現像装置の耐久性能の比較実験結果を示した図である。
【0021】
(構成)
図1において、Tは前述した粉砕法により製造された非磁性負帯電性トナーであり、現像装置1は、現像剤収納部5(現像容器)、像担持体である感光ドラム9、現像剤搬送手段、現像剤規制部材である弾性規制ブレード7とから構成される。
【0022】
現像剤搬送手段は、現像スリーブ6に対向して設置された第一の懸架ローラである第一ベルト懸架ローラ2と、第二の懸架ローラである第二ベルト懸架ローラ3と、第一ベルト懸架ローラ2と第二ベルト懸架ローラ3に懸架された無端状の搬送部材であるトナー供給ベルト4と、により構成され、現像剤搬送手段は、現像剤を上方向に搬送させる領域を有し、トナー供給ベルト4のトナー供給面側に現像剤収納部5を設けている。
【0023】
第一ベルト懸架ローラ2並びに第二ベルト懸架ローラ3はそれぞれ不図示のモータにより回転駆動され、図中矢印の方向に周速120mm/secで回転しており、トナー供給ベルト4に多量に存在しているトナーTを現像剤担持体である現像スリーブ3方向に搬送し現像スリーブ3に十分なトナー量を供給している。
【0024】
本実施の形態では、トナー供給ベルト4として厚さ3mm、幅230mm、外周長124mmのポリウレタンフォームを用いた。トナー供給ベルト4としては単層の発泡ポリウレタンフォームを用いたが、複数の層で形成されていても問題はない。例えばトナー供給ベルト4の内側である懸架軸との接触面を非発泡シリコンゴムで形成し、現像スリーブ6側を発泡ポリウレタンフォームとすると、さらに耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、トナー供給ベルト4に設けられた空孔の大きさは、感光ドラム1の潜像形成幅範囲において一定であることが好ましいが、ベルトの厚み方向に沿って一定である必要はない。
【0026】
第一ベルト懸架ローラ2、第二ベルト懸架ローラ3は直径φ8mmのアルミニウム芯金上に厚さ2mmのEPDMスポンジ層を形成した外形φ12mmローラを用いている。
【0027】
本実施形態においては、トナー供給ベルトを2軸で懸架する構成としたが、図2に示すように、第三ベルト懸架ローラ3bを用い3軸で懸架する構成であっても問題はなく、本発明における効果は変わらない。
【0028】
トナー供給ベルト4は、当接圧40g/cmで現像スリーブ6と当接しており、トナー供給ベルト4上を搬送されてきたトナーを現像スリーブ6と摩擦帯電し、トナー自身の鏡像力によりトナーを現像スリーブ6に塗布すると同時に、現像スリーブ6上の現像に供さなかったトナーを摺擦することで剥ぎ取っている。
【0029】
現像スリーブ3は、直径φ12の導電性を有するアルミニウムにて形成され、対向する感光ドラムと当接するよう配置され、トナー供給ローラ15とはカウンタ方向(図中矢印方向)に周速120mm/secで回転している。
【0030】
また現像スリーブ6には、トナー量規制部材としてシリコーン樹脂より成る弾性規制ブレード7が当接されている。規制ブレード7は、支持部材である厚さ150μmのリン青銅板8に熱溶着され、現像スリーブ6の回転方向に対してカウンタ方向に30g/cmの線圧で当接し、現像スリーブ6上のトナーを規制してトナー薄層を形成し、現像領域(感光ドラム9との当接部分)に搬送されるトナー量を規定すると同時にトナーに適切な電荷(−20μC/g)を付与している。
【0031】
現像領域に搬送されたトナーは、現像スリーブ6と感光ドラム9との間に印加した現像バイアスによる現像電界により、現像スリーブ6から感光ドラム1上の潜像に付着し、潜像をトナー像として可視化する。現像バイアスとしては直流電圧−500Vに交流電圧2600Hz、1800Vppを重畳して用いている。
【0032】
ドラム対向部で現像に供されなかったトナーは、トナー供給ベルト4との摺擦により現像スリーブ6上から剥ぎ取られ、トナー供給ベルトに沿って搬送され現像剤収納部5へ戻る。
【0033】
また、現像剤収納部5の底部は、トナーがその自重によりトナー供給ベルト4に送られるよう、鉛直方向から50°の傾斜がついている。
【0034】
従来、トナーを収納部から現像部へ送る為には、重力を利用してトナーを搬送するか、トナーを収納部と現像部を水平方向に配置し、現像容器中で撹拌部材を駆動することが必要であった。
【0035】
(比較例1)
例えば、重力を利用してトナーを搬送する方法としては、図3に示すような構成が挙げられる(比較例1)。図3において、第1実施形態に係るものと同一機能を有するものについては同一符号を付してある。尚、15は供給ローラであり現像スリーブ6にトナーを供給、剥ぎ取りをになう部材である。
【0036】
しかしながら、比較例1として示した図3の構成においては、トナーの自重によるトナー搬送は簡潔ではあるものの、トナーのハンドリングが難しく、とりわけ非磁性トナーではトナーの圧力による現像容器開口部からのトナー吹き出し、飛散が問題となってしまう。
【0037】
(比較例2、3)
一方で、トナーを収納部と現像部を水平方向に配置した構成として、図4のような構成(比較例2)や、図5のような構成(比較例3)が挙げられる。
【0038】
比較例2を示した図4において16は撹拌部材であり、トナーを現像スリーブ6方向に送る役割りを担っている。また、比較例3においてはトナー供給ベルト4を水平方向に張架したものである。
【0039】
図4に示した比較例2においては、以下のような問題点が生ずる。供給ローラ15は矢印の方向に回転して現像スリーブ6にトナーを供給するものであるが、供給ローラ15から現像スリーブ6に対して供給されたトナーの内の余剰分が弾性規制ブレード7の下方に溜まり、新たなトナーの供給を阻害するようになってしまう。すなわち、余剰トナーの出口がなく循環経路が形成されていない為に、余剰トナーは弾性規制ブレード7下に溜まり続け、摺擦により劣化したトナーのみが現像スリーブ周辺に溜まるので、長時間回転を行った場合、適切に現像を行うことが困難な状態になる。
【0040】
比較例3で示した構成においても、同様にトナーが弾性規制ブレード7の下に溜まり続ける為、現像耐久性能が劣ってしまう。
【0041】
(比較例4)
また、本実施形態の現像装置のトナー供給ベルト4に対して非トナー供給面側に現像剤収納部を配置した図6に示すような構成(比較例4)も現像装置として考えられるが、上述と同様に弾性規制ブレード7の下に劣化したトナーが溜まり続ける為、耐久性能が劣るものとなる。
【0042】
(動作)
これに対して、本実施形態においては、上記問題点を解決し、安定した耐久性能を持続する優れた現像装置となっている。以下に、本実施の形態における現像装置の動作について詳しく説明する。
【0043】
本発明に係る現像装置1では図1で示されるように、現像装置内にトナー供給ベルト4を設け、トナー供給ベルト4によって現像剤収納部5内のトナーを現像スリーブ6へ供給するようにした。
【0044】
このトナー供給ベルト4は不図示のステッピングモータに接続された第一ベルト懸架ローラ2、第二ベルト懸架ローラ3に張架されたポリウレタンフォーム製のベルト状の部材であり、第一ベルト懸架ローラ2の回転によりトナー供給ベルト4を図示矢印方向に回転移動させるものである。
【0045】
本現像装置が動作状態になると、現像装置内のトナー供給ベルト4が図中矢印方向にする。このとき、トナー供給ベルト4はベルトの現像スリーブ6方向へ向かうよう移動する面に隣接するよう設置された現像剤収納部5に収納されているトナーを、ベルト表面の空孔に十分に保持する。
【0046】
トナー供給ベルト4に保持されたトナーは矢印方向に移動し、現像スリーブ6との圧接部に供給され、現像スリーブ6表面をコートする。このとき、トナー供給ローラ4から過剰に供給されたトナーは自重により落下し、再び現像剤収納部5に戻る。また、弾性規制ブレード7によって削ぎ落とされた現像スリーブ表面6上の余剰トナーも同様に現像剤収納部5に戻ることになる。以上のように、現像スリーブ6に供給されたトナーの過剰分は留まることなく速やかに現像剤収納部5に回収することが可能となっている。
【0047】
一方、現像スリーブ6上にコートされ、感光ドラム9対向位置で現像に供されなかったトナーは、再びトナー供給ベルト4との圧接部入り口において剥ぎとられ、トナー供給ベルト4の移動方向に沿って搬送され、第二ベルト懸架ローラ3の下方を通り、再び現像剤収納部5に戻る。このように、現像スリーブ6表面から削ぎ落としたトナーに対してもエンドレスの経路が確保されている為、狭い空間にトナーが凝集し、摺擦されることでトナーの劣化することがない。
【0048】
(実験)
上記構成を持つ本実施形態の現像装置と従来の現像装置を用いて、現像剤供給性能の安定性、耐久性能の比較を行った。
【0049】
従来の現像装置においては、通常の20℃程度の環境下においては何ら問題はないが、特に高温多湿環境下でトナー帯電量が次第に低下し、現像性能が低下する現象があらわれていた。そこで、特に厳しい条件として本比較実験は室温35℃、湿度90%の環境下において行った。
【0050】
それぞれの現像装置に感光ドラム、帯電手段、露光手段を設置して感光ドラム上の潜像を顕像化し、現像された感光ドラム上の画像濃度を測定することにより比較した。
【0051】
感光ドラム上はローラ帯電により、−650Vに帯電し、光量3.0mJ/m2のレーザで感光ドラム上を露光して感光ドラム上に潜像を形成している。また、現像スリーブと感光ドラム間印加する現像バイアスは−500Vの低電圧DCに周波数2600Hz、電圧1800VのACを重畳したものである。現像された感光ドラム上のトナーは感光ドラムに当接させたクリーニング装置により除去されるようになっている。
【0052】
以上のような帯電、潜像形成、現像、クリーニングプロセスを連続して耐久を行い、現像された部分の感光ドラム上の濃度の変化を測定した。
【0053】
図7は耐久時間に対する感光ドラム表面上のトナー像濃度の変化の様子である。濃度の数値が高いほどトナー量が多いことを示しており、この濃度が安定している方が好ましい。
【0054】
尚、耐久開始初期に現れる立ち上がりによる変化幅0.15程度の濃度変化は、実用画像上濃度の変化が分らない程度のため問題はなく許容範囲内である。
【0055】
この図に示すように、本実施形態の現像装置では他の比較例に対し、安定した濃度を保っていることが分る。これは、本実施の形態の現像装置においては現像スリーブ6へのトナーの供給が十分に行われており、かつトナーの循環経路が確保されていることから、トナーにストレスを与えにくくトナーの劣化を抑止している為である。すなわち、本実施の形態では長期の使用に対しても安定した画像濃度を維持していることが分った。
【0056】
上述のごとく構成したことにより、現像スリーブを有する現像部が現像剤収納部の上方に位置する場合においても、トナーを劣化させることなく現像スリーブへの十分なトナー供給が可能となり、耐久性能に優れた現像装置とすることが可能となった。
【0057】
さらにベルトを利用することにより、現像剤収納部の配置、大きさ、形状の自由度が増す為、ひいては現像装置全体の小型化を図ることをも可能となった。
【0058】
[第二実施形態]
次に本発明に係る現像装置の第二実施形態について図を用いて説明する。図8は本実施形態に係る現像装置の概略断面図、図9は現像装置における攪拌板の駆動方法を示した模式図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図8に示すように、本実施形態では現像剤収納容器底部にトナー攪拌装置を設けた。トナー攪拌装置は、現像剤を攪拌する攪拌手段として簾の子状の攪拌板10を傾斜のついた現像剤収納部5の底部に配置している。トナー攪拌装置は、攪拌板10を前後に動作して、トナーが自重でトナー供給ベルト4方向へ落下するのを補助するものである。
【0060】
攪拌板10を動作させる手段としては、例えば、図9のような構成をとる。図9において10は攪拌板、11は駆動伝達ローラ、12は連結アームである。駆動伝達ローラ11は、第一ベルト懸架ローラ2と同じステッピングモータにより、回転するものとなっており、連結アーム12が駆動伝達ローラ11の回転中心からずれた位置に連結されている。
【0061】
これにより、駆動伝達ローラ11の回転に伴い連結アーム12に連結された攪拌板10が前後に動作し、現像剤収納部5の底部に留まっているトナーをも有効に現像に供することが可能になっている。
【0062】
本実施の形態のように現像剤収納部5に攪拌板10を設置することにより、トナーの自重のみに頼らずトナー供給ベルト4へのトナーの供給がなされる為、上記第一実施形態と同様に現像剤収納部5の上方に位置する場合においても、トナーを劣化させることなく現像スリーブ6への十分なトナー供給が可能となり、耐久性能を向上させることができるとともに、いっそう供給性能を向上させることができる。
【0063】
[第三実施形態]
次に本発明に係る現像装置の第三実施形態について図を用いて説明する。図10は本実施形態に係る現像装置の概略断面図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図10に示すように、本実施形態は上記第二実施形態の攪拌板10に変えて攪拌手段として回転する回転体であるパドル13を設置し、パドル13をトナー供給ベルト4と逆方向に回転させることを特徴とする。
【0065】
図10に示すように、現像剤収納部底部には、パドル13が設置され、現像剤収納部5の底部はパドル13の回転形状に合わせて円弧状になっている。パドル13は第一ベルト懸架ローラ2と同一のステッピングモータにより、図中矢印方向に回転するものとなっており、現像剤収納部5底部に溜まっているトナーをトナー供給ベルト4側へ供給するようになっている。
【0066】
ここでパドル13の回転方向は、第一ベルト懸架ローラ2の回転方向と同一方向あるいは逆方向とすることができるが、パドル13の回転方向を第一ベルト懸架ローラ2と同一方向とすると、トナーが少量となった場合、パドル13によって持ち上げられたトナーは図10においての現像剤収容部5の右壁面に沿って掻き揚げられるが、また現像剤収納部5に落下してしまい、トナー供給ベルト4に供給されないトナーが残留する。
【0067】
一方、パドル13の回転方向を第一ベルト懸架ローラ2と逆方向とすることにより、パドル13によって持ち上げられたトナーは現像剤収容部5の左壁面に沿って掻き揚げられ、その左方に位置するトナー供給ベルト4側にトナーを送り込むことが可能になる。この為、図中矢印のように、第一ベルト懸架ローラ2と逆回転にするのがよい。
【0068】
上述のごとく、トナーの自重に頼らず積極的にトナー供給を行うパドルを使用し、パドルの回転方向を最も効率の良い方向に設定することで、上記第二実施形態の現像装置に対して、さらにトナー供給能力を向上させることが可能となった。
【0069】
さらに現像容器底部5に傾斜を設けなくても良いことから上記第二の実施の形態の現像装置に比して現像剤収納部5の容量をさらに大きくとることも容易となる。
【0070】
尚、ここでは現像装置内にパドルを1つ設置した場合について説明したが、勿論複数のパドルを設置することも可能であり、それに合わせた現像剤収納部形状とすることができる。
【0071】
[第四実施形態]
次に本発明に係る現像装置の第四実施形態について図を用いて説明する。図11は本実施形態に係る現像装置の概略断面図、図12は現像装置における停止時及び動作時のトナー供給ベルトの懸架状態を示した図、図13は現像装置における停止時及び動作時のトナー供給ベルトの表面状態を示した図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。 本実施形態は、トナー供給ベルトを用いた現像剤搬送手段を用いた現像装置において、トナー供給能力を向上させるものである。トナー供給ベルト4のトナーの搬送力を最大限引き出すように、トナー供給ベルトの現像スリーブ6への移動部分のテンションを張り、この部分に隣接するよう現像剤収納部5を配置した。
【0072】
具体的には、トナー供給ベルト4を支持している複数のベルト懸架ローラにおいて、周速差をつけることにより、トナー供給ベルト4の現像スリーブ6への移動部分のテンションを張るようにしたものである。
【0073】
図11において、2及び3はそれぞれ外径φ12mmの第一ベルト懸架ローラ、第二ベルト懸架ローラである。第一ベルト懸架ローラ2及び第二ベルト懸架ローラ3はそれぞれ異なるギヤ列を介して同一のモータに接続されており、第一ベルト懸架ローラ2は周速120mm/secで、第二ベルト懸架ローラ3は119.4mm/sec(第一ベルト懸架ローラ2の0.5%減)の周速で回転駆動されている。
【0074】
第一ベルト懸架ローラ2、第二ベルト懸架ローラ3は、トナー供給ベルト4を張架しており、第一ベルト懸架ローラ2及び第二ベルト懸架ローラ3により矢印方向に回転するものとなっている。
【0075】
(動作)
次に本実施形態の現像装置の動作状態について説明する。まず、トナー供給ベルト4が停止している状態においては、トナー供給ベルト4はその弾性により図12[停止時]に示すようにベルトの懸架形状に偏りなく、一様にテンションが張った状態で保持されている。
【0076】
現像動作が開始されモータが回転すると、第一ベルト懸架ローラ2、第二ベルト懸架ローラ3は上述した周速にて回転する。このとき、第一ベルト懸架ローラ2は第二ベルト懸架ローラ3の周速よりも早い周速にて回転している為、トナー供給ベルト4の、現像剤収納部5に面し上方へ移動している領域は、第二ベルト懸架ローラ3の周速差によるバックテンションを受け、若干引っ張られた状態となる(図12[動作時]参照)。
【0077】
一方で、このときトナー供給ベルト4の、現像剤収納部5に面し、第一ベルト懸架ローラ2の懸架部から第二ベルト懸架ローラ3の懸架部にかけての領域、すなわち下方に移動している領域は、若干のたるみが生じる状態となる。
【0078】
図13に示すように、このような回転状態におけるトナー供給ベルト4の上方へ移動している部分の表面を拡大すると、トナー供給ベルト4は若干引っ張られてテンションが張った状態となっているので、表層に設けられた空孔も引き伸ばされて、その空孔の開口部が停止時よりも大きくなる。また、トナー供給ベルト4でのトナーの輸送は、トナーが空孔部分に入り込むことよって行われるので、空孔が大きくなれば単位周回あたりのトナー搬送能力も向上する。
【0079】
上述のごとく、トナー供給ベルト4の現像剤収納部5に面するベルト面のテンションを張るよう第一ベルト懸架ローラ2と第二ベルト懸架ローラ3に周速差を設けたことにより、トナー供給ベルト4のトナー搬送能力が大きい部分で常にトナー搬送を行わせることができる。
【0080】
単にトナー搬送能力を向上させる為には、トナー供給ベルト4の表面に形成させる空孔の大きさを大きくすることも有効である。しかしこの場合、空孔の開口部が大きくなると同時に奥行きも大きくなるため空孔の奥までトナーが入りにくく、さらに空孔の奥に入ってしまったトナーは吐き出されにくい。これにより、トナーがトナー供給ベルト4上の空孔の奥に残り続け、現像不良となる可能性がある。
【0081】
一方、本実施形態の構成の場合、空孔の開口部だけが広げられて、空孔の奥行きは変わらないため、トナーの供給量向上を図ることが可能になるのと同時に、トナーが空孔の奥に溜まることがない為、良好な画像を維持することが可能となっている。
【0082】
尚、第一ベルト懸架ローラ2と第二ベルト懸架ローラ3に周速差をつける手段は、両ローラの外径をわずかに変えることでも実現可能であり、同様の効果を発揮させることができる。
【0083】
また、本実施形態では2本の懸架ローラを用いてベルトを懸架した場合について説明したが、勿論3本以上であっても同様の効果を得ることができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態では新たに追加部材を必要とすることなく、トナー搬送能力を向上させることができる。
【0085】
[第五実施形態]
次に本発明に係る現像装置の第五実施形態について図を用いて説明する。図14は本実施形態の現像装置の概略断面図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
本発明の特徴とするところは、トナー供給ベルト4を支持している複数のベルト懸架ローラにおいて、トナー搬送ベルト4を懸架するローラのうち、もっとも現像スリーブ6に近接した位置に設置された第一ベルト懸架ローラ2のみに駆動伝達手段を設けることにより、トナー供給ベルト4の現像スリーブ6への移動部分のテンションを張るようにしたものである。
【0087】
これにより、第四実施形態よりも簡便な構成にて現像ローラ側へのトナーの供給量を向上させることが可能となっている。
【0088】
図14において、2は第一ベルト懸架ローラ、3は第二ベルト懸架ローラであり、前記2本のローラでトナー供給ベルト4を張架している。第一ベルト懸架ローラ2には、不図示のステッピングモータからの駆動力を受ける駆動伝達機構が設けられ、これにより第一ベルト懸架ローラ2は回転駆動される。トナー供給ベルト4はその表層に空孔を有する単層の発泡ポリウレタンフォームである。
【0089】
一方、第二ベルト懸架ローラ3はトナー供給ベルト4がたるむことなく、かつトナー供給ベルト4を引っ張り力で破壊することのないような適切な張架状態になる位置に第一ベルト懸架ローラ2と平行に回動自在に軸支されている。
【0090】
(動作)
次に本実施形態の現像装置の動作状態について説明する。モータが回転すると、第一ベルト懸架ローラ2が回転駆動され、トナー供給ベルト4を図中矢印方向に回転させる。このときトナー供給ベルト4の現像剤収納部5に面し上方へ移動している領域は、第二ベルト懸架ローラ3のバックテンションを受ける為、若干引っ張られた状態となる。
【0091】
本実施形態の現像装置では、第二ベルト懸架ローラ3のバックテンションを利用して現像剤収納部5に面するベルト面のテンションを張るようになっており、上記第四実施形態に述べたものと同様の作用により、トナー供給ベルト4のトナー搬送能力が大きいテンションの張った部分で常にトナーの搬送を行わせることが可能となっている。
【0092】
また、第一ベルト懸架ローラ2のみに駆動を伝達すればよいので、上記第四実施形態に対してより安価に構成することができる。
【0093】
尚、本実施形態では2本の懸架ローラを用いてトナー供給ベルト4を懸架した場合について説明したが、勿論3本以上であっても同様の効果を得ることができる。
【0094】
以上述べたようにトナー供給ベルト4のトナー搬送能力を引き出す現像装置構成とすることにより、トナー搬送能力を向上させることが可能となった。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、前記現像剤搬送手段は、現像剤担持体に対向して設けられた第一の懸架ローラと、前記第一の懸架ローラよりも下方に設けられた第二の懸架ローラとを含む少なくとも2本以上の懸架ローラと、前記複数の懸架ローラに懸架され、ポリウレタンフォームで形成された無端状の搬送部材と、を有し、前記第一の懸架ローラと前記第二の懸架ローラとの間に周速差を設ける、又は、前記第一の懸架ローラを駆動して前記第二の懸架ローラを従動とすることにより、前記搬送部材において下方に移動する領域の張力よりも、上方に移動する領域の張力を大きくして、前記下方に移動する領域よりも前記上方に移動する領域における前記搬送部材の表面の空孔を大きくした。
【0096】
これにより、第一の懸架ローラと、第一の懸架ローラよりも下方に設けられた第二の懸架ローラとで懸架された無端状の搬送部材を用いて現像剤担持体に現像剤を搬送する場合に、上方に移動する領域における搬送部材の搬送能力の向上を簡易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態に係る現像装置の概略断面図である。
【図2】現像装置においてトナー供給ベルトを3軸で懸架した際の概略断面図である。
【図3】比較例1の現像装置の概略断面図である。
【図4】比較例2の現像装置の概略断面図である。
【図5】比較例3の現像装置の概略断面図である。
【図6】比較例4の現像装置の概略断面図である。
【図7】現像装置と従来の現像装置の耐久性能の比較実験結果を示した図である。
【図8】第二実施形態に係る現像装置の概略断面図である。
【図9】現像装置における攪拌板の駆動方法を示した模式図である。
【図10】第三実施形態に係る現像装置の概略断面図である。
【図11】第四実施形態に係る現像装置の概略断面図である。
【図12】現像装置における停止時及び動作時のトナー供給ベルトの懸架状態を示した図である。
【図13】現像装置における停止時及び動作時のトナー供給ベルトの表面状態を示した図である。
【図14】第五実施形態の現像装置の概略断面図である。
【図15】従来の画像形成装置の側断面図である。
【図16】従来の現像装置の概略断面図である。
【符号の説明】
L …レーザ光
T …トナー
1 …現像装置
2 …第一ベルト懸架ローラ
3 …第二ベルト懸架ローラ
3b …第三ベルト懸架ローラ
4 …トナー供給ベルト
5 …現像剤収納部
6 …現像スリーブ
7 …弾性規制ブレード
8 …リン青銅板
9 …感光ドラム
10 …攪拌板
11 …駆動伝達ローラ
12 …連結アーム
13 …パドル
15 …供給ローラ
16 …撹拌部材
Claims (4)
- 現像剤を収容する現像容器と、像担持体上に形成した静電潜像に現像剤を供給して可視化せしめる現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を搬送する現像剤搬送手段と、を備えた電子写真記録装置の現像装置において、
前記現像剤搬送手段は、現像剤担持体に対向して設けられた第一の懸架ローラと、前記第一の懸架ローラよりも下方に設けられた第二の懸架ローラとを含む少なくとも2本以上の懸架ローラと、前記複数の懸架ローラに懸架され、ポリウレタンフォームで形成された無端状の搬送部材と、を有し、
前記第一の懸架ローラと前記第二の懸架ローラとの間に周速差を設ける、又は、前記第一の懸架ローラを駆動して前記第二の懸架ローラを従動とすることにより、前記搬送部材において下方に移動する領域の張力よりも、上方に移動する領域の張力を大きくして、前記下方に移動する領域よりも前記上方に移動する領域における前記搬送部材の表面の空孔を大きくしたことを特徴とする現像装置。 - 前記搬送部材の上方に移動する領域側に現像剤収納部を設けたことを特徴とする現像装置。
- 前記搬送部材の上方に移動する領域側に現像剤を攪拌する攪拌手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 前記攪拌手段は現像剤を撹拌する回転可能な回転体であり、前記攪拌手段のうち少なくとも1つの回転方向が前記第一の懸架ローラの回転方向と逆方向であることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
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