以下、本発明に係る現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[第1の実施形態]
1.画像形成装置の全体構成
先ず、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置100の装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは装置本体100Aに通信可能に接続されたパーンナルコンピュータなどのホスト機器から、装置本体100Aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施形態では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、重力方向と交差する方向に一列に配置されている。
なお、本実施形態では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
本実施形態では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、重力方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の感光体(電子写真感光体)、すなわち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータにより図中矢印A方向(時計回り)に回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電潜像(静電像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。本実施形態では、スキャナユニット3は、各色用の感光体ドラム1に各色に対応する画像情報に基づきレーザーを照射できる1つのユニットとして構成されている。また、感光体ドラム1の周囲には、静電潜像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
なお、本実施形態では、現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤であるトナーを用いる。また、本実施形態では、現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラ(後述)を感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。すなわち、本実施形態では、現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電潜像を現像する。
本実施形態では、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化(一体化)されて、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。本実施形態では、各色用のプロセスカートリッジ7は、全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブランク(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図中矢印B方向(反時計回り)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。中間転写ベルト5の内周面(裏面)側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する一次転写部N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源回路)から、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性のDCバイアス(直流電圧)が印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。また、中間転写ベルト5の外周面(表面)側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源回路)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のDCバイアス(直流電圧)が印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。
更に説明すれば、画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電潜像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像ユニット4によってトナー像(現像剤像)として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、中間転写ベルト5上のトナー像の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送される。中間転写ベルト5上のトナー像は、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、記録材12上に転写(二次転写)される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。記録材12は、定着装置10において熱及び圧力が加えられることで、その上にトナー像が定着される。
また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、クリーニング部材6によって感光体ドラム1上から除去(清掃)されて回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写ベルトクリーニング装置11によって中間転写ベルト5上から除去(清掃)されて回収される。
本実施形態では、各色用のプロセスカートリッジ7、各色用の露光を行うスキャナユニット3、各色用の一次転写ローラ8などによって、各色用の画像形成部Sが構成される。
なお、画像形成装置100は、所望の1つの画像形成部のみを用いて、又は、幾つか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
2.プロセスカートリッジの全体構成
次に、本実施形態の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。本実施形態では、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た、本実施形態のプロセスカートリッジ7の概略断面(主断面)図である。図2は、プロセスカートリッジ7を、装置本体100Aに装着されて用いられている状態での姿勢で示している。以下でプロセスカートリッジ7の各部材の位置関係や方向などについて記載する場合は、この姿勢における位置関係や方向などを示している。なお、上方、下方とは、重力方向(鉛直方向)における上方、下方を指すが、真上、真下のみを意味するものではなく、それぞれ基準とする要素又は位置を通る水平方向よりも上側、下側も含むものである。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1などを備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17などを備えた現像ユニット4と、が一体化されて構成される。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光体ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、装置本体100Aに設けられた駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて図中矢印A方向(時計回り)に回転駆動される。本実施形態では、画像形成プロセスの中心となる感光体ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に、機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体ドラムである。また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の表面(外周面)に接触するように、クリーニング部材6と、帯電ローラ2と、が配置されている。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14で形成された廃トナー室14a内に落下し、収容される。帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触させて配置されており、感光体ドラム1の回転に伴って従動して回転する。
ここで、帯電工程時に帯電ローラ2の芯金には所定の直流電圧が印加され、これにより感光体ドラム1の表面には、一様な暗部電位(Vd)が形成される。スキャナユニット3から画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、感光体ドラム1を露光する。感光体ドラム1の露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位の絶対値が低下する。その結果、露光部位は所定の明部電位(Vl)、未露光部位は所定の暗部電位(Vd)となり、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。本実施形態では、Vd=−500V、Vl=−100Vとした。
一方、現像ユニット4は、現像ユニット4内の各要素を支持する枠体としての現像枠体16を有する。本実施形態では、現像枠体16内は、現像枠体16の一部で構成された仕切り部材(隔壁)30によって、現像室15と、収容室18と、に区画されている。現像室15には、トナー80を担持して感光体ドラム1との対向部へと搬送する現像剤担持体としての現像ローラ17と、現像ローラ17にトナー80を供給する供給部材としての供給ローラ20と、が配置されている。また、現像室15には、規制部材としての現像ブレード21と、詳しくは後述する保持補助部材88と、が配置されている。収容室18は、現像室15よりも下方、すなわち供給ローラ20よりも下方に配置された、現像室15へと搬送するトナー80を収容する収容部18aが内部に形成されている。仕切り部材30には、現像室15と収容室18とを連通させ、収容室18から現像室15へと搬送されるトナー、また現像室15から収容室18へと戻されるトナーの通過を許す開口部30aが形成されている。また、収容室18内には、搬送部材(攪拌搬送部材)22が配置されている。
供給ローラ20は、現像ローラ17に当接して、現像ローラ17との間にニップ部N(現像ローラ17と供給ローラ20とでトナーを挟む部分)を形成する。本実施形態では、供給ローラ20と現像ローラ17とは、ニップ部Nにおいて各々の表面が同方向に、かつ、上方から下方に向けて移動するように、それぞれ回転駆動される。すなわち、供給ローラ20は図中矢印E方向(時計回り)に、現像ローラ17は図中矢印D方向(反時計回り)に回転駆動される。
現像ローラ17は、導電性の芯金17aの外周に、弾性層として導電性ゴム層17bをロール状に形成した、外径18mmの導電性ゴムローラである。また、供給ローラ20は、導電性の芯金20aの外周に、弾性層として発泡体層20bをロール状に形成した、外径18mmの弾性スポンジローラである。つまり、供給ローラ20は、表面に発泡体(多孔質部材)を備える。供給ローラ20と現像ローラ17とは、所定の侵入量を持って接触している。すなわち、本実施形態では、図3に示すように、供給ローラ20が現像ローラ17により凹状とされる。その凹み量△Eを上記侵入量とする。
供給ローラ20と現像ローラ17とは、ニップ部Nにおいて互いに同方向に周速差を持って回転し、この動作により供給ローラ20による現像ローラ17へのトナーの供給が行われる。その際、供給ローラ20と現像ローラ17との電位差を調整することにより、現像ローラ17へのトナー供給量を調整することができる。本実施形態では、供給ローラ20の回転速度(単位時間当たりの回転数)は、現像ローラ17の回転速度よりも高い。一例として、供給ローラ20の回転速度を200rpm(1分間当たりの回転数)、現像ローラ17の回転速度を100rpmに設定することができる。また、本実施形態では、図示しない供給バイアス印加手段としての供給バイアス電源(高圧電源回路)から、供給ローラ20に対して、現像ローラ17と同電位となるよう、DCバイアス(直流電圧)が印加される。
本実施形態では、現像ローラ17と供給ローラ20とは共に外径が18mmであり、供給ローラ20の現像ローラ17への侵入量(上記凹み量)△Eは1.0mmに設定した。また、供給ローラ20と現像ローラ17とは、それぞれの回転中心の高さが同じになるように配置されている。
収容室18内には、搬送部材22が設けられている。搬送部材22は、回転することによって、収容室18内に収納されたトナーを攪拌すると共に、供給ローラ20の上方に向けて図中矢印G方向にトナーを搬送するためのものである。本実施形態では、搬送部材22の回転速度は、現像ローラ20の回転速度よりも低い。一例として、搬送部材22の回転速度を30rpmに設定することができる。
搬送部材22は、トナーを搬送するための搬送部としての可撓性を有するシート部22aと、シート部が取り付けられると共に回転駆動力を受けるための搬送支持軸(回転軸)22bと、を有している。搬送支持軸22bは、感光体ドラム1、現像ローラ17及び供給ローラ20の回転軸線方向と略平行に、収納室18の長手方向の全域にわたって配置されている。シート部22aは、搬送支持軸22bの回転軸線方向の略全域にわたって延在する連続したシート(板状部材)である。そして、シート部22aは、搬送支持軸22bの回転軸線方向と略直交する方向(回転半径方向)の一端部において搬送支持軸22bに取り付けられている。搬送部材22は、その回転軸線方向の両端部において、収納室18を形成する現像枠体16に回転可能に支持されており、装置本体100Aに設けられた駆動モータにより図示矢印M方向(時計方向)に回転駆動される。本実施形態では、シート部22aの材質はポリカーボネート(PC)フィルム、シート部22aの厚さは300μmである。なお、シート部22aに用いる材料や厚さは、本実施形態のものに限定されるものではない。例えば、適宜の厚さのポリエステルフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリカーボネートフィルムなど、シート部22aが弾性変形可能であれば使用可能である。
現像ブレード21は、現像ローラ17の下方に配置され、現像ローラ17に対してカウンター方向(自由端が現像ローラ17の回転方向上流を向く方向)に当接している。現像ブレード21は、供給ローラ20によって現像ローラ17に供給されたトナーのコート量(層厚)の規制、及びトナーへの電荷の付与を行う。本実施形態では、現像ブレード21として、厚さ0.1mmの板バネ状のSUS製の薄板を用いた。この現像ブレード21は、薄板のバネ弾性を利用して当接圧力を形成し、トナー及び現像ローラ17に対し面で接触する。なお、現像ブレード21としては、本実施形態のものに限らず、例えばリン青銅やアルミニウムなどの金属製の薄板などを用いてもよい。また、現像ブレード21としては、その表面にポリアミドエラストマーやウレタンゴムやウレタン樹脂などの薄膜を被覆したものを用いてもよい。
トナーは、現像ブレード21と現像ローラ17との摺擦により、摩擦帯電されて電荷を付与されると共に、その層厚が規制される。また、本実施形態では、現像ブレード21には、図示いないブレードバイアス印加手段としてのブレードバイアス電源(高圧電源回路)から、所定のDCバイアス(直流電圧)が印加される。これにより、現像ローラ17上のトナーコートの安定化が図られている。本実施形態では、ブレードバイアスとしてV=−500Vを印加した。
また、現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部(接触部)において各々の表面が同方向(本実施形態では下方から上方に向かう方向)に移動するように、それぞれ回転駆動される。なお、本実施形態では、現像ローラ17は感光体ドラム1に接触して配置されているが、現像ローラ17は感光体ドラム1に対して所定間隔を開けて近接して配置されてもよい。そして、本実施形態では、現像ローラ17には、図示しない現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源(高圧電源回路)から、DCバイアス(直流電圧)が印加される。これにより、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、現像ローラ17が感光体ドラム1に接触する現像部において、現像ローラ17と感光体ドラム1上の明部電位部との電位差で該明部電位部にのみ転移する。本実施形態では、現像ローラ17に対してV=−300Vを印加することにより、感光体ドラム1上の明部電位部との電位差ΔV=200Vを形成し、トナーを該明部電位部に付着させてトナー像を形成した。
ここで、供給ローラ20の発泡体層20bについて更に説明する。供給ローラ20は、導電性支持体(芯金)20aと、導電性支持体20aに支持される発泡体層20bと、を備える。本実施形態では、導電性支持体20aの外径は5mmである。また、本実施形態では、導電性支持体20aの周囲に形成された発泡体層20bは、気泡同士がつながっている連続気泡体(連泡)を有する発泡ウレタン層で構成されている。表層のウレタンに連続気泡を有するものとすることで、供給ローラ20の内部にトナーが多量に進入可能となる。また、本実施形態では、供給ローラ20の電気抵抗は1×109(Ω)である。供給ローラ20の電気抵抗の測定方法次のとおりである。供給ローラ20を、直径30mmのアルミスリーブに対し侵入量が1.5mmとなるように当接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、供給ローラ2を30rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。そして、アルミスリーブに−50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗素子を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、供給ローラ20の電気抵抗を算出する。また、供給ローラ20の表面セル径は50μm〜1000μm程度が好ましい。ここで、セル径とは、任意断面の発泡セルの平均径をいい、まず任意断面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。そしてこの最大セル径の1/2以下である発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均値のことを指す。
3.トナーの流れ
次に、図2及び図3を参照して、現像室15内のトナーの流れについて説明する。図3は、現像室15内を拡大して示す概略断面図であり、搬送部材22により収容室18から供給ローラ20に向けて搬送されたトナー80の動きを示している。
収容室18に収容されたトナーは、搬送部材22によって図中矢印Gで示す飛跡で跳ね上げられる。そのトナーの大部分は、現像室15の内部において、供給ローラ20の上方、並びに、現像ローラ17及び供給ローラ20の上方(すなわち、ニップ部Nの上方)の領域(空間)である第1の貯留部15aに供給される。第1の貯留部15aに供給されたトナーは、供給ローラ20の図中矢印E方向の回転によって、現像ローラ17と供給ローラ20との間のニップ部Nの直前まで搬送される。供給ローラ20は現像ローラ17とのニップ部Nの直前において圧縮変形し、その変形によって供給ローラ20の表面及び内部に留まっていたトナーが図中矢印U方向に吐き出される。この吐き出されたトナーは、現像室15の内部の現像ローラ17及び供給ローラ20の上方(すなわち、ニップ部Nの上方)の領域(空間)である第1の貯留部15aに収容(貯留)される。第1の貯留部15aに溜められたトナーの一部は、現像ローラ17及び供給ローラ20の回転によって、ニップ部Nに突入する。ニップ部Nに突入したトナーは、現像ローラ17と供給ローラ20との摺擦によって電荷が与えられる。電荷を持ったトナーはニップ部Nを通過した後に、その電荷によって現像ローラ17に静電吸着する。このようにして、供給ローラ20から現像ローラ17へとトナーが供給される。そして、現像ローラ17に供給されたトナーの一部は、現像ブレード21によってその層厚が規制されると共に摩擦帯電される。これにより、現像ローラ17上に所望の層厚のトナーコートが形成される。
また、現像ブレード21により規制されて現像ローラ17に担持されなくなったトナーは、重力によって落下する。そして、このトナーは、現像室15の内部の現像ローラ17及び供給ローラ20の下方(すなわち、ニップ部Nの下方)の領域(空間)である第2の貯留部15bに収容(貯留)される。供給ローラ20は、ニップ部Nを通過した瞬間に、現像ローラ17との圧接状態から解放される。この時、供給ローラ20は、その表層に発泡体層20bを有するため、第2の貯留部15b内に存在するトナーをその内部に吸い込むことが可能である。供給ローラ20に保持されたトナーは、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの上流側に搬送され、上述のようにして第1の貯留部15aに収容(貯留)される。なお、第2の貯留部15b内のトナーの一部は、供給ローラ20の回転によって現像室15と収容室18との間を隔てている仕切り部材30に設けられた開口部30aの方向へと搬送される。そして、開口部30aを通って収容室18へと戻される。
ここで、図4は、特許文献1に記載される従来の構成(後述する比較例1)における現像室15内のトナーの流れを示す概略断面図である。図4に示す構成は、詳しくは後述する保持補助部材88が設けられていない点が本実施形態の構成と異なる。本発明者らの検討により、図4に示す従来の構成では、供給ローラ20の回転速度を上昇させていくと、供給ローラ20が安定してトナーを吸い込み、保持することが困難になることがあることがわかった。
図5は、図4に示す構成における、供給ローラ20の回転速度と供給ローラ20のトナー保持量との関係を示す。図5に示すように、図4に示す構成では、供給ローラ20の回転速度の上昇に伴い、供給ローラ20が保持できるトナー量が減少していく傾向がある。これは、次のような理由によるものと考えられる。すなわち、供給ローラ20の回転速度の上昇に伴い、現像室15の第2の貯留部15b内における図4の矢印F方向(ニップ部Nから下方に向かう方向)への風速が無視できなくなる。供給ローラ20の現像ローラ17との圧接状態からの解放時における供給ローラ20からのトナーの吹き出しなどによるものと考えられる。これにより、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側に存在するトナーが、上記矢印F方向へまき散らされるようになり、供給ローラ20が安定して周囲のトナーを吸い込むことが困難となる。
この現象に対しては、収容部からトナーを汲み上げる搬送部材の回転速度を上げたり、搬送部材の搬送部(シートなど)の数を増やしたりして、供給部材の近傍へのトナー供給量を増やすことが考えられる。しかし、その場合、現像装置の駆動トルクが上昇する方向となり、装置本体にトルクの高い性能の駆動モータが必要となるなど、画像形成装置の消費電力の増加などにつながる。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、現像室15の内部の現像ローラ17及び供給ローラ20の下方(すなわち、ニップ部Nの下方)の領域(空間)である第2の貯留部15b内に、回転可能な回転部材である保持補助部材88を配置する。つまり、本実施形態では、現像室15の内部において、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側に、第2の貯留部内のトナーをニップ部Nに向けて移動させる保持補助部材88を配置する。
本実施形態では、保持補助部材88は、回転軸(支持体)88aと、回転軸88aに取り付けられ回転軸88aを中心として回転する可撓性を有するシート部材88bと、を有して構成される。典型的には、回転軸88aの回転中心は、供給ローラ20の回転中心を通る鉛直線と現像ローラ17の回転中心を通る鉛直線との間に位置し、特に本実施形態ではニップ部Nのほぼ真下に位置する。回転軸88aは、供給ローラ20、現像ローラ17のそれぞれとの間に所定の間隔(距離)を開けて、それぞれに対向して配置されている。回転軸88aの回転軸線方向は、供給ローラ20、現像ローラ17の回転軸線方向と略平行であり、回転軸88aは、供給ローラ20、現像ローラ17のそれぞれの回転軸線方向の略全域で供給ローラ20、現像ローラ17と対向する。本実施形態では、回転軸88aは、外径3mmの円柱形状である。シート部材88bは、回転軸88aの回転軸線方向の略全域にわたって延在する連続したシート(板状部材)である。そして、シート部材88bは、回転軸88aの回転軸線方向と略直交する方向(回転半径方向)の一端部において回転軸88aに取り付けられている。本実施形態では、シート部材88bは、回転軸88aの周方向に8枚設けられており、各シート部材88bは隣接するシート部材88bとの間で45°位相がずらされて配置されている。本実施形態では、シート部材88bの材質はポリカーボネート(PC)フィルム、シート部材88bの自由長は3mm、シート部材88bの厚さは150μmである。本実施形態では、保持補助部材88は、その回転時及び停止時において、シート部材88bが供給ローラ20及び現像ローラ17に接触しないように配置されている。
保持補助部材88は、回転軸88aに駆動力が伝達されることで、図中矢印H方向(時計回り)に回転駆動される。つまり、本実施形態では、保持補助部材88の回転方向は、供給ローラ20の回転方向に対しカウンター方向であり、保持補助部材88と供給ローラ20とは対向部において各々が逆方向に移動するように回転する。また、本実施形態では、保持補助部材88の回転速度は、供給ローラ20の回転速度と略等速に設定されている。
保持補助部材88の回転軸88aは、現像ユニット4の駆動ギア(図示せず)と連結されており、装置本体100Aに設けられた駆動モータにより回転駆動される。ここで、本実施形態では、現像ユニット4への駆動入力は1つであり、現像ローラ17、供給ローラ20、搬送部材22及び保持補助部材88は、ギア(図示せず)で連結されており、画像形成時などには同期して回転駆動される。これにより、供給ローラ20の回転駆動中に搬送部材22がトナーを供給し、現像室15と収容室18とのトナー循環を促進することができる。また、供給ローラ20の回転駆動中に保持補助部材88が回転して、供給ローラ20によるトナーの保持を補助することができる。
このように、保持補助部材88を供給ローラ20の回転方向におけるニップ部Nの下流側に配置することで、図中矢印Fで示すトナーの流れの方向を変更し、供給ローラ20によるトナーの吸い込みを促進することができる。これにより、供給ローラ20の回転速度が上昇しても、供給ローラ20のトナー保持量が低下するのを抑制して、結果的に供給ローラ20によるニップ部Nへのトナーの供給を安定して行うことが可能となる。つまり、前述のように、画像形成速度の高速化に対応するなどのために、供給ローラ20の回転速度を上昇させることがある。この場合、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側における供給ローラ20から吹き出す風圧の増加により、供給ローラ20のトナー保持量が低下して、現像ローラ17へのトナー供給量が低下しやすい状況になる。このような状況においても、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側に保持補助部材88を配置することで、収容部18aから供給ローラ20の近傍に汲み上げられたトナーを効率的に供給ローラ20に保持させることができる。したがって、本実施形態によれば、収容部18aからのトナーの汲み上げなどのための消費電力の上昇を抑えつつ、簡易な構成で、安定して、供給ローラ20によりニップ部Nにトナーを供給することができる。
なお、本実施形態の構成では、シート部材88bの厚みは、100μm〜250μmが好適であったが、これに限定されるものではない。ニップ部Nから吹き出されるトナーの圧力に十分に耐えることができ、供給ローラ20によるトナーの保持を十分に補助することが可能であればよい。また、本実施形態の構成では、保持補助部材88の回転方向を供給ローラ20の回転方向に対しカウンター方向とすることが好適であったが、保持補助部材88の回転速度や回転方向も、本実施形態のものに限定されるものではない。供給ローラ20の回転方向におけるニップ部Nの下流側の、供給ローラ20によるトナーの吸い込みが行われる領域(ニップ部Nの出口近傍の部分)に安定してトナーを搬送できるように、保持補助部材88の構成などに応じて適宜設定することが可能である。
また、本実施形態では、保持補助部材88として回転軸にシートを取り付けた構成のものを使用したが、これに限定されるのもではない。例えば、保持補助部材88として、供給ローラ20と同様の、表面に発泡体(多孔質部材)を有する回転可能なローラを用いてもよい。
4.評価実験
次に、本実施形態の効果を確認するために、本実施形態に従う上記構成の実施例1、及び下記の構成の比較例1について、下記の実験を行った。
<比較例1>
図4は、比較例1の現像ユニット4における現像室15内を拡大して示す概略断面図である。比較例1では、現像ユニット4に保持補助部材88が設けられていない。保持補助部材88が設けられていないことを除いて、比較例1の現像ユニット4、プロセスカートリッジ7及び画像形成装置100の構成及び動作は、実施例1と同じである。なお、比較例1についても、実施例1のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
<実験内容>
ベタ画像の濃度安定性の評価として、高印字プリント(ベタ画像)を連続して行った際の画像濃度低下量を測定した。評価は、画像形成装置100を低温低湿条件の環境下(温度15.0℃、湿度10%Rh)に1日放置して当該環境になじませた後、画像比率5%の横線の画像を連続的に1000枚印字した後に行った。具体的には、評価画像としてベタ画像を連続10枚出力し、10枚目のベタ画像の搬送方向の先端と後端の濃度差をX−Rite製spectordensitometer 500を用いて測定し、下記の基準で評価した。なお、1000枚の印字及び評価画像の出力は単色(黒)で行った。また、画像形成装置100のプロセススピードを変更して同様の実験を行った。プロセススピードは330mm/sec、250mm/sec、200mm/sec、100mm/secの4水準に変更した。
ここで、画像形成装置100のプロセススピードは、感光体ドラム1の周速度で代表される。本実施形態の構成では、感光体ドラム1の周速度と現像ローラ17の周速度とは略等速である。そして、プロセススピードによらず、現像ローラ17の回転速度と供給ローラ20の回転速度との比(本実施形態では供給ローラ20の回転速度は現像ローラ17の回転速度の2倍)は一定となるように設定した。また、プロセススピードによらず、供給ローラ20の回転速度と保持補助部材88の回転速度とは略等速になるように設定した。
○:ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.1未満
△:ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.1〜0.3未満
×:ベタ黒画像において、紙先端と紙後端での濃度差が0.3以上
<実験結果>
各例の評価結果を後掲表1に示す。
比較例1では、プロセススピードが上昇するにつれてベタ画像の濃度安定性が低下した。これは、プロセススピードの上昇に伴って供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側での供給ローラ20のトナー保持量が低下したたであると考えられる。
これに対し、実施例1では、プロセススピードによらず安定したベタ画像を出力することが可能であった。これは、保持補助部材88を配置したことにより、プロセススピードが上昇しても供給ローラ20のトナー保持量の低下が生じなかったためであると考えられる。
このように、本実施形態によれば、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側、すなわち、供給ローラ20によるトナーの吸い込みが行われる領域の近傍に保持補助部材88を配置する。そして、供給ローラ20の回転方向におけるニップ部Nの下流側の供給ローラ20によるトナーの吸い込みが行われる領域に安定してトナーを搬送する。これにより、供給ローラ20の回転速度が上昇しても、供給ローラ20のトナー保持量が低下するのを抑制して、結果的に供給ローラ20によるニップ部Nへのトナーの供給を安定して行うことが可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、供給ローラ20よりも下方にトナーの収容部18aが配置された構成において、供給ローラ20から現像ローラ17に安定して現像剤を供給することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置の基本的な構成及び動作は、第1の実施形態のものと同じである。したがって、本実施形態において第1の実施形態のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
1.本実施形態の構成
図6は、本実施形態の現像ユニット4における現像室15内を拡大して示す概略断面図である。本実施形態では、供給ローラ20と現像ローラ17とは、ニップ部Nにおいて各々の表面が逆方向に移動するように、それぞれ回転駆動される。本実施形態では、供給ローラ20はニップ部Nにおいてその表面が下方から上方に向けて移動するように回転駆動され(矢印J方向)、現像ローラ17はニップ部Nにおいてその表面が上方から下方に向けて移動するように回転駆動される(矢印D方向)。つまり、現像ローラ17の回転方向は第1の実施形態と同じであるが、供給ローラ20の回転方向が第1の実施形態と異なる。
また、本実施形態では、現像室15の内部の現像ローラ17及び供給ローラ20の下方(すなわち、ニップ部Nの下方)の領域(空間)である第2の貯留部15b内に、攪拌部材25が配置されている。つまり、本実施形態では、現像室15の内部において、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの上流側に、第2の貯留部内の現像剤を攪拌する攪拌部材25が配置されている。攪拌部材25は、攪拌支持軸25aと、攪拌支持軸25aに取り付けられた攪拌部25aと、を有して構成され、供給ローラ20に対向して配置されている。攪拌支持軸25aは、長手方向の両端部が現像枠体16に回転可能に支持されていると共に、長手方向の中央部が攪拌支持軸25aの回転中心よりも回転半径方向外側に位置するクランク形状を有する。典型的には、攪拌支持軸25aの回転中心は、供給ローラ20の回転中心を通る鉛直線と現像ローラ17の回転中心を通る鉛直線との間に位置し、特に本実施形態ではニップ部Nのほぼ真下に位置する。攪拌部25bは、攪拌支持軸25aの回転軸線方向の略全域にわたって延在する連続したシート(板状部材)である。そして、攪拌部25bは、攪拌支持軸25aの回転軸線方向と略直交する方向(回転半径方向)の一端部が、攪拌支持軸25aの長手方向の中央部(攪拌支持軸25aの回転中心に対する偏心位置)に、回動可能に連結されている。これにより、攪拌部25bは、攪拌支持軸25aの回転に連動して揺動する。本実施形態では、攪拌支持軸25aは、供給ローラ20の回転方向において、攪拌部25bの下流側に位置する。これによって、供給ローラ20の回転方向において上流側よりも下流側において、攪拌部25bの動きを大きくすることができる。
また、本実施形態では、現像室15の内部の現像ローラ17及び供給ローラ20の上方(すなわち、ニップ部Nの上方)の領域(空間)である第1の貯留部15a内に、保持補助部材88が配置されている。つまり、本実施形態では、現像室15の内部において、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側に、第1の貯留部内のトナーをニップ部Nに向けて移動させる保持補助部材88が配置されている。なお、保持補助部材88の構成、配置(現像ローラ17、供給ローラ20に対する配置関係)、回転方向(供給ローラ20の回転方向に対する回転方向)、回転速度は第1の実施形態と同じである。
2.トナーの流れ
次に、図6を参照して、本実施形態における現像室15内のトナーの流れについて説明する。
収容室18に収容されたトナーは、搬送部材22によって図中矢印Gで示す飛跡で跳ね上げられる。そのトナーの大部分は、現像室15の内部において、供給ローラ20の上方、並びに、現像ローラ17及び供給ローラ20の上方(すなわち、ニップ部Nの上方)の領域(空間)である第1の貯留部15aに供給される。本実施形態では、第1の貯留部15aは、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側に位置する。供給ローラ20は、ニップ部Nを通過した瞬間に、現像ローラ17との圧接状態から解放される。この時、供給ローラ20は、その表層に発泡体層20bを有するため、第1の貯留部15a内に存在するトナーをその内部に吸い込むことが可能である。
また、本実施形態では、供給ローラ20は、図中矢印J方向で示すように、開口部30a(図2参照)との対向部において表面が上方から下方へ移動する方向に回転する。すなわち、供給ローラ20は、開口部30aから現像室15に供給されたトナーを、仕切り部材30に沿って下方に向けて取り込むように回転する。これにより供給ローラ20は、その内部に保持したトナー共に、現像室15に供給されたトナーを、現像室15の内部の現像スリーブ17及び供給ローラ20の下方(すなわち、ニップ部Nの下方)の領域(空間)である第2の貯留部15bに向けて搬送する。第2の貯留部15bには、攪拌部材25が配置されている。攪拌部材25の攪拌支持軸25aが図中矢印K方向に回転することで、第2の貯留部15b内に存在するトナーは、攪拌部材25の攪拌部25bにより供給ローラ20へ押し付けられる。これにより、供給ローラ20へのトナー供給量を増やして、ニップ部Nへのトナー供給量を増やすことができる。
供給ローラ20の回転によりニップ部Nに搬送されたトナーは、現像ローラ17と供給ローラ20との摺擦によって電荷が与えられる。電荷をもったトナーの一部はその電荷によって現像ローラ17に静電吸着する。このようにして、供給ローラ20から現像ローラ17へとトナーが供給される。そして、現像ローラ17に供給されたトナーの一部は、現像ブレード21によってその層厚が規制されると共に摩擦帯電される。これにより、現像ローラ17上に所望の層厚のトナーコートが形成される。
また、現像ブレード21により規制されて現像ローラ17に担持されなくなったトナーは、重力によって落下し、第2の貯留部15bに収容(貯留)される。また、供給ローラ20は、現像ローラ17とのニップ部Nの直前において圧縮変形し、その変形によって供給ローラ20の表面及び内部に溜まっていたトナーの一部が吐き出される。この吐き出されたトナーも、第2の貯留部15bに収容(貯留)される。
3.評価実験
次に、本実施形態の効果を確認するために、本実施形態に従う上記構成の実施例2、及び下記の構成の比較例2について、第1の実施形態で説明したものと同様の実験を行った。
<比較例2>
図7は、比較例2の現像ユニット4における現像室15内を拡大して示す概略断面図である。比較例2では、現像ユニット4に保持補助部材88が設けられていない。保持補助部材88が設けられていないことを除いて、比較例1の現像ユニット4、プロセスカートリッジ7及び画像形成装置100の構成及び動作は、実施例2と同じである。なお、比較例2についても、実施例2のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
<実験内容>
評価実験の内容は、第1の実施形態で説明したものと同じである。
<実験結果>
各例の評価結果を後掲表1に示す。
比較例1では、プロセススピードが上昇するにつれてベタ画像の濃度安定性が低下した。また、比較例2では、プロセススピードが速くなるにつれて、前述の比較例1よりもベタ画像の濃度安定性が低下する傾向があることがわかった。これは、次のような理由によるものと考えられる。つまり、比較例2における第1の貯留部15a内のトナーは、比較例1における第2の貯留部15b内のトナーよりも、プロセススピードの上昇に伴って図中矢印F方向(ニップ部Nから上方に向かう方向)に散乱されやすくなる。そのため、比較例2では、比較例1よりも供給ローラ20がトナーを含み難くなるものと考えられる。
これに対し、実施例2では、保持補助部材88を配置したことにより、実施例1と同様に、プロセススピードによらず安定したベタ画像を出力することが可能であった。
以上のように、本実施形態によれば、供給ローラ20の回転速度の上昇に伴う供給ローラ20のトナー保持量の低下が生じやすい構成においても、第1の実施形態と同様に供給ローラ20から現像ローラ17に安定して現像剤を供給することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置の基本的な構成及び動作は、第1、第2の実施形態のものと同じである。したがって、本実施形態において第1、第2の実施形態のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
1.本実施形態の構成
図8は、本実施形態の現像ユニット4における現像ローラ17及び供給ローラ20の近傍を拡大して示す概略断面図である。本実施形態の現像ユニット4は、第2の実施形態の現像ユニット4と概略同様の構成を有するが、以下で説明するように仕切り部材30、攪拌部材25が設けられておらず、貯留部材99が設けられている点が第2の実施形態の現像ユニット4と異なる。
つまり、重力に反して現像剤を現像剤担持体などへ供給する場合において、現像剤担持体の近傍とトナーの収容部との間のトナーの循環性を向上するためには、現像室と収容室との間を隔てる仕切り部材30を設けない構成が望ましい。特に、供給部材の下方、すなわち供給部材と現像剤担持体とのニップ部の下方で現像室と収容室との間を隔てる仕切り部材は設けない構成が望ましい。換言すれば、現像剤担持体に担持されなくなり現像剤担持体から落下した現像剤が収容部へ移動するのを遮る部材は設けられていない構成が望ましい。
そこで、本実施形態では、現像ユニット4は、第2の実施形態における現像室15と収容室18との間を隔てる仕切り部材30が設けられていない構成とされている。つまり、本実施形態では、現像ユニット4は、現像枠体16で構成される実質的に一つの容器内の下方にトナーの収容部18aが形成される。そして、その収容部18aから第2の実施形態と同様にして供給ローラ20に向けて搬送されたトナーは、第1の貯留部15aに貯留される。一方、供給ローラ20と現像ローラ17の下方の領域(空間)では、主に現像ブレード21により規制されて現像ローラ17から落下したトナーが、仕切り部材によって遮られることなく収容部18aへ戻される。このように、本実施形態では、第2の貯留部15b、及び第2の貯留部15b内の攪拌部材25が無い。
一方、本実施形態では、ニップ部Nの上方に貯留部材99が配置されている。特に、本実施形態では、貯留部材99は、その下端を供給ローラ20の上端に対向させ、供給ローラ20との間に所定の間隔(距離)を開けて近接して配置されている。なお、貯留部材99は、供給ローラ20に接触させてもよい。また、本実施形態では、貯留部材99の長手方向(現像ローラ17、供給ローラ20の回転軸線方向)の長さは、現像枠体16の同方向の両端の内壁間の長さ全体にわたる。ただし、貯留部材99の長手方向の長さは、上記内壁間の長さより短くてもよく、その場合、上記内壁間の中央部を含む範囲に配置することが望ましい。また、貯留部材99の上端は、現像枠体16の上部の内壁までは達しておらず、搬送部材22によって搬送されるトナーが貯留部材99の上端を超えて、ニップ部Nの上方へと供給されることが可能となっている。本実施形態では、貯留部材99として、プラスチック製の板を用いた。このように、貯留部材99は、供給ローラ20の回転方向においてニップ部Nの下流側で供給ローラ20に近接又は接触して配置される。そして、貯留部材99は、第1の貯留部内のトナーの供給ローラ20の回転方向への移動の少なくとも一部を遮る。貯留部材99は、これが設けられていない場合よりも第1の貯留部15aに貯留するトナー量を増加させることができる。貯留部材99の材質や形状は、本実施形態のものに限定されるものではなく、第1の貯留部15aにトナーを堆積させることが可能な構成であればよい。
そして、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、第1の貯留部15a内に保持補助部材88が配置されている。なお、保持補助部材88の構成、回転方向、回転速度は第2の実施形態と同じである。
2.評価実験
次に、本実施形態の効果を確認するために、本実施形態に従う上記構成の実施例3、及び下記の構成の比較例3について、第1の実施形態で説明したものと同様の実験を行った。
<比較例3>
図9は、比較例3の現像ユニット4における現像ローラ17及び供給ローラ20の近傍を拡大して示す概略断面図である。比較例3では、現像ユニット4に保持補助部材88が設けられていない。保持補助部材88が設けられていないことを除いて、比較例3の現像ユニット4、プロセスカートリッジ7及び画像形成装置100の構成及び動作は、実施例3と同じである。なお、比較例3についても、実施例3のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
<実験内容>
評価実験の内容は、第1の実施形態で説明したものと同じである。
<実験結果>
各例の評価結果を後掲表1に示す。
比較例1では、プロセススピードが上昇するにつれてベタ画像の濃度安定性が低下した。また、比較例3では、プロセススピードが速くなるにつれて、前述の比較例1や比較例2よりもベタ画像の濃度安定性が低下する傾向があることがわかった。これは、次のような理由によるものと考えられる。つまり、比較例3における第1の貯留部15a内のトナーは、比較例1における第2の貯留部15b内のトナーよりも、プロセススピードの上昇に伴って図中矢印F方向(ニップ部Nから上方に向かう方向)に散乱されやすくなる。そのため、比較例3では、比較例1よりも供給ローラ20がトナーを含み難くなるものと考えられる。また、比較例3では、第2の貯留部15bが無く、供給ローラ20がトナーに触れる表面積が比較例2と比較して大幅に減少している。そのため、第1の貯留部15aでのトナー保持量の低下によるニップ部Nへのトナーの搬送量の低下が、比較例2よりも顕著となるものと考えられる。
これに対し、実施例3では、保持補助部材88を配置したことにより、実施例1及び実施例2と同様に、プロセススピードによらず安定したベタ画像を出力することが可能であった。
以上のように、本実施形態によれば、供給ローラ20の回転速度の上昇に伴う供給ローラ20のトナー保持量の低下が生じやすい構成においても、第1の実施形態と同様に供給ローラ20から現像ローラ17に安定して現像剤を供給することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、カラー画像形成が可能な画像形成装置を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、モノクロ画像形成が可能な画像形成装置であっても同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複写機、ファクシミリ装置などの他の画像形成装置、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機などの他の画像形成装置であっても同様の効果を得ることができる。また、記録材担持体を使用し、記録材担持体に担持された記録材に各色のトナー像を順次重ね合わせて転写する画像形成装置であっても同様の効果を得ることができる。