JP3839291B2 - ガラス成形品のプレス成形方法及びプレス成形機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスのプレス成形に用いるガラス成形品のプレス成形方法及びプレス成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、間欠回転するターンテーブルにガラス用成形金型の複数の底型を配置し、ゴブ供給位置でガラスゴブを供給し、またプレス成形位置でガラス用成形金型の可動型をプランジャ装置で往復動させてガラス製品を成形し、さらに排出位置でガラス製品を排出させるガラス用プレス成形機がある。
【0003】
こうしたガラス用プレス成形機では、底型にガラスゴブを供給し、プレス成形によってガラス製品を形成する際、底型の内底部とガラスゴブの間に空気溜りが生じ、隅々までガラスが行き渡らない状態が生じる。このため、このような状態を回避すべく、底型にその内底部から空気を逃がす間隙を設けるようにしていた。しかし、ガラスをガラス用成形金型の可動型で押し込んで行く過程で、常に全部の空気を追い出してしまうことが難しく、押ししわや空気溜り等によりガラス製品が成形不良となってしまう虞があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところはガラス用成形金型の底型に供給されたガラスゴブと底型内底部との間の空気を逃がし、可動型で押し込んで行く成形過程で、押ししわや空気溜り等が生じるのを抑制して成形不良を低減することが可能であると共に、成形されたガラスの離型と、文字形成を要するものでのくっきりした文字の形成とが可能なガラス成形品のプレス成形方法及びプレス成形機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のガラス成形品のプレス成形方法及びプレス成形機は、ガラス成形品のプレス成形方法が、内底部に開口する少なくとも1つの空気抜きを有すると共に、該空気抜きに連通する中空部と底型外部とを連通する連通部材を備えた凹形状の底型を、間欠回転するターンテーブルに複数配置し、該底型にガラスゴブを供給してプレス成形を行うガラス成形品のプレス成形方法において、前記底型にガラスゴブを供給する工程と、プランジャ装置により前記ガラスゴブをプレス成形する工程と、前記プレス成形する工程の後に、前記連通部材に圧縮空気供給装置を気密に取り付け、前記底型と成形されたガラス成形品の間に圧縮空気を送出する工程とを具備することを特徴とする方法であり、
また、内底部に開口する少なくとも1つの空気抜きを有すると共に、該空気抜きに連通する中空部と底型外部とを連通する連通部材を備えた凹形状の底型を、間欠回転するターンテーブルに複数配置し、該底型にガラスゴブを供給してプレス成形を行うガラス成形品のプレス成形方法において、前記底型にガラスゴブを供給する工程と、前記連通部材に真空装置を気密に取り付け、前記底型を真空引きする工程と、プランジャ装置により前記ガラスゴブをプレス成形する工程と、前記プレス成形する工程の後に、前記連通部材に圧縮空気供給装置を気密に取り付け、前記底型と成形されたガラス成形品の間に圧縮空気を送出する工程とを具備することを特徴とする方法であり、
またガラス用プレス成形機が、ガラス用成形金型の可動型を往復動させるプランジャ装置と、前記ガラス用成形金型の複数の底型が所定間隔で同一円周上に設置され間欠的に回転するターンテーブルとを備え、前記底型に供給されたガラスゴブによってプレス成形を行うガラス用プレス成形機において、前記底型が、その内底部に開口する少なくとも1つの空気抜きと、該空気抜きに連通する中空部と、この中空部と底型外部とを連通する連通部材とを備えると共に、前記ターンテーブルの回転によりプレス成形位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部を所定時間真空引きし、その後に取り外す真空装置と、前記ターンテーブルの回転により排出位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部に圧縮空気を所定時間供給し、その後に取り外す圧縮空気供給装置とを備えていることを特徴とするものであり、
さらに、前記空気抜きは、前記内底部と前記中空部とを連通する貫通孔を前記底型に形成すると共に、前記貫通孔に所定形状の間隙を形成する底部形成部材を嵌め込むことによって形成されていることを特徴とするものであり、
また、ガラス用成形金型の可動型を往復動させるプランジャ装置と、前記ガラス用成形金型の複数の底型が所定間隔で同一円周上に設置され間欠的に回転するターンテーブルとを備え、前記底型に供給されたガラスゴブによってプレス成形を行い、光源を取り付けるネック部を有する照明用リフレクタを成形するガラス用プレス成形機において、前記底型は、前記照明用リフレクタの背面部分を形成するものであって、その凹状底部に形成された貫通孔と、この貫通孔に前記ネック部の成形部分を形成するよう取り付けられた底部形成部材と、この底部形成部材の取り付けによって形成された中空部及びこの中空部と前記底部内とを連通する所定形状の間隙よりなる空気抜きと、前記中空部と底型外部とを連通する連通部材とを備えると共に、前記ターンテーブルの回転によりプレス成形位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部を所定時間真空引きし、その後に取り外す真空装置と、前記ターンテーブルの回転により排出位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部に圧縮空気を所定時間供給し、その後に取り外す圧縮空気供給装置とを備えていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0007】
先ず第1の実施形態を図1乃至図7により説明する。図1はガラス用成形金型の底型を示す断面図であり、図2はガラス用プレス成形機の要部を示す側面図であり、図3はターンテーブルの上面図であり、図4はガラス用プレス成形機の部分側面図であり、図5は照明用リフレクタを形成するリフレクタ用成形品の断面図であり、図6は照明用ランプの断面図であり、図7はガラス用成形金型の底型の変形形態を示す断面図である。
【0008】
図1乃至図7において、1はガラス用のプレス成形機で、基台2上にはターンテーブル3が、回転中心Oを中心に駆動部4によって、実線矢印Xで示す方向に間欠的に回転するよう設けられている。ターンテーブル3には、図5及び図6に示すランプ5のリフレクタ6を形成するためのリフレクタ用成形品7を成形するガラス用成形金型8の8個の底型9が、同一円周P上に等間隔で配置されており、ターンテーブル3の間欠的な回転によって、順次底型9がゴブ供給位置Q、プレス成形位置R、排出前位置S、排出位置Tに所定時間止まるようにしながら回転し、リフレクタ用成形品7を自動的に連続して成形するようになっている。
【0009】
また、ゴブ供給位置Qには、図示しないガラスゴブ供給装置が配置されていて、ゴブ供給位置Qに回転してきた略椀形状をなす底型9にガラスゴブを供給するようになっている。またプレス成形位置Rには、後述するプランジャ装置10と真空装置11が配置されており、このプレス成形位置Rに回転してきた底型9内のガラスゴブのプレス成形を実施するようになっている。
【0010】
さらに排出前位置Sには、図示しない圧縮空気供給装置が配置されていて、排出前位置Sに回転してきた底型9に圧縮空気を供給して成形されたリフレクタ用成形品7を底型9から離型させるようになっている。またさらに排出位置Tには、図示しない取出し装置が配置されていて、排出位置Tに回転してきた底型9からリフレクタ用成形品7を取り出すようになっている。
【0011】
そして、プレス成形位置Rに配置されたプランジャ装置10は、基台2に立設された支柱12によって据え付けられたプレス機構で、支柱12に固定されたアーム13に取り付けられたシリンダ14によって駆動軸15を往復動させることにより、軸下端に設けられた可動部16が、左右に設けられたガイド軸17に沿って上下方向に進退するようになっている。また可動部16の下部には、リフレクタ6の反射面を形成する回転放物面を主に成形する略凸形状をなす上型18と、リング型19とで構成されるガラス用成形金型8の可動型20が取り付けられており、プレス成形位置Rに回転してきた底型9の直上で上下方向に往復動し、可動型20が最下点に位置したときに底型9との間にリフレクタ用成形品7の形成空所21が形成される。
【0012】
また、ターンテーブル3上に複数配置された略椀形状の底型9は、底型本体22にリフレクタ6の背面部分を主に成形する凹形状部23と、その内底部に形成された貫通孔24を介して連通する下方に開口する空所25とを設けて構成されている。そして、貫通孔24には、これを下方側から閉塞すると共に、凹形状部23と空所25とを所定形状の間隙26により連通させる連通孔27を有する底部形成部材28が、底型本体22にねじ29によって固着されている。
【0013】
すなわち、底部形成部材28は、貫通孔24に略同径の外径を有して係合する係合部28aと、これより大径のフランジ部28bとからなる栓形状のもので、係合部28aの側面とフランジ部28bの上面には、溶融ガラスによって塞がれてしまわない程度の間隙26を形成する、例えば0.2mmの幅の溝28cが刻設されており、またフランジ部28bには、溝28cに連通するように連通孔27が穿設されており、さらに底型本体22にねじ29によって固着するための固着孔が穿設されている。
【0014】
さらに、下方に開口する空所25には、下方開口部分を閉塞するように閉塞板30が同じくねじ31で固着されている。これにより空所25の上部、貫通孔24側の部分に、円柱状空間の中空部32が形成され、中空部32は、間隙26と連通孔27でなる空気抜きにより凹形状部23と連通したものとなっている。
【0015】
またさらに、底型本体22には、その側部を水平方向に貫通して中空部32内に連通するよう管状の連通部材33が装着されており、この連通部材33によって中空部32と底型9外部とが連通している。そして、底型本体22の側部から延出する連通部材33の先端部34は、真空装置11の接続部35が着脱可能なものとなっている。
【0016】
一方、プレス成形位置Rに配置された真空装置11は、例えばエアシリンダを備える進退駆動部36の水平方向に両矢印Yで示すように進退する駆動部材37の先端部分に接続部35が設けられており、接続部35の先端面38には内部に形成された通気孔39の片端が開口し、側部に他端が開口している。そして、通気孔39の側部の開口部分には、通気管40の片端が取着されており、通気管40の他端側に挿入された真空ポンプ41を作動させることで、通気孔39を介しての真空引きが行えるようになっている。
【0017】
なお、排出前位置Sに配置されている圧縮空気供給装置は、真空装置11の真空ポンプ41を、圧縮空気源に置き換えたものと略同様の構成を有するもので、図示しないが、次のように構成されている。圧縮空気供給装置は、進退駆動部の水平方向に進退する駆動部材の先端部分に接続部が設けられており、接続部の先端面には内部に形成された通気孔の片端が開口し、側部に他端が開口している。そして、通気孔の側部の開口部分には、通気管の片端が取着されており、通気管の他端側に挿入された圧縮空気源を作動させることで、通気孔を介して圧縮空気の送出が行えるようになっている。
【0018】
以上のように構成されたガラス用成形金型8を備えるプレス成形機1でのリフレクタ用成形品7の成形は、次のようにして行われる。すなわち、ターンテーブル3を間欠的に回転させた状態で、先ずゴブ供給位置Qに位置した底型9の凹形状部23内に、所定時間止まっている間にガラスゴブ供給装置から所定量のガラスゴブが供給される。
【0019】
その後、ターンテーブル3は回転し、ガラスゴブが供給された底型9がプレス成形位置Rに位置すると、真空装置11の駆動部材37の先端部分に設けられた接続部35が進出し、その先端面38が、底型9に設けられた連通部材33の先端部34の先端面に圧接する。これにより、連通部材33に真空装置11が気密に取り付けられ、通気孔39と底型9の中空部32が連通部材33を介して連通する。このような状態で真空装置11を作動させると、中空部32内が真空引きされ、さらに底型9の凹形状部23に供給されたガラスゴブと内底面との間に、閉じ込められるなどして残されている空気が、間隙26及び連通孔27を介して吸い出される。
【0020】
この真空装置11の作動とほぼ同時にプランジャ装置10が作動し、駆動軸15が進出することで可動部16が下降を開始し、ガラス用成形金型8の可動型20が下降する。そして、リング型19が底型9の上面に圧接すると共に上型18が最下点に達することで、ガラスゴブが可動型20と底型9との間の形成空所21内に広がり、プレス成形される。成形後、駆動軸15が後退し、可動部16が上昇して可動型20が底型9から離れる。
【0021】
このようにプレス成形位置Rに所定時間止まって、真空引き、プレス成形が行なわれた後、ターンテーブル3が間欠的に回転してプレス成形されたガラスが載せられたままの底型9が、排出前位置Sに位置すると、図示しないが圧縮空気供給装置の駆動部材先端部分に設けられた接続部が進出し、その先端面が、底型9に設けられた連通部材33の先端部34の先端面に圧接する。これにより、連通部材33に圧縮空気供給装置が気密に取り付けられ、通気孔と底型9の中空部32が連通部材33を介して連通する。
【0022】
このような状態で圧縮空気供給装置を作動させると、中空部32内に圧縮空気が送出され、さらに底型9の凹形状部23に載っているプレス成形されたガラスと内底面との間に、連通孔27、間隙26を介して圧縮空気が送り込まれ、プレス成形されたガラス、すなわち、リフレクタ用成形品7が浮き上げられて離型し、底型9に載ったままの状態で圧縮空気により冷却される。
【0023】
続いて、所定時間経過後、ターンテーブル3は回転し、離型状態のリフレクタ用成形品7が載っている底型9が排出位置Tに位置すると、ここに配置された取出し装置が作動し、底型9に載った図5に示すリフレクタ用成形品7をプレス成形機1から取り出す。
【0024】
こうしてプレス成形機1での成形が行われたリフレクタ用成形品7は、そのネック部42の底部43に、例えばハロゲン電球等の光源44を取着するための2つの取着孔45が穿設され、さらに、図示しないが凹形状の回転放物面に所定の反射膜46を成膜して反射面が形成される等してリフレクタ6となる。そして、取着孔45に光源44の端子47に挿通させ、接着剤48で固定することで、ネック部42に光源44が取着され、また、リフレクタ6の前面開口49に前面ガラス50を固着することによって、ハロゲン電球等を備えたランプ5が形成される。
【0025】
以上の通り構成することによって、リフレクタ用成形品7を成形する際にプレス成形動作とほぼ同時に真空引きすることによって、底型9の凹形状部23の内底面との間の空気を排出することができ、リフレクタ用成形品7の押しじわや空気溜りによる成形不良の発生を防止することができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、連通する底型9下部の貫通孔24と空所25を、それぞれ係合部28aとランジ部28bとからなる栓形状の底部形成部材28と閉塞板30によって閉塞し、その間の空所25に円柱状空間の中空部32を設けるようにしているが、図7に示す変形形態のように構成してもよい。
【0027】
すなわち、上記実施形態と同一部分には同一符号を付して示す図7において、ターンテーブル3上に複数配置される略椀形状の底型51は、凹形状部23と、これと貫通孔24を介して連通する空所25とを設けて底型本体22が構成されており、貫通孔24と空所25には、底部形成部材52が下方側からそれぞれの対応部分が嵌め込まれるようにして、底型本体22にねじ53によって固着されている。そして、底部形成部材52の取り付けにより、空所25の内壁部分に沿って環状の中空部54が形成され、また貫通孔24は凹形状部23と中空部54とを所定形状の間隙26により連通するようにして閉塞される。
【0028】
このように貫通孔24と空所25に設けられる底部形成部材52は、貫通孔24に略同径の外径を有して係合する係合部52aと、これより大径で空所25より小径の中間部52bと、空所25の下方開口部分より大径のフランジ部52cを有するもので、係合部52aの側面と中間部52bの上面に、溶融ガラスによって塞がれてしまわない程度の間隙26を形成する、例えば0.2mmの幅の溝52dが刻設されている。またフランジ部52cには、底型本体22にねじ53によって固着するための固着孔が穿設されている。このため、中空部54と底型本体22の凹形状部23とは、溝52dで形成される間隙26による空気抜きよって連通したものとなる。また底型本体22の凹形状部23と底型51の外部とが、底型本体22の側部に装着された連通部材33を介して連通する。
【0029】
そして、このような底型51と、上型18とリング型19でなる可動型20によってリフレクタ用成形品7をプレス成形するガラス用成形金型55が構成されるので、このようなガラス用成形金型55をプレス成形機1に装着してプレス成形を行うことにより、本変形形態においても上記実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0030】
なお、上記の実施形態及び変形形態における底部形成部材28,52及び閉塞板30のねじ固定部分については、底型本体22との間に、例えばOリング等の気密部材を設け、より気密な取り付けを実現することもできる。
【0031】
また、上記リフレクタ用成形品においては、ハロゲン電球等の光源44の電極端子を挿通させるために、底部43に2つの取着孔45を穿設していたが、底部43を完全に切除して取着孔45を形成してもよい。この場合、万が一プレス成形時に間隙26によるバリが発生したとしても、切除により取り除くことができ製品に残らない利点がある。
【0032】
次に、プレス成形するガラス製品がガラス食器である場合の第2の実施形態を、図8乃至図10により説明する。図8はガラス用成形金型の底型を示す断面図であり、図9はガラス用成形金型の底型の一部を示す部分拡大断面図であり、図10はガラス用成形金型の底型の上面図である。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して示すと共に、プレス成形に用いるガラス用プレス成形機も、上記の第1の実施形態におけるものと同様構成であるため同一符号を付し、以下に説明する。
【0033】
図8乃至図10において、61は、図示しない所定形状のガラス食器を成形するガラス用成形金型62の略椀形状をなす底型であり、このガラス食器外面を成形する底型61と、ガラス食器内面を成形する上型63とリング型64でなる可動型65とでプレス成形を行う。また底型61は、ガラス用のプレス成形機1のターンテーブル3上に、等間隔で8個同一円周P上に配置されており、ターンテーブル3の間欠的な回転によって、ゴブ供給位置Q、プレス成形位置R、排出前位置S、排出位置Tに順次所定時間止まるようにしながら回転し、ガラス食器を自動的に連続して成形するようになっている。
【0034】
そしてゴブ供給位置Qでは、ガラスゴブ供給装置から回転してきた底型61にガラスゴブを供給するようなっている。またプレス成形位置Rでは、回転してきた底型61に真空装置11が接続され、真空引きが行なわれる。さらにプランジャ装置10の可動部16に取り付けられた可動型65が上下方向に進退することによって底型61内のガラスゴブのプレス成形が行なわれる。
【0035】
さらに排出前位置Sでは、回転してきた底型61に圧縮空気供給装置が接続され、圧縮空気の供給が行なわれて成形されたガラス食器が底型61から浮き上げられて離型する。またさらに排出位置Tでは、配置されている取出し装置により、回転してきた底型61からガラス食器を取り出すようになっている。
【0036】
また、ターンテーブル3上に複数配置された底型61は、ガラス食器の外面部分を成形する凹形状部66を有する略椀形状の底型上本体67と、この底型上本体67が、間に空部68を設けてその凹形状部69内に組み合わせられ、図示しないが鍔部をねじ止め等により締結される、同じく略椀形状の底型下本体70とを備えて構成されている。そして底型下本体70は、凹形状部69とその内底部に形成された底孔71を介して連通する下方に開口した空所72が設けられている。さらに下側部には、外側面と空所72内に開口する水平方向の挿入孔73が形成されている。
【0037】
一方、底型上本体67は、凹形状部66の内底部同一円周上に開口するよう、図8に長円部Aで示し、その長円部Aを図9に拡大して示すように、例えば直径2.7mmの6個の貫通孔74が穿設されており、貫通孔74内には、成形後のガラス食器表面にばりが残らないよう、例えば周囲に0.05mm程度の挟い空気抜きの間隙75が形成されるように、ガラス流出止めピン76が挿着されている。なお、ガラス流出止めピン76の上端は凹形状部66の表面に滑らかにつながるよう形成されている。そして、これによって、底型上本体67と底型下本体70との間の空部68と、底型上本体67の凹形状部66とは、間隙75を介して連通する。
【0038】
さらに、底型上本体67は、凹形状部66の内底部中央部分の文字刻設部に、例えば内底部側の小径部分の直径が0.65mmで、外底部側の大径部分の直径が10mmに形成された空気抜きである連通孔77が穿設されている。また、底型上本体67の外底部中央部分には、連通孔77の外底部側が開口するようにして中空部78が形成されるよう、一端が閉塞された筒状部材79が固着されている。
【0039】
またさらに、筒状部材79の側壁部に形成された装着孔80には、底型下本体70の挿入孔73に挿入され貫通するように設けられた連通部材33の他端部が固定されている。これにより、底型上本体67の凹形状部66は、連通孔77を介して筒状部材79の中空部78と連通し、さらに先端部34が真空装置11の接続部35に着脱可能に接続される連通部材33と連通する。
【0040】
以上のように構成されているので、ガラス食器の成形は、ガラス用成形金型62を図示しないがプレス成形機1に装着することで、上記の第1の実施形態と同様にして行なわれる。すなわち、ターンテーブル3を間欠的に回転させた状態で、先ずゴブ供給位置Qに位置した底型61の底型上本体67の凹形状部66内に、所定時間止まっている間にガラスゴブ供給装置から所定量のガラスゴブが供給される。この時、ガラスゴブと凹形状部66と内底面との間の空気は、一部が貫通孔74部分の間隙75を介して底型上本体67と底型下本体70との間の空部68に追い出され、ガラスゴブが内底面に密着する。
【0041】
その後、ターンテーブル3は回転し、ガラスゴブが供給された底型61がプレス成形位置Rに位置すると、真空装置11の駆動部材37の先端部分に設けられた接続部35が進出し、その先端面38が、底型61に設けられた連通部材33の先端部34の先端面に圧接する。これにより、連通部材33に真空装置11が気密に取り付けられ、通気孔39と底型61の中空部78が連通部材33を介して連通する。このような状態で真空装置11を作動させると、中空部78内が真空引きされ、さらに底型61の底型上本体67の凹形状部66に供給されたガラスゴブと内底面との間に、排出されずに閉じ込められるなどして残されている空気が、連通孔77を介して吸い出され、ガラスゴブは凹形状部66の内面に密着する。
【0042】
このようにガラスゴブが凹形状部23に密着した後、続いてプランジャ装置10が作動し、駆動軸15が進出することで可動部16が下降を開始し、ガラス用成形金型62の可動型65が下降する。そして、リング型64が底型61の上面に圧接すると共に上型63が最下点に達することで、ガラスゴブが可動型65と底型61との間のガラス食器形成空所内に広がり、ガラス食器がプレス成形される。成形後、駆動軸15が後退し、可動部16が上昇して可動型65が底型61から離れる。
【0043】
このようにプレス成形位置Rに所定時間止まって、真空引き、ガラス食器のプレス成形が行なわれた後、ターンテーブル3が間欠的に回転してプレス成形されたガラス食器が載せられたままの底型61が、排出前位置Sに位置すると、圧縮空気供給装置の駆動部材先端部分に設けられた接続部が進出し、その先端面が、底型9に設けられた連通部材33の先端部34の先端面に圧接する。これにより、連通部材33に圧縮空気供給装置が気密に取り付けられ、通気孔と底型61の中空部78が連通部材33を介して連通する。
【0044】
このような状態で圧縮空気供給装置を作動させると、中空部78内に圧縮空気が送出され、さらに底型61の底型上本体67の凹形状部66に載っているプレス成形されたガラス食器と内底面との間に圧縮空気が連通孔77を介して送り込まれ、プレス成形されたガラス食器が浮き上げられて離型し、さらに底型61に載ったままの状態で圧縮空気により冷却される。
【0045】
続いて、所定時間経過後、ターンテーブル3は回転し、離型状態のガラス食器が載っている底型61が排出位置Tに位置すると、ここに配置された取出し装置が作動し、底型61に載ったガラス食器がプレス成形機1から取り出される。
【0046】
以上の通り構成することによって、ガラス食器を成形する際に供給されたガラスゴブと、底型61の底型上本体67の凹形状部66の内底面との間に閉じ込められるなどして残された空気を、真空引きによって排出することができ、ガラスゴブを凹形状部66の内底面に空気溜りを残すことなく密着させることができる。このため、可動型65を下降させてプレス成形を行った時、ガラス食器の押しじわや空気溜りによる成形不良の発生を防止することができる。
【0047】
また、底型61の底型上本体67に、その凹形状部66の内底部中央部分に形成した文字刻設部に、空気抜きである連通孔77を穿設し、閉じ込められた空気を真空引きによって排出するようにしたので、文字刻設部でのガラスの密着がよくなり、文字をくっきりとガラス食器表面に形成することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ガラス用成形金型の底型に供給されたガラスゴブと底型内底部との間の空気を逃がし、可動型で押し込んで行く成形過程で、押ししわや空気溜り等が生じるのを抑制することができ、良好な成形が行え、ガラス成形品の成形不良を低減することができると共に、成形されたガラスの離型と、文字形成を要するものでのくっきりした文字の形成とが可能となる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるガラス用成形金型の底型を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるガラス用プレス成形機の要部を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるガラス用プレス成形機のターンテーブルの上面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるガラス用プレス成形機の部分側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る照明用リフレクタを形成するリフレクタ用成形品の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る照明用ランプの断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるガラス用成形金型の底型の変形形態を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるガラス用成形金型の底型を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるガラス用成形金型の底型の一部を示す部分拡大断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるガラス用成形金型の底型の上面図である。
【符号の説明】
1…プレス成形機
3…ターンテーブル
5…ランプ
6…リフレクタ
7…リフレクタ用成形品
8,54,62…ガラス用成形金型
9,51,61…底型
10…プランジャ装置
11…真空装置
23,66…凹形状部
24…貫通孔
26…間隙
27,77…連通孔
28,52…底部形成部材
32,54,78…中空部
33…連通部材
42…ネック部
44…光源
Claims (5)
- 内底部に開口する少なくとも1つの空気抜きを有すると共に、該空気抜きに連通する中空部と底型外部とを連通する連通部材を備えた凹形状の底型を、間欠回転するターンテーブルに複数配置し、該底型にガラスゴブを供給してプレス成形を行うガラス成形品のプレス成形方法において、前記底型にガラスゴブを供給する工程と、プランジャ装置により前記ガラスゴブをプレス成形する工程と、前記プレス成形する工程の後に、前記連通部材に圧縮空気供給装置を気密に取り付け、前記底型と成形されたガラス成形品の間に圧縮空気を送出する工程とを具備することを特徴とするガラス成形品のプレス成形方法。
- 内底部に開口する少なくとも1つの空気抜きを有すると共に、該空気抜きに連通する中空部と底型外部とを連通する連通部材を備えた凹形状の底型を、間欠回転するターンテーブルに複数配置し、該底型にガラスゴブを供給してプレス成形を行うガラス成形品のプレス成形方法において、前記底型にガラスゴブを供給する工程と、前記連通部材に真空装置を気密に取り付け、前記底型を真空引きする工程と、プランジャ装置により前記ガラスゴブをプレス成形する工程と、前記プレス成形する工程の後に、前記連通部材に圧縮空気供給装置を気密に取り付け、前記底型と成形されたガラス成形品の間に圧縮空気を送出する工程とを具備することを特徴とするガラス成形品のプレス成形方法。
- ガラス用成形金型の可動型を往復動させるプランジャ装置と、前記ガラス用成形金型の複数の底型が所定間隔で同一円周上に設置され間欠的に回転するターンテーブルとを備え、前記底型に供給されたガラスゴブによってプレス成形を行うガラス用プレス成形機において、前記底型が、その内底部に開口する少なくとも1つの空気抜きと、該空気抜きに連通する中空部と、この中空部と底型外部とを連通する連通部材とを備えると共に、前記ターンテーブルの回転によりプレス成形位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部を所定時間真空引きし、その後に取り外す真空装置と、前記ターンテーブルの回転により排出位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部に圧縮空気を所定時間供給し、その後に取り外す圧縮空気供給装置とを備えていることを特徴とするガラス用プレス成形機。
- 前記空気抜きは、前記内底部と前記中空部とを連通する貫通孔を前記底型に形成すると共に、前記貫通孔に所定形状の間隙を形成する底部形成部材を嵌め込むことによって形成されていることを特徴とする請求項3記載のガラス用成形機。
- ガラス用成形金型の可動型を往復動させるプランジャ装置と、前記ガラス用成形金型の複数の底型が所定間隔で同一円周上に設置され間欠的に回転するターンテーブルとを備え、前記底型に供給されたガラスゴブによってプレス成形を行い、光源を取り付けるネック部を有する照明用リフレクタを成形するガラス用プレス成形機において、前記底型は、前記照明用リフレクタの背面部分を形成するものであって、その凹状底部に形成された貫通孔と、この貫通孔に前記ネック部の成形部分を形成するよう取り付けられた底部形成部材と、この底部形成部材の取り付けによって形成された中空部及びこの中空部と前記底部内とを連通する所定形状の間隙よりなる空気抜きと、前記中空部と底型外部とを連通する連通部材とを備えると共に、前記ターンテーブルの回転によりプレス成形位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部を所定時間真空引きし、その後に取り外す真空装置と、前記ターンテーブルの回転により排出位置に移動した前記底型の連通部材に取り付けて該底型の中空部に圧縮空気を所定時間供給し、その後に取り外す圧縮空気供給装置とを備えていることを特徴とするガラス用プレス成形機。
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