JP3838829B2 - 移植機のマーカ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体の側方に突出して次工程の走行基準位置を線引きするマーカに係り、詳しくは、上記マーカをコンパクトなマーカユニットで上下に回動操作できるようにした移植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、機体の走行に伴って圃場に苗を植付ける乗用田植機のような移植機には、植付時の走行基準線を示すため、次工程における機体の中心位置を予め線引きするサイドマーカを設けたものが知られている。、
【0003】
このようなサイドマーカは、枕地で機体を回行させる度に、左右のサイドマーカを交互に切換えて使用する必要がある。このためマーカの基端部にマーカユニット設け、このマーカユニット内に配置したシリンダでマーカを上下に回動させて側方に突出した作業位置と上昇させた非作業位置とに切換えるようにしている。
【0004】
ところが、機体の中心位置を線引きするマーカは、機体の側方に大きく突出させなければならないので、どうしても長大な嵩ばったものになり、これを上下に切換回動させるには、大型のシリンダが必要となって、マーカユニット自体も大型化するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決すべく創作されたものであって、機体の側方に大きく突出するマーカであっても、作業位置と非作業位置とに切換回動させるマーカユニットを、可及的にコンパクトなものにして全体構造を簡単にすることができる移植機を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明が講じた技術的手段は、機体の側方に突出して次工程の走行基準位置を線引きするマーカを備えた移植機において、機体の側部に上記マーカの基端部を上下回動自在に枢支したマーカユニットを設け、該マーカユニット内に設けたシリンダをマーカの基端部に連結してマーカを上下回動させると共に、上記マーカとシリンダとの連結部には、マーカの上動を許容する逃がし用の長孔を設けたことを特徴とし、また、上記シリンダとマーカ基端部との間には、マーカを上げ方向に付勢する補助スプリングを設けたことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、添付した一実施例の図面に基いて詳細に説明する。まず図1〜図3において、1は移植機として例示した乗用田植機の走行機体であって、前輪2および後輪3を備えた機体フレーム4の前部に、ボンネット5で覆われたエンジン部6が搭載され、その後方に運転席7が配設されている。8は運転席7の左右両側に配設されたリアステップ、9は操向ハンドルである。そして、機体フレーム4の後部には図示しない多条植えの苗植付装置がリンク機構を介して昇降自在に装着される。
【0008】
また、機体フレーム4の前部両側に肥料タンク10が配設され、肥料タンク10の上方には、それぞれマット苗を載置する4段の補助苗載台11が立設されている。なお上記補助苗載台11は、図3の正面図で示すように、下2段を取外して上段の外側に連結すれば、上2段で4枚のマット苗を載置することもできる。
【0009】
上記機体フレーム4の前端両側部にはサイドマーカ12とトレスマーカ13とが装着されている。サイドマーカ12は、圃場の未植付側に突出させて、機体の走行に伴って次の植付工程の走行目標となる機体の中心位置を線引きするものであり、また、トレスマーカ13は、サイドマーカ12による線引きが見えにくいとき等に、前工程で植付けた植付条に沿わせるように走行して適正な隣接条間とするものである。
【0010】
上記サイドマーカ12は、マーカアーム14の先端に線引き体15を取付けた一体状に形成されており、マーカアーム14は、その中途部分で伸縮調節可能となっており、また線引き体15はマーカアーム14への取付姿勢が変更調節可能となっている。
【0011】
前記機体フレーム4の前端部下面には幅方向の支持フレーム16が配設されており、この支持フレーム16の両端にマーカユニット17が支持フレーム16に沿って伸縮自在に装着されている。上記マーカユニット17には、サイドマーカ12が上下回動自在に支持されており、このサイドマーカ12をマーカユニット17に設けた複動式のシリンダ18で、作業時の線引き姿勢と非作業時の上昇姿勢とに切換えるようになっている。
【0012】
そして上記マーカユニット17は次のように構成されている。すなわち、図4〜図8で示すように、断面L型のプレート19を使用することによってマーカユニット17のユニットケース20が機体幅方向の角筒状に形成されている。21は上記ユニットケース20の外側端部に形成された下方に突出する取付部であって、この取付部21にマーカアーム14の基端部が支点軸22を介して上下回動自在に支持されると共に、マーカアーム14の基端部には回動プレート23が固定されている。
【0013】
また、ユニットケース20の内部に前記シリンダ18が配置されており、シリンダ18のピストンロッド24が上記回動プレート23の連結孔25に連結ピン26を介して連結されていて、ピストンロッド24の伸縮によりサイドマーカ12が上下に回動するようになっている。
【0014】
そして上記シリンダ18の側面略中央部には、ユニットケース20から突出した支点ピン27で支持される回動支点28が形成されていて、ピストンロッド24の伸縮でサイドマーカ12を上下に回動させるときには、シリンダ18が回動支点28を軸心に回動可能となっている。
【0015】
また、29は前記連結ピン26に立設したアームであって、このアーム29とユニットケース20の内面に設けた係止ボルト30との間に補助スプリング31が張設されていて、この補助スプリング31の付勢によりサイドマーカ12には常に一定の力が上げ方向に作用している。
【0016】
また、上記連結ピン26を挿通した回動プレート23の連結孔25は、図4で示されたように、サイドマーカ12の上動を許容する逃がし用の長孔32が形成されていて、サイドマーカ12は、シリンダ18による回動位置からさらに長孔32の範囲だけ上動可能となっている。
【0017】
また、図3において、33はトレスマーカ13の支持アームであって、この支持アーム33の先端側にトレス体34が支持されており、支持アーム33の基端部がユニットケース20の取付部21にサイドマーカ12の支点軸22と同一軸心に支持されている。そして、サイドマーカ12とトレスマーカ13とが連結具35で連結解除自在に連結されていて、サイドマーカ12とトレスマーカ13とを、下動した作業位置と上動した非作業位置とに同時に回動可能となっている。また、36は機体側に設けたマーカフックであって、非作業時に、上昇姿勢としたサイドマーカ12の基端部を、上記マーカフック36に係止して格納姿勢としておくものである。
【0018】
なお、サイドマーカ12は、支持フレーム16に対してマーカユニット17の部分から前後に回動可能となっていて、上昇姿勢としたサイドマーカ12を後方に回動させることにより、その先端側をリアステップ8上に支持させた倒伏姿勢とすることもできる。
【0019】
上記のように構成したので、サイドマーカ12による線引きを基準として機体を走行させれば、既植付苗との間に適正な条間を保って整然と移植作業を行うことができる。また、サイドマーカ12の線引きが不明瞭なときには、既植付苗側のトレスマーカ13を植付条に沿わせながら走行すれば、上記と同様に適正な条間とすることができる。
【0020】
そしてユニットケース20の内部に配置したシリンダ18の作動により、回動プレート23を回動させてサイドマーカ12を上下動させるが、このとき、シリンダ18は、その側面略中央部に形成された回動支点28を軸心に回動しながらサイドマーカ12を上下に回動させるので、シリンダ18の作動に無駄な動きを無くすことができてシリンダを固定したものに比べてマーカユニットをコンパクト化することができる。またシリンダ18は側面略中央部の回動支点28で支持するのみでよいため、シリンダ18の取付が簡単となる。しかも重量の重いシリンダ18の位置が機体の中央寄りになるので、全体の重量バランスを良好にすることができる。
【0021】
また、シリンダ18の作動により上下に回動するサイドマーカ12には、アーム29と係止ボルト30との間に張設した補助スプリング31の付勢により、常に一定の力が上げ方向に作用しているので、サイドマーカ12を上動させるときの大きな荷重がこの付勢力の分だけ減少し、シリンダ18を小型にすることができる。
【0022】
さらに、上記サイドマーカ12は、回動プレート23に形成した逃がし用長孔32の範囲で上動するので、作業姿勢のサイドマーカ12が圃場面にある石等の障害物に当接しても、サイドマーカ12は上動して障害物を円滑に乗越えることができる。このため、サイドマーカ12が障害物等による不測の外力で破損することはない。
【0023】
一方、サイドマーカ12を上昇姿勢とし、ついでその基端部をマーカフック36に係止して格納姿勢とする際にも、回動プレート23に形成した長孔32がサイドマーカ12の動き代となるので、サイドマーカ12に無理な力が作用することはなく、容易にマーカフック36に係止して格納姿勢とすることができる。
【0024】
【発明の効果】
これを要するに本発明は、機体の側方に突出して次工程の走行基準位置を線引きするマーカを備えた移植機において、機体の側部に上記マーカの基端部を上下回動自在に枢支したマーカユニットを設け、該マーカユニット内に設けたシリンダをマーカの基端部に連結してマーカを上下回動させると共に、上記マーカとシリンダとの連結部には、マーカの上動を許容する逃がし用の長孔を設けたので、マーカに上げ方向の外力が作用しても、マーカは長孔の範囲で上動するので、作業時及び格納時に不側の外力からマーカを保護することができる。
【0025】
また、シリンダに補助スプリングを設けたものでは、大荷重の作用する上げ方向にマーカが常時付勢されているので、この付勢力の分だけシリンダを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移植機の全体側面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】同上正面図である。
【図4】マーカユニットの拡大した正面図である。
【図5】同上平面図である。
【図6】ユニットケースを形成するプレートの平面図である。
【図7】同上正面図である。
【図8】同上側面図である。
【図9】サイドマーカの平面図である。
【符号の説明】
12 サイドマーカ
17 マーカユニット
18 シリンダ
28 回動支点
31 補助スプリング
32 逃がし用の長孔

Claims (2)

  1. 機体の側方に突出して次工程の走行基準位置を線引きするマーカを備えた移植機において、機体の側部に上記マーカの基端部を上下回動自在に枢支したマーカユニットを設け、該マーカユニット内に設けたシリンダをマーカの基端部に連結してマーカを上下回動させると共に、上記マーカとシリンダとの連結部には、マーカの上動を許容する逃がし用の長孔を設けたことを特徴とする移植機。
  2. 記シリンダとマーカ基端部との間には、マーカ上げ方向に付勢する補助スプリングを設けたことを特徴とする請求項1に記載された移植機。
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