JP3838721B2 - シート材切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等のOA機器に使用されるシート材切断装置に関するものであり、主として上部にガイドがなく、被切断シートをフレームの上面にのせるだけで切断操作が可能なフリーセット構造のシート材切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等のOA機器に搭載されているシート材切断装置としては、切断音が小さいなどの利点から回転円板刃を備えたキャリッジを移動させて切断するローラ式シート材切断装置が多く用いられている。この種の切断装置では、切断されたシート材はフリーに落下させて受皿に集積する方法が採られているが、キャリッジを往復して走行させシート材を連続切断する際に、前の切断で切り離されたシート材の切断端が浮き上がるなどして切断部に入り紙縁が再切断されることがある。
【0003】
これを防ぐために、切断後のシート材の切断端を円板刃が交接する切断点からできるだけ離れた位置に強制的に排出させる排出構造(例えば、特開平6−134692号公報や特開平7−52085号公報記載)が知られ、出願人も先に特願平8−88947号記載の発明を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、なお切り離されたシート材の切断端が浮き上がるなどして回転刃やキャリッジに再噛み込みして再切断されると、その切り屑が駆動部などに食い込んで切断不能になる場合がる。
【0005】
とくに上部にガイドがなく被切断シートをフレームの上面にのせるだけで切断操作が可能なフリーセット構造のローラ式シート材切断装置においては、紙縁が案内レールの上面板(通紙面)近傍に残るだけで切断部に入り込みやすく、これが再切断されて切り屑が下部回転刃とキャリッジの間に引き込まれることが多い。通常回転円板刃の径は20mmφ程度と小さく回転刃とキャリッジの隙間も狭いので、この切り屑の除去にはピンセットを使って行わなければならないなど非常に手間が掛かる。
【0006】
図8は従来の切断装置のキャリッジの形状を示す図である。本図は併せて切り離されたシート材の紙縁が再噛み込みをする状態をも示す図である。実際にはこの状態では切り離されたシート材Sの上に、上面板3の上面(通紙面)に供給された次に切断されるシート材が存在するが説明を容易にするために本図では省略されている。図9はその噛み込む部分(図8のC部)の詳細を示す図である。図示するように、従来の切断装置の下キャリッジ7の切断運動方向の前部7aは、案内レール2の上面板3の下面の高さにある(前記特開平6−134692号公報、特開平7−52085号公報も同様である)。また従来は、下キャリッジ7の前部7aの前縁は被切断シート材をガイドするように斜面7bが設けられていた(特願平8−88947号)。
【0007】
このような従来構造のキャリッジの切断装置により、図8に示すように切り離されたシート材sが案内レール2の上面板3近傍に残った状態でキャリッジ4を矢印X方向に走行させて次のシート材を切断すると、前に切断されたシート材Sの紙縁S1が下部キャリッジ7の斜面7aに案内されて下部キャリッジ7の上に入り、上円板刃9と下円板刃10の噛み込み刃先まで直接達する。これによって、切り離されたシート材が次の被切断シート材と一緒に再切断されて幅の狭い切り屑が生ずる。この切り屑が図9に示す下部円板刃10と案内レール2の上面板3の端部3aとの隙間G及び隙間Eに巻き込まれる。切断動作の際に下部円板刃はシート材を巻き込む方向に回転駆動されているので、この切り屑は下部円板刃と下部キャリッジ7との隙間にも巻き込まれやすく、切り屑がこの狭い隙間に入るとこれを取り出すことは容易でない。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために、たとえ切り離されたシート材がキャリッジの案内レールの近傍に残っても、少なくも回転刃とキャリッジの間に引き込まれることがないようにして、安定した切断が可能なシート材切断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のシート材切断装置は、通紙面を形成する上面板を有する案内レールと、該案内レールに沿って移動するキャリッジと、該キャリッジに軸支され、円周刃先を交接させた上部円板刃と下部円板刃とを備え、前記キャリッジを移動させて前記上面板の上面に置かれた被切断シート材を切断するシート材切断装置において、前記キャリッジは切り離された紙縁の再噛み込みを防止する噛込み防止手段を有し、該噛込み防止手段は、前記下部円板刃の切断運動方向前部に前記上面板の下面から上面に向かって設けられた突起部であることを特徴とするものである。
【0010】
即ち、本発明のシート材切断装置では、たとえ前の切断で切り離されたシート材がキャリッジの案内レールの通紙面近傍に残っても、キャリッジの切断運動方向前部に噛込み防止手段が設けられており、この噛込み防止手段が切り離されたシート材の紙縁を排除しながらキャリッジが進行するので、切り離されたシート材は再切断されることがない。したがって従来の切断装置のように切り離されたシート材の再切断による切り屑が切断部に食い込んで切断不能になるようなことがない。
【0011】
簡単な構造で前記目的を達成するために、前記噛込み防止手段は下部キャリッジの下部回転刃の切断運動方向前部に設けられた突起部から構成されることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以上、本発明の実施の形態を図面により具体的に説明する。図1は本発明実施形態のシート材切断装置のキャリッジを示す斜視図、図2は本発明のシート材切断装置のキャリッジの側面図、図3は図2のA矢視図、図4は図3のB部詳細図である。
【0013】
これらの図において、案内レール2はほぼコ字型の中空断面の棹状をなし、シート材の進行方向に直交して図示しないフレームに固定されている。案内レール2のコ字型断面の辺の一部をなす上面板3の上面は被切断シート材の通紙面を形成し、上面板3の上面に被切断シート材を置くだけで切断操作が可能なフリーセット構造になっている。案内レール2に沿って移動するキャリッジ4は上キャリッジ6と案内部5を設けた下キャリッジ7とから構成され、上キャリッジ6と下キャリッジ7は前者の下面と後者の上面との間で被切断シートを通過させる隙間4aを形成させて尾端の連結部6aによりー体に接続されている。下キャリッジ7の案内部5が、図示しない螺旋軸などの駆動手段により駆動されて案内レール2のコ字型断面の内面を摺動し、キャリッジ4を往復移動させるようになっている。
【0014】
上キャリッジ6と下キャリッジ7には、それぞれ上部円板刃9と下部円板刃10がその円周刃先を交接させて軸9a及び10aにより回転自在に軸支されている。上部円板刃9と丁部円板刃10は、その刃先が互いに僅かに傾斜してトーイン角が付与され図示しない付勢手段によって圧接するようにして、それぞれの軸9aと10aとに支持されている。これにより、両円板刃の刃先の交接点22がシ一卜材の切断点となっている。上部円板刃9と下部円板刃10には、それぞれ図示しない回転駆動手段が設けられ、キャリッジ4が走行するとその刃先が被切断シート材を引き込む方向に強制回転させられるようになっている。
【0015】
下キャリッジ7には、上部円板刃9と下部円板刃10の交接点より切断運動方向前方に噛込み防止手段を構成する突起8が設けられている。突起8の頂部8aは、案内レール2の上面板3の上面とほぼ同じかやや低くなるようにされている。
【0016】
以下、図に基づき上記構成の本発明実施形態のシート材切断装置の動作について説明する。図5は切断により切り離されたシート材Sが下に落ちないで案内レールの上面板3(通紙面)近くに残った状態で次の被切断シート材の切断が進行する状態を説明する図である。なお、実際はこの切断動作のときは切り離されたシート材Sの上側には次の被切断シート材が存在するが説明を容易にするため本図では省略されている。
【0017】
図のように前の切断で切り離されたシート材Sが残った状態で次の被切断シート材を切断するためキャリッジ4が矢印X方向に移動すると、シート材Sの紙縁S1が突起8に当たって前に切り離されたシート材は切断方向に押しやられる。これによって切り離されたシート材はX方向にアコーデオン状に縮められてくしゃくしゃになるが、切断端S1は上部円板刃9と下部円板刃10の交接する切断点22に達することはないので、従来の切断装置のように切り離されたシート材の端部が再切断されることはない。したがって再切断により生ずる切り屑が切断部に入って切断が不能になるようなことはない。
【0018】
以上述べたように、本発明実施形態のシート材切断装置は、円板刃を備えたキャリッジの切断運動方向前部に切り離された紙縁の再噛み込みを防止する噛込み防止手段の突起を設けているので、切り離されたシート材が案内レール近辺に残っても、そのシート材はこの噛込み防止手段の突起により切断方向に押しやられて縮むだけで、切り離されたシート材が再度切断部に食い込むことはない。これにより案内レール近辺に残った切り離されたシート材は不良品になることはあるが、切断された切り屑が切断部に食い込んで切断不能になることはない。したがって、従来の切断装置のように切断部に食い込んだ切り屑を除くのに長時間を要して稼働率の低下することが防止できる。
【0019】
なお、この噛込み防止手段は、本実施例のように角型の突起をキャリッジと一体に成形したもののみでなく、図6のように突起ピン81を植設してもよく、また図7のように板材の突起部材82を固設してもよい。
【0020】
【発明の効果】
上述のように、本発明のシート材切断装置によれば、案内レール上を移動するキャリッジに支持された切断刃物を移動させてシート材を切断するシート材切断装置において、キャリッジの切断運動方向の前部に突起などの噛込み防止手段を設けるだけの簡単な構成で、切り離された紙縁の再噛み込みを防止する効果が極めて大きい。したがって、従来の切断装置のように切り離されたシート材が再切断されて、その切り屑が切断部に入って切断不能になるようなことがなく、安定した切断ができて切断装置を装着した機器の稼働率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態のシート材切断装置のキャリッジを示す斜視図である。
【図2】本発明実施形態のシート材切断装置のキャリッジの側面図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図3のB部詳細図である。
【図5】本発明実施形態のシート材切断装置の切り離されたシート材がキャリッジに押される状態を説明ずる図である。
【図6】本発明シート材切断装置の噛込み防止手段である突起部の他の実施形態の例を示す図である。
【図7】本発明シート材切断装置の噛込み防止手段である突起部のさらに他の実施形態の例を示す図である。
【図8】従来の切断装置の切り離されたシート材がキャリッジに噛み込む状態を説明する図である。
【図9】図8のC部を矢印Y方向から見た詳細図である。
【符号の説明】
2 案内レール
3 上面板
3a ト面板端部
4 キャリッジ
4a 隙間
5 案内部
6 上ギャリッジ
6a 連結部
7 下キャリッジ
8 突起(噛込み防止手段)
9 上部円板刃
9a 上部円板刃軸
10 下部円板刃
10a 下部円板刃軸
22 交接点(切断点)
81 突起(噛込み防止手段)
82 突起(噛込み防止手段)
S シート材
S1 切り離し端端部
Claims (1)
- 通紙面を形成する上面板を有する案内レールと、該案内レールに沿って移動するキャリッジと、該キャリッジに軸支され、円周刃先を交接させた上部円板刃と下部円板刃とを備え、前記キャリッジを移動させて前記上面板の上面に置かれた被切断シート材を切断するシート材切断装置において、前記キャリッジは切り離された紙縁の再噛み込みを防止する噛込み防止手段を有し、該噛込み防止手段は、前記下部円板刃の切断運動方向前部に前記上面板の下面から上面に向かって設けられた突起部であることを特徴とするシート材切断装置。
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- 1996-12-24 JP JP35543596A patent/JP3838721B2/ja not_active Expired - Fee Related
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