JP3838335B2 - 2部材の接合方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス製の部材を接合する方法に関し、詳しくはリングプロジェクション溶接による接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リングプロジェクション溶接は、抵抗溶接の一種であり、迅速であることから比較的薄い炭素鋼板の重ね合わせ接合に好適であり、特に、シール性を必要とする接合箇所に適用される溶接方式である。例えば、自動車用燃料タンクでは、ガソリン等の燃料をその内容物とするため、容器本体とその付属部材との接合において高いシール性を要求されることから、これらの接合箇所にリングプロジェクション溶接が好んで用いられている。
【0003】
図1に、自動車用燃料タンクの一例を示す。図1に示す自動車用燃料タンク1は、容器本体10と容器本体10に接合された付属部品とから構成されており、ちなみに、図1では、その付属部品の一つとして、容器本体10の内部に燃料を供給するためのインレットパイプ20を例示している。炭素鋼製の燃料タンクの場合、容器本体10は炭素鋼板から、インレットパイプ20は炭素鋼板ないし炭素鋼パイプから形成されるのが一般的である。
【0004】
図2に、容器本体10とインレットパイプ20とが接合されている部分の断面を示す。インレットパイプ20は、燃料が通過するパイプ部21とパイプ部21の外周に鍔状に形成されたフランジ部22とからなる。容器本体10には、燃料供給孔11が設けられ、インレットパイプ20は、この燃料供給孔11に対してパイプ部21が略同軸的に位置するように、容器本体10に接合される。
【0005】
容器本体10とインレットパイプ20との接合においては、まず、フランジ部22の外周付近に環状のプロジェクション(突起)23を形成し、プロジェクション23が容器本体10の鋼板に当接するように両者を定置してプロジェクション溶接を行う。プロジェクション溶接は、容器本体10の鋼板とインレットパイプ20のフランジ部22とを2つの溶接電極によって挟持し、両電極間に印加通電することで、プロジェクション23と容器本体10の鋼板との当接箇所に溶接電流を流し、この溶接電流による抵抗発熱によりその箇所を溶融軟化させ、それと同時に、両電極により両者を加圧して行う。
【0006】
図6に、従来の炭素鋼製の板状部材のリングプロジェクション溶接において形成するプロジェクションの一般的な形状、詳しくはその断面形状を示す。プロジェクション23は尖った頂部(尖頂部)23aを有し、容器本体10の鋼板にその尖頂部23aを当接した状態でプロジェクション溶接が行われる。したがって、容器本体10とインレットパイプ20との接する面積は極めて小さく、この接する部分に溶接電流が流れるため、その部分での発熱量は大きく、良好な炭素鋼板製部材の接合が達成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
最近、鋼構造物では、その耐久性を良好なものとするために、材料を炭素鋼からステンレス鋼に変更するといった動向がある。上述の自動車用燃料タンクの場合でも、その内容物が燃料であることからより高い耐久性を要求され、やはり、一部のものでは、ステンレス鋼を採用することが検討されている。
【0008】
材料をステンレス鋼に変更した場合、例えば、上記自動車用燃料タンクにおいて、容器本体、インレットパイプをともにそのままの形状を採用してステンレス鋼にて成形し、さらに、そのままのプロジェクション形状を採用して、リングプロジェクション溶接を行うことが考えられる。ところが、ステンレス鋼は炭素鋼に比較して電気抵抗が高く、上記形状のプロジェクションでは、溶接通電時の発熱量が極めて大きく、また、その頂部の極めて小さな範囲に集中するため、プロジェクションの一部が溶融と同時に飛び散るという現象が生じる。このプロジェクションの溶融飛散は、母材への溶融金属の溶け込みを減少させるとともに、接合する部分の面積をも減少させることから、接合強度の低下を招く結果となる。さらには、接合部のシール性に悪影響を与えることになる。つまり、プロジェクションが飛散した接合部のその部分の完全な接合が達成できず、その部分から内容物である燃料が漏れ出す(染み出す)結果となる。
【0009】
このプロジェクションの飛散という現象を防止するため、溶接電流を小さくしてリングプロジェクション溶接を行うことが考えられる。ところが、溶接電流を小さくすると母材までの充分な溶け込みが達成できず、やはり接合強度が低下するという問題が生じる。
【0010】
ステンレス鋼製板状部材をリングプロジェクション溶接する際に生じる上記問題は、例示した自動車用燃料タンクの場合に限らず、リングプロジェクション溶接を適用しようとするステンレス鋼構造物に共通する問題であり、特に、接合強度とシール性との両者を要求される接合部を有する構造物においては、極めて重要な問題となる。
【0011】
本発明者は、ステンレス鋼製の板状部材のリングプロジェクション溶接について、鋭意研究および幾多の実験を重ねた結果、プロジェクション形状を調整することによって、接合強度とシール性との両者を充分に確保できる接合部が達成できるとの知見を得た。本発明は、この知見に基づくものであり、ステンレス鋼製の板状部を有する2つの部材のリングプロジェクション溶接による接合方法であって、接合部の接合強度およびシール性に優れた接合方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の2部材の接合方法は、ステンレス鋼製の板状部を有する2つの部材を、それぞれの該板状部を重ね合わせ、リングプロジェクション溶接を行って接合する2部材の接合方法であって、一方の前記部材の板状部に、その頂部が略平坦でありかつ環状に連続するプロジェクションを形成するプロジェクション形成工程と、前記一方の部材を、前記プロジェクションが他方の前記部材の板状部と接するように重ね合わせ、該2つの部材に加圧通電することによりリングプロジェクション溶接を行うリングプロジェクション溶接工程とを含んでなり、前記プロジェクション形成工程で形成される前記プロジェクションの前記頂部の幅が、前記一方の部材の板状部の厚みをt(mm)とした場合において、t(mm)以上2t(mm)以下であることを特徴とする。
【0013】
つまり、本発明の2部材の接合方法は、リングプロジェクション溶接を行う際に一方の部材に形成するプロジェクションの形状に特徴を有するものであり、詳しくは、そのプロジェクションに所定の幅の平坦な部分を形成し、その部分で相手部材と当接させてプロジェクション溶接を行うものである。
【0014】
この形状のプロジェクションを採用することで、2つの部材の当接面積を増加させて通電抵抗を減少させ発熱量をある程度小さくすると同時に、抵抗発熱が極端に集中することを防止し、プロジェクションの一部が溶融飛散するすることを効果的に抑制することが可能となる。したがって、ステンレス鋼製板状部材の接合にリングプロジェクション溶接を採用する場合であっても、本発明の2部材の接合方法によれば、接合強度とシール性の両者が担保された良好な接合部を有する構造物を実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の2部材の接合方法の実施形態を、自動車用燃料タンクの容器本体とそれに接合される付属部材の接合に例をとって、図面をも参照しつつ詳しく説明し、その後に、他の実施形態について説明する。
【0016】
〈自動車用燃料タンクにおける一実施形態〉
図1に、自動車用燃料タンクの一例を示し、図2に、容器本体とそれに接合される付属部材であるインレットパイプとが接合されている部分の断面を示す。これらの図については、容器本体およびインレットパイプの両者がステンレス鋼製であることを除き、先の従来技術の項に示したものであるため、その説明はここでは省略する。
【0017】
本発明の接合方法は、ステンレス鋼製の板状部を有する2つの部材を、それぞれの該板状部を重ね合わせ、リングプロジェクション溶接を行って接合する2部材の接合方法であり、本実施形態の自動車用燃料タンクの接合においては、容器本体10およびインレットパイプ20がそれぞれステンレス鋼製の板状部を有する2つの部材となる。容器本体10は、ステンレス鋼板からプレス、溶接等の工程を経てに成形されおり、そのものが板状部となっている。これに対し、インレットパイプ20は、そのフランジ部22が板状部となる。図示するインレットパイプ20は、ステンレス製パイプ材を成形することによりフランジ部22を形成させているが、パイプ材に略ドーナッツ状の板材を接合してその板材がフランジ部となるものであってもよい。
【0018】
本発明の接合方法では、プロジェクション形成工程とリングプロジェクション溶接工程とを含んでなる。まず、プロジェクション形成工程では、一方の前記部材の板状部に、その頂部が略平坦でありかつ環状に連続するプロジェクションを形成する。図3に、本実施形態において形成されるプロジェクションの断面形状を示す。先に説明した図6に示すプロジェクションが尖頂部23aを有するのと異なり、本プロジェクションは、その頂部が平坦に形成されている、つまり、平頂部23bを有している。
【0019】
本発明の接合方法においては、平頂部の幅を、その部材の板状部の厚みをt(mm)とした場合において、t(mm)以上2t(mm)以下と規定しており、図3に基づく本実施形態では、インレットパイプ20のフランジ部22の板厚をt(mm)とすれば、平頂部23bの幅がt〜2t(mm)となるようなプロジェクションを形成する。
【0020】
抵抗溶接による溶接継手を設計する場合、重ね合わせる鋼板の板厚に応じた強度が確保されるように設計する。したがって、プロジェクション全体の幅等の形状的パラメータや、溶接電流の値等の溶接条件パラメータは、概ね、接合される部材の板厚に依存するパラメータとなる。一般に、部材の板厚が大きい場合、接合強度を高くするのが一般的であり、プロジェクション全体の幅を大きくして接合面積を大きく必要があり、そして、それに応じ溶接電流を大きくする必要がある。こういったパラメータが接合される部材の板厚に依存することから、プロジェクション形状における平頂部の幅をも板厚に依存させることに技術的な問題はない。つまり、図3に基づけば、フランジ部22の板厚が大きくなるにつれて、プロジェクション23も大きくする必要があることから、板厚(t)が厚くなるにつれて、平頂部23bの幅(t〜2t)も大きくしなければならず、このことは、接合強度を確保する上で必要な条件となってくる。
【0021】
本発明の接合方法において、プロジェクションの平頂部の幅がtより小さい場合、つまり、プロジェクションが尖っている場合は、リングプロジェクション溶接の際に、抵抗発熱による発熱量が過度に大きく、また、極めて狭い部分に熱量が集中するため、その一部が溶融飛散し易くなる。溶融飛散すれば、その部分の接合強度およびシール性は確保できなくなる。逆に、平頂部の幅が2tより大きい場合は、溶接電流の通電抵抗が小さくなり、充分な熱量が得られなくなり、接合部における母材までの溶け込みが減少し、やはり充分な接合強度が得られなくなる。これらのことに鑑み、本発明の接合方法では、プロジェクションの平頂部の幅をt〜2tとしている。なお、本発明者の実験によれば、接合強度とシール性の両者を確保できる溶接条件の範囲、詳しくは、適正となる溶接電流値の幅は、平頂部の幅を1.5t前後とする場合が最も広くなり、溶接条件の管理が容易になる。
【0022】
プロジェクションの平頂部は、図3に示すように完全に平坦な、つまり、断面形状において直線として表れる形状の頂部のみを意味するものではない。例えば、断面において、頂部が若干の凸状面、あるいは、凹状面で構成される形状のものをも含むことを意味する。例えば、図4に示すものは、断面において、その平頂部23bが円弧状に形成されたプロジェクション23である。このような断面形状のプロジェクションの場合、発熱した熱量の局所への集中は緩和され、溶接時におけるプロジェクションの溶融飛散は充分に抑制されることになる。
【0023】
本発明の接合方法において、プロジェクションの形成方法は、特に限定するものではない。炭素鋼からなる板状部材に形成していた従来からの種々の方法によって、形成すればよい。例えば、プレス成形、機械加工等の方法によって形成すればよい。本実施形態のインレットパイプの場合は、プレス成形によって形成している。
【0024】
次に、リングプロジェクション溶接工程について説明する。リングプロジェクション溶接工程では、前記一方の部材を、前記プロジェクションが他方の前記部材の板状部と接するように重ね合わせ、該2つの部材に通電加圧することによりリングプロジェクション溶接を行う。本実施形態では、容器本体に、プロジェクションを形成した上記インレットパイプを、そのプロジェクションの平頂部が容器本体を構成するステンレス鋼板に当接するように重ね合わせ、その状態でリングプロジェクション溶接を行う。
【0025】
図5に、容器本体10とインレットパイプ20とのリングプロジェクション溶接を模式的に示す。容器本体10には、燃料供給孔11が設けられ、インレットパイプ20は、この燃料供給孔11に対してパイプ部21が略同軸的に位置するように、容器本体10に接合される。リングプロジェクション溶接機(詳しく図示していない)は、表面に電気的絶縁を施した円柱状の位置決め治具31を有しており、この位置決め治具31を容器本体10の燃料供給孔11に挿通させ、そしてインレットパイプ20のパイプ部21をも挿通させることによって、両者はその定位置が決定され、位置決めされた状態では、インレットパイプ20のフランジ部22形成されたプロジェクション23は、その平頂部が容器本体10の表面に接している。
【0026】
リングプロジェクション溶接機は、円筒状の2つの溶接電極32、33を有しており、この溶接電極22および溶接電極23は、その両者の間に、容器本体10とインレットパイプ20のフランジ部22とを、プロジェクション23が形成された位置で挟持してセットされる。溶接時には、溶接電極22および溶接電極23は互いに近づく方向に挟持された部分を所定の力で加圧し、略同時に、両電極間には所定の電流が所定時間通電される。プロジェクション23および容器本体10のプロジェクション23が接する部分は、通電抵抗により発熱し、溶融軟化し、次いでその状態で冷却凝固することにより、容器本体10とインレットパイプ20との接合が完了する。
【0027】
なお、溶接電流値、通電時間、加圧力、加圧時間等の溶接条件は、特に限定するものではないが、従来からの炭素鋼板状部材の溶接条件に準じて、両部材の板厚、接合面積の大きさ、プロジェクションの形状等に応じて、適正な値を選択すればよい。
【0028】
本リングプロジェクション溶接では、平頂部を有する上記断面形状のプロジェクションの作用により、比較的大きな溶接電流で溶接しても、プロジェクションの一部が溶融飛散することなく、接合強度と接合部のシール性の両者に優れた接合が達成できる。
【0029】
〈他の実施形態〉
以上、自動車用燃料タンクにおける本発明の2部材の接合方法の一実施形態について説明したが、本発明の接合方法は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の接合方法は、上記実施形態を始めとして当業者が行い得る変更、改良を施した種々の形態にて実施することができる。
【0030】
上記実施形態では、付属部材としてインレットパイプを例示しているが、他の自動車用燃料タンクの付属部材、例えば、燃料の量の変動に応じて内部エアー圧を調節する内部圧調節管、液面センサ取付具、タンク内部に接合される波音消し板、ポンプを取付けるための環状リテーナ等、ステンレス製でありかつリングプロジェクション溶接によって接合される付属部材であれば、種々の付属部材の接合に適用できる。
【0031】
なお、図1に示す自動車用燃料タンク1では、その容器本体10が上部容器部材10aと下部容器部材10bとを接合することにより形成されている。詳しくは、ステンレス鋼板からなり合せ面にフランジ10cを形成した2つの半容器を、その互いのフランジ10cを重ね合わせて、その重ねあわせた部分を接合することにより形成されている。この容器本体10のフランジ10cの接合においても、本発明の接合方法が適用できる。上部容器部材10aまたは下部容器部材10bのフランジ10cに、その全長にわたって上述したような平頂部を持つプロジェクションを形成し、極めて大型の溶接装置を使用し、リングプロジェクション溶接を行えばよい。
【0032】
また、自動車用燃料タンクに限らず、ステンレス鋼製の部材、詳しくは、ステンレス鋼からなる板状部を有しその板状部で接合されるような部材どうしの接合により構成され、かつ、その接合がリングプロジェクション溶接によって行われるような構造物であれば、各種構造物の製造の一部において採用することが可能である。
【0033】
本発明の接合方法はステンレス鋼製の部材の接合に関するものである。適用できるステンレス鋼は、その種類を特に限定するものではない。炭素鋼より電気抵抗の高い材料であれば、プロジェクション形状がもたらす本発明の接合方法のメリットを充分に享受することができる。例えば、具体的には、SUS304、SUS304L、SUS409、SUS436、SUS439、SUS444等、その適用範囲は広い。
【0034】
【実施例】
本発明の接合方法に採用されるプロジェクション形状と、従来から炭素鋼製板状部材の接合に採用されているプロジェクション形状との比較をすべく、それぞれの形状のプロジェクションをステンレス鋼製の板状部材に形成して、実際にリングプロジェクション溶接を行って、接合部の接合強度およびシール性を調査した。以下に、説明する。
【0035】
対象とする製品は、自動車用燃料タンクであり、接合される2つの部材は、容器本体とインレットパイプである。これらは、図1および図2に示すものであり、その形態については、上記説明のとおりである。具体的には、容器本体は、SUS304L製であり、その厚みが1mmの板材から成形されている。また、インレットパイプのフランジ部は、SUS304L製であり、その厚みが1mmの板状部材として形成されている。
【0036】
プロジェクションは、インレットパイプのフランジ部の外周に形成され、フランジ部の外径が50mmφであることから、略同径の円環状に形成されている。プロジェクションの断面形状は、その一つが図7(a)に示す形状であり、頂部が1.5mmの幅で平坦に形成されており、本発明の接合方法において採用される形状となっている。また、もう一つのものは、図7(b)に示す形状であり、頂部は尖っており、従来から炭素鋼製板状部材の接合に採用されている形状となっている。便宜的に、図7(a)に示す形状のプロジェクションを実施例のプロジェクションとし、図(b)に示す形状のプロジェクションを比較例のプロジェクションとする。
【0037】
プロジェクション溶接は、上記2種のプロジェクションを形成して行うそれぞれに対して、溶接電流を種々変更して行うものとし、いずれも通電時間は、33m秒、加圧力は、300Nとした。接合部の接合強度は、その接合部に対して引張試験を行い、破壊に至る荷重と破壊箇所(接合界面における破壊であるかあるいは母材における破壊であるか)との両者によって調査した。また、シール性については、接合部を目視観察した結果において、プロジェクションの溶融飛散の程度をもって調査した。
【0038】
図8に、実施例のプロジェクションを形成して行ったリングプロジェクション溶接(以下、単に「実施例」と略す)による接合部の調査結果として、また、図9に、比較例のプロジェクションを形成して行ったリングプロジェクション溶接(以下、単に「比較例」と略す)による接合部の調査結果として、溶接電流の電流値と破壊荷重、破壊箇所およびプロジェクションの溶融飛散の程度との関係を示す。
【0039】
実施例の場合、比較例と比べて、いずれの電流値の溶接電流で溶接を行ったときでも、その破壊荷重が大きな値を示しいる。また、接合面の殆どが界面破壊を生じる界面破壊領域は略同じ電流値のところまでではあるが、実施例の場合、溶接電流をそれ以上大きくすれば界面破壊は消失してその殆どが母材破壊となるのに対し、比較例の場合は、溶接電流を大きくしてもその割合は小さくなるものの依然として界面破壊が残存している。つまり、母材破壊と界面破壊とが共存する状態となる。このことから判るように、実施例の場合は、均一な接合状態が得られ、かつ、その接合強度が高いことが確認できる。
【0040】
実施例、比較例の両者とも溶接電流を大きくすると、プロジェクションの溶融飛散の程度は大きくなる。ところが、実施例の場合は、比較例の場合と比べて、シール性を阻害する程度の飛散となる溶接電流値が高い。また、比較例の場合、界面破壊領域を超え母材破壊と界面破壊とが共存する状態の領域において、既にプロジェクションの飛散がかなり大きくなっているのに対して、実施例の場合は、母材破壊を起こす領域であっても、プロジェクションの溶融飛散の程度が小さく維持できる範囲が存在することが判る。ちなみに、その溶接電流値の幅は8kA程度となる。
【0041】
このことは、比較例の場合、接合強度とシール性の両者が確保でできる溶接電流範囲が存在しないことを意味する。これに対し、実施例の場合は、接合強度とシール性の両者が確保でできる適正電流範囲が存在することを意味する。したがって、これらの調査結果を総合的に判断すれば、実施例は、つまり、所定の平頂部を有する上記プロジェクション形状を採用したリングプロジェクション溶接による本発明の接合方法は、ステンレス鋼製の板状部材を接合する場合であっても、接合強度とシール性との両者を兼ね備えた良好な接合部が実現できる接合方法となることが確認できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、ステンレス鋼製の板状部を有する2つの部材を、それぞれの板状部を重ね合わせ、リングプロジェクション溶接を行って接合する2部材の接合方法において、そのプロジェクション形状を所定の形状、詳しくは、所定幅の平頂部を有するような形状とするものである。このことにより、溶接時におけるプロジェクションの溶融飛散を抑制できることで、接合強度とシール性の両者が担保された良好な接合部を有する構造物を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の接合方法が適用できる自動車用燃料タンクを示す。
【図2】 図1に示す自動車用燃料タンクにおいて、本発明の接合方法が適用される箇所であって、容器本体とインレットパイプとが接合されている部分の断面を示す。
【図3】 本発明の接合方法において形成されるプロジェクションの断面形状を示す。
【図4】 本発明の接合方法において採用可能な別のプロジェクションの断面形状を示す。
【図5】 図1に示す自動車用燃料タンクに適用した本発明の接合方法において、容器本体とインレットパイプとのリングプロジェクション溶接の様子を模式的に示す。
【図6】 従来からの炭素鋼製板状部材のリングプロジェクション溶接において形成されているプロジェクションの断面形状を示す。
【図7】 実施例および比較例のそれぞれのプロジェクションの形状を示す。
【図8】 実施例のプロジェクションを形成して行ったリングプロジェクション溶接による接合部の調査結果として、溶接電流の電流値と破壊荷重、破壊箇所およびプロジェクションの溶融飛散の程度との関係を示す。
【図9】 比較例のプロジェクションを形成して行ったリングプロジェクション溶接による接合部の調査結果として、溶接電流の電流値と破壊荷重、破壊箇所およびプロジェクションの溶融飛散の程度との関係を示す。
【符号の説明】
1:自動車用燃料タンク
10:容器本体
10a:上部容器部材 10b:下部容器部材
10c:フランジ 11:燃料供給口
20:インレットパイプ
21:パイプ部 22:フランジ部
23:プロジェクション
23a:尖頂部 23b:平頂部
31:位置決め治具 32、33:溶接電極

Claims (2)

  1. ステンレス鋼製の板状部を有する2つの部材を、それぞれの該板状部を重ね合わせ、リングプロジェクション溶接を行って接合する2部材の接合方法であって、
    一方の前記部材の板状部に、その頂部が略平坦でありかつ環状に連続するプロジェクションを形成するプロジェクション形成工程と、
    前記一方の部材を、前記プロジェクションが他方の前記部材の板状部と接するように重ね合わせ、該2つの部材に加圧通電することによりリングプロジェクション溶接を行うリングプロジェクション溶接工程とを含んでなり、
    前記プロジェクション形成工程で形成される前記プロジェクションの前記頂部の幅が、前記一方の部材の板状部の厚みをt(mm)とした場合において、t(mm)以上2t(mm)以下であることを特徴とする2部材の接合方法。
  2. ステンレス製の自動車用燃料タンクを製造する製造方法の一部をなし、
    前記他方の部材が該自動車用燃料タンクの容器本体であり、前記一方の部材が該容器本体に接合される付属部材である請求項1に記載の2部材の接合方法。
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