JP2002239738A - 2部材の接合方法 - Google Patents

2部材の接合方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレス鋼製の板状部を有する2つの部材
を、それぞれの該板状部を重ね合わせ、リングプロジェ
クション溶接を行って接合する2部材の接合方法であっ
て、接合部の接合強度およびシール性に優れた接合方法
を提供する。 【解決手段】 一方の部材20の板状部22に、その頂
部が略平坦でありかつ環状に連続するプロジェクション
23を形成する。このプロジェクション23の前記頂部
の幅は、板状部22の厚みをt(mm)とした場合にお
いて、t(mm)以上2t(mm)以下とする。そし
て、プロジェクション23が他方の部材10の板状部と
接するように重ね合わせ、2つの部材10、20に加圧
通電することによりリングプロジェクション溶接を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス製の部
材を接合する方法に関し、詳しくはリングプロジェクシ
ョン溶接による接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リングプロジェクション溶接は、抵抗溶
接の一種であり、迅速であることから比較的薄い炭素鋼
板の重ね合わせ接合に好適であり、特に、シール性を必
要とする接合箇所に適用される溶接方式である。例え
ば、自動車用燃料タンクでは、ガソリン等の燃料をその
内容物とするため、容器本体とその付属部材との接合に
おいて高いシール性を要求されることから、これらの接
合箇所にリングプロジェクション溶接が好んで用いられ
ている。
【0003】図1に、自動車用燃料タンクの一例を示
す。図1に示す自動車用燃料タンク1は、容器本体10
と容器本体10に接合された付属部品とから構成されて
おり、ちなみに、図1では、その付属部品の一つとし
て、容器本体10の内部に燃料を供給するためのインレ
ットパイプ20を例示している。炭素鋼製の燃料タンク
の場合、容器本体10は炭素鋼板から、インレットパイ
プ20は炭素鋼板ないし炭素鋼パイプから形成されるの
が一般的である。
【0004】図2に、容器本体10とインレットパイプ
20とが接合されている部分の断面を示す。インレット
パイプ20は、燃料が通過するパイプ部21とパイプ部
21の外周に鍔状に形成されたフランジ部22とからな
る。容器本体10には、燃料供給孔11が設けられ、イ
ンレットパイプ20は、この燃料供給孔11に対してパ
イプ部21が略同軸的に位置するように、容器本体10
に接合される。
【0005】容器本体10とインレットパイプ20との
接合においては、まず、フランジ部22の外周付近に環
状のプロジェクション(突起)23を形成し、プロジェ
クション23が容器本体10の鋼板に当接するように両
者を定置してプロジェクション溶接を行う。プロジェク
ション溶接は、容器本体10の鋼板とインレットパイプ
20のフランジ部22とを2つの溶接電極によって挟持
し、両電極間に印加通電することで、プロジェクション
23と容器本体10の鋼板との当接箇所に溶接電流を流
し、この溶接電流による抵抗発熱によりその箇所を溶融
軟化させ、それと同時に、両電極により両者を加圧して
行う。
【0006】図6に、従来の炭素鋼製の板状部材のリン
グプロジェクション溶接において形成するプロジェクシ
ョンの一般的な形状、詳しくはその断面形状を示す。プ
ロジェクション23は尖った頂部(尖頂部)23aを有
し、容器本体10の鋼板にその尖頂部23aを当接した
状態でプロジェクション溶接が行われる。したがって、
容器本体10とインレットパイプ20との接する面積は
極めて小さく、この接する部分に溶接電流が流れるた
め、その部分での発熱量は大きく、良好な炭素鋼板製部
材の接合が達成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】最近、鋼構造物では、
その耐久性を良好なものとするために、材料を炭素鋼か
らステンレス鋼に変更するといった動向がある。上述の
自動車用燃料タンクの場合でも、その内容物が燃料であ
ることからより高い耐久性を要求され、やはり、一部の
ものでは、ステンレス鋼を採用することが検討されてい
る。
【0008】材料をステンレス鋼に変更した場合、例え
ば、上記自動車用燃料タンクにおいて、容器本体、イン
レットパイプをともにそのままの形状を採用してステン
レス鋼にて成形し、さらに、そのままのプロジェクショ
ン形状を採用して、リングプロジェクション溶接を行う
ことが考えられる。ところが、ステンレス鋼は炭素鋼に
比較して電気抵抗が高く、上記形状のプロジェクション
では、溶接通電時の発熱量が極めて大きく、また、その
頂部の極めて小さな範囲に集中するため、プロジェクシ
ョンの一部が溶融と同時に飛び散るという現象が生じ
る。このプロジェクションの溶融飛散は、母材への溶融
金属の溶け込みを減少させるとともに、接合する部分の
面積をも減少させることから、接合強度の低下を招く結
果となる。さらには、接合部のシール性に悪影響を与え
ることになる。つまり、プロジェクションが飛散した接
合部のその部分の完全な接合が達成できず、その部分か
ら内容物である燃料が漏れ出す(染み出す)結果とな
る。
【0009】このプロジェクションの飛散という現象を
防止するため、溶接電流を小さくしてリングプロジェク
ション溶接を行うことが考えられる。ところが、溶接電
流を小さくすると母材までの充分な溶け込みが達成でき
ず、やはり接合強度が低下するという問題が生じる。
【0010】ステンレス鋼製板状部材をリングプロジェ
クション溶接する際に生じる上記問題は、例示した自動
車用燃料タンクの場合に限らず、リングプロジェクショ
ン溶接を適用しようとするステンレス鋼構造物に共通す
る問題であり、特に、接合強度とシール性との両者を要
求される接合部を有する構造物においては、極めて重要
な問題となる。
【0011】本発明者は、ステンレス鋼製の板状部材の
リングプロジェクション溶接について、鋭意研究および
幾多の実験を重ねた結果、プロジェクション形状を調整
することによって、接合強度とシール性との両者を充分
に確保できる接合部が達成できるとの知見を得た。本発
明は、この知見に基づくものであり、ステンレス鋼製の
板状部を有する2つの部材のリングプロジェクション溶
接による接合方法であって、接合部の接合強度およびシ
ール性に優れた接合方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の2部材の接合方法は、ステンレス鋼製の板
状部を有する2つの部材を、それぞれの該板状部を重ね
合わせ、リングプロジェクション溶接を行って接合する
2部材の接合方法であって、一方の前記部材の板状部
に、その頂部が略平坦でありかつ環状に連続するプロジ
ェクションを形成するプロジェクション形成工程と、前
記一方の部材を、前記プロジェクションが他方の前記部
材の板状部と接するように重ね合わせ、該2つの部材に
加圧通電することによりリングプロジェクション溶接を
行うリングプロジェクション溶接工程とを含んでなり、
前記プロジェクション形成工程で形成される前記プロジ
ェクションの前記頂部の幅が、前記一方の部材の板状部
の厚みをt(mm)とした場合において、t(mm)以
上2t(mm)以下であることを特徴とする。
【0013】つまり、本発明の2部材の接合方法は、リ
ングプロジェクション溶接を行う際に一方の部材に形成
するプロジェクションの形状に特徴を有するものであ
り、詳しくは、そのプロジェクションに所定の幅の平坦
な部分を形成し、その部分で相手部材と当接させてプロ
ジェクション溶接を行うものである。
【0014】この形状のプロジェクションを採用するこ
とで、2つの部材の当接面積を増加させて通電抵抗を減
少させ発熱量をある程度小さくすると同時に、抵抗発熱
が極端に集中することを防止し、プロジェクションの一
部が溶融飛散するすることを効果的に抑制することが可
能となる。したがって、ステンレス鋼製板状部材の接合
にリングプロジェクション溶接を採用する場合であって
も、本発明の2部材の接合方法によれば、接合強度とシ
ール性の両者が担保された良好な接合部を有する構造物
を実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の2部材の接合方
法の実施形態を、自動車用燃料タンクの容器本体とそれ
に接合される付属部材の接合に例をとって、図面をも参
照しつつ詳しく説明し、その後に、他の実施形態につい
て説明する。
【0016】〈自動車用燃料タンクにおける一実施形
態〉図1に、自動車用燃料タンクの一例を示し、図2
に、容器本体とそれに接合される付属部材であるインレ
ットパイプとが接合されている部分の断面を示す。これ
らの図については、容器本体およびインレットパイプの
両者がステンレス鋼製であることを除き、先の従来技術
の項に示したものであるため、その説明はここでは省略
する。
【0017】本発明の接合方法は、ステンレス鋼製の板
状部を有する2つの部材を、それぞれの該板状部を重ね
合わせ、リングプロジェクション溶接を行って接合する
2部材の接合方法であり、本実施形態の自動車用燃料タ
ンクの接合においては、容器本体10およびインレット
パイプ20がそれぞれステンレス鋼製の板状部を有する
2つの部材となる。容器本体10は、ステンレス鋼板か
らプレス、溶接等の工程を経てに成形されおり、そのも
のが板状部となっている。これに対し、インレットパイ
プ20は、そのフランジ部22が板状部となる。図示す
るインレットパイプ20は、ステンレス製パイプ材を成
形することによりフランジ部22を形成させているが、
パイプ材に略ドーナッツ状の板材を接合してその板材が
フランジ部となるものであってもよい。
【0018】本発明の接合方法では、プロジェクション
形成工程とリングプロジェクション溶接工程とを含んで
なる。まず、プロジェクション形成工程では、一方の前
記部材の板状部に、その頂部が略平坦でありかつ環状に
連続するプロジェクションを形成する。図3に、本実施
形態において形成されるプロジェクションの断面形状を
示す。先に説明した図6に示すプロジェクションが尖頂
部23aを有するのと異なり、本プロジェクションは、
その頂部が平坦に形成されている、つまり、平頂部23
bを有している。
【0019】本発明の接合方法においては、平頂部の幅
を、その部材の板状部の厚みをt(mm)とした場合に
おいて、t(mm)以上2t(mm)以下と規定してお
り、図3に基づく本実施形態では、インレットパイプ2
0のフランジ部22の板厚をt(mm)とすれば、平頂
部23bの幅がt〜2t(mm)となるようなプロジェ
クションを形成する。
【0020】抵抗溶接による溶接継手を設計する場合、
重ね合わせる鋼板の板厚に応じた強度が確保されるよう
に設計する。したがって、プロジェクション全体の幅等
の形状的パラメータや、溶接電流の値等の溶接条件パラ
メータは、概ね、接合される部材の板厚に依存するパラ
メータとなる。一般に、部材の板厚が大きい場合、接合
強度を高くするのが一般的であり、プロジェクション全
体の幅を大きくして接合面積を大きく必要があり、そし
て、それに応じ溶接電流を大きくする必要がある。こう
いったパラメータが接合される部材の板厚に依存するこ
とから、プロジェクション形状における平頂部の幅をも
板厚に依存させることに技術的な問題はない。つまり、
図3に基づけば、フランジ部22の板厚が大きくなるに
つれて、プロジェクション23も大きくする必要がある
ことから、板厚(t)が厚くなるにつれて、平頂部23
bの幅(t〜2t)も大きくしなければならず、このこ
とは、接合強度を確保する上で必要な条件となってく
る。
【0021】本発明の接合方法において、プロジェクシ
ョンの平頂部の幅がtより小さい場合、つまり、プロジ
ェクションが尖っている場合は、リングプロジェクショ
ン溶接の際に、抵抗発熱による発熱量が過度に大きく、
また、極めて狭い部分に熱量が集中するため、その一部
が溶融飛散し易くなる。溶融飛散すれば、その部分の接
合強度およびシール性は確保できなくなる。逆に、平頂
部の幅が2tより大きい場合は、溶接電流の通電抵抗が
小さくなり、充分な熱量が得られなくなり、接合部にお
ける母材までの溶け込みが減少し、やはり充分な接合強
度が得られなくなる。これらのことに鑑み、本発明の接
合方法では、プロジェクションの平頂部の幅をt〜2t
としている。なお、本発明者の実験によれば、接合強度
とシール性の両者を確保できる溶接条件の範囲、詳しく
は、適正となる溶接電流値の幅は、平頂部の幅を1.5
t前後とする場合が最も広くなり、溶接条件の管理が容
易になる。
【0022】プロジェクションの平頂部は、図3に示す
ように完全に平坦な、つまり、断面形状において直線と
して表れる形状の頂部のみを意味するものではない。例
えば、断面において、頂部が若干の凸状面、あるいは、
凹状面で構成される形状のものをも含むことを意味す
る。例えば、図4に示すものは、断面において、その平
頂部23bが円弧状に形成されたプロジェクション23
である。このような断面形状のプロジェクションの場
合、発熱した熱量の局所への集中は緩和され、溶接時に
おけるプロジェクションの溶融飛散は充分に抑制される
ことになる。
【0023】本発明の接合方法において、プロジェクシ
ョンの形成方法は、特に限定するものではない。炭素鋼
からなる板状部材に形成していた従来からの種々の方法
によって、形成すればよい。例えば、プレス成形、機械
加工等の方法によって形成すればよい。本実施形態のイ
ンレットパイプの場合は、プレス成形によって形成して
いる。
【0024】次に、リングプロジェクション溶接工程に
ついて説明する。リングプロジェクション溶接工程で
は、前記一方の部材を、前記プロジェクションが他方の
前記部材の板状部と接するように重ね合わせ、該2つの
部材に通電加圧することによりリングプロジェクション
溶接を行う。本実施形態では、容器本体に、プロジェク
ションを形成した上記インレットパイプを、そのプロジ
ェクションの平頂部が容器本体を構成するステンレス鋼
板に当接するように重ね合わせ、その状態でリングプロ
ジェクション溶接を行う。
【0025】図5に、容器本体10とインレットパイプ
20とのリングプロジェクション溶接を模式的に示す。
容器本体10には、燃料供給孔11が設けられ、インレ
ットパイプ20は、この燃料供給孔11に対してパイプ
部21が略同軸的に位置するように、容器本体10に接
合される。リングプロジェクション溶接機(詳しく図示
していない)は、表面に電気的絶縁を施した円柱状の位
置決め治具31を有しており、この位置決め治具31を
容器本体10の燃料供給孔11に挿通させ、そしてイン
レットパイプ20のパイプ部21をも挿通させることに
よって、両者はその定位置が決定され、位置決めされた
状態では、インレットパイプ20のフランジ部22形成
されたプロジェクション23は、その平頂部が容器本体
10の表面に接している。
【0026】リングプロジェクション溶接機は、円筒状
の2つの溶接電極32、33を有しており、この溶接電
極22および溶接電極23は、その両者の間に、容器本
体10とインレットパイプ20のフランジ部22とを、
プロジェクション23が形成された位置で挟持してセッ
トされる。溶接時には、溶接電極22および溶接電極2
3は互いに近づく方向に挟持された部分を所定の力で加
圧し、略同時に、両電極間には所定の電流が所定時間通
電される。プロジェクション23および容器本体10の
プロジェクション23が接する部分は、通電抵抗により
発熱し、溶融軟化し、次いでその状態で冷却凝固するこ
とにより、容器本体10とインレットパイプ20との接
合が完了する。
【0027】なお、溶接電流値、通電時間、加圧力、加
圧時間等の溶接条件は、特に限定するものではないが、
従来からの炭素鋼板状部材の溶接条件に準じて、両部材
の板厚、接合面積の大きさ、プロジェクションの形状等
に応じて、適正な値を選択すればよい。
【0028】本リングプロジェクション溶接では、平頂
部を有する上記断面形状のプロジェクションの作用によ
り、比較的大きな溶接電流で溶接しても、プロジェクシ
ョンの一部が溶融飛散することなく、接合強度と接合部
のシール性の両者に優れた接合が達成できる。
【0029】〈他の実施形態〉以上、自動車用燃料タン
クにおける本発明の2部材の接合方法の一実施形態につ
いて説明したが、本発明の接合方法は、上記実施形態に
限定されるものではない。本発明の接合方法は、上記実
施形態を始めとして当業者が行い得る変更、改良を施し
た種々の形態にて実施することができる。
【0030】上記実施形態では、付属部材としてインレ
ットパイプを例示しているが、他の自動車用燃料タンク
の付属部材、例えば、燃料の量の変動に応じて内部エア
ー圧を調節する内部圧調節管、液面センサ取付具、タン
ク内部に接合される波音消し板、ポンプを取付けるため
の環状リテーナ等、ステンレス製でありかつリングプロ
ジェクション溶接によって接合される付属部材であれ
ば、種々の付属部材の接合に適用できる。
【0031】なお、図1に示す自動車用燃料タンク1で
は、その容器本体10が上部容器部材10aと下部容器
部材10bとを接合することにより形成されている。詳
しくは、ステンレス鋼板からなり合せ面にフランジ10
cを形成した2つの半容器を、その互いのフランジ10
cを重ね合わせて、その重ねあわせた部分を接合するこ
とにより形成されている。この容器本体10のフランジ
10cの接合においても、本発明の接合方法が適用でき
る。上部容器部材10aまたは下部容器部材10bのフ
ランジ10cに、その全長にわたって上述したような平
頂部を持つプロジェクションを形成し、極めて大型の溶
接装置を使用し、リングプロジェクション溶接を行えば
よい。
【0032】また、自動車用燃料タンクに限らず、ステ
ンレス鋼製の部材、詳しくは、ステンレス鋼からなる板
状部を有しその板状部で接合されるような部材どうしの
接合により構成され、かつ、その接合がリングプロジェ
クション溶接によって行われるような構造物であれば、
各種構造物の製造の一部において採用することが可能で
ある。
【0033】本発明の接合方法はステンレス鋼製の部材
の接合に関するものである。適用できるステンレス鋼
は、その種類を特に限定するものではない。炭素鋼より
電気抵抗の高い材料であれば、プロジェクション形状が
もたらす本発明の接合方法のメリットを充分に享受する
ことができる。例えば、具体的には、SUS304、S
US304L、SUS409、SUS436、SUS4
39、SUS444等、その適用範囲は広い。
【0034】
【実施例】本発明の接合方法に採用されるプロジェクシ
ョン形状と、従来から炭素鋼製板状部材の接合に採用さ
れているプロジェクション形状との比較をすべく、それ
ぞれの形状のプロジェクションをステンレス鋼製の板状
部材に形成して、実際にリングプロジェクション溶接を
行って、接合部の接合強度およびシール性を調査した。
以下に、説明する。
【0035】対象とする製品は、自動車用燃料タンクで
あり、接合される2つの部材は、容器本体とインレット
パイプである。これらは、図1および図2に示すもので
あり、その形態については、上記説明のとおりである。
具体的には、容器本体は、SUS304L製であり、そ
の厚みが1mmの板材から成形されている。また、イン
レットパイプのフランジ部は、SUS304L製であ
り、その厚みが1mmの板状部材として形成されてい
る。
【0036】プロジェクションは、インレットパイプの
フランジ部の外周に形成され、フランジ部の外径が50
mmφであることから、略同径の円環状に形成されてい
る。プロジェクションの断面形状は、その一つが図7
(a)に示す形状であり、頂部が1.5mmの幅で平坦
に形成されており、本発明の接合方法において採用され
る形状となっている。また、もう一つのものは、図7
(b)に示す形状であり、頂部は尖っており、従来から
炭素鋼製板状部材の接合に採用されている形状となって
いる。便宜的に、図7(a)に示す形状のプロジェクシ
ョンを実施例のプロジェクションとし、図(b)に示す
形状のプロジェクションを比較例のプロジェクションと
する。
【0037】プロジェクション溶接は、上記2種のプロ
ジェクションを形成して行うそれぞれに対して、溶接電
流を種々変更して行うものとし、いずれも通電時間は、
33m秒、加圧力は、300Nとした。接合部の接合強
度は、その接合部に対して引張試験を行い、破壊に至る
荷重と破壊箇所(接合界面における破壊であるかあるい
は母材における破壊であるか)との両者によって調査し
た。また、シール性については、接合部を目視観察した
結果において、プロジェクションの溶融飛散の程度をも
って調査した。
【0038】図8に、実施例のプロジェクションを形成
して行ったリングプロジェクション溶接(以下、単に
「実施例」と略す)による接合部の調査結果として、ま
た、図9に、比較例のプロジェクションを形成して行っ
たリングプロジェクション溶接(以下、単に「比較例」
と略す)による接合部の調査結果として、溶接電流の電
流値と破壊荷重、破壊箇所およびプロジェクションの溶
融飛散の程度との関係を示す。
【0039】実施例の場合、比較例と比べて、いずれの
電流値の溶接電流で溶接を行ったときでも、その破壊荷
重が大きな値を示しいる。また、接合面の殆どが界面破
壊を生じる界面破壊領域は略同じ電流値のところまでで
はあるが、実施例の場合、溶接電流をそれ以上大きくす
れば界面破壊は消失してその殆どが母材破壊となるのに
対し、比較例の場合は、溶接電流を大きくしてもその割
合は小さくなるものの依然として界面破壊が残存してい
る。つまり、母材破壊と界面破壊とが共存する状態とな
る。このことから判るように、実施例の場合は、均一な
接合状態が得られ、かつ、その接合強度が高いことが確
認できる。
【0040】実施例、比較例の両者とも溶接電流を大き
くすると、プロジェクションの溶融飛散の程度は大きく
なる。ところが、実施例の場合は、比較例の場合と比べ
て、シール性を阻害する程度の飛散となる溶接電流値が
高い。また、比較例の場合、界面破壊領域を超え母材破
壊と界面破壊とが共存する状態の領域において、既にプ
ロジェクションの飛散がかなり大きくなっているのに対
して、実施例の場合は、母材破壊を起こす領域であって
も、プロジェクションの溶融飛散の程度が小さく維持で
きる範囲が存在することが判る。ちなみに、その溶接電
流値の幅は8kA程度となる。
【0041】このことは、比較例の場合、接合強度とシ
ール性の両者が確保でできる溶接電流範囲が存在しない
ことを意味する。これに対し、実施例の場合は、接合強
度とシール性の両者が確保でできる適正電流範囲が存在
することを意味する。したがって、これらの調査結果を
総合的に判断すれば、実施例は、つまり、所定の平頂部
を有する上記プロジェクション形状を採用したリングプ
ロジェクション溶接による本発明の接合方法は、ステン
レス鋼製の板状部材を接合する場合であっても、接合強
度とシール性との両者を兼ね備えた良好な接合部が実現
できる接合方法となることが確認できる。
【0042】
【発明の効果】本発明は、ステンレス鋼製の板状部を有
する2つの部材を、それぞれの板状部を重ね合わせ、リ
ングプロジェクション溶接を行って接合する2部材の接
合方法において、そのプロジェクション形状を所定の形
状、詳しくは、所定幅の平頂部を有するような形状とす
るものである。このことにより、溶接時におけるプロジ
ェクションの溶融飛散を抑制できることで、接合強度と
シール性の両者が担保された良好な接合部を有する構造
物を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の接合方法が適用できる自動車用燃料
タンクを示す。
【図2】 図1に示す自動車用燃料タンクにおいて、本
発明の接合方法が適用される箇所であって、容器本体と
インレットパイプとが接合されている部分の断面を示
す。
【図3】 本発明の接合方法において形成されるプロジ
ェクションの断面形状を示す。
【図4】 本発明の接合方法において採用可能な別のプ
ロジェクションの断面形状を示す。
【図5】 図1に示す自動車用燃料タンクに適用した本
発明の接合方法において、容器本体とインレットパイプ
とのリングプロジェクション溶接の様子を模式的に示
す。
【図6】 従来からの炭素鋼製板状部材のリングプロジ
ェクション溶接において形成されているプロジェクショ
ンの断面形状を示す。
【図7】 実施例および比較例のそれぞれのプロジェク
ションの形状を示す。
【図8】 実施例のプロジェクションを形成して行った
リングプロジェクション溶接による接合部の調査結果と
して、溶接電流の電流値と破壊荷重、破壊箇所およびプ
ロジェクションの溶融飛散の程度との関係を示す。
【図9】 比較例のプロジェクションを形成して行った
リングプロジェクション溶接による接合部の調査結果と
して、溶接電流の電流値と破壊荷重、破壊箇所およびプ
ロジェクションの溶融飛散の程度との関係を示す。
【符号の説明】
1:自動車用燃料タンク 10:容器本体 10a:上部容器部材 10b:下部容器部材 10c:フランジ 11:燃料供給口 20:インレットパイプ 21:パイプ部 22:フランジ部 23:プロジェクション 23a:尖頂部 23b:平頂部 31:位置決め治具 32、33:溶接電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23K 101:12 B23K 103:04 103:04 B60K 15/02 Z (72)発明者 清須 俊朗 愛知県豊田市鴻ノ巣町2丁目26番地 堀江 金属工業株式会社内 (72)発明者 磯村 鎮司 愛知県豊田市鴻ノ巣町2丁目26番地 堀江 金属工業株式会社内 Fターム(参考) 3D038 CA05 CA15 CA22 CA27 CA31 CC06 CC10 CC13 CC19

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼製の板状部を有する2つの
    部材を、それぞれの該板状部を重ね合わせ、リングプロ
    ジェクション溶接を行って接合する2部材の接合方法で
    あって、 一方の前記部材の板状部に、その頂部が略平坦でありか
    つ環状に連続するプロジェクションを形成するプロジェ
    クション形成工程と、 前記一方の部材を、前記プロジェクションが他方の前記
    部材の板状部と接するように重ね合わせ、該2つの部材
    に加圧通電することによりリングプロジェクション溶接
    を行うリングプロジェクション溶接工程とを含んでな
    り、 前記プロジェクション形成工程で形成される前記プロジ
    ェクションの前記頂部の幅が、前記一方の部材の板状部
    の厚みをt(mm)とした場合において、t(mm)以
    上2t(mm)以下であることを特徴とする2部材の接
    合方法。
  2. 【請求項2】 ステンレス製の自動車用燃料タンクを製
    造する製造方法の一部をなし、 前記他方の部材が該自動車用燃料タンクの容器本体であ
    り、前記一方の部材が該容器本体に接合される付属部材
    である請求項1に記載の2部材の接合方法。
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