JP3837313B2 - エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンでは、オイルレベルゲージの差込用ボスが、クランク軸の軸受け壁の横側から外れた位置に配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、次の問題がある。
《問題》 エンジンが左右に傾斜すると、オイルレベルの検出を正確に行うことができない。
オイルレベルゲージの差込用ボスが、クランク軸の軸受け壁の横側から外れた位置に配置されているため、回転するクランクアームやコンロッドを避けて、オイルレベルゲージをオイルパンに差込む必要があり、オイルレベルゲージの差込位置が、オイルパンの左右両側の一方に大きく偏る。このため、エンジンが左右に傾斜すると、オイルレベルの検出を正確に行うことができない。
【0004】
本発明の課題は、上記問題点を解決できるエンジンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の構成は、次の通りである。
図5に示すように、シリンダブロック(6)の幅方向を左右横方向と見て、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を、クランク軸(5)の軸受け壁(10)の横側に配置し、
シリンダブロック ( 6 ) の左右の外壁 ( 14 ) を、この左右の外壁 ( 14 ) 付近を通過するコンロッド ( 25 ) とクランクアーム ( 26 ) の外形に沿って屈曲させ、この左右の外壁 ( 14 ) のうち、内側に退避させた部分を内寄り部分 ( 27 ) とし、この内寄り壁部分 ( 27 ) にその外側から臨む凹入空間 ( 30 ) 内に、オイルレベルゲージ ( 31 ) の差込用ボス ( 32 ) を配置し、
前記オイルレベルゲージ ( 31 ) の差込用ボス ( 32 ) を形成するための未穿孔ボス肉部 ( 33 ) を、上記差込用ボス ( 32 ) と同様に凹入空間 ( 30 ) 内に配置することにより、シリンダブロック ( 6 ) の剛性が高まるようにした、ことを特徴とするエンジン。
【0006】
【発明の効果】
(請求項1の発明)
請求項1の発明は、次の効果を奏する。
《効果1》 エンジンが左右に傾斜しても、オイルレベルの検出を正確に行うことができる。
図6に示すように、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を、クランク軸(5)の軸受け壁(10)の横側に配置したため、回転するクランクアーム(26)やコンロッド(25)を避けて、オイルレベルゲージ(31)をオイルパン(37)の左右中央部に差し込むことができる。このため、エンジンが左右に傾斜しても、オイルレベルの検出を正確に行うことができる。
【0007】
《効果2》 シリンダブロックの剛性が高い。
図4・図5に示すように、シリンダブロック(6)の左右の外壁(14)を、この左右の外壁(14)付近を通過するコンロッド(25)とクランクアーム(26)の外形に沿って屈曲させるため、シリンダブロック(6)の剛性が高い。
《効果3》 シリンダブロックの幅を小さくすることができる。
図5・図6に示すように、前記内寄り壁部分(27)にその外側から臨む凹入空間(30)内に、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を配置したため、シリンダブロック(6)の幅を小さくすることができる。
【0008】
《効果4》 オイルレベルゲージの取付位置の選択が可能となる。
図5に示すように、オイルレベルゲージ ( 31 ) の差込用ボス ( 32 ) と、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を形成するための未穿孔ボス肉部(33)を配置したため、オイルレベルゲージ(31)の取付位置の選択が可能となる。
【0009】
(請求項4の発明)
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果5》 シリンダブロックの剛性が高まる。
図6に示すように、シリンダブロック(6)の外壁(14)の一部を外向き膨出状に湾曲させ、その内側に脇水路(34)を形成したため、シリンダブロック(6)の剛性が高まる。
【0010】
(請求項5の発明)
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果6》 シリンダブロックの剛性が高まる。
図6に示すように、シリンダブロック(6)の外壁(14)の一部を外向き膨出状に湾曲させ、その内側にバランサ軸収容室(35)(36)を形成したため、シリンダブロック(6)の剛性が高まる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図6は本発明の実施形態を説明する図で、この実施形態では、縦型水冷の直列多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0012】
このエンジンの構成は、次の通りである。
図6に示すように、シリンダブロック(6)の上部にシリンダヘッド(4)を組み付け、シリンダヘッド(4)の上部にヘッドカバー(40)を組み付け、シリンダブロック(6)の下部にオイルパン(37)を組み付けている。
【0013】
シリンダヘッド(4)の組み付け構造は、次の通りである。
図2に示すように、隣り合うシリンダ壁(1)(1)同士を連続させてシリンダ間肉壁(2)を形成している。図1に示すように、シリンダ中心軸線(3)の方向を上下方向、シリンダヘッド(4)の方を上、シリンダブロック(6)の幅方向を左右方向、クランク軸(5)の架設方向を前後方向と見て、シリンダ間肉壁(2)の上寄り部分(2a)の左右両側にシリンダ間ボス(7)(7)を設け、このシリンダ間ボス(7)(7)の下部をシリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の左右両側部の上部と連続させている。
【0014】
図1に示すように、シリンダヘッド(4)に貫通させたヘッドボルト(8)をシリンダ間ボス(7)に挿入し、シリンダ間ボス(7)に上メネジ部(9)を設け、この上メネジ部(9)にヘッドボルト(8)を螺着して、シリンダヘッド(4)をシリンダブロック(6)に組み付けている。上メネジ部(9)は、シリンダ間ボス(7)とシリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の左右両側部の一方または両方にわたり形成することができる。
【0015】
シリンダブロック(4)の組み立て構造は、次の通りである。
図1に示すように、シリンダブロック(6)のクランクケース内にクランク軸(5)の軸受け壁(10)を形成し、この軸受け壁(10)を上壁部分(10a)と下壁部分(10b)とに分割できるようにし、上壁部分(10a)をシリンダブロック(6)に連結し、上壁部分(10a)の左右両側に上壁ボス(11)(11)を設け、この上壁ボス(11)(11)の下部をシリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の左右両側部の上部と連続させている。下壁部分(10a)に貫通させた軸受けボルト(12)を上壁ボス(11)に挿入し、上壁ボス(11)に下メネジ部(13)を設け、この下メネジ部(13)に軸受けボルト(12)を螺着して、下壁部分(10b)をシリンダブロック(6)に組み付けている。下メネジ部(13)は、とシリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の一方または両方にわたり形成することができる。
【0016】
シリンダブロック(6)に関する工夫は、次の通りである。
図3・図4に示すように、上下メネジ部(9)(13)とシリンダブロック(6)の外壁(14)との間にシリンダブロック内空間(17)を介在させている。このため、シリンダブロック(6)の外壁(14)が燃焼室で発生するガス圧で引き伸ばされにくく、振動しにくい。このため、エンジン騒音が小さくなるとともに、エンジンの耐用寿命も長くなる。また、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の左右両側部の前後に連なるシリンダ壁(1)の下寄り部分(15)の左右両側部が、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の左右両側に近づくにつれて、その厚さを増すようにしている。このため、シリンダ壁(1)の下寄り部分(15)の左右両側部に大きなガス圧がかかっても、この部分の歪を抑制することができる。このため、この部分の歪に起因するピストンの焼き付きやスラップ音等の発生を抑制することができる。尚、シリンダブロック内空間(17)は、オイル落とし空間とプッシュロッド収容室である。
【0017】
図1に示すように、シリンダ間肉壁(2)に横断水路(18)を形成するに当たり、下死点に位置するピストンヘッドの最上部のピストンリングの位置(19)よりも高い位置に横断水路(18)の最下縁(20)を位置させている。このため、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の高さを十分に確保することができ、この部分の強度を確保することができる。
【0018】
図1に示すように、上下に位置するヘッドボルト(8)と軸受けボルト(12)の一対が、同一軸線(29)上に配置されるようにしている。このため、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)が受ける引っ張り力が同一軸線(29)上で作用し、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)のせん断歪を抑制することができる。このため、この部分のせん断歪によってピストンの焼き付きやスラップ音等が発生するのを抑制することができる。また、ヘッドボルト(8)と軸受けボルト(12)とを共通化させている。このため、ボルトの管理が容易になるとともに、ボルトの調達コストが低廉になる。
【0019】
図1に示すように、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)にオイル供給通路(21)を形成するに当たり、オイル供給通路(21)が、上メネジ部(9)と下メネジ部(13)とに連通することなく、これらの間を通過するようにしている。このため、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)をオイル供給通路(21)の形成用肉壁として有効利用することができる。また、ネジ加工時に発生した切り粉がオイル供給通路(21)に侵入するのを抑制することができる。また、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)で、上メネジ部(9)と下メネジ部(13)との間に、連動軸(22)の軸孔(23)を侵入させている。このため、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)を、軸孔(23)の形成用肉壁として有効利用することができる。この連動軸(22)は動弁カム軸である。
【0020】
図1に示すように、シリンダブロック(6)を上ブロック部分(6a)と下ブロック部分(6b)とに分割可能にし、下ブロック部分(6b)をブロック組付けボルト(24)で上ブロック部分(6a)に組み付けられるようにしている。このため、複数種の下ブロック部分(6b)を用意しておき、これらを上ブロック部分(6a)に選択的に組み付けることにより、異種エンジンの造り分けを簡単に行うことができる。例えば、横幅の広い標準仕様の下ブロック部分(6b)と横幅の狭いトラクタ仕様の下ブロック部分(6b)とを用意しておき、これらを上ブロック部分(6a)に選択的に組み付けることにより、標準仕様エンジンとトラクタ仕様エンジンとの造り分けを簡単に行うことができる。
【0021】
図6に示すように、下ブロック部分(6b)に前記軸受け壁(10)の下壁部分(10b)を連結している。このため、燃焼室で発生するガス圧は、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の左右両側部だけでなく、下ブロック部分(6b)を介して上ブロック部分(6a)でも負担される。このため、シリンダ間肉壁(2)の下寄り部分(2b)の左右両側部にかかる負担を軽減することができる。また、上下ブロック部分(6a)(6b)の合わせ面の封止がブロック組付けボルト(24)と軸受けボルト(12)の両方で行われるため、上下ブロック部分(6a)(6b)の合わせ面の封止力が高い。
【0022】
図4・図5に示すように、シリンダブロック(6)の左右の外壁(14)を、この左右の外壁(14)付近を通過するコンロッド(25)とクランクアーム(26)の外形に沿って屈曲させている。このため、シリンダブロック(6)の剛性が高い。また、この左右の外壁(14)のうち、内側に退避させた内寄り壁部分(27)に前記ブロック組付けボルト(24)の上下取付ボス(28a)(28b)を形成している。このため、左右の取付ボス(28a)(28b)が相互に近づき、上下ブロック部分(6a)(6b)の合わせ面の封止力が強化される。
【0023】
図6に示すように、下ブロック部分(6b)にブロック組付けボルト(24)を貫通させる下取付ボス(28b)を形成するに当たり、この下取付ボス(28b)の下開口部を、下ブロック部分(6b)内またはオイルパン(37)内で開口させている。このため、下取付ボス(28b)のボス孔内に侵入したオイルは、その下開口部からオイルパン(37)内に戻り、エンジン外に漏れない。また、上下ブロック部分(6a)(6b)の合わせ面を封止するに当たり、その合わせ面に接着剤を塗布する場合があるが、下取付ボス(28b)のボス孔内にオイルが侵入しても、オイルがエンジン外に漏れないため、下取付ボス(28b)の上開口部の周囲全てに接着剤を塗布する必要がない。このため、上下ブロック部分の合わせ面の封止に手間がかからない。
【0024】
オイルレベルゲージ(31)の取付構造は、次の通りである。
図5・図6に示すように、内寄り壁部分(27)にその外側から臨む凹入空間(30)内に、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を配置している。このため、シリンダブロック(6)の幅を小さくすることができる。また、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を、クランク軸(5)の軸受け壁(10)の横側に配置している。このため、回転するクランクアーム(26)やコンロッド(25)を避けて、オイルレベルゲージ(31)をオイルパン(37)の左右中央部に差し込むことができる。このため、エンジンが左右に傾斜してもオイルレベルの検出を正確に行うことができる。
【0025】
図5に示すように、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を形成するための未穿孔ボス肉部(33)を、左右の外壁(14)の複数箇所で、凹入空間(30)内に配置している。この未穿孔ボス肉部 ( 33 ) をシリンダブロック ( 6 ) の左右に振り分けて配置している。このため、オイルレベルゲージ(31)の取付位置の選択が可能となる。また、シリンダブロック(6)の剛性が高まる。
【0026】
シリンダブロック(6)の剛性強化のための他の構造は、次の通りである。
図3に示すように、シリンダブロック(6)の左右の外壁(14)の一方に前後方向に沿う脇水路(34)を設け、シリンダブロック(6)内にウォータージャケット(16)を設け、ラジエータからの冷却水を脇水路(34)を介してウォータージャケット(16)に導入するに当たり、図6に示すように、シリンダブロック(6)の外壁(14)の一部を外向き膨出状に湾曲させ、その内側に脇水路(34)を形成している。シリンダブロック(6)の左右の外壁(14)の両方に前後方向に沿うバランサ軸収容室(35)(36)を設けるに当たり、シリンダブロック(6)の外壁(14)の一部を外向き膨出状に湾曲させ、その内側にバランサ軸収容室(35)(36)を形成している。バランサ軸収容空間(35)(36)には、二次バランサ軸(38)(39)を収容している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るエンジンのシリンダブロックのシリンダヘッドの縦断正面図である。
【図2】 本発明の実施形態に係るエンジンのシリンダブロックの平面図である。
【図3】 図1のIII−III線断面図である。
【図4】 図1のVI−VI線断面図である。
【図5】 図1のV−V線断面図である。
【図6】 本発明の実施形態に係るエンジンの縦断正面図である。
【符号の説明】
(5)…クランク軸、(6)…シリンダブロック、 (10)…軸受け壁、 (14)…外壁、 (16)…ウォータージャケット、 (25)…コンロッド、(26)…クランクアーム、(27)…内寄り壁部分、(30)…凹入空間、(31)…オイルレベルゲージ、(32)…差込用ボス、(33)…未穿孔ボス肉部、(34)…脇水路、(35)(36)…バランサ軸収容室。
Claims (5)
- シリンダブロック(6)の幅方向を左右横方向と見て、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を、クランク軸(5)の軸受け壁(10)の横側に配置し、
シリンダブロック(6)の左右の外壁(14)を、この左右の外壁(14)付近を通過するコンロッド(25)とクランクアーム(26)の外形に沿って屈曲させ、この左右の外壁(14)のうち、内側に退避させた部分を内寄り部分 ( 27 ) とし、この内寄り壁部分(27)にその外側から臨む凹入空間(30)内に、オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を配置し、
前記オイルレベルゲージ(31)の差込用ボス(32)を形成するための未穿孔ボス肉部(33)を、上記差込用ボス ( 32 ) と同様に凹入空間(30)内に配置することにより、シリンダブロック ( 6 ) の剛性が高まるようにした、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1に記載したエンジンにおいて、
前記未穿孔ボス肉部 ( 33 ) を複数形成した、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項2に記載したエンジンにおいて、
前記未穿孔ボス肉部 ( 33 ) をシリンダブロック ( 16 ) の左右に振り分けて配置した、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載したエンジンにおいて、
クランク軸(5)の架設方向を前後方向と見て、シリンダブロック(6)の左右の外壁(14)の一方に前後方向に沿う脇水路(34)を設け、シリンダブロック(6)内にウォータージャケット(16)を設け、ラジエータからの冷却水を脇水路(34)を介してウォータージャケット(16)に導入するに当たり、
シリンダブロック(6)の外壁(14)の一部を外向き膨出状に湾曲させ、その内側に脇水路(34)を形成した、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載したエンジンにおいて、
クランク軸(5)の架設方向を前後方向と見て、シリンダブロック(6)の左右の外壁(14)の一方または両方に前後方向に沿うバランサ軸収容室(35)(36)を設けるに当たり、
シリンダブロック(6)の外壁(14)の一部を外向き膨出状に湾曲させ、その内側にバランサ軸収容室(35)(36)を形成した、ことを特徴とするエンジン。
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