JP3837301B2 - 冷凍サイクル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍サイクルにおいて、遮断弁をエコノマイザ熱交換器に近接して配置すること、もしくは、エコノマイザ回路の容積を増大させることに関する。
【0002】
【従来の技術】
エコノマイザ回路は、冷却容量もしくは加熱容量を増大させるために、冷凍サイクルに利用されている。周知のように、冷凍サイクルにおいて、冷媒が圧縮される圧縮機と、冷媒が通常は周囲空気に露出される凝縮器と、の間を冷媒が通過する。冷媒は、凝縮器から流出し、1次膨張装置を通過し、続いて蒸発器まで流れる。冷却されるべき環境は、蒸発器を通過している冷媒によって冷却される。冷媒は、蒸発器から圧縮機まで戻り、この経路上にある吸入絞り装置を通過する。
【0003】
凝縮器のすぐ下流側にエコノマイザ回路が設けられる場合がある。実質的に、凝縮器から流出する冷媒の一部が、メインフローラインから分離されてエコノマイザ膨張装置を通過する。エコノマイザ熱交換器もしくはフラッシュタンクが、エコノマイザ膨張装置から流出する流体を受けるとともに、冷媒のメインフローを1次膨張装置に流入する前に凝縮器から受ける。フラッシュタンクおよびエコノマイザ熱交換器は、両方とも、2つのフローライン間で熱を移送させるための周知の手段である。このような用途のために、「エコノマイザ熱交換器」という用語が、管の内部を通って延びている2つのラインの間で熱を移送させる熱交換器およびフラッシュタンクの両方を含んでいることを、理解すべきである。これらは、両方とも、エコノマイザサイクルに利用されている熱交換器であり、かつ周知のものである。従って、本願および請求項に記載されている「エコノマイザ熱交換器」という用語がこれらを両方とも含むものであることを、理解すべきである。エコノマイザから流出した後、冷媒は、1次膨張装置に到達する前に、メインフローラインにおいて回路の膨張装置により冷却される。従って、1次膨張装置に到達する冷媒は付加的に予備冷却されており、これによって、蒸発器の冷却容量が増大する。
【0004】
メインフローラインから分離されてエコノマイザ膨張装置から流出する冷媒は、エコノマイザ熱交換器を通過し、続いて、圧縮機に戻る。ユニットの冷却容量もしくは加熱容量を制御するために、エコノマイザ回路のオン・オフの切り換えが可能となっていることが好ましい。従って、通常は、遮断弁が圧縮機に隣接して配置されている。エコノマイザラインによって、この遮断弁がエコノマイザ熱交換器に接続されている。エコノマイザラインのもう一方の部分は、遮断弁から圧縮機までの短い距離を延びている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
圧縮機の運転中、遮断弁が閉じている場合は、ラインのエコノマイザ部分が、この遮断弁の位置で閉塞される。圧縮された冷媒は、閉じたバルブと圧縮機との間における閉塞部分の全体に亘って導かれる。このことに起因して、エコノマイザラインにおいて望ましくない温度上昇が生じる場合がある。このように高温になるため、高温に耐え得る高価な遮断弁が必要とされる場合があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来は圧縮機に隣接して配置されていた遮断弁の位置を最適化するか、さもなければ、圧縮機と遮断弁との間に付加的な容積部を設けることに関する。
【0007】
本発明の開示された実施例では、遮断弁から圧縮機までの距離よりも遮断弁からエコノマイザ熱交換器までの距離の方が小さくなるように、遮断弁が配置されているか、さもなければ、付加的な容積部がエコノマイザラインに設けられている。従って、遮断弁が閉じた状態で、遮断弁と圧縮機との間のエコノマイザ閉塞部分の長さもしくは容積が、比較的大きくなる。
【0008】
最も好適な実施例では、遮断弁が、エコノマイザ熱交換器にすぐ隣接した位置に配置されている。好ましくは、熱交換器から遮断弁までの距離がエコノマイザラインの50%以内となるような位置に、遮断弁が配置されている。最も好ましくは、遮断弁がエコノマイザ熱交換器の下流側に配置される実施例において、エコノマイザ熱交換器から遮断弁までの距離がエコノマイザラインの20%以内となるような位置で、遮断弁がエコノマイザラインに配置されている。代わりの実施例として、エコノマイザラインにおいて圧縮機まで延びている部分に付加的な容積部を設けることもできる。
【0009】
他の実施例では、遮断弁が、エコノマイザ膨張装置の上流側に配置されている。
【0010】
さらに、もう1つの実施例では、エコノマイザ膨張装置が、電子的に制御されるとともに、膨張装置としてだけでなく遮断弁としても利用されるようになっている。
【0011】
上述した各実施例によって、エコノマイザラインの閉塞部分の長さおよび/または容積が、従来技術のものよりもはるかに増大する。このような配置によって、効率もしくは容量が低下し得ることが予想されるが、実際は、この逆であることが判っている。試験の結果、遮断弁をエコノマイザ熱交換器に近接して配置した場合に、圧縮機の効率および容量が両方とも増大することがわかった。さらに、圧縮過程の効率が増大することによって、圧縮機から流出する冷媒の吐出温度も数度低下する。
【0012】
エコノマイザラインの閉塞部分における温度は、劇的に低下する。ある試験では、この温度が、310°F(154℃)から200°F(93℃)に低下した。このことによって、従来技術のような高温に耐える必要がない安価な遮断弁を利用することが可能となり、また、火災などが減少する。
【0013】
遮断弁が膨張装置の上流側に配置された場合は、通常、この遮断弁によって冷媒の液相部分がシールされる。液体ラインは、直径が気体ラインよりも小さいため、シールするのが容易である。従って、液体をシールするバルブは、気体ラインのバルブよりも小さく、かつ安価なものでよいため、安価な膨張バルブでも利用できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1には、冷凍サイクル20が示されており、この冷凍サイクルにおいて、スクロール圧縮機として示されている圧縮機22が圧縮機ポンプユニット24を備えている。図示されているように、エコノマイザライン28からの気体は、エコノマイザ導入口26を介して、圧縮機ポンプユニット24により画定されている圧縮室に導かれる。エコノマイザライン28は、圧縮機22からエコノマイザ熱交換器34まで戻る方向に延びるものとして画定されている。エコノマイザ熱交換器34については、以下で詳細に説明する。吐出ライン30が、圧縮機22から凝縮器32まで延びている。メインフローライン33が、凝縮器32から延びてエコノマイザ熱交換器34を通っている。また、エコノマイザ熱交換器34として、フラッシュタンク(flush tank)を設けることも可能である。エコノマイザ分岐部(economizer tap)36によって、冷媒がエコノマイザ熱交換器34へと導かれるようになっている。また、エコノマイザサイクルについては、以下で詳細に説明する。熱交換器34の下流側には、1次膨張装置38および蒸発器40が配置されている。周知のように、蒸発器40の内部で蒸発し、さらに過熱されている冷媒によって、冷却されるべき環境41が冷却される。本発明は、好ましくは、低温に冷却される必要がある冷凍領域に対応している。この図では、冷凍領域は、冷凍輸送ユニットである。このようなシステムでは、エコノマイザ回路の距離が比較的大きい。冷媒は、蒸発器40から戻り、選択的に設けることが可能な吸入絞り装置42を通過し、さらに、ライン44を通って圧縮機吸入口68に戻る。最近、エコノマイザライン28とライン44とがアンローダバイパス装置により接続されたシステムが、出願人の1人によって提案されているが、このようなアンローダバイパス装置の細部は、本発明から切り離されている。エコノマイザ膨張装置46が、分岐ライン36に設けられている。遮断弁48が、エコノマイザ熱交換器34のすぐ下流側に配置されている。遮断弁48が閉じている状態で、エコノマイザライン28がこの遮断弁48の位置で閉塞されるため、エコノマイザライン28の閉塞部分が従来技術のものより長くなる。エコノマイザライン28の半分の位置から圧縮機22までの部分には、遮断弁48を配置しないことが好ましい。より好ましくは、遮断弁48からエコノマイザ熱交換器34までの距離が、熱交換器34と圧縮機22との間の距離の20%以内となるように、遮断弁48がエコノマイザライン28上に配置されている。このように、本発明によって、閉塞部分の長さを非常に大きくすることができ、これによって、上述した効果が得られる。運転中、エコノマイザ運転が不要な状態では、周知のように、遮断弁48がコントローラによって閉じられる。これによって、圧縮機ポンプユニット24からの流体が閉塞部分に受容される。エコノマイズ運転の間は、遮断弁48が開けられ、これによって冷媒がエコノマイザライン28を介して圧縮機ポンプユニット24へと戻るようになっている。
【0015】
図2は、第2の実施例を示しており、この実施例では、遮断弁がエコノマイザ膨張弁46の上流側に配置されている。このような実施例では、遮断弁によって気体ではなく液体がシールされるため、安価なバルブ50を利用することができる。液体をシールするバルブは、気体をシールするバルブよりも、安価である。
【0016】
図3に示されている第3の実施例では、エコノマイザ膨張装置として、電子制御により遮断機能が得られる電子式膨張弁52が利用されている。余分なバルブが省かれるため、この実施例によっても低コスト設計が可能となる。
【0017】
本発明の第4の実施例においては、容積部62がエコノマイザライン28の下流部分に設けられており、これによって、エコノマイザライン28が閉じた状態でこれを利用することの効果が増大するようになっている。容積部62は、エコノマイザライン28に一体に設けられており、最も簡単な場合には、エコノマイザライン28よりも直径が大きいラインとして示すことが可能である。エコノマイザライン28の閉塞部分の長さが冷凍サイクルユニットの寸法上の包絡面により制限される場合に、容積部62を利用することが特に重要となる。
【0018】
図5には、バイパスバルブ64が冷凍サイクルに設けられた構成が示されている。上述した実施例も全てこのような構成に適用されており、さらに、バイパスバルブ64まで延びているライン66もまた閉塞部分の一部とみなすことができる。
【0019】
上述した各実施例において、エコノマイザライン28の閉塞部分の長さもしくは容積は、従来技術のものと比較してはるかに増大されている。これによって、効率、容量および吐出温度の点で、全て有利になる。さらに、遮断弁が低温環境で運転されるため、安価なバルブを使用しても信頼性が得られる。
【0020】
好ましくは、閉塞部分の増大された容積が、遮断弁の前方でかつ遮断弁と圧縮機との間にある部分にトラップされる冷媒の量を圧縮機の容積の少なくとも10%とするのに十分な大きさとなっている。より好ましくは、この容積が、圧縮機の容積の20%より大きくされている。好ましくはエコノマイザライン28に設けられた拡大領域である容積部62の寸法は、これに従って決定されるべきである。この実施例に代えて、もしくはこの実施例に組み合わせて、遮断弁48を、このような容積を得るのに十分な距離だけ圧縮機22から離間して配置すべきである。冷凍輸送ユニットでは、エコノマイザライン28における圧縮機22と熱交換器34との間の長さは、比較的大きい。この距離は、5〜10フィートにもなり得る。このようなシステムにおいては、遮断弁48を圧縮機22から少なくとも1フィート離間させることが望ましい。代わりの実施例として、圧縮機22から遮断弁48までの距離が圧縮機22と熱交換器34との間の長さの10%〜20%となる位置には、遮断弁48を配置しないことが好ましい。図1に示されているように、遮断弁48を熱交換器34に極めて近接して配置することがより好ましい。
【0021】
本発明の幾つかの実施例が開示されたが、本発明の範囲内で様々な変更を加えることができることは、当業者であれば理解できるだろう。従って、付随の請求項を検討して、本発明の真の範囲および主旨を決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す図。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図
【図3】本発明の第3の実施例を示す図
【図4】本発明の第4の実施例を示す図
【図5】以上の全ての実施例に加えて、エコノマイザラインと吸入ラインとの間にバイパスバルブが利用されている構成を示す図。
【符号の説明】
22…圧縮機
24…圧縮機ポンプユニット
34…エコノマイザ熱交換器
38…1次膨張装置
40…蒸発器
48…遮断弁

Claims (8)

  1. 冷凍サイクルであって、前記冷凍サイクルは、
    冷媒吸入口および冷媒吐出口を有する圧縮機と、
    前記冷媒吐出口と連通している凝縮器と、を備えており、前記凝縮器から冷媒がエコノマイザ分岐部およびメインフローラインへと導かれるようになっており、前記メインフローラインは、1次膨張装置に通じており、前記エコノマイザ分岐部は、エコノマイザ膨張装置を通っており、さらに、前記冷凍サイクルは、
    前記メインフローラインにおいて前記1次膨張装置の上流側に配置されたエコノマイザ熱交換器を備えており、前記エコノマイザ分岐部もまた、前記エコノマイザ熱交換器を通過するようになっており、前記エコノマイザ熱交換器は、前記エコノマイザ膨張装置の下流側に配置されており、さらに、前記冷凍サイクルは、
    前記1次膨張装置の下流側に配置された蒸発器を備えており、冷媒が前記蒸発器から前記圧縮機へと戻るようになっており、さらに、前記冷凍サイクルは、
    前記エコノマイザ熱交換器から前記圧縮機へと延びているエコノマイザラインと、前記エコノマイザラインを通って前記圧縮機へと向かう冷媒流を遮断する遮断弁と、を備えており、
    前記遮断弁は、前記エコノマイザ熱交換器の下流側に配置されているとともに、前記エコノマイザ熱交換器と前記圧縮機との間における前記エコノマイザラインの長さの10%より大きい距離だけ、前記圧縮機から離間されていることを特徴とする冷凍サイクル。
  2. 前記遮断弁が、前記遮断弁から前記圧縮機までの距離よりも前記遮断弁から前記エコノマイザ熱交換器までの距離の方が小さくなるように、配置されていることを特徴とする請求項記載の冷凍サイクル。
  3. 前記遮断弁と前記圧縮機との間における容積増大部分に付加的な量の冷媒がトラップされるように、前記エコノマイザラインの断面積が一定でないことを特徴とする請求項記載の冷凍サイクル。
  4. 前記エコノマイザ熱交換器からの前記遮断弁の距離が、前記エコノマイザラインの全長の20%以内であることを特徴とする請求項2記載の冷凍サイクル。
  5. 前記圧縮機は、スクロールポンプユニットを備えていることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル。
  6. 前記エコノマイザラインが、断面積が一定でないとともに、容積増大部分により容積が増大しており、これによって、前記エコノマイザラインの容積が増大されていることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル。
  7. 拡大された区画が前記エコノマイザラインに設けられていることを特徴とする請求項記載の冷凍サイクル。
  8. 前記蒸発器によって、冷凍輸送ユニットが冷却されることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル。
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