JP3837188B2 - 光硬化性樹脂組成物とスクリーン印刷版 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物とスクリーン印刷版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアルコールとエポキシ化合物とを含む光硬化性樹脂組成物、およびこれを用いたスクリーン印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリーン印刷版の作成に用いることができる光硬化性樹脂組成物としては、従来から、溶剤現像型や水現像型など、多くのものが知られている。最近は特に、火災予防、環境衛生、公害防止などの観点から水現像型のものが多く用いられるようになってきている。
【0003】
水現像型の光硬化性樹脂組成物の例としては、(1)ポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルエマルジョンとの混合物に重クロム酸塩またはジアゾ樹脂などの光架橋剤を配合した組成物、(2)ポリビニルアルコールに光架橋基としてスチルバゾリウム基、アジド基などを導入した化合物とポリ酢酸ビニルエマルジョンとを混合した組成物、(3)エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤とをポリビニルアルコールで乳化し、これに光架橋剤を配合した組成物(特開昭49−121852号公報、特開昭50−108003号公報、特開昭59−107343号公報など参照)、(4)エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤とをポリビニルアルコールで乳化し、これとポリ酢酸ビニルエマルジョンとの混合液に光架橋剤を配合した組成物(特開昭54−91585号公報、特開昭54−103016号公報、特開昭54−164119号公報、特開昭60−10245号公報など参照)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年になって、スクリーン印刷版の用途が拡大するに伴い、水現像型の光硬化性樹脂組成物に関する高度な要求が生じている。その例を挙げれば、作業環境改善のため、水性の印刷インキが用いられるようになってきたので、スクリーン印刷版に高度な耐水性が求められる、機能性インキの中には非常に溶解力の強い溶剤を用いたものもあるので、スクリーン印刷版に従来以上の耐溶剤性が求められる、ガラス微粉末や金属微粉末を主成分とするペーストインキを用いる業界からは、これらのインキが印刷版を摩耗しやすいことから、経費節減のため、耐摩耗性の良好なスクリーン印刷版が求められる、特に電気業界などからは、印刷面積が広く、しかも高精細で寸法精度の良好なスクリーン印刷版が求められる、などである。
【0005】
一方、従来の水現像型の光硬化性樹脂組成物は、前記の(1)〜(4)で例示したように、ポリビニルアルコール中に、ポリ酢酸ビニルやエチレン性不飽和基を有する疎水性モノマーまたは疎水性プレポリマーを乳化したものであり、露光したときに生成するポリビニルアルコールの架橋物とポリ酢酸ビニルや疎水性ポリマー類との間になんらの化学的な結合もなく、単に混在しているにすぎないので、ポリビニルアルコールの組成比を大きくすると耐水性が低下し、ポリ酢酸ビニルなどの組成比を大きくすると耐有機溶剤性が低下し、耐有機溶剤性を改善しようとして架橋密度の高いエチレン性不飽和化合物の組成比を大きくすると耐摩耗性や寸法精度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、従ってその目的は、水現像型であって、耐水性、耐溶剤性、耐摩耗性、寸法精度などの諸要求を同時に満足させる光硬化性樹脂組成物と、これを用いたスクリーン印刷版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために本発明は以下の構成を含む。
[1] ケン化度が65モル%以上のポリビニルアルコールと、分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を光硬化し得る光カチオン重合開始剤と、ポリビニルアルコールを光架橋し得る光架橋剤とを含み、
前記の光架橋剤が、水溶性の重クロム酸塩、ジアゾ化合物、またはアジド化合物から選ばれた1種以上である光硬化性樹脂組成物。
[2] ケン化度が65モル%以上のポリビニルアルコールと、分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を光硬化し得る光カチオン重合開始剤とを含み、
ポリビニルアルコールが、光架橋性基を有して光架橋性とされたものである光硬化性樹脂組成物。
[3] 前記の光架橋性基が、スチルバゾリウム基である[2]に記載の光硬化性樹脂組成物。
【0008】
[4] エポキシ化合物が、ポリビニルアルコール100重量部当たり100重量部〜2000重量部の範囲内で含まれてなる[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[5] 光カチオン重合開始剤が、芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、または芳香族スルホニウムのいずれか1種以上のカチオンと、BF 、PF 、AsF 、またはSbF のいずれか1種以上のアニオンとの塩である[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【0009】
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を用いて形成された薄膜を露光し、水現像して作成されたスクリーン印刷版。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物(以下、単に「本組成物」という)を、第1の実施例によって説明する。この実施例は、下記の成分を含むエマルジョンの形態をなしている。
(成分1)重合度2400、ケン化度が88モル%のポリビニルアルコール、
(成分2)分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物として;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
(成分3)前記のエポキシ化合物を光硬化し得る光カチオン重合開始剤として;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(式1参照)
式1: Ph・SbF (式中、Phはフェニル基を表す。)、および
(成分4)ポリビニルアルコールを光架橋し得る光架橋剤として;4−ジアゾジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物の硫酸塩からなる水溶性ジアゾ樹脂。
【0011】
得られた組成物は、スクリーン上に塗布し、乾燥することによってスクリーン印刷乾板を作成することができる。得られたスクリーン印刷乾板にフォトマスクを重ね、高圧水銀灯などを用いて露光した後、水現像し、好ましくは乾燥後に再び光を照射して後硬化を行うと、パターン形成されたスクリーン印刷版が得られる。
【0012】
得られたスクリーン印刷版は、従来型の光硬化性樹脂組成物を用いて作成したスクリーン印刷版に比べ、耐水性、耐溶剤性、耐摩耗性、寸法精度などの特性が大幅に改善され、水性インキや特殊溶剤または硬質微粒子を含むインキに対しても耐久性があり、大型版においても寸法精度が優れている。
【0013】
前記実施例に示した組成物は、成分1の水溶性ポリビニルアルコールからなるマトリクス中に、成分3の光カチオン重合開始剤を含む成分2の水不溶性エポキシ樹脂が分散して、水中油型のエマルジョンを形成している。このエマルジョンで薄膜を形成すると、得られた薄膜は、未露光状態では水に可溶性である。この薄膜にフォトマスクを重ねて露光すると、露光部においては、ポリビニルアルコールが、成分4の光架橋剤の作用によって架橋して水不溶性の架橋ポリビニルアルコールを形成するので、水現像の際に水側に溶出されなくなり、一方、未露光部は溶出されるので、これによってパターン形成されたスクリーン印刷版が得られることになる。
【0014】
成分2のエポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有するので、成分3の光カチオン重合開始剤の存在下に、光によってカチオン重合を起こし、エポキシ樹脂硬化物を形成する。エポキシ樹脂硬化物は、水および有機溶剤に不溶性であり、かつ一般に耐摩耗性、寸法安定性に優れているので、露光と水現像とによって形成された本発明のスクリーン印刷版も、このエポキシ樹脂硬化物を含むことによって耐摩耗性や寸法精度が従来のものより改善される。
【0015】
本組成物においては、ポリビニルアルコールとエポキシ化合物とが光によってそれぞれ重合する際に、ポリビニルアルコールの活性化された水酸基の一部と、光カチオン重合開始剤によって開環されたエポキシ活性基の一部との間にも架橋反応が起こり、硬化物全体に化学結合による網目構造が形成されると考えられる。このために、スクリーン印刷版における耐水性、耐溶剤性が、ポリビニルアルコールの単独架橋物を用いる従来のものより大幅に向上し、その結果、水性インキや特殊溶剤を含むインキの使用をも可能にしている。
【0016】
本組成物に含まれる光カチオン重合開始剤は、未露光状態では安定であるが、露光すると、光分解してルイス酸、ブレンステッド酸などのいわゆるカチオン重合触媒を生成する。例えば、前記成分3のトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートにおける芳香族スルホニウムカチオンの光分解機構は、式2によって示される。
【0017】
【化1】
Figure 0003837188
【0018】
この光分解によって生成したカチオンは、エポキシ基を開環してエポキシ化合物を重合させるが、その寿命が長いので、1回目の照射終了後にも重合を進行させることができる。そこで、1回目の照射でタックフリーの程度まで硬化させ、水現像の後に2回目の照射によって後硬化を行い、膜を強化することができる。
【0019】
次に、本発明の組成物の構成成分について詳しく説明する。
(ポリビニルアルコール)
本組成物に用いることができるポリビニルアルコールは、一般にはポリ酢酸ビニルのケン化物であって、そのケン化度が65モル%以上のものである。ケン化度が65モル%未満のものは未露光状態で十分な水溶性が得られないため、水現像が困難となり不適当である。
【0020】
このポリビニルアルコールの製造に用いるポリ酢酸ビニルは、本発明の目的を損なわない範囲で、酢酸ビニルと他のモノマーとの共重合物であってもよい。共重合に用い得る酢酸ビニル以外のモノマーの例としては、例えばエチレン;(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド類;不飽和カルボン酸類;カチオン性モノマー類、例えばジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルサクシミドなど、から選ばれたものを挙げることができる。
【0021】
また、本組成物に用いることができるポリビニルアルコールは、本発明の目的を損なわない範囲で、水酸基が部分的にアセタール化、例えばホルマール化またはブチラール化されていてもよい。
【0022】
前記のポリビニルアルコールは光架橋性基を有するものであってもよい。この光架橋性基は、スチルバゾリウム基であることが好ましい。スチルバゾリウム基を有するポリビニルアルコールの例を式3に示す。
【0023】
【化2】
Figure 0003837188
【0024】
式3において、Rは、水素原子、または下記の置換基を有しまたは有しないアルキル基またはアラルキル基である。この置換基は水酸基、カルバモイル基、エーテル結合、不飽和結合であり得る。Rは、水素原子または低級アルキル基である。Xは、ハロゲンイオン、リン酸イオン、またはp−トルエンスルホン酸イオンの1以上であり、mは、0または1であり、nは、1〜6の整数である。
【0025】
スチルバゾリウム基を有するポリビニルアルコールの製造に関しては、例えば特開昭55−23163号公報、特開昭55−62905号公報、特開昭55−62405号公報などに記載され公知であるが、例えばポリ酢酸ビニルのケン化物と、ホルミル基を有するスチルバゾリウム塩、またはアセタール基を有するスチルバゾリウム塩とを酸触媒の存在下に反応させる方法によって製造することができる。
【0026】
ポリ酢酸ビニルケン化物の単位基当たりスチルバゾリウム基の導入率は0.3モル%〜20モル%の範囲内とすることが好ましい。0.3モル%未満では光架橋性が不十分であり、20モル%を越えると水溶性が低下する。この観点からスチルバゾリウム基の導入率は、0.5モル%〜10モル%の範囲内とすることが更に好ましい。
【0027】
(エポキシ化合物)
本組成物に用いることができるエポキシ化合物は、分子中に2以上のエポキシ基を有し、硬化物が水および有機溶剤に不溶または難溶となるものであれば、特に限定されない。好適に用い得るエポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアネートやヒダントインエポキシなどの含複素環エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;プロピレングリコール−ジグリシジルエーテルやペンタエリスリトール−ポリグリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシ樹脂;芳香族、脂肪族、または脂環式のカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂;スピロ環を含むエポキシ樹脂;アリルフェノールノボラック化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビスフェノールAのそれぞれの水酸基のオルト位置にアリル基を有するジアリルビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;グリシジルアクリレート類の重合体、などを挙げることができる。
【0028】
本組成物には、前記のエポキシ化合物に加えて、例えばスクリーン印刷版としたときの可撓性を調節したり、現像時の精細度を改善するなどの目的で、単官能性のエポキシ化合物または多官能性のエポキシ化合物を添加することもできる。また、前記のエポキシ化合物は、本組成物に配合するに際して、粘度などを調節するためにエチルアルコールなどの適当な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0029】
前記のエポキシ化合物は、前記のポリビニルアルコール100重量部当たり、100重量部〜2000重量部の範囲内で本組成物に配合することが好ましい。100重量部未満では露光後の光硬化物に十分な耐水性や耐摩耗性などが得られず、2000重量部を越えると、水現像性が低下する。この観点から、前記エポキシ化合物の配合割合は、ポリビニルアルコール100重量部当たり200重量部〜1000重量部の範囲内とすることが更に好ましい。
【0030】
(光カチオン重合開始剤)
本組成物に用いる光カチオン重合開始剤は、前記のエポキシ化合物を光硬化し得るものであれば特に限定されないが、短時間の光照射で効率よく光硬化させるには、芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、または芳香族スルホニウムのいずれか1種以上のカチオンと、BF 、PF 、AsF 、またはSbF のいずれか1種以上のアニオンとの塩であることが好ましい。好適な光カチオン重合開始剤の例を、下記の一般式、式4〜式8で示す。
【0031】
【化3】
Figure 0003837188
【化4】
Figure 0003837188
【0032】
光カチオン重合開始剤として好適な化合物の例は、例えばジフェニルアミン−4−ジアゾニウムテトラフルオロボレート(式9)、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート(式10)、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(式11)、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]サルファイド・ビスヘキサフルオロホスフェート(式12)、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニオフェニル]サルファイド・ビスヘキサフルオロアンチモネートなどである。
【0033】
【化5】
Figure 0003837188
【0034】
(光架橋剤)
架橋剤は、水溶性の重クロム酸塩、ジアゾ化合物、またはアジド化合物から選ばれたいずれか1種以上である。
【0035】
前記光架橋剤の内、水溶性重クロム酸塩の例としては、例えば、重クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、重クロム酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0036】
水溶性ジアゾ化合物の例としては、例えば、4−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物の硫酸塩、リン酸塩、塩化亜鉛塩;4,4’−ビスジアゾ−3,3’−ジメトキシビフェニルの硫酸塩、リン酸塩、塩化亜鉛塩;4−ジアゾ−3−メトキシジフェニルアミンと4,4’−ジメトキシジフェニルエーテルとの縮合物の硫酸塩、リン酸塩、塩化亜鉛塩;4−ジアゾジフェニルアミンとジメチロール尿素メトキシエーテルとの縮合物の硫酸塩、リン酸塩、塩化亜鉛塩;メラミン、チオ尿素、ベンゾグアナミン、グアニジンなどとホルムアルデヒドとの初期縮合物と4−ジアゾジフェニルアミンとの縮合物の硫酸塩、リン酸塩、塩化亜鉛塩などを挙げることができる。また、前記の4−ジアゾジフェニルアミンの代わりに、4−ジアゾ−4’−メチルジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−エチルジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−クロルジフェニルアミン、または4−ジアゾ−4’−ニトロジフェニルアミンなどを用いたもの、ホルムアルデヒドの代わりにアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒドなどを用いたものも使用できる。
【0037】
水溶性アジド化合物の例としては、例えば、下記の式13〜式16に示すものなどを挙げることができる。
【0038】
【化6】
Figure 0003837188
【0039】
光架橋剤は、組成物中のポリビニルアルコール100重量部当たり、2重量部〜20重量部の範囲内で用いることが好ましい。2重量部未満では、光硬化物の耐水性が十分でなく、20重量部を越えると組成物の保存安定性が低下する。
【0040】
本組成物は、上記の成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲内で、例えば光硬化させたエポキシ樹脂を加熱により更に後硬化させるために、必要ならエポキシ樹脂の熱硬化触媒を配合することもできる。また、通常この分野で使用される添加剤、例えば色素、酸化防止剤、充填剤、潤滑剤、乳化安定剤、熱安定剤、光安定剤、増感剤、撥水剤、撥油剤、溶剤などを含んでいてよいことはいうまでもない。
【0041】
本発明の光硬化性樹脂組成物について、第2の実施例によって説明する。
この実施例の光硬化性樹脂組成物は、ケン化度が65モル%以上のポリビニルアルコールと、分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を光硬化し得る光カチオン重合開始剤とを含むものであり、光架橋剤を含まないものである。
この実施例におけるポリビニルアルコールは、光架橋性基を有して光架橋性とされたものである。
ポリビニルアルコールを光架橋するに際して、一般には光架橋剤が用いられる。しかし、ポリビニルアルコールが光架橋性基を有するものであることにより、光架橋性ポリビニルアルコールは自己光架橋性となるので、組成物中に必ずしも光架橋剤を配合する必要がない。
光架橋性基を有して光架橋性とされたポリビニルアルコールとしては、上述したものが挙げられる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
重合度2400、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−224)100重量部を水900重量部に溶解し、これに、光カチオン重合開始剤としてジフェニルアミン−4−ジアゾニウムテトラフルオロボレート(式9)6重量部と、エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート828)150重量部と、希釈溶剤としてエチルアルコール50重量部との混合溶液を攪拌下に滴下して乳化した。更に着色剤として水分散性の青色顔料(大日精化社製FL−BLUE CONC)2重量部と、水溶性ジアゾ樹脂(p−アミノジフェニルアミンのジアゾ化物とパラホルムアルデヒドとの縮合物の硫酸塩)の30重量%水溶液20重量部とを加え、攪拌混合して実施例1の感光液を調製した。
【0043】
(実施例2)
重合度1700、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−217)100重量部を水900重量部に溶解し、これに、光カチオン重合開始剤としてジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート(式10)8重量部と、エポキシ化合物として多官能脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製GT−403)300重量部と、反応性エポキシ樹脂希釈剤としてアルキルグリシジルエーテル(新日本理化社製リカレジンL−200)100重量部との混合溶液を攪拌下に滴下して乳化した。更に着色剤として水分散性の青色顔料(大日精化社製FL−BLUE CONC)2重量部と重クロム酸アンモニウムの10重量%水溶液20重量部とを加え、攪拌混合して実施例2の感光液を調製した。
【0044】
(実施例3)
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−217)100重量部を水900重量部に溶解し、これに、光カチオン重合開始剤としてトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(式11)のプロピレンカーボネート50重量%溶液16重量部と、エポキシ化合物として水素添加ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル(新日本理化社製HBE−100)300重量部と、反応性エポキシ樹脂希釈剤兼撥水撥油性付与剤として3−(2−ペルフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−5−エポキシプロパン(トーケムプロダクツ社製MF−120)100重量部との混合溶液を攪拌下に滴下して乳化した。更に着色剤として水分散性の青色顔料(大日精化社製FL−BLUE CONC)2重量部と4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム(式13)の10重量%水溶液60重量部とを加え、攪拌混合して実施例3の感光液を調製した。
【0045】
(実施例4)
重合度2400、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−224)に、1−メチル−4−{p−(2,2−ジメトキシエトキシ)スチル}ピリジニウム−p−トルエンスルホネートを1.2モル%付加したスチルバゾリウム基を含有するポリビニルアルコールの10重量%水溶液1000重量部に、光カチオン重合開始剤として式12で示される芳香族スルホニウム塩(旭電化工業社製アデカオプトマーSP−55)15重量部と、エポキシ化合物として脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製セロキサイド2021P)150重量部およびビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日本理化社製BEO−60E)150重量部と、希釈溶剤としてエチルアルコール50重量部との混合溶液を攪拌下に滴下して乳化した。更に着色剤として水分散性の青色顔料(大日精化社製FL−BLUE CONC)2重量部を加え、攪拌混合して実施例4の感光液を調製した。
【0046】
比較のため、下記比較例の感光液を調製した。
(比較例1)
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−217)20重量部を水100重量部に溶解し、これに、ポリ酢酸ビニルエマルジョン(ヘキスト合成社製モビニールM−50)100重量部とジアゾ樹脂2重量部とを添加して混合し、比較例1の感光液を調製した。
【0047】
(比較例2)
エチレン性不飽和基を有する化合物と光重合開始剤とをポリビニルアルコール水溶液で乳化した乳剤(栗田化学社製乳剤EX−308)1000重量部に、ジアゾ樹脂の30重量%水溶液15重量部を添加して混合し、比較例2の感光液を調製した。
【0048】
前記実施例1〜実施例4、および比較例1、比較例2の感光液を用いてスクリーン印刷版を作成した。
それぞれの感光液を、アルミニウム枠に貼設したポリエステルモノフィラメント製の225メッシュ紗(紗厚71μm)に、バケットを用いて塗布し、50℃で乾燥して、総厚(紗厚+光硬化性樹脂組成物層厚)が90μmのスクリーン印刷乾板を作成した。
【0049】
次に、このスクリーン印刷乾板にパターン形成したフォトマスクを重ね、フォトマスク上100cmの距離から3KWの高圧水銀灯で2分間照射して露光し、スプレイガンを用いて水を吹き付けて現像し、乾燥後に再び紫外線を照射し、かつ加熱して後硬化を行い、パターン形成されたスクリーン印刷版を得た。
【0050】
得られたそれぞれのスクリーン印刷版について、下記の方法に従って、各種の耐性および寸法精度の試験を行った。
耐溶剤性試験:スクリーン印刷版をそれぞれ、水、メチルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン(「MEK」と表記)、およびN−メチル−2−ピロリドン(「NMP」と表記)に室温で1時間浸漬し、浸漬前後の膜厚差(μm)を測定した。
耐摩耗性試験:スクリーン印刷版を印刷機に被印刷面を上にして装着し、布を巻いたスキージに1kgの荷重を負荷し、更にプラズマディスプレイの隔壁形成用のガラスペースト(日本電気ガラス社製PLS−3550)を付着させて1000回摩擦し、摩擦前後の膜厚差(μm)を測定した。
寸法精度の測定:フォトマスクの300mmの位置に予め測長用のパターンマークを形成しておき、スクリーン印刷版に形成された前記のマークとの測長差(μm)を求めた。
測定結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003837188
【0052】
表1の結果から、ポリビニルアルコールとビスフェノールA型エポキシ化合物と式9の光カチオン重合開始剤とを含む実施例1の感光液から得られた印刷版は、ポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルとを主成分とする比較例1またはポリビニルアルコールとエチレン性不飽和基を有する化合物とを主成分とする比較例2からのものに比べて、水、メチルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)のいずれの溶剤に対しても、明らかに耐溶剤性が向上しており、また耐摩耗性および寸法精度についても、特性が著しく改善されていることがわかる。
【0053】
実施例2,実施例3および実施例4の感光液は、実施例1のものと、エポキシ樹脂および光カチオン重合開始剤がそれぞれ異なるが、これらから得られた印刷版は、実施例1からのものと同様に、従来型の感光液からのものに比べて、各種溶剤に対する耐溶剤性、耐摩耗性および寸法精度がいずれも著しく改善されている。
【0054】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、前記のようにスクリーン印刷版の作成に有利に用いられるものではあるが、他の用途、例えば水現像可能なエッチングレジストなどとしても使用することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、ケン化度が65モル%以上のポリビニルアルコールと、分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を光硬化し得る光カチオン重合開始剤とを含むものであるので、未露光状態では水溶性であり、露光によって耐水性、耐溶剤性、耐摩擦性、寸法精度に優れた硬化物を形成する。従って本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて作成したスクリーン印刷乾板をパターン露光し、水現像すると、耐水性、耐溶剤性、耐摩擦性、寸法精度に優れたスクリーン印刷版が得られる。

Claims (6)

  1. ケン化度が65モル%以上のポリビニルアルコールと、分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を光硬化し得る光カチオン重合開始剤と、ポリビニルアルコールを光架橋し得る光架橋剤とを含み、
    前記の光架橋剤が、水溶性の重クロム酸塩、ジアゾ化合物、またはアジド化合物から選ばれた1種以上である光硬化性樹脂組成物。
  2. ケン化度が65モル%以上のポリビニルアルコールと、分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を光硬化し得る光カチオン重合開始剤とを含み、
    ポリビニルアルコールが、光架橋性基を有して光架橋性とされたものである光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記の光架橋性基が、スチルバゾリウム基である請求項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. エポキシ化合物が、ポリビニルアルコール100重量部当たり100重量部〜2000重量部の範囲内で含まれてなる請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 光カチオン重合開始剤が、芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、または芳香族スルホニウムのいずれか1種以上のカチオンと、BF 、PF 、AsF 、またはSbF のいずれか1種以上のアニオンとの塩である請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を用いて形成された薄膜を露光し、水現像して作成されたスクリーン印刷版。
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