JP3836445B2 - 使用性の良好なフェイスマスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パック用化粧液を含浸した、いわゆる含浸タイプの、少なくとも1以上の摘み部を有するフェイスマスクに関する。
また、本発明は、摘み部を有し、優れた展開性、利便性、フィット性を有するフェイスマスクに関する。
さらに詳しくは、本発明は、化粧液の含浸によりシート基材が密着して折畳まれた状態から、折畳み状態を平面に容易に戻すという、拡布性や展開性が優れ、且つ利便性、長時間使用時のフィット性、使用感に優れた、含浸タイプのフェイスマスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから化粧法の一つとして、パック材を皮膚表面にパックすることによって皮膚の角質に保湿性と柔軟性を与え、皮膚表面の汚れや垢を取り去る方法が汎用されている。
最近では、肌の美白や、皺の低減、肌の若返りを目的とするパック材の開発によってこのパック材の需要が増加している。
【0003】
従来、パック材としては、パック剤を顔面に塗布して拭き取ったり、洗い流したりするタイプが主流であったが、顔に塗布する作業が繁雑であり、パック後の拭き取りにも手間がかかっていた。その後,皮膜形成を有して使用後に皮膚から剥離する、いわゆるピールオフタイプが出現した。また、パック材としてシート基材の片面にパック剤のゼリー層を設けた貼付けタイプ(特開2001-247041号公報)や基材にパック剤を含浸させる含浸タイプが開発され、商品需要が拡大した。前者の貼付けタイプは、基材シートの片面にパック剤をゼリー状で塗布し、その上に離型紙を設けたものが一般的である。しかしこの貼付けタイプの製品は、製造工程が多く、繁雑であるので、経済性がよくない上に、製品の厚みも厚くなり、剛軟性が大きく、使用感が悪く、長時間の使用に適さず、ゼリー層から皮膚に吸収されるパック剤の有効成分は3〜5%程度と低く、顔面全体に用いる大型パック材としては不向きである。
【0004】
これに対して含浸タイプのパック材は、前者の貼付けタイプに用いるゲル剤より低粘度のパック剤を用いて厚みの薄い不織布等のシート基材に含浸したもので、比較的製造が容易で、経済的にも有利であり、大型のパック材に適しており、使用感が比較的良く、顔面の皮膚に吸収される有効成分が貼付けタイプよりはるかに高い利点がある。
この含浸タイプのパック材は、一般に顔の全面積に対応する不織布基材に、目部、口部に小孔をあけ、鼻部に切込みを入れてパック剤を含浸して、4つ折りや6つ折りに折畳んで、気密性のパウチ包装に封入して商品化されている。しかし、このパック材は使用に際して、折畳み状態のパック材を取り出して拡げる、いわゆる拡布又は展開の必要があるが、折畳まれて重なり合った個所が化粧液の粘着性で密着することとなり、これを元に戻す作業が難しく、拡布性や展開性が良くないという問題があった。その上、シート基材に含浸した化粧液が直接手に付着して手や衣服が汚れ易い問題もあった。そこで、拡布性や展開性を良くするために不織布に小孔をの設けた樹脂フイルムを重ね合わせた含浸タイプのフェイスマスクも提案された(特開2000-287751号公報)。しかし、含浸したパック剤成分が樹脂フイルムの小孔から漏れ出て元の不織布に戻ることがなく、パック剤が無駄になり、手や衣服を汚すことになり、しかも折畳みの展開性の難しさは解決できなかった。
【0005】
本発明者らは、折畳んだフェイスマスクを展開し易くするためにパック剤含浸のシート基材の周縁部に、外方に突出した少なくとも2個の摘み部を設けて展開性を改善する提案をした(実用新案登録第3072027号)が、このものではシート基材の薄さを求める消費者ニーズに対応するために薄い不織布を用いると、シート基材の摘み部を両手で引っ張ると、薄い不織布基材が変形や破れたり、衣服の汚れの問題が解決できなかった。
そこで、本発明者らは、シート基材に液体遮断性フイルムを積層することにより引張物性を補強して、摘み部を形成した含浸タイプのフェイスマスク(特願2001-333306号)、セルロース不織布に合成繊維を配合して補強した含浸タイプのフェイスマスク(特願2002-103798号)を提案したが、フェイスマスクの展開性や拡布性の問題を解決できなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意研究の結果、拡開性や拡布性等の優れたフェイスマスクを得るために、上記特願2001-333306号、特願2002-103798号に記載のフェイスマスク用のシート基材に物理的特性、例えば湿潤時における特定範囲の伸率、剛軟度及び含浸液の粘度等を特定することによって、容易に拡布ができ、拡開性や利便性に優れ、使用時のフィット性や使用感に優れたフェイスマスクを作成できることを見いだした。
【0007】
その結果として、本発明における、優れた、拡布性、展開性、利便性を備えたフェイスマスクは、以下の特徴を有することがわかった。
(1)シート基材として、薄く、剛軟度が極力低いものを用いることによって、使用時のフィット性と使用が良好になる。
(2)シート基材に含浸するパック用化粧液の粘度を適正範囲に調整する。
(3)シート基材が、目付60g/m2以下の薄いセルロース不織布を用いて、目部、鼻部及び口部に対応する穴を設け、該シート基材が折畳まれて化粧液が含浸された状態で、外方に突出した1つ又は2つ以上の摘み部を両手で引っ張ることで、容易に展開又は拡布できる。
(4)シート基材が、摘み部をもって展開した際に変形したり破れない。
【0008】
本発明のフェイスマスクは、展開性、拡布性、利便性等に優れ、パック剤は、使用時のフィット性や使用感に優れ、先の貼付タイプのパック剤とは異なり、顔面に付与して成分を皮膚に十分吸収させて長時間用いるので、パック剤の有効性は貼付タイプに比較してはるかに高く、消費者の求める長時間の使用性、顔面への付着性、フィット性等の要求を満たすことができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のフェイスマスクは、以下の構成を基本とする。
(1)目付60g/m2以下のセルロース不織布をシート基材として、折畳まれて外方に突出した少なくとも1以上の摘み部を有する含浸タイプのフェイスマスクにおいて、該不織布基材が補強されてなり、該湿潤時の引張力3.9N/5cmにおける伸率が30%以下、JISL1913(1998)カンチレバー法による剛軟度が5mN・cm以下のシート基材であって、粘度0.5〜10Pa・secの粘度のパック用化粧液50wt%以上含浸せしめてなることを特徴とするフェイスマスク。
(2)該セルロース不織布基材が、合成繊維の配合することによって補強されてなる基材シートであることを特徴とする上記(1)に記載のフェイスマスク。
(3)該シート基材に粘度0.8〜8Pa・secの粘度のパック用化粧液が、50wt%以上含浸せしめられてなることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のフェイスマスク。
(4)該セルロース不織布基材が、その片面又は中間層に小孔の設けられた樹脂フイルムの重ね合わせで補強されてなることを特徴とする上記(1)に記載のフェイスマスク。
(5)該重ね合わせは、点状に熱接合されてなることを特徴とする上記(4)に記載のフェイスマスク。
(6)該シート基材に粘度0.8〜3Pa・secの粘度のパック用化粧液が、50wt%以上含浸せしめられてなることを特徴とする上記(1)、(4)又は(5)のいずれかに記載のフェイスマスク。
(7)顔面部と頸部を被覆する形状であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のフェイスマスク。
(8)顔面部と頸部を被覆する形状であり、少なくとも顔面部と頸部を分ける部位に切込み線が形成されてなることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のフェイスマスク。
(9)耳に掛ける構造として顔面全体への貼り付けを確実なものとすることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のフェイスマスク。
(10) 顎部と頸部を被覆する形状であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のフェイスマスク。
【0010】
本発明による含浸タイプのフェイスマスクでは、高粘度ゲルを用いた貼付タイプのフェイスマスクと異なり、皮膚の呼吸を妨げることがなく、使用時に含浸液が乾燥するまでの時間が長く、顔に貼って有効成分の皮膚に対する吸収を長時間にわたって行うことができる。シート基材に対するパック用化粧液の含浸率が、50%以下では乾操し過ぎて、フェイスマスクの顔面への固定が困難になるが、摘み部を耳かけ形式にすると、付着後に皮膚表面で乾燥しても顔面への固定が可能となる。耳に掛けるタイプ、例えば、シート基材を第7図のような形状としてもよいが、紐やテープをシート基材に固定して摘み構造と耳に掛ける構造を併用する構造としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のフェイスマスクは、折畳まれて外方に突出した少なくとも1つの摘み部を有する化粧パック用のフェイスマスクが基本構造であるが、折畳みの回数は特定するものではないが、4〜6つ折りで十分である。また、フィット性や使用感に優れたものとするために、コットンやレーヨンのような親水性セルロース繊維から形成された厚さの薄い不織布をシート基材とし、これに水系の化粧液を含浸させることによって、含液率を高率にできる。このために高粘度のジェルを用いる必要はなくなり、顔面への貼り付け可能なフェイスマスクを形成することができる。
【0012】
本発明のフェイスマスクを図面で説明する。
図1〜図7及び図10〜図12のものは本発明のフェイスマスクの平面図及びその変形例を示し、図8及び図9は本発明のフェイスマスクの折畳み概念図及びその変形例を示す。
図1は、本発明のフェイスマスクの基本構造を示し、1は摘み部、2は熱接着による接合点、9は切込み線を示す。切込み線で囲まれた口部は、適宜、切抜いていてもよい。折畳み工程を、図8で説明すると、先ず、フェイスマスク(a)を垂直の折畳み線5によって、右側をフェイスマスク裏側に折り返す(b)。次に左側を垂直の折畳み線4によってフェイスマスク表側に折り返す(c)。さらに水平の折畳み線6によって上半分を表側に折り返す(d)。使用時(展開時)には、摘み部7,7’を摘んで上記工程を逆にしていくと、元の状態(a)に展開する。 この状態で顔面に貼り付けるようにする。図9のものも、図8におけると同様に折畳んで、摘み部8を摘んで展開することを示している。
図1〜図7に示される本発明のフェイスマスクは、それぞれ目、口及び鼻に相当する部位に切込み9が設けられており、使用時には、適宜、該切込みを利用して顔面に貼り付ける。また、図11及び図12に示されるフェイスマスクは、顔面部の外に頸部を被覆するものであり、図10では、適宜の個所に切込み線を入れて顔面等の曲面に沿いやすくしたものであり、フェイスマスク基材の選択、例えば伸縮性基材の使用により。図11に示すように切込み線を省いたものでも本発明の所期の効果を発揮させることはできる。また、図12のものは、口部より下部の顎部及び頸部を被覆するためのフェイスマスクを示す。図10〜図12のフェイスマスクの折畳みは、図8及び図9に示すフェイスマスクの折畳み概念図と同様に折り畳めばよい。
なお、図13のものは、比較例のフェイスマスクの平面図に示すように摘み部がないので、使用時に折り畳み状態から展開するまでの手間が煩わしい。
【0013】
本発明で用いる不織布基材は、コットンやレーヨン等のセルロース繊維を主成分とするものが適当であるが、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ナイロン系、その他の合成繊維によって補強することもできるが、これら合成繊維の配合量は不織布の引張伸度と剛軟度の条件を考えて配合する必要がある。
本発明のフェイスマスクにおけるシート基材の不織布の使用可能な薄さは、目付60g/m2以下、好ましくは目付50g/m2以下、さらに好ましくは目付40g/m2以下のものである。シート基材の目付が、低い程フィット性と使用感に優れるが、摘み部をもって拡布すると、不織布が変形したり、破れたりする問題が発生する。目付60g/m2以上では、引張強度が向上しても、フェイスマスクのフィット性と使用感は悪くなる。
【0014】
フェイスマスクを拡げても、薄いセルロース製不織布が摘み部の引張りで変形や破れのないようにする補強ために、セルロール素材に合成繊維を混じる手段やセルロース製不織布への樹脂フイルムの重ね合わせによる補強の手段があるが、いずれの手段によってもシート基材の湿潤時に、引張応力3.9N/5cmにおいて、伸率30%以下、好ましくは20%以下が適当である。
本発明において、湿潤時の引張応力3.9N/5cmとは、パック用化粧液を含浸したときのシート基材の密着状態を、摘み部を引っ張って拡げるときの応力に基づいて特定したことを意味するものであり、引張応力3.9N/5cmにおける伸率30%以上のシート基材では、拡布したり、展開した時の変形が大きく、破損し易く、フェイスマスクとしての使用に適していない。
【0015】
フェイスマスクでは、適正な剛軟度を有することが顔面へのフィット性や使用感の上で重要であり、このために本発明のフェイスマスクにおいては、JIS L1913(1998)カンチレバー法による剛軟度が5mN・cm以下である柔軟なシート基材であることを必要とするが、剛軟度5mN・cm以上のシート基材は、顔面へのフィット性が悪く、使用感が低下するので好ましくない。
本発明のパック用化粧液は、含浸するタイプのものであるから、先の貼付タイプのような高粘度ゲルは使用する必要がない。本発明で使用する化粧液は、ゲル剤やプロテイン等の成分により粘度が変化させることができ、特に粘度0.5〜10Pa・secのものを使用することができる。しかし、0.5Pa・sec以下の低粘度のパック用化粧液では、使用時に皮膚に付着性が悪いので適さない。
【0016】
本発明では、シート基材に用いるセルロース系繊維不織布を補強するために、合成繊維を配合したり、あるいは不織布の一面又は両面に樹脂フイルムを貼り合わせて補強するが、合成繊維で補強したシート基材の場合、好ましくは粘度0.8〜8Pa・sec以下、さらに好ましくは粘度1.5〜6Pa・sec以下のパック用化粧液を用いる。 粘度10Pa・sec以上のパック用化粧液では、含浸性能が良くなく、また、0.5Pa・sec以下の粘度では、粘度が低く過ぎて、製造工程に問題があり、使用に適していない。
不織布に樹脂フイルムを重ね合わせて補強したシート基材を使用する場合、粘度0.8〜3Pa・sec、好ましくは粘度1.0〜2.5Pa・secのパック用化粧液を使用する。粘度3Pa・sec以上の化粧液では、重ね合わせたフイルムの影響で、不織布へ毛細管的に浸透効果が乏しい。
【0017】
不織布を補強する樹脂フイルムは、素材はそれ程特定されないないが、ポリエチレン、ポリプロピレンを使用性する場合には、5〜50μm程度、好ましくは20μm以下の厚さの液体遮断性の樹脂フイルムが適当であるが、不織布と樹脂フイルムの重ね合わせは、全面で接着するより点状に熱接合するのが適当である。
また、パック剤が樹脂フイルムの小孔から多量に漏れ出ると、元の不織布に戻ることがないので、大きな穴あきフイルムでは穴からパック剤が漏れ出るので、好ましくない。樹脂フイルムの孔から多量に漏れ出ることのない程度の微細な孔を放電加工や機械的方法により設けることもできる。
また、不織布と上記樹脂フイルムの重ね合わせには、積層、部分的な接合又はラミネートの手段を用いる。2つの摘み部を設ける場合、パック時に耳に掛けられるようにすることによって、睡眠時等の長時間パックで乾燥しても顔面にしっかりと貼り付けられていて、パック材の有効成分を肌に十分吸収させることができる。
【0018】
さらに、本発明の好ましい実施形態の一つとして、少なくとも顔面部と頸部を被覆する形状を有するフェイスマスクがある。顔面の外に頸部を被覆する形状であってもよく、さらに上胸部、肩部を被覆し得る形状のものでもよい。これら各部位へのフィット性、密着性を向上させるために顔面部と頸部を分ける部位に切込み線を設けておく。該切込み線は切り離された形態でもよく、ミシン目のように部分的に繋がった形態であってもよい。切込み線は少なくとも顔面と頸部を分ける部位には形成しておくことが好ましい。この線がないと密着性がえられないからである。切込み線の入れ方、デサインは特に限定されるものではない。密着性を高める目的で、切込み線の本数や長さを適宜選択するのが好適である。
以下に実施例を説明するが、本発明の構成は実施例に制限されるものではない。
【0019】
【実施例1】
セルロース不織布にコットンからなるスパンレース不織布(目付30g/m2)を使用し、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がポリエチレンである合成繊維不織布”エルベス”(ユニチカ(株)製、目付20g/m2)を点状に熱接合してフェイスマスク基材を製造した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、カンチレバー法により求めた湿潤時の曲げ硬さ(試料サイズ2.5cm×25cm)と定速伸長形引張試験機(引張速度100mm/min)を使用して、湿潤試料の3.9Nの応力負荷時の引張伸率(試料サイズ5cm×30cm)を測定したところ、湿潤時の曲げ硬さ(G);2(mN・cm)、湿潤試料の3.9Nの応力負荷時の引張伸率(E);8%を有しており、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性をもっていた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図2に示すように向かって左側に摘み部を有するフェイスマスクを作成した。
このフェイスマスクを図8のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルム製の封入袋に挿入し、粘度が2.3Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対して5.5倍量注入した。次いで封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。
また、顔面に貼付したところフィット性が良好で、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく、使用性はきわめて良好であった。さらに、長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。
なお、折畳まれた本フェイスマスク製品は折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は530重量%であった。
【0020】
【実施例2】
セルロース成分として、レーヨン70重量%と合成繊維としてポリエチレンテレフタレート30重量%を配合したスパンレース不織布(目付30g/m2)からなるフェイスマスク基材を作成した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;1mN・cm、E;19%を有し、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図1に示すように左右対称位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が4.7Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対して7倍量注入した。次いで封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。
さらに長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。なお、折畳まれた本フェイスマスク製品は、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は690重量%であった。
【0021】
【実施例3】
セルロース不織布として、コットン製スパンレース不織布(目付40g/m2)と、合成繊維不織布としてナイロン6製スパンボンド不織布(目付30g/m2)とを積層した後、水流交絡してフェイスマスク基材を製造した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;2(mN・cm)、E;13%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図1に示すように左右対称位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度2.4Pa・secのローション化粧液を乾燥基材に対して5.5倍量注入した。次いで封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
かくして得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。さらに、長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。
なお、折畳まれた本フェイスマスク製品は、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は510重量%であった。
【0022】
【実施例4】
セルロース不織布として、コットン製スパンレース不織布(目付40g/m2)とナイロン6製メッシュ織物(目付25g/m2)とを積層して水流交絡してフェイスマスク基材を製造した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;1(mN・cm)、E;10%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図3に示すように左右に非対称な位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図8のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が5.7Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対して8倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。さらに、長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。
なお、折畳まれたフェイスマスクは、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は720重量%であった。
【0023】
【実施例5】
セルロース不織布として、レーヨン製スパンレース不織布(目付40g/m2)と合成繊維不織布の”エルベス”(ユニチカ(株)製、目付30g/m2)とを点状に熱接合してフェイスマスク基材を作成した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;3(mN・cm)、E;4%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い図1に示すように左右対称な位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が2.2Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対して3倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく、使用性は良好であった。
さらに、長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。なお、折畳まれた本製品は、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は280重量%であった。
【0024】
【実施例6】
レーヨン製のスパンレース不織布(目付40g/m2)とポリエチレンテレフタレート製スパンボンド(目付30g/ m2)不織布とを積層した後、水流交絡してフェイスマスク基材を製造した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;4(mN・cm)、E;11%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図3に示すように左右に非対称な位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図8のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が2.0Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対して6倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出し、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であり、さらに長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。
なお、折畳まれたフェイスマスク製品は、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は580重量%であった。
【0025】
【実施例7】
コットン製のスパンレース不織布(目付40g/m2)とポリエチレンフイルム(厚み40μm)とを点状に熱接合してフェイスマスク基材を作成した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;4(mN・cm)、E;4%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このフェイスマスク用基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図1に示すように左右対称な位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
得られたフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が1.1Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し2.5倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。
さらに長時間顔面に貼付したままでも化粧液の蒸散も少なかった。
なお、折畳まれたフェイスマスク製品は、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は240重量%であった。
【0026】
【実施例8】
レーヨン製のスパンレース不織布(目付40g/m2)と多孔質ポリウレタンフイルム(厚み30μm)とを点状に熱接合してフェイスマスク基材を作成した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;3(mN・cm)、E;12%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図4に示すように左右対称な位置と上部に3つの摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
得られたフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、次いで粘度が1.5Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し1.5倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。さらに、長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。
なお、折畳まれた本製品は、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は130重量%であった。
【0027】
【実施例9】
レーヨン製のスパンレース不織布(目付40g/m2)と表面にホットメルトコートを施したポリエチレンテレフタレートフイルム(厚み20μm)を点状に熱接合してフェイスマスク基材を作成した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;4(mN・cm)、E;2%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図5に示すように左と上部に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを4つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が1.7Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し3.5倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。さらに長時間顔面に貼付したままでも化粧液の蒸散も少なかった。
なお、折畳まれたフェイスマスクは、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は310重量%であった。
【0028】
【実施例10】
2枚のコットン製のスパンレース不織布(目付25g/m2)間にポリエチレンフイルム(厚み10μm)を挿入し、互いに点状に熱接合してフェイスマスク基材を作成した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;3(mN・cm)、E;16%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図3に示すように左右に非対称に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図8のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムの封入袋に挿入し、粘度が2.1Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し4.7倍量注入、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。さらに長時間顔面に貼付したままでも化粧液の蒸散は少なかった。
なお、折畳まれた本製品は、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は450重量%であった。
【0029】
【実施例11】
コットン製のスパンレース不織布(目付50g/m2)と合成繊維不織布としてポリエチレンテレフタレート製スパンボンド(目付25g/m2)とを積層した後、水流交絡してフェイスマスク基材を製造した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;5(mN・cm)、E;12%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図6に示すように向かって右に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを4つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、次いで粘度が2.3Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し6.5倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着・付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく、使用性は良好であった。さらに長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感はなく、化粧液の蒸散は少なかった。
なお、折畳まれたフェイスマスクは、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は630重量%であった。
【0030】
【実施例12】
レーヨン製のスパンレース不織布(目付40g/m2)とポリエチレンテレフタレート製のスパンボンド(目付30g/m2)とを積層した後、水流交絡してフェイスマスク基材を作成した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;4(mN・cm)、E;10%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図7に示すように左右に非対称に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図8のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムの封入袋に挿入し、粘度が1.9Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し6倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後ち、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着して付着することなく、容易に拡げることができた。また、顔面に貼付したところフィット性も良好であり、剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感が少なく、使用性は良好であった。
耳掛け部を耳に掛けて固定することで、一晩顔面に貼付して就寝してもフェイスマスクがずれることはなく、蒸れ感もなく、化粧液の蒸散は少なかった。
なお、折畳まれたフェイスマスクは、折畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は580重量%であった。
【0031】
【実施例13】
セルロース不織布として、コットンからなるスパンレース不織布(目付40g/m2)と合成繊維不織布としてポリエステル製不織布“エルベス”(ユニチカ(株)製)(目付30g/m2)を点状に熱接合してフェイスマスク基材を製造した。
この基材をJIS L 1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、Gは、4(mN・cm)および、Eは、10%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
この基材をトムソン刃によって打ち抜き加工を行い図11に示すように左右対称な位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。(点状の接合箇所は省略されている)
このフェイスマスクを6つ折りに折り畳んだのち、ポリエチレン製のラミネートフィルムからなる封入袋に挿入し、次いで粘度が2.0Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対して5.8倍量注入した。次いで封入袋の上部をヒートシールして密封して製品を製造した。
かくして得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出したのち、摘み部をもって展開したところ、フェイスマスクの重なり部分が粘着せず容易に拡げることができた。
また、顔面部と頸部を分ける部位に切込み線が形成されているため、顔面及び頸部、さらに上胸部へ貼付することが容易であった。しかも、フィット性が良好であって、密着性にすぐれるため、フェイスマスクに含有される有効成分を皮膚に付与することが出来た。さらに剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつき感も少なく使用性は良好であった。
さらに長時間顔面に貼付したままでも蒸れ感もなく、化粧液の蒸散も少なかった。なお、折り畳まれた本フェイスマスク製品は、折り畳み構造の内部までローションが均一含浸されており、化粧液の含液率は560重量%であった。
【0032】
【比較例1】
セルロース不織布として、コットン製のスパンレース不織布(目付30g/m2)のみからなるフェイスマスク基材を調製した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、Gは、1(mN・cm)及び、Eは、55%であった。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図1に示すように左右対称位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が1.7Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し7.5倍量注入した。次いで封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分での粘着して付着して、展開が容易でなく、無理に引き伸ばして拡げようとするとシート基材が変形して顔面にうまくフィットさせることができなかった。また、上記作業によって剰余の化粧液が垂れ落ちて、衣服を汚損したり、手がべとつき、使用性が極めて悪かった。
なお、折畳まれたフェイスマスクの化粧液の含液率は710重量%であった。
【0033】
【比較例2】
セルロース不織布として、コットン製スパンレース不織布(目付40g/m2)のみからなるフェイスマスク基材を調製した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;2(mN・cm)、E;46%であった。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図1に示すように左右対称位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が0.6Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し7倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、フェイスマスクの重なり部分での粘着が激しく、展開が困難であり、無理に引き伸ばそうとするとシート基材が変形して顔面にうまくフィットさせることが出来なかった。また、上記作業で剰余の化粧液が垂れ落ちて、衣服が汚染したり、手がべとついて使用性が極めて悪かった。
なお、折畳まれた本製品の化粧液の含液率は680重量%であった。
【0034】
【比較例3】
セルロース不織布として、コットンからなるスパンレース不織布(目付90g/m2)のみからなるフェイスマスク基材を調製した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;12(mN・cm)、E;13%であった。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図1に示すように左右対称位置に摘み部を有するフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が1.3Pa・secのローション状化粧液を乾燥基材に対し6.7倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、摘み部を持って展開したところ、展開性は良かったが、フェイスマスク自体が粗剛であり、折畳み時に発生した折れじわが取れ難く、顔面へのフィット性が極めて悪かった。
なお、折畳まれた本製品の化粧液含液率は650重量%であった。
【0035】
【比較例4】
セルロース不織布として、レーヨンからなるスパンレース不織布(目付40g/m2)と合成繊維不織布として”エルベス”(ユニチカ(株)製、目付30g/m2)を点状に熱接合してフェイスマスク基材を製造した。
このシート基材をJIS L1913(1998制定)に定められる方法により、湿潤状態とし、実施例1と同様の方法でG及びEを求めたところ、G;3(mN・cm)、E;5%であり、フェイスマスク用基材として適度の柔軟性と耐変形性を有していた。
このシート基材をトムソン刃によって打抜き加工を行い、図10に示すように摘み部のないフェイスマスクを製造した。
このフェイスマスクを図9のように6つ折りに折畳んだ後、ポリエチレン製のラミネートフイルムからなる封入袋に挿入し、粘度が3.1Pa・secのローション化粧液を乾燥基材に対して6倍量注入し、封入袋の上部をヒートシールして密封した製品を製造した。
得られた製品の封入袋を開封して中身を取り出した後、拡げようとしたが、化粧液の粘着性が強く、摘み部がないために展開性が悪かった。
さらにこれら作業中に、剰余の化粧液が垂れ落ちて、衣服を汚損したり、手がべとついて使用性が悪かった。
なお、本製品の化粧液含液率は、590重量%であった。
【0036】
上記実施例・比較例の補強条件、各条件時の物性、含液率、得られたフェイスマスクの使用性についてまとめたものを表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明のフェイスマスクは、封入袋を開封して中身を取り出し、摘み部を持って展開したときに、フェイスマスクの重なり部分が付着することなく、容易に拡げることができ、拡布した後に顔面に貼り付けても、フィット性が良好であり、使用性が良好であり、しかも剰余の化粧液が垂れ落ちず、衣服を汚損することもなく、手のべとつきも少ない。また、本発明のフェイスマスクは長時間、顔面に貼り付けたままでも化粧液の蒸散も少なかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフェイスマスクの平面図である。
【図2】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図3】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である
【図4】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図5】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図6】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図7】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図8】本発明のフェイスマスクの折畳み工程図である。
【図9】本発明のフェイスマスクの別の折畳み工程図である。
【図10】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図11】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図12】本発明のフェイスマスクの別の形状の平面図である。
【図13】比較例(摘み部のないフェイスマスク)の平面図である。
【符号の説明】
1 摘み部
2 熱接着による接合点
3 フェイスマスクの縦中心線
4、4’ 縦の折畳み線
5、5’ 縦直の折畳み線
6、6’ 横の折畳み線
7、7’ 摘み部
8、8’ 摘み部
9 切込み線
10 耳掛け部
Claims (10)
- 目付60g/m2以下のセルロース不織布をシート基材として、折畳まれて外方に突出した少なくとも1以上の摘み部を有する含浸タイプのフェイスマスクにおいて、該不織布基材が補強されてなり、湿潤時の引張力3.9N/5cmにおける伸率が30%以下、JISL1913(1998)カンチレバー法による剛軟度が5mN・cm以下のシート基材であって、粘度0.5〜10Pa・secの粘度のパック用化粧液を50wt%以上含浸せしめてなることを特徴とするフェイスマスク。
- 該セルロース不織布基材が、セルロース素材に合成繊維を配合することによって補強されてなる基材シートであることを特徴とする請求項1に記載のフェイスマスク。
- 該シート基材に粘度0.8〜8Pa・secの粘度のパック用化粧液が50wt%以上含浸せしめられてなることを特徴とする請求項1又は2のフェイスマスク。
- 該セルロース不織布基材が、その片面又は中間層に小孔の設けられた樹脂フイルムの重ね合わせによって補強されてなることを特徴とする請求項1に記載のフェイスマスク。
- 該重ね合わせは、点状に熱接合されてなることを特徴とする請求項4に記載のフェイスマスク。
- 該シート基材に粘度0.8〜3Pa・secの粘度のパック用化粧液が、50wt%以上含浸せしめられてなることを特徴とする請求項1、4又は5のいずれかに記載のフェイスマスク。
- 顔面部と頸部を被覆する形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフェイスマスク。
- 顔面部と頸部を被覆する形状であり、少なくとも顔面部と頸部をわける部位に切込み線が形成されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフェイスマスク。
- 耳に掛ける構造として顔面全体への貼り付けを確実なものとすることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフェイスマスク。
- 顎部と頸部を被覆する形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフェイスマスク。
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