JP3836200B2 - 透過認識照明装置及びそれを備えた部品装着装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を回路基板上に装着する工程において、部品認識のために部品の背面を照明し、そのシルエット像を得る透過認識照明装置及びそれを用いた部品装着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路基板に実装する電子部品は、あらゆる形状の多品種に及んでいる。部品装着装置では、装着する部品の姿勢補正に画像認識を用いることが多く、多様化した電子部品に対し認識処理できることが部品対応力を左右するようになっている。また電子部品の実装速度は高速化し、装置の構成は簡素化して、高速対応と耐久性が求められている。
【0003】
以下、図11及び図12を参照しながら、従来の電子部品装着装置の一例について説明する。従来の電子部品装着装置の全体図を示す図11において、36は回路基板37を搬入・搬出し、部品装着時は回路基板を保持する基板搬送部、34は電子部品を収納し、かつ供給する部品供給部、38は電子部品30を吸着し、かつ基板に装着するノズル、35はノズル38を任意の位置に位置決めするXYロボット、31は電子部品の吸着姿勢を撮像、計測する部品認識カメラである。
【0004】
図12は、ノズル38及び部品認識カメラ31を詳細に示したものであり、ノズル38は、その先端で電子部品30を吸着するノズル軸29と、その一部に固定された背景板41と、その背景板41からノズル中間部40を介して固定された発光源としてのLED39とから構成され、LED39は背景板41の上面に光を照射する。部品認識カメラ31はレンズ32及びCCD素子33で構成される。
【0005】
次に上記部品装着装置の動作について説明する。ノズル38は、部品供給部34上で電子部品30を吸着した後、部品認識カメラ31上に移動する。そこでノズル38に設けたLED39を点灯し、背景板41の上面を照明する。その照明により背景板41の下面が明るくなり、部品認識カメラ31はノズル軸29に吸着された電子部品30のシルエット像をレンズ32を介してCCD素子33で撮像する。このように、透過認識にて吸着姿勢を認識後、装着すべき姿勢に補正し、回路基板37上に電子部品30を装着する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成においては、電子部品の多様化に伴い、部品形状に対応してノズルが自動交換される。また、透過認識では、認識される部品の背景を部品より明るくしてそのシルエット像を見るため、部品の背景となる板を明るくするように、背景板41のすぐ後に発光源であるLED39を設置していた。小さな部品から大きな部品まであらゆる電子部品に対応するため、背景板41はノズル軸29のすぐ際まで均一な明るさでなければならない。そのためLED39もノズル軸29の際から背景板41の周辺付近まで均一に並べる必要があった。
【0007】
またLED39と背景板41間のノズル中間部40は、ノズル軸29の径以下の大きさに抑えねばならず、またノズル軸29だけを交換できるようにノズルとそれを保持するノズルホルダ等を構成することは困難であるため、従来の電子部品装着装置では、透過認識ノズルや部品を掴み取るメカグリッパーを含む汎用のノズルの交換に対応するように、各ノズルの共通部分である背景板やLED部分までを含むノズル全体を交換していた。
【0008】
また、LED39に給電するために、LED39だけを、回転するノズル軸29から分離することや、交換したノズルに対し給電インターフェイスとしてコンタクトピンを設けるなど複雑な構造を必要とする。このような複雑な構造のノズルではコストアップになり、重量が増えることから高速上下運動に適していない点が問題となっていた。また、ノズルの自動交換で生ずる衝撃がLEDに対し著しく寿命と信頼性を劣化させる原因となっていた。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、多品種の電子部品の透過認識に対応でき、かつ、可動部分であるノズルと照明手段とを切り離して、LEDの寿命を延ばし、信頼性を向上するようにした透過認識照明装置及びそれを用いた部品装着装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の透過認識照明装置は、ノズル軸の先端で電子部品を吸着するノズルと、ノズル軸が中心部を垂直に貫通するように設けられノズル軸先端側の面に反射面を有する反射板と、部品認識カメラの周囲に配置され、電子部品を吸着したノズルが部品認識カメラの上部に移動したとき、反射面に対して照明光を斜め入射させる照明手段とを備え、反射面は、斜め入射光をノズル軸に平行な反射光にするための凹凸が形設されており、かつその凹凸の表面は光を拡散するように粗面になっており、反射面からの反射光をノズル軸の先端で吸着した電子部品に照射し、そのシルエット像を部品認識カメラで撮像、認識する構成の透過認識照明装置であって、
前記反射板の反射面に形設された凹凸は、平行な多数のV溝を交差したものからなり、かつ前記照明手段は、前記交差したV溝に直交する方向にそれぞれ照射する4つの光源からなること、あるいは、前記反射板の反射面に形設された凹凸は、多数の円錐形凸部又は逆円錐形凹部からなり、かつ前記照明手段は、前記反射板を取り巻く円環状の光源からなること、あるいは、前記反射板の反射面に形設された凹凸は、前記ノズル軸を中心にして同心円上に配置された多数のV溝からなり、かつ前記照明手段は、前記反射板を取り巻く円環状の光源からなることを特徴とするものである。
【0011】
上記の構成によれば、可動部分であるノズルと照明手段とが分離されているので、照明手段に対する給電インターフェイスが簡単になり、かつ照明手段が固定されるので、機械的振動に弱いLEDなどの発光素子の寿命を延ばし、信頼性を向上することができる。また、斜め入射する照明光を反射する反射板は、反射面の凹凸と、光を均一に拡散する粗面とによってノズル軸と平行で均一な反射光を作り、ノズルに吸着された部品の明確なシルエット像を形成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電子部品装着装置の実施の形態の全体構成を示したもので、2は回路基板1を搬入・搬出し、部品装着時は回路基板を保持する基板搬送部、3は電子部品を納めたリール式の部品供給部、4はトレイ収納方式の部品供給部、5は、電子部品を吸着しかつ基板に装着するノズル8を搭載したヘッド部6を任意の位置に位置決めするXYロボット、7は電子部品の吸着姿勢を撮像、計測する部品認識カメラである。
【0013】
図2は、電子部品のシルエット像を得る透過認識照明装置部分の構成を示したもので、ノズル8は、先端で電子部品10を吸着するノズル軸11と、ノズル軸11が中心部を貫通するように設けられた反射板9とで構成されている。また、部品認識カメラ7はレンズ15及びCCD素子16からなり、その周囲には、照明手段12あるいは照明手段13とその照明光の光路を変える反射ミラー14が固定的に配置されている。この照明手段13は、照明手段12のように発した光を直接反射板9に照射することも可能であるが、省スペース化のため照明手段13から発した光を反射ミラー14を介して照射することも可能である。いずれの場合も、反射板9に向かう斜め照射の入射角度は同一にする。
【0014】
図3は、ノズル8と照明手段12が発した光の反射経路との関係を示したものである。線17は照明手段12の光軸を表し、線18はノズル軸11に平行な線であり、かつ部品認識カメラ7の光軸と平行である。線17と線18とがなす角度を2分した線に垂直な線を20とすると、線17と線20のなす角度aと線18と線20のなす角度aは等しい。従って、反射板9の反射面19に線20と平行な斜面を持つ凹凸を形成することにより、照明手段12の光を部品認識カメラ7の光軸と平行な反射光とすることができる。
【0015】
図4に示した参考例のように、反射板9は略四角形をしており、反射面19には四角形の互いに対向する一対の辺に平行で、上記のような線20と平行な斜面を持つ多数のV溝からなる凹凸が形設されている。図4で、細線が山部、太線が谷部である。そして、照明手段12としては、前記一対の辺に平行に一定の長さを有する2つの光源が配置されている。また凹凸の表面は、図5に示すように、光を拡散する極小の凹凸からなる粗面になっている。
【0016】
照明手段12の光を均一に反射する反射面19の凹凸のピッチと粗面の荒さは部品認識カメラ7の解像度と反射面19からノズル軸先端までの距離Lにより変化する。本実施の形態におけるノズルでは部品認識カメラ7の解像度40ミクロン/PIXEL、反射面から被写体まで距離L=15ミリの条件で、反射面の凹凸のピッチは0.5ミリ、粗面の粗さは約10〜20ミクロンである。これは砂を吹き付けるショットブラストや放電加工等で形成することができる。
【0017】
次に、上記部品装着装置の動作について、図1,2及び図6,7を用いて説明する。ヘッド部6はXYロボット5により、リール式の部品供給部3またはトレイ式の部品供給部4で電子部品10を吸着した後、部品認識カメラ7上に移動する。次いで照明手段12を点灯し、反射面19にて反射されたノズル軸11に平行な反射光がバックライトとなり、ノズル8に吸着されている電子部品10に照射される。部品認識カメラ7では、そのシルエット像をレンズ15を介してCCD素子16で撮像し、図6に示したように認識画面21中の電子部品像22を得る。
【0018】
ここで撮像された画像は、背景が白に対して部品が黒のコントラストが高く、画像認識が容易である。本実施の形態における電子部品装着装置では、図7に示すように電子部品10の輪郭24を抽出し、図中の認識結果(黒三角印)23で示されるように実装の接合部分である電子部品のリード部を認識し、その装着方向に位置補正して回路基板に装着する。
【0019】
図8は、本発明に係る透過認識照明装置の実施の形態1における反射板の反射面25とその反射面に光を照射する照明手段12の配置を示したものである。反射板は略四角形をしており、反射面25に形設された凹凸は、四角形の四辺にそれぞれ平行な多数のV溝の交差したものからなり、ピラミッド型の斜面で構成されている。なおここでも、細線が山部、太線が谷部を表している。また、照明手段12は、四角形の四辺に平行に配置され、一定の長さを有する4つの光源から構成されている。
【0020】
前記参考例では、斜面の構成上0°または180°以外は有効な反射面は期待できない。一般に電子部品の実装ではこの90°単位の装着方向が使われている。しかし、本実施の形態1では、斜面を90°交差して設けることにより0°,90°,180°,270°の各方向に対応できる。
【0021】
図9は、本発明に係る透過認識照明装置の実施の形態2における反射面27とその反射面に光を照射する照明手段26の構成を示したものである。ここでは、反射面に形設された凹凸は、多数の円錐形凸部あるいは逆円錐形凹部(すり鉢状)からなっており、照明手段26は、反射板を取り巻く円環状の光源からなっている。この凹凸の表面は、粗面になっていることは勿論である。
【0022】
このような構成によれば、全ての方向から反射面27に光が照射され、ノズル軸に平行な反射光となって電子部品を照らし、そのシルエット像が部品認識カメラで捉えられる。
【0023】
図10は、さらに本発明に係る透過認識照明装置の実施の形態3における反射面28とその反射面に光を照射する照明手段26の構成を示したものである。反射面28には、ノズル軸を中心にして同心円上に多数のV溝からなる凹凸が配置されており、また照明手段26は反射板を取り巻く円環状の光源からなっている。図10における反射面28の凹凸は、細線が山部、太線が谷部を表わしている。また凹凸の表面は、光を均一に拡散するように粗面になっている。
【0024】
本実施の形態3でも、全ての方向から反射面28に光が照射され、ノズル軸に平行(従って、部品認識カメラの光軸に平行)な反射光となって電子部品を照らす。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、可動部分であるノズルと照明手段とが分離され、照明手段が部品認識カメラの周囲に固定的に配置されているので、照明手段に対する給電部分の構造が簡単になり、また機械的振動に弱いLEDなどの発光素子の寿命を延ばし、信頼性を向上することができる。
【0026】
また、斜め入射する照明光を反射する反射板は、反射面に形設した凹凸により、ノズル軸及び部品認識カメラの光軸と平行な反射光を作り、また、反射板はノズル軸のすぐ際まで構成でき、さらに、凹凸表面の粗面により光を均一に拡散するので、反射板の全範囲にわたって均一な反射光となる。従って、ノズルに吸着された各種電子部品の明確なシルエット像を形成することができる。しかも反射板は剛体で構成されるので、ノズルの自動交換に対しても信頼性が高い。
【0027】
そして、このような透過認識照明装置を使用した部品装着装置では、ノズルに吸着した電子部品の姿勢を透過認識で正しく認識し、部品対応能力が高く、かつ部品実装速度の高速化を実現することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電子部品装着装置の実施の形態の全体構成を示す図である。
【図2】 本実施の形態における部品認識時のノズルと部品認識カメラを示す図である。
【図3】 本実施の形態におけるノズルと照明手段が発した光の反射経路との関係を示す図である。
【図4】 反射板の反射面と照明手段の配置の参考例を示す図である。
【図5】 参考例における反射面の凹凸とその表面の粗さを示す図である。
【図6】 認識画面中の電子部品像を示す図である。
【図7】 電子部品の認識の説明図である。
【図8】 本発明に係る透過認識照明装置の実施の形態1における反射板の反射面と照明手段の配置を示す図である。
【図9】 本発明に係る透過認識照明装置の実施の形態2における反射板の反射面と照明手段の配置を示す図である。
【図10】 本発明に係る透過認識照明装置の実施の形態3における反射板の反射面と照明手段の配置を示す図である。
【図11】 従来例の電子部品装着装置の全体構成を示す図である。
【図12】 従来例の部品認識時のノズルと部品認識カメラを示す図である。
Claims (4)
- ノズル軸の先端で電子部品を吸着するノズルと、前記ノズル軸が中心部を垂直に貫通するように設けられノズル軸先端側の面に反射面を有する反射板と、部品認識カメラの周囲に配置され、電子部品を吸着した前記ノズルが前記部品認識カメラの上部に移動したとき、前記反射面に対して照明光を斜め入射させる照明手段とを備え、前記反射面は、斜め入射光を前記ノズル軸に平行な反射光にするための凹凸が形設されており、かつ前記凹凸の表面は光を拡散するように粗面になっており、前記反射面からの反射光を前記ノズル軸の先端で吸着した電子部品に照射し、そのシルエット像を部品認識カメラで撮像、認識する構成の透過認識照明装置であって、
前記反射板の反射面に形設された凹凸は、平行な多数のV溝を交差したものからなり、かつ前記照明手段は、前記交差したV溝に直交する方向にそれぞれ照射する4つの光源からなることを特徴とする透過認識照明装置。 - ノズル軸の先端で電子部品を吸着するノズルと、前記ノズル軸が中心部を垂直に貫通するように設けられノズル軸先端側の面に反射面を有する反射板と、部品認識カメラの周囲に配置され、電子部品を吸着した前記ノズルが前記部品認識カメラの上部に移動したとき、前記反射面に対して照明光を斜め入射させる照明手段とを備え、前記反射面は、斜め入射光を前記ノズル軸に平行な反射光にするための凹凸が形設されており、かつ前記凹凸の表面は光を拡散するように粗面になっており、前記反射面からの反射光を前記ノズル軸の先端で吸着した電子部品に照射し、そのシルエット像を部品認識カメラで撮像、認識する構成の透過認識照明装置であって、
前記反射板の反射面に形設された凹凸は、多数の円錐形凸部又は逆円錐形凹部からなり、かつ前記照明手段は、前記反射板を取り巻く円環状の光源からなることを特徴とする透過認識照明装置。 - ノズル軸の先端で電子部品を吸着するノズルと、前記ノズル軸が中心部を垂直に貫通するように設けられノズル軸先端側の面に反射面を有する反射板と、部品認識カメラの周囲に配置され、電子部品を吸着した前記ノズルが前記部品認識カメラの上部に移動したとき、前記反射面に対して照明光を斜め入射させる照明手段とを備え、前記反射面は、斜め入射光を前記ノズル軸に平行な反射光にするための凹凸が形設されており、かつ前記凹凸の表面は光を拡散するように粗面になっており、前記反射面からの反射光を前記ノズル軸の先端で吸着した電子部品に照射し、そのシルエット像を部品認識カメラで撮像、認識する構成の透過認識照明装置であって、
前記反射板の反射面に形設された凹凸は、前記ノズル軸を中心にして同心円上に配置された多数のV溝からなり、かつ前記照明手段は、前記反射板を取り巻く円環状の光源からなることを特徴とする透過認識照明装置。 - 回路基板を搬出・搬入する基板搬送部と、電子部品を供給する部品供給部と、電子部品を吸着しかつ上下昇降及び回転するノズルを有するヘッド部と、ヘッド部を任意の位置に位置決めする位置決め機構と、請求項1から3までのいずれか1項に記載の透過認識照明装置と、前記ノズルで吸着した電子部品のシルエット像を撮像する部品認識カメラとからなり、前記電子部品の吸着姿勢を読み取って位置補正し、回路基板に装着することを特徴とする部品装着装置。
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