JP3836162B2 - ショ糖脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】
本発明は、ショ糖脂肪酸エステル(以下、SEと略記することがある。)の製造方法に関する。
【0003】
更に、詳しくは、本発明は溶媒法によって製造された反応液から、SEと未反応のショ糖、溶媒を効率よく分離することでSEを製造する方法に関するものである。
【0004】
【従来の技術】
【0005】
SEは、ショ糖部分を親水基とし、脂肪酸部分を親油基とする非イオン性界面活性剤であり、乳化剤、分散剤、粘度調整用添加剤、起泡剤、老化防止剤などとして食品、飼料、医薬品、化粧品等に広く用いられている。
【0006】
ショ糖脂肪酸エステルの製造方法としては、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記することがある。)等の極性溶媒中で、アルカリ触媒存在下、ショ糖と脂肪酸メチルエステルのような脂肪酸低級アルコールエステルとのエステル交換反応による方法(特公昭35−13102号公報)等が知られている。
【0007】
一方、SEを効率よく製造するには、未反応ショ糖及び反応溶媒を回収し、再びSE製造原料として使用することが工業的製造方法及び経済的操業方法として重要である。
【0008】
上記方法によって得られた反応混合物は、SEの他に溶媒、未反応のショ糖およびアルカリ触媒などを含有しており、ショ糖を回収した場合には、アルカリ触媒などに由来する塩類が混入することがあり、この塩類の混入したショ糖をSE製造原料として用いた場合、エステル交換速度を遅延するなどの課題が残されていた。
【0009】
また、上記方法の課題を改善する試みとして、特開平4−243890号公報などには、反応混合物に酸を添加して触媒を失活させた後、溶媒を部分的に蒸留し、次いで含水ケトンを添加し、主としてSE、溶媒及び塩類を液相に、また主として未反応ショ糖を固相として回収する製造方法などが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来紹介された方法には解決すべき課題が残されており、ショ糖脂肪酸エステルの製造方法として十分なものとは言えなかったのである。
【0012】
例えば、特公昭35−13102号公報に紹介されている方法には前述のような経済性の面での欠点があった。
【0013】
また、その改良方法として提案された特開平4−243890号公報に記載された方法には、反応液からのDMSO除去の際に、多量の未反応ショ糖が存在するため、粘度が上昇するなどの取扱上の課題が残されており、更に、回収したショ糖中には0.4〜0.7%程度の塩が含まれているので、回収−再使用を繰り返していると直に塩が蓄積してくるという課題や、糖を回収した後に再びDMSOを蒸留、回収するという工程なので、結果的に多大なエネルギーを必要とする蒸留を、二度行うなど経済的な課題も残されていた。
【0014】
又、この特開平4−243890号公報に記載された方法を実施する際に、液相中のSE含有部分は、溶媒を除去した後、有機溶媒と水を用いて抽出処理を行うが、良好な分液性を得るために、高価な有機酸塩等の塩析剤を使用する必要があり、このことも経済的な課題として残されていたのである。
【0015】
以上のような状況から、SE反応液から少ない熱エネルギーで、塩を多く含まずに且つ塩を蓄積させずにショ糖を回収し、回収したショ糖を再びSE製造原料として使用できるような、経済的に有利なショ糖脂肪酸エステルの製造方法の開発が望まれていたのである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者等は、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、SE製造反応液からDMSOを濃縮除去することなく、触媒を失活させた後、アルコールを添加して、塩の混入がほとんど無い未反応のショ糖を結晶固体として回収した後、ろ液からアルコールとDMSOを回収して粗SEを得、さらにケトンとショ糖水溶液を用いて抽出処理して、精製SEを得ることにより、極めて経済性高くSEを製造することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0018】
即ち、第一の本発明は、 アルカリの存在下、ジメチルスルホキシドを反応溶媒として、ショ糖と脂肪酸低級アルコールエステルを反応させてショ糖脂肪酸エステルを製造する方法において、▲1▼ 加熱下、酸で中和した反応液にアルコールを添加・混合して、ショ糖脂肪酸エステルと塩を含む液相と、未反応ショ糖結晶とに分離し、▲2▼ 前記▲1▼の工程で得た液相から、アルコール及びジメチルスルホキシドを除去して、ショ糖脂肪酸エステルを回収し、▲3▼ 前記▲1▼の工程で得た結晶を、次の反応に再使用することを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0019】
また、第二の本発明は、前記第一の▲2▼の工程で得たショ糖脂肪酸エステルにケトンとショ糖水溶液を添加・混合した後、ジメチルスルホキシド、ショ糖及び塩を含有する水相と、ショ糖脂肪酸エステルを含むケトン相とに分離し、ケトン相よりケトンを除去して精製されたショ糖脂肪酸エステルを回収することを特徴とする前記第一に記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0020】
また、第三の本発明は、水相から水を除去したショ糖、ジメチルスルホキシド溶液を次回以降の反応の反応液に混合して用いる前記第一または第二の何れかに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0021】
また、第四の本発明は、反応液もしくは反応液と前の反応から得たショ糖、ジメチルスルホキシド溶液との混合液1重量部に対し、アルコール0.5〜5重量部を添加・混合することを特徴とする前記第一〜第三の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0022】
また、第五の本発明は、アルコールがエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールから選ばれる前記第一〜第四の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0023】
また、第六の本発明は、アルコールを添加・混合する温度が20℃〜90℃の範囲である前記第一〜第五の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0024】
また、第七の本発明は、ケトンがメチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンから選ばれる一種又は二種以上の混合物である前記第一〜第六の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0025】
更に、第八の本発明は、ショ糖水溶液の濃度が0.1〜10重量%である前記第一〜第七の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法である。
【0026】
本発明を実施するうえで、脂肪酸低級アルコールエステルの種類や構造に格別の制約は無く、市販のものが使用出来るが、製品として所望するSEの種類や品質によって、それに応じた脂肪酸低級アルコールエステルを選択するべきであり、通常は、炭素数6〜30、好ましくは12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸と、炭素数1〜6の低級アルコールとのエステルから選択された一種または二種以上の混合物が有利に採用できる。
【0027】
本発明を実施する上で用いる脂肪酸低級アルコールエステルの量は、ショ糖1モルに対して0.2〜8モルが好ましいが、使用する量がショ糖1モルに対して0.2モル未満の場合には、得られるショ糖脂肪酸エステルのほとんどが親水性の高いモノエステル体に偏ってしまい、所望の品質が得られない場合が多いことや、反応が進行しにくくなるなどの理由から好ましくない。
【0028】
一方、脂肪酸低級アルコールエステルの量が8モルを越える場合には、高価な原料である脂肪酸低級アルコールエステルが未反応のまま反応後に残存するので不経済であることや、得られるショ糖脂肪酸エステルのほとんどが親油性の高いポリエステル体に偏ってしまい所望の品質が得られないことが多いので好ましくない。
【0029】
本発明のもうひとつの原料であるショ糖の種類や品質についても特別の制約は無いが、ブドウ糖や果糖などの不純物が少なく、反応に際して比較的安定であるなどの理由から市販のグラニュー糖や白双目糖、中双目糖、氷糖、角糖等が有利に採用できる。
【0030】
本発明を実施する際には、溶媒としてDMSOを用いるが、その使用量は、回収するショ糖結晶の純度を高めることと、後の工程で用いるアルコールの使用量を過度に増加させないという意味から、ショ糖と脂肪酸低級アルコールエステルとの合計仕込量に対して、50〜150重量%程度が適切である。
【0031】
本発明に用いるアルカリ触媒としては、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属塩が有利に用いられるが、これは単に扱い易い粉末であるという理由であり、他のアルカリ、例えば、アルカリ金属水酸化物、弱酸のアルカリ金属塩等も用いることができる。
【0032】
用いるアルカリの量は、反応の進行が円滑であることや、不必要なアルカリを系内に混入させることは好ましくない等の理由から脂肪酸低級アルコールエステルのモル数に対して0.2〜10モル%程度、重量の比較では0.1〜5重量%程度が好ましい。
【0033】
本発明に用いる酸は、反応に用いたアルカリ触媒を中和して触媒としての活性を失わせるために用いるものであり、好ましい酸の種類としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、乳酸等の各種有機酸が挙げられるが、後工程でショ糖を回収する際に塩が混入するのを防止する意味から、更に好ましいのは1価の有機酸であり、それらの中でも装置材質の腐蝕性が低いことや、水への溶解性が高いこと、食品添加物として安全性が確認されていることなどの理由から、乳酸が特に好ましい。
【0034】
酸の使用量は、製品や回収物の純度を高めるために未中和のアルカリや過剰な酸を残さないという意味から、用いたアルカリと等モル量程度が最も好ましい。
【0035】
本発明に用いるアルコールは反応液からショ糖を析出させるために用いるが、未反応のショ糖が容易に析出して効率良く回収できるなどの理由から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどが好ましく、通常はその添加量として、ショ糖が析出するに必要で且つ十分な程度の量、つまり反応液1重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく採用される。
【0036】
特に、本発明の好ましい実施態様においては、アルコールは、反応液の量又は前回の反応後に回収されたショ糖及びDMSOの溶液と反応液との混合物の量に対して0.7〜5重量部の範囲で用いられる。
【0037】
反応液や前回の反応後に回収されたショ糖及びDMSOの溶液と反応液との混合物にアルコールを添加する時の温度は、低過ぎるとショ糖がペースト状を呈したり、塩を含んだまま析出してくることがあるので、好ましくは20〜90℃、更に好ましくは40〜80℃である。
【0038】
このように、高い温度でアルコールを添加することによって、析出するショ糖に含まれる不純物を著しく減少させることが可能になり、この効果はショ糖の回収を繰り返すことができる回数を飛躍的に増大させ、本発明の効果の大きな特徴を構成している。
【0039】
また、ショ糖を析出させる工程では、単にアルコールを添加して冷却するだけでも有利に本発明を実施することができるが、種結晶としてショ糖の粉末を少量加えることにより、ショ糖の結晶化を一層安定的に行うこともできる。
【0040】
本発明を実施する際の固液分離、すなわち未反応のショ糖結晶を含む固相とSEを含む液相の分離方法には特別な制約が無いので、ろ過や遠心分離などの、それ自体は公知の各種分離の中から任意の方法を選択することができる。
【0041】
本発明の固液分離操作により回収した固相は、従来の方法に比べて純度が高く、無機塩の残存量も少ないショ糖結晶であるから、本発明の好ましい実施態様においてSE製造原料としてそのまま再使用することが可能である。
【0042】
一方、液相はアルコールおよびDMSOを溶媒とするSE含有溶液であるから、まず低沸点側のアルコールを液相中のアルコール含有量として10重量%以下、好ましくは3重量%以下まで濃縮して回収し、次にDMSO回収工程に移行させる。
【0043】
アルコールの回収は、常圧もしくは軽い減圧下で行うことができるが、続いて行うDMSOの回収は、加熱を軽微にすることが好ましいので、アルコールの回収の場合よりもやや強い減圧下で回収操作を行なうことが好ましい。
【0044】
DMSOの回収は、濃縮後の液中のSE含有量を1重量部としたときのDMSO含有量が0.1〜3.0重量部になる程度を目安にすることによって、SEの歩留を下げない比較的穏やかな条件で実施することができる。
【0045】
このようにして得られたSEは、用途によってはそのまま用いることも可能であるが、該SE中にはDMSOが多く含まれているので、必要に応じて更に精製操作を加えて純度の高い精製SEとすることもできる。
【0046】
SEの精製操作として好ましい本発明の実施態様は、DMSO回収後に得られるSEにショ糖水溶液とケトンとを加え、一回または複数回の液−液抽出操作を行うことにより実施されるが、この操作はケトン層を洗浄する意味で行うものであり、ショ糖水溶液を採用することによって液の乳化を防止し、液−液分離界面を速く且つ明瞭にするという効果があって、その結果、最終的に得られるSEの純度を高める効果を生じ、これも本発明の効果の大きな特徴になっている。
【0047】
本発明の好ましい実施態様において用いるケトンとしては、水との分離が比較的良好なことやSEをよく溶解し、不純物である塩やショ糖をあまり溶解しない性質を有することなどから、メチルエチルケトン(以下、MEKと略記することがある。)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが有利に採用できるが、これらの中でもMEKが最も前記の諸性質をバランス良く備え、且つ扱い易いので好ましい。
【0048】
また、本発明の好ましい実施態様において用いるショ糖水溶液はケトン相と水相との分離性を改善し、その結果得られるSEの純度を高める効果があるが、その濃度は水との分離性等から、0.1〜10%が好ましく、1〜8%が更に好ましい。
【0049】
液−液抽出操作を実施する際の温度は、使用するケトン等の沸点を考慮すると70℃以下が採用しやすく、液相間の分離性等を考慮すると常温以上が採用しやすいが、更に好ましいのは40℃以上での操作である。
【0050】
また、液−液抽出に用いるケトンとショ糖水溶液の量は、SEの回収率や液相間の分離性等から、SEと等量〜20倍容量程度が好ましい。
【0051】
以上のように、本発明の好ましい実施態様である液−液抽出後に得られるケトン相は、相中に含まれるものがSE以外は殆ど溶媒のみであり、溶媒を通常の濃縮や蒸留、水蒸気を吹き込んでの蒸留などの操作で除去し、乾燥することによって純度の高いSEを得ることができる。
【0052】
また、前記液−液抽出によって得られる水相には未反応成分のショ糖や抽出の際に用いたショ糖水溶液に由来するショ糖が含まれているので、公知の濃縮操作を適用し、水相中にDMSOが残るように水を除去して、DMSO−ショ糖溶液とし、次の反応で得られた反応液に混合すれば、更に効率よくDMSO及びショ糖を回収することができ、一層経済的に有利な工程を実現することができる。
【0053】
【実施例】
【0054】
以下に例を掲げて本発明の内容を更に具体的に説明するが、例中の%は特に断らない限り重量%を表わすものとする。
【0055】
また、本発明の技術的範囲は以下の例に制限されるものではない。
【0056】
図1は、本発明の工程の一例を示す簡単なフロー図であり、実施例−1及び実施例−2の工程の概略が示されている。
【0057】
【実施例−1】
(未使用ショ糖使用例)
【0058】
300mlの還流装置つきガラス製反応容器に37.4gのショ糖、6.05gのパルミチン酸メチルエステル、1.50gのステアリン酸メチルエステル、並びに105mlのジメチルスルホキシド(DMSO)を入れて90℃に加熱し、さらに反応系を減圧にして、DMSOが約5ml留去されるまで系内の乾燥を行った。
【0059】
次に、0.1gのK2CO3を加え、20mmHgの減圧下、90℃でDMSOを還流させ、メタノールを留去させながら、3時間反応を進行させた。
【0060】
3時間後、0.25gの乳酸を、0.25gの水を用いて加え、反応を停止させた後、70℃まで降温し、イソブタノール300mlをゆっくり加えてショ糖の結晶生成を確認した後、0℃まで冷却し、30分間ゆるやかに撹拌した。
【0061】
次に、生成したショ糖の結晶をろ過し、さらにこれを10%含水イソブタノールで洗浄し、18gのショ糖結晶を回収したが、このショ糖の純度は98.5%で塩の残存はNMRでの測定で観測されず、次回以降の反応に繰り返し用いるに十分な品質を備えたものであった。
【0062】
ショ糖結晶を除去したろ液、及び結晶の洗浄に用いた溶媒を混合し、減圧濃縮を行い、本発明の粗ショ糖脂肪酸エステルを得た。
【0063】
得られた粗ショ糖脂肪酸エステルの重量は30gであった。
【0064】
【実施例−2】
(ショ糖脂肪酸エステルの精製)
【0065】
実施例−1で得られた粗ショ糖脂肪酸エステルにメチルエチルケトン(MEK)150ml及び水150mlを加え、溶媒抽出を行い、次に、その有機溶媒相を、温度50℃にて3%ショ糖水溶液80mlで、5回洗浄した後、減圧濃縮し、乾固させた後、100mlの水に溶解させた。
【0066】
更に、該溶解液に水蒸気を吹き込み、残存する溶媒を除去し、凍結乾燥して12.0gの精製ショ糖脂肪酸エステルを得た。
【0067】
また、得られた水相から、アスピレーターで減圧しながら60℃で水を蒸発させ、次回以降使用するための濃縮物を得た。
【0068】
この濃縮物中には、ショ糖約20gとDMSO10mlが含有されていた。
【0069】
【参考例−1】
【0070】
実施例−2のショ糖水溶液に代えて水を用い、同様に操作した結果、洗浄後の液が溶媒層と水とに分離せず、乳化液になってしまい、精製ショ糖脂肪酸エステルは得られなかった。
【0071】
【実施例−3】
(回収ショ糖の使用例)
【0072】
300mlの還流装置つきガラス製反応容器に実施例−1で得られた18gの回収ショ糖と、19.4gの中双目糖、6.05gのパルミチン酸メチルエステル、1.50gのステアリン酸メチルエステル、並びに105mlのDMSOを入れて90℃に加熱し、さらに反応系を減圧にして、DMSOが約5ml留去されるまで系内の乾燥を行った。
【0073】
次に、0.1gのK2CO3を加え、20mmHgの減圧下、90℃でDMSOを還流させ、メタノールを留去させながら、3時間反応を進行させた。
【0074】
3時間後、0.25gの乳酸を、0.25gの水を用いて加え、反応を停止させた後、70℃まで降温し、実施例−2で得られた濃縮物を混合した後、イソブタノール330mlをゆっくり加えてショ糖の結晶生成を確認して、0℃まで冷却し、30分間ゆるやかに撹拌した。
【0075】
次に、生成したショ糖の結晶をろ過し、さらにこれを10%含水イソブタノールで洗浄し、37gのショ糖結晶を回収したが、このショ糖の純度は98.4%であり、次回の反応に用いるに十分な純度を備えたものであった。
【0076】
ショ糖結晶を除去したろ液、及び結晶の洗浄に用いた溶媒を混合し、減圧濃縮を行い、本発明の粗ショ糖脂肪酸エステルを得た。
【0077】
得られた粗ショ糖脂肪酸エステルの重量は31.5gであった。
【0078】
【実施例−4】
(ショ糖脂肪酸エステルの精製)
【0079】
実施例−3で得られた粗ショ糖脂肪酸エステルにメチルエチルケトン(MEK)150ml及び水150mlを加え、溶媒抽出を行い、次に、その有機溶媒相を、温度40℃にて1%ショ糖水溶液80mlで、5回洗浄した後、減圧濃縮し、乾固させた後、100mlの水に溶解させた。
【0080】
更に、該溶解液に水蒸気を吹き込み、残存する溶媒を除去し、凍結乾燥して12.3gの精製ショ糖脂肪酸エステルを得た。
【0081】
また、得られた水相から、アスピレーターで減圧しながら60℃で水を蒸発させ、次回以降使用するための濃縮物を得た。
【0082】
この濃縮物中には、ショ糖約13gとDMSO10mlが含有されていた。
【0083】
【実施例−5】
(回収ショ糖の使用例)
【0084】
300mlの還流装置つきガラス製反応容器に実施例−3で得られた37gの回収ショ糖、6.05gのパルミチン酸メチルエステル、1.50gのステアリン酸メチルエステル、並びに105mlのDMSOを入れて90℃に加熱し、さらに反応系を減圧にして、DMSOが約5ml留去されるまで系内の乾燥を行った。
【0085】
次に、0.1gのK2CO3を加え、20mmHgの減圧下、90℃でDMSOを還流させ、メタノールを留去させながら、3時間反応を進行させた。
【0086】
3時間後、0.25gの乳酸を、0.25gの水を用いて加え、反応を停止させた後、60℃まで降温し、実施例−4で得られた濃縮物を混合した後、イソブタノール330mlをゆっくり加えてショ糖の結晶生成を確認して、0℃まで冷却し、30分間ゆるやかに撹拌した。
【0087】
次に、生成したショ糖の結晶をろ過し、さらにこれを10%含水イソブタノールで洗浄し、30gのショ糖結晶を回収したが、このショ糖の純度は98.7%であり、次回の反応に用いるに十分な純度を備えたものであった。
【0088】
ショ糖結晶を除去したろ液、及び結晶の洗浄に用いた溶媒を混合し、減圧濃縮を行い、本発明の粗ショ糖脂肪酸エステルを得た。
【0089】
得られた粗ショ糖脂肪酸エステルの重量は30.3gであった。
【0090】
【実施例−6】
(ショ糖脂肪酸エステルの精製)
【0091】
実施例−5で得られた粗ショ糖脂肪酸エステルにジエチルケトン150ml及び水150mlを加え、溶媒抽出を行い、次に、その有機溶媒相を、温度35℃にて2%ショ糖水溶液80mlで、5回洗浄した後、減圧濃縮し、乾固させた後、100mlの水に溶解させた。
【0092】
更に、該溶解液に水蒸気を吹き込み、残存する溶媒を除去し、凍結乾燥して11.9gの精製ショ糖脂肪酸エステルを得た。
【0093】
また、得られた水相から、アスピレーターで減圧しながら60℃で水を蒸発させ、次回以降使用するための濃縮物を得た。
【0094】
この濃縮物中には、ショ糖約17gとDMSO9mlが含有されていた。
【0095】
【実施例−7】
(未使用ショ糖使用例)
【0096】
用いたアルコールをイソブタノールからイソプロパノールに代えた他は実施例−1と同様にして操作した結果、16.9gの回収ショ糖結晶と30gの粗ショ糖脂肪酸エステルを得た。
【0097】
【試験例−1】
【0098】
実施例−2で得られた精製ショ糖脂肪酸エステルを用い、常法に従って微生物の最少発育阻止濃度を測定した結果、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)の場合には約60ppmであり、良好な静菌効果を有することが明らかになった。
【0099】
【発明の効果】
【0100】
本発明を実施することにより、回収したショ糖は結晶の形で且つ純度の高いものが得られるので、ショ糖を回収して繰り返し使用しても反応を遅延させることが無く、またケトンとショ糖水溶液を用いての抽出操作を併用することによって、液−液間の界面が素早くしかも明確に分離でき、ショ糖脂肪酸エステルの純度及び回収率、ショ糖の純度及び回収率を共に高めることが可能になった。
【0101】
また、SE反応液から少ない熱エネルギーで、塩を多く含まずに且つ塩を蓄積させずにショ糖を回収し、回収したショ糖を再びSE製造原料として使用でき、従って、経済的に有利に、ショ糖脂肪酸エステルを製造することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の工程の一例を示す簡単なフロー図である。

Claims (6)

  1. アルカリの存在下、ジメチルスルホキシドを反応溶媒として、ショ糖と脂肪酸低級アルコールエステルを反応させてショ糖脂肪酸エステルを製造する方法において、
    20℃〜90℃の温度範囲における加熱下、酸で中和した反応液にアルコールを添加・混合して、ショ糖脂肪酸エステルと塩を含む液相と、未反応ショ糖結晶とに分離し、
    前記の工程で得た液相から、アルコール及びジメチルスルホキシドを除去して、ショ糖脂肪酸エステルを回収し、
    C 前記Bの工程で得たショ糖脂肪酸エステルにケトンとショ糖水溶液を添加・混合した後、ジメチルスルホキシド、ショ糖及び塩を含有する水相と、ショ糖脂肪酸エステルを含むケトン相とに分離し、ケトン相よりケトンを除去して精製されたショ糖脂肪酸エステルを回収し、
    前記の工程で得た結晶を、次の反応に再使用することを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  2. 水相から水を除去したショ糖、ジメチルスルホキシド溶液を次回以降の反応の反応液に混合して用いる請求項に記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  3. 反応液もしくは反応液と前の反応から得たショ糖、ジメチルスルホキシド溶液との混合液1重量部に対し、アルコール0.5〜5重量部を添加・混合することを特徴とする請求項1または2に記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  4. アルコールがエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールから選ばれる請求項1〜の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  5. ケトンがメチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンから選ばれる一種又は二種以上の混合物である請求項1〜の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  6. ショ糖水溶液の濃度が0.1〜10重量%である請求項1〜の何れか一つに記載のショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
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