JP3834717B2 - 遊星ローラ式変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊星ローラ式変速機に関し、より詳しくは、変速機の回転精度を向上させ、出力の変動を抑えることのできる遊星ローラ式変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊星ローラ式変速機(トラクションドライブ)においては、一般に、太陽軸の周囲に固定輪を配置するとともに、その太陽軸と固定輪との間に、複数の遊星ローラをこれらの双方に転がり接触するように配置し、その各遊星ローラをキャリアに回動自在に支持した構造を採る。この構造において、太陽軸に回転を与えることにより、各遊星ローラが自転および公転し、これらを回動自在に支持しているキャリアが回転(自転)する。このキャリアの回転を出力軸を通じて外部に取り出すことにより、太陽軸に与えた回転が減速されて取り出されることになる。
【0003】
図2と図3に従来のトラクションドライブ式遊星ローラ式変速機の構成例を示す。図2は遊星ローラ式変速機の軸方向の断面図であり、図3はそのX−X面で切断した軸直交方向の断面図である。
【0004】
この例は、モータ13を動力源としたものであって、モータ軸13aがカップリング14によって遊星ローラ式変速機の太陽軸4に連結されている。また、この太陽軸4に対して、同心状に固定輪10がハウジング11aと11bに挟みこまれるようにして固定されている。この固定輪10と太陽軸4との間に形成される環状空間には、太陽軸4の外周面および固定輪10の内周面の双方にトラクションオイルを介し圧接状態で転がり接触するように複数の遊星ローラ1が配置されている。各遊星ローラ1は、それぞれ共通のキャリア2から突出した駆動ピン2pに回動自在に支承されており、そのキャリア2には、出力軸5が一体となって固定されている。また、出力軸5は、転がり軸受12によってハウジング11bに回転自由に固定されている。
【0005】
図3に示すように、固定輪10と太陽軸4との間の環状空間に配置される各遊星ローラ1は、中空のリング形状をしており、キャリア2から突出するように設けられた駆動ピン2pを、その中空部に挿通することにより支持されている。通常この遊星ローラ1と駆動ピン2pの間には軸受が配置され、各遊星ローラ1を自転自由に支持する。この軸受には、一般的に転がり軸受や滑り軸受が使用され、この従来例では、樹脂製のブッシュ3を滑り軸受として用いた例を示している。
【0006】
遊星ローラ1と駆動ピン2p並びにブッシュ3の従来の関係を、図3のP部拡大図として図4と図5にそれぞれ模式的に示す。
【0007】
従来の遊星ローラ1の支持構造として、図4のようにブッシュ3の外周面3aを遊星ローラ1の内周面1rに圧入し、ブッシュ3の内周面3bと駆動ピン2pの外周面2rの間に隙間を持たせて回転自由とする構造と、図5のようにブッシュ3の外周面3aと遊星ローラ1の内周面1rの間、およびブッシュ3の内周面3bと駆動ピン2pの外周面2rの間の双方に隙間を持たせ、回転自由とする構造のいずれかが採用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような遊星ローラ式変速機において、製版機などの精密な出力制御が求められる用途では、変速機の出力の変動(出力軸の回転角速度の変化、換言すれば出力軸の回転むら)が少ないこと、すなわち変速機の回転精度が高いことが要求される。
【0009】
遊星ローラ式変速機の出力軸の回転むらの原因の一つは、駆動ピンに回動自在に支持された遊星ローラの自転が、ブッシュの半径方向の厚みむらに起因する偏心を起こすことにある。すなわち、ブッシュの材質は、滑り軸受としての適性から軟金属あるいは樹脂等が採用されるが、これらの材質は、遊星ローラや駆動ピンを構成する鉄系等の金属に比して、寸法精度を高くすることが困難であり、従って、その半径方向への厚みを高い精度で周方向に均一化することは難しい。図4,図5に示した従来の遊星ローラの支持構造では、いずれも、駆動ピンとブッシュとの間に隙間を持たせているため、遊星ローラの自転時にブッシュが駆動ピンに対して回転する。そのため、遊星ローラの半径方向の厚みを高精度に周方向に均一化していても、その自転時に駆動ピンの中心に対して遊星ローラの外周面が振れてしまう。換言すれば、遊星ローラはブッシュの半径方向への厚みむらの影響を受けて振れ回りを起こしてしまう。
【0010】
そして、遊星ローラが振れ回りを起こすと、遊星ローラの自転毎にキャリア(すなわち出力軸)の回転むらが発生し、変速機の出力が変動してしまう。
【0011】
この発明は、上記する課題に対処するためになされたものであり、半径方向への厚みむらが存在するブッシュを用いても出力の変動を抑制することのできる遊星ローラ式変速機を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、キャリアと、キャリアから突出して設けられた複数の駆動ピンと、これら各駆動ピンにそれぞれブッシュを介して回動自在に支持される複数の鉄系金属製の遊星ローラと、を備えた遊星ローラ式変速機において、上記ブッシュが駆動ピンに対してしまり嵌めにて固定されているとともに、このブッシュの外周面と上記遊星ローラとの間に回転自在に支持するための隙間が設けられていることにより、ブッシュの半径方向の厚みむらに起因する上記駆動ピンの中心に対する遊星ローラの外周面の偏心をなくすことを特徴とする。
【0013】
この発明は、遊星ローラと駆動ピンとの間に配置されるブッシュを、駆動ピンに対してしまり嵌めにて固定してその回転を不能とするとともに、ブッシュと遊星ローラとの間に隙間を設けて遊星ローラを回転自在とすることで所期の目的を達成しようとするものである。
【0014】
すなわち、ブッシュを駆動ピンに対して回転不能に固定し、かつ、ブッシュと遊星ローラとの間に隙間を設けることにより、遊星ローラはその内周面が駆動ピンに固定されたブッシュの外周面に対して滑り接触して自転し、その自転時の振れ回りに影響を及ぼすのは遊星ローラ自体の半径方向への厚みむらとなり、ブッシュの半径方向への厚みむらは影響を及ぼさない。遊星ローラは一般に寸法精度を出しやすい鉄系金属製とされ、半径方向への厚みを容易に周方向に均一化できる。従って、本発明における駆動ピン−ブッシュ−遊星ローラ間の隙間の関係を採用することにより、遊星ローラの自転時における振れ周りの発生を容易に抑制することができ、ひいては出力軸の回転むらの少ない遊星ローラ式変速機が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しつつこの発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の実施の形態を示す遊星ローラ式変速機の遊星ローラ部の拡大模式図である。なお、図4と図5に示した従来例と同様の構成部材には同じ番号を付記する。
【0016】
この発明の実施の形態は、遊星ローラ式変速機としての基本構成は図2,3に示した従来の遊星ローラ式変速機と同様であり、その相違点は、図1に示すように、ブッシュ3の内周面3bが駆動ピン2pの外周面2rに対してしまり嵌めにて固定され、かつ、ブッシュ3の外周面3aと遊星ローラ1の内周面1rとの間に隙間が設けられている点である。
【0017】
以上の特徴的構成により、遊星ローラ1の自転に際してブッシュ3は駆動ピン2pに対して回転せず、遊星ローラ1はその内周面1rがブッシュ3の外周面3aに対して滑り接触しつつ回転する。従って、遊星ローラ1の駆動ピン2p周りの自転時に、ブッシュ3の半径方向厚みの周方向への不均一性による影響が生じず、この不均一性に起因する遊星ローラ1の振れ回りが発生しない。よってこの発明の実施の形態によれば、半径方向厚みが周方向に一様でないブッシュ3を用いても、遊星ローラ1の振れ回りによる変速機の出力変動を抑制することができる。
【0018】
なお、以上の実施の形態においては、樹脂製のブッシュを用いる場合について説明したが、樹脂と同様に寸法精度を出しにくい材料、例えば油を含浸させた焼結金属や軟金属等からなるブッシュを用いた場合にも、この発明の採用により同等の使用効果を奏し得ることは勿論である。
【0019】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、ブッシュを駆動ピンに対してしまり嵌めにて固定し、ブッシュと遊星ローラの間に隙間を持たせて遊星ローラを回転自由に支持するので、ブッシュの厚みむらが遊星ローラの振れ回りに及ぼす影響をなくすことができ、樹脂等の高精度加工が困難なブッシュを用いても遊星ローラ式変速機の出力の変動を防止することができる。
【0020】
また、変速機の出力変動を抑制するためにブッシュの加工精度を向上させる必要がなくなり、結果的にその加工精度の基準を緩くすることが可能となって、コスト低減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における遊星ローラの支持構造を示す部分拡大模式図である。
【図2】従来の遊星ローラ式変速機の軸方向の断面図である。
【図3】図2のX−X線矢視断面図である。
【図4】従来例における遊星ローラの支持構造を示す図3のP部拡大模式図である。
【図5】従来例における別の遊星ローラの支持構造を示す図3のP部拡大模式図である。
【符号の説明】
1 遊星ローラ
1r 遊星ローラの内周面
2 キャリア
2r キャリアの外周面
2p 駆動ピン
3 ブッシュ
3a ブッシュの外周面
3b ブッシュの内周面
4 太陽軸
5 出力軸
10 固定輪
11a,11b ハウジング
12 転がり軸受
13 モータ
13a モータ軸
14 カップリング
Claims (1)
- キャリアと、キャリアから突出して設けられた複数の駆動ピンと、これら各駆動ピンにそれぞれブッシュを介して回動自在に支持される複数の鉄系金属製の遊星ローラと、を備えた遊星ローラ式変速機において、
上記ブッシュが駆動ピンに対してしまり嵌めにて固定されているとともに、このブッシュの外周面と上記遊星ローラとの間に回転自在に支持するための隙間が設けられていることにより、ブッシュの半径方向の厚みむらに起因する上記駆動ピンの中心に対する遊星ローラの外周面の偏心をなくすことを特徴とする遊星ローラ式変速機。
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